JP2968467B2 - 金属箔帯の巻取り装置 - Google Patents

金属箔帯の巻取り装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステンレス箔など
の金属箔帯を巻取りリールによってコイル状に巻取る装
置に関し、特に、デフレクタロールと巻取り開始位置と
の間で発生するしわを、効果的に除去することのできる
ものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、板厚が0.1mm以下の金属
箔帯を連続圧延し、出側でコイル状に巻き取る際には、
板幅中央部付近に長手方向に延びるしわ(縦じわ)が発
生し易いため、このようなしわを除去するための方法が
提案されている。その一例として、特公平7−8792
7号公報に記載された方法では、圧延機の出側に配置さ
れたデフレクタロールと巻取りリールとの間のパスライ
ンの中間位置に、しわ伸ばしロールを設置している。ま
た、特開平1−245917号公報に記載された方法で
は、巻取りリールによる金属箔帯の巻取り開始位置また
はその上流側近傍(10cm以内)に、しわ伸ばし用の
押しつけロールを設置している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来技術のようにしわ伸ばしロールを設置しても、前者の
ように、しわ伸ばしロールが巻取り開始点よりかなり離
れている場合には、しわ伸ばしロールと巻取り開始点と
の間に再びしわが発生する可能性がある。一方、後者の
ように、しわ伸ばしロールの設置位置が、巻取り開始位
置やその上流側であってもかなり近接する位置である場
合には、しわ伸ばし効果が十分でなく、しわを押さえ込
んだ状態で巻き取られる可能性が高くなる。
【0004】また、しわ伸ばしロールによるしわ伸ばし
効果を高めるために押しつけ力を大きくすると、板厚が
薄いことによって金属箔帯に折れが生じてしまうため、
通常は、押しつけ力を大きくしないで、しわが伸ばされ
なかった場合にはその部分を切り取ることで対処してい
る。これにより、径の小さなコイルが多く得られるた
め、生産性が低下するという問題点がある。
【0005】本発明は、このような従来技術の問題点を
解決することを課題とするものであり、しわ伸ばしロー
ルによりしわを伸ばしながら金属箔帯を巻き取る装置に
おいて、小さな押しつけ力でも高いしわ伸ばし効果が得
られる装置を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に係る発明は、巻取りリールによる金属箔
帯の巻取り開始位置に近接し、且つ当該巻取り開始位置
より所定距離だけ上流側となる位置に配置された、巻き
取られたときにコイルの外側面となる側から金属箔帯面
に押しつけ力を付与するしわ伸ばしロールと、巻き数の
増大によってコイル径が変動しても、前記巻取り開始位
置としわ伸ばしロールとの距離を常に所定距離に保持す
る保持手段と、を備えたことを特徴とする金属箔帯の巻
取り装置を提供するものである。
【0007】請求項2に係る発明は、請求項1の装置に
おいて、巻取りリールの手前に配置されたデフレクタロ
ールに近接し、且つ当該デフレクタロールより下流側と
なる位置に配置された、巻き取られたときにコイルの内
側面となる側から金属箔帯面に押しつけ力を付与するし
わ伸ばしロールを、さらに備えたことを特徴とするもの
である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。図1は、金属箔帯の圧延ライン
に、本発明の巻取り装置を適用した例を示す概略構成図
である。図1に示すように、この圧延ラインにおいて
は、圧延機1の出側にデフレクタロール2が配置され、
圧延された金属箔帯Sは、このデフレクタロール2で斜
め下方に曲げられた後、巻取りリール3でコイル状に巻
き取られるようになっている。デフレクタロール2のモ
ータ21には、その回転速度に応じたパルスを発生する
パルスジェネレータ22が、巻取りリール3のモータ3
1には、その回転速度に応じたパルスを発生するパルス
ジェネレータ32が、それぞれ接続されている。
【0009】また、デフレクタロール2に近接する位置
であってそれより下流側に、上側(巻き取られたときに
コイルの内側面となる側)から金属箔帯Sの面に押しつ
け力を付与するしわ伸ばしロール4が、巻取りリール3
に近接する位置であってそれより上流側に、下側(巻き
取られたときにコイルの外側面となる側)から金属箔帯
Sの面に押しつけ力を付与するしわ伸ばしロール5が、
