JP3666525B2 - 脂肪族ポリエステルカーボネート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルム、シート、繊維その他の成形体に成形する場合に、従来ある直鎖状脂肪族ポリエステルカーボネートと比較して、高い溶融張力と優れた成形性を示す、分岐化された高分子量生分解性脂肪族ポリエステルカーボネート樹脂及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエステルカ−ボネ−トとしては、脂環式化合物を用いるポリエステルカ−ボネ−トあるいは芳香族化合物と脂肪族化合物を使用するポリエステルカーボネートなどが、通常高い融点を持つか、あるいは高いガラス転移点を示すため成形体として使用できることが知られている。しかしながら、これらは一般には微生物分解性はなく、生分解性ポリマーには分類されていない。
生分解性ポリマーに分類されているものとしては、環状モノマーを用いた開環重合法による脂肪族ポリエステルカーボネートがある。これらは、ヒドロキカルボン酸単位と脂肪族カーボネート単位をその構成要素としており、生体適合性があり、医療分野で使用されるものがあるが、加水分解性を有するため成形体としての使用には制限がある。
【0003】
一方、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオ−ル及びジアリルカ−ボネ−トから脂肪族ポリエステルカ−ボネ−トを製造することは公知であるが、この脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを構成成分とする脂肪族ポリエステルカーボネートは、一般的に融点が低くゴム状の性質を示し、接着剤、シーリング剤、塗布コーティング剤、さらにはその他の樹脂とのポリマーアロイの材料として利用することが提案されているものの、主な用途は、液状の低分子量体としてウレタン原料に使用することであり、高分子量を要求される、フィルム、シート等の成形体に加工され実用に供された例は見いだされていなかった。
【0004】
本発明者らは、特開平7ー53695号公報、同7ー53693号公報、同8ー27362号公報に示した様に、高分子量脂肪族ポリエステルカーボネートが微生物分解性を有し、フィルム、シート、繊維等の各種成形体として利用できることを見いだした。これら高分子量脂肪族ポリエステルカーボネートは、成形性、生分解性等が良好なポリマーであるが、更なる研究の結果、側鎖を持たない直鎖状脂肪族ポリエステルカーボネートは、溶融張力、すなわち、溶融状態での形態保持特性が低いために、フィルム、シート、中空成形体その他の成形体成形時に、成形不良を起こすことがあることが判明した。例えば、フィルム、シート成形時のネックイン、中空成形体成形時のドローダウン、偏肉などが例示される。該成形不良は、成形条件の最適化によってある程度防ぐことは可能であるが、樹脂の溶融張力の不足に起因する問題であるため、根本的な解決には至っていない。溶融張力を高める、一般的な方法として樹脂を高分子量化することが知られているが、溶融流動性が低下する為、成形性が著しく悪化する。該成形不良をさける為に、溶融流動性を保ち、かつ溶融張力の高いポリエステルカ−ボネ−トの開発が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フィルム、シート、繊維その他の成形体に成形する場合に、従来ある直鎖状脂肪族ポリエステルカーボネートと比較して、高い溶融張力と優れた成形性を示す、分岐化された高分子量生分解性脂肪族ポリエステルカーボネート樹脂を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、脂肪族ポリエステルカーボネート、特にコハク酸を主成分とした脂肪族ジカルボン酸化合物と、1,4−ブタンジオールを主成分とした脂肪族ジヒドロキシ化合物とを用いて得られる脂肪族ポリエステルオリゴマーと、ジアリールカーボネートとを溶融重縮合させることにより得られる脂肪族ポリエステルカーボネートの溶融張力を高めるべく鋭意研究を重ねた結果、ポリエステルカーボネート鎖内部に、分子内に水酸基を3個以上含有する多価アルコール、もしくは分子内にカルボキシル基を3個以上含有する多価カルボン酸化合物、もしくは分子内に水酸基を1個以上含有する多価カルボン酸化合物を用いて分岐化構造を導入し、且つ、重量平均分子量を120,000以上とすることにより上記目的を達成できることを見いだし、本発明に到達した。
【0007】
すなわち本発明は、(1)コハク酸を主成分とする脂肪族ジカルボン酸化合物と、(2)1,4−ブタンジオールを主成分とする脂肪族ジヒドロキシ化合物と、(3)(a)分子内に水酸基を3個以上含有する多価アルコール、もしくは(b)分子内にカルボキシル基を3個以上含有する多価カルボン酸化合物、もしくは(c)分子内に水酸基を1個以上含有する多価カルボン酸化合物とを反応させて脂肪族ポリエステルオリゴマーを得、該オリゴマーとジアリールカーボネートとを反応させて得られる、樹脂温度190℃、押し出し速度10mm/分の測定条件下での溶融張力として1.5g以上、好ましくは2g以上、より好ましくは4g以上の重量平均分子量が120,000以上であることを特徴とする脂肪族ポリエステルカーボネート及びその製造方法である。
