JP3443286B2 - 酸洗設備 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、高冷延率の必要の
ない熱延鋼板の脱スケールと冷間圧延を１プロセスで連
続して行うようにした酸洗設備に関する。

【０００２】

【従来の技術】酸洗済熱延鋼板及び、冷延・メッキ鋼板
は、通常、熱延鋼板を酸洗により表面の酸化皮膜を除去
した後、酸洗済熱延鋼板は、ホットスキンパスし、精整
工程を経て製造される。一方、冷延・メッキ鋼板は、冷
間圧延し、クリーニング、焼鈍・メッキ及び調質圧延工
程を経て製造される。

【０００３】即ち、図１に示す如く従来の酸洗設備は、
熱延コイルをペイオフリール(1) に挿入した後、捲き戻
されてアンコイラー(2) 、シャー(3) 、ウエルダー(4)
、ブライドルロール(5) 、入側ループカー(6) 、ブラ
イドルロール(7) を経て、スケール除去装置(8) に通板
され、熱延鋼板の表面のスケールを除去し、次いでブラ
イドルロール(9) 、出側ループカー(10)、ブライドルロ
ール(11)を経た後、熱延鋼板のエッジをトリマー(12)で
スリットし、検査セクション(13)、シャー(14)を経てテ
ンションリール(15)に巻き取られる。

【０００４】巻き取られた酸洗済熱延鋼板の一部は、別
ラインのホットスキンパス工程で軽圧下（１〜３％）で
形状矯正の圧延を行い酸洗済熱延鋼板として出荷され
る。その他の酸洗済熱延鋼板は、冷延・メッキ鋼板を製
造するために冷間圧延工程を経て、次工程へ送られる。

【０００５】このように、従来の酸洗設備は熱延鋼板の
表面に付着しているスケール（酸化膜）をスケール除去
装置を通して除去するのみで圧延機を具備していないの
が一般的である。しかし、スケールの除去効率を上げる
ため、近年、スケール除去装置に入る前にスケール層の
表面に亀裂を入れるスキンパス圧延機を具備する酸洗設
備、あるいは、例えば特開平9-164415号公報の如く、酸
洗槽の前段で高圧下圧延機により圧延を施し、スケール
層を粉砕した後に酸洗する酸洗設備も知られている。こ
れらの酸洗設備は、何れもスケール層を除去するために
酸洗槽の前段に圧延機を具備するものである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来は、スケール除去
及び冷間圧延（タンデム）が別の工程であったための弊
害、工程間のハンドリング疵・錆・物流の錯綜等があ
り、問題となっていた。

【０００７】冷間圧延（タンデム）では、通常、多スタ
ンド（４〜６スタンド）によって、圧下率６０〜８０％
で製造している。したがって、高冷延率の必要のない材
料は、多スタンドであるがために必要以上の高冷延率を
取らざるをえず、変動費ロスを生じている。中には、中
間スタンドを飛ばして、例えば３つのスタンドで圧下率
１０〜５０％圧延を実施している例もあるが、中間スタ
ンドを飛ばすために必要な機能を追加する必要があった
り、飛ばし圧延への切替のための生産性ロス等、コスト
高を伴なう弊害が生じている。

【０００８】また、酸洗済熱延鋼板をレバースミルにて
圧延することが一部行われているが、レバースミルは、
単スタンドではあるがミル前後にブライドルを持たない
ので、圧延前後張力が高くとれず、例えば高冷延率の必
要のない材料（圧下率１０〜５０％）を製造する場合で
も、１パス圧延では必要圧下率が足りない場合があり、
３パス以上の奇数パス圧延が必要となるため、連続して
鋼板を製造する（連続ミル）ことが不可能であり、バッ
チミルの弊害が生産性・品質において生じている。

【０００９】更に、酸洗した後、テンションリールに巻
き取られる間に、熱延鋼板の形状が不良の場合、熱延鋼
板とガイドテーブル等との間で摺疵が発生し、この点に
おいても問題となっていた。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明に係る酸洗設備
は、高冷延率の必要のない熱延鋼板の脱スケールと冷間
圧延を行う酸洗設備であって、酸洗設備内部のスケール
除去装置の後段位置に、前後にブライドルロールを備
え、１パスで圧下率１０〜５０％の圧延を付与する単ス
タンドの冷間圧延機を具備させ、熱延鋼板の脱スケール
と冷間圧延を酸洗設備内部において１プロセスで連続し
て行うことを特徴とするものである。

【００１１】即ち、本発明は冷延・メッキ鋼板の製造に
おいても圧下率の少ない（圧下率５０％以下）ものは、
必ずしもタンデム圧延機（多スタンド圧延機）を通す必
要がなく、スケール除去装置の後段の酸洗設備内部に単
スタンドの冷間圧延機を設ければ良いとする思い切った
発想によりなされているものである。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明の酸洗設備は、酸洗設備内
部のスケール除去装置の後段位置に、冷間圧延工程を設
けたものであり、スケール除去装置の後段位置に、前後
にブライドル装置を持った単スタンド圧延機が配置され
る。この圧延機前後のブライドルにより高張力圧延が実
現でき、単スタンド１パスで圧下率を１０〜５０％まで
任意に付与することが可能となる。したがって、レバー
スの必要はなく単スタンド１パス圧延で、連続して鋼板
を製造することができる。

