JP4329164B2 - 鋼帯の巻取り方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベルトラッパー方式の巻取り装置で鋼帯(熱延鋼帯、冷延鋼帯並びにそれらを素材として製造される表面処理鋼帯等を含む)を巻取る方法、より具体的には、ベルトラッパー方式の巻取り装置で鋼帯を巻取る際に発生するラップマークを軽減する鋼帯の巻取り方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、連続焼鈍ライン、連続溶融めっきライン等の鋼帯の連続処理ラインの出側には、拡縮可能に配設された円筒型のマンドレルと呼ばれる芯を備える巻取り装置が配設されており、通常、前記巻取り装置には、ゴムベルトをマンドレルに巻付け、マンドレルとベルトの間に鋼帯を噛み込ませてガイドしながらマンドレルに巻取るベルトラッパーが設置されている。
【0003】
本明細書では、このようにベルトラッパーを用いて、拡縮可能なマンドレルで鋼帯の巻取りを行う装置を、拡縮式マンドレルを備えた、ベルトラッパー方式の巻取り装置といっている。
【0004】
巻取り装置では、マンドレル径を所定の拡大径に拡大後、マンドレルを回転させ、ベルトラッパーのベルトをマンドレルに巻付け、鋼帯先端部をマンドレルとベルトラッパー間に噛み込ませ、鋼帯の巻取りを開始し、鋼帯をマンドレルに所定巻数巻付け後、ベルトをマンドレルから離反させる。所定量の鋼帯をマンドレルに巻取ったら、巻取り装置の上流側に設置されている切断装置で鋼帯を切断し、鋼帯尾端部までマンドレルに巻取る。次いで、マンドレル径を縮小し、巻取った鋼帯コイルをマンドレルから抜き出し、ライン外に搬出する。
【0005】
このような巻取り装置で鋼帯を巻取ると、図1に示すように、板厚による段差が生じている鋼帯先端部に1巻目以降の鋼帯Sが重なるため、鋼帯先端部に重なった1巻目以降の鋼帯に、ラップマークまたはトップマークと呼ばれる折れ(以下、ラップマークという)20が生じる。
【0006】
通常、拡縮式マンドレルは、複数に分割されたセグメントを拡縮し、マンドレル径を拡大、縮小する。各径状態では、各セグメント間の隙間が段差となり、鋼帯を巻取る際にセグメントマークが生じる。セグメントマークを防止するため、通常、拡縮式マンドレルにはゴムスリーブが装着されている。ゴムスリーブを装着するとセグメントマークの発生を防止できるが、ラップマークの防止効果は不十分である。
【0007】
拡縮式マンドレルを備えた、ベルトラッパー方式の巻取り装置では、通常、以下の2種類の制御によって、マンドレルを回転し、鋼帯の巻取りを行っている。
【0008】
第1の制御は、速度指令制御と呼ばれる方式で、マンドレル外径や巻取ったコイル外径などに基いてマンドレルを回転する電動機の回転数の数値演算を行い、演算結果と鋼帯送り速度を比較しながら電動機の回転数を制御して鋼帯を巻取る方式である。この方式は、巻取り装置のマンドレルの回転数を任意の指令値に制御することが出来るが、反面、速度を指令値に保つために、電動機が発生するトルクが予め設定された敷居値の範囲内にある限り、電動機のトルク変動は無視される。
【0009】
第2の制御は、トルク指令制御あるいは張力指令制御と呼ばれる方式で、巻取り装置の電動機に投入される電流・電圧あるいは電力より発生するトルクを数値演算し、巻取られる鋼帯に付与される張力を、コイル径、板厚、板巾等の情報に基いて予め設定された指令値と比較しながら制御する方式である。
【0010】
巻取り装置の制御においては、速度指令制御は鋼帯巻取り前の巻取り準備段階から鋼帯がマンドレルに巻付き、張力が確立される迄使用され、鋼帯張力が確立した後はトルク指令制御によって鋼帯張力を所定の指令値にコントロールしながら巻取りを行う方式が一般的である。