【0008】
また、本発明は、(1)コハク酸を主成分とする脂肪族ジカルボン酸化合物と、(2)1,4−ブタンジオールを主成分とする脂肪族ジヒドロキシ化合物とを反応させて脂肪族ポリエステルオリゴマーを得、該オリゴマーと(3)分子内に水酸基を3個以上含有する多価アルコールとジアリールカーボネートとを反応させて得られる、190℃、押し出し速度10mm/分での溶融張力が1.5g以上であることを特徴とする脂肪族ポリエステルカーボネートの製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における脂肪族ポリエステルカーボネートの製造方法は、まず、エステル交換触媒の存在下に、コハク酸を主成分とする脂肪族ジカルボン酸化合物と、1,4ーブタンジオールを主成分とする脂肪族ジヒドロキシ化合物と、分子内に水酸基を3個以上含有する多価アルコール、もしくは分子内にカルボキシル基を3個以上含有する多価カルボン酸化合物、もしくは分子内に水酸基を1個以上含有する多価カルボン酸とを反応させて脂肪族ポリエステルオリゴマーを得る第1工程と、該オリゴマーとジアリールカーボネートとを反応させる第2工程からなる。
【0010】
また、本発明における脂肪族ポリエステルカーボネートの製造方法は、まず、エステル交換触媒の存在下に、コハク酸を主成分とする脂肪族ジカルボン酸化合物と、1,4ーブタンジオールを主成分とする脂肪族ジヒドロキシ化合物とを反応させて脂肪族ポリエステルオリゴマーを得る第1’工程と、該オリゴマーと分子内に水酸基を3個以上含有する多価アルコールとジアリールカーボネートとを反応させる第2’工程からなる。
【0011】
分子内に水酸基を3個以上含有する多価アルコール、もしくは分子内にカルボキシル基を3個以上含有する多価カルボン酸化合物、もしくは分子内に水酸基を1個以上含有する多価カルボン酸化合物の使用量は、コハク酸を主成分とする脂肪族ジカルボン酸化合物に対して、0.05モル%以上5モル%以下である。0.05モル%以下では、溶融張力及び成形性にほとんど変化がなく、5モル%以上になると短時間でゲル化を起こしやすくなり、分子量制御が極めて困難になる。より好ましくは、溶融成形性に優れた脂肪族ポリエステルカ−ボネ−トをゲル化の危険なく安定して与える該多価アルコ−ルもしくは該多価カルボン酸化合物もしくは該多価ヒドロキシカルボン酸化合物の使用量は、該脂肪族ジカルボン酸化合物に対して0.1モル%以上3モル%以下である。
【0012】
第1工程及び第1’工程は、触媒の存在下、温度100〜250℃、好ましくは150〜220℃で、反応に伴って副生する水及び過剰の1,4ーブタンジオールを除去しながら、数平均分子量500〜5,000のポリエステルオリゴマーを製造する工程である。ポリエステルオリゴマーの分子量が上記より高い場合は、最終ポリマー中のカーボネート結合の割合が著しく低くなり生分解性が低下するので、上記の分子量を越えることは好ましくない。しかしながら、カーボネート結合はオリゴマーの結合剤としてポリエステルの分子量を容易に高分子量体とすることが可能であり、生分解性を特に考慮する必要のない場合には上記の分子量を越えるポリエステルオリゴマーであっても良い。また、ポリエステルオリゴマーの分子量が500以下の場合は最終ポリマーの融点が低下し実用的な使用に耐えない。
【0013】
反応が行われる圧力は上記目的が達成される圧力が選ばれ、反応を促進する目的で300mmHg以下の減圧としてもよい。
【0014】
上記第1工程及び第1’工程におけるコハク酸を主成分とする脂肪族ジカルボン酸化合物と、1,4ーブタンジオールを主成分とする脂肪族ジヒドロキシ化合物との反応は、脂肪族ジヒドロキシ化合物を理論量より過剰で使用される。具体的には、該脂肪族ジカルボン酸化合物1に対して、該脂肪族ジヒドロキシ化合物を1.05〜2.00のモル比の範囲で使用される。該脂肪族ジヒドロキシ化合物が多い方が反応時間は長くなるが、酸価が小さくなる傾向にある。得られる脂肪族ポリエステルオリゴマーの分子量、酸価、脂肪族ジヒドロキシ化合物残存量のコントロ−ルは、未反応の1,4ーブタンジオールの留去速度と反応速度を適当にバランスさせることにより可能であり、仕込みモル比、触媒、温度、減圧度、反応時間の条件を適当に組合せる方法や、不活性気体を適当な流量で吹き込むような方法が現実的である。
【0015】
たとえば、減圧度の増加速度を早くすることにより、反応時間の短縮およびオリゴマー中の1,4−ブタンジオールの残存量の低減化が可能であるが未反応のカルボン酸すなわち酸価が増大する。酸価の増加は、ジアリールカーボネートの副反応による分解および着色等の問題から好ましくない。
