JP2843165B2 - 通板中の極薄金属帯に発生する座屈波やしわ等の防止ロールとその使用方法 - Google Patents

通板中の極薄金属帯に発生する座屈波やしわ等の防止ロールとその使用方法

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JP2843165B2
JP2843165B2 JP3080586A JP8058691A JP2843165B2 JP 2843165 B2 JP2843165 B2 JP 2843165B2 JP 3080586 A JP3080586 A JP 3080586A JP 8058691 A JP8058691 A JP 8058691A JP 2843165 B2 JP2843165 B2 JP 2843165B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、張力の付与された状態
で通板される極薄金属帯に板幅方向の座屈現象が出現す
るのを防止して、座屈波のみならずこれに起因した折れ
疵(単にしわと言う)や縦しわやクロスバックルなどの
欠陥を生じることなく通板することのできる極薄金属帯
の諸欠陥防止ロールと(以下、単にしわ防止ロールと言
うことがある)と当該ロールの好適な使用方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、板厚が0.3mm以下であって一般に
0.1mm未満のフォイル(箔)をも含む極薄金属帯の需要
が急激に伸びてきており、中でも技術進歩の著しい電気
・電子技術分野や自動車産業分野に使用されるステンレ
ス鋼板,このステンレス鋼の組成範囲外の高Ni含有鋼
板,アルミ板の如き極薄金属板としては、各板そのもの
のが材料として保有する有効な諸特性のほかに、その板
厚が更に薄く且つ高級な表面仕上げで表面品質が優れた
ものが要求されている。このような分野に使用される極
薄金属帯の製造方法としては、一般に既極薄金属帯をも
含む板厚の薄い材料を出発材料として、これを更に冷間
圧延や調質圧延や引張り及び曲げ加工を伴った矯正や裁
断などを行って所望の極薄の板厚を有する寸法で且つ所
望の表面仕上や機械的性質などの品質を具備したものと
する方法が採用されているのである。
【0003】このような極薄金属帯の製造方法にあっ
て、製造工程内で張力の付与された状態で通板する極薄
金属帯に板幅方向に座屈現象が出現し座屈波に起因した
折れ疵とか縦しわやクロスバックルなどが発生すること
があるが、かかる諸欠陥の発生を防止する従来方法を、
図1に示す如きリバース式圧延機の設置された圧延製造
工程の場合を利用して以下に簡単に説明する。リバース
式圧延機としては、小径圧延ロールを有し多段ロールを
備えたセンジミア冷間圧延機、これを包含する様々なク
ラスタ冷間圧延機、比較的大径の圧延ロールを有する調
質圧延機などがある。このような圧延機1の片側に設け
られているペイオフ兼テンションリール2に装着された
極薄金属帯コイルCから巻戻された極薄金属帯6は、デ
フレクタロール4を介して圧延ロール1a間に圧延通板せ
しめられ、引続き圧延機1の他側に設けられているデフ
レクタロール4を介してペイオフ兼テンションリール3
に巻取られる作業が行われて1回の圧延通板が終了する
のである。この圧延通板中において極薄金属帯6には、
金属帯の材質や板厚をはじめとする寸法や圧延目的に添
った圧延機種等にもよるが、ユニットテンションとして
10〜70kgf/mm2程度の張力が付与されている。このよう
な1回の圧延通板で圧延が不足している場合には、前述
の圧延通板の方向とは逆向きに圧延通板して圧延作業を
行わせるのであり、このような圧延通板を必要に応じて