【0011】
従って、巻取り初期段階では、事実上、鋼帯張力がコントロール出来ない状態で鋼帯が巻取られている。更に、通常、巻取り初期段階では、巻取り装置に進入してくる鋼帯を弛ませないように、マンドレル外径の周速が鋼帯送り速度より数%高速になるように設定されるのが一般的である。そのため、鋼帯先端がマンドレルに巻付き、1巻目が完了し2巻目となる段階で、鋼帯が張った状態で鋼帯先端部の段付に乗り上げるため、鋼帯先端部に重なった鋼帯に折れに起因する塑性変形が生じ、程度の悪いラップマークが発生する。また、鋼帯の巻取りによって、ラップマークの発生がコイル内周より外周側へ伝播するため、コイル内周側でのラップマークの発生長さがより大きくなることになる。
【0012】
従来、鋼帯をコイルに巻取る以上、ラップマークの発生は不可避であると考えられており、コイルを巻ほぐした後の工程で鋼帯の形状矯正等を行い使用されていた。しかし、近年、鋼帯の要求品質の向上に伴い、ラップマークは許容出来ない欠陥としての認識が強くなっている。
【0013】
そのため、以下に記載するように、鋼帯のラップマークの発生を防止するための種々の提案がなされている。
【0014】
特開昭61−126927号公報では、冷間圧延時に、鋼帯巻始めの1〜2巻に相当する部分を製品板厚に応じて鋼帯先端より徐々に数段階に分けて所定の板厚に増やして圧延し、鋼帯先端部の段差を製品板厚に対して小さくすることによってラップマークを防止することが提案されている。しかし、この方法では、巻取り前に予め鋼帯を加工しておくか、または連続処理ラインの中に鋼帯先端部を圧延加工する設備を新たに設ける必要があるため、連続処理ラインに適用可能な現実的な提案とはいえず、また処理工程の途中で圧延加工部の除去が余儀なくされたり、圧延加工後にコイル分割等が行われたりすると、ラップマークの発生を防止できなくなる。
【0015】
特開平2−83111号公報では、鋼帯をロータリーシャー切断する際に、シャー刃を保持するドラムにより鋼帯先端を先細り形状に圧延し、コイル状に巻取る際の段付を軽減しラップマークを防止することが提案されている。しかし、この方法では、シャーの改造等が必要な上、鋼帯先端の加工部分が非常に小さく、段付を軽減する充分な効果が得られない。
【0016】
特開平2−263515号公報では、マンドレルのスリーブに予め段付を設け、鋼帯を巻取る際に鋼帯先端部分をその段付部に合せるように制御することにより、2巻目以降の段差を小さくしてラップマークを防ぐことが提案されている。この方法では、予め設けたスリーブの段付の大きさが一定なので、様々な板厚の鋼帯を巻取る必要がある場合、板厚に見合った段付に調整出来ないため、折れを防止する効果が不十分であるだけでなく、逆にスリーブの段付により折れを生じる場合がある。
【0017】
特開平3−81016号公報では、鋼帯巻取り開始時に、鋼帯とマンドレルあるいはスリーブの間にシート状の緩衝材を挿入し、緩衝材の変形を利用し鋼帯先端部の段付を軽減してラップマークを防ぐことが提案されている。しかし、この方法では、段付軽減効果の高い緩衝材を新たに購入する費用がかかり、また、巻取り装置に、緩衝材を自動挿入する設備が新たに必要になるため設備費や設置スペース上の問題があるだけでなく、ユーザー側でコイルを巻戻す際に挿入した緩衝材を取り除き処分する必要が生じ、作業が煩雑になるという問題がある。
【0018】
特開平4−37416号公報では、マンドレル拡縮径の最小径と最大径との間に中間径を設けて、巻取り開始時は中間径でストリップの巻取りを開始し、所定巻取り数を巻取った後、最大径に拡径してラップマーク部分(折れ部分)を含む鋼帯を延伸させることにより前記疵の程度を軽減すると共に、鋼帯先端部の板厚による段付をゴムスリーブ等の弾性材にめり込ませて小さくすることによって拡径後の巻取り過程においてラップマーク発生要因を少なくすることが提案されている。
