JP2939736B2 - 摩擦締結具 - Google Patents

摩擦締結具

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JP2939736B2 JP10012371A JP1237198A JP2939736B2 JP 2939736 B2 JP2939736 B2 JP 2939736B2 JP 10012371 A JP10012371 A JP 10012371A JP 1237198 A JP1237198 A JP 1237198A JP 2939736 B2 JP2939736 B2 JP 2939736B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は回転体固定方法、
及び、軸に回転体を固定する際に前記軸と回転体との間
に介在されて回転体を軸にトルク伝達状態に締結するた
めの摩擦締結具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種摩擦締結具として、図13に示す
ように、軸(J) を締め付ける為の内輪(1) と、回転体
(M) のボス(B) に挿入される外輪(2) と、これらの間に
軸線方向の両側からテーパ嵌合状態に挿入される一対の
サイドリング(3)(3)と、これらサイドリングを軸線方向
に締付ける複数の締付けボルト(4)(4)とからなる摩擦締
結具が知られており、前記軸(J) に歯車、プーリー、回
転ヘッド等の種々の回転体(M) を取付ける締結具として
数多く利用されている。なお、前記内輪(1) 及び外輪
(2) は何れも周方向の一部に切断スリット(S) (図示せ
ず)があり、直径が拡大縮小可能である。
【0003】この摩擦締結具は、図13に示すように、
軸(J) に外嵌した状態でボス(B) に収容され、次いで、
前記締付けボルト(4)(4)を締付けることにより、サイド
リング(3)(3)が対向接近することから、前記テーパ嵌合
部の作用により、内輪(1) の内面が軸(J) に加圧され、
逆に、外輪(2) の直径が拡大することから、前記外輪
(2) の外周面がボス(B) の内周面に加圧される。これに
より、軸(J) と回転体(M) とは、軸(J) と内輪(1) との
接触部、サイドリング(3)(3)と内輪(1) との接触部、サ
イドリング(3)(3)と外輪(2) との接触部、外輪(2) とボ
ス内周面との接触部の夫々の摩擦力を介してトルクが伝
達されることとなる。
【0004】ところが、この従来のものでは、前記締付
けボルト(4)(4)の締付けトルクを大きくしても、軸(J)
から回転体(M) への伝達トルクは余り大きくならなかっ
た。たとえば、呼び径24×50mmの締結具では、せ
いぜい、30〜45kgf−m程度のトルクしか伝達で
きなかった。そして、それ以上のトルクを与えると、軸
と内輪(1) との間で滑りが生じていた。
【0005】これは、従来のこの種締結具では、締付け
ボルト(4) (4) の締付け初期段階から、サイドリング
(3) (3) の両方のテーパ面が共に同時に内輪(1) 及び外
輪(2)のテーパ面に接触することから、前記両方の接触
面の摩擦力が前記締付けボルト(4) (4) の締付け力に対
する抵抗として作用し、前記締付けボルトの締付けトル
クが内輪(1) による軸締付け力に有効に変換されなかっ
たからである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる点に
鑑みてなされたものであり、『軸(J) に外嵌する内輪
(1) と、回転体(M) に内接する外輪(2) と、これらの間
に収容されて前記内輪(1)にテーパ嵌合するサイドリン
グ(3) と、前記サイドリング(3) を前記内輪(1) と外輪
(2) との間に押し込む為の締付け手段とを用いて回転体
を固定する方法、又は、この方法に用いる摩擦締結具』
において、伝達トルクを大きくできるようにすることを
その課題とする。 [1番目の発明]
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する為に
講じた本発明の技術的的手段は『締付け手段によってサ
イドリング(3) を押し込んだ初期段階では内輪(1) は前
記サイドリング(3) とのテーパ嵌合作用により半径方向
に圧縮されて軸を締付け、その後、前記テーパ嵌合作用
に伴うサイドリング(3) の直径の拡大により外輪(2) が
回転体(M) に対して半径方向に加圧される』ことであ
る。
【0008】上記解決手段は次のように作用する。サイ
ドリング(3) を押込んだとき、先ず、前記内輪(1) と前
