JP2862173B2 - ポリイミド粉末組成物の製造方法 - Google Patents

ポリイミド粉末組成物の製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、耐熱性、機械特性、摺動特性に優れた成形
品を与える、ポリイミド粉末組成物の製造方法に関する
ものである。
〔従来の技術〕
ポリイミド樹脂は、その優れた耐熱性、機械特性など
のために、電気・電子機器産業、自動車産業などにおい
て重要な位置を占めており、特に近年機器の高速化、高
性能化が進むにつれて必要不可欠な素材となりつつあ
る。
ポリイミド樹脂は、そのままでも優れた特性を示す
が、さらに各種の充填剤類を添加することにより特定の
性能を向上させることができ、例えば、特公昭39−2219
6号公報には、黒鉛を30重量%充填したポリイミドやア
ルミニウム粉末を25重量%充填したポリイミドが開示さ
れている。
また、充填剤の添加方法の改良法として、特開昭61−
281150号公報には、充填剤を有機溶媒に分散させた状態
で、ポリアミド酸溶液中に添加する手法が開示されてい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、一般にポリイミド樹脂は成形時の熱融着性に
乏しく、特に充填剤が混合されると、熱融着性がさらに
阻害されて、成形品が脆くなる傾向にある。また、黒鉛
充填ポリイミド樹脂は、しばしば摺動材料として使用さ
れるが、この場合も、摺動特性をさらに向上させるため
に、熱融着性の改善が望まれている。
前記特開昭61−281150号公報に開示されている手法
は、充填剤の添加方法を工夫することにより、熱融着性
の向上を図ったものである。しかし、そこで用いている
イミド化の手法、即ち、ポリアミド酸溶液を加熱するこ
とにより、脱水イミド閉環する手法は、本質的に、生成
ポリイミドの結晶化度を高くしてしまうため、結晶性と
いう点から熱融着性が阻害される問題を有している。
そこで本発明者は、ポリイミド樹脂に充填剤を配合
し、なおかつ熱融着性を低下させない手法について鋭意
検討した結果、次のような本発明に到達した。
〔課題を解決するための手段〕
即ち、本発明は、 A.a.下記一般式(I)で表わされる繰り返し単位を主要
構造単位とするポリアミド酸および b.充填剤の合計量が1〜30重量%、 B.c.アミド系溶媒および d.溶解度パラメーターが9.0〜10.0(cal/cm31/2
あるポリアミド酸の貧溶媒の合計量が99〜70重量% から成り、かつ重量比でa/b=99/1〜30/70,d/c=80/20
〜50/50の範囲にあるポリアミド酸溶液に、脂肪族酸無
水物を添加し、脱水閉環反応させることを特徴とするポ
リイミド粉末組成物の製造方法を提供するものである。
ここでArは少なくとも一つの炭素6員環を含む4価の
芳香族残基であり、そのうちの2価ずつは、Ar基のベン
ゼン環内の隣接する炭素原子に結合していることによっ
て特徴づけられ、具体的には、 などが挙げられる。また、Ar′は2価の芳香族あるいは
脂肪族残基であり、芳香族の場合には、1〜4個の炭素
6員環をもち、脂肪族の場合は、C4〜C14の骨格をもつ
ことにより特徴づけられ、たとえば などが挙げられる。また、(I)は単独のポリマーであ
ってもよいし、あるいは共重合体であってもかまわな
い。
このようなポリアミド酸の合成法は公知であり、たと
えば特公昭39−22196号公報にその詳細が開示されてい
るが、テトラカルボン酸誘導体(たとえば二無水物)と
ジアミンとアミド系溶媒中で反応させることにより得る
ことができる。特に好ましいポリアミド酸としては、ピ
ロメリット酸二無水物と4,4′−ジアミノジフェニルエ
ーテルから合成されるポリアミド酸が挙げられる。
本発明でいうアミド系溶媒とは、具体的にはN,N−ジ
メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N
−メチルピロリドンなどの溶媒をさし、これらはいずれ
もポリアミド酸の良溶媒である。
本発明でいうところの溶解度パラメーターが9.0〜10.
