JP2000204143A - 白色高分子量脂肪族ポリエステル系重合体 - Google Patents

白色高分子量脂肪族ポリエステル系重合体

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JP2000204143A
JP2000204143A JP11130647A JP13064799A JP2000204143A JP 2000204143 A JP2000204143 A JP 2000204143A JP 11130647 A JP11130647 A JP 11130647A JP 13064799 A JP13064799 A JP 13064799A JP 2000204143 A JP2000204143 A JP 2000204143A
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Takashi Masuda
隆志 増田
Yutaka Ishigami
裕 石上
Hiroshi Sakaguchi
豁 坂口
Kazuo Nakayama
和郎 中山
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Agency of Industrial Science and Technology
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 色調にすぐれる上、実用上充分な程度の融解
温度をもち、機械的強度及び加工性に優れている新規な
構造を有する脂肪族ポリエステル系重合体を提供する。 【解決手段】 分子鎖中に下記一般式(1) (−CO−(R1)t−CO−O−R2−O−)
(1) (式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基、R2は炭
素数2〜12の二価脂肪族基、tは0又は1の数を示
す)で表されるジカルボン酸エステル部を含有し、さら
に、(i)下記一般式(2) (−CO−R3−O−) (2) (式中、R3は炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
す)で表されるオキシカルボン酸エステル部、(ii)下
記一般式(3) (−OCOO−) (3) で表される炭酸エステル部及び(iii)下記一般式(4) (−CO−(R1)t−CO−O−[C35(OR4)O]n
−) (4) (式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基を示し、
4は水素又はアシル基を示す)で表されるエーテル基
含有エステル部の中から選ばれる少なくとも1種のエス
テル部を含有する脂肪族ポリエステル系重合体であっ
て、該重合体中に酸性リン化合物由来の含リン連結基を
含有することを特徴とする脂肪族ポリエステル系重合
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な線状構造を
有する脂肪族ポリエステル系重合体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィンや芳香族ポリエステル等
の合成高分子は、日常生活に欠かせない原材料として大
量に使われているが、これらの合成高分子は、自然環境
で分解されないことから、廃棄高分子の増加に伴って環
境問題が顕在化している。このため、生分解性プラスチ
ックの開発が進められており、生分解性を有する高分子
として、脂肪族ポリエステルが注目されている。しか
し、従来の脂肪族ポリエステルはコストや強度等で解決
すべき問題が多い。例えば、微生物が生産するポリヒド
ロキシブチレートは融解温度が高く、性能の良いポリエ
ステルであるが、融解温度と分解温度の差が少ないこと
から成形時に熱分解して物性の低下や臭気発生等の問題
を起し易い上に、微生物により生産される高分子である
ことから生産性が低く、コスト高である。また、ポリカ
プロラクトンは現在工業生産されている数少ない脂肪族
ポリエステルであるが、融解温度が約60℃と低いこと
から用途が制限される。さらに、ヒドロキシカルボン酸
の重合体は生分解性の良い重合体として注目されてお
り、特に乳酸の重合体は生体吸収材料に使われている
が、その製造工程は複雑である。
【0003】上記の脂肪族ポリエステルの製造や性能に
関する諸問題を解決するため、脂肪族ジカルボン酸又は
その無水物とグリコールの重縮合で得られるポリエステ
ルが注目されている。このポリエステルの製造法は古く
から知られており、酸としてはコハク酸、アジピン酸、
スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を使
い、グリコールにはエチレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,6−シクロヘキサンジオール、1,4
−シクロヘキサンジメタノール等を使う方法が報告され
ている。そして、コハク酸を原料とする重合体は融解温
度が70℃以上と報告されている。しかし、このような
重合体はいずれも数平均分子量が数千程度と低いことか
ら、フィルムや繊維にできる程度の機械的強度がない。
【0004】最近、脂肪族ポリエステルが生分解性プラ
スチックとして脚光を浴びており、そのため下記に示す
ように数平均分子量が大きく、機械的強度の高いポリエ
ステルの製造法が多数提案されている。しかし、これら
の提案ではいずれも製造工程が増えるほか重合体の物性
も充分でなく満足できる方法は見当らない。特開平4−
189822号及び特開平4−189823号公報によ
れば、脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体とグリコール
から数平均分子量1.5万程度の脂肪族ポリエステルを
製造し、これをジイソシアネートで架橋して分子量を増
やす方法が示されている。しかし、この方法ではミクロ
ゲルが生成して重合体品質を低下させる等の問題があ
る。また、特開平5−287041号及び287042
号公報によれば、脂肪族ジカルボン酸とグリコールと多
価イソシアネートの3者を共重合し、これによって数平
均分子量が高く、分子量分布の広い高分子を得ている。
この高分子は、分子量が高く、機械的強度が大きい上
に、分子量分布が広いことから溶融粘度が高く、フィル
ム等の成形品を製造するのに好適である。同様な目的
で、特開平5−287068号公報には、前記3成分の
他に、3,3,4,4−ベンゾフェノンテトラカルボン
酸無水物を加えた4成分共重合体が、特開平5−295