記サイドリング(3) とのテーパ嵌合作用により軸が締付
けられる。このとき、前記サイドリング(3) と外輪(2)
との間では殆ど摩擦抵抗が生じていないから、押込みの
初期段階ではその押込み力が内輪(1) による軸締付け力
に有効に変換される。前記押込みを更に強めると、内輪
(1) とサイドリング(3) とのテーパ嵌合作用によって生
じるサイドリング(3) の直径の拡大により外輪(2) が回
転体(M) に対して半径方向に加圧されるから、軸表面の
単位面積当たりの内輪(1) の加圧力が、外輪(2) の回転
体(M) への加圧力よりも極端に大きくなる。しかも、前
記内輪(1) の加圧力は従来の場合の当該加圧力よりも大
きい。
【0009】一方、外輪(2) と回転体(M) との接触面の
単位面積当たりの加圧力が従来のものよりも低くなる可
能性があるが、通常、内輪(1) と軸(J) との接触面積に
比べて外輪(2) と回転体(M) との接触面の面積は大幅に
大きいから、外輪(2) から回転体(M) への伝達トルクは
軸(J) から内輪(1) への伝達トルクよりも大きい。上記
技術的手段において、『内輪(1) 及び外輪(2) に対して
その軸線方向両側から一対のサイドリング(3)(3)が対向
状態で外嵌する構成とし、一方のサイドリング(3) を貫
通して他方のサイドリング(3) に螺合する複数の締付け
ボルト(4)(4) を上記締付け手段とする』ものの場合に
は、この締付けボルト(4) (4) を締め付ける初期段階で
一対のサイドリング(3)(3)によって内輪(1) が軸(J) 側
に加圧され、その後に外輪(2) が回転体(M) に加圧され
ることとなって上記作用が生じるものとなる。
【0010】
【発明の効果】本発明は、上記構成であるから次の特有
の効果を有する。サイドリング(3) の押込力によって生
じる内輪(1) による軸の締付け力が従来のものよりも大
きくなるから、滑りの生じ易かった内輪(1) と軸(J) と
の間の摩擦締結力が向上する。従って、サイドリング
(3) に対して所定の押込力を与えた場合の軸(J) と回転
体(M) との間の伝達トルクが大きくなる。なお、外輪
(2) と回転体(M) との間の伝達トルクは十分に大きなも
のであるから、結局、従来のものよりも軸(J) から回転
体(M) への伝達トルクが大きくなる。 [2番目の発明]
【0011】
【課題を解決するための手段】2番目の発明は、1番目
の発明方法を実施する為の摩擦締結具の発明であり、上
記課題を解決する為の技術的手段は『締付け手段が非締
付け状態にあるときのサイドリング(3) は、その内周の
テーパ面が内輪(1) の外周のテーパ面に密に嵌合するが
その外周面は外輪(2) の内周面に対して遊嵌している』
ことである。
【0012】この締結具を外輪(2) が回転体(M) に内接
する態様で軸に外嵌されたとき、締付け手段が非締付け
状態にあるときには、サイドリング(3) が押し込まれて
いないが内輪(1) とは密にテーパ嵌合した状態にあるか
ら、この状態から締付け手段によりサイドリング(3) を
軸線方向に押込むと、軸(J) が内輪(1) によって先行
(外輪(2) の回転体(M) への加圧に対して)して締付け
られる。このとき、外輪(2) とは遊嵌状態にあることか
ら、締付け手段によるサイドリング(3) の前記押込み力
が有効に軸締付け力に変換される。
【0013】そして、最終的には、締付け手段による締
付け力によってサイドリング(3) の直径が拡大されて外
輪(2) の外周面が回転体(M) に対して加圧され、1番目
の発明と同様の作用を生じる。なお、この作用を生じさ
せる為には、外輪(2) の直径とこの外輪(2) が収容され
る回転体(M) のボス(B) の内径等とのはめあい公差、及
び、軸(J) と内輪(1) とのはめあい公差は所定の値に設
定されることは言うまでもない。
【0014】
【発明の効果】この2番目の発明では、外輪(2) の回転
体(M) に対するはめあい公差、及び、内輪(1) の軸(J)
に対するはめあい公差を所定の値に設定するだけで、サ
イドリング(3) の押し込みにより、軸(J) が内輪(1) に
よって先行して締付けられる上記作用が確実に生じるか
ら、摩擦締結具の取付け条件を特殊に設定する必要がな
い点で利点がある。
【0015】上記技術的手段において、『内輪(1) 及び
外輪(2) に対してその軸線方向両側から一対のサイドリ
ング(3)(3)が対向状態で外嵌する構成とし、一方のサイ
ドリング(3) を貫通して他方のサイドリング(3) に螺合
する複数の締付けボルト(4)(4) を上記締付け手段とす
