JPH0857516A - Ba仕上げステンレス鋼帯の冷間圧延方法 - Google Patents

Ba仕上げステンレス鋼帯の冷間圧延方法

Info

Publication number
JPH0857516A
JPH0857516A JP6193380A JP19338094A JPH0857516A JP H0857516 A JPH0857516 A JP H0857516A JP 6193380 A JP6193380 A JP 6193380A JP 19338094 A JP19338094 A JP 19338094A JP H0857516 A JPH0857516 A JP H0857516A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cold rolling
stainless steel
steel strip
pass
tension
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP6193380A
Other languages
English (en)
Inventor
Takuji Okiyama
卓司 沖山
Nobukazu Tsukuda
宣和 佃
Tsukasa Miyata
司 宮田
Hidemasa Morita
英正 守田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Steel Co Ltd filed Critical Nisshin Steel Co Ltd
Priority to JP6193380A priority Critical patent/JPH0857516A/ja
Publication of JPH0857516A publication Critical patent/JPH0857516A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Winding, Rewinding, Material Storage Devices (AREA)
  • Control Of Metal Rolling (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 合紙の使用量を大幅に低減することができる
BA仕上げステンレス鋼帯の冷間圧延方法を提供する。 【構成】 ステンレス鋼帯コイル23は、20段ゼンジ
ミアミル11の前面リール13に装着された後、巻戻さ
れ、上下一対の小径ワークロール17に圧延剤とともに
噛み込まれて冷間圧延され、後面リール14に巻取られ
る。1パス目の冷間圧延終了後、圧下調整が行われ、1
パス目とは逆方向に2パス目の冷間圧延が行われる。こ
のレバース冷間圧延は繰り返し行われる。レバース冷間
圧延中、途中パスでは、ステンレス鋼帯25はnパス目
の巻戻し張力とn−1パス目の巻取り張力との差の絶対
値が2.0kgf/mm2 以下になるよう張力が設定さ
れ、合紙を用いないで冷間圧延される。一方、仕上げパ
スでは、ステンレス鋼帯25はコイル層間に合紙24を
挿入しながら巻取られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス鋼帯を冷間
圧延してBA(光輝焼鈍)仕上げの表面仕上げ製品に製
造するためのBA仕上げステンレス鋼帯の冷間圧延方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼帯は、様々な用途に対応す
るために、JISG4305に規定されているような種
々の表面仕上げ、たとえばBA仕上げ、No.2D仕上
げ、No.2B仕上げおよび研磨仕上げなどに仕上げら
れた製品となるように製造されている。これらのうちで
表面品質自体やその程度(格付け限度)に対する要求が
厳しく、このような厳しい要求を満たした製品に仕上げ
るために製造する上で種々の困難さを伴うものの1つ
に、BA仕上げステンレス鋼帯がある。このようなBA
仕上げステンレス鋼帯は、たとえば鏡面母材用、厨房用
および家電用などに用いられ、疵や汚れなどのない優れ
た表面性状、表面光沢性および表面解像度などが要求さ
れる。BA仕上げステンレス鋼帯は、焼鈍、脱スケール
工程、研磨工程、冷間圧延工程、光輝焼鈍工程、調質冷
間圧延工程を経て製造されている。焼鈍脱スケール工程
