JP3067837B2 - ポリアルキレンフタレート系樹脂組成物構造体及びその製造法 - Google Patents

ポリアルキレンフタレート系樹脂組成物構造体及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアルキレンフタレー
ト系樹脂をマトリックスとし、これにポリプロピレン系
樹脂が網目状に分散した構造体及びその製造法に関し、
簡易な方法で形成され、成形品として機械的物性等のポ
リアルキレンフタレート系樹脂の物性を保持し、特にポ
リオレフィン系樹脂との融着性が改良され、また難燃剤
を配合した場合その分散保持性の改良された樹脂成形品
を提供するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリエ
チレンテレフタレート(PET) 、ポリブチレンテレフタレ
ート(PBT) に代表されるポリアルキレンフタレート系樹
脂は成形性に優れ、且つバランスのとれた機械的性質、
低吸水性、耐溶剤性、ガスバリヤー性等を有し、更に高
温下での熱劣化特性が他の熱可塑性樹脂に比較して優れ
ており、高い熱変形温度を有するが故に、代表的なエン
ジニアリング樹脂として極めて広汎な分野で利用されて
いる。しかし、利用分野の拡大に伴い、樹脂に対する要
求性能が益々高度化、特殊化する傾向にあり、斯かる要
求の例として、積層フィルム、ブロー成形品等複合成形
品を目的とする場合の他の樹脂特にポリオレフィン系樹
脂との接着性、融着性、或いは難燃化のため難燃剤を配
合する場合のその分散保持性(滲出性)が問題となる場
合があり、その改善が望まれている。かかる問題点を解
決する方法として、従来より他の樹脂の配合が試みられ
ている。ポリオレフィン系樹脂の配合もその一つであ
り、ポリオレフィン系樹脂等との融着性の改良等には有
効な手段と考えられが、本発明者らの検討によれば、単
にポリアルキレンフタレート系樹脂に比較的少量のポリ
オレフィン系樹脂を配合した場合、その分散性が悪くそ
の相構造はポリオレフィン系樹脂相が島状又は層状に分
離して分散し、成形品の表面状態が悪く、機械的物性が
低下し、ポリオレフィン系樹脂等との融着性、難燃剤の
分散保持性等の改良も尚充分でなく、多量のポリオレフ
ィン系樹脂の配合を余儀なくされ、そのためポリアルキ
レンフタレート系樹脂が本来有している機械的物性、耐
熱性等を低下させるという問題がある。
【0003】本発明はかかる欠点を改善するため、ポリ
アルキレンフタレート系樹脂にポリプロピレン系樹脂を
配合し、両成分の分散性を改善して成形品とした場合の
優れた機械的物性を有し、他樹脂特にポリオレフィン系
樹脂等との融着性の向上、難燃剤の滲出防止等の改良を
目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記問題点
に鑑み、ポリアルキレンフタレート系樹脂を主成分と
し、ポリプロピレン系樹脂を配合したポリマーブレンド
における両成分の分散形態の改善につき鋭意検討した結
果、特定の相対的表面張力を有する充填剤と、分散性改
良剤を併用し、溶融混練時の各成分間の相対的表面張力
等を調整する事により、ポリアルキレンフタレート系樹
脂中にポリプロピレン系樹脂が網目状に分散した組成物
構造体が形成され、このようにして得た網目構造体はポ
リオレフィン系樹脂等との融着性等前述の問題点が改善
され且つポリアルキレンフタレート系樹脂が本来有して
いる優れた機械的物性を維持している事を見出し、本発
明に到ったものである。即ち、本発明はポリアルキレン
フタレート系樹脂Aをマトリックスとし、ポリプロピレ
ン系樹脂Bを溶融混練するに際し、溶融混練温度におけ
る表面張力が成分Bより小であり且つ平均粒子径が0.05
〜50μm である充填剤C、及び分散性改良剤としての変
性ポリエチレンDを、下記式(1) 〜(3) を満足する配合
量で溶融混練することを特徴とするA,B成分が相互に
侵入して網目状に分散した組成物構造体の製造法及び該
