JP3086271B2 - ポリアルキレンフタレート系樹脂組成物構造体及びその製造法 - Google Patents

ポリアルキレンフタレート系樹脂組成物構造体及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアルキレンフタレー
ト系樹脂をマトリックスとし、これにポリエチレン系共
重合樹脂が網目状に分散した構造体及びその製造法に関
し、簡易な方法で形成され、成形品として機械的物性等
のポリアルキレンフタレート系樹脂の物性を保持し、特
にポリオレフィン系樹脂との融着性が改良され、また難
燃剤を配合した場合その分散保持性の改良された樹脂成
形品を提供するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリエ
チレンテレフタレート(PET) 、ポリブチレンテレフタレ
ート(PBT) に代表されるポリアルキレンフタレート系樹
脂は成形性に優れ、且つバランスのとれた機械的性質、
低吸水性、耐溶剤性、ガスバリヤー性等を有し、更に高
温下での熱劣化特性が他の熱可塑性樹脂に比較して優れ
ており、高い熱変形温度を有するが故に、代表的なエン
ジニアリング樹脂として極めて広汎な分野で利用されて
いる。しかし、利用分野の拡大に伴い、樹脂に対する要
求性能が益々高度化、特殊化する傾向にあり、斯かる要
求の例として、積層フィルム、ブロー成形品等複合成形
品を目的とする場合の他の樹脂特にポリオレフィン系樹
脂との接着性、融着性、或いは難燃化のため難燃剤を配
合する場合のその分散保持性(滲出性)が問題となる場
合があり、その改善が望まれている。
【0003】かかる問題点を解決する方法として、従来
より他の樹脂の配合が試みられている。ポリオレフィン
系樹脂の配合もその一つであり、ポリオレフィン系樹脂
等との融着性の改良等には有効な手段と考えられが、本
発明者らの検討によれば、単にポリアルキレンフタレー
ト系樹脂に比較的少量のポリオレフィン系樹脂を配合し
た場合、その分散性が悪くその相構造はポリオレフィン
系樹脂相が島状又は層状に分離して分散し、成形品の表
面状態が悪く、機械的物性が低下し、ポリオレフィン系
樹脂等との融着性、難燃剤の分散保持性等の改良も尚充
分でなく、多量のポリオレフィン系樹脂の配合を余儀な
くされ、そのためポリアルキレンフタレート系樹脂が本
来有している機械的物性、耐熱性等を低下させるという
問題がある。
【0004】本発明はかかる欠点を改善するため、ポリ
アルキレンフタレート系樹脂に特定のポリエチレン系樹
脂を配合し、両成分の分散性を改善して成形品とした場
合のその機械的物性の保持、ポリオレフィン系樹脂等と
の融着性の向上、難燃剤の滲出防止等の改良を目的とす
るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記問題点
に鑑み、ポリアルキレンフタレート系樹脂を主成分と
し、ポリエチレン系共重合樹脂を配合したポリマーブレ
ンドにおける両成分の分散形態の改善につき鋭意検討し
た結果、特定の充填剤を併用し、溶融混練時の各成分間
の相対的表面張力等を調整する事により、ポリアルキレ
ンフタレート系樹脂中にポリエチレン系共重合樹脂が網
目状に分散した組成物構造体が形成され、このようにし
て得た網目構造体はポリオレフィン系樹脂等との融着性
等前述の問題点が改善され且つポリアルキレンフタレー
ト系樹脂が本来有している機械的物性を維持している事
を見出し、本発明に到ったものである。即ち、本発明は
ポリアルキレンフタレート系樹脂Aをマトリックスと
し、ポリエチレン系共重合樹脂Bを溶融混練するに際
し、溶融混練温度における表面張力が成分Bより小であ
り、且つ平均粒子径が0.05〜50μmである充填剤Cを、
下記式(1) 及び(2) を満足する配合量で溶融混練するこ
