JP3066500B1 - 生分解性高分子脂肪族ポリエステル及びその製造方法 - Google Patents

生分解性高分子脂肪族ポリエステル及びその製造方法

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    • C08G63/12Polyesters derived from hydroxycarboxylic acids or from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds derived from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds
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Abstract

【要約】 【課題】 破断点伸度などの機械的強度に優れている新
規な3-アルコキシ-1,2-プロパンジオールとの共重合構
造を有する高分子量脂肪族ポリエステルを提供するとと
もに、該脂肪族ポリエステルを工業的に有利に製造する
方法を提供する。 【解決手段】 脂肪族ポリエステルにおいて、その分子
中に、3-アルコキシ-1,2-プロパンジオール由来のエス
テル構造を有する生分解性高分子量脂肪族ポリエステ
ル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な共重合構造
を有する高分子量脂肪族ポリエステル及びその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィンや芳香族ポリエステル等
の合成高分子は、日常生活に欠かせない原材料として大
量に使われているが、これらの合成高分子は、自然環境
で分解されないことから、消費量の増加に伴って環境問
題が顕在化している。このため、生分解性プラスチック
の開発が進められており、生分解性を有する高分子とし
て、脂肪族ポリエステルが注目されている。なかでもこ
はく酸またはその誘導体とブタンジオールとから製造さ
れるポリブチレンサクシネートは融点や機械的強度に優
れており注目されている(特開平5−70566号公
報、特開閉9−12691号公報、特開平9−1325
9号公報など)。
【0003】また、ポリブチレンサクシネートのみでは
必ずしも実用上十分な機械的強度及び加工性が得られな
いことから、種々の多価アルコール、ヒドロキシ酸など
との共重合による物性の改良が検討されている(特開平
9−31176号公報、特開平9−40762号公報な
ど)。しかしながら、これらの提案によってもその機械
的強度特に破断点伸度が充分には改善されない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、機械的強度
特に破断点伸度に優れていると共に加工性の良好な新規
な生分解性高分子量脂肪族ポリエステル及び該生分解性
高分子量脂肪族ポリエステルの工業的に有利な製造方法
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、 一般式(1)
【化9】 (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基、R
炭素数2〜12の二価脂肪族基、pはポリエステル中に
含まれる前記一般式(1)で示されるエステル部のモル
分率を示す)で表されるエステル部Aと、一般式(2)
【化10】 (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基、R
は炭素数1〜18の脂肪族基、rはポリエステル中に含
まれる前記一般式(2)で示されるエステル部のモル分
率を示す)で表されるエステル部Bとからなり、かつ該
エステル部Bのモル分率rの値が0.001〜0.10
の範囲にあることを特徴とする生分解性高分子量脂肪族
ポリエステルが提供される。また、本発明によれば、下
記一般式(3)
【化11】 (式中、Rは炭素数1〜12の2価脂肪族基を示し、
及びRは炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表
される脂肪族ジカルボン酸ジエステルと、下記一般式
(4)
【化12】HO−R−OH (4) (式中、Rは炭素数2〜12の2価脂肪族基を示す)
で表される脂肪族グリコールと、下記一般式(5)
【化13】 (式中、Rは炭素数1〜18の脂肪族基を示す)で表
される3-アルコキシ-1,2-プロパンジオールとの縮合反
応生成物からなり、該3-アルコキシ-1,2-プロパンジオ
ールの使用割合は、前記脂肪族ジカルボン酸ジエステル
1モル当り0.001〜0.10モルの割合であること
を特徴とする生分解性高分子量脂肪族ポリエステルが提
供される。更に、本発明によれば、下記一般式(3)
【化14】 (式中、Rは炭素数1〜12の2価脂肪族基を示し、
及びRは炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表
