JP2863020B2 - ポリアルキレンフタレート系樹脂組成物構造体の製造法 - Google Patents

ポリアルキレンフタレート系樹脂組成物構造体の製造法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアルキレンフタレー
ト系樹脂をマトリックスとし、これに熱可塑性ポリスチ
レン系樹脂が網目状に分散した構造体及びその製造法に
関し、安価で、簡易な方法により形成され、成形品とし
てポリアルキレンフタレート系樹脂の物性を保持し、特
に耐薬品性、寸法精度、スチレン系樹脂等との融着性、
機械的物性等の改良された樹脂成形品を提供するもので
ある。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリエ
チレンテレフタレート或いはポリブチレンテレフタレー
トに代表されるポリアルキレンフタレート系樹脂は成形
性に優れ、且つバランスのとれた機械的性質、低吸水
性、耐薬品性、ガスバリヤー性等を有し、更に高温下で
の熱劣化特性が他の熱可塑性樹脂に比較して優れており
高い熱変形温度を有するが故に、代表的なエンジニアリ
ング樹脂として極めて広汎な分野で利用されている。し
かし、利用分野の拡大に伴い、樹脂に対する要求性能が
益々高度化、特殊化する傾向にあり、斯かる要求の例と
して成形収縮による寸法精度、他の樹脂との融着性等の
改善がある。即ち、例えばポリアルキレンテレフタレー
ト系樹脂はその高い結晶化度による成形収縮及びそれに
起因する成形品のソリ・変形が発生しやすく、大型部品
や精密電子部品等の分野での使用には問題があった。
又、他の樹脂、特にスチレン系樹脂との接着性、融着性
の悪さもあり、スチレン系樹脂等との積層フィルム、ブ
ロー成形用途等の複合成形品とする場合にも問題となる
ことがある。
【0003】かかる問題点を解決する方法として、他の
樹脂の配合が試みられている。熱可塑性ポリスチレン系
樹脂の配合もその一つであり、特にポリアルキレンフタ
レート系樹脂の成形収縮の改善、ポリスチレン系樹脂等
との融着性の改良には有効な手段と考えられる。ところ
が、本発明者らの検討によれば、単にポリアルキレンフ
タレート系樹脂を主成分としこれに熱可塑性ポリスチレ
ン系樹脂を配合した場合、その分散構造は熱可塑性ポリ
スチレン系樹脂相が島状に分離して分散しており、その
ため成形収縮又はスチレン系樹脂等との融着性の改良は
尚充分でなく、多量の熱可塑性ポリスチレン系樹脂の配
合を余儀なくされ、そのためポリアルキレンフタレート
系樹脂が本来有している機械的物性、耐薬品性、耐熱性
を低下させるという問題がある。
【0004】本発明はかかる欠点を改善するため、ポリ
アルキレンフタレート系樹脂に熱可塑性ポリスチレン系
樹脂を配合した場合の両成分の分散性を改善し、機械的
物性等のポリアルキレンフタレート系樹脂の特長を維持
し、成形時の収縮率を減少させて寸法精度を向上し、
又、ポリスチレン系樹脂との融着性を向上することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記問題点
に鑑み、ポリアルキレンフタレート系樹脂を主成分と
し、熱可塑性ポリスチレン系樹脂を配合したポリマーブ
レンドにおける両成分の分散形態の改善につき鋭意検討
した結果、特定の充填剤を併用し、溶融混練時の各成分
間の相対的表面張力等を調整する事により、ポリアルキ
レンフタレート系樹脂中に熱可塑性ポリスチレン系樹脂
が網目状に分散した組成物構造体が形成され、このよう
にして得た網目構造体は成形時の収縮率が低く寸法精度
に優れ、スチレン系樹脂等との融着性も良く、且つポリ
アルキレンフタレート系樹脂が本来有している機械的物
性を維持している事を見出し、本発明に到ったものであ
る。即ち、本発明はポリアルキレンフタレート系樹脂A
をマトリックスとし、熱可塑性ポリスチレン系樹脂Bを
溶融混練するに際し、溶融混練温度における表面張力が
成分Bより小であり、且つ平均粒子径が0.05〜50μm で
ある充填剤Cを、下記式(1) 及び(2) を満足する配合量
で溶融混練することを特徴とするA,B成分が相互に侵
入して網目状に分散した組成物構造体の製造法に関する
ものである。 B/(A+B)=0.05〜0.40(重量比) (1) C/(B+C)=0.1 〜0.7 (重量比) (2) 先ず、本発明で言う相互侵入網目構造体の分散形態につ
