JP2995684B2 - エチレン三元重合体を含有する熱可塑性ブレンドとその製造方法 - Google Patents

エチレン三元重合体を含有する熱可塑性ブレンドとその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明はエチレン三元重合体及びそれから生成された
組成物及び成形製品に関する。さらに詳細には、本発明
は、エチレン、アクリル酸エステル及び一酸化炭素の重
合体繰返し単位から成る三元重合体に関し、その際、三
元重合体をアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン
(ABS)樹脂とブレンドすることによって樹脂の物理的
性質を向上させてあり、且つそのようなブレンドの製造
方法に関する。
本発明を要約すれば、エチレン、アクリル酸エステル
及び一酸化炭素の種々の量の重合体繰返し単位から成る
三元重合体をアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン
(ABS)樹脂と緊密に混合して少なくとも1700MPaの曲げ
弾性率を有するブレンドを生成させる。それによって生
じたブレンドは樹脂のみにおけるよりも増大した衝撃強
さ特性を有する。このようなブレンドは成形樹脂として
有用である。ブレンドの製造方法は三元重合体をABS樹
脂と混合することから成る。
発明の背景 市販のプラスチツクは、それから成形した目的物の高
い剛性のために、有用であることが認められている。し
かしながら、この剛性は、しばしば、脆性すなわち靭性
の不足を伴なう。剛い重合体と他の重合体の種々のブレ
ンドが剛い重合体の靭性を改善するために製造されてい
る。これらのブレンドの一つの組は、剛い重合体を、分
子のレベルでそれと相溶する、軟らかい、しばしばゴム
状の重合体と混合することから成る。これは本質的に単
一相の可塑化材料を与える。しかしながら、この種のブ
レンドの設計は、ほとんど常に低下した剛さと低い耐熱
性を有する柔軟な材料を与えた。別の組の重合体ブレン
ドは、剛い重合体を、それと相溶しない、ある種の重合
体と混合することによって調製し、そのために相構造が
生じる。剛い重合体は一般に連続相であり、その中に軟
質の重合体が分散相として存在している。存在する剛い
重合体と軟かい重合体の量に依存して、異なる程度の靭
性を有する熱可塑性重合体の連続物が生じる。靭性を増
大させるように(たとえば既に強靭化してあるABSのよ
うに)設計した別の重合体のブレンドは、劣化したABS
を再生利用し、その再生物を高衝撃性ABSとブレンドす
ることによって調製する。しかしながら、劣化したABS
は、しばしば、酸化し且つ架橋しており、加工操作には
不利な低い流れを示す。その上、ABSは一般に貧弱な耐
候性を有し(それは老化し室温で脆化する)且つそれは
加工の熱によって熱劣化する。劣化したABSと一層のABS
とのブレンドは、このような欠点を矯正することはな
い。それに対して、本発明においては、ポリブタジエン
を含有しない三元重合体を劣化したABSと混合すること
ができる。劣化しやすいポリブタジエンではなく良好な
耐候性を有する重合体が添加してあるから、長い寿命を
有する、強靭化したABSを生成させることができる。
ハンマーに対する米国特許第3,780,140号は、固体生
成物を与えるためのエチレン、一酸化炭素及び一種以上
の他の単量体の重合体を開示している。それによって生
じる重合体は、柔軟なフイルム及び柔軟性の異なる製品
を生じさせるために固体有機重合体とブレンドすること
ができる。この特許は、ブレンドを製造するために溶い
ることができる、ABSを包含する、固体重合体の長いリ
ストを挙げている。しかしながら、エチレン/一酸化炭
素/第三単量体から成る重合体は固体有機重合体と相溶
しなければならない。すなわち、両重合体は分子規模で
相溶することが好ましい。これは可塑化された単一相組
成物を示唆する。その上、この文献の焦点は剛い重合体
の弾性率を異なる程度に低下させることにある。それに
対して、本発明のブレンドは、最低限度に剛さが低下す
るのみで、高い弾性率を保持する強靭化したABS樹脂を
目的とする。
ルーミスらに対する米国特許第4,613,533号は、エチ
レン/エステル/一酸化炭素重合体とハロゲン化ビニル
又はビニリデン重合体の相溶性ブレンドに基づく、部分