一方、触媒量の増加は反応速度を増加させるが、最終的には生成したポリマーの熱安定性に問題が生じる。このため、反応は少量の触媒を用いて、3段階に分けて減圧度を調節することにより行う。第1段階は主に縮合によって生じた水の除去で常圧で行われる。第2段階は脱水縮合反応の完結、すなわち酸価の低減のための熟成工程で、200〜80mmHg程度の減圧度で水および少量の1,4−ブタンジオールの留去を行う。第3段階は過剰の1,4−ブタンジオールの留去による高分子量化の工程で最終的には2mmHg以下の真空度とする。分子量すなわち末端水酸基価の調節は、1,4−ブタンジオールの留出量によって行うことができる。末端水酸基価は20〜200KOHmg/gの範囲が好ましい。
【0016】
第2工程は、第1工程で得られたポリエステルオリゴマーとジアリールカ−ボネ−トとを反応させて高分子量体とする工程、第2’工程は、第1’工程で得られたポリエステルオリゴマーと分子内に水酸基を3個以上含有する多価アルコールとジアリールカ−ボネ−トとを反応させて高分子量体とする工程であり、第2工程、第2’工程共温度150〜250℃、好ましくは200〜230℃で、反応に伴って副成するフェノールおよび若干量の1,4−ブタンジオール、あるいは1,4−ブタンジオールの転化物等を除去する工程である。ここで、使用するジアリールカーボネートの量は、ポリエステルオリゴマーの末端水酸基量、あるいは、ポリエステルオリゴマーと分子内に水酸基を3個以上含有する多価アルコールとの末端水酸基総和量に対して、0.45〜0.55倍モル量で使用される。より好ましくは0.47〜0.51倍モル量の範囲である。得られるポリエステルカーボネート中のカーボネート結合の含有量は、1.8〜33モル%の範囲、好ましくは3〜25モル%の範囲である。カーボネート結合の量が増加すると生分解性は向上するが、融点は低下するので、用途に応じて制御することが必要である。
また、ここで使用されるポリエステルオリゴマーは1種類に限定されるものではなく、原料の異なる2種類以上のポリエステルオリゴマーを独立に製造し、適当量を混合することによりブロック共重合体を製造することも可能である。
【0017】
これらの高分子量化工程においては反応温度が高いと重合反応は速いが、得られる重合体を着色させることがあり、上記の範囲を越えるような高い温度は好ましくない。反応は、必要に応じて徐々に減圧度を調節して行われ、最終的には3mmHg以下の減圧とすることが好ましい。
【0018】
第2及び第2’工程終了後の脂肪族ポリエステルカーボネートには、1〜3重量%の環状オリゴマーが含まれるが、この他に300ppm程度の副成フェノール及び20ppm未満の未反応ジフェニルカーボネートが含まれることがある。
環状オリゴマーの中でも1,4ーブタンジオール2分子、コハク酸2分子からなる環状オリゴマーは、オリゴマー濃度が0.6重量%を越えると、成形後のフィルム、シートの表面上に約1カ月の保存期間後、白色の結晶が析出し透明性を損なう。よって、溶融状態の脂肪族ポリエステルカーボネートに、窒素雰囲気下で触媒失活剤を添加、混合し、反応触媒を失活させ、続いて、表面更新能力の高い装置で減圧下に、脱揮し、環状オリゴマーの濃度が0.6重量%以下となるように脱揮除去するのが好ましい。また、フェノールについても、20ppm以上のフェノール量では、成形加工時にフェノール臭の問題があり、環状オリゴマーと共に脱揮除去することが好ましい。
【0019】
触媒失活剤の添加量は、触媒1モルに対し0.3〜10倍モル好ましくは0.5〜5倍モルの範囲で使用され、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸およびそれらのエステル等のリン系化合物が好適に用いられる。また、環状オリゴマー除去のためには高温度、高真空度が好ましく、操作温度は130〜300℃、好ましくは180〜280℃であり、減圧度は10mmHg以下、好ましくは5mmHg以下、より好ましくは2mmHg以下で行われる。
【0020】
以上述べた、本発明による脂肪族ポリエステルカーボネートにおいては、分子内に水酸基を3個以上含有する多価アルコールとして、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4ーブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオ−ル、1,2,6−ヘキサントリオ−ル、フロログルシン等が例示される。
【0021】
また、以上述べた、本発明による脂肪族ポリエステルカーボネートにおいては、分子内にカルボキシル基を3個以上含有する多価カルボン酸化合物として、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、プロパントリカルボン酸、トリメシン酸等が例示される。
【0022】
また、以上述べた、本発明による脂肪族ポリエステルカーボネートにおいては、分子内に水酸基を1個以上含有する多価カルボン酸化合物として、例えば、酒石酸、クエン酸等が例示される。
【0023】
以上述べた本発明による脂肪族ポリエステルカーボネートは、コハク酸と下記一般式(1)で表される脂肪族ジカルボン酸化合物の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオールと下記一般式(2)で表される脂肪族ジヒドロキシ化合物の少なくとも1種とを併用する。
R1 OCOーR2 −COOR3 (1)
HOーR4 −OH (2)
