JP2843158B2 - 熱可塑性スチレン系樹脂組成物構造体及びその製造法 - Google Patents

熱可塑性スチレン系樹脂組成物構造体及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性スチレン系樹脂
をマトリックスとし、これに熱可塑性ポリエステル樹脂
が網目状に分散した構造体及びその製造法に関し、安価
で、簡易な方法により形成され、低成形収縮率等の熱可
塑性スチレン系樹脂の特長を保持し、且つその不充分な
機械的物性、耐薬品性等の改良された樹脂成形品を提供
するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】熱可塑
性スチレン系樹脂は安価であり、成形性に優れ、汎用樹
脂として種々の分野で多量に使用されている。
【0003】ところが、熱可塑性スチレン系樹脂は非晶
性であって、成形時の収縮率が低く寸法精度に優れてい
るが、一般に機械的物性に限界があり、耐薬品性が悪
い。そのため自動車部品、電気電子機器等の機能材料に
は不適当な場合が多い。かかる欠点を補うため、目的と
する物性の優れた他の樹脂、例えばいわゆるエンジニア
リングプラスチック等の機能性樹脂を配合することが考
えられ、エンジニアリングプラスチックの代表である熱
可塑性ポリエステル樹脂はその有力な候補として考えら
れるが、単に熱可塑性ポリエステル樹脂を溶融混合した
だけではその分散性が悪いためか、充分な機械的物性の
向上が得られず、成形時に成形歪、成形収縮が発生し、
また耐薬品性も多量の熱可塑性ポリエステル樹脂を配合
しない限りあまり改善されず、精密材料、機能材料等に
は尚十分でない。
【0004】本発明はかかる欠点を改善するため、熱可
塑性スチレン系樹脂に熱可塑性ポリエステル樹脂を配合
した場合の両成分の分散性に基づく欠点を解決し、成形
品とした場合のその機械的物性を改善し、耐薬品性を向
上し、更に成形時の収縮率を低下し寸法精度の良好な成
形品の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記問題点
に鑑み、熱可塑性スチレン系樹脂と比較的少量の熱可塑
性ポリエステル樹脂とのポリマーブレンドにおけるその
分散形態の改善につき鋭意検討した結果、特定の充填剤
を併用し、溶融混練時の各成分間の相対的表面張力等を
調整する事により、熱可塑性スチレン系樹脂中に熱可塑
性ポリエステル樹脂が網目状に分散した組成物構造体が
形成され、このようにして得た網目構造体は機械的性質
が向上し、耐薬品性も良く、且つ熱可塑性スチレン系樹
脂の本来有している成形時の低収縮率、摩擦摩耗性をそ
のまま維持している事を見出し、本発明に到ったもので
ある。
【0006】即ち、本発明はポリスチレン、及び/又は
ポリスチレンを主成分としアクリロニトリル及び/又は
アクリル酸又はそのエステルを共重合成分とする共重合
樹脂から選ばれる熱可塑性スチレン系樹脂Aをマトリッ
クスとし、熱可塑性ポリエステル樹脂Bを溶融混練する
に際し、溶融混練温度における表面張力が成分Bより大
であり、且つ平均粒子径が0.05〜50μm である充填剤C
を、下記式(1) 及び(2) を満足する配合量で溶融混練す
ることを特徴とするA,B成分が相互に侵入して網目状
に分散した組成物構造体の製造法及び該製造法にて得た
組成物構造体より成る成形品に関するものである。
【0007】 B/(A+B)=0.05〜0.5 (重量比) (1) C/(B+C)=0.1 〜0.7 (重量比) (2) 先ず、本発明で言う相互侵入網目構造体の分散形態につ
いて説明すると、図1は従来のポリマーブレンド系にお
ける粒子分散形態を表す模式図であり、マトリックス樹
脂である熱可塑性スチレン系樹脂Aに比し比較的含量の
少ない熱可塑性ポリエステル樹脂Bは粒子状に分離した
分散形態を呈している。これに対し、図2は本発明の相
互侵入網目構造形態を示す模式図であり、この構造で
は、熱可塑性ポリエステル樹脂Bの中に特定の充填剤C
が包含され、熱可塑性ポリエステル樹脂Bの含量が少な
いにもかかわらず、熱可塑性スチレン系樹脂Aと熱可塑
性ポリエステル樹脂Bは互いにネットワークを形成し、
絡み合った構造となって連続相を形成している。
【0008】即ち、本発明では熱可塑性スチレン系樹脂
Aに対し熱可塑性ポリエステル樹脂Bの少なくとも一部
有効量が、一般には大部分が互いに実質上連続した網目
状構造を呈し、かかる分散形態を呈することに本発明の
特徴があり、単に熱可塑性ポリエステル樹脂を配合した