では、たとえば特開昭59−441482号公報に開示
されているような焼鈍装置および脱スケール装置とから
成る一連の焼鈍脱スケール設備によって焼鈍脱スケール
処理が行われる。脱スケール処理は、機械的処理と化学
的処理とを組合わせて構成されている。研磨工程では、
連続研磨装置によってステンレス鋼帯表面の疵が除去さ
れる。疵取りは、粒径の比較的大きい研磨剤を塗布した
エンドレスベルトを用いて行われる。
【0003】冷間圧延工程では、レバース式クラスタ型
冷間圧延機、たとえば20段ゼンジミアミルによって冷
間圧延が行われる。20段ゼンジミアミルは、直径の小
さいワークロールたとえば、直径40〜120mmのワ
ークロールを備えており、ミネラル油を圧延剤として使
用している。このミネラル油は、低粘度鉱油のストレー
ト油である。一般に被冷間圧延鋼帯の表面光沢性および
表面解像度は、冷間圧延機の粗さの小さいワークロール
面でもって圧延剤の薄膜を介して被圧延鋼帯の表面を擦
することで得られるので、圧延剤の膜厚が薄いほど表面
光沢性および表面解像度は向上する。この膜厚は圧延剤
の粘度が低いほど薄くなるので、圧延剤の粘度が低いほ
ど表面光沢性および表面解像度は向上する。またワーク
ロールの直径が小さいほど、圧延剤がワークロールとス
テンレス鋼帯との接触面に滑り込み難くなるので、接触
面内の膜厚が薄くなり、表面光沢性および表面解像度は
向上する。したがって、20段ゼンジミアミルを用いて
ミネラル油を圧延剤として冷間圧延を行うとき、ステン
レス鋼帯は極めて優れた表面光沢性および表面解像度を
示す。
【0004】前述のようにBA仕上げステンレス鋼帯に
は、前記特性に加えさらに疵や汚れのない優れた表面性
状が要求される。このため表面疵の存在は、BA仕上げ
以外の前記表面仕上げのものに比べて非常に微細なもの
まで目視確認されやすく、BA仕上げステンレス鋼帯に
とって致命的な欠陥となり、その発生は許されない。一
般にステンレス鋼帯は、普通鋼鋼帯などと比べて変形抵
抗が高く、硬質であり、加工硬化も激しい。このためス
テンレス鋼帯は、冷間圧延時に大きな圧延荷重を必要と
し、1チャンス(1回)の冷間圧延において冷間圧下率
を大きくとることができない。しかしながらこの圧延荷
重は、圧延張力を大きくとるほど低減することができる
ので、ステンレス鋼帯は大きな圧延張力のもとで冷間圧
延される。圧延張力は、通常巻取りリールによって付与
されるので、ステンレス鋼帯は大きな巻取り張力のもと
で巻き取られる。巻取り張力の大きいステンレス鋼帯コ
イルは、巻戻し時に巻き緩みによる層間スリップ疵が発
生しやすい。このため従来からこのような層間スリップ
疵の防止方法として、連続的に巻き取られながら巻き重
ねられるステンレス鋼帯コイルの層間に合紙を挿入する
方法が採用されている。
【0005】図3は、レバース式クラスタ型冷間圧延機
における合紙の挿入、抜き取り状況を示す模式図であ
る。ステンレス鋼帯コイル8は、前面リール2に装着さ
れた後、前面リール2から巻き戻され、デフレクタロー
ル6を介してレバース式クラスタ型冷間圧延機1で冷間
圧延される。ステンレス鋼帯コイル8は、前工程でこの
コイル層間に合紙が挿入されているので、巻戻しの際に
は合紙9が抜き出され、前面合紙リール4に巻き取られ
る。クラスタ型冷間圧延機1で冷間圧延されたステンレ
ス鋼帯は、デフレクタロール7を介して後面リール3に
巻き取られる。巻取りの際には、後面合紙リール5から
合紙9が巻き出され、巻き重ねられるステンレス鋼帯コ
イル8の層間に挿入される。1パス目の冷間圧延が終了
した後、所定の圧下調整が行われ、1パス目と逆方向に
2パス目の冷間圧延が行われる。2パス目の冷間圧延中
における合紙の抜き出し、挿入は、1パス目の場合とは
逆になり、後面リール3において合紙の抜き取りが行わ
れ、前面リール2において合紙の挿入が行われる。合紙
の挿入、抜き取りは各パス毎に行われるので、ステンレ
ス鋼帯コイル8の層間スリップ疵は完全に防止される。
【0006】BA仕上げステンレス鋼帯は、通常冷間圧
延工程に引き続き光輝焼鈍工程、調質圧延工程などに投
入される。光輝焼鈍工程では、光輝焼鈍設備によって光
輝焼鈍が行われる。光輝焼鈍は、冷間圧延により加工硬
化したステンレス鋼帯を表面光沢性および表面解像度を
低下させないで軟化、焼鈍させるために行われる。調質
圧延工程では、調質圧延機によってブライト調質圧延が
