JP3610090B2 - 金属帯のタンデム冷間圧延制御方法および装置 - Google Patents
金属帯のタンデム冷間圧延制御方法および装置 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ステンレス鋼帯や高合金帯等の金属帯のタンデム冷間圧延制御方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、普通鋼、ステンレス鋼を含む特殊鋼、高ニッケル合金などの高合金その他銅などの非鉄金属を含む金属帯の冷間圧延を、生産効率良く行うために、複数基の圧延機を連続して配設させたタンデム冷間圧延設備が多く用いられている。タンデム冷間圧延設備は、単独でも、他の装置と組合わせても使用可能である。
【0003】
たとえば、本願出願人も、特開平5−212410号公報、特開平5−228504号公報などで、図4に示すような、一連の連続焼鈍および脱スケール装置に後設される冷間圧延設備としてのタンデム冷間圧延設備の構成を開示している。図において、たとえばステンレス鋼帯である金属帯1は、複数のコイルの状態で、ペイオフリール2から順次巻戻されて連続的に供給される。金属帯1のパスラインはデフレクタロール3によってほぼ水平に変更され、前処理装置4によって先行する金属帯の後端と後行する金属帯の先端とが溶接される。溶接されて連続化された金属帯1は、ルーパ装置5から焼鈍装置6、脱スケール装置7、ルーパ装置8、サイドトリミング装置9およびセンタリング装置10を経てNo.1圧延機11に供給される。No.1圧延機11の出側には、剪断機12、デフレクタロール13およびテンションリール14が設けられており、No.1圧延機11のみに金属帯1を通板させて巻取ることも可能になっている。
【0004】
タンデム冷間圧延機としては、No.1圧延機11の下流側に振動防止装置15を経て、後続圧延機16が配設される。この複数基の後続圧延機16の出側には、2重圧延機17、剪断機18、デフレクタロール19およびテンションリール20が設けられ、冷間圧延された金属帯1を巻取る。この冷間圧延のために必要な前方張力および後方張力は、後続圧延機16の出側と2重圧延機17との間、およびセンタリング装置10とNo.1圧延機11との間で、それぞれ発生される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
金属帯1として、たとえばステンレス鋼帯を冷間圧延する場合は、変形抵抗が大きく、加工硬化しやすいので、タンデム冷間圧延設備内の各圧延機では、大きな圧下力をかけ、また大きな圧延張力を安定にかつ確実に付加する必要がある。特に、後続圧延機16の最終圧延機(最終スタンド)の出側では、剪断機18によって、金属帯1を切離したり、テンションリール20で巻取ったりするので、通板速度、取り分け前方張力が変動しやすい。最終スタンドが、出側で所定範囲量の大きな前方張力を安定に確保することができないと、単に圧下率を大きく取ることができないだけでなく実質的に冷間圧延ができない。最終スタンドの圧下率が大きく取れないと、後続圧延機16として必要な基数(スタンド数)が多くなり、設備が大型化し、その初期設備投資額も製造コストも増大する。図4に示すような多機能型のタンデム冷間圧延設備では、No.1圧延機11のみに金属帯1を通板させ圧延処理する態様での使用割合も大きくなり、後続圧延機16およびこれ以降の構成は可及的に簡素化する必要がある。
【0006】
また、前方張力を確保することができない、剪断機の動作時などは、金属帯の通板を一時停止し、連続冷間圧延を一時的に中断することも考えられるけれども、複数基の各圧延機で金属帯がそれぞれ圧下され、金属帯表面の長手方向に各圧延機のワークロールにより押圧されて発生するタッチマークが所定距離を隔てて多数箇所付着し形成される。特に図4に示すような多機能型のタンデム冷間圧延設備では、圧延設備全体の長さが割に長くなり、このような多数のタッチマークが発生すると、表面品質不良による歩留まりの低下の割合が非常に大きくなり、致命的となる。
【0007】
本発明の目的は、タンデム冷間圧延設備の最終圧延機(最終スタンド)の所定範囲量の前方張力を安定かつ確実に確保することができ、少ない基数の圧延機で金属帯を品質歩留り良く効率的に冷間圧延することができる金属帯のタンデム冷間圧延制御方法および装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属帯を複数基の圧延機を有するタンデム冷間圧延設備に通板して連続的に冷間圧延し、最終圧延機の出側に設けられる張力付与装置に通板させ、この張力付与装置のさらに出側で走間剪断して巻取る際の金属帯の冷間圧延制御方法であって、