(式中R2 およびR4 は炭素数1〜8のアルキル基であり、これらは同一であっても異なっていてもよい。R1 およびR3 は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。)
【0024】
上記一般式(1)で表される脂肪族ジカルボン酸化合物としては、例えば、蓚酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、ジグリコール酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ペンタデカン二酸およびこれらのアルキルエステル等が例示される。
【0025】
また、上記一般式(2)で表される脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサメチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール等が例示される。
【0026】
本発明において、上記一般式(1)および(2)の脂肪族ジヒドロキシ化合物および脂肪族ジカルボン酸化合物を併用する場合、1,4−ブタンジオールおよびコハク酸の量をそれぞれ80モル%以上とすることが得られるポリマーの物性上の観点から望ましい。
【0027】
本発明で使用される触媒として、ジルコニウム化合物あるいはハフニウム化合物とY,La,Zn,Snから選ばれる少なくとも1種との組み合わせからなる触媒とすることにより、ジルコニウム化合物またはハフニウム化合物単独使用の場合より全体の触媒量が少量で、充分な反応速度が得られる。
触媒として、好ましい化合物の形態としては、脂肪酸塩類、水酸化物、アルコラート、フェノラート、アセチルアセトナート等種々あげられる。
【0028】
ジルコニウム化合物、ハフニウム化合物としては、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセテートジルコニル、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムテトラターシャリーブトキシド、ジルコニルクロライド、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、ジルコニウムオキシアセテート、オクタン酸ジルコニウム、ジルコニウムオキシステアレート、ハフニウムアセチルアセトネート、ハフニウムテトラブトキシド、ハフニウムテトライソプロポキシドなどが例示されるが、ジルコニウムアセチルアセトネート、ハフニウムアセチルアセトネートがとくに好ましく用いられる。
【0029】
Y,La,Zn,Snの化合物としては、酢酸イットリウム、ナフテン酸イットリウム、トリス(アセチルアセトナト)イットリウム、酢酸ランタン、酢酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトナート、安息香酸亜鉛、ステアリンサン亜鉛、酸化亜鉛、燐酸亜鉛、蓚酸錫、錫アセチルアセトナート、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫オキサイド、塩化錫などが例示されるが、亜鉛アセチルアセトナート、酢酸亜鉛、ジブチル錫オキサイドが特に好ましく用いられる。
【0030】
また、触媒の添加時期は、前述の第1工程で、触媒を最初から上記の組み合わせで使用する方法と、第1工程では、ジルコニウム化合物またはハフニウム化合物を使用し、前述の第2工程では、Y,La,Zn,Sn化合物から選ばれる少なくとも1種を追加して反応する方法があるが、どちらの方法でも良い。触媒量は極力少ないことが望まれ、通常原料(反応)混合物100重量部に対して、5×10-1〜1重量部、好ましくは1×10-4〜2×10-2重量部が使用される。
【0031】
本発明によれば簡単な方法で、高い溶融張力と優れた成形性を示す重量平均分子量30,000以上の脂肪族ポリエステルカーボネートが製造可能なだけではなく、広い範囲で重合度と溶融張力の調節が可能であり、反応時間、温度、触媒量、分岐化剤量等の反応条件の一部を変更するだけで、重量平均分子量30,000〜400,000、樹脂温度190℃、押し出し速度10mm/分の条件下での溶融張力80g付近までの脂肪族ポリエステルカーボネートを用途に応じて適宜製造することが可能である。しかし、用途、成形加工性等を考慮すると、重量平均分子量(Mw)が120,000〜320,000のものが好適に使用される。
【0032】
また、好適な溶融張力としては、樹脂温度190℃、押し出し速度10mm/分の測定条件下での溶融張力として、1.5g以上好ましくは、2g以上、より好ましくは4g以上のポリエステルカーボネート樹脂を用いるのが望ましい。
【0033】
本発明による脂肪族ポリエステルカーボネートを成形に供することにより、フィルム、シート成形時のネックインの大幅低減、中空成形体成形時のドローダウン、偏肉等の大幅低減が可能となる。
【0034】
本発明の方法により製造された高純度の脂肪族ポリエステルカーボネートの使用に際しては、核剤、滑剤、安定剤、酸化防止剤、無機充填剤などの補助添加剤を配合することができ、従来公知の方法に従ってフィルム、シート、フィラメントなどの各種の形状に成形することができる。