【0019】
この方法によれば、コイル最内周部の鋼帯に塑性変形を生じ、程度の悪いラップマークを発生し、この影響がコイル内周より外周側へ伝播するため、ラップマークを防止する効果が十分でないという問題がある。
【0020】
特開平4−182029号公報では、鋼帯を巻取る際、1巻目をマンドレル最大径より微小径だけ縮小させておきかつラッパロールにより鋼帯をテンションリールに強圧して段付をゴムスリーブ等の弾性体にめり込ませて軽減した状態で巻取り、2巻目の途中でマンドレル径を最大径としラップマークを軽減することが提案されている。しかし、この方法では、小径のラッパロールで鋼帯を弾性体に対して強圧することによって、逆に鋼帯に程度の悪いラップマークを発生するだけでなく、鋼帯に反りを発生するという問題がある。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の問題点を考慮し、大幅な設備改造を必要とせず、またコストアップにつながる緩衝材等を使用することなく、安価な手段でラップマークの発生を防止できる鋼帯の巻取り方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の手段は以下の通りである。
【0023】
(1)ゴムスリーブを装着した拡縮式マンドレルを備えた、ベルトラッパー方式の巻取り装置で鋼帯を巻取るにあたって、鋼帯先端がマンドレルに装着されたゴムスリーブとベルトラッパー間に噛み込み後、鋼帯がマンドレルに1周巻付く迄の間に縮小状態にあるマンドレル径の拡大を開始し、鋼帯がマンドレルに1周巻付き後3周巻付く迄の間にマンドレル径を最大径迄拡大することを特徴とする鋼帯の巻取り方法(第1発明)。
【0024】
(2)前記(1)において、鋼帯先端がマンドレルに装着されたゴムスリーブとベルトラッパー間に噛み込む直前から3周巻付く迄の間の鋼帯送り速度をマンドレル最大径でのゴムスリーブ外周の周速に同期させ、鋼帯がマンドレルに巻き付き始める時点においては、鋼帯送り速度よりもゴムスリーブ外周の周速を小さくしてコイル内径をルーズに形成し、1周巻付き後3周巻き付く迄の間にマンドレル径を最大径迄拡大してゴムスリーブ外周に巻き付いた鋼帯の実際の巻取り速度を鋼帯の送り速度よりも大きくすることで、ルーズに形成したコイル内径を巻締めるようにすることを特徴とする鋼帯の巻取り方法(第2発明)。
【0025】
(3)前記(1)において、ゴムスリーブの肉厚を5mm以上且つゴムスリーブ外周側のゴム硬度をHS45〜60度とすることを特徴とする鋼帯の巻取り方法(第3発明)。
【0026】
(4)前記(1)において、板厚1.0mm以上の鋼帯を巻取る場合に、鋼帯巻取りの準備段階から鋼帯がマンドレルに巻付き鋼帯張力が確立されるまでの間、速度指令制御によってマンドレルを回転し、鋼帯張力が確立された後は、トルク指令制御によってマンドレルを回転すると共に、鋼帯張力を一定に保って巻取ることを特徴とする鋼帯の巻取り方法(第4発明)。
【0027】
(5)前記(2)〜(4)の方法の少なくとも2つ以上を組み合わせて鋼帯を巻取ることを特徴とする鋼帯の巻取り方法(第5発明)。
【0028】
本発明では、マンドレルは、巻き始め時に、マンドレルが最大径においてゴムスリーブ外周の周速が鋼帯の送り速度と同期する所定の回転数で回転している。巻き始め時のマンドレル径が最大径より小さいので、実際の巻取り速度(巻き始めのゴムスリーブ外周の周速)は、鋼帯の送り速度より遅くなる。そのため、鋼帯を巻き始めた時にはルーズな状態が発生する。2〜3巻きする間にマンドレルが最大径迄拡大するので、実際の巻取り速度は、鋼帯の送り速度と同期し、更に巻き厚分だけ外径が大きくなることにより鋼帯の送り速度より速くなる。そのため、鋼帯を巻取る過程において巻き締り、所定のコイル内径部を形成し、またマンドレルの拡大により鋼帯先端の段付部をゴムスリーブにめり込ませ、以降の巻取りに影響する段差を軽減させることにより、ラップマークの低減を図ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0030】