的に架橋した、熱可塑性、エラストマー組成物を記して
いる。ABS樹脂を包含する組成物についての教示は存在
しない。
エプスタインに対する米国特許第4,172,589号は、強
靭化した多相熱可塑性組成物を開示しているが、その中
で、一相はポリエステルマトリツクス樹脂とポリカーボ
ネートマトリツクス樹脂を包含し、少なくとも一つの他
の相はランダム共重合体を包含する。しかしながら、強
靭化したABS樹脂についての教示はない。
本発明の目的はABS樹脂に対する付加的な強靭化剤と
して作用する軟かい、ゴム状三元重合体を提供すること
にある。本発明のもう一つの目的は、その靭性を保持し
ている強靭化した熱可塑性プラスチツクを開発すること
にある。本発明のさらに他の目的は、多相重合体系中
で、最初の弾性率と熱変形温度(HDT)の両者の実質的
な割合を維持する強靭化熱可塑性プラスチツクを開発す
ることにある。本発明のこれら及びその他の目的、特徴
並びに利点は、以下の説明において明白となるであろ
う。
発明の要約 本発明に従って、(a)全ブレンドに基づいて85〜99
重量%のアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹
脂、及び(b)全ブレンドに基づいて1〜15重量%の、
10〜87重量%のエチレンの重合体繰返し単位、10〜50重
量%のアクリル酸エステルの重合体繰返し単位、及び3
〜40重量%の一酸化炭素の重合体繰返し単位から成る、
三元重合体から成る、強靭化した多相熱可塑性ブレンド
を提供する。このブレンドは少なくとも1700MPaの曲げ
弾性率を有している。
本発明の別の局面においては、上記の成分(a)及び
(b)を混合して少なくとも1700MPaの曲げ弾性率を有
するブレンドを生成させることから成る、強靭化した多
相熱可塑性ブレンドの製造方法を提供することにある。
発明の詳細な説明 本発明のブレンドは複合相構造を有する。ブレンドの
成分であるABS樹脂は、異なる相の立体配置と数で存在
することができる。一立体配置においては、アクリロニ
トリル/スチレン共重合体の連鎖はポリブタジエンの枝
を有している。これはアクリロニトリル/スチレン共重
合体鎖への直接的なポリブタジエンのグラフトの結果で
ある。ABS樹脂においては、ポリブタジエンの枝は、相
互に凝集する傾向がある(しかし結合はしない)。凝集
したポリブタジエンは、分離した相を形成するために十
分な大きさに達する可能性がある。これはポリブタジエ
ンの領域、すなわち“ポケツト”を確立するが、それは
アクリロニトリル/スチレン共重合体の領域内に共存し
且つ分散している分離した相となる。アクリロニトリル
/スチレン共重合体は一般に連続相として存在する。ポ
リブタジエン領域が拡大している場合のABSの関連する
立体配置は、ABS樹脂を追加的なポリブタジエンで補充
することによって発現する。それによって生じるABS共
重合体は、遊離した区域中の軟かいポリブタジエンの含
有とアクリロニトリル/スチレン共重合体の概して連続
的な相のために、剛い。ABS樹脂においては、その他の
立体配置及び相構造も可能である。
ABSの配置と、その中に含まれる種々の相は複雑であ
るために、本発明の三元重合体とABS樹脂との相互作用
の本質は正確にはわからないということを理解すること
は重要である。この相互作用に対する種々の説明を以下
に示すけれども、それらは読者による本発明の理解を助
けるために示唆するものであって、どれか一つの説明を
適切なものとして決定的に主張するものではない。
エチレンの重合体繰返し単位、アクリル酸エステルの
重合体繰返し単位及び一酸化炭素の重合体繰返し単位の
三元重合体はABS樹脂よりも軟かい重合体である。それ
はABS樹脂の複合相構造中の分離した相として存在する
ことができ、且つそれはブレンド中の比較的僅かな部分
を占める。その上、常にブレンド全体にわたっている一
つの相構造が存在し、それ故、剛さの低下を生じるおそ
れがある、分子のレベルでの成分のかなりの程度の混合
は存在しない。しかしながら、少なくとも相間の表面相
溶性は存在する。
ABSは既に部分的にゲル化すなわち架橋したブタジエ
ンゴム相を有しているということを認識することは重要
である。三元重合体自体は恐らくは未架橋のままである
としても、それはABSをさらに強靭化する。
三元重合体をABS樹脂と混合するときは種々の複雑な