いて説明すると、図1は従来のポリマーブレンド系にお
ける粒子分散形態を表す模式図であり、マトリックス樹
脂であるポリアルキレンフタレート系樹脂Aに比し比較
的含量の少ない熱可塑性ポリスチレン系樹脂Bは粒子状
に分離した分散形態を呈している。これに対し、図2は
本発明の相互侵入網目構造形態を示す模式図であり、こ
の構造では、熱可塑性ポリスチレン系樹脂Bの中に特定
の充填剤Cが包含され、熱可塑性ポリスチレン系樹脂B
の含量が少ないにもかかわらず、ポリアルキレンフタレ
ート系樹脂Aと熱可塑性ポリスチレン系樹脂Bは互いに
ネットワークを形成し、絡み合った構造となって連続相
を形成している。即ち、本発明ではポリアルキレンフタ
レート系樹脂Aに対し熱可塑性ポリスチレン系樹脂Bの
少なくとも一部有効量が、一般には大部分が互いに実質
上連続した分散構造を呈し、かかる分散形態を呈するこ
とに本発明の特徴があり、単に熱可塑性ポリスチレン系
樹脂を配合した場合(粒子状分散)に比べて、機械的物
性、成形時の収縮率、他の樹脂との融着性等を一層改良
したものである。
【0006】かかる分散構造は、形成した構造体、例え
ば、成形片を適度に粉砕又は切断し、適当なアルカリ溶
液にてマトリックスである成分Aを選択的に分解除去す
ることによって確認することができる。成分Bが網目状
に分散している場合にはマトリックスAを分解除去した
後も、そのままその形態を保持しているのに対し、粒状
又は層状に分離して分散している場合には、形態が崩れ
原形をとどめないことでもわかる。また、かかるマトリ
ックスを分解処理後、適当な篩で分離することによって
網目状に存在した部分をほぼ定量的に知る事も出来る。
【0007】次に、本発明に用いられる成分について説
明する。本発明で用いられる成分Aのポリアルキレンフ
タレート系樹脂とは、各種フタル酸と各種アルキレンジ
オールとを主成分として縮重合によって得られる飽和ア
ルキレンフタレート重合体又は共重合体である。中で
も、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と炭素
数2〜8 のアルキレンジオールとを主成分とするポリア
ルキレンテレフタレート重合体又は共重合体が好まし
く、共重合成分としてはイソフタル酸、シクロヘキサン
ジメタノール、ビスフェノールA、2,2 −ビス(β−ヒ
ドロキシエトキシフェニル)プロパン及びそのハロゲン
置換体及びこれらのエステル形成性誘導体等が好ましい
ものとして挙げられる。又、トリメチロールプロパン、
ペンタエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリット
酸、トリメシン酸及びこれらのエステル形成性誘導体等
の如き多官能性モノマーを少量併用した分岐構造を有す
るポリアルキレンフタレート樹脂であってもよい。又、
その重合度に関しても特に制限はなく、成形加工性を有
するものであればよい。具体的には、例えばポリブチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートイソフ
タレート共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンテレフタレートイソフタレート共重合体、ポリ
ブチレン−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート共
重合体、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレー
ト、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレートイ
ソフタレート共重合体等のポリアルキレンテレフタレー
トホモポリマー、コポリマー等が特に好ましい例として
挙げられる。かかる成分Aとしては二種以上の混合物で
あってもよい。
【0008】次に本発明で用いられる成分Bの熱可塑性
スチレン系樹脂とは、スチレンを主体としラジカル重合
反応、或いはイオン重合反応により得られるものであ
り、工業的には塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重
合等により得られるものがいずれも使用できる。また本
発明の熱可塑性ポリスチレン系樹脂Bは、ポリスチレン