繰り返しリバース圧延を行うのである。
【0004】このようにして極薄金属帯6を圧延する際
に、圧延機1に通板される極薄金属帯6には張力が付与
されているために、極薄金属帯6にはその張力にポアソ
ン比を乗じた値に相当する板幅方向の圧縮力が作用して
いるのと同じ状態となるので、その張力が増加すれば勿
論のこと、極薄金属帯6の板厚が薄くなればなる程且つ
板幅が広くなればなる程細長比が大きくなって板幅方向
に座屈現象が出現して、図3及び図4に概略図示するよ
うな座屈波が発生し易くなる。図4に示すように急峻な
座屈波(既に座屈変形して部分があるかもしれない)の
発生している極薄金属帯6を圧延ロール1a間で圧下して
圧延すれば図5に示すような折れ疵或いはすじ延び状に
観察される欠陥が圧延後の面に連続して発生する。しか
し、図3に示されるような比較的緩やかに見える座屈波
の発生する張力条件下にあっても、その前後方張力状態
も含めた張力条件如何によっては図5に示すように折れ
疵等の欠陥が連続発生する。これは極薄化されて剛性の
低下した金属帯に過張力を付与することによって板幅方
向に座屈変形したために発生すると推定され、従って耐
力を上げたりして剛性を高めるか或いは張力を低下させ
て防止するしかない。
【0005】また、図6に示すような縦しわ(縦しわ模
様も含む)や圧延通板方向に対して斜めにしわが生じる
クロスバックル(図示しない)等の欠陥が圧延後の面に
連続して発生する場合がある。これらの欠陥は、極薄化
されて剛性の低下した金属帯を、前後方張力のバランス
が変化したり崩れたりして基本的に低過ぎる張力条件下
で圧延した場合に、圧延ロールバイト出側付近における
金属帯の拘束力が低過ぎるために出現する座屈現象によ
るためと推定されるので、従って耐力を上げたりして剛
性を高めるか或いは張力を上昇させて拘束力を高めて防
止するしかない。このように極薄金属帯6を圧延するに
は、板厚が極薄化且つ板幅が広幅化する程、板幅方向の
座屈による種々の欠陥が発生し易くなり、その圧延時の
張力が高過ぎても低過ぎても種々の欠陥が発生し、その
調節が非常に難しいという問題があった。更に、図5を
用いて説明した極薄金属帯6に発生する折れ疵やすじ延
び状の欠陥は、圧延機1の圧延ロール1a周辺で発生する
だけでなく、疵としての程度の差こそあっても、図3及
び図4に示すような座屈波の発生した極薄金属帯6がデ
フレクタロール4,4により方向変換のため引き曲げら
れながらロールに接触する時やペイオフ兼テンションリ
ール2,3により引き曲げられながらリールやコイルに
接触して巻取られる時や更にこの圧延機1とは異なる他
の製造工程において同様にデフレクタロールで方向変換
されたり或いはリールに巻取られる時などに発生すると
いう問題もあった。
【0006】そこで、従来はこのような折れ疵や縦しわ
などの欠陥の発生を防止すべく、図1に示すように圧延
機1の圧延ロール1aとデフレクタロール4,4との圧延
通板ライン間や、デフレクタロール4,4と、ペイオフ
兼テンションリール2,3との間の極薄金属帯6の圧延
通板ライン上に形状が円筒状又は凸クラウン状のしわ防
止ロール5’を配置し、極薄金属帯6を圧延通板ライン
より押し込んで拘束することにより座屈の発生を抑制し
ながら圧延通板する方法が実施されていた。
【0007】しかしながら、前述の如き形状のしわ防止
ロール5’を各所定位置に配置して極薄金属帯6を圧延
通板しても、形状が単に円筒状をなすしわ防止ロール
5’の場合には極薄金属帯6のしわ防止ロール5’と当
接している部分及びこの部分近傍の僅かな長さの範囲に
ついてのみ極薄金属帯6に座屈波を発生させず拘束する
ことにしかならないので、あまり大きな欠陥の防止効果