図2は、拡縮式マンドレルを備えた、ベルトラッパー方式の巻取り装置の要部を示す図である。図2において、Sは鋼帯、1は拡縮式のマンドレル、2はマンドレルに装着されたゴムスリーブ、3はベルトラッパー、4はデフレクターロール、5,6は通板ガイド、11はベルトラッパー3のベルト、10,10a,10bはベルト11をガイドするガイドロールである。ベルトラッパー3は図2中に矢印Aで示す方向に前進後退可能であり、またガイドロール10a,10bは図2中に矢印Bで示す方向に回転移動可能である。
【0031】
図2の装置では、縮小状態にあるマンドレル1を回転させ、並行してベルトラッパー3をマンドレル1側に前進させ、ガイドロール10a,10bを回転移動させ、ベルト11をマンドレル1に装着されたゴムスリーブ2に巻付け、鋼帯S先端部をゴムスリーブ2とベルト11の間に噛み込ませ、鋼帯Sの巻取りを開始する。図2は、ベルト11がゴムスリーブ2に巻き付いた状態を示している。また、鋼帯Sをマンドレル1に所定巻数巻付け後、ガイドロール10a,10bを回転移動させて、ベルト11をマンドレル1から離反させ、ベルトラッパー3を待機位置まで後退させる。
【0032】
所定量の鋼帯Sをマンドレル1に巻取ったら、巻取り装置の上流側に設置されている切断装置(図示なし)で鋼帯Sを切断し、鋼帯S尾端部までマンドレル1に巻取る。次いで、マンドレル1の径を縮小し、巻取った鋼帯コイルをマンドレル1から抜き出し、ライン外に搬出する。
【0033】
図3は、前記図2の装置を用いて、本発明法によって鋼帯Sを巻取る際の巻付準備段階からマンドレル1の径の拡大を終了する迄の間における、ゴムスリーブ径(マンドレル径)、マンドレル回転制御方式、鋼帯送り速度、巻取り速度(ゴムスリーブ外周の周速)、マンドレル回転数、鋼帯張力の時系列的変化の状態を示す概念図である。
【0034】
本発明では、前記したような操作をする図2の装置で鋼帯Sを巻取るにあたり、図3(a)に示すように、鋼帯Sが巻取り装置に進入する前の段階でマンドレル1の径を予め所定の拡大径より小径状態に保持し、かつマンドレル1は最大径に拡大した時点でゴムスリーブ2を含んだ外径の周速が、鋼帯Sの送り速度と同期する回転数で回転させておく。
【0035】
鋼帯Sがマンドレル1に進入噛込み後1周巻付く迄の間にマンドレル1の拡大を開始し、1周巻付き後3周巻付く迄の間に所定の最大径に拡大するように制御する(第1発明)。
【0036】
この際、図3(c)、(d)に示すように、鋼帯S先端がマンドレル1とベルト11間に噛み込む直前から3周巻付く迄の間の鋼帯送り速度をマンドレル拡大径でのゴムスリーブ2外周の周速(V0)に同期させることによって、鋼帯Sがマンドレル1に巻付き始める時点においては、鋼帯送り速度よりもマンドレル1に装着されたゴムスリーブ2外周の周速が若干小さくなる。その結果、鋼帯張力が緩和された状態が生じ、この状態で2巻目から3巻目を巻取ることにより、ゴムスリーブ2より若干浮上った状態、すなわちルーズな状態でコイル内径が形成される。
【0037】
2巻目から3巻目を巻取る間にマンドレル1を所定の拡大径に拡大することにより、鋼帯先端を含む1巻目がマンドレル側よりルーズに形成された2巻目あるいは3巻目に押付けられて、巻取られる鋼帯コイルに所定の内径が形成されると共に、鋼帯Sがゴムスリーブ2に対して摩擦力により拘束され、かつ鋼帯板厚分が付加された巻取り径に達するので、実際の鋼帯巻取り速度が鋼帯送り速度より若干大きくなり巻締る。
