JP2000343118A - 鋼帯の巻取り方法 - Google Patents

鋼帯の巻取り方法

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JP2000343118A
JP2000343118A JP11156513A JP15651399A JP2000343118A JP 2000343118 A JP2000343118 A JP 2000343118A JP 11156513 A JP11156513 A JP 11156513A JP 15651399 A JP15651399 A JP 15651399A JP 2000343118 A JP2000343118 A JP 2000343118A
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信之 石田
Minoru Aoyama
実 青山
Hiroyuki Araya
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大幅な設備改造を必要とせず、またコストア
ップにつながる緩衝材等を使用することなく、安価な手
段でラップマークの発生を防止できる鋼帯の巻取り方法
を提供する。 【解決手段】 ゴムスリーブを装着した拡縮式マンドレ
ルを備えた、ベルトラッパー方式の巻取り装置で鋼帯を
巻取るにあたって、鋼帯先端が該マンドレルに装着され
たゴムスリーブと該ベルトラッパー間に噛み込み後、鋼
帯がマンドレルに1周巻付く迄の間に縮小状態にあるマ
ンドレル径の拡大を開始し、鋼帯がマンドレルに1周巻
付き後3周巻付く迄の間にマンドレル径を所定の拡大径
迄拡大する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベルトラッパー方
式の巻取り装置で鋼帯(熱延鋼帯、冷延鋼帯並びにそれ
らを素材として製造される表面処理鋼帯等を含む)を巻
取る方法、より具体的には、ベルトラッパー方式の巻取
り装置で鋼帯を巻取る際に発生するラップマークを軽減
する鋼帯の巻取り方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、連続焼鈍ライン、連続溶融め
っきライン等の鋼帯の連続処理ラインの出側には、拡縮
可能に配設された円筒型のマンドレルと呼ばれる芯を備
える巻取り装置が配設されており、通常、前記巻取り装
置には、ゴムベルトをマンドレルに巻付け、マンドレル
とベルトの間に鋼帯を噛み込ませてガイドしながらマン
ドレルに巻取るベルトラッパーが設置されている。
【0003】本明細書では、このようにベルトラッパー
を用いて、拡縮可能なマンドレルで鋼帯の巻取りを行う
装置を、拡縮式マンドレルを備えた、ベルトラッパー方
式の巻取り装置といっている。
【0004】巻取り装置では、マンドレル径を所定の拡
大径に拡大後、マンドレルを回転させ、ベルトラッパー
のベルトをマンドレルに巻付け、鋼帯先端部をマンドレ
ルとベルトラッパー間に噛み込ませ、鋼帯の巻取りを開
始し、鋼帯をマンドレルに所定巻数巻付け後、ベルトを
マンドレルから離反させる。所定量の鋼帯をマンドレル
に巻取ったら、巻取り装置の上流側に設置されている切
断装置で鋼帯を切断し、鋼帯尾端部までマンドレルに巻
取る。次いで、マンドレル径を縮小し、巻取った鋼帯コ
イルをマンドレルから抜き出し、ライン外に搬出する。
【0005】このような巻取り装置で鋼帯を巻取ると、
図1に示すように、板厚による段差が生じている鋼帯先
端部に1巻目以降の鋼帯Sが重なるため、鋼帯先端部に
重なった1巻目以降の鋼帯に、ラップマークまたはトッ
プマークと呼ばれる折れ(以下、ラップマークという)
20が生じる。
【0006】通常、拡縮式マンドレルは、複数に分割さ
れたセグメントを拡縮し、マンドレル径を拡大、縮小す
る。各径状態では、各セグメント間の隙間が段差とな
り、鋼帯を巻取る際にセグメントマークが生じる。セグ
メントマークを防止するため、通常、拡縮式マンドレル
にはゴムスリーブが装着されている。ゴムスリーブを装
着するとセグメントマークの発生を防止できるが、ラッ
プマークの防止効果は不十分である。
【0007】拡縮式マンドレルを備えた、ベルトラッパ