0(cal/cm31/2であるポリアミド酸の貧溶媒として
は、具体的にはアセトン(9.9)、メチルエチルケトン
(9.3)のようなケトン系溶媒、テトラヒドロフラン
(9.1)、1,4−ジオキサン(10.0)のようなエーテル系
溶媒、クロロホルム(9.3)のようなハロゲン系溶媒、
酢酸エチル(9.1)のようなエステル系溶媒などを挙げ
ることができるが、特にアセトンが好ましい。〔( )
内は「Polymer Handbook」からの引用による溶解度パラ
メーター値、(cal/cm31/2〕。また、これらの溶媒は
2種以上を混合して用いることもできる。
また、溶解度パラメーターが上記範囲であるポリアミ
ド酸の貧溶媒であっても、水酸基、1級アミノ基、2級
アミノ基などを有する溶媒は好ましくない。なぜなら
ば、これらの溶媒は酸無水物と反応するため、あとから
添加される脂肪族酸無水物を消費してしまうからであ
る。
ここで脂肪族酸無水物の具体例としては、無水酢酸、
無水プロピオン酸、酢酸ギ酸無水物等が挙げられる。
さらに本発明で用いられる充填剤をその主たる役割で
列挙すると次のようである。
(a)耐摩耗性向上剤:グラファイト、カーボランダ
ム、窒化ホウ素、ケイ石粉、二硫化モリブデン、フッ素
樹脂など、(b)補強剤:ガラス繊維、カーボン繊維、
チタン酸カリウム繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、
カーボンウイスカー、アスベスト繊維、石綿、金属繊維
など、(c)難撚性向上剤:三酸化アンチモン、炭酸マ
グネシウム、炭酸カルシウムなど、(d)電気特性向上
剤:クレー、マイカなど、(e)耐トラッキング向上
剤:石綿、シリカ、グラフファイトなど、(f)耐酸性
向上剤:硫酸バリウム、シリカ、メタケイ酸カルシウム
など、(g)熱伝導度向上剤:鉄、亜鉛、アルミニウ
ム、銅などの金属粉末、(h)その他:ガラスビーズ、
ガラス球、炭酸カルシウム、アルミナ、タルク、ケイソ
ウ土、水和アルミナ、マイカ、シラスバルーン、石綿、
各種金属酸化物、無機質顔料類などが含まれる。
ここで特に、グラファイト(黒鉛)、窒化ホウ素およ
びフッ素樹脂が好ましく用いられる。又、上記充填剤類
は、粉末状である場合は、粒径20μm以下、繊維状であ
る場合は、繊維長100μm以下であることが好ましい。
本発明の特徴は、ポリアミド酸と充填剤の混合物を特
定組成の溶媒中において、化学イミド閉環させる点にあ
る。
ポリアミド酸溶液に脂肪族酸無水物を添加し、化学イ
ミド閉環させる手法そのものは、すでに良く知られてお
り、特にフィルム状のポリイミドを製造する際に広く用
いられている(例えば、特公昭60−362号公報)。
しかし、この方法は、そのままポリイミド粉末の製造
方法として用いることは難しい。なぜならば、酸無水物
の添加により、ポリアミド酸溶液全体がゲル化し、大き
なゲルの塊りになってしまうからである。そして、本発
明者らは、このゲル化を防ぐ方法を検討している過程
で、ある特定な溶媒組成においては、ゲル化がおきず、
かつ非常に微細な粉末が得られることを見出した。すな
わち、ポリイミド酸に対する良溶媒と貧溶媒の比率を調
節し、ポリマーを溶媒間の相互作用力をコントロールす
ることにより、成形に適した微細な粉末が得られること
を見出したのである。
ここで、アミド系溶媒は、ポリアミド酸の良溶媒であ
り、重合溶媒でもある。また、溶解度パラメーターが9.