パターン及び相構造が存在する可能性がある。可能性の
あるこれらの複雑な配置のすべてに対して、エチレン三
元重合体を伴なうポリブタジエンの領域がABS樹脂の耐
衝撃性を増大させる。その結果として、耐衝撃性をでき
る限り増大させながら、剛さの低下をできる限り小さく
することができる。
種々のABS樹脂を用いることができる。本発明のエチ
レン重合体によって別のスチレン性樹脂、スチレン−ア
クリロニトリル(S−AN)、を変性した。S−ANの衝撃
強さの向上が達成された。しかしながら、S−AN樹脂は
単独では低い衝撃強さを有していたから、成形したとき
にE/nBA/COで強靭化した樹脂は断片的であって、本発明
において意図する種々の用途に対して十分なほど強靭で
はなかった。同様に、この分野の専門家は、エチレン共
重合体中で使用すべき第三の単量体のためのアクリル酸
エステルの選択が可能であろう。第三の単量体のアクリ
ル酸エステルの例はアクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、ア
クリル酸n−ブチル及びアクリル酸イソブチルである。
好適なアクリル酸エステルはアクリル酸n−ブチルであ
る。三元重合体はブレンドに基づいて4〜10重量%の量
で存在していることが好ましい。本発明の一好適実施形
態においては、三元重合体は40〜79重量%のエチレンの
重合体繰返し単位を包含する。本発明の別の好適ブレン
ドにおいては、三元重合体は15〜40重量%のアクリル酸
エステルの重合体繰返し単位を包含している。本発明の
さらに他の好適実施形態においては、三元重合体は6〜
20重量%の一酸化炭素の重合体繰返し単位を包含する。
本発明の強靭化した多相熱可塑性ブレンドに対するメ
ルトインデツクス範囲(ASTM D−1238による)は0.1
〜100g/10分、好ましくは1〜50g/分である。
本発明のブレンドは種々の製品の製造のための種々の
可能性において有用である。一般に、これらのブレンド
は、ABS樹脂が用いられ且つこれらの樹脂のより良い性
能が望まれる場合において常に応用可能性を有してい
る。このような用途は自動車の内装又は構造部分、装置
又は計算機ハウジング、軽負荷歯車及び電気工業用部品
を包含する。それらは自己支持性のフイルム又はシー
ト、成形製品、管などの形態とすることができる。ABS
樹脂がバージン(その場合には三元重合体がポリブタジ
エンの強靭化効果を強化又は補充する)であるか又は再
摩砕物(この場合には三元重合体は脆化したポリブタジ
エンと混合して、その耐老化劣化性を向上させることが
できる)のいずれであってもブレンドは有用である。AB
S−エチレン三元重合体ブレンドは、他の重合体系の変
性に対しても有用性が認められる。
本発明のブレンドは、重合体の配合及び押出しについ
ての専門家には公知の通常の方法によって製造すること
ができる。たとえば、これらのブレンドは、二軸押出
機、単軸押出機、密閉強力混合機によって、また、その
他の方法として、ロール混合機を用いて、調製すること
ができる。ブレンドの調製においては、成分を適切に混
合し、それによって三元重合体をABS樹脂全体によく分
散させることが重要である。本発明による三元重合体
は、ここに参考として編入せしめる、米国特許第3,780,
140号中に詳記した手順又はその変更方法に従って、調
製することができる。
本発明の主題は、以下の実施例の参照によって一層詳
細に理解できよう。
実施例 実施例のブレンドは二軸押出しによって調製した。28
mmの2軸(3葉)押出機を用いてABS樹脂を420゜Fの溶
融温度において異なる濃度の種々のエチレン三元重合体
と混合した。これらの実施例及び比較例の全部において
用いたABSは市販の製品M−248、モンサント製の中衝撃
級のABSである。比較例においては、ABS樹脂の衝撃強さ
を増大させるためのエチレン/酢酸ビニル/一酸化炭素
(E/VA/COと略記)の能力を評価した。各比較例に対し
て、三元重合体組成物とその重量百分率を包含させた。
その上、ASTM−D−1238−65T条件E(190℃、2160gの
荷重)で測定した三元重合体のメルトインデツクスをも
示す。本発明を例証する実施例中で用いた特定の三元重
合体はエチレン/アクリルn−ブチル/一酸化炭素
(“E/nBA/CO"と略記)である。E/nBA/COは、ここに参