071号公報には、前記3者の他に、ペンタエリスリト
ール等の多価アルコールを加えた4成分共重合体が提案
されている。しかし、これらの共重合体にはゲルが生成
する等の問題がある。このほか、特開平6−19237
4号公報には、脂肪族ジカルボン酸とグリコールと多価
アルコール又は多価カルボン酸とから低分子量脂肪族ポ
リエステルを合成し、これに末端がイソシアネート基と
なっている脂肪族ポリエステルを反応させ、ミクロゲル
不含の高分子量重合体を得る方法が提案されている。し
かし、この方法では製造工程が増加するという難点があ
る。
【0005】特願平5−238966号によれば、脂肪
族ジカルボン酸ではなく脂肪族ジカルボン酸ジエステル
とグリコール類を重縮合させることにより、実用的に十
分な強度を持つに足る分子量を有する脂肪族ポリエステ
ルの製造方法が提案されている。しかしながら、このよ
うな脂肪族ジカルボン酸ジエステルと脂肪族グリコール
の組み合わせより得られるほとんどの脂肪族ポリエステ
ルは、非常に低い融解温度を持つため実用的には好まし
くない。またこれらの脂肪族ポリエステル中で比較的高
い融解温度を持つものは、その生分解性が高くなく、や
はり生分解性プラスチックとしては好ましくない。
【0006】また、特願平8−143656号公報によ
れば、脂肪族ジカルボン酸ジエステルと脂肪族グリコー
ルにさらにカーボネート化合物を共重合させ、脂肪族ポ
リエステルカーボネートにすることにより、生分解性を
向上させることができ、さらにその共重合比を変化させ
ることにより生分解性を制御できることが提案されてい
る。しかしながら、このポリエステルカーボネートの場
合、カーボネート化合物を共重合することにより機械的
強度の低下が見られる。
【0007】一方、脂肪族ポリエステル系重合体の製造
方法においては、その反応触媒としては、チタンテトラ
イソプロポキシド等の一般的なエステル交換反応用触媒
g用いられている。しかしながら、この触媒の場合、そ
のポリエステル化反応速度が未だ不十分である上、得ら
れる重合体の色調が悪いという問題を含む。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、色調にすぐ
れる上、実用上充分な程度の融解温度をもち、機械的強
度及び加工性に優れている新規な構造を有する脂肪族ポ
リエステル系重合体を提供することをその課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、分子鎖中に下記一般
式(1)
【化15】 (−CO−(R1)t−CO−O−R2−O−) (1) (式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基、R2は炭
素数2〜12の二価脂肪族基、tは0又は1の数を示
す)で表されるジカルボン酸エステル部を含有し、さら
に、(i)下記一般式(2)
【化16】(−CO−R3−O−) (2) (式中、R3は炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
す)で表されるオキシカルボン酸エステル部、(ii)下
記一般式(3)
【化17】(−OCOO−) (3) で表される炭酸エステル部及び(iii)下記一般式(4)
【化18】 (−CO−(R1)t−CO−O−[C35(OR4)O]n−) (4) (式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基を示し、
4は水素又はアシル基を示し、nは平均重合度で1よ
り大きな数を示し、tは0又は1の数を示す)で表され
るエーテル基含有エステル部の中から選ばれる少なくと
も1種のエステル部を含有する脂肪族ポリエステル系重
合体であって、該重合体中に酸性リン化合物由来の含リ
ン連結基を分子中に含まれる全エステル部に対するモル
分率で1×10-7〜0.1の割合で含有することを特徴
とする脂肪族ポリエステル系重合体が提供される。ま
た、本発明によれば、下記一般式(2)
【化19】(−CO−R3−O−) (2) (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基を示す)
で表されるオキシカルボン酸エステル部を含有する脂肪
族ポリエステル系重合体であって、該重合体中に酸性リ
ン化合物由来の含リン連結基を分子中に含まれる全エス
テル部に対するモル分率で1×10-7〜0.1の割合で
含有することを特徴とする脂肪族ポリエステル系重合体
が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の重合体を製造するには、
その反応主原料として脂肪族ジカルボン酸又はそのエス
テルが用いられる。このものは、下記一般式(5)で表
される。
【化20】 R11OOC−(R1)t−COOR11 (5) 前記式中、R1は炭素数1〜12、好ましくは1〜10
の二価脂肪族基を示す。二価脂肪族基は、鎖状、環状飽
和又は不飽和のもの(エーテル結合を有していてもよい
アルキレン基又はアルケニレン基)であることができ
る。二価脂肪族基の具体例を示すと、−CH2−、−C2
4−、−CH2O−、−CH2OCH2−、−C36−、
−C48−、−C612−、−C816−、−C12
24−、−C12 22−等が挙げられる。tはゼロ又は1の
数を示し、tがゼロの場合には、前記一般式(5)で表
されるジカルボン酸成分は、シュウ酸(HOOC−CO
OH)を示し、tが1の場合には、ジカルボン酸成分は
11OOC−R1−COOR11で表されるジカルボン酸
又はそのエステルを示す。前記一般式(5)において、
そのR11は、水素、低級アルキル基又はアリール基を示
す。低級アルキル基としては、炭素数1〜6、好ましく
は1〜4のアルキル基が挙げられる。アリール基として
は、フェニル基等が挙げられる。前記脂肪族ジカルボン
酸としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、スベリ
ン酸、セバシン酸、ドデカン酸等が挙げられる。
【0011】本発明の重合体を製造するには、その反応
主原料として脂肪族ジオールが用いられる。このもの
は、下記一般式(6)で表される。
【化21】HO−R2−OH (6) 前記式中、R2は炭素数1〜12、好ましくは2〜10
の飽和又は不飽和の二価脂肪族基を示す。この場合の脂
肪族基には、鎖状又は環状のアルキレン基、エーテル基
含有アルキレン基及びアルケニレン基が包含される。こ
のものの具体例としては、−CH2−、−C24−、−
36−、−C48−、−C612−、−C816−、−
1224−、−C1222−(ドデセニル)、−C610
