JP2700628B2 - 高分子量脂肪族ポリエステル及びその製造方法 - Google Patents
高分子量脂肪族ポリエステル及びその製造方法Info
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Description
肪族ポリエステル及びその製造方法に関するものであ
る。
の合成高分子は、日常生活に欠かせない原材料として大
量に使われているが、自然環境で分解されないことから
消費量の増加に伴って環境保全面で問題となっている。
そこで、生分解性の脂肪族ポリエステルが注目されてい
るが、従来の脂肪族ポリエステルはコスト面や強度面等
で解決すべき問題が多い。例えば、ポリヒドロキシブチ
レートは融解温度が高く性能の良いポリエステルである
が、融解温度と分解温度の差が少ないことから成形時に
熱分解して性能低下や臭気発生等の問題を起し易い上
に、微生物を用いて生産される高分子なので生産性が低
く、コスト高である。また、ポリカプロラクトンは現在
工業生産されている数少ない脂肪族ポリエステルである
が、融解温度が約60℃にすぎないから用途が制限され
る。さらに、ヒドロキシカルボン酸の重合体は生分解性
の良い重合体として注目されており、特に乳酸の重合体
は生体吸収材料に使われるほど生体親和性の重合体であ
るが、これらは製造工程が複雑で高価である。
に関する諸問題を解決するため、脂肪族ジカルボン酸又
はその無水物とグリコールとの重縮合で得られるポリエ
ステルが注目されている。このポリエステルの製造法は
古くから知られており、酸としてはコハク酸、アジピン
酸、スべリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等
を使い、グリコールにはエチレングリコール、1,4−
ブタンジオール、1,6−シクロヘキサンジオール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール等を使う方法が報
告されている。そして、コハク酸を原料とする重合体
は、融解温度が70℃以上と報告されている。しかし、
このような重合体はいずれも数平均分子量が数千程度な
ので、フィルムや繊維にできる程度の機械的強度がな
い。最近、脂肪族ポリエステルが生分解性プラスチック
として脚光を浴びており、そのため下記のように数平均
分子量が大きく機械的強度の高いポリエステル製造法が
多数提案されている。しかし、これらの提案ではいずれ
も製造工程が増える上に重合体性能が下がる場合もあ
り、充分満足できる方法は見当らない。
3号公報によれば、脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体
とグリコールから数平均分子量1.5万程度の脂肪族ポ
リエステルを製造し、これをジイソシアネートで架橋し
て分子量を増やしている。しかし、この方法ではミクロ
ゲルが生成して重合体品質を低下させる等の問題があ
る。また、特開平5−287041号及び287042
号公報によれば、脂肪族ジカルボン酸とグリコールと多
価イソシアネートの3者を共重合し、これによって数平
均分子量が高く、分子量分布の広い高分子を得ている。
この高分子は、分子量が高く、機械的強度が大きい上
に、分子量分布範囲が広いことから溶融粘度が高く、フ
ィルム等の成形品を製造するのに好適である。同様な目
的で、特開平5−287068号公報には前記3成分の
他に3,3′−4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸無水物を加えた4成分共重合体が、特開平5−29
5071号公報には前記3者の他にペンタエリスリット
等の多価アルコールを加えた4成分共重合体が提案され
ている。しかし、これらの共重合体にはゲルが生成する
等の問題がある。このほか、特開平6−192374号
公報には、脂肪族ジカルボン酸とグリコールと多価アル
コール又は多価カルボン酸から低分子量脂肪族ポリエス
テルを合成し、これに末端がイソシアネート基となって
いる脂肪族ポリエステルを反応させ、ミクロゲル不含の
高分子量重合体を得る方法が提案されている。しかし、
この方法では更に製造工程が増加する。
な程度の融解温度を持ち、熱安定性、機械的強度及び加
工性に優れている新規な高分子量脂肪族ポリエステルを
提供するとともに、該脂肪族ポリエステルを工業的に有
利に製造する方法を提供することをその課題とする。
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、脂肪族ポリエステル
の分子中に、下記一般式(1)で表わされる連結構造を
含有することを特徴とする数平均分子量が2万以上の高
分子量脂肪族ポリエステルが提供される。
水素又は脂肪族基を示し、Y1は−〔OR2OCOR1C
O〕m−(式中、R1及びR2は前記と同じ意味を有し、
mは1以上の数を示す)又は−OR5(式中、R5は脂肪
族基又は芳香族基を示す)を示し、k及びpは1以上の
数を示し、k+p又はk+p+mは10以上の数を示