【００１３】図２に、単スタンドでの限界圧下率とワー
クロール径の関係を示す。一般的なワークロール径範
囲、高張力圧延においての一般材の限界圧下率は約５５
％である。理論上は、圧延荷重限界・ヘルツ応力限界・
トルク伝達限界・スリップ限界の何れかが律速となり限
界値が決まってくるが、実際は圧下率５０％を超えるレ
ベルで、圧延時に発生する板のスライド（板の横流れ）
による事故や、形状不良等の品質トラブルが発生しやす
くなるため、圧下率５０％が単スタンド１パス圧延での
現実的な限界値と考える。

【００１４】

【００１５】次に、本発明の酸洗設備内部のスケール除
去装置の後段位置に単スタンドの冷間圧延機を設置した
場合のライン配置列を図３に示す。図３において、(1)
はペイオフリール、(2) はアンコイラーで、熱延コイル
を熱延鋼板としてラインに送り出す。ラインに送り出さ
れた熱延鋼板はシャー(3)、ウエルダー(4) 、ブライド
ルロール(5) 、入側ループカー(6) 、ブライドルロール
(7) 、スケール除去装置(8) 及び、圧延機入側ブライド
ルロール(20)を順番に通過して単スタンド圧延機(21)に
送られる。圧延機入側ブライドルロール(20)本数は平均
断面積でユニット張力１００〜２００ＭＰａ確保するた
め４〜６本必要で、単スタンドミルの形式は、高圧下・
形状矯正能力に有利な例えば６Ｈｉ形式が適する。ま
た、連続ミルのため鋼板が繋がった状態で鋼板を停止す
ることなくロール組替えが可能な自動板有組替装置を有
することが望まれる。圧延を終えた鋼板は、圧延機出側
ブライドルロール(22)、出側ループカー(10)、ブライド
ルロール(11)、トリマー(12)、検査セクション(13)、シ
ャー(14)を経て、テンションリール(15)に巻き取られ
る。圧延後鋼板表面は圧延油が付着しているため、圧延
機出側ブライドルロール(22)本数は平均断面積でユニッ
ト張力１００〜２００ＭＰａ確保するのに６〜８本必要
で且つ、各ブライドルロールにスナバーロール圧下する
のが望ましい。

【００１６】

【発明の効果】本発明は、冷間圧延工程を省略してスケ
ール除去後の熱延鋼板を所定の厚さまで冷間圧延して、
酸洗済熱延鋼板及び、冷延・メッキ鋼板のスケール除去
及び冷間圧延を１プロセスで連続して行うものである。

【００１７】本発明によって、高冷延率の必要のない熱
延鋼板のスケール除去後、冷間圧延工程が酸洗設備の中
で行われるために工程間のハンドリング疵及び、スケー
ル除去装置から巻き取られる間に発生する、形状不良に
伴なう摺疵等が解消され、また、工程間仕掛がなくなる
ことによる錆の解消及び、製造工期短縮、工程省略によ
る処理量減少でシフトダウンが可能等の効果を得ること
ができる。しかも、従来の冷間圧延機（タンデム：４〜
６スタンド）に対し、単スタンドミルでスタンド数が少
ないため圧延ロール・チョック等の作業準備費及び、各
原単位の削減も可能となる。以上、本発明により生産性
・品質・製造コストに優れた酸洗設備を実現することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の酸洗設備の説明図である。

【図２】単スタンドでの限界圧下率とワークロール径の
関係を示す説明図である。

【図３】本発明の酸洗設備を示す説明図である。

【符号の説明】

１、１６ ペイオフリール ２ アンコイラー ３ シャー ４ ウエルダー ７、９、１１ ブライドルロール ６ 入側ループカー ８ スケール除去装置 １０ 出側ループカー １２ トリマー １３ 検査セクション １４ シャー １５、１８ テンションリール １７ ホットスキンパス １９ 冷間圧延機 ２０ 圧延機入側ブライドルロール ２１ 単スタンド圧延機 ２２ 圧延機出側ブライドルロール

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−33103（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−164008（ＪＰ，Ａ) 特開 平９−201615（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B21B 45/06 B21B 1/22 C23G 3/02

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 高冷延率の必要のない熱延鋼板の脱スケ
   ールと冷間圧延を行う酸洗設備であって、酸洗設備内部
   のスケール除去装置の後段位置に、前後にブライドルロ
   ールを備え、１パスで圧下率１０〜５０％の圧延を付与
   する単スタンドの冷間圧延機を具備させ、熱延鋼板の脱
   スケールと冷間圧延を酸洗設備内部において１プロセス
   で連続して行うことを特徴とする酸洗設備。
2. 【請求項２】 スケール除去装置が、酸洗槽であること
   を特徴とする請求項１に記載の酸洗設備。