−(シクロヘキセニル)、−CH2O−、−CH2OCH
2−等が挙げられる。前記一般式(6)で表される脂肪
族ジオールの具体例としては、例えば、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール等が挙げられる。
【0012】本発明において用いる反応原料は、前記脂
肪族ジカルボン酸又はそのエステルと脂肪族ジオールか
らなる反応主原料の他、その添加成分として、オキシカ
ルボン酸系化合物、炭酸エステル系化合物及びポリグリ
セリン系化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合
物からなる。
【0013】前記オキシカルボン酸系化合物は、下記一
般式(7)及び(8)で表される。
【化22】HO−R3−COOR12 (7)
【化23】 前記一般式(7)において、R3は、炭素数1〜10、
好ましくは1〜8の二価脂肪族基を示す。この場合の二
価脂肪族基には、鎖状、環状飽和又は不飽和のアルキル
基が包含される。R12は水素、低級アルキル基又はアリ
ール基を示す。前記オキシカルボン酸(7)としては、
グリコール酸、乳酸、ヒドロアルキル酸、α−オキシ酪
酸等が挙げられる。また、前記オキシカルボン酸はその
2分子が結合した環状ジエステル(ラクチド)であるこ
とができる。その具体例としは、グリコール酸から得ら
れるもの(グリコリド)や、乳酸から得られるもの等が
挙げられる。
【0014】ラクトン化合物を示す前記一般式(8)に
おいて、R3は、炭素数2〜10、好ましくは2〜5の
鎖状又は環状の二価脂肪族基を示す。この場合の二価脂
肪族基には、飽和又は不飽和のアルキレン基が包含され
る。前記ラクトンとしては、カプロラクトン、バレロラ
クトン、ラウロラクトン等が挙げられる。
【0015】前記炭酸エステル系化合物は、下記一般式
(9)で表される。
【化24】R13OCOOR14 (9) 前記式中、R13及びR14は低級アルキル基又はアリール
基を示すが、R13及びR14がいずれも低級アルキル基の
場合、相互に連結して環を形成していてもよい。低級ア
ルキル基としては、炭素数1〜6、好ましくは1〜4の
アルキル基が挙げられる。アリール基としては、フェニ
ル基等が挙げられる。
【0016】前記ポリグリセリン系化合物は、下記一般
式(10)で表される。
【化25】 HO−[C35(OR4)O]n−H (10) 前記式中、R4は水素又はアシル基を示し、nはグリセ
リンの平均重合度を示す。アシル基としては、下記一般
式(11)で表される脂肪族アシル基が包含される。
【化26】 R15CO− (11) 前記式中、R15は脂肪族基であり、その炭素数は1〜2
0、好ましくは1〜6である。その具体例としては、メ
チル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ドデシ
ル、オクタデシル等が挙げられる。グリセリンの平均重
合度nは1より多い数で、その上限値は30程度であ
る。一般的には、nは1.5以上で、好ましくは2〜1
0である。
【0017】本発明においては、反応原料に対し、さら
に、生成する重合体の生分解性や物性の制御を目的とし
て、グリセリンやペンタエリスルトール等の3価〜6価
のアルコールや、リンゴ酸、クエン酸等のオキシ多価カ
ルボン酸、ジイソシアネート、オルトギ酸エステル等の
補助成分を添加することができる。
【0018】本発明で用いる前記脂肪族ジカルボン酸又
はそのエステルと脂肪族ジオールからなる反応原料にお
いて、その脂肪族ジオールの使用割合は、反応原料中に
含まれる全カルボン酸又はそのエステル1モル当り、2
〜1モル、好ましくは1.6〜1.05モルの割合であ
る。
【0019】本発明で用いる前記オキシカルボン酸系化
合物の使用割合は、生成する重合体中に含まれる全エス
テル部に対するそのオキシカルボン酸系化合物に由来す
るエステル部(オキシカルボン酸エステル部)のモル分
率が0.02〜0.3、好ましくは0.05〜0.2の
範囲になるような割合である。
【0020】本発明で用いる前記炭酸エステルの使用割
合は、生成する重合体中に含まれる全エステル部に対す
るその炭酸エステルに由来するエステル部(炭酸エステ
ル部)のモル分率が0.02〜0.3、好ましくは0.
05〜0.2の範囲になるような割合である。
【0021】本発明で用いる前記ポリグリセリン系化合
物の使用割合は、生成する重合体中に含まれる全エステ
ル部に対するそのポリグリセリン系化合物に由来するエ
ステル部(エーテル含有エステル部)のモル分率が0.
0005〜0.005、好ましくは0.001〜0.0
04の範囲になるような割合である。
【0022】本発明で用いられる前記グリコール酸、ジ
グリコール酸又はそのジエステルの使用割合は、生成す
る重合体中に含まれる全エステル部に対するそのグリコ
ール酸又はそのジエステルに由来するエステル部(グリ
コール酸エステル部)のモル分率が0.02〜0.3、
好ましくは0.05〜0.2の範囲になるような割合で
ある。
【0023】本発明で必要に応じて重合体の生分解性や
物性の制御するために用いる補助成分(ペンタエリスル
トール、グリセリン等の3価〜6価のアルコール、リン
ゴ酸、クエン酸等のオキシ基を有する多価カルボン酸、
ジイソシアネート)は、生成する重合体中に含まれる全
エステル部に対するそれら補助成分に由来するエステル
部(補助成分エステル部)のモル分率が0.005〜
0.05、好ましくは0.001〜0.004の範囲に
なるような割合である。
【0024】本発明で用いる脂肪族ジカルボン酸又はそ
のエステル及び脂肪族ジオール以外の添加成分の合計量
は、生成する重合体に含まれる全エステルに対するそれ
らの全添加成分に由来するエステル部(全添加成分エス
テル部)のモル分率が0.3以下、好ましくは0.2以
下となるような割合である。
【0025】本発明で用いる反応原料は、前記一般式
(7)及び(8)で表されるオキシカルボン酸系化合物
の中から選ばれる少なくとも1種からなるものを含むこ
とが好ましい。この反応原料は、必要に応じ、その添加
成分として、前記一般式(9)で表される炭酸エステル
や前記一般式(10)で表されるポリグリセリン系化合
物を含有することができ、さらに、グリコール酸、ジグ
リコール酸又はそのジエステルを含有することができ
る。前記オキシカルボン酸系化合物からなる反応原料の
場合、オキシカルボン酸系化合物以外の添加成分の合計
量は、生成する重合体に含まれる全エステル部に対する
それらの全添加成分に由来するエステル部(全添加成分
エステル部)のモル分率が0.3以下、好ましくは0.