0〜10.0(cal/cm31/2であるポリアミド酸の貧溶媒
は、ポリアミド酸とアミド系溶媒との親和力を阻害し、
イミド閉環後のゲル化を防ぐ役割を果たす。ここで、溶
解度パラメーターが9.0(cal/cm31/2未満である溶媒
は、ポリアミド酸に対する溶解性が低すぎ、ポリアミド
酸を沈澱させてしまうため好ましくなく、10.0(cal/cm
31/2を越える溶媒は、ポリアミド酸に対する親和性が
強すぎ、ゲル化を防ぐ効果がないため好ましくない。ま
た、貧溶媒とアミド系溶媒との比率(d/c)は重量比で8
0/20〜50/50がよく、特にポリアミド酸が下記式(II)
で表わされる繰り返し単位を主要構造単位とするポリア
ミド酸であり、貧溶媒がアセトンである場合には、75/2
5〜55/45の範囲が好ましい。
上記範囲よりも貧溶媒が少ない場合は、ゲル化がおき
てしまい好ましくなく、また、多い場合は得られる粉末
が粗大粒子となり、成形後の強度が大幅に低下するため
好ましくない。
本発明において、ポリアミド酸および充填剤の合計量
の重量濃度は1〜30%、好ましくは1〜20%が良い。1
%未満では溶媒量が多くなりすぎて実用的でなく、30%
を越えると全体の粘度が高くなりすぎ、十分な撹拌がで
きなくなるため好ましくない。
また、ポリアミド酸と充填剤との比率(a/b)は重量
比で99/1〜30/70、好ましくは97/3〜50/50が良い。充填
剤の量が上記範囲を越えると、成形品の強度が極度に低
下するため好ましくなく、又、上記範囲未満では、充填
剤の添加効果が現われず好ましくない。また、充填剤
は、ポリアミド酸の重合前あるいは、重合後、いずれの
時期に添加してもかまわない。
本発明において、イミド閉環に使用される脂肪族酸無
水物の量は、アミド酸単位に対し、0.3当量以上、好ま
しくは0.8当量以上が良い。また、脂肪族酸無水物は、
適当な溶媒で希釈させて添加しても良い。また、イミド
閉環に際して、3級アミンを共存させておくと、イミド
化反応の促進、生成粉末の均質化に効果があるが、その
ような3級アミンの例としては、ピリジン、3−エチル
ピリジン、4−メチルピリジン、2,6−ルチジン、イソ
キノリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチル
アミン等が挙げられる。
3級アミンは脂肪族酸無水物と同時に添加しても良い
が、それ以前に添加しても差し支えない。例えば、ポリ
アミド酸の重合前に既に添加しておくことも可能であ
る。従って、本発明のポリアミド酸溶液には、必須要件
としての、a.ポリアミド酸、b.充填剤、c.アミド系溶
媒、d.貧溶媒の他に3級アミンが含まれていても構わな
い。また、ポリイミド粉末の生成を阻害しない範囲であ
れば、その他の溶媒が含まれていてもよい。
また、イミド化反応は室温においても十分進行する
が、加熱することにより、反応速度を早めることができ
る。しかし、150℃以上では、反応が早すぎてゲル化し
やすくなるため、80℃以下、好ましくは60℃以下で行う
のがよい。
本発明によると、微細な粉末が懸濁した状態の溶液が
得られるが、ここから粉末を取り出すには、濾過、遠心
脱水、蒸溜、スプレードライ等により溶媒を取り除けば
よい。
こうして得られた粉末は、ポリイミドと充填剤が均一
に混合された粉末組成物になっており、単純ブレンド
(例えば、ポリイミド粉末と充填剤との乾式あるいは湿
式ブレンド)に比べて、成形後の強度、摺動特性が優れ
ている。また、本発明の手法によると、生成したポリイ
ミド粉末は実質的に非晶性であり、なおかつ超微粉末状
であるため成形性・熱融着性に優れている。一方、特開
昭61−281150号公報に開示されているような、溶液中熱
閉環法では、ポリイミドと充填剤を均一化させることは
できるものの、生成するポリイミドが高結晶性となるた
め、成形性が乏しい。
また、本発明により得られた粉末組成物は、そのまま
成形に供しても良いが、ミキサー、粉砕機等で処理する
と、成形品がより均質化され、好ましい。
〔実施例〕
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述する。
なお、実施例において、加圧成形は次のような方法で
行った。すなわち、金型中に粉末を充填し、室温におい
て3×103kgf/cm2の圧力をかける。次にこれを徐々に昇
温し、最終的に450℃まで加熱する。この昇温過程で、
ガスが発生するため、時々放圧し、ガスを抜くようにす
る。450℃で5分間保ったのち、加圧したまま冷却し、3
00℃以下になったところで取り出す。次にこの成形品か
ら、65mm×13mm×3mmおよび25mm×25mm×3mmの試験片を