【0035】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0036】
本実施例において、ポリエステルオリゴマー、ポリエステルカーボネートの分子量はクロロホルムを溶媒としてGPC(昭和電工(株)製GPC System−11使用)によりスチレン換算のMw(重量平均分子量)、Mn(数平均分子量)として測定した。水酸基価および酸価はJIS−K1557に従って定量した。ポリマー中の環状オリゴマー量はポリマーのジクロロメタン溶液をメタノールで再沈澱後、ポリマーを分離した母液を濃縮し、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製GC14B)により分析した。溶融張力は、キャピログラフ(東洋精機製キャピログラフ1B)により、測定温度190゜C、押し出し速度10mm/分の条件下で測定した。メルトインデックスは、メルトインデクサー(東洋精機製)により、測定温度190゜C、試験荷重2.16kgの条件下で測定した。Tダイフィルムは、一軸押出機、Tダイ、フィルム引取装置(いずれも東洋精機製)を組み合わせて200゜Cで成形した。
【0037】
以下に、本発明の実施例及び比較例を示す。
【0038】
実施例1
撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた50リットルの第1反応器に、コハク酸18.74kg(158.7モル)、1,4−ブタンジオール21.43kg(237.8モル)、トリメチロールプロパン63.9g(0.476モル)、ジルコニウムアセチルアセトネート745mgおよび亜鉛アセチルアセトナート1.50gを仕込み、窒素雰囲気下で温度150〜220℃で2時間反応し水を留出させた。つづいて、150〜80mmHgの減圧度で3時間熟成し、脱水反応を進行させた。更に、最終的に減圧度を2mmHg以下となるよう徐々に減圧度を増し、さらに水と1,4−ブタンジオールを留出させ、総留出量が10.40kgになったところで反応を停止した。総反応時間は7.0時間であった。得られたオリゴマーの数平均分子量は1800、末端水酸基価は106KOHmg/gであり、酸価は1.08KOHmg/gであった。
【0039】
次に得られたオリゴマ−24.0kgを撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた50リットルの第2反応器に仕込み、ジフェニルカ−ボネ−ト4.71kgを添加した。温度210〜220゜Cで最終的に1mmHgの減圧とし、フェノールを留去しながら4.5時間反応した。窒素により減圧を解除し、ポリリン酸0.7gを含む300gのポリエステルカーボネートマスターバッチを添加し、撹はん混合後にストランド状に取り出しペレット化を行った。
得られた高分子量体は、無着色でGPCの測定による重量平均分子量(Mw)が181,000であり、ゲル化はしなかった。溶融張力は1.8g、メルトインデックスは5.4gであった。Tダイフィルムは200゜C、引き取り速度1.6m/分で良好に成形可能で、ネックインはダイ幅200mmに対して26mmであった。
【0040】
実施例2
撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた50リットルの第1反応器に、コハク酸18.74kg(158.7モル)、1,4−ブタンジオール21.43kg(237.8モル)、ジルコニウムアセチルアセトネート745mgおよび亜鉛アセチルアセトナート1.50gを仕込み、窒素雰囲気下で温度150〜220℃で2時間反応し水を留出させた。つづいて、150〜80mmHgの減圧度で3時間熟成し、脱水反応を進行させた。更に、最終的に減圧度を2mmHg以下となるよう徐々に減圧度を増し、さらに水と1,4−ブタンジオールを留出させ総留出量が10.40kgになったところで反応を停止した。総反応時間は7.0時間であった。得られたオリゴマーの数平均分子量は1800、末端水酸基価は109KOHmg/gであり、酸価は1.08KOHmg/gであった。
【0041】
次に得られたオリゴマ−24.0kgを撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた50リットルの第2反応器に仕込み、トリメチロールプロパン63.9g(0.476モル)、ジフェニルカ−ボネ−ト5.00kgを添加した。温度210〜220゜Cで最終的に1mmHgの減圧とし、フェノールを留去しながら4.5時間反応した。窒素により減圧を解除し、ポリリン酸0.7gを含む300gのポリエステルカーボネートマスターバッチを添加し、撹はん混合後にストランド状に取り出しペレット化を行った。得られた高分子量体は、無着色でGPCの測定による重量平均分子量(Mw)が184,000であり、ゲル化はしなかった。溶融張力は2.0g、メルトインデックスは5.0gであった。Tダイフィルムは200゜C、引き取り速度1.6m/分で良好に成形可能で、ネックインはダイ幅200mmに対して25mmであった。
【0042】
実施例3
撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた50リットルの第1反応器に、コハク酸18.74kg(158.7モル)、1,4−ブタンジオール21.43kg(237.8モル)、トリメシン酸333.5g(1.587モル)、ジルコニウムアセチルアセトネート745mgおよび亜鉛アセチルアセトナート1.50gを仕込み、窒素雰囲気下で温度150〜220℃で2時間反応し水を留出させた。つづいて、150〜80mmHgの減圧度で3時間熟成し、脱水反応を進行させた。更に、最終的に減圧度を2mmHg以下となるよう徐々に減圧度を増し、さらに水と1,4−ブタンジオールを留出させ総留出量が10.40kgになったところで反応を停止した。総反応時間は7.0時間であった。得られたオリゴマーの数平均分子量は1,700、末端水酸基価は111KOHmg/gであり、酸価は1.00KOHmg/gであった。
【0043】
次に得られたオリゴマ−24.0kgを撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた50リットルの第2反応器に仕込み、ジフェニルカ−ボネ−ト4.82kgを添加した。温度210〜220℃で最終的に1mmHgの減圧とし、フェノールを留去しながら3時間反応した。窒素により減圧を解除し、ポリリン酸0.7gを含む300gのポリエステルカーボネートマスターバッチを添加し、撹はん混合後にストランド状に取り出しペレット化を行った。得られた高分子量体は、無着色でGPCの測定による重量平均分子量(Mw)が275,000であり、ゲル化はしなかった。溶融張力は13g、メルトインデックスは2.3gであった。Tダイフィルムは200℃、引き取り速度3m/分で良好に成形可能で、ネックインはダイ幅200mmに対して17mmであった。
【0044】
実施例4
撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた50リットルの第1反応器に、コハク酸18.74kg(158.7モル)、1,4−ブタンジオール21.43kg(237.8モル)、酒石酸83.3g(0.555モル)、ジルコニウムアセチルアセトネート745mgおよび亜鉛アセチルアセトナート1.50gを仕込み、窒素雰囲気下で温度150〜220℃で2時間反応し水を留出させた。つづいて、150〜80mmHgの減圧度で3時間熟成し、脱水反応を進行させた。更に、最終的に減圧度を2mmHg以下となるよう徐々に減圧度を増し、さらに水と1,4−ブタンジオールを留出させ総留出量が10.40kgになったところで反応を停止した。総反応時間は7.0時間であった。得られたオリゴマーの数平均分子量は1,700、末端水酸基価は114KOHmg/gであり、酸価は1.02KOHmg/gであった。
【0045】
次に得られたオリゴマ−24.0kgを撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた50リットルの第2反応器に仕込み、ジフェニルカ−ボネ−ト4.95kgを添加した。温度210〜220゜Cで最終的に1mmHgの減圧とし、フェノールを留去しながら3時間反応した。窒素により減圧を解除し、ポリリン酸0.7gを含む300gのポリエステルカーボネートマスターバッチを添加し、撹はん混合後にストランド状に取り出しペレット化を行った。得られた高分子量体は、無着色でGPCの測定による重量平均分子量(Mw)が280,000であり、ゲル化はしなかった。溶融張力は14g、メルトインデックスは2.2gであった。Tダイフィルムは200゜C、引き取り速度3m/分で良好に成形可能で、ネックインはダイ幅200mmに対して18mmであった。
【0046】
実施例5
撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた50リットルの第1反応器に、コハク酸18.74kg(158.7モル)、1,4−ブタンジオール21.43kg(237.8モル)、トリペンタエリスリトール32.83g(0.08817モル)、ジルコニウムアセチルアセトネート745mgおよび亜鉛アセチルアセトナート1.50gを仕込み、窒素雰囲気下で温度150〜220℃で2時間反応し水を留出させた。つづいて、150〜80mmHgの減圧度で3時間熟成し、脱水反応を進行させた。更に、最終的に減圧度を2mmHg以下となるよう徐々に減圧度を増し、さらに水と1,4−ブタンジオールを留出させ、総留出量が10.40kgになったところで反応を停止した。総反応時間は7.0時間であった。得られたオリゴマーの数平均分子量は1,800、末端水酸基価は108KOHmg/gであり、酸価は1.11KOHmg/gであった。
【0047】
次に得られたオリゴマ−24.0kgを撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた50リットルの第2反応器に仕込み、ジフェニルカ−ボネ−ト4.50kgを添加した。温度210〜220℃で最終的に1mmHgの減圧とし、フェノールを留去しながら2.5時間反応した。窒素により減圧を解除し、ポリリン酸0.7gを含む300gのポリエステルカーボネートマスターバッチを添加し、撹はん混合後にストランド状に取り出しペレット化を行った。