行われる。ブライト調質圧延は、ブライトロールを用い
て軽圧下率で行われる。BA仕上げステンレス鋼帯の表
面光沢性および表面解像度は、ブライト調質圧延によっ
てさらに向上する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来技術では、BA仕
上げステンレス鋼帯の製造に際して冷間圧延工程におい
て合紙がコイル層間に挿入される。合紙は、層間スリッ
プ疵を防止するために有効であるけれども、油分が付着
すると強度が低くなるので、紙切れが生じやすくなる。
このため合紙を用いることによって、次のような問題点
が生じる。 紙しわや紙切れ、さらに千切れた小さな紙や一層細か
な紙繊維の噛み込みなどによってステンレス鋼帯の表面
品質低下が生ずる。 紙切れ事故ならびに合紙挿入によって能率および生産
性が大幅に低下する。 合紙は高価であるので、ランニングコストが増加す
る。
【0008】これら問題点は、BA仕上げステンレス鋼
帯の表面品質、生産、コスト等全般に影響を及ぼす問題
点であるので、種々の観点から解決策、たとえばこのよ
うな合紙を用いないですむ冷間圧延方法や合紙の使用を
大幅に低減できる冷間圧延方法、油分が存在し少々の高
温使用条件下においても丈夫で安い合紙あるいはこれに
準ずるものの開発およびこれらの使用方法などが従来か
ら検討されている。しかしながら、現在まで有効な解決
策は見い出されていない。このため従来どおり合紙は使
用されている。
【0009】本発明の目的は、ステンレス鋼帯コイルの
層間スリップを防止するために用いられている合紙の使
用量を大幅に低減することのできるBA仕上げステンレ
ス鋼帯の冷間圧延方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、ステンレス鋼
帯をレバース式クラスタ型冷間圧延機によってBA仕上
げ冷間圧延する方法において、仕上げパスを除くnパス
目の巻戻し張力をTn(kgf/mm2)、n−1パス目
の巻取り張力をTn-1(kgf/mm2)とするとき、不
等式 |Tn−Tn-1|≦2.0 を満たす張力設定値のもとで冷間圧延することを特徴と
するBA仕上げステンレス鋼帯の冷間圧延方法である。
また本発明は、ステンレス鋼帯をレバース式クラスタ型
冷間圧延機によってBA仕上げ冷間圧延する方法におい
て、仕上げパスでは巻取りコイル層間に合紙を挿入しな
がら巻き取ることを特徴とする。
【0011】
【作用】本発明に従えば、レバース式クラスタ型冷間圧
延機によって冷間圧延する際に、仕上げパスを除くnパ
ス目の巻戻し張力値と、n−1パス目の巻取り張力値と
の差の絶対値が2.0kgf/mm2以下になるように冷
間圧延される。これによって巻戻し張力と、前パスの巻
取り張力との張力差が小さい状態で巻戻しが行われるの
で、巻戻し時に生じやすい巻き緩みによる層間スリップ
疵が防止される。このため、仕上げパスを除いて合紙を
用いないで冷間圧延することが可能となる。
【0012】また本発明に従えば、レバース式クラスタ
型冷間圧延機によって冷間圧延する際に仕上げパスで
は、ステンレス鋼帯はコイル層間に合紙を挿入しながら
巻き取られる。これによって、次工程における巻戻し時
に層間スリップ疵の発生が防止される。
【0013】
【実施例】本発明法について図1〜図2を用いて説明す
る。図1は本発明法を好適に実施することのできる20
段ゼンジミアミルの簡略化された構成を示す側面図であ
り、図2は図1に示す20段ゼンジミアミルの冷間圧延
張力制御系統図である。
【0014】図1に示すように、代表的なレバース式ク
ラスタ型冷間圧延機である20段ゼンジミアミル11
は、ミル本体12と前面リール13と、後面リール14
と、前面デフレクタロール15と後面デフレクタロール
16と、前面合紙リール21と、後面合紙リール22と
を含んで構成される。ミル本体12は、ステンレス鋼帯
25に当接する小径ワークロール17と、ワークロール
17を支持する2本の第1中間ロール18と、第1中間
ロール18を支持する3本の第2中間ロール19と、第
2中間ロール19を支持する4本の分割補強ロール20
とを含んで構成される。このロール配列は、ステンレス
鋼帯25を挟んで上下対称に配設されている。
【0015】BA仕上げステンレス鋼帯は、従来技術と
同様に焼鈍脱スケール工程、研磨工程を経て冷間圧延工
程に投入される。冷間圧延工程では、20段ゼンジミア