2以下となるような割合である。
【0026】本発明の脂肪族ポリエステル系重合体は、
その重合体製造における反応系に、その反応触媒とし
て、酸性リン化合物を存在させることによって得ること
ができる。
【0027】本発明で用いる酸性リン化合物とはP−H
結合やP−(OH)結合を有するリン化合物及び反応系
内で分解して、それらP−H結合やP−(OH)結合を
有するリン化合物を生成する化合物を意味する。このよ
うな酸性リン化合物には、次亜リン酸、ピロ亜リン酸、
亜リン酸、次リン酸、リン酸、ピロリン酸、三リン酸、
メタリン酸、ペルオクロリン酸及びそれらの塩やエステ
ル等が包含される。本発明では、特にリン酸及びピロリ
ン酸の使用が好ましい。
【0028】本発明で用いる酸性リン化合物は、脂肪族
ポリエステル系重合体製造用触媒としてすぐれた作用を
示し、従来一般的に用いられているチタンテトライソプ
ロキシド等のエステル交換触媒に比べて、色調の良い高
品質の重合体を与える。本発明で触媒として酸性リン化
合物を用いることによる他の大きな利点は、この酸性リ
ン化合物は、ポリエステル鎖に対する連結剤として作用
して、重合体分子に結合導入されることである。このリ
ン化合物を含有する重合体は、そのリン化合物を含まな
い重合体に比べて、色調の点で著しく改善されたもので
ある他、分子中に含有されるリン酸エステル部が、重合
体の加水分解や生分解を促進させることから、重合体を
再生利用するケミカルリサイクル性の点で著しく改善さ
れ、環境調和型高分子として有利に適用される。
【0029】本発明で用いる酸性リン化合物の使用量
は、得られる重合体中に含まれる全エステル部に対する
その酸性リン化合物に由来するエステル部(リン酸エス
テル部)のモル分率が1×10-7〜0.01、好ましく
は0.001〜0.06の範囲になるような割合であ
る。一般的には、反応原料中に含まれる全カルボキシル
基含有化合物1モル当り、0.5×10-7〜0.04モ
ル、好ましくは0.005〜0.03モルの割合であ
る。
【0030】本発明により酸性リン化合物の存在下で反
応原料を重縮合反応させる場合、その反応温度は、その
反応により生成する水や含OH化合物(アルコール等)
等の副生物が反応系において気体として存在する温度で
ある。例えば、反応により生成する副生物がメタノール
の場合、常圧下での反応温度は100〜300℃、好ま
しくは120〜250℃である。その反応圧力は、常
圧、減圧又はやや加圧であるが、好ましくは常圧であ
る。本発明では、この反応で生成する副生物は、これを
反応系から除去する。このためには、その反応を副生物
である水又は含OH化合物が気相に保持される温度及び
圧力の条件下で実施するとともに、その気相状態にある
副生物を、反応系を減圧にしたり、窒素ガスを流通する
等して、反応系から排出させる。また、その反応を、蒸
留塔の結合した反応器(反応蒸留塔)を用いて行い、反
応で生成した副生物をその蒸留塔から連続的に留出させ
る。このような反応において、高分子量の重合体を効率
よく得るには、反応がある程度進行して、数平均分子量
が500〜10000、好ましくは1000〜5000
の末端に脂肪族ジオールの結合した生成物が得られた時
点で、その反応温度を高めたり、圧力を減圧にする等反
応条件を変えて、脂肪族ジオールを脱離させながら重縮
合させるのがよい。この場合の反応条件は、脱離する脂
肪族ジオールが気体として存在する条件であり、温度と
圧力を調節することにより形成することができる。
【0031】本発明により脂肪族ポリエステルを生成す
る場合、その触媒としては、酸性リン化合物とともに、
従来公知の各種のエステル交換反応用触媒を用いること
ができる。このような触媒としては、リチウム、カリウ
ムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バ
リウムなどのアルカリ土類金属、スズ、アンチモン、ゲ
ルマニウム等の典型金属、鉛、亜鉛、カドミウム、マン
ガン、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、チタン、鉄
等の遷移金属、ビスマス、ニオブ、ランタン、サマリウ
ム、ユウロピウム、エルビウム、イッテルビウム等のラ
ンタノイド金属等の各種金属の化合物、アルコラート、
アセチルアセトネートキレート等を挙げることができ
る。また含窒素塩基性化合物や、ホウ酸、ホウ酸エステ
ルなども触媒として用いられる。
【0032】アルカリ金属化合物としては、具体的に
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、
酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウ
ム、ステアリン酸リチウム、水酸化ホウ素ナトリウム、
水酸化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、
安息香酸リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二
水素カリウム、リン酸二水素リチウムなどが挙げられ
る。
【0033】アルカリ土類金属化合物としては、具体的
には、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグ
ネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウ
ム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水
素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭
酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウ
ム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチ
ウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロン
チウムなどが挙げられる。
【0034】典型金属化合物としては、具体的には、ジ
ブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、三酸