とを特徴とするA,B成分が相互に侵入して網目状に分
散した組成物構造体の製造法及び該製造法にて得た組成
物構造体より成る成形品に関するものである。 B/(A+B)=0.05〜0.40(重量比) (1) C/(B+C)=0.1 〜0.7 (重量比) (2) 先ず、本発明で言う相互侵入網目構造体の分散形態につ
いて説明すると、図1は従来のポリマーブレンド系にお
ける粒子分散形態を表す模式図であり、マトリックス樹
脂であるポリアルキレンフタレート系樹脂Aに比し比較
的含量の少ないポリエチレン系共重合樹脂Bは粒子状に
分離した分散形態を呈している。これに対し、図2は本
発明の相互侵入網目構造形態を示す模式図であり、この
構造では、ポリエチレン系共重合樹脂Bの中に特定の充
填剤Cが選択的に包含され、ポリエチレン系共重合樹脂
Bの含量が少ないにもかかわらず、ポリアルキレンフタ
レート系樹脂Aとポリエチレン系共重合樹脂Bは互いに
ネットワークを形成し、絡み合った構造となって連続相
を形成している。即ち、本発明ではポリアルキレンフタ
レート系樹脂Aに対しポリエチレン系共重合樹脂Bの少
なくとも一部有効量が、一般には大部分が互いに実質上
連続した網目状の分散構造を呈し、かかる分散形態を呈
することに本発明の特徴があり、従来のポリエチレン系
共重合樹脂を配合した場合(粒子状分離分散)に比べ
て、前記問題点に対する顕著な改善効果を得るに至った
ものである。
【0006】かかる分散構造は、形成した構造体、例え
ば、成形片を適度に粉砕又は切断し、水酸化ナトリウム
溶液にてマトリックスである成分Aを選択的に分解除去
することによって確認することができる。成分Bが網目
状に分散している場合にはマトリックスAを分解除去し
た後も、そのままその形態を保持しているのに対し、粒
状又は層状に分離して分散している場合には、形態が崩
れ原形をとどめないことでもわかる。また、かかるマト
リックスを分解溶出処理後、適当な篩で分離することに
よって網目状に存在した部分をほぼ定量的に知る事も出
来る。
【0007】次に、本発明に用いられる成分について説
明する。本発明で用いられる成分Aのポリアルキレンフ
タレート系樹脂とは、各種フタル酸又はそのエステル形
成性化合物と各種アルキレンジオール又はそのエステル
形成性化合物とを主成分として縮重合によって得られる
アルキレンフタレート重合体又は共重合体である。中で
も、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と炭素
数2〜8のアルキレンジオールとを主成分とするポリア
ルキレンテレフタレート重合体又は共重合体が好まし
く、共重合成分としてはイソフタル酸、シクロヘキサン
ジメタノール、ビスフェノールA、2,2 −ビス(β−ヒ
ドロキシエトキシフェニル)プロパン及びそのハロゲン
置換体及びこれらのエステル形成性誘導体等が好ましい
ものとして挙げられる。又、トリメチロールプロパン、
ペンタエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリット
酸、トリメシン酸及びこれらのエステル形成性誘導体等
の如き多官能性モノマーを少量併用した分岐構造を有す
るポリアルキレンフタレート樹脂であってもよい。具体
的には、例えばポリブチレンテレフタレート、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノール
テレフタレート、或いはこれらを主体とし前述の如きコ
モノマー成分が少量導入された共重合体が好ましい例と
して挙げられる。かかる成分Aとしては二種以上の混合
物であってもよい。
【0008】次に本発明で用いられる成分Bのポリエチ
レン系共重合樹脂とは、エチレンを主成分とする共重合
体又はその変性体であって、共重合成分としては酢酸ビ