ミル11によって圧延剤を使用しながら冷間圧延が行わ
れる。ステンレス鋼帯コイル23は、20段ゼンジミア
ミル11の前面リール13に装着された後、巻き戻され
前面デフレクタロール15を介して圧延剤とともにミル
本体12に通板される。巻き戻されたステンレス鋼帯2
5は、ミル本体12の上下一対の小径ワークロール17
に圧延剤とともに噛み込まれて1パス目の所定板厚が得
られるように冷間圧延される。ステンレス鋼帯コイル2
3には、前工程でコイル層間に合紙24が挿入されてい
るので、巻戻しの際には合紙24はコイル層間から連続
的に抜き出され前面合紙リール21に巻き取られる。1
パス目の冷間圧延を終了したステンレス鋼帯25は、後
面デフレクタロール16を介して後面リール14に巻き
取られる。後面リール14に巻き取られる際には、合紙
24は挿入されない。ステンレス鋼帯25が後面リール
14に巻き取られた後、ステンレス鋼帯25は加速さ
れ、所定の圧延張力が付与される。このような冷間圧延
中の張力制御は、次のように行われる。
【0016】図2に示すように冷間圧延張力制御は、閉
ループ制御が行われる。張力検出器31によって検出さ
れた圧延張力Tは、演算器32に入力信号として与えら
れ、予め定められた張力設定値To との偏差ΔTが演算
される。張力偏差ΔTは、加算器33に入力信号として
与えられ、張力設定値TO が補正される。補正された補
正張力指令値は、演算器34に入力信号として与えられ
る。一方後面デフレクタロール16に設置されているパ
ルスジェネレータ38の出力は、冷間圧延速度信号とし
て演算器36に与えられ、後面リール14のモータ37
に設置されているパルスジェネレータ39の出力は後面
リール回転数信号として演算器36に与えられる。演算
器36では、これら冷間圧延速度信号と後面リール回転
数信号とを用いてステンレス鋼帯コイル23の外径が演
算され、演算器34に入力信号として与えられる。演算
器34では、前記補正張力指令値と該ステンレス鋼帯コ
イル23の外径とを用いてトルクが演算され、トルク指
令値としてモータ37の制御装置35に与えられる。制
御装置35では、トルクがトルク指令値に合致するよう
にモータ37の電流値が制御される。これによって冷間
圧延張力は、張力設定値に合致するように閉ループ制御
が行われる。この図2においては、20段ゼンジミアミ
ル11の後面側の冷間圧延張力制御系統図を示している
けれども、その前面側においても全く同様に冷間圧延張
力制御が行われる。また冷間圧延張力制御として開ルー
プ制御が行われてもよい。1パス目の冷間圧延終了後、
予め定める冷間圧延パススケジュールに従って圧下調整
が行われ、1パス目とは逆方向に2パス目の冷間圧延が
行われる。冷間圧延中の冷間圧延張力制御は、前記の方
法と全く同様に行われ、巻取り張力ならびに巻戻し張力
が各設定張力値に合致するように閉ループ制御が行われ
る。このように冷間圧延張力制御されながら行われるレ
バース冷間圧延は、ステンレス鋼帯25の板厚が最終目
標板厚に達するまで繰り返して行われる。冷間圧延中、
巻取り張力ならびに巻戻し張力は、仕上げパスを除いて
nパス目の巻戻し張力とn−1パス目の巻取り張力との
差の絶対値が2.0kgf/mm2以下になるように設定
される。またこのようなレバース冷間圧延中、最終の仕
上げパスを除く途中パスでは、合紙は使用されない。
【0017】表1に、本発明者らの調査した冷間圧延条
件と層間スリップ発生状況に関する調査結果を示す。表
1に示す調査に使用したステンレス鋼帯コイル23の鋼
種は代表的なSUS304であり、冷間圧延に先立って
焼鈍酸洗処理の施された出発材料である熱間圧延ステン
レス鋼帯の寸法は、板厚2.5mm、板巾1250mm
であった。ステンレス鋼帯コイル23は、コイルAおよ
びコイルBの2コイル使用した。コイルAとコイルBと
は、同一の製鋼溶製チャージの中から選択した。冷間圧
延は、図1に示す20段ゼンジミアミル11によって行
われた。冷間圧延パススケジュール、出側圧延速度およ
び巻取り張力は、コイルAおよびコイルBとも同一に設
定した。巻戻し張力は、コイルAとコイルBとで異なる
値に設定した。表1中の張力差は、nパス目の巻戻し張
力とn−1パス目の巻取り張力の差の絶対値を示した。
また冷間圧延中、合紙は使用しなかった。層間スリップ
疵は、各冷間圧延パス毎に目視検査によって判定した。
表1中の○印は層間スリップ疵の発生が認められない表