考として編入する、米国特許第4,613,533号の開示に従
って製造することができる。実施例及び比較例中の重要
なデータの測定に用いた引張及び曲げ試験片は、455゜F
の溶融温度で7オンスストークス機を用いて射出成形し
た。衝撃強さの測定のためのノツチ付きアイゾツト試験
はASTM D−526に従って23℃と0℃で行なった。曲げ
弾性率はASTM D−790に従って測定した。HDTはASTM
D−648に従い、0.455MPaで測定した;試料は70℃のオ
ーブン中で終夜熱処理した。引張強さの測定はASTM D
−638THBを用いて行なった。
比較例1 ABS樹脂のみを用いて試験試料を成形した。試料は23
℃において175.1ジュール/メートル(J/m)、0℃にお
いて98.2J/mのノツチ付きアイゾツト衝撃強さ値を示し
た。試料は2937.27メガパスカル(MPa)の曲げ弾性率と
52.08MPaの曲げ強さを有した。試料は92.5℃のHDTを示
した。
実施例1 4重量%(全組成物に基づく)のE/nBA/COを含有する
ABS樹脂のブレンドを調製した。その後の組成物の解析
は23℃において250.4J/m、0℃において121.2J/mのノツ
チ付きアイゾツト値を示した。試料は2675.26MPaの曲げ
弾性率及び51.15MPaの引張強さを有していた。この試料
のHDTは92.5℃であった。
それ故、本発明を例証する、ABS樹脂中へのエチレ
ン、アクリル酸n−ブチル及び一酸化炭素の三元重合体
の適切なレベルの導入は、比較例1のABS樹脂と比較し
て高いノツチ付きアイゾツト試験値によって証明される
ように“靭性”又は衝撃強さの著しい上昇を生じさせ
る。その上、この変性ABS樹脂の曲げ弾性率は比較例1
のABS樹脂と比較して僅かに低下するにすぎない;これ
は有用な製品として成形したときのブレンドが、その
“剛さ”を維持する(可塑化又は軟化することがない)
ということを示す。この変性樹脂の引張強さはABS樹脂
のみの値から比較的変化せずに保たれ、またHDTは全く
変化しない。
実施例2 6重量%(全組成物に基づく)のE/nBA/COを含有する
ABS樹脂のブレンドを調製した。この試料の引続く解析
は23℃において272.8J/m、0℃において127.0J/mのノツ
チ付きアイゾツト値を示した。試料は2613.21MPaの曲げ
弾性率と49.83J/mの引張強さを有していた。試料に対す
るHDTは92℃であった。かくして、ブレンド中のE/nBA/C
Oの量の増大は、4重量%のE/nBA/COのABS組成物を含有
するのみのABS組成物と比較して、特にABS組成物単独と
比較して、試料の向上した衝撃強さをもたらす。この実
施例の組成物に対する引張強さとHDTの性質は、実施例
1のものと同様に、比較例1のABS樹脂と比較してあま
り変化しない。
実施例3 10重量%(全組成物に基づいて)のE/nBA/COを含有す
るABS樹脂のブレンドを調製した。引続く試料の解析は2
3℃で312.8J/m、0℃において121.2J/mのノツチ付きア
イゾツト値を示した。試料は2427.04MPaの曲げ弾性率と
46.56MPaの引張強さを有していた。試料ブレンドに対す
るHDTは92.5℃であった。この実施例はABS樹脂中へのエ
チレン三元重合体の10%への混入率の増大は、ブレンド
の耐衝撃性を一層上昇させることを実証した。実施例2
と比較した低温衝撃試験値の低下(これは恐らくは試験
誤差によるものと思われる)にかかわらず、この試料に
対する0℃における耐衝撃性は実施例1のものと同等で
あり且つ比較例1のABS樹脂のものと比較してすぐれて
いることに注目すべきである。この実施例の試料の引張
強さは比較例1のABS樹脂のものと比較してあまり変化
せずに保たれた。さらに、実施例2のHDTは比較例1のH
DTから僅かながら低下したけれども、この実施例、実施
例1及び比較例1の組成物に対するHDTは同一である。
このことは、本発明の三元重合体で変性したABS樹脂と
純ABS樹脂に対するHDTは実質的に同じであることを示し
ている。このHDTの比較的僅かな変動は試験の誤差によ
ると考えることができ、いずれにしても、存在している
にしてもきわめて僅かな可塑化が生じているにすぎな
い。
これらの3実施例はABS樹脂に対するE/nBA/COの添加
の有利な効果を例証しているけれども、同様な結果は、