金属帯を走間剪断する時点から切離された金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始する時点までの間は、金属帯の通板を停止せずに、金属帯の冷間圧延に必要な前方張力を張力付与装置によって発生させ、
金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始する時点から次に走間剪断する時点までの間は、金属帯の通板を停止せずに、巻取開始時を除いて金属帯の冷間圧延に必要な一定の前方張力を張力付与装置および巻取装置によって発生させ、
前記巻取装置の張力を、巻取開始時に、一時的に増加させることを特徴とする金属帯のタンデム冷間圧延制御方法である。
【0009】
また本発明は、金属帯を走間剪断する時点から切離された金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始する時点までの間は、金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始する時点から次に走間剪断する時点までの間よりも、金属帯を低速で通板することを特徴とする。
【0011】
さらに本発明は、金属帯を複数基の圧延機を有するタンデム冷間圧延設備に通板して連続的に冷間圧延し、最終圧延機の出側に設けられる張力付与装置に通板させ、この張力付与装置のさらに出側で走間剪断して巻取るための金属帯の冷間圧延制御装置において、
金属帯を切離すべき部分が、張力付与装置のさらに出側に配置される走間剪断装置まで到達したか否かを検出する検出手段と、
金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始する時点から次に走間剪断する時点までの間は、金属帯の通板を停止せずに、巻取開始時を除いて金属帯の冷間圧延に必要な一定の前方張力を張力付与装置および巻取装置によって発生させ、検出手段からの出力に応答して、金属帯をその切離すべき部分が最終圧延機を通過してから走間剪断装置に到達する時点までに金属帯の通板速度を減少させてから金属帯を走間剪断し、切離された金属帯の先端を巻取装置へ巻付けて巻取開始する時点までは金属帯の冷間圧延に必要な一定の前方張力を張力付与装置によって発生させるように制御する制御手段とを含むことを特徴とする金属帯のタンデム冷間圧延制御装置である。
【0012】
また本発明は、前記張力付与装置として2重圧延機を配置することを特徴とする。
【0013】
【作用】
本発明に従えば、金属帯を複数基の圧延機を有するタンデム冷間圧延設備に通板して連続的に冷間圧延し、この最終圧延機の出側に設けられる張力付与装置に通板させ、この張力付与装置のさらに出側で走間剪断して巻取る。この際に、金属帯を走間剪断する時点から切離された金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始する時点までの間は、金属帯の通板を停止せずに、巻取開始時を除いて金属帯の冷間圧延に必要な一定の前方張力を専ら張力付与装置によって発生させる。金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始する時点から連続冷間圧延し、次に走間剪断する時点までの間は、金属帯の通板を停止せずに、金属帯の冷間圧延に必要な一定の前方張力を張力付与装置および巻取装置によって発生させる。したがって、タンデム冷間圧延設備内の最終圧延機(最終スタンド)の出側と少なくとも張力付与装置との間では、金属帯の通板を停止することなく、前方の連続冷間圧延に全く支障がないように所定範囲量の前方張力を安定かつ確実に付加することが可能となって、前述の如き仮想話しではあるが実現すれば致命的なタッチマークなどの発生、形成されるおそれを完全に払拭することができる。また、金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始してから次に走間剪断する時点までの間においては、最終圧延機の出側と張力付与装置を介して巻取装置との間でも、通常の連続冷間圧延のための前方張力を発生させることができるので、所定範囲量の前方張力および巻取張力を安定して確保し得て、何ら支障なく金属帯を連続冷間圧延することができる。
また、前記巻取装置の張力を、その巻取開始時に、一時的に増加させることによって、金属帯の先端を素早く確実に巻付けて巻取開始することができる。
【0014】