化アンチモン、酸化ゲルマニウム、炭酸ビスマスオキシ
ド、酢酸ビスマスオキシドなどが挙げられる。
【0035】遷移金属化合物としては、具体的には、酢
酸鉛、酢酸亜鉛、アセチルアセトネート亜鉛、酢酸カド
ニウム、酢酸マンガン、マンガンアセチルアセトネー
ト、酢酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、酢
酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトネート、酢酸ジル
コニウム、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸チ
タン、テトラプトキシチタネート、テトライソプロポキ
シチタネート、チタニウムオキシアセチルアセトネー
ト、酢酸鉄、アセチルアセトネート鉄、酢酸ニオブなど
が挙げられる。
【0036】希土類化合物としては、酢酸ランタン、酢
酸サマリウム、酢酸ユウロピウム、酢酸エルビウム、酢
酸イッテルビウムなどが挙げられる。
【0037】含窒素塩基性化合物としては、具体的に
は、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、テトラ
エチルアンモニウムヒドロオキシド、テトラブチウアン
モニウムヒドロオキシド、トリメチルフェニルアンモニ
ウムヒドロオキシド、トリメチルベンジルアンモニウム
ヒドロオキシドなどの四置換アンモニウムヒドロオキシ
ド類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチル
ベンジルアミン、トリフェニルアミンなどの三級アミン
類、R2NH(式中、Rはメチル、エチルなどのアルキ
ル、フェニル、トルイルなどのアリール基である)で示
される二級アミン類、RNH2(式中、Rは上記と同じ
である)で示される一級アミン類、あるいはアンモニ
ア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テト
タブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチル
アンモニウムテトラフェニルボレート、テトラメチルア
ンモニウムテトラフェニルボレートなどの塩基性塩など
が挙げられる。これらのうち、テトラアルキルアンモニ
ウムヒドロオキシド類が特に好ましい。
【0038】ホウ酸エステルとしては、具体的には、ホ
ウ酸トリメチル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリヘプ
チル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリトリル、ホウ酸
トリナフチルなどが挙げられる。
【0039】これらの触媒は、単独で用いても、2種以
上組合せて用いてもよい。また、これらの触媒は、反応
原料中に含まれるカルボキシル基含有化合物の合計量1
モルに対して、10-7〜10-3モル、好ましくは10-6
〜5×10-4モルの割合で用いる。この範囲より多くな
ると反応時のポリマーの熱分解、架橋、着色等の原因と
なり、好ましくない。
【0040】本発明の脂肪族ポリエステル系重合体を好
ましく製造する他の方法は、予備重縮合反応工程(第1
工程)と、その予備重縮合物を高分子化させる高分子化
工程(第2工程)からなる方法である。前記予備重縮合
工程においては、前記反応原料を、酸性リン化合物の存
在下で重縮合反応させる。前記リンエステルの存在下で
反応原料を重縮合反応させる場合、その反応温度は、そ
の反応により生成する副生物が反応系において気体とし
て存在する温度である。その反応圧力は、常圧、減圧又
はやや加圧であるが、好ましくは常圧である。この反応
で生成する副生物は、これを反応系から除去する。この
ためには、その反応を副生物が気相に保持される温度及
び圧力の条件下で実施するとともに、その気相状態にあ
る副生物を、反応系を減圧にしたり、窒素ガスを流通す
る等して、反応系から排出させる。また、その反応を、
蒸留塔の結合した反応器(反応蒸留塔)を用いて行い、
反応で生成した副生物をその蒸留塔から連続的に留出さ
せる。前記重縮合反応では、反応原料成分の重縮合反応
とともに、反応系に存在する酸性リン化合物がポリエス
エル鎖と反応する。酸性リン化合物がポリエステル鎖と
反応し、酸性リン化合物が反応系に存在しなくなるかそ
の量が微量になるか又は反応速度が非常に遅くなると、
その酸性リン化合物による触媒効果が得られなくなり、
反応は実質上停止した状態になる。このことは、副生物
の生成が停止することによって確認することができる。
このようにして得られるポリエステルの分子量は、その
リン酸エステルの使用量等により変化するが、一般的に
は、数平均分子量で20000〜100000、好まし
くは40000〜80000である。また、この反応生
成物中の副生物(水又はアルコール)の濃度は、3重量
%以下、好ましくは1.5重量%以下である。この場合
の予備重縮合工程での反応速度は非常に速く、その反応
時間は20時間〜4日である。
【0041】次に、前記のようにして選られる予備重縮
合反応生成物の高分子量化反応を行うために、その反応
生成物に慣用のエステル交換反応用触媒を加え、さらに
反応を継続する。この高分子量化工程においては、低分
子量の縮合物の末端に結合する脂肪族グリコールを脱離
させながら縮合させて高分子量の縮合物を生成させる工
程であり、この工程により、数平均分子量が2万以上の
縮合物を生成させることができる。この場合の反応条件
は、副生する脂肪族グリコールが気体として存在し得る
条件であればよい。この高分子量化工程は、前記予備縮
合工程を実施する反応装置と同じ装置または攪拌効率の
良い本重合装置で実施することができる。同じ装置を用
いる場合は、予備縮合反応の終了後に、反応条件を変え
て、例えば、反応温度を高くしかつ反応圧力を低くし
て、予備縮合体の縮合反応を行えばよい。その反応圧力
は常圧ないし減圧であるが、常圧の使用が好ましい。減
圧を採用する場合、その圧力は、通常、0.5〜3トー
ル、好ましくは1トール以下である。その圧力の下限値
は、特に制約されないが、通常、0.5〜1トール程度