それぞれ配置されている。
【0010】デフレクタロール2に近接配置されたしわ
伸ばしロール4には、しわ伸ばしロール4を回転可能に
支持する支持フレーム41を介して空圧シリンダ6が連
結してあり、この空圧シリンダ6によりしわ伸ばしロー
ル4が金属箔帯Sの面に対して進退できるようになって
いる。また、空圧シリンダ6へ供給する空気圧の調整に
よって、しわ伸ばしロール4から金属箔帯Sに常に適切
な押しつけ圧が付与されるようになっている。なお、し
わ伸ばしロール4とデフレクタロール2との配置間隔
(金属箔帯Sのパスラインに沿った両ロールの中心間距
離)aは例えば300〜600mmとする。
【0011】巻取りリール3に近接配置されたしわ伸ば
しロール5には、金属箔帯Sの面に対して進退できるよ
うに、前記と同様の支持フレーム41を介して空圧シリ
ンダ7が連結してあり、空圧シリンダ7へ供給する空気
圧の調整によって、しわ伸ばしロール5の金属箔帯Sの
面に垂直な方向での位置決めをするとともに、しわ伸ば
しロール5から金属箔帯Sに常に適切な押しつけ圧が付
与されるようになっている。
【0012】また、この空圧シリンダ7の基端部は、巻
取りリール3の中心より巻取り開始時点でのパスライン
に沿って所定距離bだけ上流側にずれた位置を中心とし
て配置されたリングギヤ8に固定されている。このリン
グギヤ8はステップモータ9で駆動するピニオン8aに
螺合され、ステップモータ9は制御装置10に接続され
ている。また、空圧シリンダ7は、巻取り開始時点で、
しわ伸ばしロール5が鋼帯Sの面に対して垂直に、且つ
しわ伸ばしロール5の鋼帯Sとの接点Bが巻取りリール
3による金属箔帯Sの巻取り開始位置(コイルKと箔帯
Sとの接点)Aより所定距離b(例えば350〜450
mm)だけ上流側となるように配置されている。
【0013】制御装置10は例えばマイクロコンピュー
タで構成され、パルスジェネレータ22で検出されたデ
フレクタロール2の回転速度VD 、およびパルスジェネ
レータ32で検出された巻取りリール3の回転速度VM
が入力され、これらの回転速度差から巻き取られたコイ
ルKの径Dを算出するコイル径演算器11と、算出され
たコイル径Dからステップモータ9の回転角度xを算出
する角度演算器12とを備えており、当該回転角度xが
ステップモータ9に出力される。
【0014】この制御装置10、空圧シリンダ7、リン
グギヤ8、ピニオン8a、およびステップモータ9が本
発明の保持手段に相当し、巻き数の増加によりコイルK
の径が大きくなるにつれて巻取り開始位置Aは上流側に
ずれるが、このずれ分に応じた回転角度xが制御装置1
0の角度演算器12で算出され、ステップモータ9に出
力されるようになっている。
【0015】これにより、巻き数の増加によりコイルK
の径が大きくなると、前記ずれ分に応じた回転角度xだ
けステップモータ9がピニオン8aを回転させ、リング
ギヤ8と一体の空圧シリンダ7がラインの上流側に移動
し、前記しわ伸ばしロール5の接点Bと巻取り開始位置
Aとの距離が所定距離bに保持される。また、空圧シリ
ンダ7は、リングギヤ8に沿って円弧状に移動するた
め、金属箔体Sに対して常に垂直に配置され、しわ伸ば
しロール5による押しつけ方向が金属箔体Sの面に常に
垂直となる。
【0016】したがって、圧延機1を出てデフレクタロ
ール2で曲げられた直後に金属箔帯Sに発生した縦じわ
は、その下流直近のしわ伸ばしロール4により伸ばさ
れ、その後に再び縦じわが発生した場合には、その縦じ
わが巻取り開始点Aの上流側所定位置のしわ伸ばしロー
ル5により伸ばされた状態で、当該金属箔帯Sが巻取り
リール3に巻き取られる。
【0017】実際に、リバース式の多段圧延機を備えた
連続圧延ラインにおいて、圧延機の両側に、直径150
mm、長さ1300mm、ライニング厚さ25mmのゴ
ムライニングロールからなるしわ伸ばしロール4,5を
前述のように設置し、しわ伸ばしロール4,5の押しつ
け力を250kgとして巻取りを行ったところ、板厚
0.05m、幅960mm、長さ9700mのステンレ
ス箔帯を、途中で折れが生じることもなく、全くしわを
巻き込まない状態で巻き取ることができた。
【0018】なお、前記実施形態では、デフレクタロー
ル2の下流直近と巻取り開始点Aの上流側所定位置の二
箇所にしわ伸ばしロール4,5を設置してあるが、本発
明はこれに限定されない。すなわち、巻き数の増大によ
ってデフレクタロール2での金属箔帯Sの曲げ角度が大
きくなると、デフレクタロール2で曲げられた直後の金
属箔帯Sに縦じわが生じやすくなるが、前記実施形態で