される脂肪族ジカルボン酸ジエステルと、下記一般式
(4)
【化15】HO−R−OH (4) (式中、Rは炭素数2〜12の2価脂肪族基を示す)
で表される脂肪族グリコールと、下記一般式(5)
【化16】 (式中、Rは炭素数1〜18の脂肪族基を示す)で表
される3-アルコキシ-1,2-プロパンジオールとを縮合反
応させることからなり、かつ該3-アルコキシ-1,2-プロ
パンジオールの使用割合を、前記脂肪族ジカルボン酸ジ
エステル1モル当り0.001〜0.10モルの割合と
したことを特徴とする生分解性高分子量脂肪族ポリエス
テルの製造方法が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の生分解性高分子量脂肪族
ポリエステルは、前記一般式(1)のエステル部Aと前
記一般式(2)のエステル部Bとからなる。この場合、
エステル部Aを示す一般式(1)において、Rは鎖状
又は環状の二価脂肪族基を示すが、その炭素数は1〜1
2、好ましくは2〜6である。このような二価脂肪族基
としては、アルキレン基、例えば、メチレン、エチレ
ン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン、オクチレン、
ドデシレン、シクロヘキシレン、シクロヘキサンジメチ
レン等が挙げられる。tは0または1の数を示すが、t
が0の場合には、2つのカルボニル基−CO−は直接結
合し、一方、tが1の数を示す場合には、2つのカルボ
ニル基はRを介して結合する。Rは鎖状又は環状の
二価脂肪族基を示すが、その炭素数は2〜12、好まし
くは2〜6である。このような二価脂肪族基としては、
アルキレン基、例えば、メチレン、エチレン、プロピレ
ン、ブチレン、ヘキシレン、オクチレン、ドデシレン、
シクロヘキシレン、シクロヘキサンジメチレン等が挙げ
られる。
【0007】前記エステル部Bを示す一般式(2)にお
いて、Rは鎖状又は環状脂肪族基を示し、R及びt
は前記と同じ意味を有する。この場合、脂肪族基R
炭素数は1〜18である。このような脂肪族基として
は、アルキル基又はアルケニル基、例えば、メチル、エ
チル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニ
ル、デシル、ドデシル、オクタデシル、ラウリル、ステ
アリル、ベヘニル、ドデセニル、シクロヘキシレン、シ
クロヘキサンジメチレン等が挙げられる。
【0008】ポリエステル分子中のエステル部Bの割合
(モル分率r)は、0.001〜0.10、好ましくは
0.002〜0.03である。このエステル部Bの割合
が多くなりすぎると、得られるポリマーの重合度が上が
らずもろいポリマーとなる等の問題が生じ、一方、少な
すぎると、破断点伸度が小さくなり物性がホモポリマー
と変わらない等の問題を生じる。
【0009】本発明の高分子量脂肪族ポリエステルは各
種の方法で製造することができるが、その好ましい方法
の1つは、前記一般式(3)で表わされる二価脂肪族ジ
カルボン酸ジエステルと、前記一般式(4)で表わされ
る脂肪族グリコールと、前記一般式(5)で表わされる
3-アルコキシ-1,2-プロパンジオールを縮合反応させる
方法である。
【0010】前記一般式(3)で表される脂肪族ジカル
ボン酸ジエステルとしては、コハク酸、アジピン酸、ス
ベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカル
ボン酸のジエステル(ジメチルエステル、ジエチルエス
テル、ジプロピルエステル、ジブチルエステル)が挙げ
られる。
【0011】前記一般式(4)で表される脂肪族グリコ
ールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げら
れる。脂肪族グリコールの使用割合は、通常、脂肪族ジ
カルボン酸ジエステル1モル当り0.90〜1.10モ
ル、好ましくは0.95〜1.05モルの割合である。
【0012】前記一般式(5)で表される3-アルコキシ
-1,2-プロパンジオールは、例えばグリセリンとアルコ
ールとを反応させることによって得ることができる。こ
の場合のアルコールとしては、炭素数1〜18の脂肪族
基を有する飽和及び不飽和アルコールが挙げられる。こ
のようなアルコールとしては、例えば、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルア
ルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、ラ
ウリルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルア
ルコール、ヘプタデシルアルコール(バチルアルコー
ル)、ステアリルアルコール、アリルアルコール、クロ
チルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノ
ール等が挙げられる。
【0013】本発明において、3-アルコキシ-1,2-プロ
パンジオールの使用割合は、分子量1万以上のポリマー
を与える範囲であればよく、通常、脂肪族ジカルボン酸
ジエステル1モル当り、0.001〜0.10モル、好
ましくは0.005〜0.010.01〜0.05モル
の割合である。3-アルコキシ-1,2-プロパンジオールの
使用割合が前記範囲より多くなると、得られるポリマー
(重縮合体)の重合度が上がらずもろいポリマーが生成
するので好ましくない。
【0014】前記縮合反応は、従来公知のエステル交換
反応用触媒の存在下で好ましく行われる。前記反応にお
いて、その反応温度は、その反応により副生する、脂肪
族ジカルボン酸ジエステル由来のヒドロキシル化合物が
反応系において気体として存在する温度である。例え
ば、副生するヒドロキシ化合物ROH及びROHが
いずれもメタノールである場合には、100〜300
℃、好ましくは120〜250℃である。反応圧力は、
減圧、常圧又はやや加圧(0.5kg/cmG以下)
であることができるが、好ましくは、常圧ないし減圧で
ある。また、反応は、副生するヒドロキシ化合物を反応
系外へ迅速に留出させるために蒸留塔を結合した反応装
置(反応蒸留塔)を用いて副生するヒドロキシ化合物を
留出させながら行うのが好ましい。
【0015】前記縮合反応を行う場合、反応は予備縮合
工程(第1工程)と、高分子量化工程(第2工程)との
2つの工程で行うのが好ましい。前記予備縮合工程にお
いては、末端に脂肪族グリコールの結合した低分子量の
縮合物を生成させる。この縮合物の数平均分子量は、5
00〜10000、好ましくは1000〜5000程度
にするのがよく、その分子量は反応条件及び反応時間に
より適当に調節することができる。また、この場合の反
応条件は、副生するヒドロキシ化合物が反応条件下で気
体として存在し得る条件であればよい。
【0016】前記高分子量化工程においては、低分子量
の縮合物の末端に結合する脂肪族グリコールを脱離させ
ながら縮合させて高分子量の縮合物を生成させる工程で
あり、この工程により、数平均分子量が1万以上の縮合
物を生成させることができる。この場合の反応条件は、
副生する脂肪族グリコールが気体として存在し得る条件
であればよい。この高分子量化工程は、前記予備縮合工
程を実施する反応装置と同じ装置または攪拌効率の良い
本重合装置で実施することができる。同じ装置を用いる
場合は、予備縮合反応の終了後に、反応条件を変えて、
例えば、反応温度を高くしかつ反応圧力を低くして、予
備縮合体の縮合反応を行えばよい。
【0017】本発明の高分子量ポリエステルは、1万以
上、好ましくは3万以上の数平均分子量を有するもので
ある。この場合、その数平均分子量の上限は100万程
度である。
【0018】本発明の高分子量ポリエステルは、その分
子中に、前記一般式(2)で表されるモノアシル化グリ
セリン由来の共重合構造を有し、3-アルコキシ-1,2-プ
ロパンジオールの少量の添加により機械的強度(特に破
断点強度)及び加工性を改良することができ、さらに生
分解性をも有するものである。
【0019】
【実施例】次に本発明を実施例によって具体的に説明す
る。脂肪族ポリエステル の種々の物性値は下記の方法
によって測定した。
【0020】(分子量及び分子量分布)ゲルパーミエー
ションクロマトグラフ(GPC)法を用いて標準ポリス
チレンから校正曲線を作成し、数平均分子量(Mn)、
重量平均分子量(Mw)及び分 子量分布(Mw/M
n)を求めた。なお、溶離液はクロロホルムを用いた。
【0021】(熱的性質)示差走査熱量分析装置(DS
C)により融解温度及びガラス転移点を求めた。また熱
重量分析装置(TG)により熱分解温度を求めた。
【0022】(機械的強度)引っ張り試験器を用いて測
定した。
【0023】実施例1 撹拌羽つき内容量100ミリリットルのガラス製反応器
にコハク酸ジメチル26.31g(0.180モル)、1,4-ブタン
ジオール16.70g(0.185モル)、3-メトキシ-1,2-プロ
パンジオール0.211g(1.99ミリモル)、チタンテトラ
イソプロポキシド20ml(0.1ミリモル)を仕込み、窒素
雰囲気下、160℃で反応を開始しメタノールの留出を
行った。1時間後反応温度180℃にし昇温した。更に
30分後200℃に昇温した。さらに30分後反応温度
を215℃にして、徐々に減圧し、30分で真空度0.2m
mHgに到達した。その後さらに3時間反応を続けた。得ら
れたポリマーは薄茶色で、Mn 62,500、Mw 128,000を有
し、そのMw/Mnは2.05であった。またその融解温度
は115.3℃であり、その2%重量減温度は310℃であっ
た。このポリマー中に含まれる3-メトキシ-1,2-プロパ
ンジオールの割合は、ポリマー中に含まれる脂肪族ジカ
ルボン酸成分100モル当り、1.1モルの割合であ
る。また、機械的強度を測定したところ、弾性率500
MPa、上降伏点応力22.9MPa、破断応力59.