場合に比べて、一層の機械的物性、耐薬品性、成形収縮
率等を改善したものである。
【0009】かかる分散構造は、形成した構造体、例え
ば、成形片を適度に粉砕又は切断し、適当な溶剤にてマ
トリックスである成分Aを溶解除去することによって確
認することができる。成分Bが網目状に分散している場
合にはマトリックスAを溶解除去した後も、そのままそ
の形態を保持しているのに対し、粒状又は層状に分離し
て分散している場合には、形態が崩れ原形をとどめない
ことでもわかる。また、かかるマトリックスの溶出処理
後、適当な篩で分離することによって網目状に存在した
部分をほぼ定量的に知る事も出来る。
【0010】次に、本発明に用いられる成分について説
明する。
【0011】本発明で用いられる成分Aの熱可塑性スチ
レン系樹脂とは公知の如く、スチレン単独、又はスチレ
ンを主体とし下記特定のコモノマーの共存下でラジカル
重合反応、或いはイオン重合反応により得られるもので
あり、工業的には塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化
重合等により得られるものがいずれも使用できる。また
本発明の熱可塑性ポリスチレン系樹脂Aは、ポリスチレ
ンの他、その性質を大幅に損なわない範囲で、スチレン
を主体とし、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル、アクリロニトリルとの共重合体も用い
ることができる。
【0012】本発明で用いられる成分Bの熱可塑性ポリ
エステル樹脂とは、各種フタル酸と各種ジオール或いは
これらのエステル形成性モノマーを縮重合して得られる
飽和ポリエステル樹脂である。例えば、ポリブチレンテ
レフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタ
レート(PCT)等のポリアルキレンテレフタレートが
代表的なものであり、又、これらを主たる構成成分と
し、他の共重合モノマーを少量含有するコポリマー、タ
ーポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー
も好ましく用いられる。又、その重合度に関しても特に
制限はなく、成形加工性を有するものであれば何れにて
もよい。コポリマーの場合、特にコモノマー成分として
は例えばイソフタル酸、ビスフェノールA、2,2 −ビス
(β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2 −
ビス(β−ヒドロキシエトキシテトラブロモフェニル)
プロパン等が挙げられ、又、トリメチロールプロパン、
トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、トリメ
リット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような多官
能性エステル形成性モノマーを少量導入したグラフトコ
ポリマーであっても熱可塑性で溶融加工性を有するもの
であれば好ましく使用される。
【0013】本発明における成分A,Bの配合比は、成
分Bが成分A及びBの総重量の5〜50%、好ましくは10
〜40%である。成分Bが過少の場合は機械的物性等の改
善に役立たず、又、過大の場合には熱可塑性スチレン系
樹脂本来の特性が失われ、成形収縮率等の改善が得られ
ない。
【0014】次に成分Cは、溶融混練温度における表面
張力が少なくとも同温度における成分Bの表面張力より
大であることが必要で、好ましくはB成分との表面張力
差が2dyn/cm以上大のものである。
【0015】各成分の表面張力は、その溶融混練温度で
の表面張力を知る必要があり、熱可塑性樹脂の場合、一
般に広く利用されているように、その温度での懸滴法で
評価出来る。ここで懸滴法とは、管を垂直に立て、その
内部に入れた試料が液滴となって管端にぶら下がった状
態の液滴の形状挙動から、液体の表面張力を求める方法
である。尚、溶融しないもの(成分C)に対しては、ジ
スマンプロット法で算出した接触角法で臨界表面張力を
求め評価することができる(詳細は後記の実施例参
照)。
【0016】一般に熱可塑性スチレン系樹脂Aの溶融混
練温度おける表面張力は熱可塑性ポリエステル樹脂Bの
それより小であり、因みに熱可塑性スチレン系樹脂Aの
245℃における表面張力の値は24〜30dyn/cm(例えばポ
リスチレンは約25dyn/cm、ポリスチレン−アクリロニト
リル共重合体は29dyn/cm)、ポリエステル樹脂Bの値は