面品質良好な評価を示す記号であり、×印は層間スリッ
プ疵の発生が認められる表面品質不良な評価を示す記号
である。表1から、nパス目の巻戻し張力とn−1パス
目の巻取り張力の差の絶対値を示す張力差が、2.0k
gf/mm2以下のときには、合紙を使用しなくても層
間スリップ疵が発生しないけれども、張力差が2.0k
gf/mm2を超えると層間スリップ疵が発生すること
が判る。張力差が2.0kgf/mm2以下において層間
スリップ疵が発生しないのは、巻戻し時の巻き緩みが小
さいことによるものと考えられる。本発明において、仕
上げパスを除いてnパス目の巻戻し張力とn−1パス目
の巻取り張力との差の絶対値を2.0kgf/mm2以下
に限定しているのはこのような理由によるものである。
【0018】
【表1】
【0019】以上に説明した冷間圧延中の途中パスと違
って、最終の仕上げパスにおいては、合紙が使用され
る。冷間圧延パス回数が奇数の場合、仕上げ冷間圧延さ
れたステンレス鋼帯25は、デフレクタロール16を介
して後面リール14に巻取られる。この巻取りはステン
レス鋼帯コイル23の層間に合紙24を挿入しながら行
われる。合紙24は、後面合紙リール22から巻戻され
て供給される。この仕上げパスにおいて合紙24が使用
されるのは、次工程の光輝焼鈍設備におけるステンレス
鋼帯コイル23の巻戻し張力が20段ゼンジミアミル1
1における巻取り張力と比べて通常非常に小さいので、
合紙24がコイル層間に挿入されていなければ巻き緩み
による層間スリップ疵の発生が避けられないためであ
る。以上述べたようにステンレス鋼帯25は、仕上げパ
スを除く途中パスでは合紙を用いなくても張力差設定に
よって、仕上げパスでは合紙を用いることによって、冷
間圧延中ならびに次工程において層間スリップ疵を防止
することができる。BA仕上げステンレス鋼帯は、冷間
圧延工程に引き続き従来技術と同様に光輝焼鈍工程、調
質圧延工程などに投入され製造されて、製品化される。
【0020】以下に、本発明法により冷間圧延したステ
ンレス鋼帯の優れた表面品質を実施例により説明する。
表2に本発明の条件を満足する実施例と、本発明の条件
から外れる比較例の冷間圧延条件および表面品質調査結
果を示す。実施例および比較例において、冷間圧延に先
立って焼鈍酸洗処理の施された出発材料としての熱間圧
延ステンレス鋼帯の鋼種は代表的なSUS304であ
り、その板厚は3.5mmであった。冷間圧延は、図1
に示す20段ゼンジミアミル11によって行い、冷間圧
延後の板厚は0.8mmまたは0.6mmであった。表2
に示すように、仕上げパスを除く途中パスのnパス目の
巻戻し張力とn−1パス目の巻取り張力との差の絶対値
を示す張力差は、実施例1〜4では本発明の条件を満足
する2.0kgf/mm2以下の値に、比較例1〜5では
本発明の条件を外れる2.0kgf/mm2を超える値に
コイル毎にそれぞれ設定されている。コイル毎にそれぞ
れ設定された張力差は、途中パス中設定値のまま一定に
保持された。合紙は、実施例1〜4では仕上げパスのみ
に使用し、比較例1〜5では表2に示すような組合わせ
で使用した。表面品質を表す層間スリップ疵は目視検査
により判定した。表2中の○印と×印の記号の定義は表
1の場合と同様である。表2から本発明の条件を満足す
る実施例は、層間スリップ疵が発生せず優れた表面品質
を示すけれども、本発明の条件を外れた比較例はいずれ
も層間スリップ疵が発生しており、表面品質が不良であ
ることが判る。以上より本発明の冷間圧延方法は仕上げ
パスを除く途中パスで合紙を用いなくても層間スリップ
疵が発生しない優れた冷間圧延方法であることが判る。
【0021】
【表2】
【0022】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、優れた表
面性状のBA仕上げステンレス鋼帯を製造し製品化する
ために、圧延剤を使用しながらレバース式クラスタ型冷
間圧延機によってステンレス鋼帯を冷間圧延する際に、
最終の仕上げパスを除いて巻戻し張力と前パスの巻取り
張力との張力差が小さい状態で巻戻しが行われる。これ
によって、巻戻し時に生じやすい層間スリップ疵が防止
されるので、仕上げパスを除いて合紙を用いないで冷間
圧延することができる。したがって、 実質的に合紙を用いないで冷間圧延することができる
ので、単純にコストダウンにつながるだけでなく、仕上