ニル等のビニルエステル類、アクリル酸、メタクリル酸
及びそのエステル(例えばメチルアクリレート、メチル
メタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリルアミド
等)、α,β−不飽和酸のグリシジルエステル(例え
ば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル
等)が好ましいものとして挙げられ、又、ブテン−1、
3メチルブテン−1、4メチルペンテント等のα−オレ
フィン類、ブタジエン、イソプレンのようなジエン類で
あってもよい。又、分子が線状のみならず、架橋剤又は
他の変性剤により分岐又は架橋構造を有するものであっ
てもよい。又、かかる成分も2種以上の混合物であって
もよい。その重合度に関しても特に制限はなく、それ自
体が成形加工性を有するものであればよいが、溶融混練
温度において成分Aより著しく高粘度のものは本願の目
的とする網目状の分散形態の形成が困難になる傾向があ
り、一般に溶融混練温度において成分Aの粘度(ポイ
ズ)に対し2倍以下のものが好ましく、特に成分Bの配
合量が比較的少量の場合には低いほうが望ましい。
【0009】尚、本発明における成分A,Bの配合比
は、成分Bが成分A及びBの総重量の5〜40重量%、好
ましくは5〜35重量%である。成分Bが過少の場合は本
発明の目的とする網目状分散形態が得難く、ポリオレフ
ィン系樹脂等との融着性の改善等に役立たず、又、過大
の場合にはポリアルキレンフタレート系樹脂本来の特長
が失われ、好ましくない。
【0010】次に成分Cは、溶融混練温度における表面
張力が同温度における成分Bの表面張力より小であるこ
とが必要で、好ましくは成分Bとの表面張力差が2dyn/
cm以上小のものである。各成分の表面張力は、その溶融
混練温度での相対的表面張力であって、熱可塑性樹脂の
場合、一般に広く利用されているように、その温度での
懸滴法で評価出来る。ここで懸滴法とは、管を垂直に立
て、その内部に入れた試料が液滴となって管端にぶら下
がった状態の液滴の形状挙動から、液体の表面張力を求
める方法である。尚、溶融しないもの(成分C)に対し
ては、ジスマンプロット法で算出した接触角法で臨界表
面張力を求め所定温度での値を評価した(詳細は後記の
実施例参照)。
【0011】成分Aと成分Bとの表面張力の関係は、溶
融混練温度において成分Bの表面張力は成分Aのそれよ
り小であることが必要であるが、一般にポリエチレン系
共重合樹脂Bの溶融混練温度おける表面張力はポリアル
キレンフタレート系樹脂Aのそれより小であり、この相
対的関係は満足される。因みにポリアルキレンフタレー
ト系樹脂Aの 245℃における表面張力の値は30〜38dyn/
cm(例えばポリブチレンテレフタレートは36dyn/cm、ポ
リエチレンテレフタレートは30dyn/cm)、ポリエチレン
系共重合樹脂Bの値は19〜26dyn/cm(例えばエチレン−
ビニルアセテート共重合体は約23dyn/cm、エチレン−エ
チルアクリレートは約24dyn/cm)である。従って成分C
の表面張力は 245℃で混練する場合、更に上記成分Bの
値以下であることを必要とし、出来るだけ低い方が好ま
しいことになる。
【0012】また、成分Cの充填剤は、平均粒径(又は
平均繊維長)が0.05〜50μm の粉粒状(又は繊維状)の
ものが好ましく、更に好ましくは平均粒径 0.1〜10μm
である。粒径は小さい程、細かい網目構造を形成する上
で有利である。成分Cの配合量は、成分B及びCの総重
量に対し、10〜70重量%が適当であり、好ましくは20〜
60重量%である。過少であると本発明の効果を発揮し難
く、過大であると物性に影響し好ましくない。
【0013】本発明の網目状分散形態の発現は、かかる