約30〜38dyn/cm(例えばポリブチレンテレフタレートは
約36dyn/cm、ポリエチレンテレフタレートは約30dyn/c
m)である。従って成分Cの表面張力は 245℃で混練す
る場合、少なくとも上記成分Bの値以上であることを必
要とし、出来るだけ高い方が好ましいことになる。
【0017】また、成分Cの充填剤は、平均粒径が0.05
〜50μm の粉粒状のものが好ましく、更に好ましくは平
均粒径 0.1〜10μm である。粒径は小さい程、細かい網
目構造を形成する上で有利である。成分Cの配合量は、
成分B及びCの総重量に対し、10〜70%が適当であり、
好ましくは20〜60%である。過少であると本発明の効果
を発揮し難く、過大であると物性に影響し好ましくな
い。ここで、成分Cである充填剤の平均粒径は、常法に
より測定・規定することができる。例えば、充填剤Cを
よく混合した後、数ヶ所(3〜5ヶ所)から無作為に採
取した試料を、目盛り付き顕微鏡[比較的大粒子(約5
μm <)の場合は光学顕微鏡、比較的小粒子(約5μm
>)の場合は電子顕微鏡を用いる]にて視野中の全粒子
(約30〜50ヶに調整)を観察し、個々の粒子の最長方向
の長さの和と、その個数より、数平均径として表すこと
ができる。この方法により、粉粒状充填剤はもとより、
繊維状や板状の充填剤の平均粒径も規定することができ
る。
【0018】本発明の網目状分散形態の発現は、かかる
条件を満足する成分Cが溶融混練時に存在することによ
り、その相対的表面張力の影響で、粒子状の成分Cが選
択的に成分Bによって包含され、成分Cを多数包含した
成分Bは、成分Cの混練による移動分散に連動して枝状
に延び、接合して網目構造を形成するものと解される。
【0019】成分Cの充填剤としては、前記の条件を満
足し、特に表面張力値が前記の如く溶融混練温度におい
て成分Bの値より大であれば、無機充填剤でも有機充填
剤でも良く、形状も繊維状、粉粒状、板状等その他目的
により任意の形状のものが用いられる。例えば、無機充
填剤としてはガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊
維、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア
繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン
酸カリウム繊維等の無機質繊維状物質、或いはカーボン
ブラック、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ミ
ルドガラスファイバー、ガラスバルーン、ガラス粉、珪
酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、
クレー、珪藻土、ウァラストナイトの如き珪酸塩、酸化
鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、アルミ
ナの如き金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウムの如き金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウ
ムの如き金属の硫酸塩、その他フェライト、炭化珪素、
窒化珪素、窒化硼素等の粉粒体等、また、マイカ、ガラ
スフレーク等の板状充填剤等が、使用するB成分に対す
る相対的表面張力値を考慮して、成分Cとしての選択の
対象となる。
【0020】又、有機充填剤Cとしては、上記の条件を
満足するものであれば耐熱性、高融点の熱可塑性樹脂、
熱硬化性樹脂等からなる充填剤が使用可能であり、例え
ば芳香族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリイミド系樹脂、
液晶性ポリマー、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、
エポキシ系樹脂等がその表面張力値等の条件を満足する
限り成分Cとして有効である。
【0021】これらの粉粒体は一種又は二種以上併用す
ることも出来る。
【0022】又、これらの充填剤は要すれば適当な表面
処理剤等により表面処理を行うことにより、表面張力を
調整し、成分Cとして用いることができる。
【0023】尚、本発明の組成物構造体には更にその目
的を損なわない範囲で所望の特性を付与するため従来公
知の添加物、例えば潤滑剤、滑剤、核剤、染顔料、離型
剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候(光)安定剤、強化
剤、加水分解安定剤、その他成分A,B以外の熱可塑性
樹脂、成分C以外の充填剤等の添加剤を配合してもよ
い。
【0024】本発明組成物構造体の調製法は種々の公知
の方法で可能であるが、少なくともA,B,Cの3成分
の共存下で加熱溶融し、30秒以上混練処理することが必
要であり、その他の成分も同時に併用配合してもよく、
また、別に加えても良い。具体的には、例えばA,B,
C成分を予めタンブラー又はヘンシェルミキサーのよう
な混練機で均一に混合した後、1軸又は2軸の押出機に
供給して溶融混練し、ペレットとした後成形に供しても
よく、直接成形してもよい。
【0025】尚、ここで言う溶融混練は溶融温度におい
て40sec-1以上の剪断速度下で行うのが望ましい。特に
好ましい剪断速度は 100〜500sec-1である。
【0026】処理温度は、樹脂成分が溶融する温度より
5℃乃至 100℃高い温度であり、特に好ましくは融点よ
り10℃乃至60℃高い温度である。高温に過ぎると分解や
異常反応を生じ好ましくない。
【0027】また、溶融混練処理時間は、少なくとも30
秒以上15分以内、好ましくは1〜10分である。
【0028】
【発明の効果】本発明の熱可塑性スチレン系樹脂組成物
構造体は熱可塑性スチレン系樹脂に熱可塑性ポリエステ
ル樹脂が網目状に分散した構造を有し、簡易な方法で形
成することが出来、従来の単に両成分を配合した組成物
(粒子状分離分散)に比し成形時の収縮率、寸法精度等
が熱可塑性スチレン系樹脂に近い特長を保持し、平滑で
良好な表面特性を示し、しかも機械的物性、耐薬品性等
が一層改善され、多くの用途が期待される。
【0029】
【実施例】以下実施例により本発明を更に具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】実施例1〜2 表1に示す表面張力値(245 ℃)の、(A)ポリスチレ
ン樹脂(住友化学工業(株)2V)、(B)熱可塑性ポ
リブチレンテレフタレート樹脂(ポリプラスチックス
(株)製、ジュラネックス)、(C)タルク(富士タル
ク工業(株)製、平均粒径2μm 又は20μm )を表1に
示す割合で混合し、設定温度 245℃にて内径30mm二軸押
出機を用い、スクリュー回転数80rpm(剪断速度約100sec
-1) で溶融混練し、ペレット化した。次いで、該ペレッ
トより射出成形機により試験片を作成し、下記の特性評
価を行った。結果は表1に示す。
【0031】表面張力の測定法 熱可塑性スチレン系樹脂及び熱可塑性ポリエステル樹脂
については、協和界面科学(株)製、自動界面張力計P
D−Z型を使用し、懸滴法(丸善(株)新実験科学講座
18巻「界面とコロイド」(1977)の 78-79頁記載の方法)
で 245℃の雰囲気で測定した。ポリブチレンテレフタレ
ート樹脂は36dyn/cm、ポリスチレン樹脂は25dyn/cmであ
った。
【0032】また、タルク粒子については、タルク原石
表面を、協和界面科学(株)製、自動接触角計CA−Z
を使用し、接触角法(丸善(株)新実験科学講座18巻
「界面とコロイド」(1977)の93-106頁記載の方法)にて
臨界表面張力と温度係数を測定した。 245℃でのタルク
の表面張力に換算すると62dyn/cmであった。
【0033】網目構造の確認法 10×10×3mmに切断した成形片を適当な溶剤(例えば成
分Aがポリスチレンの場合はベンゼン、スチレン−アク
リロニトリル共重合体の場合はアセトン)に入れ、室温
にて12時間処理し、マトリックス樹脂である熱可塑性ス
チレン系樹脂を溶出させた後、肉眼及び光学顕微鏡、電
子顕微鏡により形態変化を観察し、この条件では溶解し
ないで残る熱可塑性ポリエステル樹脂の分散形態を調べ
た。
【0034】ここで、熱可塑性ポリエステル樹脂が従来
のように粒子分散であれば、成形片の形態をとどめず、
粒子状の熱可塑性ポリエステル樹脂の沈積物が肉眼又は
光学顕微鏡で観察されるのみである。
【0035】これに対し、本発明の如く、熱可塑性ポリ
エステル樹脂が相互侵入網目構造をとっている場合、成
形片は形態を留めており、これは肉眼又は光学顕微鏡で
観察される。更に走査型電子顕微鏡で拡大して観察する
と相互侵入網目構造がより明確に確認できる。因みに実
施例1の組成物構造体の溶解処理後の粒子構造(網目構
造)を示す電子顕微鏡写真を図3に示す。
【0036】また、この相互侵入網目構造の定量的評価
方法として、前記方法でマトリックス樹脂Aを溶出除去