す〕 また、本発明によれば、前記高分子量脂肪族ポリエステ
ルの製造方法において、下記一般式(2)
を有する)で表わされる脂肪族ジカルボン酸ジエステル
と、下記一般式(3)
脂肪族ジオールと、下記一般式(4)
されるオルトカルボン酸エステルとの混合物を反応させ
ることからなり、該オルトカルボン酸エステルの反応割
合が脂肪族カルボン酸ジエステル100モル当り0.0
5〜10モルの割合であることを特徴とする前記の方法
が提供される。さらにまた、本発明によれば、前記高分
子量脂肪族ポリエステルの製造方法において、下記一般
式(5)
される繰返し構造単位を有する脂肪族ポリエステルに、
下記一般式(4)
されるオルトカルボン酸エステルを反応させることから
なり、該オルトカルボン酸エステルの反応割合が、原料
脂肪族ポリエステル中に含まれている脂肪族ジカルボン
100モル当り0.05〜10モルの割合であることを
特徴とする前記の方法が提供される。
及びR2は二価脂肪族基を示すが、この二価脂肪族基
は、鎖状又は環状のものであることができ、このような
ものには、アルキレン基や、シクロアルキレン基、シク
ロアルキレンジアルキレン基が包含される。アルキレン
基としては、炭素数1〜12、好ましくは2〜8のアル
キレン基、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、
ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン等が
挙げられる。シクロアルキレン基としては、シクロブチ
レン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、メチルシ
クロヘキシレン、シクロオクチレン等の3〜10、好ま
しくは5〜7個の環構成炭素を有するものが挙げられ
る。シクロアルキレンジアルキレン基としては、シクロ
ヘキシレンジメチレン、シクロヘキシレンジエチレン、
シクロヘキシレンジプロピレン等が挙げられる。前記一
般式(1)におけるR3は水素又は脂肪族基を示すが、
脂肪族基としては、炭素数1〜10、好ましくは1〜8
のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブ
チル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等が挙
げられる。前記一般式(1)において、k及びpは1以
上の数である。また、Y1が式 である。さらに、k+p又はk+p+mは10以上、好
ましくは100以上の数であり、その上限は、通常10
000であるが、好ましくは2000である。
種の方法で製造することができるが、その好ましい方法
の1つは、下記一般式(2)で表わされる2価脂肪族ジ
カルボン酸ジエステルと、下記一般式(3)で表わされ
る脂肪族ジオールと、下記一般式(4)で表わされるオ
ルトカルボン酸エステルを反応させる方法である。
前記と同じ意味を有する。アルキル基としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4
の低級アルキル基が好ましい。R5は脂肪族基又は芳香
族基を示す。この場合の脂肪族基には鎖状又は環状のア
ルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等の炭素
数1〜8、好ましくは1〜5の鎖状アルキル基や、シク
ロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシ
クロヘキシル、シクロオクチル等の3〜10、好ましく
は5〜7個の環構成炭素を有する、シクロアルキル、シ
クロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘ
キシルプロピル、シクロヘキシルブチル、シクロペンチ
ル、シクロヘプチル等の脂肪族環を有するアルキルが挙
げられる。また、R5は芳香族基であることができ、こ
の場合の芳香族基としては、フェニル、トリル、キシリ
ル、ナフチル、ベンジル、フェネチル等が挙げられる。
は、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、
ドデカン酸等の炭素数2〜10、好ましくは2〜7の脂
肪族ジカルボン酸ジエステルが挙げられる。前記脂肪族
ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレング
リコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリ
エチレングリコール、ポリブロピレングリコール等が挙
げられる。
公知の各種のもの、例えば、オルトギ酸トリエステル、
オルト酢酸トリエステル、オルト吉草酸エステル、オル
トプロピオン酸エステル、オルト酪酸トリエステル等が
挙げられる。また、エステルとしては、フェニルエステ
ル、ベンジルエステル、シクロヘキシルエステル、メチ
ルエステル、エチルエステル、ブチルエステル等が挙げ