ー方式の巻取り装置では、通常、以下の2種類の制御に
よって、マンドレルを回転し、鋼帯の巻取りを行ってい
る。
【0008】第1の制御は、速度指令制御と呼ばれる方
式で、マンドレル外径や巻取ったコイル外径などに基い
てマンドレルを回転する電動機の回転数の数値演算を行
い、演算結果と鋼帯送り速度を比較しながら電動機の回
転数を制御して鋼帯を巻取る方式である。この方式は、
巻取り装置のマンドレルの回転数を任意の指令値に制御
することが出来るが、反面、速度を指令値に保つため
に、電動機が発生するトルクが予め設定された敷居値の
範囲内にある限り、電動機のトルク変動は無視される。
【0009】第2の制御は、トルク指令制御あるいは張
力指令制御と呼ばれる方式で、巻取り装置の電動機に投
入される電流・電圧あるいは電力より発生するトルクを
数値演算し、巻取られる鋼帯に付与される張力を、コイ
ル径、板厚、板巾等の情報に基いて予め設定された指令
値と比較しながら制御する方式である。
【0010】巻取り装置の制御においては、速度指令制
御は鋼帯巻取り前の巻取り準備段階から鋼帯がマンドレ
ルに巻付き、張力が確立される迄使用され、鋼帯張力が
確立した後はトルク指令制御によって鋼帯張力を所定の
指令値にコントロールしながら巻取りを行う方式が一般
的である。
【0011】従って、巻取り初期段階では、事実上、鋼
帯張力がコントロール出来ない状態で鋼帯が巻取られて
いる。更に、通常、巻取り初期段階では、巻取り装置に
進入してくる鋼帯を弛ませないように、マンドレル外径
の周速が鋼帯送り速度より数%高速になるように設定さ
れるのが一般的である。そのため、鋼帯先端がマンドレ
ルに巻付き、1巻目が完了し2巻目となる段階で、鋼帯
が張った状態で鋼帯先端部の段付に乗り上げるため、鋼
帯先端部に重なった鋼帯に折れに起因する塑性変形が生
じ、程度の悪いラップマークが発生する。また、鋼帯の
巻取りによって、ラップマークの発生がコイル内周より
外周側へ伝播するため、コイル内周側でのラップマーク
の発生長さがより大きくなることになる。
【0012】従来、鋼帯をコイルに巻取る以上、ラップ
マークの発生は不可避であると考えられており、コイル
を巻ほぐした後の工程で鋼帯の形状矯正等を行い使用さ
れていた。しかし、近年、鋼帯の要求品質の向上に伴
い、ラップマークは許容出来ない欠陥としての認識が強
くなっている。
【0013】そのため、以下に記載するように、鋼帯の
ラップマークの発生を防止するための種々の提案がなさ
れている。
【0014】特開昭61−126927号公報では、冷
間圧延時に、鋼帯巻始めの1〜2巻に相当する部分を製
品板厚に応じて鋼帯先端より徐々に数段階に分けて所定
の板厚に増やして圧延し、鋼帯先端部の段差を製品板厚
に対して小さくすることによってラップマークを防止す
ることが提案されている。しかし、この方法では、巻取
り前に予め鋼帯を加工しておくか、または連続処理ライ
ンの中に鋼帯先端部を圧延加工する設備を新たに設ける
必要があるため、連続処理ラインに適用可能な現実的な
提案とはいえず、また処理工程の途中で圧延加工部の除
去が余儀なくされたり、圧延加工後にコイル分割等が行
われたりすると、ラップマークの発生を防止できなくな
る。
【0015】特開平2−83111号公報では、鋼帯を
ロータリーシャー切断する際に、シャー刃を保持するド
ラムにより鋼帯先端を先細り形状に圧延し、コイル状に
巻取る際の段付を軽減しラップマークを防止することが
提案されている。しかし、この方法では、シャーの改造
等が必要な上、鋼帯先端の加工部分が非常に小さく、段
付を軽減する充分な効果が得られない。
【0016】特開平2−263515号公報では、マン
ドレルのスリーブに予め段付を設け、鋼帯を巻取る際に
鋼帯先端部分をその段付部に合せるように制御すること
により、2巻目以降の段差を小さくしてラップマークを
防ぐことが提案されている。この方法では、予め設けた
スリーブの段付の大きさが一定なので、様々な板厚の鋼
帯を巻取る必要がある場合、板厚に見合った段付に調整
出来ないため、折れを防止する効果が不十分であるだけ
でなく、逆にスリーブの段付により折れを生じる場合が
ある。
【0017】特開平3−81016号公報では、鋼帯巻