した後、12メッシュの篩で分離し、残重量を調べた。粒
子状分散部分は篩を通過し残らないが、網目構造部分は
残るため、残重量%は網目構造部分の(B+C)の重量
を意味する。
【0037】引張強伸度:ASTM D638 の方法に準拠して
行った。
【0038】収縮率:ASTM引張試験片を成形し、成形品
の一定箇所の寸法を正確に測定し、対応する金型の寸法
に対する差を%で示した。
【0039】比較例1〜4 ポリスチレン樹脂A単独、ポリブチレンテレフタレート
樹脂B単独、成分A,Bの配合において充填剤Cを含ま
ないような組み合わせとした場合、又は成分Cの粒子径
が本発明の範囲外となる様な組み合わせとした場合につ
いて、実施例1に準じて評価した。結果は表1に合わせ
て示す。
【0040】実施例3〜6、比較例5〜8 成分A,B,Cの配合量を表2のように変えた他は実施
例1と同様に成形片を作成し評価した。評価結果は表2
に示す。
【0041】実施例7、比較例9〜10 充填剤Cとして炭酸カルシウム(白石工業(株)製、平
均粒径1μm)、シリコーンポリマー(トーレシリコーン
(株)製、平均粒径1μm)及びアクリルゴム粒子(三菱
レーヨン(株)製、W529 、平均粒径 0.3μm )を使用
した以外は実施例1と同様の方法で組成物を調製し、成
形して評価した。結果は表3に示す。尚、炭酸カルシウ
ムの表面張力は、前記タルク(実施例1〜2)と同様の
方法で、又、シリコーンポリマー及びアクリルゴムの表
面張力は、フィルム状成形品として何れも前記接触角法
に準じて求めた。
【0042】実施例8〜10、比較例11〜13 成分Aとしてポリスチレン樹脂をスチレン−アクリロニ
トリル共重合体(AS)(日本合成ゴム(株)製、AS
230)に変えた場合、また成分Bとしてポリブチレンテレ
フタレート樹脂をポリブチレンテレフタレート・イソフ
タレート共重合体又はポリエチレンテレフタレート樹脂
(鐘紡(株)製、ベルベット)に変えた場合について実
施例1に準じた方法で組成物を調製し、成形して評価し
た。結果は表4に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のポリマーブレンド系による構造体の分散
状態を示す模式図である。
【図2】本発明による構造体の分散状態を示す模式図で
ある。
【図3】本発明(実施例1)による構造体のベンゼン溶
解処理後の粒子構造(網目構造)を示す電子顕微鏡写真
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−306582(JP,A) 特開 平4−80249(JP,A) 特開 平4−236252(JP,A) 特公 昭47−42131(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 25/02 - 25/16 C08L 67/00 - 67/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリスチレン、及び/又はポリスチレン
    を主成分としアクリロニトリル及び/又はアクリル酸又
    はそのエステルを共重合成分とする共重合樹脂から選ば
    れる熱可塑性スチレン系樹脂Aをマトリックスとし、熱
    可塑性ポリエステル樹脂Bを溶融混練するに際し、溶融
    混練温度における表面張力が成分Bより大であり、且つ
    平均粒子径が0.05〜50μm である充填剤Cを、下記式
    (1) 及び(2) を満足する配合量で溶融混練することを特
    徴とするA,B成分が相互に侵入して網目状に分散した
    組成物構造体の製造法。 B/(A+B)=0.05〜0.5 (重量比) (1) C/(B+C)=0.1 〜0.7 (重量比) (2)
  2. 【請求項2】 溶融混練温度における成分Cの表面張力
    が成分Bのそれより2dyn/cm以上大である請求項1記載
    の組成物構造体の製造法。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリエステル樹脂Bがポリアル
    キレンテレフタレート又はこれを主体とする共重合体で
    ある請求項1又は2記載の組成物構造体の製造法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れか1項記載の方法に
    より製造した組成物構造体より成る成形品。
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