また本発明に従えば、金属帯を走間剪断する時点から切離された金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始する時点までの間は、金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始する時点から次に走間剪断する時点までの間よりも、金属帯を低速で通板しながら連続的に冷間圧延する。この走間剪断された金属帯において、切離されて先行する金属帯をその後端まで巻取り、巻取られた金属帯コイルを巻取装置から装置外へ取り除き、後行する金属帯の巻付け準備態勢が整い完了する時点までの間は、後行する金属帯の通板を停止せずに低速で通板しながら連続的に冷間圧延するので、この巻取装置に特に高速で巻取り前述のコイルの切り替えを短時間に終えて早急な金属帯の巻付け準備態勢が整えられるものを用いないでも、また格別に巻取装置そのものをその所要設置スペースを割き大きな設備投資額を費やして複数台に大型化しないでも、金属帯をコイルとして順次巻取ることができる。
【0016】
さらに本発明に従えば、金属帯を複数基の圧延機を有するタンデム冷間圧延設備に通板して連続的に冷間圧延し、この最終圧延機の出側に設けられる張力付与装置に通板させ、この張力付与装置のさらに出側で走間剪断して巻取る。このための金属帯の冷間圧延制御装置として、このように金属帯を走間剪断しては巻取るための検出手段と制御手段とを設ける。
【0017】
検出手段は、金属帯を切離すべき部分が、前記張力付与装置のさらに出側に配置される走間剪断装置まで到達したか否かを検出する。制御手段は、検出手段からの出力に応答して、金属帯をその切離すべき部分が最終圧延機を通過してから走間剪断装置に到達する時点までに金属帯の通板速度を減少させてから金属帯を走間剪断し、切離された金属帯の先端を巻取装置へ巻付けて巻取開始する時点までは金属帯の冷間圧延に必要な一定の前方張力を張力付与装置によって発生させるように制御する。これによって、金属帯をその切離すべき部分で走間剪断するときに、そして走間剪断してから後行する金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始する時点までに、連続的に冷間圧延するに必要な一定の前方張力を安定して確実に確保することができ、切離されて後行する金属帯の後端まで巻取り次の巻取開始可能な態勢準備が完了するまでは、金属帯を一時的にしろ通板停止させずに冷間圧延を続行させることができる。したがって、巻取装置として格別な高速処理可能なものを設置する必要もなく、たとえ1基の巻取装置でも金属帯を容易に設備内に連続通板させ、連続的に冷間圧延しては走行剪断させ、コイルとして順次円滑に巻取ることができる。
【0018】
また本発明に従えば、前記張力付与装置として最も簡単な構成の2重圧延機を用いるので、応答性良く前方張力の量的な切り替えを行うことができる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例につき、図1、図2および図3によって説明する。図1は本発明の一実施例の構成を示し、図2は図1の実施例の制御方法を示し、図3は図1の実施例の主要部分の構成を示す。
【0020】
図1に示すように、連続的に冷間圧延するステンレス鋼帯などの金属帯21は、複数のペイオフリール22a,22bからデフレクタロール23a,23bを経て、それぞれ順次設備ライン内に供給される。先行する金属帯の後端と、後行する金属帯の先端とは、溶接機24によって接合される。この溶接条件は、先行する金属帯と後行する金属帯との材質や寸法や形状の違いに従って選定される。また、この溶接部分は、先行する金属帯と後行する金属帯とをそれぞれ連続的に冷間圧延した後に切離すべき部分であり、この部分の検出を容易にするための検出孔も、設けられる。
【0021】
金属帯21は、ルーパ装置25から焼鈍装置26、脱スケール装置27、ルーパ装置28に連続通板される。焼鈍装置26および脱スケール装置27では、処理時間を厳密に守る必要があり、金属帯21の通板速度は一定に保たれる。入側のルーパ装置25は、金属帯21の溶接中に通板速度を調整するために設けられる。出側のルーパ装置28は、下流側の通板速度の変動を調整するために設けられる。
【0022】
ルーパ装置28の下流側には、ブライドルロール29およびセンタリング装置30が配設される。ブライドルロール29は、金属帯21の圧延に必要な後方張力を発生させるために設けられる。センタリング装置30は、金属帯21の蛇行を修正するために設けられる。
【0023】
金属帯21を冷間圧延するタンデム冷間圧延設備は、この図例においては、No.1圧延機31、No.2圧延機32およびNo.3圧延機33を含む。設備内の最終圧延機(最終スタンド)であるNo.3圧延機33の出側には、検出手段である光電センサ35が設けられ、前記溶接部分であり先行および後行する金属帯間の切離すべき部分に予め形成されている検出孔を検知することができる。光電センサ35からの検出出力は、入力信号として制御手段である制御装置36に与えられる。制御装置36は、たとえば、コンピュータを含んで実現され、特に図示して説明しないが先行および後行する金属帯や設備内の多種多様な信号のみならず、ルーパ装置29から、貯蔵されている金属帯の量を表す信号も入力される。
【0024】