を得るには至らなかった。また形状が凸クラウン状をな
すしわ防止ロール5’の場合には通板される極薄金属帯
6の圧延方向に対して直角方向へ蛇行するのを多少抑制
する効果は奏するものの種々の欠陥の発生を防止する効
果は前記形状が直線状をなすしわ防止ロール5’と変ら
ず大した効果は得られなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の諸欠陥を解消して、板厚が0.3mm以下の極薄金属帯
を張力の付与された状態で通板する際に、過張力による
と考えられる折れ疵やすじ延び状の欠陥を生ずることな
く更に張力不足によると考えられる縦しわやクロスバッ
クルの欠陥を生ずることなく、即ち通板時の張力の設定
やその調節が難しく高過ぎても低過ぎても種々の欠陥が
発生するのを防止して、所望の極薄の板厚を有する寸法
で品質の優れた状態に通板することのできる諸欠陥防止
ロール(しわ防止ロール)とその使用方法を提供するこ
とを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる課題を
解決すべく鋭意研究の結果、様々な通板ライン上で張力
の付与された状態で通板される極薄金属帯に対して、中
央から対称に端部に行くに従って径を順次増大せしめら
れる断面弧状の凹部を有する形状が、以下の一般式に示
す条件に従って形成されているしわ防止ロールを用い
ことと、 〔一般式〕 Dx=aDo・sin(πx/L) 但し、Dx:ロール端部から任意の距離xにおけるロール直径(mm) Do:ロール端部の直径(ロール基礎径)(mm) L:ロール長さ(有効形状のロール長さ)(mm) x:ロール長さLにおけるロール端部からの任意な距離(mm) a:ロール径差の率であってa=0.01〜0.15(無次限数) かかるしわ防止ロールの使用方法として、通板中の極薄
金属帯をかかるしわ防止ロールで押圧して通板ラインよ
り押し込んだ状態として通板すれば良いことと、更にか
かるしわ防止ロールをリバース圧延に用いた使用方法と
して、圧延機の圧延ロールと各デフレクタロールとの圧
延通板ライン間及び/又はデフレクタロールとペイオフ
兼テンションリールとの圧延通板ライン間の各所定位置
に配置されたかかるしわ防止ロールで押圧して、各圧延
通板ラインより押し込んだ状態にして圧延通板すれば、
極薄金属帯はこのしわ防止ロールで拘束せしめられるだ
けでなく板幅の両サイド方向へ引張荷重が付与されて板
幅の中央方向に向かう圧縮力によって生ずる座屈を防止
することができるためにこの座屈による折れ疵やすじ延
び状の欠陥も防止できるだけでなく、このような欠陥を
防止しようとして逆に極薄金属帯に付与する張力を小さ
くする必要もないので張力が低過ぎて拘束力が足らずに
生じる縦しわやクロスバックルといった欠陥の発生をも
防止できることを究明して本発明を完成したのである。
【0010】すなわち前述の本発明方法を実施するに
は、図2に示す如くその中央から対称に端部に行くに従
って径を順次増大せしめられる断面弧状の凹部を有する
形状が前記一般式に従って形成されたしわ防止ロール5
を準備する。このしわ防止ロール5の断面弧状の凹部を
有する形状としては、例えば中央の直径Dcが端部の直
径Doの0.85〜0.99倍であり、また中央から端部にかけ
て中央が0度で端部が90度となるサインカーブを形成
するような形状を提示することができる
【0011】そして、このようなしわ防止ロール5は、
図1をもって以上に詳述したように極薄金属帯がリバー
ス圧延される圧延製造工程における通板ライン内に配置
されるだけでなく、その他の一般的な張力を付与した状
態で極薄金属帯を処理する製造工程における通板ライン
内に配置しても良いのである。例えば、後記実施例で説