条件を満足する成分Cが溶融混練時に存在することによ
り、その相対的表面張力の影響で、粒子状の成分Cが選
択的に成分Bによって包含され、成分Cを多数包含した
成分Bは、成分Cの混練による移動分散に連動して枝状
に延び、接合して網目構造を形成するものと解される。
【0014】成分Cの充填剤としては、前記の条件を満
足し、特に表面張力値が前記の如く溶融混練温度におい
て成分Bの値より小であれば、無機充填剤でも有機充填
剤でも良く、形状も繊維状、粉粒状、板状等その他目的
により任意の形状のものが用いられる。例えば、フッ素
系の樹脂又はゴム、シリコーン系の樹脂又はゴム等の粉
粒体が挙げられる。又、一般に広く用いられている粉粒
状の無機質充填剤に上記フッ素系樹脂、シリコーン系樹
脂その他適当な表面処理剤により表面処理を行って表面
張力を調整することにより成分Cとして有効に用いるこ
とができる。
【0015】尚、本発明の組成物構造体はこれを難燃化
する目的でハロゲン化有機化合物Dを配合した場合にそ
の分散保持性を改善し、成形品の表面に難燃剤が滲出す
るのを防止する効果を有し、かかる配合物に好適であ
る。このようなハロゲン化有機化合物Dの例としては、
ブロム化ジフェニル、ブロム化ジフェニルエーテル、ブ
ロム化ポリカーボネート、ブロム化エポキシ化合物、ブ
ロム化フェノキシ化合物、ブロム化ポリスチレン系化合
物、ブロム化フタルイミド、その他公知の難燃剤が挙げ
られ、特に滲出しやすいブロム化ジフェニル、ブロム化
ジフェニルエーテル等に対してはその効果が顕著であ
る。かかるハロゲン化有機化合物Dの配合量は目的とす
る難燃性を付与するための有効量であればよく、通常成
分A及びBの総量に対し1〜25重量%、好ましくは2〜
15重量%である。又、アンチモン化合物の如き難燃助剤
を併用してもよい。
【0016】本発明の組成物構造体には上記の成分以外
に更にその目的を損なわない範囲で所望の特性を付与す
るため従来公知の添加物、例えば潤滑剤、滑剤、核剤、
染顔料、離型剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候(光)安
定剤、加水分解安定剤、その他成分A,B以外の熱可塑
性樹脂、成分C以外の繊維状強化剤、粉粒状、板状充填
剤等の添加剤を配合してもよい。本発明組成物構造体の
調製法は種々の公知の方法で可能であるが、少なくとも
A,B,Cの3成分の共存下で要すれば成分Dも加えて
加熱溶融し、30秒以上混練処理することが好ましく、そ
の他の成分も同時に併用配合してもよく、また、別に加
えても良い。具体的には、例えば成分A,B,C,場合
によりDを予めタンブラー又はヘンシェルミキサーのよ
うな混練機で均一に混合した後、1軸又は2軸の押出機
に供給して溶融混練し、ペレットとした後成形に供して
もよく、直接成形してもよい。尚、ここで言う溶融混練
は溶融温度において40sec-1以上の剪断速度下で行うの
が望ましい。特に好ましい剪断速度は 100〜500sec-1
ある。処理温度は、樹脂成分が溶融する温度より5℃乃
至 100℃高い温度であり、特に好ましくは融点より10℃
乃至60℃高い温度である。高温に過ぎると分解や異常反
応を生じ好ましくない。また、溶融混練処理時間は、30
秒以上15分以内、好ましくは1〜10分である。
【0017】
【発明の効果】本発明のポリアルキレンフタレート系樹
脂組成物構造体はポリアルキレンフタレート系樹脂にポ
リエチレン系共重合樹脂が網目状に分散した構造を有
し、簡易な方法で形成することが出来、従来の単に両成
分を配合した組成物(粒子状分離分散)に比しポリアル
キレンフタレート系樹脂に近い物性を保持し、機械的物
性に優れ、他の樹脂特にポリオレフィン系樹脂との融着
性が改善され、又、難燃剤等を配合した場合にその分散
保持性(滲出性)も改善され多くの用途が期待される。