5MPa、破断点伸度303%であった。
【0024】比較例1 撹拌羽つき内容量100ミリリットルのガラス製反応器
にコハク酸ジメチル26.34g(0.180モル)、1,4-ブタン
ジオール16.90g(0.188モル)、チタンテトライソプロ
ポキシド18ml(0.09ミリモル)を仕込み、窒素雰囲気
下、160℃で反応を開始しメタノールの流出を行っ
た。1時間後反応温度180℃にし昇温した。更に30
分後200℃に昇温した。さらに30分後反応温度を2
15℃にして、徐々に減圧し、30分で真空度1mmHgに
到達した。その後さらに7時間反応を続けた。得られた
ポリマーは乳白色で、Mn 32,400、 Mw 52,800を有し、
そのMw/Mnは1.63であった。またその融解温度は11
4.1℃であり、その2%重量減温度は322℃であっ
た。また、機械的強度を測定したところ、弾性率459
MPa、上降伏点応力26.0MPa、破断応力23.
1MPa、破断点伸度119%であった。
【0025】実施例2 撹拌羽つき内容量100ミリリットルのガラス製反応器
にコハク酸ジメチル26.32g(0.180モル)、1,4-ブタン
ジオール16.61g(0.185モル)、3-メトキシ-1,2-プロ
パンジオール0.390g(3.67ミリモル)、チタンテトラ
イソプロポキシド20ml(0.10ミリモル)を仕込み、窒素
雰囲気下、160℃で反応を開始しメタノールの流出を
行った。1時間後反応温度180℃にし昇温した。更に
30分後200℃に昇温した。さらに30分後反応温度
を215℃にして、徐々に減圧し、30分で真空度0.3m
mHgに到達した。その後さらに5時間反応を続けた。得ら
れたポリマーは薄茶色で、Mn 49,200、Mw 78,500を有
し、そのMw/Mnは1.60であった。またその融解温度
は113.7℃であり、その2%重量減温度は300℃であ
った。このポリマー中に含まれるモノラウリンの割合
は、ポリマー中に含まれる脂肪族ジカルボン酸成分10
0モル当り、2.0モルの割合である。また、機械的強
度を測定したところ、弾性率317MPa、上降伏点応
力26.4MPa、破断応力27.3MPa、破断点伸
度372%であった。
【0026】実施例3 撹拌羽つき内容量100ミリリットルのガラス製反応器
にコハク酸ジメチル26.34g(0.180モル)、1,4-ブタン
ジオール16.84g(0.187モル)、3-アリルオキシ-1,2-
プロパンジオール0.111g(0.840ミリモル)、チタンテ
トライソプロポキシド20ml(0.1ミリモル)を仕込み、
窒素雰囲気下、160℃で反応を開始しメタノールの流
出を行った。1時間後反応温度180℃にし昇温した。
更に30分後200℃に昇温した。さらに30分後反応
温度を215℃にして、徐々に減圧し、30分で真空度
0.1mmHgに到達した。その後さらに5時間反応を続けた。
得られたポリマーは薄茶色で、Mn 71,300、 Mw 155,00
0を有し、そのMw/Mnは2.17であった。またその融
解温度は114.1℃であり、その2%重量減温度は314
℃であった。このポリマー中に含まれるモノラウリンの
割合は、ポリマー中に含まれる脂肪族ジカルボン酸成分
100モル当り、0.47モルの割合である。また、機
械的強度を測定したところ、弾性率274MPa、上降
伏点応力26.3MPa、破断応力34.3MPa、破
断点伸度324%であった。
【0027】実施例4 撹拌羽つき内容量100ミリリットルのガラス製反応器
にコハク酸ジメチル26.35g(0.180モル)、1,4-ブタン
ジオール16.78g(0.186モル)、3-アリルオキシ-1,2-
プロパンジオール0.443g(3.60ミリモル)、チタンテ
トライソプロポキシド20ml(0.1ミリモル)を仕込み、
窒素雰囲気下、160℃で反応を開始しメタノールの流
出を行った。1時間後反応温度180℃にし昇温した。
更に30分後200℃に昇温した。さらに30分後反応
温度を215℃にして、徐々に減圧し、30分で真空度
0.3mmHgに到達した。その後さらに5時間反応を続けた。
得られたポリマーは白色で、Mn 63,500、Mw 133,800を
有し、そのMw/Mnは2.11であった。またその融解温
度は114.1℃であり、その2%重量減温度は304℃であっ
た。このポリマー中に含まれる3-アリルオキシ-1,2-プ
ロパンジオールの割合は、ポリマー中に含まれる脂肪族
ジカルボン酸成分100モル当り、2.0モルの割合で
ある。また、機械的強度を測定したところ、弾性率30
9MPa、上降伏点応力27.3MPa、破断応力3
2.7MPa、破断点伸度305%であった。
【0028】実施例5 撹拌羽つき内容量100ミリリットルのガラス製反応器
にコハク酸ジメチル26.32g(0.180モル)、1,4-ブタン
ジオール16.83g(0.187モル)、バチルアルコール(3-