である。反応時間は、90〜600分程度である。
【0042】本発明の脂肪族ポリエステル系重合体を製
造するための他の方法は、酸性リン化合物の存在下で、
従来公知の脂肪族ポリエステル系重合体に、前記オキシ
カルボン酸系化合物、炭酸エステル系化合物及びポリグ
リセリン系化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化
合物を反応させる方法である。この場合、必要に応じ、
その反応原料として、多価脂肪族アルコールやポリエス
テルオリゴマー等を用いることができる。この反応は、
減圧、常圧又はやや加圧下で行われる。反応温度は反応
原料として用いるポリエステル系重合体、例えば脂肪族
ポリエステルカーボネートが溶融し、反応圧力下におい
てポリエステル系重合体由来のジオールが気体として存
在し得る温度である。この反応で副生するジオールは、
反応系内に不活性ガスを流通させたり、反応装置として
反応蒸留塔を用いること等により、反応系外へ迅速に排
出させる。反応原料として用いる脂肪族ポリエステルの
数平均分子量は、通常、115〜10000、好ましく
は200〜10000である。このものは、従来公知の
方法に従って製造することができる。例えば、脂肪族ジ
カルボン酸ジエステルと脂肪族グリコールとオキシ酸エ
ステルを縮合させることにより得ることができる。この
反応を行う場合、脂肪族ポリエステルの製造とこのポリ
エステルと前記オキシカルボン酸系化合物との反応を同
じ反応装置で実施することもでき、この場合は脂肪族ポ
リエステルの製造後オキシカルボン酸系化合物等を添加
し、反応条件を変えて、例えば、反応温度を高くしかつ
反応圧力を低くして、さらに重縮合を行えばよい。
【0043】本発明における反応原料中の脂肪族ジカル
ボン酸成分及び脂肪族ジオール成分等の反応原料成分の
使用モル比を示すと次の通りである。 1.0≦(B)/(A)≦1.6 0.02≦(C+D)/(A+C)≦0.30 0.02≦(A+D)/(A+C)≦0.20 前記式中、(A)は脂肪族ジカルボン酸又はそのエステ
ルの使用モル数、(B)は脂肪族ジオールの使用モル
数、Cはオキシカルボン酸系化合物の使用モル数、Dは
その他のカルボキシル基含有化合物及び炭酸エステル系
化合物の使用モル数を示す。
【0044】本発明の重合体の1つの態様は、下記一般
式(1) (−CO−(R1)t−CO−O−R2−O−) (1) で表されるエーテル基含有エステル部を含有するととも
に、下記一般式(2) (−CO−R3−O−) (2) (式中、R3は炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
す)で表されるオキシカルボン酸エステル部をモル分率
0.01〜0.3、好ましくは0.05〜0.2の割合
で含むか及び/又は下記一般式(3) (−OCOO−) (3) で表される炭酸エステル部をモル分率0.01〜0.
3、好ましくは0.05〜0.2の割合で含むか及び/
又は下記一般式(4) (−CO−(R1)t−CO−O−[C35(OR4)O]n−) (4) (式中、R1及びtは前記と同じ意味を有しR4は水素又
はアシル基を示し、nは平均重合度で1より大きな数を
示す)で表されるエーテル基含有エステル部をモル分率
0.0001〜0.005、好ましくは0.001〜
0.004の割合で含む脂肪族ポリエステル系重合体で
ある。
【0045】本発明の重合体の他の態様は、下記一般式
(2) (−CO−R3−O−) (2) (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基を示す)
で表されるオキシカルボン酸エステル部を含むととも
に、下記一般式(3) (−OCOO−) (3) で表される炭酸エステル部をモル分率で0.01〜0.
3、好ましくは0.05〜0.2の割合で含むか及び/
又は下記一般式(4) (−CO−(R1)t−CO−O−[C35(OR4)O]n−) (4) (式中、Rは炭素数1〜12の脂肪族基を示し、R
は水素又はアシル基を示し、nは平均重合度で1より大
きな酸を示し、tは0又は1の数を示す)で表されるエ
ーテル基含有エステル部をモル分率で0.0001〜
0.005、好ましくは0.001〜0.004の割合
で含有する脂肪族ポリエステル系重合体である。
【0046】本発明の重合体は、その分子中に酸性リン
化合物由来の含リンエステル部を含有するが、この含リ
ンエステル部は、2〜3個のポリエステル鎖と結合して
おり、その分子中含有量は、分子中に含まれる全エステ
ル部に対するモル分率で、1×10-7〜0.01、好ま
しくは0.001〜0.06である。また、リン原子換
算量では、重合体中、通常、1×10-5〜10重量%、
好ましくは1×10-4〜3重量%である。
【0047】本発明の重合体は、実質的に線状構造を有
し、ゲル構造を有しないもので、2万以上、好ましくは
3万以上の数平均分子量を有するものである。本発明の
重合体は、その分子中に、酸性リン化合物由来の含リン
連結構造を有することから、高められた融解温度を有す
るとともに、機械的強度及び加工性にすぐれたものであ
る。さらに、生分解性を有し、またアルコール分解や、
加水分解により原料回収が可能であることから、良好な
ケミカルリサイクル性有する高分子でもある。
【0048】
【実施例】次に本発明を実施例によって具体的に説明す
る。脂肪族ポリエステルの種々の物性値は下記の方法に
よって測定した。 (分子量及び分子量分布)ゲルパーミエーションクロマ
トグラフ(GPC)法を用いて標準ポリスチレンから校
正曲線を作成し、数平均分子量(Mn)、重量平均分子
量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。溶
離液はクロロホルムを用いた。 (熱的性質)示差走査熱量分析装置(DSC)により融
解温度及びガラス転移点を求めた。また熱重量分析装置
(TG)により熱分解温度を求めた。
【0049】実施例1 撹拌羽つき内容量100mlの四つ口フラスコにコハク
酸180ミリモル、1,4−ブタンジオール252ミリ
モル、グリコール酸18ミリモル及びリン酸(OP(O
H)3)0.04ミリモルを仕込み、窒素雰囲気下、1
40℃で反応を開始し、水の流出を行った。次いで、2