【0018】
【実施例】以下実施例により本発明を更に具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】実施例1〜2 表1に示す表面張力値(245 ℃)の、ポリブチレンテレ
フタレート樹脂A(PBT)(ポリプラスチックス
(株)製、ジュラネックス)、エチレン−ビニルアセテ
ート共重合樹脂B(EVA)(日本ユニカー(株)
製)、及びシリコーンゴム粒子C(SP)(トーレ・シ
リコーン(株)製、平均粒径1μm 又は20μm )を表1
に示す割合で混合し、次いで内径30mm二軸押出機を用い
て設定温度 245℃、スクリュー回転数80rpm(剪断速度約
100sec-1) で溶融混練し、ペレット化した。次いで、該
ペレットより射出成形機により試験片を作成し、下記の
如く特性評価を行った。結果は表1に示す。
【0020】表面張力の測定法(以下の例もこれに準ず
る) ポリブチレンテレフタレート樹脂及びエチレン−ビニル
アセテート共重合樹脂については、協和界面科学(株)
製、自動界面張力計PD−Z型を使用し、懸滴法(丸善
(株)新実験科学講座18巻「界面とコロイド」(1977)の
78-79頁記載の方法)で 245℃の雰囲気で測定した。ポ
リブチレンテレフタレート樹脂は36dyn/cm、エチレン−
ビニルアセテート共重合樹脂は23dyn/cmであった。ま
た、シリコーンゴム粒子については、約300 ℃でプレス
機でフィルム状に加工し、協和界面科学(株)製、自動
接触角計CA−Zを使用し、接触角法(丸善(株)新実
験科学講座18巻「界面とコロイド」(1977)の93-106頁記
載の方法)にて各温度の臨界表面張力と温度係数を測定
した。 245℃でのシリコーンゴム粒子の表面張力に換算
すると約9dyn/cmであった。 25℃ 表面張力 19dyn/cm 60℃ 表面張力 17dyn/cm 80℃ 表面張力 16dyn/cm 温度勾配(−dr/dT) =0.05網目構造の確認法 (以下の例もこれに準ずる) 10×10×3mmに切断した成形片を1N水酸化ナトリウム
水溶液に入れ、60℃にて12時間還流し、マトリックス樹
脂であるポリブチレンテレフタレート樹脂を分解、溶出
させた後、肉眼及び光学顕微鏡、電子顕微鏡により形態
変化を観察し、この条件では分解しないエチレン−ビニ
ルアセテート共重合樹脂の分散形態を調べた。ここで、
エチレン−ビニルアセテート共重合樹脂が従来のように
粒子分散であれば、成形片の形態をとどめず、粒子状の
エチレン−ビニルアセテート共重合樹脂の沈積物が観察
されるのみである。これに対し、本発明の如く、エチレ
ン−ビニルアセテート共重合樹脂が網目構造をとってい
る場合、成形片は形態を留めており、これは肉眼又は光
学顕微鏡で観察される。更に走査型電子顕微鏡で拡大し
て観察すると網目構造がより明確に確認できる。因みに
実施例1の組成物構造体の分解処理後の粒子構造(網目
構造)を示す電子顕微鏡写真を図3に示す。また、この
網目構造の定量的評価方法として、前記方法でマトリッ
クス樹脂Aを溶出除去した後、12メッシュの篩で分離
し、残重量を調べた。粒子状分散部分は篩を通過し残ら
ないが、網目構造部分は残るため、残重量%は網目構造
部分の(B+C)の重量を意味する。引張強伸度 :ASTM D638 の方法に準拠して測定した。融着性 :プレス機にて1mm厚の試験片を作成し、同様に
作成したポリエチレンの試験片と重ね、245 ℃、2分
間、50kg/cm2でプレス機で融着させた後、急冷した1mm
厚の試料について、JISC6481 の方法に準拠して融着強
度を測定した。 比較例1〜4 ポリブチレンテレフタレート樹脂A単独、エチレン−ビ
ニルアセテート共重合樹脂B単独、成分A,Bの配合に
おいて充填剤Cを含まないような組み合わせとした場