げパスのみに合紙を使用するにしても圧延剤の存在下で
繰返される使用によって急激に脆弱化された合紙に代え
て、新品あるいは使用回数が少なく強靭さの残っている
合紙を用いることが可能となる。 このため紙しわや紙切れのほとんど皆無化、千切れた
小さな紙片や一層細かな紙繊維の圧延噛み込みなどが防
止されるので、冷間圧延されたステンレス鋼帯の表面品
質の向上、ひいては表面性状の優れたBA仕上げステン
レス鋼帯を製造することができる。 また紙切れ事故ならびに合紙挿入回数の大幅低減によ
る能率および生産性の大幅な向上、 合紙使用量の大幅な低減や歩留り向上による原価低減
などが実現できる。
【0023】また本発明によれば、レバース式クラスタ
型冷間圧延機によって冷間圧延する際に、仕上げパスで
はステンレス鋼帯はコイル層間に合紙を挿入しながら巻
取られる。これによって次工程における巻戻し時に層間
スリップ疵の発生が防止される。このため本発明による
BA仕上げステンレス鋼帯の表面品質の向上ならびに歩
留り向上による原価低減、能率および生産性の向上、合
紙の大幅な使用節減(省資源)面で大きな効果が認めら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法を好適に実施することのできる20段
ゼンジミアミルの簡略化された構成を示す側面図であ
る。
【図2】図1に示す20段ゼンジミアミルの冷間圧延張
力制御系統図である。
【図3】レバース式クラスタ型冷間圧延機における合紙
の挿入、抜き取り状況を示す模式図である。
【符号の説明】
1 レバース式クラスタ型冷間圧延機 2,13 前面リール 3,14 後面リール 4,21 前面合紙リール 5,22 後面合紙リール 6,15 前面デフレクタロール 7,16 後面デフレクタロール 8,23 ステンレス鋼帯コイル 9,24 合紙 11 20段ゼンジミアミル 17 ワークロール 25 ステンレス鋼帯 31 張力検出器 32,34,36 演算器 33 加算器 35 制御装置 37 モータ 38,39 パルスジェネレータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 守田 英正 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製 鋼株式会社周南製鋼所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス鋼帯をレバース式クラスタ型
    冷間圧延機によってBA仕上げ冷間圧延する方法におい
    て、 仕上げパスを除くnパス目の巻戻し張力をTn(kgf
    /mm2)、n−1パス目の巻取り張力をTn-1(kgf
    /mm2)とするとき、不等式 |Tn−Tn-1|≦2.0 を満たす張力設定値のもとで冷間圧延することを特徴と
    するBA仕上げステンレス鋼帯の冷間圧延方法。
  2. 【請求項2】 ステンレス鋼帯をレバース式クラスタ型
    冷間圧延機によってBA仕上げ冷間圧延する方法におい
    て、 仕上げパスでは巻取りコイル層間に合紙を挿入しながら
    巻き取ることを特徴とする請求項1記載のBA仕上げス
    テンレス鋼帯の冷間圧延方法。
JP6193380A 1994-08-17 1994-08-17 Ba仕上げステンレス鋼帯の冷間圧延方法 Withdrawn JPH0857516A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6193380A JPH0857516A (ja) 1994-08-17 1994-08-17 Ba仕上げステンレス鋼帯の冷間圧延方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6193380A JPH0857516A (ja) 1994-08-17 1994-08-17 Ba仕上げステンレス鋼帯の冷間圧延方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0857516A true JPH0857516A (ja) 1996-03-05

Family

ID=16306966