の他、その性質を大幅に損なわない範囲で、スチレンを
主体とし、その他のビニル化合物、ジエン系化合物等の
反応性モノマーを共重合するか、ゴム成分を導入したも
のであってもよい。特にポリスチレン、ポリαメチルス
チレン或いはこれらを主体とし、アクリル酸、メタクリ
ル酸、又はそれらのエステル、アクリロニトリル、ブタ
ジエン、塩素化エチレン等との共重合体も好ましく用い
られる。又、その重合度に関しても特に制限はなく、熱
可塑性で成形加工性を有するものであれば何れにてもよ
いが、比較的低粘度、例えば溶融混練温度において成分
Aよりも低粘度のものが本発明の目的には好ましい。
【0009】本発明における成分A,Bの配合比は、成
分Bが成分A及びBの総重量の5〜40重量%、好ましく
は10〜35重量%である。成分Bが過少の場合は本発明の
目的とする網目状分散形態が得難く、収縮率や他の樹脂
との融着性の改善等の効果が得られない。又、過大の場
合にはポリアルキレンフタレート系樹脂本来の特長が失
われ、好ましくない。
【0010】次に成分Cは、溶融混練温度における表面
張力が少なくとも同温度における成分Bの表面張力より
小であることが必要で、好ましくは成分Bとの表面張力
差が2dyn/cm以上小のものである。各成分の表面張力
は、その溶融混練温度での表面張力を知る必要があり、
熱可塑性樹脂の場合、一般に広く利用されているよう
に、その温度での懸滴法で評価出来る。ここで懸滴法と
は、管を垂直に立て、その内部に入れた試料が液滴とな
って管端にぶら下がった状態の液滴の形状挙動から、液
体の表面張力を求める方法である。尚、溶融しないもの
(成分C)に対しては、ジスマンプロット法で算出した
接触角法で臨界表面張力を求め評価することができる
(詳細は後記の実施例参照)。
【0011】成分Aと成分Bとの表面張力の関係は、溶
融混練温度において成分Bの表面張力は成分Aのそれよ
り小であることが必要であるが、一般に熱可塑性スチレ
ン系樹脂Bの溶融混練温度おける表面張力はポリアルキ
レンテレフタレート系樹脂Aのそれより小であり、この
相対的関係は満足される。因みにポリアルキレンテレフ
タレート系樹脂Aの 245℃における表面張力の値は30〜
38dyn/cm(例えばポリブチレンテレフタレートは36dyn/
cm、ポリエチレンテレフタレートは30dyn/cm)、熱可塑
性ポリスチレン系樹脂Bの値は24〜30dyn/cm(例えばポ
リスチレンは約25dyn/cm、スチレン−アクリロニトリル
共重合体は約29dyn/cm)である。従って成分Cの表面張
力は 245℃で混練する場合、更に上記成分Bの値以下で
あることを必要とし、出来るだけ低い方が好ましいこと
になる。
【0012】また、成分Cの充填剤は、平均粒径(又は
平均繊維長)が0.05〜50μm の粉粒状(又は繊維状)の
ものが好ましく、更に好ましくは平均粒径 0.1〜10μm
である。粒径は小さい程、細かい網目構造を形成する上
で有利である。成分Cの配合量は、成分B及びCの総重
量に対し、10〜70重量%が適当であり、好ましくは20〜
60重量%である。過少であると本発明の効果を発揮し難
く、過大であると物性に影響し好ましくない。
【0013】本発明の網目状分散形態の発現は、かかる
条件を満足する成分Cが溶融混練時に存在することによ
り、その相対的表面張力の影響で、粒子状の成分Cが選
択的に成分Bによって包含され、成分Cを多数包含した
成分Bは、成分Cの混練による移動分散に連動して枝状
に延び、接合して網目構造を形成するものと解される。
【0014】成分Cの充填剤としては、前記の条件を満
足し、特に表面張力値が前記の如く溶融混練温度におい
て成分Bの値より小であれば、無機充填剤でも有機充填
剤でも良く、形状も繊維状、粉粒状、板状等その他目的
により任意の形状のものが用いられる。例えば、フッ素
系の樹脂又はゴム、シリコーン系の樹脂又はゴム等が挙
げられる。又、一般に広く用いられている粉粒状の無機
質充填剤に上記フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂その他
適当な表面処理剤により表面処理を行って表面張力を調
整することにより成分Cとして有効に用いることができ
る。
【0015】尚、本発明の組成物構造体には更にその目
的を損なわない範囲で所望の特性を付与するため従来公
知の添加物、例えば潤滑剤、滑剤、核剤、染顔料、離型
剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候(光)安定剤、加水分
解安定剤、その他成分A,B以外の熱可塑性樹脂、成分
C以外の繊維状強化剤、粉粒状、板状充填剤等の添加剤
を配合してもよい。本発明組成物構造体の調製法は種々
の公知の方法で可能であるが、少なくともA,B,Cの
3成分の共存下で加熱溶融し、30秒以上混練処理するこ
とが好ましく、その他の成分も同時に併用配合してもよ
く、また、別に加えても良い。具体的には、例えば成分
A,B,Cを予めタンブラー又はヘンシェルミキサーの
ような混練機で均一に混合した後、1軸又は2軸の押出
機に供給して溶融混練し、ペレットとした後成形に供し
てもよく、直接成形してもよい。尚、ここで言う溶融混
練は溶融温度において40sec-1以上の剪断速度下で行う
のが望ましい。特に好ましい剪断速度は 100〜500sec-1
である。処理温度は、樹脂成分が溶融する温度より5℃
乃至 100℃高い温度であり、特に好ましくは融点より10
℃乃至60℃高い温度である。高温に過ぎると分解や異常
反応を生じ好ましくない。また、溶融混練処理時間は、
30秒以上15分以内、好ましくは1〜10分である。
【0016】
【発明の効果】本発明のポリアルキレンフタレート系樹
脂組成物構造体はポリアルキレンフタレート系樹脂に熱
可塑性ポリスチレン系樹脂が網目状に分散した構造を有
し、簡易な方法で形成することが出来、従来の単に両成
分を配合した組成物(粒子状分離分散)に比しポリアル
キレンフタレート系樹脂に近い物性を保持し、機械的物
性に優れ、成形収縮率即ち寸法精度や、スチレン系樹脂
等他の樹脂との融着性が一層改善され、多くの用途が期
待される。
【0017】
【実施例】以下実施例により本発明を更に具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0018】実施例1〜2 表1に示す表面張力値(245 ℃)の、ポリブチレンテレ
フタレート樹脂A(PBT)(ポリプラスチックス
(株)製、ジュラネックス)、熱可塑性ポリスチレン樹
脂B(住友化学工業(株)製)、シリコーンゴム粒子C
(SP)(トーレ・シリコーン(株)製、平均粒径1μ
m 又は20μm )を表1に示す割合で混合し、設定温度 2
45℃にて内径30mm二軸押出機を用い、スクリュー回転数
80rpm(剪断速度約100sec-1) で溶融混練し、ペレット化
した。次いで、該ペレットより射出成形機により試験片
を作成し、下記の如く特性評価を行った。結果は表1に
示す。
【0019】表面張力の測定法 ポリブチレンテレフタレート樹脂及び熱可塑性スチレン
樹脂については、協和界面科学(株)製、自動界面張力
計PD−Z型を使用し、懸滴法(丸善(株)新実験科学
講座18巻「界面とコロイド」(1977)の 78-79頁記載の方
法)で 245℃の雰囲気で測定した。ポリブチレンテレフ
タレート樹脂は36dyn/cm、熱可塑性ポリスチレン樹脂は
25dyn/cmであった。また、シリコーンゴム粒子について
は、約300 ℃でプレス機でフィルム状に加工し、協和界
面科学(株)製、自動接触角計CA−Zを使用し、接触
角法(丸善(株)新実験科学講座18巻「界面とコロイ
ド」(1977)の93-106頁記載の方法)にて臨界表面張力と
温度係数を測定した。 245℃でのシリコーンゴム粒子の
表面張力に換算すると約9dyn/cmであった。 25℃ 表面張力 19dyn/cm 60℃ 表面張力 17dyn/cm 80℃ 表面張力 16dyn/cm 温度勾配(−dr/dT) =0.05網目構造の確認法 10×10×3mmに切断した成形片を1N水酸化ナトリウム
水溶液に入れ、60℃にて12時間還流し、マトリックス樹
脂であるポリブチレンテレフタレート樹脂を分解、溶出
させた後、肉眼及び光学顕微鏡、電子顕微鏡により形態
変化を観察し、この条件では分解しない熱可塑性ポリス
チレン樹脂の分散形態を調べた。ここで、熱可塑性ポリ
スチレン樹脂が従来のように粒子分散であれば、成形片
の形態をとどめず、粒子状の熱可塑性ポリスチレン樹脂
の沈積物が観察されるのみである。これに対し、本発明
の如く、熱可塑性ポリスチレン樹脂が網目構造をとって
いる場合、成形片は形態を留めており、これは肉眼又は
光学顕微鏡で観察される。更に走査型電子顕微鏡で拡大