取り開始時に、鋼帯とマンドレルあるいはスリーブの間
にシート状の緩衝材を挿入し、緩衝材の変形を利用し鋼
帯先端部の段付を軽減してラップマークを防ぐことが提
案されている。しかし、この方法では、段付軽減効果の
高い緩衝材を新たに購入する費用がかかり、また、巻取
り装置に、緩衝材を自動挿入する設備が新たに必要にな
るため設備費や設置スペース上の問題があるだけでな
く、ユーザー側でコイルを巻戻す際に挿入した緩衝材を
取り除き処分する必要が生じ、作業が煩雑になるという
問題がある。
【0018】特開平4−37416号公報では、マンド
レル拡縮径の最小径と最大径との間に中間径を設けて、
巻取り開始時は中間径でストリップの巻取りを開始し、
所定巻取り数を巻取った後、最大径に拡径してラップマ
ーク部分(折れ部分)を含む鋼帯を延伸させることによ
り前記疵の程度を軽減すると共に、鋼帯先端部の板厚に
よる段付をゴムスリーブ等の弾性材にめり込ませて小さ
くすることによって拡径後の巻取り過程においてラップ
マーク発生要因を少なくすることが提案されている。
【0019】この方法によれば、コイル最内周部の鋼帯
に塑性変形を生じ、程度の悪いラップマークを発生し、
この影響がコイル内周より外周側へ伝播するため、ラッ
プマークを防止する効果が十分でないという問題があ
る。
【0020】特開平4−182029号公報では、鋼帯
を巻取る際、1巻目をマンドレル最大径より微小径だけ
縮小させておきかつラッパロールにより鋼帯をテンショ
ンリールに強圧して段付をゴムスリーブ等の弾性体にめ
り込ませて軽減した状態で巻取り、2巻目の途中でマン
ドレル径を最大径としラップマークを軽減することが提
案されている。しかし、この方法では、小径のラッパロ
ールで鋼帯を弾性体に対して強圧することによって、逆
に鋼帯に程度の悪いラップマークを発生するだけでな
く、鋼帯に反りを発生するという問題がある。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の問題点を考慮し、大幅な設備改造を必要とせず、ま
たコストアップにつながる緩衝材等を使用することな
く、安価な手段でラップマークの発生を防止できる鋼帯
の巻取り方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の本発明の手段は以下の通りである。
【0023】(1)ゴムスリーブを装着した拡縮式マン
ドレルを備えた、ベルトラッパー方式の巻取り装置で鋼
帯を巻取るにあたって、鋼帯先端がマンドレルに装着さ
れたゴムスリーブとベルトラッパー間に噛み込み後、鋼
帯がマンドレルに1周巻付く迄の間に縮小状態にあるマ
ンドレル径の拡大を開始し、鋼帯がマンドレルに1周巻
付き後3周巻付く迄の間にマンドレル径を所定の拡大径
迄拡大することを特徴とする鋼帯の巻取り方法(第1発
明)。
【0024】(2)前記(1)において、鋼帯先端がマ
ンドレルに装着されたゴムスリーブとベルトラッパー間
に噛み込む直前から3周巻付く迄の間の鋼帯送り速度を
マンドレル拡大径でのゴムスリーブ外周の周速に同期さ
せることを特徴とする鋼帯の巻取り方法(第2発明)。
【0025】(3)前記(1)において、ゴムスリーブ
の肉厚を5mm以上且つゴムスリーブ外周側のゴム硬度
をHS45〜60度とすることを特徴とする鋼帯の巻取
り方法(第3発明)。
【0026】(4)前記(1)において、板厚1.0m
m以上の鋼帯を巻取る場合に、鋼帯巻取りの準備段階か
ら鋼帯がマンドレルに巻付き鋼帯張力が確立されるまで
の間、速度指令制御によってマンドレルを回転し、鋼帯
張力が確立された後は、トルク指令制御によってマンド
レルを回転すると共に、鋼帯張力を所定の張力に保って
巻取ることを特徴とする鋼帯の巻取り方法(第4発
明)。
【0027】(5)前記(2)〜(4)の方法の少なく
とも2つ以上を組み合わせて鋼帯を巻取ることを特徴と
する鋼帯の巻取り方法(第5発明)。
【0028】本発明では、マンドレルは、巻き始め時
に、マンドレルが最大径においてゴムスリーブ外周の周
速が鋼帯の送り速度と同期する所定の回転数で回転して
いる。巻き始め時のマンドレル径が最大径より小さいの
で、実際の巻取り速度(巻き始めのゴムスリーブ外周の