合、又はシリコーンゴム粒子Cの粒子径が本発明の範囲
外となる様な組み合わせとした場合について、実施例1
と同様の方法で組成物を調製し、成形して評価した。結
果は表1に併せて示す。
【0021】実施例3〜6、比較例5〜8 成分A,B,Cの配合量を表2のように変えた他は実施
例1と同様に成形片を作成し評価した。評価結果は表2
に示す。
【0022】実施例7、比較例9〜10 充填剤Cとしてフッ素ゴム粒子(ダイキン工業(株)
製、平均粒径0.3 μm)、比較のため炭酸カルシウム(白
石工業(株)製、平均粒径1μm)、及びタルク粒子(平
均粒径2μm )を使用した以外は実施例1と同様の方法
で組成物を調製し、成形して評価した。結果は表3に示
す。
【0023】実施例8〜10、比較例11〜13 成分Aとしてポリブチレンテレフタレート樹脂をポリエ
チレンテレフタレート樹脂(PET)(鐘紡(株)製、
ベルペット)に変えた場合、また成分Bとしてエチレン
−ビニルアセテート共重合樹脂をエチレン−エチルアク
リレート(日本ユニカー(株)製)に変えた場合につい
て前記実施例及び比較例に準じ組成物を調製し、成形し
て評価した。結果は表4に示す。
【0024】実施例11〜12、比較例14〜16 表5に示す如く、難燃剤としてデカブロモジフェニルエ
ーテルを加えた他は前記実施例及び比較例に準じ組成物
を調製し、成形して特に下記方法により難燃剤のブリー
ド性を評価した。結果は表5に示す。
【0025】難燃剤のブリード試験 引張試験片を送風乾燥機中に180 ℃、24時間放置した
後、表面の難燃剤白粉の滲出状態を目視観察し評価し
た。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のポリマーブレンド系による構造体の分散
状態を示す模式図である。
【図2】本発明による構造体の分散状態を示す模式図で
ある。
【図3】本発明(実施例1)による構造体の水酸化ナト
リウム溶液分解処理後の粒子構造(網目構造)を示す電
子顕微鏡写真である。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアルキレンフタレート系樹脂Aをマ
    トリックスとし、ポリエチレン系共重合樹脂Bを溶融混
    練するに際し、溶融混練温度における表面張力が成分B
    より小であり、且つ平均粒子径が0.05〜50μm である充
    填剤Cを、下記式(1) 及び(2) を満足する配合量で溶融
    混練することを特徴とするA,B成分が相互に侵入して
    網目状に分散した組成物構造体の製造法。 B/(A+B)=0.05〜0.40(重量比) (1) C/(B+C)=0.1 〜0.7 (重量比) (2)
  2. 【請求項2】 溶融混練温度における成分Cの表面張力
    が成分Bのそれより2dyn/cm以上小である請求項1記載
    の組成物構造体の製造法。
  3. 【請求項3】 ポリエチレン系共重合樹脂Bがポリエチ
    レンを主成分とし、ビニルアセテート、アクリル酸、メ
    タクリル酸及びそれらのエステル類の一種以上を共重合
    成分とする共重合樹脂である請求項1又は2記載の組成
    物構造体の製造法。
  4. 【請求項4】 更に難燃剤としてハロゲン化有機化合物
    Dを下記式(3) を満足する配合量で配合する請求項1〜
    3の何れか1項記載の組成物構造体の製造法。 D/(A+B)=0.01〜0.25(重量比) (3)
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れか1項記載の方法に
    より製造した組成物構造体より成る成形品。
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