明する広幅の極薄金属帯を、焼鈍及び/又はデスケーリ
ング処理したり或いは両サイドトリミングしてデフレク
タロールで通板方向を変更しつつリールで巻取ったり、
更に引き延ばし曲げられながら形状矯正されてリールで
巻取ったりするような一般の通板ライン内に配置しても
好ましい。このように、圧延通板ラインに沿って圧延通
板している極薄金属帯や一般の様々な製造工程内の通板
ラインに沿って通板している極薄金属帯のいずれであっ
ても、その圧延通板ラインや通板ラインより押し込まれ
た状態で圧延通板や通板し通板完了後に押し込み開放し
得るように例えばシリンダ駆動化される如く配置される
のである。しかもこのしわ防止ロール5の配設位置は、
極薄金属帯に付与される張力が最も大きく且つ極薄金属
帯がロールやリール等と接触し拘束されることなく圧延
通板や一般通板される距離の長い位置(具体的にはロー
ルやリール等の位置の間)であることが好ましく、更に
前述した如き諸欠陥の直接発生するロールやリールの前
方及び後方においてその発生源(発生位置)であるロー
ルやリールに極力近接した位置であることが好ましいの
である。
【0012】より具体的にこのしわ防止ロール5を図1
に示す如きリバース式圧延機の設置された圧延製造工程
に配置する場合には、圧延機の出側であって圧延ロール
とテンションリールに向けて極薄金属帯の通板方向を変
更するデフレクタロールとの圧延通板ライン間に設置す
るが、更に圧延機の入側であってペイオフリールから圧
延ロールに向けて極薄金属帯の通板方向を変更するデフ
レクタロールと圧延ロールとの圧延通板ライン間に設置
したり、圧延機の出側や入側であってデフレクタロール
とペイオフ兼テンションリールとの圧延通板ライン間に
設置する場合もある。つまり、圧延機1が極薄金属帯6
を往復通板せしめて圧延するリバース式圧延機である場
合には、図1に示すように圧延機1の両側において圧延
ロール1aとデフレクタロール4,4との圧延通板ライン
間及び/又はデフレクタロール4,4とペイオフ兼テン
ションリール2,3との圧延通板ライン間に配置するこ
とが好ましい。そして、かかるしわ防止ロール5の配置
される極薄金属帯の圧延製造工程で一般に使用されるリ
バース式圧延機の種類は特に限定されるものではなく、
例えば通常の2段式や4段式圧延機でも、センジミア圧
延機の如きクラスター圧延機などの多段式圧延機でも差
し支えない。また極薄金属帯の圧延率の大きさにも制限
はなく、通常の冷間圧延でも調質圧延でも本発明方法は
実施できる。
【0013】
【作用】このような本発明に係る通板中の極薄金属帯に
発生する座屈波やしわ等の防止ロールの使用方法は、様
々な通板ライン上で張力の付与されている極薄金属帯
を、前記一般式に従ってサインカーブ状に形成されてい
特定の凹部(Concave状)を有する形状に形成された
しわ防止ロールで押圧して、通板ライン上にある極薄金
属帯がこの特定形状のロールに所定適当量巻き付くよう
に通板ラインより押し込んだ状態にして通板する方法で
ある。このようにしわ防止ロールが極薄金属帯を通板ラ
インより押し込むと、図7に概略示すようにこの極薄金
属帯6は剛性が小さく柔軟であるから図の実線で示すよ
うに断面弧状の凹部(Concave状)を有する形状に形成
されているしわ防止ロール5の外周面にぴったりと巻き
付くのである。この状態で、通常極薄金属帯6の通板に
追従して当該しわ防止ロール5が矢印の方向に例えば90
°回転すると、極薄金属帯6のエッジにおけるA点は
A’点に来る。この極薄金属帯6としわ防止ロール5と
の接触面間には摩擦があるからA点で接触した極薄金属
帯6のエッジ部分はそのまましわ防止ロール5に付いて
A’点まで来るので、極薄金属帯6のエッジはA’点で