周速)は、鋼帯の送り速度より遅くなる。そのため、鋼
帯を巻き始めた時にはルーズな状態が発生する。2〜3
巻きする間にマンドレルが最大径迄拡大するので、実際
の巻取り速度は、鋼帯の送り速度と同期し、更に巻き厚
分だけ外径が大きくなることにより鋼帯の送り速度より
速くなる。そのため、鋼帯を巻取る過程において巻き締
り、所定のコイル内径部を形成し、またマンドレルの拡
大により鋼帯先端の段付部をゴムスリーブにめり込ま
せ、以降の巻取りに影響する段差を軽減させることによ
り、ラップマークの低減を図ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0030】図2は、拡縮式マンドレルを備えた、ベル
トラッパー方式の巻取り装置の要部を示す図である。図
2において、Sは鋼帯、1は拡縮式のマンドレル、2は
マンドレルに装着されたゴムスリーブ、3はベルトラッ
パー、4はデフレクターロール、5,6は通板ガイド、
11はベルトラッパー3のベルト、10,10a,10
bはベルト11をガイドするガイドロールである。ベル
トラッパー3は図2中に矢印Aで示す方向に前進後退可
能であり、またガイドロール10a,10bは図2中に
矢印Bで示す方向に回転移動可能である。
【0031】図2の装置では、縮小状態にあるマンドレ
ル1を回転させ、並行してベルトラッパー3をマンドレ
ル1側に前進させ、ガイドロール10a,10bを回転
移動させ、ベルト11をマンドレル1に装着されたゴム
スリーブ2に巻付け、鋼帯S先端部をゴムスリーブ2と
ベルト11の間に噛み込ませ、鋼帯Sの巻取りを開始す
る。図2は、ベルト11がゴムスリーブ2に巻き付いた
状態を示している。また、鋼帯Sをマンドレル1に所定
巻数巻付け後、ガイドロール10a,10bを回転移動
させて、ベルト11をマンドレル1から離反させ、ベル
トラッパー3を待機位置まで後退させる。
【0032】所定量の鋼帯Sをマンドレル1に巻取った
ら、巻取り装置の上流側に設置されている切断装置(図
示なし)で鋼帯Sを切断し、鋼帯S尾端部までマンドレ
ル1に巻取る。次いで、マンドレル1の径を縮小し、巻
取った鋼帯コイルをマンドレル1から抜き出し、ライン
外に搬出する。
【0033】図3は、前記図2の装置を用いて、本発明
法によって鋼帯Sを巻取る際の巻付準備段階からマンド
レル1の径の拡大を終了する迄の間における、ゴムスリ
ーブ径(マンドレル径)、マンドレル回転制御方式、鋼
帯送り速度、巻取り速度(ゴムスリーブ外周の周速)、
マンドレル回転数、鋼帯張力の時系列的変化の状態を示
す概念図である。
【0034】本発明では、前記したような操作をする図
2の装置で鋼帯Sを巻取るにあたり、図3(a)に示す
ように、鋼帯Sが巻取り装置に進入する前の段階でマン
ドレル1の径を予め所定の拡大径より小径状態に保持
し、かつマンドレル1は最大径に拡大した時点でゴムス
リーブ2を含んだ外径の周速が、鋼帯Sの送り速度と同
期する回転数で回転させておく。
【0035】鋼帯Sがマンドレル1に進入噛込み後1周
巻付く迄の間にマンドレル1の拡大を開始し、1周巻付
き後3周巻付く迄の間に所定の最大径に拡大するように
制御する(第1発明)。
【0036】この際、図3(c)、(d)に示すよう
に、鋼帯S先端がマンドレル1とベルト11間に噛み込
む直前から3周巻付く迄の間の鋼帯送り速度をマンドレ
ル拡大径でのゴムスリーブ2外周の周速(V0)に同期
させることによって、鋼帯Sがマンドレル1に巻付き始
める時点においては、鋼帯送り速度よりもマンドレル1
に装着されたゴムスリーブ2外周の周速が若干小さくな
る。その結果、鋼帯張力が緩和された状態が生じ、この
状態で2巻目から3巻目を巻取ることにより、ゴムスリ
ーブ2より若干浮上った状態、すなわちルーズな状態で
コイル内径が形成される。
【0037】2巻目から3巻目を巻取る間にマンドレル
1を所定の拡大径に拡大することにより、鋼帯先端を含
む1巻目がマンドレル側よりルーズに形成された2巻目
あるいは3巻目に押付けられて、巻取られる鋼帯コイル
に所定の内径が形成されると共に、鋼帯Sがゴムスリー
ブ2に対して摩擦力により拘束され、かつ鋼帯板厚分が
付加された巻取り径に達するので、実際の鋼帯巻取り速