得られた高分子量体は、無着色でGPCの測定による重量平均分子量(Mw)が273,000であり、ゲル化はしなかった。溶融張力は13g、メルトインデックスは2.6gであった。Tダイフィルムは200゜C、引き取り速度3m/分で良好に成形可能で、ネックインはダイ幅200mmに対して15mmであった。
【0048】
比較例1
撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた200ミリリットルの第1反応器に、コハク酸74.96g(0.6348mol)、1,4−ブタンジオール85.72g(0.9512mol)、トリメチロールプロパン5.110g(0.03809mol)、ジルコニウムアセチルアセトネート3mgおよび亜鉛アセチルアセトナート6mgを仕込み、窒素雰囲気下で温度150〜220℃で2時間反応し水を留出させた。つづいて、150〜80mmHgの減圧度で3時間熟成し、脱水反応を進行させた。更に、最終的に減圧度を2mmHg以下となるよう徐々に減圧度を増し、さらに水と1,4−ブタンジオールを留出させ、総留出量が41.6gになったところで反応を停止した。総反応時間は7.0時間であった。得られたオリゴマーの数平均分子量は1,700、末端水酸基価は104KOHmg/gであり、酸価は1.00KOHmg/gであった。
【0049】
次に得られたオリゴマ−96.0gを撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた200ミリリットルの第2反応器に仕込み、ジフェニルカ−ボネ−ト19.06gを添加した。温度210〜220℃で最終的に1mmHgの減圧とし、フェノールを留去しながら1時間反応した。窒素により減圧を解除したが、内容物はゲル化しており取り出し不可能であった。
【0050】
比較例2
撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた200ミリリットルの第1反応器に、コハク酸74.96g(0.6348mol)、1,4−ブタンジオール85.72g(0.9512mol)、ジルコニウムアセチルアセトネート3mgおよび亜鉛アセチルアセトナート6mgを仕込み、窒素雰囲気下で温度150〜220℃で2時間反応し水を留出させた。つづいて、150〜80mmHgの減圧度で3時間熟成し、脱水反応を進行させた。更に、最終的に減圧度を2mmHg以下となるよう徐々に減圧度を増し、さらに水と1,4−ブタンジオールを留出させ、総留出量が41.6gになったところで反応を停止した。総反応時間は7.0時間であった。得られたオリゴマーの数平均分子量は1,700、末端水酸基価は103KOHmg/gであり、酸価は0.90KOHmg/gであった。
【0051】
次に得られたオリゴマ−96.0gを撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた200ミリリットルの第2反応器に仕込み、トリメチロールプロパン5.110g(0.03809mol)、ジフェニルカ−ボネ−ト30.98gを添加した。温度210〜220℃で最終的に1mmHgの減圧とし、フェノールを留去しながら1時間反応した。窒素により減圧を解除したが、内容物はゲル化しており取り出し不可能であった
【0052】
比較例3
撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた50リットルの第1反応器に、コハク酸18.74kg(158.7モル)、1,4−ブタンジオール21.43kg(237.8モル)、トリメチロールプロパン6.388g(0.04761モル)、ジルコニウムアセチルアセトネート745mgおよび亜鉛アセチルアセトナート1.50gを仕込み、窒素雰囲気下で温度150〜220℃で2時間反応し水を留出させた。つづいて、150〜80mmHgの減圧度で3時間熟成し、脱水反応を進行させた。更に、最終的に減圧度を2mmHg以下となるよう徐々に減圧度を増し、さらに水と1,4−ブタンジオールを留出させ、総留出量が10.40kgになったところで反応を停止した。総反応時間は7.0時間であった。得られたオリゴマーの数平均分子量は1,800、末端水酸基価は104KOHmg/gであり、酸価は0.87KOHmg/gであった。
【0053】
次に得られたオリゴマ−24.0kgを撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた50リットルの第2反応器に仕込み、ジフェニルカ−ボネ−ト4.66kgを添加した。温度210〜220℃で最終的に1mmHgの減圧とし、フェノールを留去しながら6時間反応した。窒素により減圧を解除し、ポリリン酸0.7gを含む300gのポリエステルカーボネートマスターバッチを添加し、撹はん混合後にストランド状に取り出しペレット化を行った。
得られた高分子量体は、無着色でGPCの測定による重量平均分子量(Mw)が186,000であり、ゲル化はしなかった。溶融張力はドローダウンのため測定不可能であった。メルトインデックスは4.0gであった。Tダイフィルムは200゜C、引き取り速度1.6m/分で成形可能であったが、ネックインはダイ幅200mmに対して35mmあり、実施例1、2に比較してかなり大きかった。