示す点線のような位置になる。B点まで移動した極薄金
属帯6のエッジは全く同様にB’点で示す点線のような
位置になる。このしわ防止ロール5が続けて回転する
と、このような位置の移動が繰り返し行われるので、極
薄金属帯6には次第にロール径の大なる方へ、従って
わ防止ロール5の両端部の方向へ移動する作用が生じ
る。つまり、このしわ防止ロール5はその中央から対称
に端部に行くに従って径を増大せしめられる断面状の
凹部を有する形状に形成されているので、極薄金属帯6
には回転するしわ防止ロール5のロール軸心回りに接線
方向に作用する力の分力によって板幅方向(両エッジ方
向)へ極薄金属帯6を引き延ばそうとする引張力が付与
されて、前述し説明した座屈現象の出現が抑制且つ防止
されるために、座屈波のみならず折れ疵やすじ延び状の
欠陥が発生することがなくなり、その結果極薄金属帯に
は座屈やこれに起因する諸欠陥が発生するのを防止する
ために付与する張力を格別小さくする必要もなくなるの
で張力が低過ぎて拘束力の不足によって発生する縦しわ
や斜めにしわが生じるクロスバックル等の欠陥を生じる
こともなくなるのである。
【0014】そして、このしわ防止ロール5は前述の如
く極薄金属帯6の通板に追従回転する無回転駆動タイプ
のもの或いは回転駆動タイプのいずれのタイプのもので
も前記作用及び効果を奏するので良いが、いずれにして
も極力小径化且つ軽量化しGD2の軽減されたものとか
ロール軸の外周にベアリングを介してロール外筒が回転
する構造のGD2を軽減化する構造のものとかが余計な
接触疵を発生させないために好ましい。しかもこのしわ
防止ロール5の径とロール軸長方向の外周面に形成する
特定の凹部を有する形状の種類とその程度、しわ防止
ール5の極薄金属帯6の巻付け角度(°)とそのための
しわ防止ロール5の極薄金属帯6への押し込み量(mm)
及びしわ防止ロール5の通板ライン内での配置位置など
は、対象とする極薄金属帯6やこれを通板処理する製造
設備を備えた製造工程の種類とその規模やその製造工程
において発生する諸欠陥の防止目的等によって変わるも
のであり、これらに経験的に求めた諸々の知見を踏まえ
て総合的に設定すればよいのである。
【0015】具体的に、前記の諸設定は、極薄金属帯の
板厚だけでなく板幅をも含めた寸法,その材質等による
柔軟性や形状の程度,極薄金属帯の加工目的や処理目的
とその品質グレード,製造設備を備えた製造工程の種類
や規模によって通板し加工処理する極薄金属帯に付与さ
れる張力の相違やその変動程度,通板中の極薄金属帯が
拘束されずに自由通板する距離,製造工程内で発生する
諸欠陥の発生原因やその発生源(発生位置),かかる諸
欠陥の防止目的とか程度等々に応じて、諸欠陥を発生さ
せずに防止できるように、繰り返し求めた経験上の種々
な知見や経験値をも踏まえて総合的に最も効率良く効果
が上がるように設定すべきである。
【0016】
【実施例】実施例1 図1に示す如きリバース式圧延機を備えた調質圧延製造
工程において、板厚が0.05〜0.3mmの範囲で,板幅が600
〜1250mmの範囲のSUS304ステンレス鋼帯にユニットテン
ション(単位張力)として10〜30kgf/mm2を付与して多
数の該当コイルの調質圧延を行った結果、従来その形状
が円筒状又は凸クラウン状のしわ防止ロールを使用した
場合では圧延機の圧延ロールの入側でステンレス鋼帯が
座屈波を発生しばたついて圧延ロールに折れ込みまた圧
延ロールの出側において連続した縦しわが発生して巻取
りが困難となって良好で安定した調質圧延が実施できな
い場合が非常に多かったが、バレル長が1300mm,端部の
直径(Do)が150mm,中央の直径(Dc)が140mmで中央
から対称に端部にかけて中央が0度で端部が90度とな