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6193380A Withdrawn JPH0857516A (ja) 1994-08-17 1994-08-17 Ba仕上げステンレス鋼帯の冷間圧延方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0857516A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103302136A (zh) * 2013-05-28 2013-09-18 首钢总公司 一种开卷机建张控制系统及其方法
CN112974529A (zh) * 2021-02-20 2021-06-18 山西太钢不锈钢精密带钢有限公司 极薄软态亮面低粗糙度不锈钢带预防表面划伤的卷取方法
CN114011883A (zh) * 2021-10-18 2022-02-08 山西太钢不锈钢股份有限公司 300系不锈钢ba板光亮炉划伤缺陷控制方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103302136A (zh) * 2013-05-28 2013-09-18 首钢总公司 一种开卷机建张控制系统及其方法
CN112974529A (zh) * 2021-02-20 2021-06-18 山西太钢不锈钢精密带钢有限公司 极薄软态亮面低粗糙度不锈钢带预防表面划伤的卷取方法
CN112974529B (zh) * 2021-02-20 2023-12-12 山西太钢不锈钢精密带钢有限公司 极薄软态亮面低粗糙度不锈钢带预防表面划伤的卷取方法
CN114011883A (zh) * 2021-10-18 2022-02-08 山西太钢不锈钢股份有限公司 300系不锈钢ba板光亮炉划伤缺陷控制方法
CN114011883B (zh) * 2021-10-18 2023-03-31 山西太钢不锈钢股份有限公司 300系不锈钢ba板光亮炉划伤缺陷控制方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5606787A (en) Continuous method for producing final gauge stainless steel product
JP4231932B2 (ja) 熱間圧延ストリップの加工方法
EP1159091A1 (en) Method for manufacturing of strips and rolling mill line
KR20020079921A (ko) 열간압연방법 및 열간압연라인
JPH0857516A (ja) Ba仕上げステンレス鋼帯の冷間圧延方法
US4467954A (en) Process for obtaining a composite article
JP2001071019A (ja) スケール密着性に優れた高炭素熱延鋼板の製造方法
JPH04294813A (ja) 通板中の極薄金属帯に発生する座屈波やしわ等の防止ロールとその使用方法
JP5752406B2 (ja) 化成処理性に優れた鋼板の製造方法及び製造設備
JPH0957303A (ja) 連続熱延設備
JPS63104704A (ja) 圧延処理による金属テ−プを作る方法およびロ−ル列
JPH07328719A (ja) 金属帯の低張力巻取り方法および装置
JP2760387B2 (ja) ステンレス・アルミニウムクラッド材の製造方法
JP2003220401A (ja) 熱間圧延方法および熱間圧延ライン
JP4927320B2 (ja) 光輝焼鈍仕上オーステナイト系ステンレス鋼帯の製造方法
JPH0824904A (ja) 金属帯の製造方法
JPH1094811A (ja) 熱延連続化プロセスにおける鋼板の圧延順決定方法
JP2000282152A (ja) 加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法
JP3443286B2 (ja) 酸洗設備
JP2004283900A (ja) 鋼板の巻き取り方法
JPS58215206A (ja) 重ね圧延による冷延鋼板の製造法
JPH07148506A (ja) 高光沢材の圧延方法
JP3475218B2 (ja) 鋼板の巻取り方法
JP2578040B2 (ja) 超高珪素電磁鋼板の製造方法
JPS5827004B2 (ja) 連続冷間圧延設備

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20011106