られるが、低級アルキルエステルが好ましい。前記の反
応を行う場合、未反応のオルトカルボン酸エステルが存
在する反応初期においては、このオルトカルボン酸エス
テルの反応系からの逃散を防止するために、気体状のオ
ルトカルボン酸エステルは、これを冷却凝縮し、反応系
に還流するのが好ましい。
下で好ましく行われる。このような触媒としては、リチ
ウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カ
ルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、スズ、ア
ンチモン、ゲルマニウム等の典型金属、鉛、亜鉛、カド
ニウム、マンガン、コバルト、ニッケル、ジルコニウ
ム、チタン、鉄等の遷移金属、ビスマス、ニオブ、ラン
タン、サマリウム、ユウロピウム、エルビウム、イッテ
ルビウム等のランタノイド金属等の各種金属の化合物、
例えば、酢酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、酸化物、水酸化
物、水素化合物、アルコラート、アセチルアセトネート
キレート等を挙げることができる。また含窒素塩基性化
合物や、ホウ酸、またはホウ酸エステルなども触媒とし
て用いられる。
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、
酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウ
ム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、
水素化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、
安息香酸リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二
水素カリウム、リン酸二水素リチウムなどが用いられ
る。
には、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグ
ネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウ
ム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水
素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭
酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウ
ム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチ
ウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロン
チウムなどが用いられる。
ブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、三酸
化アンチモン、酸化ゲルマニウム、炭酸ビスマスオキシ
ド、酢酸ビスマスオキシドなどが用いられる。
酸鉛、酢酸亜鉛、アセチルアセトネート亜鉛、酢酸カド
ニウム、酢酸マンガン、マンガンアセチルアセトネー
ト、酢酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、酢
酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトネート、酢酸ジル
コニウム、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸チ
タン、テトラブトキシチタネート、テトライソプロポキ
シチタネート、チタニウムオキシアセチルアセトネー
ト、酢酸鉄、アセチルアセトネート鉄、酢酸ニオブなど
が用いられる。
酸サマリウム、酢酸ユウロピウム、酢酸エルビウム、酢
酸イッテルビウムなどが用いられる。
は、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、テトラ
エチルアンモニウムヒドロオキシド、テトラブチルアン
モニウムヒドロオキシド、トリメチルベンジルアンモニ
ウムヒドロオキシドなどのテトラアルキルまたはアリー
ル、アルアリールアンモニウムヒドロオキシド類、トリ
メチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルア
ミン、トリフェニルアミンなどの三級アミン類、R2N
H(式中、Rはメチル、エチルなどのアルキル、フェニ
ル、トルイルなどのアリール基などである)で示される
二級アミン類、RNH2(式中、Rは上記と同じであ
る)で示される一級アミン類、あるいはアンモニア、テ
トラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチ
ルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモ
ニウムテトラフェニルボレート、テトラメチルアンモニ
ウムテトラフェニルボレートなどの塩基性塩などが用い
られる。これらのうち、テトラアルキルアンモニウムヒ
ドロキシド類が特に好ましい。
ウ酸トリメチル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリヘプ
チル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリトリル、ホウ酸
トリナフチルなどが用いられる。
組合せて用いてもよい。また、触媒は、原料として用い
られる脂肪族ジカルボン酸ジエステル1モルに対して、
10~7〜10~3モル、好ましくは10~6〜5×10~4モ
ルの割合で用いることが好ましい。この範囲より触媒量
が少なくなると反応がうまく進行せず反応に長時間を要
する。この範囲より多くなると重合時のポリマーの熱分
解、架橋、着色等の原因となる。また、ポリマーの成形
加工において熱分解等の原因となり好ましくない。
カルボン酸ジエステル1モル当り、1〜1.5モル、好
ましくは1〜1.1モルの割合である。
ルの反応割合は、脂肪族ジカルボン酸ジエステル100
モル当り、0.05〜10モル、好ましくは0.1〜4
モルの割合である。換言すれば、オルトカルボン酸エス
テル1モル当りの脂肪族ジカルボン酸ジエステルの割
合、即ち、前記一般式(1)におけるk+p、又はk+
p+mは、10〜2000モル、好ましくは25〜10
00モルである。オルトカルボン酸エステルの反応割合
が前記範囲より多くなると、得られるポリマー(重縮合
体)がゲル状を示すようになるので好ましくなく、一
方、前記範囲より少なくなると、得られるポリマーの分
子量が低くなるので好ましくない。
反応により副生するヒドロキシル化合物(R4OH及び
R5OH)が反応系において気体として存在する温度で
ある。例えば、前記R4OH及びR5OHがいずれもメタ
ノールである場合には、100〜300℃、好ましくは
120〜250℃である。反応圧力は、減圧、常圧又は
やや加圧(0.5kg/cm2G以下)であることがで
きるが、好ましくは常圧ないし減圧である。また、反応
は、副生するヒドロキシ化合物を反応系外へ迅速に留出
させるために、窒素ガス等の不活性ガスの流通下に行う
か又は反応装置として蒸留塔を結合した反応装置(反応
蒸留塔)を用いて副生するヒドロキシ化合物を留出させ
ながら行うのが好ましい。
程(第1工程)と、高分子量化工程(第2工程)との2
つの工程で行うのが好ましい。前記予備重縮合工程にお
いては、末端に脂肪族ジオールの結合した低分子量の重
縮合体を生成させる。この重縮合体の数平均分子量は、
500〜10000、好ましくは1000〜5000程
度にするのがよく、その分子量は反応条件及び反応時間
により適当に調節することができる。また、この場合の
反応条件は、副生するヒドロキシ化合物が反応条件下で
気体として存在し得る条件であればよい。前記高分子量
化工程においては、低分子量の重縮合体の末端に結合す
る脂肪族グリコールを脱離させながら重縮合させて高分
子量の重縮合体を生成させる工程であり、この工程によ
り、数平均分子量が20,000以上の重縮合体を生成
させることができる。この場合の反応条件は、副生する
脂肪族グリコールが気体として存在し得る条件であれば
よい。この高分子量化工程は、前記予備重縮合工程を実
施する反応装置と同じ装置で実施することができ、この
場合には、予備重縮合反応の終了後に、反応条件を変え
て、例えば、反応温度を高くしかつ反応圧力を低くし
て、予備重縮合体の重縮合反応を行えばよい。
造するための他の方法は、従来公知の脂肪族ポリエステ
ルとオルトカルボン酸エステルを反応させる方法であ
る。この方法における反応は次の式で示される。
下において、減圧、常圧又はやや加圧下で行われる。反
応温度は反応原料として用いる脂肪族ポリエステルが溶
融し、反応圧力下においてR5OHが気体として存在し
得る温度である。この反応で副生するR5OHは、反応
系内に不活性ガスを流通させたり、反応装置として反応
蒸留塔を用いること等により、反応系外へ迅速に排出さ
せる。反応原料として用いる脂肪族ポリエステルの数平
均分子量は、通常、500〜100000、好ましくは
5000〜50000である。このものは、従来公知の
方法に従って製造することができる。例えば、脂肪族ジ
カルボン酸ジエステルと脂肪族グリコールを重縮合させ
ることにより得ることができる。前記反応を行う場合、
反応は第1工程と第2工程との2つの工程で行うのが好
ましい。第1工程では末端に脂肪族グリコールの結合し
た脂肪族ポリエステルとオルトカルボン酸エステルとを
エステル交換反応によりR5OHを副生させながら縮合
させ、第2工程では、この反応生成物を、HO−R2−
OHを副生させながらさらに縮合させる。前記第1工程
の反応は次式で示される。
造するためのさらに他の方法は、脂肪族グリコールとオ
ルトカルボン酸エステルとの混合物を反応させる第1工
程と、この第1工程で得られる反応生成物に脂肪族ジカ
ルボン酸ジエステルと脂肪族ジオールを加えて反応させ