【0038】
2巻目が鋼帯先端部に重なる際に、重なり部に過大な張力が加わらないことに加えて、鋼帯先端部の板厚による段差の影響がゴムスリーブ2に吸収されてその影響が緩和されるため、2巻目におけるラップマークを軽減でき、またそれ以降巻取られる鋼帯Sについても、鋼帯先端部の重なり部でのラップマークを軽減できる。また、コイル内周側が適正に巻締まった状態で巻取られるため、コイル潰れを防止する効果も優れる。(第2発明)。
【0039】
また、鋼帯Sを巻取るにあたって、ゴムスリーブ2は剛性が必要充分でかつマンドレル径の拡大に追従し、またマンドレル径の拡大時に鋼帯Sが巻締る際に鋼帯先端部が適度にゴムスリーブ2に沈み込んでラップマークを低減することが出来るものであることが好ましい。このような観点から、ゴムスリーブ2は、肉厚が5mm以上、外周側の硬度がHS45〜65であることが好ましい(第3発明)。
【0040】
巻取り装置で鋼帯を巻取るにあたって、鋼帯先端を巻取る段階、特に薄鋼帯先端を巻取る段階では、通常、内径部を高い鋼帯張力で巻取ることによって巻取られ鋼帯同志の摩擦力を高めてコイルが座屈して潰れることを防ぐためのコアを形成した後、鋼帯張力を所定の張力に徐々に低下して巻取る張力制御方式が用いられる。この張力付与は、コイル巻厚方向に勾配を持った張力を付与して鋼帯を巻取るため、テーパー張力と呼ばれる。
【0041】
本発明では、前記で説明したように鋼帯Sを巻取ることによって、コイル内周側で鋼帯Sが巻締ることによって、十分な耐座屈力が得られるため、板厚が厚い場合、前記のようなテーパー張力の付与を必要としない。特に、板厚1.0mm以上の鋼帯Sを巻取る場合は、むしろ電動機等の制御系でオーバーシュート等による過張力を防ぐため、図3(b)、(f)に示すように、張力が確立した時点より以降は、トルク指令制御によってマンドレル1を回転し、一定の鋼帯張力で巻取ることが好ましい。これによって、過大な鋼帯張力により鋼帯先端の段付部に2巻目以降の鋼帯が圧迫されることによるラップマークの助長を防ぐことができる(第4発明)。
【0042】
前記した第2〜第4発明は、単独で用いてもそれぞれラップマークを防止する効果があるが、これらを2つ組み合わせて巻取ることによって前記効果が更に向上する。また、全てを組み合わせた場合、前記効果が最も優れる。
【0043】
【実施例】
製造可能な板厚が0.27〜2.4mmの連続式鋼帯製造設備の出側に配設された、図2に示した巻取り装置を用いて、板厚1.0mm以上の鋼帯を、巻取り方法を種々変更して巻取った。巻取った鋼帯を巻戻してラップマークの発生長さを調査した。調査結果を表1に示す。
【0044】
なお、表1において、マンドレル拡大タイミング、巻始め時のマンドレル周速、ゴムスリーブ、張力付与の欄の記号「○」、「×」は、それぞれ以下の内容に対応する条件である。
【0045】
(1)マンドレル拡大タイミング
○:鋼帯先端がマンドレルとベルトラッパーに噛み込み後1周巻付くまでの間に縮小状態で590mmφのマンドレルの拡大を開始し、2巻目から3巻目の間に所定の最大径610mmφに拡大。
×:鋼帯先端がマンドレルとベルトラッパーに噛み込む以前より所定の最大径610mmφに拡大。
【0046】
(2)巻始め時のマンドレル周速
○:鋼帯先端がマンドレルとベルトラッパー間に噛み込み直前から3周巻付く迄の間、マンドレルの回転数はマンドレルが最大径の時のゴムスリーブ外周での周速が鋼帯の送り速度と同期するように制御(リード率=0%)。
×:鋼帯先端がマンドレルとベルトラッパー間に噛み込む以前からゴムスリーブを含むマンドレルの最大径時の外周の周速を鋼帯の送り速度より5%早い周速とするように制御(リード率=5%)。