このような制御装置36においては、特に図示しないけれども、前記金属帯21間に予め形成されている検出孔、すなわち金属帯21の切離すべき部分の検出出力を光電センサ35から入力信号として入力された直後から、トラッキング制御手段によって、金属帯21の通板に従って下流側へ移動していく検出孔の位置が追跡されていき、かかる検出孔すなわち金属帯21の切離すべき部分が最終圧延機33の出側に配置されている張力付与装置37に到達する時点、またこの装置37の出側に配置されている走間剪断装置38に到達する時点、さらに出側にそれぞれ配置されているデフレクタロール39および巻取装置40内のテンションリールにそれぞれ到達する時点を演算して求めることができる。
【0025】
そして、制御装置36は、このようにして求められている各装置37,38,39,40への到達する時点をもとにして、No.3圧延機33の下流側に設けられる張力付与装置(2重圧延機)37や走間剪断装置38や巻取装置40などを制御する。張力付与装置37としてたとえば2重圧延機は、上下一対のロール間で金属帯21をたとえば最大600Tonで押圧し、No.3圧延機33との間で大きな前方冷間圧延張力を発生させる。このロール径は、たとえば700〜760mmである。走間剪断装置38は、金属帯21の通板と同調して走行しながら、金属帯21の溶接部分すなわち切離すべき部分を剪断する。走間剪断装置38の下流側には、デフレクタロール39が設けられ、これによって通板方向を変えられる金属帯21は、巻取装置40内にあるテンションリールによって巻取られる。テンションリール20の巻取張力も制御装置36によって調整制御される。この巻取張力は、たとえば最大30Tonであり、板厚1.2〜3.0mm、板幅800〜1300mmの金属帯に対して、7.7〜31.3kgf/mm2 の引張応力となる。
【0026】
本実施例のタンデム冷間圧延設備も、図4に示し詳述したものと同様に多機能型であり、No.1圧延機31のみに金属帯21を通板して、剪断機42で剪断し、デフレクタロール43を経てテンションリール44で巻取ることもできる。この動作モードでは、剪断の際には金属帯21の通板は瞬間的に停止するがNo.1圧延機31の圧下力は通常非常に軽量なのでタッチマークの問題は殆んど生じない。
【0027】
図2に示すように、本実施例では通板速度と金属帯21に付加する張力とを制御する。図2の(1)はNo.3圧延機33の出側での通板速度の変化を示し、(2)は巻取装置40内のテンションリールの巻取張力の変化を示し、(3)は張力付与装置37としての2重圧延機(「2Hロール」とも記す)によって付与される張力の変化を示し、(4)は金属帯21に付与される前方張力の変化を示す。時刻t0で金属帯21の走間剪断を行う。このときの通板速度は、可及的に低速にしておく。切離された先行する金属帯21は通板速度を速めて、巻取装置40内のテンションリールに迅速に巻取る。後行する金属帯21の通板を低速で続け、先行する金属帯21の巻取が完了し次の巻取開始準備態勢の整えられた巻取装置40のテンションリールに、後行する金属帯21の先端を時刻t1で巻付ける。この巻付ける際には、巻取張力を一時的に高め、確実な巻取を行う。時刻t0と時刻t1との間は、2重圧延機37のみで前方張力を発生させる。前方張力は、たとえば最大50Tonであり、前述の金属帯に対する応力としては、15.4〜52.1kgf/mm2 となる。
【0028】
時刻t2で先端の巻付けが完了し、通板速度の増加を開始する。ルーパ装置28には、低速で通板している間に金属帯21が最大限近くになるまで貯蔵されている。この金属帯21の貯蔵量を最小限にしておくために、時刻t3からt3aまでの間で追い込みを図る。時刻t3aから時刻t3bまで減速し、金属帯21の通板速度を前述の焼鈍装置26および脱スケール装置27の通板速度に同期させる。
【0029】
時刻t4で前記溶接部分に予め形成されている検出孔が各圧延機31,32,33に接近する。この溶接部分の接近は、金属帯21の通板に従って検出孔の位置を追跡するトラッキング制御手段によって演算され求められる。時刻t4から時刻t4aまでで通板速度を低下させる。格別図示していないが、各圧延機31,32,33の入側にはそれぞれ検出孔の検知を行う光電センサや各光電センサからの検出出力を受けて諸々の制御を行う制御装置などがそれぞれ設けられる。時刻t4aからt4bまでの間に溶接部分が各圧延機31,32,33を通過する。先行する金属帯21と後行する金属帯21との間の差が所定の条件の範囲内であれば、むしろ所定の条件範囲内に調整して金属帯21の通板を停止せずに溶接部分もそのまま冷間圧延してしまう。調整し切れずに差が大きいときには、その通板を一時的に停止して各圧延機31,32,33を逐次オープン状態に開いてから、溶接部分を通過させる。
【0030】