る』ものの場合にも同様の作用が生じるものとなる。
【0016】上記技術的手段において、『前記遊嵌状態
にあるサイドリング(3) の外周面と外輪(2) の内周面と
の間隙は、0.005mm〜0.25mmに設定されて
いる』ものでは、上記効果が一層確実である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
〜図12に基づいて説明する。図1〜図5に示す実施の
形態1は、2番目の発明の摩擦締結具の例である。この
ものでは、従来のものと同様に内輪(1) 、外輪(2) 、こ
れらの間に介在される一対のサイドリング(3)(3)からな
る。なお、この例では、図1の分解図に示すように、内
輪(1) 及び外輪(2) は、共に、所定断面で所定長さの帯
板を所定の曲率にロール曲げして製作される。
【0018】これら、内輪(1) と外輪(2) との間には、
相互に対称形状に形成されたサイドリング(3)(3)が介在
されている。このサイドリング(3) の内外周は、内側が
小径部となったテーパ面(31)(32)に仕上げられている。
前記外輪(2) の断面は図1のように、内周側に突出する
扁平な台形状であり、その頂部には、外輪(2) の外周側
に凹む凹部があり、その両側は外周側に向かって傾斜す
る斜辺となっている。従って、この外輪(2) は、内周の
中央部に前記凹部に一致した凹溝(21)があり、その両側
は軸線方向の外側に向かって拡大するテーパ面(22)(22)
となっている。なお、このテーパ面(22)のテーパ値はテ
ーパ面(32)のそれと一致させている。そして、前記外輪
(2) に設けられる切断スリット(S) は、図1に示すよう
に、波形に設定されている。
【0019】前記外輪(2) は、前記断面形状の所定長さ
の帯板を、図4に示すように、上ロール(R1)と下ロール
(R2)(R2)とを用いたロール曲げによってリング状に曲成
されて製作される。このとき、前記凹溝(21)が前記上ロ
ール(R1)に設けたリブ(r) に嵌り込んだ状態でロール曲
げされるから、ロール曲げによる曲げ方向がバラツク心
配がなく高い曲げ方向精度でロール曲げされたものとな
っている。
【0020】前記内輪(1) も同様な断面構造であるが、
その断面は外周側に凸の扁平な台形状である点で相違す
るだけであり、断面の中央頂部に凹溝(11)を具備するこ
と、及びその両側が前記テーパ面(31)のテーパ値と一致
させたテーパ面(12)である等の点では、前記外輪(2) と
同様であり、この内輪(1) もロール曲げによって高い曲
げ方向精度に成形されている。
【0021】以上のように構成された摩擦締結具は、従
来と同様に、図2のように、回転体(M) のボス(B) 内に
収容されて、一方のサイドリング(3) を貫通して他方の
サイドリング(3) に設けたネジ孔に螺合する複数の締付
けボルト(4)(4)が締付けられる。この摩擦締結具を軸
(J) に外嵌した状態でボス(B) に挿入するとき、外輪
(2)は、内輪(1) 及びサイドリング(3)(3)と所定の仮締
め状態の複数の締付けボルト(4)(4)によって組立てられ
ている。
【0022】この組立て状態では、前記締付けボルト
(4) (4) は非締付け状態にあってサイドリング(3)(3)は
非押込み状態にあり、図2のように、前記サイドリング
(3)(3)の内周のテーパ面(31)はテーパ面(12)に密着して
いるが、外周のテーパ面(32)と外輪(2) のテーパ面(22)
との間隙(G) (半径差)は0.005〜0.25mmに
設定されている。
【0023】このように設定された摩擦締結具を回転体
(M) のボス(B) に対して、及び、軸(J) に対してH7〜
8程度のはめあい公差となる条件で軸(J) と回転体(M)
との間に介在させて締付けボルト(4) (4) を締付ける。
すると、締付けボルト(4)(4)の締付けの初期では、サイ
ドリング(3)(3)の対向接近により内輪(1) のテーパ面(1
2)とテーパ面(31)とが加圧状態となる。その後、締付け
ボルト(4)(4)を更に締付けると、サイドリング(3)(3)が
更に対向接近して前記テーパ面(12)(31)相互の嵌合作用
により、図3のように前記サイドリング(3)(3)の直径が
拡大してテーパ面(32)とテーパ面(22)とが密着状態とな
り、その後に、外輪(2) をボス(B) の内周面に加圧す
る。締付けボルト(4) (4) の締付けトルクが所定の値に
なった時に、前記状態となって、軸(J) への回転体(M)
の取付が完了することとなる。この場合の伝達トルクが
従来のものに比べて大幅に大きくなった。
【0024】例えば、軸径×ボス径=24×50のもの