るサインカーブの凹部を形成するような形状のしわ防止
ロールを、このしわ防止ロールの当該鋼帯の巻付け角度
が5〜45°の範囲になるように、更に圧延機の圧延ロ
ールとその両側のデフレクタロールとの圧延通板ライン
間、デフレクタロールと両側のペイオフ兼テンションリ
ールとの間の極薄金属帯の圧延通板ライン上に配置し、
極薄金属帯を各圧延通板ラインより押し込んで圧延した
処、圧延された極薄金属帯には折れ疵や縦しわやクロス
バックルなど諸欠点の発生していない良好な品質に調質
仕上げされたステンレス鋼帯である極薄金属帯を製造で
きた。
【0017】実施例2 図1に概略図示されるようなリバース式圧延機を備えた
冷間圧延製造工程において、板厚が0.1〜0.3mmの範囲
で,板幅が600〜1250mmの範囲のステンレス鋼帯や高Ni
含有鋼帯にユニットテンション(単位張力)として40〜
70kgf/mm2の範囲の高張力を付与した状態で多数の該当
コイルのリバース冷間圧延を行った結果、従来圧延機の
圧延ロールの前後において張力設定のまずさやその急激
な変動とか変動大等に起因するすじ延び状の欠陥やクロ
スバックルが発生して良好で安定した冷間圧延が実施で
きない場合があったが、被圧延鋼帯の材質や寸法,圧延
機の機種やその規模等によってバレル長が1300mm,端部
の直径(Do)が100〜300mm,前記一般式(1)に従っ
てロール径差の率aが0.01〜0.08の中央から対称に端部
に行くに従って順次径の増大のせしめられる凹部を有す
る形状に数値制御されたロールグラインダで研磨加工し
て形成されたしわ防止ロールを、圧延機の圧延ロールと
その両側のデフレクタロールとの圧延通板ライン間に配
置し、かかる被圧延鋼帯を各圧延通板ラインより押し込
んで冷間圧延した処、圧延された被圧延鋼帯には前記諸
欠点の発生していない良好な品質の被圧延鋼帯である極
薄金属帯を製造することができた。
【0018】実施例3 図8に概略図示されるような、丸刃物を有するスリッタ
装置7a,ルーピングピット7b,デフレクタロール7c,多
条に裁断された極薄金属帯及び両エッジのサイドトリミ
ングされた極薄金属帯6を巻取るテンションリール7d等
を備えたスリッタライン7において、板厚が0.05〜0.2m
mの範囲で,板幅が600〜1050mmの範囲のステンレス鋼帯
や高Ni含有鋼帯にユニットテンション(単位張力)とし
て3〜10kgf/mm2の張力を付与した状態で多数の該当コ
イルを両エッジのみサイドトリミングしてテンションリ
ール7dに巻取った結果、従来デフレクタロール7cとテン
ションリール7dとの通板ライン上にある該当鋼帯に座屈
波が発生するだけでなくすじ延び状やすじ延び模様状の
欠陥が発生することがあったが、前記一般式(1)に従
ってロール径差の率aが0.05〜0.15の範囲にあり、バレ
ル長が1300mm,端部の直径(Do)が80mm,中央の直径
(Dc)が70mmで中央から対称に両端部にかけて中央が
0度で端部が90度となるサインカーブの凹部を形成す
るような形状のしわ防止ロール5を、このデフレクタロ
ール7cとテンションリール7dとの通板ライン上であって
テンションリール7dの巻取り該当鋼帯コイルCの巻太り
コイル径を考慮して極力近接した位置に配置して、通板
しつつ、巻取り前の該当鋼帯6を通板ラインより押し込
みながら巻取った処、前記諸欠点の発生していない良好
の品質の極薄金属帯コイルCとして巻取ることができ
た。
【0019】実施例4 図9に概略図示されるような、矯正装置8a,ピンチロー
ル8b,デフレクタロール8c及びテンションリール8d等を
備えていて極薄金属帯に引き延ばし曲げ加工を施してそ
の形状を矯正する形状矯正ライン8において、板厚が0.