どのようなアクリル酸エステルを用いても達成すること
ができる。その上、実施例は全組成物に基づいて4,6及
び10重量%の濃度におけるE/nBA/COの使用を例証してい
るけれども、本発明において特許請求した1〜15重量%
の三元重合体の濃度が本発明によるABSの耐衝撃性を向
上させるということを理解すべきである。
比較例2 10重量%(全組成物に基づく)のE/VA/COを含有するA
BS樹脂のブレンドを調製した。この三元重合体は66重量
%のエチレン/24重量%の酢酸ビニル/10重量%の一酸化
炭素から成っていた。これは35g/10分のメルトインデツ
クスを有していた。この試料の引続く解析は23℃におい
て176.7J/m、0℃において75.8J/mのノツチ付きアイゾ
ツト値を示した。ブレンドは2482.2MPaの曲げ弾性率と4
8.9MPaの引張強さを有していた。この試料のHDTは92℃
であった。かくして、E/VA/COを含有するこの比較例の
ブレンドは23℃において測定するときはABS樹脂を無視
できる程度に強靭化するにすぎず、0℃で測定するとき
はABS樹脂を実際に脆化する。このことは、他の三元重
合体の性質と比較したときの本発明の三元重合体の独特
且つ予想外の性質を実証する。すなわち、他の三元重合
体とは異なり、本発明のエチレン/アクリル酸エステル
/一酸化炭素三元重合体は実際にABS樹脂を強靭化す
る。
比較例3 4重量%(全組成物に基づく)のE/VA/CO三元重合体
を含有するABS樹脂のブレンドを調製した。この三元重
合体は62.5重量%のエチレン/28.5重量%の酢酸ビニル/
9重量%の一酸化炭素から成っていた。これは35g/10分
のメルトインデツクスを有していた。この試料の引続く
解析は23℃において211.9J/m、0℃において106.8J/mの
ノツチ付きアイゾツト値を示した。このブレンドは2758
MPaの曲げ弾性率と52.58MPaの引張強さを有していた。
この試料に対するHDTは91℃であった。やはり、本発明
による変性ABS樹脂の耐衝撃性はこの比較例のE/VA/CO変
性樹脂のものよりもすぐれている。この組成物に対する
0℃のノツチ付きアイゾツト値は、この温度においての
どの比較例組成物(又は試験した他の比較組成物)の中
でも最高であるが、しかし実施例1〜3で示した本発明
の試料に対する0℃における最低のノツチ付きアイゾツ
ト値よりも劣っていることに注目すべきである。
比較例4 10重量%(全組成物に基づいて)の比較例3の三元重
合体を含有するABS樹脂のブレンドを調製した。この試
料の引続く解析は23℃において239.1J/m、0℃において
96.1J/mのノツチ付きアイゾツト値を示した。このブレ
ンドは2482.2MPaの曲げ弾性率と49.44MPaの引張強さを
有していた。この試料のHDTは91℃であった。この特定
の比較例の試料は、23℃において、いずれの比較例組成
物(又は試験したいずれの他の比較組成物)よりも高い
ノツチ付きアイゾツト値を有していた。しかし、この値
はやはり実施例1〜3に示した本発明の試料に対する23
℃における最低のノツチ付きアイゾツト値よりもさらに
低い。
比較例5 10重量%(全組成物に基づいて)のE/VA/CO三元重合
体を含有するABS樹脂のブレンドを調製した。この三元
重合体は71重量%のエチレン/26重量%の酢酸ビニル/3
重量%の一酸化炭素から成っていた。これは20g/10分の
メルトインデツクスを有していた。この試料の引続く解
析は23℃において168.7J/m、0℃において43.2J/mのノ
ツチ付きアイゾツト値を示した。このブレンドは2385.6
7MPaの曲げ弾性率と47.97MPaの引張強さを有していた。
この試料のHDTは92℃であった。
比較例6 6重量%(全組成物に基づく)のE/VA/CO三元重合体
を含有するABS樹脂のブレンドを調製した。三元重合体
は71.5重量%のエチレン/20.5重量%の酢酸ビニル/8重
量%の一酸化炭素から成っていた。これは15g/10分のメ
ルトインデツクスを有していた。この試料の引続く解析
は23℃において192.2J/m、0℃において91.8J/mのノツ
チ付きアイゾツト値を示した。このブレンドは2627MPa
の曲げ弾性率と52.03MPaの引張強さを有していた。この
試料のHDTは92℃であった。かくして、この三元重合体
に対してもやはり、本発明の組成物のほうがすぐれた衝