る第2工程からなる方法である。この方法における反応
は次式で示される。 (第1工程)
る。 (第2工程)
用触媒の存在下において、減圧、常圧又はやや加圧下で
行われる。第1工程の反応温度は、反応圧下においてR
5OHが気体として存在し得る温度である。第2工程の
反応温度は、反応圧力下においてR4OHが気体として
存在し得る温度である。第1反応工程で副生するR5O
H及び第2反応工程で副生するR4OHは、反応系内に
不活性ガスを流通させたり、反応装置として反応蒸留塔
を用いること等により、反応系外へ迅速に排出させる。
前記第1工程及び第2工程の各反応は、同じ反応装置を
用いて行うことができ、この場合には、第1工程の反応
終了後の反応生成物に、脂肪族ジカルボン酸ジエステル
と脂肪族グリコールを加えて反応を行う。
は、前記一般式(1)で表わされる連結構造を含有し、
その数平均分子量は2万以上、通常、35,000〜1
00,000である。また、その重量平均分子量Mwと
数平均分子量Mnとの比Mw/Mnは2以上、通常、3
〜5である。本発明の高分子量脂肪族ポリエステルにお
いて、その融解温度は、通常、100℃以上と高い上
に、その分解温度は融解温度よりも高く、通常、300
℃以上である。従って本発明のポリエステルは機械的強
度、熱定性及び成形性(加工性)にすぐれたもので、フ
ィルム、容器、繊維等への成形の容易なものである。ま
た、本発明による前記高分子量脂肪族ポリエステルの製
造方法は、その反応操作も容易で、工業的に有利な方法
である。
に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限
定されない。また、以下の実施例及び比較例ではGPC
法(ゲルパーミエーショングロマトグラフィー)によっ
て数平均分子量及び重量平均分子量を求めた。すなわ
ち、これらの分子量は標準ポリスチレンによって求めた
校正曲線から求められ、溶離液にはクロロホルムを使用
した。
化合物流出管及び温度計を備えた内容積100mlの硬
質ガラス製5口フラスコを反応器とし、これにコハク酸
ジメチル25.77g(0.1765モル)、1,4−
ブタンジオール16.49g(0.1832モル)、オ
ルトギ酸トリメチル96.6mg(0.9113ミリモ
ル)及びテトライソプロピルチタネート26mgを仕込
んだ。この反応器に窒素ガスを流通させながら、反応器
内容物の温度を160〜200℃に保持し、副生するメ
タノールを排出させながら反応を進行させた。約2時間
でメタノールの副生が終了したので、次に、反応器内容
物(予備重縮合体)の温度を215℃まで上昇させ、
0.5トールの減圧下に7時間保持して、予備重縮合物
をさらに重縮合させて高分子量化した。この反応に際し
て副生した1,4−ブタンジオールはこれを留去した。
上記の方法で25gの高分子が得られ、その数平均分子
量は5.1万、重量平均分子量は15.7万であった。
また、その融解温度は114℃で分解温度は305℃で
あった。この高分子は下記式で示される繰返し構造を有
するものであった。
実施例1と同様にしてポリエステル製造反応を行ったと
ころ、生成した高分子においてその融解温度は115℃
であり、その分解温度は302℃で、その数平均分子量
は4.8万、重量平均分子量9.2万であり、実施例1
の方法で製造された高分子より大幅に分子量が低かっ
た。
トリメチル108mg(0.90ミリモル)を使い、そ
れ以外は実施例1と同様にしてポリエステル製造実験を
行った。その結果、得られた高分子の融解温度は115
℃で、その数平均分子量は4.2万、重量平均分子量は
17万であった。
酸トリメチル146mg(0.901ミリモル)を使
い、それ以外は実施例1と同様にしてポリエステル製造
実験を行った。その結果、得られた高分子の融解温度は
115℃で、その数平均分子量は4万、重量平均分子量
は13.2万であった。
ピオン酸トリエチル133mg(0.7557ミリモ
ル)を使い、それ以外は実施例1と同様にしてポリエス
テル製造実験を行った。その結果、得られた高分子の融
解温度は115℃で、その数平均分子量は3.9万、重
量平均分子量は13.1万であった。
トリメチル133mg(0.8986ミリモル)を使
い、それ以外は実施例1と同様にしてポリエステル製造
実験を行った。その結果、得られた高分子の融解温度は
115℃で、その数平均分子量は1.3万、重量平均分
子量は14.8万であった。
れ以外は実施例5と同様にしてポリエステル製造実験を
行った。その結果、得られた高分子の融解温度は117
℃で、その数平均分子量は8.2万、重量平均分子量は
41.9万であった。
以外は実施例5と同様にしてポリエステル製造実験を行
った。その結果、得られた高分子の融解温度は115℃
で、その数平均分子量は7.6万、重量平均分子量は3
3.3万であった。
(0.1765モル)のコハク酸ジメチルと16.49
g(0.1832モル)の1,4−ブタンジオールと2
6mgのテトイソプロピルチタネートを仕込み、窒素ガ
ス気流下で反応器内容物を撹拌しながら反応温度160