製造法にて得た組成物構造体より成る成形品に関するも
のである。 B/(A+B)=0.05〜0.40(重量比) (1) C/(B+C)=0.1 〜0.7 (重量比) (2) D/(B+D)=0.02〜0.3 (重量比) (3) 先ず、本発明で言う相互侵入網目構造体の分散形態につ
いて説明すると、図1は従来のポリマーブレンド系にお
ける粒子分散形態を表す模式図であり、マトリックス樹
脂であるポリアルキレンフタレート系樹脂Aに比し比較
的含量の少ないポリプロピレン系樹脂Bは粒子状に分離
した分散形態を呈している。これに対し、図2は本発明
の相互侵入網目構造形態を示す模式図であり、この構造
では、ポリプロピレン系樹脂Bの中に特定の充填剤C
(及び分散性改良剤D)が選択的に包含され、ポリプロ
ピレン系樹脂Bの含量が少ないにもかかわらず、ポリア
ルキレンフタレート系樹脂Aとポリプロピレン系樹脂B
は互いにネットワークを形成し、絡み合った構造となっ
て連続相を形成している。即ち、本発明ではポリアルキ
レンフタレート系樹脂Aに対しポリプロピレン系樹脂B
の少なくとも一部有効量が、一般には大部分が互いに実
質上連続した網目状の分散構造を呈し、かかる分散形態
を呈することに本発明の特徴があり、従来の単にポリプ
ロピレン系樹脂を配合した場合(粒子状分離分散)に比
べて、前記問題点に対する顕著な改善効果を得るに至っ
たものである。
【0005】かかる分散構造は、形成した構造体、例え
ば、成形片を適度に粉砕又は切断し、水酸化ナトリウム
溶液にてマトリックスである成分Aを選択的に分解除去
することによって確認することができる。成分Bが網目
状に分散している場合にはマトリックスAを分解除去し
た後も、そのままその形態を保持しているのに対し、粒
状又は層状に分離して分散している場合には、形態が崩
れ原形をとどめないことでもわかる。また、かかるマト
リックスを分解溶出処理後、適当な篩で分離することに
よって網目状に存在した部分をほぼ定量的に知る事も出
来る。
【0006】次に、本発明に用いられる成分について説
明する。本発明で用いられる成分Aのポリアルキレンフ
タレート系樹脂とは、各種フタル酸又はそのエステル形
成性化合物と各種アルキレンジオール又はそのエステル
形成性化合物とを主成分として縮重合によって得られる
アルキレンフタレート重合体又は共重合体である。中で
も、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と炭素
数2〜8のアルキレンジオールとを主成分とするポリア
ルキレンテレフタレート重合体又は共重合体が好まし
く、共重合成分としてはイソフタル酸、シクロヘキサン
ジメタノール、ビスフェノールA、2,2 −ビス(β−ヒ
ドロキシエトキシフェニル)プロパン及びそのハロゲン
置換体及びこれらのエステル形成性誘導体等が好ましい
ものとして挙げられる。又、トリメチロールプロパン、
ペンタエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリット
酸、トリメシン酸及びこれらのエステル形成性誘導体等
の如き多官能性モノマーを少量併用した分岐構造を有す
るポリアルキレンフタレート樹脂であってもよい。具体
的には、例えばポリブチレンテレフタレート、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノール
テレフタレート、或いはこれらを主体とし前述の如きコ
モノマー成分が少量導入された共重合体が好ましい例と
して挙げられる。かかる成分Aとしては二種以上の混合
物であってもよい。又、その重合度、分岐度等に関して
も特に限定はなく、溶融成形加工性を有するものであれ
ばよい。
【0007】次に本発明で用いられる成分Bのポリプロ
ピレン系樹脂とは、ポリプロピレン又はプロピレンを主
成分とする共重合体又はその変性体であって、共重合成
分としては、例えばマレイン酸、アクリル酸、フマール
酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン
酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸〔エンド
シス−ビシクロ(2,2,2)ヘプト−5−エン−2,
3−ジカルボン酸〕などの不飽和カルボン酸またはその
誘導体(例えば酸ハライド、アミド、イミド、無水物、
エステルなど)が挙げられる。具体的には、塩化マレニ
ル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、
アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸グ
リシジル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノメ
チル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなど
が例示される。これらの中では不飽和ジカルボン酸また
はその酸無水物が好適であり、特にマレイン酸、ナジッ
ク酸またはこれらの酸無水物が好適である。又、共重合
成分としてはブテン−1、3メチルブテン−1、4メチ
ルペンテント等のα−オレフィン類、ブタジエン、イソ
プレンのようなジエン類であってもよい。これらの成分
Bは2種以上の混合物であってもよい。又、分子が線状
のみならず、架橋剤又は他の変性剤により分岐又は架橋
構造を有するものであってもよい。その重合度又は分岐
度に関して、それ自体が溶融成形加工性を有するもので
あればよいが、溶融混練温度において成分Aより著しく
高粘度のものは本願の目的とする網目状の分散形態の形
成が困難になる傾向があり、一般に溶融混練温度におい
て成分Aの粘度(ポイズ)に対し3倍以下のものが好ま
しく、特に成分Bの配合量が比較的少量の場合には成分
Aより低いほうが望ましい。
【0008】尚、本発明における成分A,Bの配合比
は、成分Bが成分A及びBの総重量の5〜40重量%、好
ましくは5〜35重量%である。成分Bが過少の場合は本
発明の目的とする網目状分散形態が得難く、ポリオレフ
ィン系樹脂等との融着性の改善等に役立たず、又、過大
の場合にはポリアルキレンフタレート系樹脂本来の特長
が失われ、好ましくない。
【0009】次に成分Cの充填剤は、溶融混練温度にお
ける表面張力が同温度における成分Bの表面張力より小
であることが必要で、好ましくは成分Bとの表面張力差
が2dyn/cm以上小のものである。各成分の表面張力は、
その溶融混練温度での相対的表面張力であって、熱可塑
性樹脂の場合、一般に広く利用されているように、その
温度での懸滴法で評価出来る。ここで懸滴法とは、管を
垂直に立て、その内部に入れた試料が液滴となって管端
にぶら下がった状態の液滴の形状挙動から、液体の表面
張力を求める方法である。尚、溶融しないもの(成分
C)に対しては、ジスマンプロット法で算出した接触角
法で臨界表面張力を求め所定温度での値を評価した(詳
細は後記の実施例参照)。
【0010】成分Aと成分Bとの表面張力の関係は、溶
融混練温度において成分Bの表面張力は成分Aのそれよ
り小であることが必要であるが、一般にポリプロピレン
系樹脂Bの溶融混練温度おける表面張力はポリアルキレ
ンフタレート系樹脂Aのそれより小であり、この相対的
関係は満足される。因みにポリアルキレンフタレート系
樹脂Aの 245℃における表面張力の値は30〜38dyn/cm
(例えばポリブチレンテレフタレートは36dyn/cm、ポリ
エチレンテレフタレートは30dyn/cm)、ポリプロピレン
系樹脂Bの値は19〜26dyn/cm(例えばポリプロピレンは
約19dyn/cm、無水マレイン酸(1〜5重量%)変成ポリ
プロピレンは約23dyn/cm)である。従って成分Cの表面
張力は 245℃で混練する場合、更に上記成分Bの値以下
であることを必要とし、出来るだけ低い方が好ましいこ
とになる。
【0011】また、成分Cの充填剤は、平均粒径(又は