切り出し、それぞれを曲げおよび摩耗試験に供した。
また、摩耗試験はスラスト摩耗試験機(鈴木式摩耗試
験機)を用いて行い、相手材は鋼(S45C)を用いた。試
験条件はP(圧力)が10kgf/cm2、V(速度)が100m/mi
nである。
実施例1 4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)60.07gを
1200gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解させ
た後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)65.44gを加え、
さらに1時間撹拌を続けたところ、ηinh(DMAc中、濃
度0.5g/dl,30℃で測定)が2.40のポリアミド酸溶液が得
られた。ここに、黒鉛(日本黒鉛(株)製)49.2g,アセ
トン〔溶解度パラメーター値:9.9(cal/cm31/2〕2800
gを加え、良く撹拌して均一な溶液とした。
次にこの溶液を30℃に温調した後、無水酢酸100gおよ
びピリジン200gを加えたところ、ポリイミドと黒鉛が一
体となった粉末が析出した。これを濾過し、アセトンで
洗浄後、空気中160℃で5時間乾燥することによりポリ
イミド粉末組成物を得た。続いてこれを加圧成形し、曲
げおよび摩耗試験に供したところ、表1に示すような優
れた特性を有していた。
後で述べる比較例1は、従来のドライブレンド法によ
るものであるが、これに比べて、強度、耐摩耗性共に向
上していることがわかる。
実施例2 実施例1において、充填剤として、黒鉛57.4gおよび
ポリテトラフロロエチレン粉末(ダイキン(株)製)1
9.1gを用いるほかは実質的に同様な方法で重合を行い、
ポリイミド粉末組成物を得た。成形後の物性測定結果は
表1に示す通りであり、ドライブレンド法による比較例
2に比べて、強度、耐摩耗性共に優れていた。
比較例1 実施例1において、黒鉛を添加しないほかは実質的に
同様な方法で重合を行い、ナチュラルのポリイミド粉末
を得た。次にこの粉末114.7gおよび黒鉛49.2gをドライ
ブレンドし、さらに成形、物性評価を行った。
結果を表1に示したが、本発明の手法による実施例1
に比べて、強度、耐摩耗性共に劣っていた。
比較例2 比較例1で得たナチュラルのポリイミド粉末114.7g
に、黒鉛57.4gおよびポリテトラフロロエチレン粉末19.
1gをドライブレンドして粉末組成物を得た。
物性評価結果を表1に示したが、実施例2に比べて劣
っていた。
比較例3 実施例1において、アセトンを1000gとするほかは、
実質的に同様な方法で重合を行った。しかし、無水酢酸
/ピリジンを添加後、全体がゲル化してしまい、粉末を
得ることはできなかった。
比較例4 実施例1において、添加する黒鉛の量を344.1gとする
ほかは実質的に同様な方法で重合を行い、粉末組成物を
得た。続いて成形後、試験片を切り出そうとしたが、極
度にもろいため、切削加工中に割れてしまい、結局、物
性試験は行えなかった。
比較例5 実施例1において、アセトンのかわりにトルエン〔溶
解度パラメーター値:8.9(cal/cm31/2〕を用いた。し
かし、トルエンはポリアミド酸溶液に均一に溶解せず、
ポリアミド酸が塊状に沈澱してしまったため、粉末状の
ポリアミドを得ることはできなかった。
比較例6 実施例1において、アセトンのかわりにジメチルスル
ホキサイド〔溶解度パラメーター値:12.0(cal/cm3
1/2〕を用いた。しかし、無水酢酸/ピリジンを添加
後、全体がゲル化してしまい、粉末を得ることはできな
かった。
比較例7 特開昭61−281150号公報に開示されている手法に従
い、次のようにして加熱イミド化を行った。DDE60.07g
を800gのDMAcに溶解させた後、PMDA65.44gを加え、ポリ
アミド酸溶液とした。続いて、ここに黒鉛49.2gをDMAc4
00g中に分散させた溶液を加えた後、加熱還流を4時間
行い、粉末を析出させた。その後、実施例1と同様に後
処理を行い、さらに成形、物性評価をしたが、曲げ強さ
360kgf/cm2、摩耗重量8.2mg/cm2・hと特性の悪いもの
であった。この原因を調べるために、黒鉛を加えないで
上記と同様な重合を行い、得られたナチュラルのポリイ
ミド粉末の結晶化度をX線回析により測定したところ、
40%と高結晶性であることがわかった。一方、比較例1
で得たナチュラルのポリイミド粉末の結晶化度は5%と
低かった。
以上のことより、加熱イミド化で得られるポリイミド
粉末は、高結晶性となるため、熱融着性が阻害され、成
形品の特性が低いことがわかる。