05〜0.2mmの範囲で,板幅が600〜1050mmの範囲のステン
レス鋼帯や高Ni含有鋼帯にユニットテンション(単位張
力)として3〜10kgf/mm2の張力を付与した状態で多数
の該当コイルを形状矯正してテンションリール8dに巻取
った結果、やはり図8に図示し説明した如く、諸欠陥が
発生することがあったが、ほぼ同様な形状のしわ防止ロ
ール5を、同様な位置に配置して、通板し巻取り前の該
当鋼帯6を通板ラインより押し込みながら巻取った処、
諸欠陥の発生していない良好の品質の極薄金属帯コイル
Cとして巻取ることができた。
【0020】
【発明の効果】以上に詳述した如く、本発明に係る通板
中の極薄金属帯に発生する座屈波やしわ防止ロールとそ
の使用方法は、中央から対称に端部に行くに従って径を
順次増大せしめられる断面弧状の凹部を有する形状に形
成されたしわ防止ロールを用いて、通板ライン上に通板
される極薄金属帯を押圧して通板ラインより押し込んだ
状態にして通板し得るようにしたことによって、通板中
の極薄金属帯を板幅方向(両エッジ方向)に引き延ばそ
うとする引張力を付与することができるので、種々の加
工処理を施しながら極薄金属帯を製造する場合に以下に
列挙する如き種々の効果を奏するものであり、その工業
的価値の非常に大きなものである。
【0021】(1)極薄金属帯に付与される通板方向の
過張力により発生する座屈波や座屈変形が防止されて、
極薄金属帯に生ずる折れ疵等の諸欠陥をなくすことがで
きるので、歩留が向上する。 (2)極薄金属帯の板幅方向に生ずる座屈を防止するた
めに、逆に極薄金属帯の通板方向に付与する張力を低下
させなくとも良いから、通板方向に付与する張力不足に
起因して発生する縦しわやクロスバックルの欠陥も発生
させずに済むので、良好な品質の極薄金属帯を安定して
製造できるようになり、更に歩留も向上する。 (3)従来背反する張力条件下でいずれの条件にあって
も発生していた折れ疵とか縦しわやクロスバックル等の
諸欠陥を防止することが困難であったところの板厚が0.
3mm以下で特に0.1mm以下のフォイルように非常に薄く且
つ板幅の広い極薄金属帯を圧延すること或いは圧延以外
の加工処理することも可能となるので、金属帯の圧延分
野のみならず、電気・電子等の産業分野に貢献するとこ
ろが大きい。 (4)従来の圧延設備においてしわ防止ロールを変更す
るだけで実施できるし、他設備においても当該ロールを
備えた簡単な機構を有する装置として配置し実施できる
ため、設備費が少なく経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係り通板中の極薄金属帯に発生する座
屈波や諸欠陥を防止する圧延通板方法をリバース圧延機
で実施している状態を示す説明図である。
【図2】本発明に係るしわ防止ロールの1例を示す正面
説明図である。
【図3】通板方向に付与された過張力に起因して発生す
る極薄金属帯の座屈波を局部的に示す説明図である。
【図4】通板方向に付与された過張力に起因し急峻な座
屈波(又は座屈)の発生した極薄金属帯が圧延ロール間
で圧下され又はデフレクタロールやペイオフ兼テンショ
ンリールに接触して折れ疵等の欠陥を生じるに至る過程
の説明図である。
【図5】通板方向に付与された過張力に起因して圧延機
の圧延ロールの出側に折れ疵(欠陥)が発生する状態を
示す説明図である。
【図6】通板方向に付与される張力が圧延機の圧延ロー
ルを境にした前方向及び後方向のバランス崩れを含んで
基本的に低過ぎるために圧延ロールバイト出側に縦しわ
(欠陥)が発生する状態を示す説明図である。
【図7】本発明に係るしわ防止ロールに巻き付いて通板
している極薄金属帯に板幅方向に引張力の発生する状態
を示す説明図である。
【図8】本発明に係るしわ防止ロールをスリッターライ
ン内に配置して極薄金属帯の両エッジのみをサイドトリ
ミングし巻取る際に使用する実施例図である。
【図9】本発明に係るしわ防止ロールを形成矯正ライン
内に配置して極薄金属帯に伸長・曲げ加工を施して巻取