について従来のものと上記実施例とを比較すると次の通
りであった。 記 実施例の伝達トルク:約68kgf−m 従来例の伝達トルク:約43kgf−m [実施の形態2]上記実施の形態1は摩擦締結具自体の
構成により、外輪(2) のボス(B) の内周面への加圧に対
して内輪(1) による軸(J) の締付けが先行するような構
成にしたが、締付けボルト(4)(4)が非締付け状態にある
ときにテーパ面(31)(32)が共に同時にテーパ面(12)とテ
ーパ面(22)に密着している構成の従来の摩擦締結具を用
いても、内輪(1) による軸(J) の前記締付けが外輪(2)
のボス(B) の内周面への加圧に先行するように締結する
ことができる。
【0025】このためには、図6,7に示すように、非
締付け状態にあってテーパ面(31)(32)が共に同時にテー
パ面(12)とテーパ面(22)に密着している前記摩擦締結具
の前記外輪(2) をボス(B) に対して間隙(G) を有するよ
うに遊嵌させ、内輪(1) と軸(J) とは所定のはめあい公
差(例えばH7〜8程度)にする。この場合には、ボス
(B) 内にこの摩擦締結具を収容して締付けボルト(4)
(4)を締付けると、外輪(2) がボス(B) 内に遊嵌してい
ること、また、外輪(2) には切断スリット(S) があるこ
とから、この外輪(2) の拡大方向の抵抗は殆どないか
ら、サイドリング(3)(3)の押込に伴うテーパ面(31)とテ
ーパ面(12)のテーパ嵌合作用によって内輪(1) が先行し
て軸(J) の外周面に押し付けられる。そして、このあ
と、更に締付けボルト(4) (4) を締付けるとサイドリン
グ(3)(3)の直径が拡大して外輪(2) がボス(B) の内周面
に加圧される。これにより、軸(J) と回転体(M) とがト
ルク伝達状態に締結されたものとなる。
【0026】因に軸径×ボス径=24×50を用いて種
々の直径(内径)に設定したボス(B) を具備する回転体
(M) を軸(J) に締結した場合の伝達トルクは次の通りで
あった。 以上から、非締付け状態の外輪(2) の直径とボス(B) の
内径との直径差が大きい程伝達トルクが大きくなること
が判明した。言い換えれば、サイドリング(3)が内輪(1)
を締付け始めてからサイドリング(3) が外輪(2) に接
触してこの外輪(2) をボス(B) の内周面に押し付けるま
での前記サイドリング(3) の拡開度合いが大きい程前記
伝達トルクが大きい。
【0027】なお、上記した例の内輪(1) 及び外輪(2)
はロール曲げによって環状に成型されている。しかも、
各部の曲げ曲率が締結具の呼び径(上記24×50の場
合には50mm)に相当する曲率よりも大きな曲率に曲
成されたものが両端を当接する態様に湾曲されている。
従って、この例の外輪(2) の形状は図5,7に示すよう
に扁平な円形(矩形L1 ,長径L2 )に湾曲されている
こととなる。
【0028】このものでは外輪(2) の短径部はサイドリ
ング(3) の外径よりも小さくなっているから、組立て状
態では切断スリット(S) が拡大した状態にあり、外輪
(2) の外周面の長径はボス(B) の内周径よりも大きくな
っている。この状態で外輪(2)の外周面の前記長径部を
両側から押し込むと前記切断スリット(S) が拡大してい
るからこの長径が小さくなって締結具がボス(B) 内に収
容できる。
【0029】この収容直後の状態では、前記外輪(2) の
弾性復帰力により、外輪(2) の外周面の長径部がボス
(B) の内面に押し付けられ、外輪(2) の内周面の短径部
がサイドリング(3)(3)の外周面に押し付けられた状態に
ある。これら押し付け力に伴う摩擦力により締結具全体
が所定の回動抵抗力を有すると共に、サイドリング(3)
(3)自体にも回動抵抗力が生じたものとなる。
【0030】上記した実施の形態1及び2では、非押込
み状態にあるサイドリング(3) とボス(B) の内周面との
間隙は、外輪(2) の肉厚よりも大きく設定されているか
ら、締付けボルト(4) (4) の締付けの際に、締結具が共
回りし易いが、このように『サイドリング(3) が非押込
み状態にあるときに、外輪(2) を弾性変形状態の扁平な
円形に湾曲させてサイドリング(3) と回転体(M) の内周
面の両者に部分的に接触する構成』としておけば、摩擦
締結具を装着した後締付けボルト(4)(4)を締付けるとき
に前記回動抵抗力により前記共回りが防止できる。
【0031】前記仮締め状態における締付けボルト(4)
(4) の締付け度合が緩い場合には、外輪(2) の外周面の
長径部を押し込まなくてもボス(B) 内に収容でき、この
後、手締めにより前記所定の仮締め状態にすると、同様