して観察すると網目構造がより明確に確認できる。因み
に実施例1の組成物構造体の分解処理後の粒子構造(網
目構造)を示す電子顕微鏡写真を図3に示す。また、こ
の網目構造の定量的評価方法として、前記方法でマトリ
ックス樹脂Aを溶出除去した後、12メッシュの篩で分離
し、残重量を調べた。粒子状分散部分は篩を通過し残ら
ないが、網目構造部分は残るため、残重量%は網目構造
部分の(B+C)の重量を意味する。引張強伸度 :ASTM D638 の方法に準拠して測定した。融着性 :プレス機にて1mm厚の試験片を作成し、同様に
作成したポリスチレンの試験片と重ね、245 ℃、2分
間、50kg/cm2でプレス機で融着させた後、急冷した1mm
厚の試料について、JIS C6481 の方法に準拠して融着強
度を測定した。成形収縮率 :ASTM引張試験片を成形し、成形品の一定箇
所の寸法を正確に測定し、対応する金型の寸法に対する
差を%で示した。
【0020】比較例1〜4 ポリブチレンテレフタレート樹脂A単独、ポリスチレン
樹脂B単独、成分A,Bの配合において充填剤Cを含ま
ないような組み合わせとした場合、又はシリコーンゴム
粒子Cの粒子径が本発明の範囲外となる様な組み合わせ
とした場合について、実施例1と同様の方法で組成物を
調製し、成形して評価した。結果は表1に併せて示す。
【0021】実施例3〜6、比較例5〜8 成分A,B,Cの配合量を表2のように変えた他は実施
例1と同様に成形片を作成し評価した。評価結果は表2
に示す。
【0022】実施例7、比較例9〜10 充填剤Cとしてフッ素ゴム粒子(ダイキン工業(株)
製、平均粒径0.3 μm)、炭酸カルシウム(白石工業
(株)製、平均粒径1μm)、及びタルク粒子(平均粒径
2μm )を使用した以外は実施例1と同様の方法で組成
物を調製し、成形して評価した。結果は表3に示す。
尚、フッ素ゴムの表面張力は、前記シリコーンゴムに準
じた方法で、又、炭酸カルシウム及びタルクについて
は、同質の大きな塊状物を研磨して平滑平面を形成し、
何れも前記接触角法に準じて求めた。
【0023】実施例8〜9、比較例11〜12 成分Aとしてポリブチレンテレフタレート樹脂をポリエ
チレンテレフタレート樹脂(PET)(鐘紡(株)製、
ベルペット)に変えた場合、また成分Bとしてポリスチ
レン樹脂をスチレン−アクリロニトリル共重合体(A
S)(日本合成ゴム(株)製、AS230)に変えた場
合について実施例1と同様の方法で組成物を調製し、成
形して評価した。結果は表4に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のポリマーブレンド系による構造体の分散
状態を示す模式図である。
【図2】本発明による構造体の分散状態を示す模式図で
ある。
【図3】本発明(実施例1)による構造体のアルカリ水
溶液分解処理後の粒子構造(網目構造)を示す電子顕微
鏡写真である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアルキレンフタレート系樹脂Aをマ
    トリックスとし、熱可塑性ポリスチレン系樹脂Bを溶融
    混練するに際し、溶融混練温度における表面張力が成分
    Bより小であり、且つ平均粒子径が0.05〜50μm である
    充填剤Cを、下記式(1) 及び(2) を満足する配合量で溶
    融混練することを特徴とするA,B成分が相互に侵入し
    て網目状に分散したポリアルキレンフタレート系樹脂
    成物構造体の製造法。 B/(A+B)=0.05〜0.40(重量比) (1) C/(B+C)=0.1 〜0.7 (重量比) (2)
  2. 【請求項2】 溶融混練温度における成分Cの表面張力
    が成分Bのそれより2dyn/cm以上小である請求項1記載
    ポリアルキレンフタレート系樹脂組成物構造体の製造
    法。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリスチレン系樹脂Bがポリス
    チレン又はスチレンを主成分とする共重合樹脂であり、
    溶融混練温度における表面張力が成分Aより小である請
    求項1又は2記載のポリアルキレンフタレート系樹脂
    成物構造体の製造法。
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