30℃に昇温し、徐々に減圧し、0.5Torrに到達
させた。その後、常圧にもどし、チタンテトライソプロ
ポキシド0.12ミリモルとリン酸(OP(OH)3)
0.04ミリモルを仕込み、かき混ぜながら徐々に減圧
にし、0.5Torrでさらに9時間反応を続けた。得
られたポリマーは白色で、Mn6.1万で、Mw/Mn
は1.50であった。またその融解温度は112℃であ
り、その熱分解温度は336℃であった。
【0050】実施例2 攪拌羽つき内容量120リットルのステンレス製反応器
にコハク酸43.18kg、ブタンジオール34.27
kg、ε−カプロラクトン2.09kg、ジグリセリン
0.006kg、チタンテトライソプロポキシド0.0
7kg、リン酸0.008kgを仕込み、窒素雰囲気
下、140℃で反応を開始し、水の流出を行った。次い
で反応内容物を内容量100リットルのステンレス製横
型反応器に移し、0.59Torrで4時間10分反応
を行った。得られたポリマーは白色で、Mn4.9万で
あった。脱水時にリン化合物を共存させることにより、
スケール拡大の重合でも反応時間が短縮できることがわ
かった。
【0051】
【発明の効果】本発明の脂肪族ポリエステル系重合体は
全体として線状構造を有し、高められた耐熱性(融解温
度)を有するとともに、良好な機械的強度及び加工性を
有し、熱成形材料として有利に使用することができる。
しかも、この高分子量脂肪族ポリエステル系高分子は、
その脂肪族エステル結合に基づく生分解性とケミカルリ
サイクル性を有する。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年4月10日(2000.4.1
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 白色高分子量脂肪族ポリエステル系重
合体
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【化1】 (−CO−(R)t−CO−O−R−O−) (1) (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基、R
炭素数2〜12の二価脂肪族基、tは0又は1の数を示
す)で表されるジカルボン酸エステル部を含有し、さら
に、(i)下記一般式(2)
【化2】(−CO−R−O−) (2) (式中、Rは炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
す)で表されるオキシカルボン酸エステル部、(ii)下
記一般式(3)
【化3】(−OCOO−) (3) で表される炭酸エステル部及び(iii)下記一般式(4)
【化4】 (−CO−(R)t−CO−O−[C(OR)O]n−) (4 ) (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基を示し、
は水素又はアシル基を示し、nは平均重合度で1よ
り大きな数を示し、tは0又は1の数を示す)で表され
るエーテル基含有エステル部の中から選ばれる少なくと
も1種のエステル部を含有する脂肪族ポリエステル系重
合体であって、該重合体中に酸性リン化合物由来の含リ
ン連結基を分子中に含まれる全エステル部に対するモル
分率で1×10−7〜0.1の割合で含有することを特
徴とする数平均分子量が3万以上の白色高分子量脂肪族
ポリエステル系重合体。
【化5】 (−CO−(R)t−CO−O−R−O−) (1) で表されるエーテル基含有エステル部と、下記一般式
(2)
【化6】(−CO−R−O−) (2) (式中、Rは炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
す)で表されるオキシカルボン酸エステル部と、下記一
般式(3)
【化7】(−OCOO−) (3) で表される炭酸エステル部と、下記一般式(4)
【化8】 (−CO−(R)t−CO−O−[C(OR)O]n−) (4 ) (式中、R及びtは前記と同じ意味を有しRは水素
又はアシル基を示し、nは平均重合度で1より大きな数
を示す)で表されるエーテル基含有エステル部からなる
脂肪族ポリエステル系重合体であって、該重合体中に酸
性リン化合物由来の含リン連結基を分子中に含まれる全
エステル部に対するモル分率で1×10−7〜0.1の
割合で含有することを特徴とする数平均分子量が3万以
上の白色高分子量脂肪族ポリエステル系重合体。
【化9】(−CO−R−O−) (2) (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基を示す)
で表されるオキシカルボン酸エステル部を含有する脂肪
族ポリエステル系重合体であって、該重合体中に酸性リ
ン化合物由来の含リン連結基を分子中に含まれる全エス
テル部に対するモル分率で1×10−7〜0.1の割合
で含有することを特徴とする数平均分子量が3万以上の
白色高分子量脂肪族ポリエステル系重合体。
【化10】(−OCOO−) (3) で表される炭酸エステル部を含有する請求項3の白色高
分子量脂肪族ポリエステル系重合体。
【化11】 (−CO−(R)t−CO−O−[C(OR)O]n−) (4 ) (式中、Rは炭素数1〜12の脂肪族基を示し、R
は水素又はアシル基を示し、nは平均重合度で1より大
きな酸を示し、tは0又は1の数を示す)で表されるエ
ーテル基含有エステル部を含有する請求項3又は4の
色高分子量脂肪族ポリエステル系重合体。
【化12】(−CO−R−O−) (2) (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基を示す)
で表されるオキシカルボン酸エステル部と、下記一般式
(3)
【化13】(−OCOO−) (3) で表される炭酸エステル部と、下記一般式(4)
【化14】 (−CO−(R)t−CO−O−[C(OR)O]n−) (4 ) (式中、Rは炭素数1〜12の脂肪族基を示し、R
は水素又はアシル基を示し、nは平均重合度で1より大
きな酸を示し、tは0又は1の数を示す)で表されるエ
ーテル基含有エステル部を含有する請求項3の白色高分
子量脂肪族ポリエステル系重合体。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な線状構造を