平均繊維長)が0.05〜50μm の粉粒状(又は繊維状)の
ものが好ましく、更に好ましくは平均粒径 0.1〜10μm
である。粒径は小さい程、細かい網目構造を形成する上
で有利である。成分Cの配合量は、成分B及びCの総重
量に対し、10〜70重量%が適当であり、好ましくは20〜
60重量%である。過少であると本発明の効果を発揮し難
く、過大であると物性に影響し好ましくない。
【0012】成分Cの充填剤としては、前記の条件を満
足し、特に表面張力値が前記の如く溶融混練温度におい
て成分Bの値より小であれば、無機充填剤でも有機充填
剤でも良く、形状も繊維状、粉粒状、板状等その他目的
により任意の形状のものが用いられる。例えば、フッ素
系の樹脂又はゴム、シリコーン系の樹脂又はゴム等の粉
粒体が挙げられる。又、一般に広く用いられている粉粒
状の無機質充填剤に上記フッ素系樹脂、シリコーン系樹
脂その他適当な表面処理剤により表面処理を行って表面
張力を調整することにより成分Cとして有効に用いるこ
とができる。
【0013】次に本発明の特徴である成分Bがマトリッ
クス成分の中で均一な網目状に分散するためには、分散
性改良剤としての変性ポリエチレンの併用が効果的であ
る。斯かる分散剤Dとして好ましい物質は以下の如きポ
リエチレンを主体とする共重合体又はグラフト共重合体
である。即ち、 a)エチレンと炭素数3以上のα−オレフィン(例えばプ
ロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルブテ
ン−1、4−メチルペンテン−1等、特にプロピレン、
ブテン−1)との共重合体 b)上記a)に、α, β−不飽和カルボン酸又はその誘導体
(例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マ
レイン酸、フマル酸又はこれらのアルキルエステル、グ
リシジルエステル、無水物、イミド等)がグラフト重合
した、グラフト共重合体 c)エチレンとα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体
(例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マ
レイン酸、フマル酸、又はこれらのアルキルエステル、
グリシジルエステル、無水物等)との共重合体 d)上記c)の共重合体と、スチレン、アクリロニトリル等
のビニル化合物又はα, β−不飽和カルボン酸又はその
誘導体の少なくとも一種よりなる重合体又は共重合体が
化学的に結合した構造のグラフト共重合体 等があげられる。成分Dとしてこれらのa)〜d)の変性エ
チレン系(共)重合体は何れか単独でもよく、又、二種
以上が混合したものでもよく、更には夫々を段階的に
(共)重合又はグラフト重合させた、多相構造の重合体
であってもよい。特に好ましい物質は、エチレンとプロ
ピレン又はブテン−1の共重合体に無水マレイン酸又は
マレインイミドをグラフト共重合したグラフト変性体、
エチレンとアクリル酸アルキルエステル共重合体、及び
これに無水マレイン酸をグラフト共重合したグラフト変
性体、エチレンとアクリル酸又はメタクリル酸グリシジ
ルエステルとの共重合体、及びこの共重合体とスチレ
ン, アクリロニトリル, アクリル酸アルキルエステル,
メタクリル酸アルキルエステル等の少なくとも一種以上
の重合又は共重合セグメントが化学的に結合しているグ
ラフト共重合体等が挙げられる。斯かる成分Dの配合量
は成分BとDの総重量に対し2〜30重量%が適当であ
り、好ましくは3〜20重量%である。
【0014】成分Dの存在は、前記成分Cと共に成分B
がマトリックスA中に緻密な網目状の分散形態を形成す
る上で重要な役割を果たすものであり、成分Dが存在し
ない場合には成分Cが存在しても充分均一な網目状相構
造を形成し難く、又、成分Dが存在しても成分Cが存在
しない場合は、成分Bは小粒子としては分散するが網目