撃強さを有していることが見出された。
本発明の主な特徴および態様を記すと次のとおりであ
る。
1.a) 全ブレンドに基づいて85〜99重量%のアクリロ
ニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂;及び b) 全ブレンドに基づいて1〜15重量%の、10〜87重
量%のエチレンの重合体繰返し単位、10〜50重量%のア
クリル酸エステルの重合体繰返し単位、及び3〜40重量
%の一酸化炭素の重合体繰返し単位を含んで成る、三元
重合体 を包含し、少なくとも1700MPaの曲げ弾性率を有するこ
とを特徴とする、強靭化した多相熱可塑性ブレンド。
2.アクリル酸エステルはアクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピ
ル、アクリル酸n−ブチル及びアクリル酸イソブチルか
ら成るグループから選択する上記第1項に記載のブレン
ド。
3.アクリル酸エステルはアクリル酸n−ブチルである上
記第1項記載のブレンド。
4.三元重合体はブレンドの4〜10重量%を占める上記第
1項記載のブレンド。
5.三元重合体は40〜79重量%のエチレンの重合体繰返し
単位を包含する上記第1項記載のブレンド。
6.三元重合体は15〜40重量%のアクリル酸エステルの重
合体繰返し単位を包含する上記第1項記載のブレンド。
7.三元重合体は6〜20重量%の一酸化炭素の重合体繰返
し単位を包含する上記第1項記載のブレンド。
8.三元重合体は0.1〜100g/10分のメルトフローインデツ
クスを有している上記第1項記載のブレンド。
9.三元重合体は1〜50g/10分のメルトフローインデツク
スを有している上記第1項記載のブレンド。
10.自己支持性のフイルム、自己支持性のシート、成形
製品又は管の形態にある上記第1項記載のブレンド。
11.全ブレンドに基づいて85〜99重量%のアクリロニト
リル/ブタジエン/スチレン樹脂を、全ブレンドに基づ
いて1〜15重量%の、10〜87重量%のエチレンの重合体
繰返し単位、10〜50重量%のアクリル酸エステルの重合
体繰返し単位、及び3〜40重量%の一酸化炭素の重合体
繰返し単位を含んで成る、三元重合体と混合し、それに
よって少なくとも1700MPaの曲げ弾性率を有するブレン
ドを取得することを特徴とする、強靭化した多相熱可塑
性ブレンドの製造方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 55/02,73/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a) 全ブレンドに基づいて90〜96重量%
    のアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂;及び b) 全ブレンドに基づいて4〜10重量%の、40〜79重
    量%のエチレンの重合体繰返し単位、15〜40重量%のア
    クリル酸n−ブチルエステルまたはアクリル酸エチルエ
    ステルの重合体繰返し単位、及び6〜20重量%の一酸化
    炭素の重合体繰返し単位を含んで成る、0.1〜100g/10分
    のメルトフローインデックを有する三元重合体を包含
    し、少なくとも1700MPaの曲げ弾性率を有することを特
    徴とする、強靭化した多相熱可塑性ブレンド。
  2. 【請求項2】全ブレンドに基づいて90〜96重量%のアク
    リロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂を、全ブレン
    ドに基づいて4〜10重量%の、40〜79重量%のエチレン
    の重合体繰返し単位、15〜40重量%のアクリル酸n−ブ
    チルエステルまたはアクリル酸エチルエステルの重合体
    繰返し単位、及び6〜20重量%の一酸化炭素の重合体繰
    返し単位を含んで成る、0.1〜100g/10分のメルトフロー
    インデックを有する三元重合体と混合し、それによって
    すくなくとも1700MPaの曲げ弾性率を有するブレンドを
    取得することを特徴とする、強靭化した多相熱可塑性ブ
    レンドの製造方法。
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