オクタデシル-1,2-プロパンジオール)0.187g(0.541
ミリモル)、チタンテトライソプロポキシド20ml(0.1
ミリモル)を仕込み、窒素雰囲気下、160℃で反応を
開始しメタノールの流出を行った。1時間後反応温度1
80℃にし昇温した。更に30分後200℃に昇温し
た。さらに30分後反応温度を215℃にして、徐々に
減圧し、30分で真空度0.1mmHgに到達した。その後さ
らに3時間反応を続けた。得られたポリマーは薄茶色
で、Mn 68,900、 Mw 113,400を有し、そのMw/Mn
は1.65であった。このポリマー中に含まれるバチルアル
コールの割合は、ポリマー中に含まれる脂肪族ジカルボ
ン酸成分100モル当り、0.3モルの割合である。ま
た、機械的強度を測定したところ、弾性率277MP
a、上降伏点応力24.7MPa、破断応力40.3M
Pa、破断点伸度470%であった。
【0029】
【発明の効果】本発明の高分子量脂肪族ポリエステルは
3-アルコキシ1,2-プロパンジオールとの共重合構造を有
し、少量の3-アルコキシ1,2-プロパンジオールの添加で
破断点伸度などの機械的強度を大きく向上できる。また
少量の3-アルコキシ1,2-プロパンジオールの添加は生成
する高分子の分子量の増加に効果があり、数平均分子量
6万以上のコポリマーを得ることができる。しかも、こ
の高分子量脂肪族ポリエステルは、その脂肪族エステル
結合に基づく生分解性を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 賢一 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 増田 隆志 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術 院物質工学工業技術研究所内 (56)参考文献 特開 平9−31176(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基、R
    炭素数2〜12の二価脂肪族基、pはポリエステル中に
    含まれる前記一般式(1)で示されるエステル部のモル
    分率を示す)で表されるエステル部Aと、一般式(2) 【化2】 (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基、R
    は炭素数1〜18の脂肪族基、rはポリエステル中に含
    まれる前記一般式(2)で示されるエステル部のモル分
    率を示す)で表されるエステル部Bとからなり、かつ
    該エステル部Bのモル分率rの値が0.001〜0.1
    0の範囲にあることを特徴とする生分解性高分子量脂肪
    族ポリエステル。
  2. 【請求項2】Rが(CHで、Rが(CH
    であることを特徴とする請求項1記載の生分解性高分
    子量脂肪族ポリエステル。
  3. 【請求項3】下記一般式(3) 【化3】 (式中、Rは炭素数1〜12の2価脂肪族基を示し、
    及びRは炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表
    される脂肪族ジカルボン酸ジエステルと、下記一般式
    (4) 【化4】HO−R−OH (4) (式中、Rは炭素数2〜12の2価脂肪族基を示す)
    で表される脂肪族グリコールと、下記一般式(5) 【化5】 (式中、Rは炭素数1〜18の脂肪族基を示す)で表
    される3-アルコキシ-1,2-プロパンジオールとの縮合反
    応生成物からなり、該3-アルコキシ-1,2-プロパンジオ
    ールの使用割合は、前記脂肪族ジカルボン酸ジエステル
    1モル当り0.001〜0.10モルの割合であること
    を特徴とする生分解性高分子量脂肪族ポリエステル。
  4. 【請求項4】下記一般式(3) 【化6】 (式中、Rは炭素数1〜12の2価脂肪族基を示し、
    及びRは炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表
    される脂肪族ジカルボン酸ジエステルと、下記一般式
    (4) 【化7】HO−R−OH (4) (式中、Rは炭素数2〜12の2価脂肪族基を示す)
    で表される脂肪族グリコールと、下記一般式(5) 【化8】 (式中、Rは炭素数1〜18の脂肪族基を示す)で表
    される3-アルコキシ-1,2-プロパンジオールとを縮合反
    応させることからなり、かつ該3-アルコキシ-1,2-プロ
    パンジオールの使用割合を、前記脂肪族ジカルボン酸ジ
    エステル1モル当り0.001〜0.10モルの割合と
    したことを特徴とする生分解性高分子量脂肪族ポリエス
    テルの製造方法。
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