【0047】
(3)ゴムスリーブ
○:肉厚75mm、硬度HSが内側70、外側55のゴムスリーブを装着。
×:肉厚75mm、硬度HSが70のゴムスリーブを装着。
【0048】
(4)張力付与
○:一定の基準張力を付与(テーパ張力の付与なし)。
×:基準張力の120%で巻取り開始し、以降張力を基準張力まで漸減するように制御(テーパ張力の付与)。
【0049】
【表1】
【0050】
本発明法で巻取られた発明例の鋼帯は、本発明法で巻取られていない比較例の鋼帯に比べて、ラップマークの発生長さが低減されている。また、第2〜第4発明の方法の2つを組み合わせて巻取られた鋼帯は、ラップマークの発生長さがより低減され、第2〜第4発明の方法を全て組み合わせて巻取られた鋼帯は、ラップマークの発生長さを低減する効果が最も優れる。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、大幅な設備改造を必要とせず、またコストアップにつながる緩衝材等を使用することなく、安価な手段でラップマークの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼帯を巻取った際に鋼帯先端部で発生するラップマークを説明する図。
【図2】拡縮式マンドレルを備えた、ベルトラッパー方式の巻取り装置の要部を示す図
【図3】本発明において、鋼帯Sを巻取る際の巻付準備段階からマンドレル1の径の拡大を終了する迄の間における、ゴムスリーブ径(マンドレル径)、マンドレル回転制御方式、鋼帯送り速度、巻取り速度(ゴムスリーブ外周の周速)、マンドレル回転数、鋼帯張力の時系列的変化の状態を示す概念図。
【符号の説明】
S 鋼帯
1 マンドレル
2 ゴムスリーブ
3 ベルトラッパー
4 デフレクターロール
5,6 通板ガイド
10,10a,10b ガイドロール
11 ベルト
12 テンショナー
20 ラップマーク(折れ)
Claims (5)
- ゴムスリーブを装着した拡縮式マンドレルを備えた、ベルトラッパー方式の巻取り装置で鋼帯を巻取るにあたって、鋼帯先端がマンドレルに装着されたゴムスリーブとベルトラッパー間に噛み込み後、鋼帯がマンドレルに1周巻付く迄の間に縮小状態にあるマンドレル径の拡大を開始し、鋼帯がマンドレルに1周巻付き後3周巻付く迄の間にマンドレル径を最大径迄拡大することを特徴とする鋼帯の巻取り方法。
- 請求項1において、鋼帯先端がマンドレルに装着されたゴムスリーブとベルトラッパー間に噛み込む直前から3周巻付く迄の間の鋼帯送り速度をマンドレル最大径でのゴムスリーブ外周の周速に同期させ、鋼帯がマンドレルに巻き付き始める時点においては、鋼帯送り速度よりもゴムスリーブ外周の周速を小さくしてコイル内径をルーズに形成し、1周巻付き後3周巻き付く迄の間にマンドレル径を最大径迄拡大してゴムスリーブ外周に巻き付いた鋼帯の実際の巻取り速度を鋼帯の送り速度よりも大きくすることで、ルーズに形成したコイル内径を巻締めるようにすることを特徴とする鋼帯の巻取り方法。
- 請求項1において、ゴムスリーブの肉厚を5mm以上且つゴムスリーブ外周側のゴム硬度をHS45〜60度とすることを特徴とする鋼帯の巻取り方法。
- 請求項1において、板厚1.0mm以上の鋼帯を巻取る場合に、鋼帯巻取りの準備段階から鋼帯がマンドレルに巻付き鋼帯張力が確立されるまでの間、速度指令制御によってマンドレルを回転し、鋼帯張力が確立された後は、トルク指令制御によってマンドレルを回転すると共に、鋼帯張力を一定に保って巻取ることを特徴とする鋼帯の巻取り方法。
- 請求項2〜4記載の方法の少なくとも2つ以上を組み合わせて鋼帯を巻取ることを特徴とする鋼帯の巻取り方法。
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