〜200℃で副生メタノールを留出させながら反応させ
た。約2時間でメタノールの留出が終了した。そこで、
この反応生成物(数平均分子量が約3000の末端にグ
リコールが結合したポリエステル、融解温度:115
℃)に96.6mg(0.9113ミリモル)のオルト
ギ酸トリメチルを加え、窒素流通及び撹拌下に200℃
で副生メタノールを留出させながら反応させると、約1
時間でメタノールの留出が終了した。次に、この反応生
成物を215℃に加熱し、0.5トールの減圧下に7時
間保持して、副生するグリコール(1,4−ブタンジオ
ール)を留出させながらさらに重縮合させた。このよう
にして得られた高分子の融解温度は115℃及びその分
解温度は303℃であり、その数平均分子量は5.1万
及びその重量平均分子量は12.8万であった。また、
この高分子は下記の式で示される繰返し構造を有するも
のであった。
Claims (4)
- 【請求項1】 脂肪族ポリエステルの分子中に、下記一
般式(1)で表わされる連結構造を含有することを特徴
とする数平均分子量が2万以上の高分子量脂肪族ポリエ
ステル。 【化1】 〔前記式中、R1及びR2は2価脂肪族基を示し、R3は
水素又は脂肪族基を示し、Y1は−〔OR2OCOR1C
O〕m−(式中、R1及びR2は前記と同じ意味を有し、
mは1以上の数を示す)又は−OR5(式中、R5は脂肪
族基又は芳香族基を示す)を示し、k及びpは1以上の
数を示し、k+p又はk+p+mは10以上の数を示
す〕 - 【請求項2】 脂肪族ポリエステルの分子中に、下記一
般式(1) 【化1】 〔前記式中、R1及びR2は2価脂肪族基を示し、R3は
水素又は脂肪族基を示し、Y1は−〔OR2OCOR1C
O〕m−(式中、R1及びR2は前記と同じ意味を有し、
mは1以上の数を示す)又は−OR5(式中、R5は脂肪
族基又は芳香族基を示す)を示し、k及びpは1以上の
数を示し、k+p又はk+p+mは10以上の数を示
す〕で表わされる連結構造を含有する数平均分子量が2
万以上の脂肪族ポリエステルの製造方法において、下記
一般式(2) 【化2】 (式中、R4はアルキル基を示し、R1は前記と同じ意味
を有する)で表わされる脂肪族ジカルボン酸ジエステル
と、下記一般式(3) 【化3】 (式中、R2は前記と同じ意味を有する)で表わされる
脂肪族ジオールと、下記一般式(4) 【化4】 (式中、R3及びR5は前記と同じ意味を有する)で表わ
されるオルトカルボン酸エステルとの混合物を反応させ
ることからなり、該オルトカルボン酸エステルの反応割
合が脂肪族カルボン酸ジエステル100モル当り0.0
5〜10モルの割合であることを特徴とする前記の方
法。 - 【請求項3】 該混合物をエステル交換反応させて未端
に脂肪族グリコールが結合した予備重縮合物を生成させ
る第1工程と、得られた予備重縮合物をその末端に結合
する脂肪族グリコールを脱離させながら縮合させて高分
子量化する第2工程からなる請求項1の方法。 - 【請求項4】 脂肪族ポリエステルの分子中に、下記一
般式(1) 【化1】 〔前記式中、R1及びR2は2価脂肪族基を示し、R3は
水素又は脂肪族基を示し、Y1は−〔OR2OCOR1C
O〕m−(式中、R1及びR2は前記と同じ意味を有し、
mは1以上の数を示す)又は−OR5(式中、R5は脂肪
族基又は芳香族基を示す)を示し、k及びpは1以上の
数を示し、k+p又はk+p+mは10以上の数を示
す〕で表わされる連結構造を含有する数平均分子量が2
万以上の脂肪族ポリエステルの製造方法において、下記
一般式(5) 【化5】 (式中、R1及びR2は前記と同じ意味を有する)で表わ
される繰返し構造単位を有する脂肪族ポリエステルに、
下記一般式(4) 【化4】 (式中、R3及びR5は前記と同じ意味を有する)で表わ
されるオルトカルボン酸エステルを反応させることから
なり、該オルトカルボン酸エステルの反応割合が、原料
脂肪族ポリエステル中に含まれている脂肪族ジカルボン
100モル当り0.05〜10モルの割合であることを
特徴とする前記の方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27702495A JP2700628B2 (ja) | 1995-09-29 | 1995-09-29 | 高分子量脂肪族ポリエステル及びその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH0995529A JPH0995529A (ja) | 1997-04-08 |
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JP (1) | JP2700628B2 (ja) |
-
1995
- 1995-09-29 JP JP27702495A patent/JP2700628B2/ja not_active Expired - Lifetime
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