は、デフレクタロール2の下流直近のしわ伸ばしロール
4によってこれを効果的に伸ばすことができる。しかし
ながら、このしわ伸ばしロール4が配置されず、巻取り
開始点Aの上流側所定位置にのみしわ伸ばしロール5が
配置されていても、前記従来の方法よりは高いしわ伸ば
し効果が得られる。
【0019】また、前記実施形態では、空圧シリンダ7
をリングギヤ8に固定して、巻取りリール3の中心より
巻取り開始時点でのパスラインに沿って所定距離bだけ
上流側にずれた位置を中心とする円弧上を移動させてい
るため、コイルKの径が増大してもしわ伸ばしロール5
の接点Bと巻取りリール3の巻取り開始点Aとの距離を
所定距離bに保持しながら、しわ伸ばしロール5による
押しつけ方向を金属箔体Sの面に常に垂直とすることが
できるため好適であるが、空圧シリンダ7の移動機構は
このようなリングギヤ8によるものに限定されない。
【0020】なお、コイル径が変動してもしわ伸ばしロ
ール5による押しつけ方向が金属箔体Sの面に常に垂直
になるための空圧シリンダ7の軌跡は、厳密には前記円
弧上からずれるが、僅かなずれであるため通常のコイル
径では特に問題はないし、より厳密にするためにはその
ための補正手段を設ければよい。また、前記実施形態で
は、しわ伸ばしロール5を取り付けた空圧シリンダ7側
を移動させることによって、しわ伸ばしロール5の接点
Bと巻取りリール3の巻取り開始点Aとの距離を所定距
離bに保持しているが、本発明の保持手段はこれに限定
されず、巻取りリール3側を移動させてもよい。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の装置によ
れば、しわ伸ばしロールによりしわを伸ばしながら金属
箔帯を巻き取る装置において、巻取り開始位置の直前で
発生するしわを、比較的小さな押しつけ力で効果的に除
去することができる。請求項2の方法によれば、デフレ
クタロールの下流直近で発生するしわも効果的に除去す
ることができるため、しわを巻き込まずに巻き取る効果
がより一層高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態が適用された金属箔帯の連
続圧延ラインの例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
2 デフレクタロール 3 巻取りリール 4 しわ伸ばしロール 5 しわ伸ばしロール 7 空圧ロール(保持手段) 8 リングギヤ(保持手段) 8a ピニオン(保持手段) 9 ステップモータ(保持手段) 10 制御装置(保持手段) S 金属箔帯 A 巻取り位置 K コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−120249(JP,A) 特開 平1−245917(JP,A) 実開 昭62−101619(JP,U) 特公 平7−87927(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21C 47/26 B21C 47/06 B65H 23/025

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巻取りリールによる金属箔帯の巻取り開
    始位置に近接し、且つ当該巻取り開始位置より所定距離
    だけ上流側となる位置に配置された、巻き取られたとき
    にコイルの外側面となる側から金属箔帯面に押しつけ力
    を付与するしわ伸ばしロールと、巻き数の増大によって
    コイル径が変動しても、前記巻取り開始位置としわ伸ば
    しロールとの距離を常に所定距離に保持する保持手段
    と、を備えたことを特徴とする金属箔帯の巻取り装置。
  2. 【請求項2】 巻取りリールの手前に配置されたデフレ
    クタロールに近接し、且つ当該デフレクタロールより下
    流側となる位置に配置された、巻き取られたときにコイ
    ルの内側面となる側から金属箔帯面に押しつけ力を付与
    するしわ伸ばしロールを、さらに備えたことを特徴とす
    る請求項1記載の金属箔帯の巻取り装置。
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JP2009131894A (ja) * 2007-10-29 2009-06-18 Kobe Steel Ltd 中間ロール機構及び中間ロール機構の制御方法

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