状の分散形態とはなり難く、本発明の効果も充分発揮さ
れない。本発明の網目状分散形態の発現は、前記の条件
を満足する成分Cが溶融混練時に存在することにより、
その相対的表面張力の影響で、粒子状の成分Cが選択的
に成分Bによって包含され、更に成分Dの存在により細
分化すると同時に成分Cを多数包含した成分Bは、成分
Cの混練による移動分散に連動して枝状に延び、接合し
て網目状の分散形態を形成するものと解される。
【0015】尚、本発明の組成物構造体はこれを難燃化
する目的でハロゲン化有機化合物Eを配合した場合にそ
の分散保持性を改善し、成形品の表面に難燃剤が滲出す
るのを防止する効果を有し、難燃剤による外観不良、付
属物(金属等)の汚染、腐食等が低減し、かかる配合物
に好適である。このようなハロゲン化有機化合物Eの例
としては、ブロム化ジフェニル、ブロム化ジフェニルエ
ーテル、ブロム化ビスフェノール化合物、ブロム化ポリ
カーボネート、ブロム化エポキシ化合物、ブロム化フェ
ノキシ化合物、ブロム化ポリスチレン系化合物、ブロム
化フタルイミド、その他公知のハロゲン含有難燃剤が挙
げられ、特に滲出しやすいブロム化ジフェニル、ブロム
化ジフェニルエーテル等に対してはその効果が顕著であ
る。かかるハロゲン化有機化合物Dの配合量は目的とす
る難燃性を付与するための有効量であればよく、通常成
分A及びBの総量に対し1〜25重量%、好ましくは2〜
15重量%である。又、アンチモン化合物の如き難燃助剤
を併用してもよい。
【0016】本発明の組成物構造体には上記の成分以外
に更にその目的を損なわない範囲で所望の特性を付与す
るため従来公知の添加物、例えば潤滑剤、滑剤、核剤、
染顔料、離型剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候(光)安
定剤、加水分解安定剤、その他成分A,B以外の熱可塑
性樹脂、成分C以外の繊維状強化剤、粉粒状、板状充填
剤等の添加剤を配合してもよい。
【0017】本発明組成物構造体の調製法は種々の公知
の方法で可能であるが、少なくともA,B,C,Dの4
成分の共存下で要すれば成分Eも加えて加熱溶融し、30
秒以上混練処理することが好ましく、その他の成分も同
時に併用配合してもよく、また、別に加えても良い。具
体的には、例えば成分A,B,C,D、場合によりEを
予めタンブラー又はヘンシェルミキサーのような混練機
で均一に混合した後、1軸又は2軸の押出機に供給して
溶融混練し、ペレットとした後成形に供してもよく、直
接成形してもよい。尚、ここで言う溶融混練は溶融温度
において40sec-1以上の剪断速度下で行うのが望まし
い。特に好ましい剪断速度は 100〜500sec-1である。処
理温度は、樹脂成分A,Bが溶融する温度より5℃乃至
100℃高い温度であり、特に好ましくは融点より10℃乃
至60℃高い温度である。高温に過ぎると分解や異常反応
を生じ好ましくない。また、溶融混練処理時間は、30秒
以上15分以内、好ましくは1〜10分である。
【0018】
【発明の効果】本発明のポリアルキレンフタレート系樹
脂組成物構造体はポリアルキレンフタレート系樹脂にポ
リプロピレン系樹脂が網目状に分散した構造を有し、簡
易な方法で形成することが出来、従来の単に両成分を配
合した組成物(粒子状分離分散)に比しポリアルキレン
フタレート系樹脂に近い物性を保持し、機械的物性に優
れ、他の樹脂特にポリオレフィン系樹脂との融着性が改
善され、又、難燃剤等を配合した場合にその分散保持性
(滲出性)も改善され、滲出による外観不良、金属等の
汚染、腐食等が改善され多くの用途が期待される。
【0019】
【実施例】以下実施例により本発明を更に具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0020】実施例1〜2 表1に示す表面張力値(245 ℃)の、(A)ポリブチレ
ンテレフタレート樹脂(PBT)(ポリプラスチックス
(株)製、ジュラネックス)、(B)無水マレイン酸