時刻t5では、2重圧延機37を溶接部分が通過し、走間剪断機38の直前に設けられる光電センサ35によって検出孔が検知される。この検出孔の検出出力の入力された制御装置36は、金属帯21の通板速度をさらに低下させ、安定な冷間圧延が可能な最低の速度に制御する。低速でも安定な冷間圧延を可能にするためには、自動板厚制御などについても高速時とは異なる特性が必要である。時刻t6で走間剪断装置38による剪断を行い、時刻t7までに巻取装置40のテンションリールに巻取る。剪断された後行する金属帯21については、時刻t6およびt7は、それぞれ、時刻t0およびt1に相当する。
【0031】
図3に示すように、No.3圧延機33の出側には、形状検出装置51が設けられ、板幅方向の金属帯21の形状を検出し、各圧延機31,32,33に備えられる、形状修正機能のための入力データとすることができる。また、走間剪断装置38とデフレクタロール39との間には、先端移送装置52が設けられる。先端移送装置52は、切離された後行金属帯の先端を保持して、走間剪断装置38とデフレクタロール39との間の距離を誘導案内する。この距離を長くすれば、通板速度の下限をあまり低下させる必要はなくなり、通板速度の変化が小さくなって自動板厚制御などは容易となる。一方、通板速度を極力低速にすることができると、誘導案内する距離が短くなり、設備の小型化が可能となる。さらにこの距離が短ければ、2重圧延機37のロールによる押し出しだけでも切離された後行金属帯の先端のスレッディングが可能となる。
【0032】
本実施例では、3スタンドの圧延機でもって多機能型タンデム冷間圧延設備を構成しているけれども、他の構成のタンデム冷間圧延設備であっても同様の機能、作用効果を奏するようにすることができるのは勿論である。
【0033】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、金属帯をタンデム冷間圧延設備で連続的に圧延して最終圧延機の出側に設けられる張力付与装置に通板させる。張力付与装置の出側で走間剪断して巻取る際に、金属帯を走間剪断する時点から切離された金属帯の先端を巻取装置に巻付ける時点までの間は、金属帯の通板を停止せずに、金属帯の冷間圧延に必要な一定の前方張力を専ら張力付与装置によって発生させる。金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始する時点から次に走間剪断する時点までの間は、金属帯の通板を停止せずに、巻取開始時を除いて金属帯の冷間圧延に必要な一定の前方張力を張力付与装置および巻取装置によって発生させる。したがって、タンデム冷間圧延設備内の最終圧延機出側と少なくとも張力付与装置との間で金属帯の通板を停止することなく、安定かつ確実に一定の前方張力を付加することができ、しかも、形成されれば致命的なタッチマークなどが発生するおそれを払拭することができる。また、金属帯を巻取るときは、張力付与装置と巻取装置との間でも、通常の連続冷間圧延のための前方張力を発生させることができるので、所定範囲量の前方張力とともに安定して巻取張力を確保することができる。タンデム圧延設備の最終圧延機の出側の前方張力を、金属帯の通板を停止せずに剪断を行いながら安定に確保することができ、何ら支障なく金属帯を連続冷間圧延することができる。
また、巻取装置の張力を、巻取開始時に、一時的に増加させることによって、金属帯の先端を確実に巻付けて巻取開始することができる。
【0034】
また本発明によれば、金属帯を走間剪断する時点から切離された金属帯の先端を巻取装置に巻取開始する時点までの間は、金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始する時点から次に走間剪断する時点までの間よりも、金属帯を低速で通板しながら連続的に冷間圧延する。走間剪断された金属帯において、切離されて先行する金属帯をその後端まで金属帯コイルとして巻取り、巻取装置外へ取出して後行する金属帯の巻付け準備態勢が完了する時点までの間は、後行する金属帯の通板を停止せずに低速で通板しながら圧延するので、この巻取装置に、特に高速で金属帯を巻取り、コイルの切り替えが短時間で可能なものを用いないでも、また複数台を用いないでも、容易に金属帯をコイルとして順次巻取ることができる。
【0036】
さらに本発明によれば、金属帯を複数基の圧延機を有するタンデム冷間圧延設備に通板して連続的に圧延し、最終圧延機出側に設けられる張力付与装置に通板させ、張力付与装置の出側で走間剪断して巻取る。このための制御装置として、検出手段と制御手段とを備える。検出手段は、金属帯を切離すべき部分が、走間剪断装置まで到達したか否かを検出する。制御手段は、金属帯を切離すべき部分が最終圧延機を通過してから走間剪断装置まで到達する時点までに、金属帯の通板速度を減少させてから金属帯を走間剪断し、切離された金属帯の先端を巻取装置へ巻付けて巻取開始する時点までは金属帯の冷間圧延に必要な一定の前方張力を張力発生装置によって発生させるように制御する。これによって、金属帯をその切離すべき部分で走間剪断する時点でも、金属帯の冷間圧延に必要な前方張力を確保することができ、また、切離されて後行する金属帯の巻取り準備が完了するまでは、金属帯を停止させずに冷間圧延を続け、たとえ1基の巻取装置でも金属帯を容易に連続して通板しながら巻取ることができる。タンデム冷間圧延設備の最終圧延機の前方張力を安定に確保することができ、金属帯コイルとして円滑に圧延して巻取ることができる。