度が鋼帯送り速度より若干大きくなり巻締る。
【0038】2巻目が鋼帯先端部に重なる際に、重なり
部に過大な張力が加わらないことに加えて、鋼帯先端部
の板厚による段差の影響がゴムスリーブ2に吸収されて
その影響が緩和されるため、2巻目におけるラップマー
クを軽減でき、またそれ以降巻取られる鋼帯Sについて
も、鋼帯先端部の重なり部でのラップマークを軽減でき
る。また、コイル内周側が適正に巻締まった状態で巻取
られるため、コイル潰れを防止する効果も優れる。(第
2発明)。
【0039】また、鋼帯Sを巻取るにあたって、ゴムス
リーブ2は剛性が必要充分でかつマンドレル径の拡大に
追従し、またマンドレル径の拡大時に鋼帯Sが巻締る際
に鋼帯先端部が適度にゴムスリーブ2に沈み込んでラッ
プマークを低減することが出来るものであることが好ま
しい。このような観点から、ゴムスリーブ2は、肉厚が
5mm以上、外周側の硬度がHS45〜65であること
が好ましい(第3発明)。
【0040】巻取り装置で鋼帯を巻取るにあたって、鋼
帯先端を巻取る段階、特に薄鋼帯先端を巻取る段階で
は、通常、内径部を高い鋼帯張力で巻取ることによって
巻取られ鋼帯同志の摩擦力を高めてコイルが座屈して潰
れることを防ぐためのコアを形成した後、鋼帯張力を所
定の張力に徐々に低下して巻取る張力制御方式が用いら
れる。この張力付与は、コイル巻厚方向に勾配を持った
張力を付与して鋼帯を巻取るため、テーパー張力と呼ば
れる。
【0041】本発明では、前記で説明したように鋼帯S
を巻取ることによって、コイル内周側で鋼帯Sが巻締る
ことによって、十分な耐座屈力が得られるため、板厚が
厚い場合、前記のようなテーパー張力の付与を必要とし
ない。特に、板厚1.0mm以上の鋼帯Sを巻取る場合
は、むしろ電動機等の制御系でオーバーシュート等によ
る過張力を防ぐため、図3(b)、(f)に示すよう
に、張力が確立した時点より以降は、トルク指令制御に
よってマンドレル1を回転し、一定の鋼帯張力で巻取る
ことが好ましい。これによって、過大な鋼帯張力により
鋼帯先端の段付部に2巻目以降の鋼帯が圧迫されること
によるラップマークの助長を防ぐことができる(第4発
明)。
【0042】前記した第2〜第4発明は、単独で用いて
もそれぞれラップマークを防止する効果があるが、これ
らを2つ組み合わせて巻取ることによって前記効果が更
に向上する。また、全てを組み合わせた場合、前記効果
が最も優れる。
【0043】
【実施例】製造可能な板厚が0.27〜2.4mmの連
続式鋼帯製造設備の出側に配設された、図2に示した巻
取り装置を用いて、板厚1.0mm以上の鋼帯を、巻取
り方法を種々変更して巻取った。巻取った鋼帯を巻戻し
てラップマークの発生長さを調査した。調査結果を表1
に示す。
【0044】なお、表1において、マンドレル拡大タイ
ミング、巻始め時のマンドレル周速、ゴムスリーブ、張
力付与の欄の記号「○」、「×」は、それぞれ以下の内
容に対応する条件である。
【0045】(1)マンドレル拡大タイミング ○:鋼帯先端がマンドレルとベルトラッパーに噛み込み
後1周巻付くまでの間に縮小状態で590mmφのマン
ドレルの拡大を開始し、2巻目から3巻目の間に所定の
最大径610mmφに拡大。 ×:鋼帯先端がマンドレルとベルトラッパーに噛み込む
以前より所定の最大径610mmφに拡大。
【0046】(2)巻始め時のマンドレル周速 ○:鋼帯先端がマンドレルとベルトラッパー間に噛み込
み直前から3周巻付く迄の間、マンドレルの回転数はマ
ンドレルが最大径の時のゴムスリーブ外周での周速が鋼
帯の送り速度と同期するように制御(リード率=0
%)。 ×:鋼帯先端がマンドレルとベルトラッパー間に噛み込
む以前からゴムスリーブを含むマンドレルの最大径時の
外周の周速を鋼帯の送り速度より5%早い周速とするよ
うに制御(リード率=5%)。
【0047】(3)ゴムスリーブ ○:肉厚75mm、硬度HSが内側70、外側55のゴ
ムスリーブを装着。 ×:肉厚75mm、硬度HSが70のゴムスリーブを装
着。
【0048】(4)張力付与 ○:一定の基準張力を付与(テーパ張力の付与なし)。 ×:基準張力の120%で巻取り開始し、以降張力を基
準張力まで漸減するように制御(テーパ張力の付与)。
【0049】