(1〜2重量%)共重合ポリプロピレン(PP−MA)
(住友化学工業(株)製)、(C)シリコーンゴム粒子
(SP)(トーレ・シリコーン(株)製、平均粒径1μ
m 又は20μm )、及び(D)分散性改良剤としてエチレ
ン−グリシジルメタクリレート共重合体(PE−GM
A)を表1に示す割合で混合し、次いで内径30mm二軸押
出機を用いて設定温度 245℃、スクリュー回転数80rpm
(剪断速度約100sec-1) で溶融混練し、ペレット化し
た。次いで、該ペレットより射出成形機により試験片を
作成し、下記の如く特性評価を行った。結果は表1に示
す。
【0021】表面張力の測定法 (以下の例もこれに準ずる) PBT樹脂及びPP−MAについては、協和界面科学
(株)製、自動界面張力計PD−Z型を使用し、懸滴法
(丸善(株)新実験科学講座18巻「界面とコロイド」(1
977)の 78-79頁記載の方法)で 245℃の雰囲気で測定し
た。PBT樹脂は36dyn/cm、PP−MAは23dyn/cmであ
った。また、シリコーンゴム粒子については、約300 ℃
でプレス機でフィルム状に加工し、協和界面科学(株)
製、自動接触角計CA−Zを使用し、接触角法(丸善
(株)新実験科学講座18巻「界面とコロイド」(1977)の
93-106頁記載の方法)にて各温度の臨界表面張力と温度
係数を測定した。 245℃でのシリコーンゴム粒子の表面
張力に換算すると約9dyn/cmであった。 25℃ 表面張力 19dyn/cm 60℃ 表面張力 17dyn/cm 80℃ 表面張力 16dyn/cm 温度勾配(−dr/dT) =0.05網目構造の確認法 (以下の例もこれに準ずる) 10×10×3mmに切断した成形片を1N水酸化ナトリウム
水溶液に入れ、60℃にて12時間還流し、マトリックス樹
脂であるPBT樹脂を分解、溶出させた後、肉眼及び光
学顕微鏡、電子顕微鏡により形態変化を観察し、この条
件では分解しないPP−MA(PE−GMAも含む)の
分散形態を調べた。ここで、PP−MA等が従来のよう
に粒子分散であれば、成形片の形態をとどめず、粒子状
のPP−MA等の沈積物が観察されるのみである。これ
に対し、本発明の如く、PP−MAが網目構造をとって
いる場合、成形片は形態を留めており、これは肉眼又は
光学顕微鏡で観察される。更に走査型電子顕微鏡で拡大
して観察すると網目構造がより明確に確認できる。因み
に実施例1の組成物構造体の分解処理後の粒子構造(網
目構造)を示す電子顕微鏡写真を図3に示す。また、こ
の網目構造の定量的評価方法として、前記方法でマトリ
ックス樹脂Aを溶出除去した後、12メッシュの篩で分離
し、残重量を調べた。粒子状分散部分は篩を通過し残ら
ないが、網目構造部分は残るため、残重量%は網目構造
部分の重量を意味する。引張強伸度 :ASTM D638 の方法に準拠して測定した。融着性 :プレス機にて1mm厚の試験片を作成し、同様に
作成したポリプロピレンの試験片と重ね、245 ℃、2分
間、50kg/cm2でプレス機で融着させた後、急冷した1mm
厚の試料について、JIS C6481 の方法に準拠して融着強
度を測定した。
【0022】比較例1〜6 (A)PBT樹脂単独、(B)PP−MA単独、成分
A,Bのみの配合、充填剤C又は分散性改良剤Dを含ま
ないような組み合わせとした場合、又はシリコーンゴム
粒子Cの粒子径が本発明の範囲外となる様な組み合わせ
とした場合について、実施例1と同様の方法で組成物を
調製し、成形して評価した。結果は表1に併せて示す。
【0023】実施例3〜6、比較例7〜11 成分A,B,C,Dの配合量を表2のように変えた他は
実施例1と同様に成形片を作成し評価した。評価結果は
表2に示す。
【0024】実施例7〜9、比較例12〜14 充填剤Cとしてシリコーンゴム粒子の代わりにフッ素ゴ
ム粒子(ダイキン工業(株)製、平均粒径0.3 μm)、比
較のため炭酸カルシウム(白石工業(株)製、平均粒径
1μm)、及びタルク粒子(平均粒径2μm )を使用した