実施例3 DDE60.07gをDMAc1200gおよびイソキノリン300gの混合
液に溶解させた後、PMDA32.72gおよびベンゾフェノンテ
トラカルボン酸二無水物(BTDA)48.33gを加えた。続い
てここに、黒鉛16.3gおよび窒化ホウ素粉末(電気化学
工業(株)製)16.3gを添加し、さらに1時間撹拌を続
けてポリアミド酸溶液とした。
次にこれを30℃に温調し、アセトン3200gを加えて良
く撹拌した後、無水酢酸100gおよびテトラヒドロフラン
200gの混合液を添加した。生成した粉末を実施例1と同
様に後処理し、加圧成形した後、物性評価を行った。結
果を表2に示したが、ドライブレンドによる比較例8に
比べて優れている。
比較例8 実施例3において、黒鉛および窒化ホウ素粉末を添加
しないほかは、実質的に同様な方法で重合で行い、ナチ
ュラルのポリイミド粉末を得た。
次にこの粉末130.3gに、黒鉛16.3gおよび窒化ホウ素
粉末16.3gをドライブレンドし、さらに成形、物性評価
を行った。
結果を表2に示したが、本発明の手法による実施例3
に比べて、強度、耐熱性共に劣っていた。
比較例9 実施例3において、アセトンを5000gとするほかは、
実質的に同様な方法で重合を行い、ポリイミド粉末組成
物を得た。したし、粉末粒径が粗いため成形後の物性
は、表2に示す通り低かった。
比較例10 実施例3において、重合時に使用する溶媒をDMAc180g
のみとして重合した後、アセトン220gで希釈した。続い
てここに、無水酢酸100gおよびイソキノリン100gを添加
したが、粘度が高すぎて十分な撹拌ができないためか、
全体が塊りとなってしまい、粉末は得られなかった。
実施例4 メタフェニレンジアミン(MPDA)12.98gおよびビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン
(BAPS)77.85gをN−メチルピロリドン(NMP)1500gに
溶解させた後、PMDA65.44g、黒鉛41.6gおよび二硫化モ
リブデン(日本モリブデン(株)製)20.8gを加えた。
1時間撹拌を続けた後、クロロホルム〔溶解度パラメー
ター値:9.3(cal/cm31/2〕4000gを加え、良く撹拌し
て均一な溶液とした。
続いてこれを、30℃に温調後、無水酢酸150gおよびピ
リジン300gを加えて、粉末を析出させた。実施例1と同
様に後処理した後、物性評価を行ったが、表3に示すよ
うに、単純湿式ブレンドの比較例11に比べて優れてい
た。
比較例11 実施例4において、黒鉛および二硫化モリブデンを添
加しないほかは、実質的に同様な方法で重合を行い、ナ
チュラルのポリイミド粉末を得た。次にこの粉末145.5g
を黒鉛41.6gおよび二硫化モリブデン20.8gと共に、アセ
トン1000ml中でよく撹拌、分散させた後、濾過,乾燥
(120℃/5時間)して、粉末組成物とした。
表3に評価結果を示したが、実施例4に比べて、強
度、耐摩耗性共に劣っていた。
〔発明の効果〕 実施例および比較例より明らかなように、本発明の方
法により製造されたポリイミド粉末組成物は、従来のも
のに比べて成形性が優れており、そのため、成形後の機
械特性、摺動特性共に良好である。
従ってより苛酷な条件に耐える材料として使用するこ
とができ、電気・電子機器産業、自動車産業、航空・宇
宙産業などにおいて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−250030(JP,A) 特開 昭61−281150(JP,A) 特開 昭63−81160(JP,A) 特公 昭39−9078(JP,B1) 特公 昭39−22196(JP,B1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A.a.下記一般式(I)で表わされる繰り返
    し単位を主要構造単位とするポリアミド酸および b.充填剤の合計量が1〜30重量%、 B.c.アミド系溶媒および d.溶解度パラメーターが9.0〜10.0(cal/cm31/2であ
    るポリアミド酸の貧溶媒の合計量が99〜70重量% から成り、かつ重量比でa/b=99/1〜30/70,d/c=80/20
    〜50/50の範囲にあるポリアミド酸溶液に、脂肪族酸無
    水物を添加し、脱水閉環反応させることを特徴とするポ
    リイミド粉末組成物の製造方法。 (式中、Arは少なくとも一つの炭素6員環を含む4価の
    芳香族残基、Ar′は2価の芳香族あるいは脂肪族残基を
    示す。)
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