にして外輪(2) がサイドリング(3) とボス(B) との間に
弾性復帰力が作用して摩擦力による共回りが防止された
状態に収容されたものとなる。
【0032】なお、前記外輪(2) は、断面一様な所定長
さの帯板をロール曲げによってリング状に曲成したもの
であるから、締付けボルト(4)(4)が最終位置にまで締付
けられた状態では前記外輪(2) の各部が、サイドリング
(3)(3)とボス(B) の内周面との間に楔状に圧入されたも
のとなり、外輪(2) の外周面の全域がボス(B) の内面に
密着し、外輪(2) のテーパ面(22)がサイドリング(3)(3)
のテーパ面(31)(32)に全域的に密着して、摩擦締結機能
の点では従来のものと同様に機能する。
【0033】特に、この例では、前記外輪(2) のロール
曲げによる曲率は一定の曲率に設定されているから、最
終締付け状態において、外輪(2) がボス(B) の内周面と
サイドリング(3)(3)の外周面との間に無理なく挟み込ま
れる。局部的に内部応力が大きくなるような不都合が生
じない。上記何れの実施の形態も、一対のサイドリング
(3)(3)を内輪(1) と外輪(2) の間に押し込む構成とした
が、図8に示すように、内輪(1) と外輪(2) とがその一
側にて連結され、この連結壁(5) にサイドリング(3) を
挿通した締付けボルト(4)(4)が螺合される構成にも、本
発明は採用できる。この場合にも、内輪(1) 及び外輪
(2) には軸線方向に開削された開削スリット(S1)を設け
ることとなる。
【0034】また、何れの実施の形態のサイドリング
(3) も、図9に示すように、環状体を分断するスリット
(S0)を設けるか、又は、図10のように幅方向に延びる
複数のスリット(S2)(S2)を設けるか、更には、図11の
ように、半径方向に延びる複数のスリット(S3)(S3)を具
備する構成とすると、このサイドリング(3) の直径を拡
大し易いものとなり、締付けボルト(4)(4)の締付け力が
内輪(1) による軸締付け力及び外輪(2) による回転体
(M) への加圧力に効率的に変換されることとなる。
【0035】さらに、サイドリング(3) と外輪(2) とは
テーパ嵌合するのではなく、図12のように、軸線に平
行な円柱状曲面相互が嵌合するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の分解図
【図2】回転体(M) を締結する際の初期状態の断面図
【図3】最終締結状態の断面図
【図4】内輪(1) 及び外輪(2) の曲成方法の説明図
【図5】外輪(2) の外観斜視図
【図6】実施の形態2の説明図
【図7】締付けボルト(4) (4) が非締付け状態のときの
正面図
【図8】他の例の断面図
【図9】サイドリング(3) の変形例の説明図
【図10】サイドリング(3) の他の変形例の説明図
【図11】サイドリング(3) のその他の変形例の説明図
【図12】他の実施の形態の断面図
【図13】従来例の説明図
【符号の説明】
(1) :内輪 (2) :外輪 (3) :サイドリン
グ (4) :締付けボルト (12)(22):テーパ面 (31)(32):
テーパ面

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸(J) に外嵌する内輪(1) と、回転体
    (M) に内接する外輪(2) と、これらの間に収容されて前
    記内輪(1) にテーパ嵌合するサイドリング(3)と、前記
    サイドリング(3) を前記内輪(1) と外輪(2) との間に押
    し込む為の締付け手段とを具備する摩擦締結具におい
    て、締付け手段が非締付け状態にあるときのサイドリン
    グ(3) は、その内周のテーパ面が内輪(1) の外周のテー
    パ面に密に嵌合するがその外周面は外輪(2) の内周面に
    対して遊嵌しており、前記遊嵌状態にあるサイドリング
    (3) の外周面と呼び径50mmの外輪(2) の内周面との
    間隙は、0.005mm〜0.25mmに設定されてい
    る構成とした摩擦締結具。
  2. 【請求項2】 内輪(1) 及び外輪(2) に対してその軸線
    方向両側から一対のサイドリング(3)(3)が対向状態で嵌
    合する構成とし、一方のサイドリング(3) を貫通して他
    方のサイドリング(3) に螺合する複数の締付けボルト
    (4) (4) を上記締付け手段とする、請求項2に記載の摩
    擦締結具。
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