【0037】
また本発明によれば、前記張力付与装置として2重圧延機を用いるので、簡単な構成で応答性よく確実な前方張力の量的な切り替えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示す簡略化した正面図である。
【図2】図1の実施例の制御方法を示すタイムチャートである。
【図3】図1の実施例の主要部分の構成を示す簡略化した正面図である。
【図4】タンデム冷間圧延設備の構成の一例を示す簡略化した正面図である。
【符号の説明】
21 金属帯
26 焼鈍装置
27 脱スケール装置
28 ルーパ装置
31 No.1圧延機
32 No.2圧延機
33 No.3圧延機
35 光電センサ
36 制御装置
37 張力付与装置(2重圧延機)
38 走間剪断装置
40 巻取装置
52 先端移送装置
Claims (4)
- 金属帯を複数基の圧延機を有するタンデム冷間圧延設備に通板して連続的に冷間圧延し、最終圧延機の出側に設けられる張力付与装置に通板させ、この張力付与装置のさらに出側で走間剪断して巻取る際の金属帯の冷間圧延制御方法であって、
金属帯を走間剪断する時点から切離された金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始する時点までの間は、金属帯の通板を停止せずに、金属帯の冷間圧延に必要な前方張力を張力付与装置によって発生させ、
金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始する時点から次に走間剪断する時点までの間は、金属帯の通板を停止せずに、巻取開始時を除いて金属帯の冷間圧延に必要な一定の前方張力を張力付与装置および巻取装置によって発生させ、
前記巻取装置の張力を、巻取開始時に、一時的に増加させることを特徴とする金属帯のタンデム冷間圧延制御方法。 - 金属帯を走間剪断する時点から切離された金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始する時点までの間は、金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始する時点から次に走間剪断する時点までの間よりも、金属帯を低速で通板することを特徴とする請求項1記載の金属帯のタンデム冷間圧延制御方法。
- 金属帯を複数基の圧延機を有するタンデム冷間圧延設備に通板して連続的に冷間圧延し、最終圧延機の出側に設けられる張力付与装置に通板させ、この張力付与装置のさらに出側で走間剪断して巻取るための金属帯の冷間圧延制御装置において、
金属帯を切離すべき部分が、張力付与装置のさらに出側に配置される走間剪断装置まで到達したか否かを検出する検出手段と、
金属帯の先端を巻取装置に巻付けて巻取開始する時点から次に走間剪断する時点までの間は、金属帯の通板を停止せずに、巻取開始時を除いて金属帯の冷間圧延に必要な一定の前方張力を張力付与装置および巻取装置によって発生させ、検出手段からの出力に応答して、金属帯をその切離すべき部分が最終圧延機を通過してから走間剪断装置に到達する時点までに金属帯の通板速度を減少させてから金属帯を走間剪断し、切離された金属帯の先端を巻取装置へ巻付けて巻取開始する時点までは金属帯の冷間圧延に必要な一定の前方張力を張力付与装置によって発生させるように制御する制御手段とを含むことを特徴とする金属帯のタンデム冷間圧延制御装置。 - 前記張力付与装置として2重圧延機を配置することを特徴とする請求項3記載の金属帯の圧延制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP17287594A JP3610090B2 (ja) | 1994-07-25 | 1994-07-25 | 金属帯のタンデム冷間圧延制御方法および装置 |
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1994
- 1994-07-25 JP JP17287594A patent/JP3610090B2/ja not_active Expired - Lifetime
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