以外は実施例1と同様の方法で組成物を調製し、成形し
て評価した。又、成分DとしてPE−GMAの代わりに
ポリエチレン−アクリル酸メチル共重合体に無水マレイ
ン酸をグラフトしたグラフト共重合体(PE−MMA/
MA)を使用した場合についても同様に評価した。結果
は表3に示す。
【0025】実施例10〜12、比較例15〜17 成分AとしてPBT樹脂をポリエチレンテレフタレート
樹脂(PET)(鐘紡(株)製、ベルペット)に変えた
場合、また成分BとしてPP−MAの代わりにポリプロ
ピレン(PP)を使用した場合について前記実施例及び
比較例に準じ組成物を調製し、成形して評価した。結果
は表4に示す。
【0026】実施例13〜14、比較例18〜20 表5に示す如く、難燃剤としてデカブロモジフェニルエ
ーテルを加えた他は前記実施例及び比較例に準じ組成物
を調製し、成形して特に下記方法により難燃剤のブリー
ド性を評価した。結果は表5に示す。
【0027】難燃剤のブリード試験 引張試験片を送風乾燥機中に180 ℃、24時間放置した
後、表面の難燃剤白粉の滲出状態を目視観察し評価し
た。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のポリマーブレンド系による構造体の分散
状態を示す模式図である。
【図2】本発明による構造体の分散状態を示す模式図で
ある。
【図3】本発明(実施例1)による構造体の水酸化ナト
リウム溶液分解処理後の粒子構造(網目構造)を示す電
子顕微鏡写真である。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアルキレンフタレート系樹脂Aをマ
    トリックスとし、ポリプロピレン系樹脂Bを溶融混練す
    るに際し、溶融混練温度における表面張力が成分Bより
    小であり且つ平均粒子径が0.05〜50μm である充填剤
    C、及び分散性改良剤としての変性ポリエチレンDを、
    下記式(1) 〜(3) を満足する配合量で溶融混練すること
    を特徴とするA,B成分が相互に侵入して網目状に分散
    した組成物構造体の製造法。 B/(A+B)=0.05〜0.40(重量比) (1) C/(B+C)=0.1 〜0.7 (重量比) (2) D/(B+D)=0.02〜0.3 (重量比) (3)
  2. 【請求項2】 溶融混練温度における成分Cの表面張力
    が成分Bのそれより2dyn/cm以上小である請求項1記載
    の組成物構造体の製造法。
  3. 【請求項3】 ポリプロピレン系樹脂Bがポリプロピレ
    ン、又はポリプロピレンを主成分とし、他のオレフィン
    類、不飽和カルボン酸又はその誘導体と共重合したポリ
    プロピレン系重合体である請求項1又は2記載の組成物
    構造体の製造法。
  4. 【請求項4】 分散性改良剤である変性ポリエチレンD
    が、エチレンを主成分とする、炭素数3以上のα−オレ
    フィンとの共重合体,α,β−不飽和カルボン酸又はそ
    の誘導体との共重合体、又はこれらの共重合体に更にス
    チレン,アクリロニトリル,α,β−不飽和カルボン酸
    又はその誘導体の一種以上よりなる重合体又は共重合体
    が化学的に結合したグラフト共重合体、又はこれらの混
    合物である請求項1〜3の何れか1項記載の組成物構造
    体の製造法。
  5. 【請求項5】 更に難燃剤としてハロゲン化有機化合物
    Eを下記式(4) を満足する配合量で配合する請求項1〜
    4の何れか1項記載の組成物構造体の製造法。 E/(A+B)=0.01〜0.25(重量比) (4)
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れか1項記載の方法に
    より製造した組成物構造体より成る成形品。
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