【表1】
【0050】本発明法で巻取られた発明例の鋼帯は、本
発明法で巻取られていない比較例の鋼帯に比べて、ラッ
プマークの発生長さが低減されている。また、第2〜第
4発明の方法の2つを組み合わせて巻取られた鋼帯は、
ラップマークの発生長さがより低減され、第2〜第4発
明の方法を全て組み合わせて巻取られた鋼帯は、ラップ
マークの発生長さを低減する効果が最も優れる。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、大幅な設備改造を必要
とせず、またコストアップにつながる緩衝材等を使用す
ることなく、安価な手段でラップマークの発生を防止す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼帯を巻取った際に鋼帯先端部で発生するラッ
プマークを説明する図。
【図2】拡縮式マンドレルを備えた、ベルトラッパー方
式の巻取り装置の要部を示す図
【図3】本発明において、鋼帯Sを巻取る際の巻付準備
段階からマンドレル1の径の拡大を終了する迄の間にお
ける、ゴムスリーブ径(マンドレル径)、マンドレル回
転制御方式、鋼帯送り速度、巻取り速度(ゴムスリーブ
外周の周速)、マンドレル回転数、鋼帯張力の時系列的
変化の状態を示す概念図。
【符号の説明】
S 鋼帯 1 マンドレル 2 ゴムスリーブ 3 ベルトラッパー 4 デフレクターロール 5,6 通板ガイド 10,10a,10b ガイドロール 11 ベルト 12 テンショナー 20 ラップマーク(折れ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新家 博幸 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4E026 BC06 FB02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴムスリーブを装着した拡縮式マンドレ
    ルを備えた、ベルトラッパー方式の巻取り装置で鋼帯を
    巻取るにあたって、鋼帯先端がマンドレルに装着された
    ゴムスリーブとベルトラッパー間に噛み込み後、鋼帯が
    マンドレルに1周巻付く迄の間に縮小状態にあるマンド
    レル径の拡大を開始し、鋼帯がマンドレルに1周巻付き
    後3周巻付く迄の間にマンドレル径を所定の拡大径迄拡
    大することを特徴とする鋼帯の巻取り方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、鋼帯先端がマンドレ
    ルに装着されたゴムスリーブとベルトラッパー間に噛み
    込む直前から3周巻付く迄の間の鋼帯送り速度をマンド
    レル拡大径でのゴムスリーブ外周の周速に同期させるこ
    とを特徴とする鋼帯の巻取り方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において、ゴムスリーブの肉厚
    を5mm以上且つゴムスリーブ外周側のゴム硬度をHS
    45〜60度とすることを特徴とする鋼帯の巻取り方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1において、板厚1.0mm以上
    の鋼帯を巻取る場合に、鋼帯巻取りの準備段階から鋼帯
    がマンドレルに巻付き鋼帯張力が確立されるまでの間、
    速度指令制御によってマンドレルを回転し、鋼帯張力が
    確立された後は、トルク指令制御によってマンドレルを
    回転すると共に、鋼帯張力を所定の張力に保って巻取る
    ことを特徴とする鋼帯の巻取り方法。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4記載の方法の少なくとも2
    つ以上を組み合わせて鋼帯を巻取ることを特徴とする鋼
    帯の巻取り方法。
JP15651399A 1999-06-03 1999-06-03 鋼帯の巻取り方法 Expired - Lifetime JP4329164B2 (ja)

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