【0054】
比較例4
撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた50リットルの第1反応器に、コハク酸18.74kg(158.7モル)、1,4−ブタンジオール21.43kg(237.8モル)、ジルコニウムアセチルアセトネート745mgおよび亜鉛アセチルアセトナート1.50gを仕込み、窒素雰囲気下で温度150〜220℃で2時間反応し水を留出させた。つづいて、150〜80mmHgの減圧度で3時間熟成し、脱水反応を進行させた。更に、最終的に減圧度を2mmHg以下となるよう徐々に減圧度を増し、さらに水と1,4−ブタンジオールを留出させ、総留出量が10.40kgになったところで反応を停止した。総反応時間は7.0時間であった。得られたオリゴマーの数平均分子量は1,800、末端水酸基価は104KOHmg/gであり、酸価は0.81KOHmg/gであった。
【0055】
次に得られたオリゴマ−24.0kgを撹拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた50リットルの第2反応器に仕込み、ジフェニルカ−ボネ−ト4.80kgを添加した。温度210〜220℃で最終的に1mmHgの減圧とし、フェノールを留去しながら6時間反応した。窒素により減圧を解除し、ポリリン酸0.7gを含む300gのポリエステルカーボネートマスターバッチを添加し、撹はん混合後にストランド状に取り出しペレット化を行った。
得られた高分子量体は、無着色でGPCの測定による重量平均分子量(Mw)が272,000であり、ゲル化はしなかった。溶融張力は5.3g、メルトインデックスは0.75gであった。Tダイフィルムは200℃で成形可能であったが、引き取り速度は最大0.7m/分と遅く、またネックインはダイ幅200mmに対して37mmあり、成形性は実施例3〜5に比較して大きく劣っていた。
【0056】
【発明の効果】
本発明の脂肪族ポリエステルカーボネートは、高い溶融張力を持ち、成形時の溶融特性優れているので、フィルム、シート、発泡体あるいは繊維などの成形品を得るのに好適である。得られる成形品は高い機械的強度を有しており従来の汎用樹脂の代替物として使用できる。土中また活性汚泥処理でも高い生分解性を示すものであり、生分解性の要求される包装材料や成形体などに広く利用できる。例えば農業分野において、土壌表面を被覆して土壌の保温をするマルチフィルム、植林用の鉢やひも、また肥料のコーティング材料などに利用でき、あるいは漁業分野では釣り糸、漁網に、さらには、医療分野の医療材料、生理用品などの衛生材料として利用できる。
Claims (6)
- (1)コハク酸を主成分とする脂肪族ジカルボン酸化合物と、(2)1,4−ブタンジオールを主成分とする脂肪族ジヒドロキシ化合物と、(3)(a)分子内に水酸基を3個以上含有する多価アルコール、もしくは(b)分子内にカルボキシル基を3個以上含有する多価カルボン酸化合物、もしくは(c)分子内に水酸基を1個以上含有する多価カルボン酸化合物とを反応させて脂肪族ポリエステルオリゴマーを得、該オリゴマーとジアリールカーボネートとを反応させて得られる、190℃、押し出し速度10mm/分での溶融張力が1.5g以上であることを特徴とする脂肪族ポリエステルカーボネートの製造方法。
- (a)分子内に水酸基を3個以上含有する多価アルコール、もしくは(b)分子内にカルボキシル基を3個以上含有する多価カルボン酸化合物、もしくは(c)分子内に水酸基を1個以上含有する多価カルボン酸化合物の割合が、脂肪族ジカルボン酸化合物に対して0.05モル%以上5モル%以下であることを特徴とする請求項1記載の脂肪族ポリエステルカーボネートの製造方法。
- 脂肪族ポリエステルオリゴマ−の数平均分子量が、5,000以下であることを特徴とする請求項1記載の脂肪族ポリエステルカーボネートの製造方法。
- コハク酸と一般式(1)で表される脂肪族ジカルボン酸化合物の少なくとも1種とを併用し、1,4−ブタンジオールと一般式(2)で表される脂肪族ジヒドロキシ化合物の少なくとも1種とを併用することを特徴とする請求項1記載の脂肪族ポリエステルカーボネートの製造方法。
R1OCO−R2−COOR3 (1)
HO−R4−OH (2)
(式中、R2、R4、は炭素数1〜8のアルキル基であり、これらは同一であっても異なっていてもよい。R1およびR3は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。) - 脂肪族ジヒドロキシ化合物中の1,4−ブタンジオールおよび脂肪族ジカルボン酸化合物中のコハク酸がそれぞれ、少なくとも50モル%である請求項1記載の脂肪族ポリエステルカーボネートの製造方法。
- 脂肪族ポリエステルカーボネートに、リン化合物を添加することを特徴とする請求項1記載の脂肪族ポリエステルカーボネートの製造方法。
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