有する白色高分子量脂肪族ポリエステル系重合体に関す
るものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】また、特平8−143656号公報によ
れば、脂肪族ジカルボン酸ジエステルと脂肪族グリコー
ルにさらにカーボネート化合物を共重合させ、脂肪族ポ
リエステルカーボネートにすることにより、生分解性を
向上させることができ、さらにその共重合比を変化させ
ることにより生分解性を制御できることが提案されてい
る。しかしながら、このポリエステルカーボネートの場
合、カーボネート化合物を共重合することにより機械的
強度の低下が見られる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】一方、脂肪族ポリエステル系重合体の製造
方法においては、その反応触媒としては、チタンテトラ
イソプロポキシド等の一般的なエステル交換反応用触媒
用いられている。しかしながら、この触媒の場合、そ
のポリエステル化反応速度が未だ不十分である上、得ら
れる重合体の色調が悪いという問題を含む。
フロントページの続き (72)発明者 坂口 豁 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 中山 和郎 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子鎖中に下記一般式(1) 【化1】 (−CO−(R1)t−CO−O−R2−O−) (1) (式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基、R2は炭
    素数2〜12の二価脂肪族基、tは0又は1の数を示
    す)で表されるジカルボン酸エステル部を含有し、さら
    に、(i)下記一般式(2) 【化2】(−CO−R3−O−) (2) (式中、R3は炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
    す)で表されるオキシカルボン酸エステル部、(ii)下
    記一般式(3) 【化3】(−OCOO−) (3) で表される炭酸エステル部及び(iii)下記一般式(4) 【化4】 (−CO−(R1)t−CO−O−[C35(OR4)O]n−) (4) (式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基を示し、
    4は水素又はアシル基を示し、nは平均重合度で1よ
    り大きな数を示し、tは0又は1の数を示す)で表され
    るエーテル基含有エステル部の中から選ばれる少なくと
    も1種のエステル部を含有する脂肪族ポリエステル系重
    合体であって、該重合体中に酸性リン化合物由来の含リ
    ン連結基を分子中に含まれる全エステル部に対するモル
    分率で1×10-7〜0.1の割合で含有することを特徴
    とする脂肪族ポリエステル系重合体。
  2. 【請求項2】 分子鎖中に下記一般式(1) 【化5】 (−CO−(R1)t−CO−O−R2−O−) (1) で表されるエーテル基含有エステル部と、下記一般式
    (2) 【化6】(−CO−R3−O−) (2) (式中、R3は炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
    す)で表されるオキシカルボン酸エステル部と、下記一
    般式(3) 【化7】(−OCOO−) (3) で表される炭酸エステル部と、下記一般式(4) 【化8】 (−CO−(R1)t−CO−O−[C35(OR4)O]n−) (4) (式中、R1及びtは前記と同じ意味を有しR4は水素又
    はアシル基を示し、nは平均重合度で1より大きな数を
    示す)で表されるエーテル基含有エステル部からなる脂
    肪族ポリエステル系重合体であって、該重合体中に酸性
    リン化合物由来の含リン連結基を分子中に含まれる全エ
    ステル部に対するモル分率で1×10-7〜0.1の割合
    で含有することを特徴とする脂肪族ポリエステル系重合
    体。
  3. 【請求項3】 下記一般式(2) 【化9】(−CO−R3−O−) (2) (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基を示す)
    で表されるオキシカルボン酸エステル部を含有する脂肪
    族ポリエステル系重合体であって、該重合体中に酸性リ
    ン化合物由来の含リン連結基を分子中に含まれる全エス
    テル部に対するモル分率で1×10-7〜0.1の割合で
    含有することを特徴とする脂肪族ポリエステル系重合
    体。
  4. 【請求項4】 下記一般式(3) 【化10】(−OCOO−) (3) で表される炭酸エステル部を含有する請求項3の脂肪族
    ポリエステル系重合体。
  5. 【請求項5】 下記一般式(4) 【化11】 (−CO−(R1)t−CO−O−[C35(OR4)O]n−) (4) (式中、Rは炭素数1〜12の脂肪族基を示し、R
    は水素又はアシル基を示し、nは平均重合度で1より大
    きな酸を示し、tは0又は1の数を示す)で表されるエ
    ーテル基含有エステル部を含有する請求項3又は4の脂
    肪族ポリエステル系重合体。
  6. 【請求項6】 下記一般式(2) 【化12】(−CO−R3−O−) (2) (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基を示す)
    で表されるオキシカルボン酸エステル部と、下記一般式
    (3) 【化13】(−OCOO−) (3) で表される炭酸エステル部と、下記一般式(4) 【化14】 (−CO−(R1)t−CO−O−[C35(OR4)O]n−) (4) (式中、Rは炭素数1〜12の脂肪族基を示し、R
    は水素又はアシル基を示し、nは平均重合度で1より大
    きな酸を示し、tは0又は1の数を示す)で表されるエ
    ーテル基含有エステル部を含有する請求項3の脂肪族ポ
    リエステル系重合体。
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