る際に使用する実施例図である。
【符号の説明】 1 圧延機 1a 圧延ロール 2 ペイオフ兼テンションリール 3 ペイオフ兼テンションリール 4 デフレクタロール 5 しわ防止ロール 5’ 従来のしわ防止ロール 6 極薄金属帯 7 スリッターライン 7a 回転丸刃物を有するスリッター装置 7b ルーピングピット 7c デフレクタロール 7d テンションリール 8 形状矯正ライン 8a 伸長・曲げ加工を施す形状矯正装置 8b ピンチロール 8c デフレクタロール 8d テンションリール C 極薄金属帯コイル Dc しわ防止ロールの凹部中央の直径 Do しわ防止ロールの凹部両端の直径

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中央から対称に端部に行くに従って径を
    順次増大せしめられる断面弧状の凹部を有する形状が、
    以下の一般式に示す条件に従って形成されていることを
    特徴とする通板中の極薄金属帯に発生する座屈波やしわ
    等の防止ロール。 〔一般式〕 Dx=aDo・sin(πx/L) 但し、Dx:ロール端部から任意の距離xにおけるロール直径(mm) Do:ロール端部の直径(ロール基礎径)(mm) L:ロール長さ(有効形状のロール長さ)(mm) x:ロール長さLにおけるロール端部からの任意な距離(mm) a:ロール径差の率であってa=0.01〜0.15(無次限数)
  2. 【請求項2】 通板ラインで張力が付与されて通板され
    ている極薄金属帯を、中央から対称に端部に行くに従っ
    て径を順次増大せしめられる断面弧状の凹部を有する形
    が、以下の一般式に示す条件に従って形成されている
    ロールで押圧して、通板ラインより押し込んだ状態にし
    て通板することを特徴とする通板中の極薄金属帯に発生
    する座屈波やしわ等の防止ロールの使用方法。 〔一般式〕 Dx=aDo・sin(πx/L) 但し、Dx:ロール端部から任意の距離xにおけるロール直径(mm) Do:ロール端部の直径(ロール基礎径)(mm) L:ロール長さ(有効形状のロール長さ)(mm) x:ロール長さLにおけるロール端部からの任意な距離(mm) a:ロール径差の率であってa=0.01〜0.15(無次限数)
  3. 【請求項3】 一方のペイオフ兼テンションリール(2)
    に装着した極薄金属帯コイル(C)から巻戻された極薄金
    属帯(6)を、デフレクタロール(4,4)を介して他方の
    ペイオフ兼テンションリール(3)で巻取りつつ圧延ロー
    ル(1a)でリバース圧延を行うリバース式圧延機(1)を用
    いて、当該圧延通板ラインに沿って極薄金属帯(6)に張
    力を付与せしめながらリバース圧延通板するに際し、圧
    延通板している極薄金属帯(6)を、中央から対称に端部
    に行くに従って径を順次増大せしめられる断面弧状の凹
    部を有する形状が、以下の一般式に示す条件に従って
    成され且つ該圧延ロール(1a)とデフレクタロール(4,
    4)との圧延通板ライン間及び/又はデフレクタロール
    (4,4)とペイオフ兼テンションリール(2,3)との圧
    延通板ライン間の各所定位置に配置されている各ロール
    で押圧して、各圧延通板ラインより押し込んだ状態にし
    て圧延通板することを特徴とするリバース圧延通板中の
    極薄金属帯に発生する座屈波やしわ等の防止ロールの使
    用方法。 〔一般式〕 Dx=aDo・sin(πx/L) 但し、Dx:ロール端部から任意の距離xにおけるロール直径(mm) Do:ロール端部の直径(ロール基礎径)(mm) L:ロール長さ(有効形状のロール長さ)(mm) x:ロール長さLにおけるロール端部からの任意な距離(mm) a:ロール径差の率であってa=0.01〜0.15(無次限数)
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