JP3130340B2 - ポリアセタール樹脂組成物構造体及びその製造法 - Google Patents

ポリアセタール樹脂組成物構造体及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアセタール樹脂と熱
可塑性ポリウレタン樹脂を配合するいわゆるポリマーブ
レンド系において、簡易な手法により両者が相互に侵入
して網目構造体を形成する方法及びそれによって物性等
の改善されたポリアセタール樹脂組成物構造体に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリア
セタール樹脂は耐薬品性に優れ、機械的諸物性のバラン
スもとれた樹脂として知られており、種々の分野で広く
使用されている。近年、ポリアセタール樹脂の性能を更
に向上させる目的で、種々の他のポリマーのブレンドも
行われている。例えば耐衝撃性改良のためにポリアセタ
ール樹脂に熱可塑性ポリウレタン樹脂を混合することが
知られており、斯かる成形品は電気・電子機器や自動車
等の靱性を要する部品に使用されている。ところが熱可
塑性ポリウレタン樹脂の添加は、ポリアセタール樹脂に
対する分散性不良のため、成形品表面を粗くさせたり、
ウエルド強度、伸度の著しい低下をもたらすといった問
題を有している。そのため、従来のポリアセタールと熱
可塑性ポリウレタンのブレンド系では、外観が重視され
る製品や、ウエルドが生じる複雑な形状の製品への適用
が困難であった。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記問題点
に鑑み、ポリアセタール樹脂と熱可塑性ポリウレタン樹
脂とのポリマーブレンドにおけるその分散性向上につき
鋭意検討の結果、他の成分(充填剤)を含めた各成分の
配合量、充填剤の種類及び粒径、並びに各成分間の表面
張力の大小関係に着目し、これを調整することにより簡
易な手法で両成分が相互に侵入した網目構造体が形成さ
れ、このようにして得たポリアセタール樹脂組成物構造
体は耐衝撃性に優れ、且つポリアセタール樹脂の本来有
する優れた成形品の表面状態を示し、特にウエルド強伸
度等の機械的諸物性が改善されることを見出し、本発明
に到ったものである。即ち、本発明はポリアセタール樹
脂A、ブタジエン系グラフト共重合体からなる平均径が
0.05〜10μm の粒子状充填剤B、及び熱可塑性ポリウレ
タン樹脂Cからなり、各成分A、B、Cの配合量が式
(1) 、(2) 及び(3) の範囲内にあり、且つ各成分A、
B、Cの溶融混練時の温度における相対的表面張力が式
(4) を満足し、ポリアセタール樹脂Aと熱可塑性ポリウ
レタン樹脂Cが相互に侵入して網目状に分散したポリア
セタール樹脂組成物構造体及びその製造法を提供するも
のである。 C/(A+C)= 0.03〜0.45(重量比) (1) (B+C)/(A+B+C) = 0.03 〜0.6(重量比)(2) C/(B+C)= 0.05〜0.95(重量比) (3) S <C S <B S (4) (但し、A S 、C S 及びB S は夫々A、C及びBの溶融
混練温度における表面張力を示す。) 先ず、本発明で言
うポリアセタール樹脂相互侵入網目構造体について説明
すると、図1、2は従来のポリマーブレンド系における
粒子分散形態を表す模式図であり、マトリックス樹脂で
あるポリアセタール樹脂Aに比し比較的含量の少ない熱
可塑性ポリウレタン樹脂Cは分離した粒子状又は層状に
分散した形態を示している。これに対し、図3、4は本
発明の相互侵入網目構造形態を表す模式図であり、この
構造では、熱可塑性ポリウレタン樹脂Cの中にブタジエ
ン系グラフト共重合体粒子Bが包含されており、熱可塑
性ポリウレタン樹脂Cの含量が比較的少ないにもかかわ
らず、ポリアセタール樹脂Aと熱可塑性ポリウレタン樹
脂Cは互いの相がネットワークを形成し、絡み合った構
造となって、実質上共に連続相を形成している。即ち、
本発明ではポリアセタール樹脂Aに対し熱可塑性ポリウ
レタン樹脂Cの少なくとも一部有効量が、一般には大部
分が互いに実質上連続した網目状分散構造を呈し、かか
る分散構造を呈することに本発明の特徴があり、従来の
単純な2成分配合の場合の粒子状に分離した分散に基づ
く欠点を改良したのである。
【0004】かかる分散構造は、形成した構造体、例え
ば成形片を適度に粉砕又は切断し、酸溶液にてマトリッ
クスであるポリアセタール樹脂Aを分解除去することに
よって確認することができる。熱可塑性ポリウレタン樹
脂Cが網目状に分散している場合にはマトリックスAを
分解除去した後も、そのままの形状を保持しているのに
対し、粒子状に分離して分散いる場合には、形態が崩れ
原形を留めないことでもわかる。又、かかるマトリック
スの分解処理後、適当な篩で分離することによって網目
状に存在した部分を略定量的に知ることも出来る。かか
る相互侵入網目構造は、ポリアセタール樹脂A、ブタジ
エン系グラフト共重合体粒子B、熱可塑性ポリウレタン
樹脂Cの3成分を溶融混練することにより、表面張力の
関係でC成分中にB成分粒子が選択的に多数包含され、
混練による剪断力によりB成分粒子の移動分散に連動し
てC成分も枝状に延び、且つ接触し連結して網目状構造
が形成されるものと解される。このためには、A、B及
びCの各成分の溶融混練温度における相対的表面張力の
関係が、下記(4) 式の如く、 AS <CS <BS (4) (但し、AS 、CS 及びBS は夫々A、C及びBの溶融
混練温度における表面張力を示す。)成分Cの表面張力
がマトリックスAより大であり、粒子成分Bは更に成分
Cより大であることが必要であり、その表面張力差は大
きい程好ましい。実際上はA、C成分の表面張力差が2
dyn/cm以上、更にB、C成分の表面張力差も2dyn/cm以
上であることが望ましいが、本発明における各成分の表
面張力値は溶融混練温度において、通常ポリアセタール
樹脂(A成分)の表面張力は18〜23dyn/cmであり、熱可
塑性ポリウレタン樹脂(C成分)は一般に24〜32dyn/cm
の表面張力を有し、ブタジエン系グラフト共重合体粒
子(B成分)は一般に少なくとも32dyn/cm 以上であっ
て、充分上記の表面張力関係を満足している。尚、表面
張力の測定法としては、熱可塑性樹脂の場合、一般に広
く利用されているように、その溶融混練温度での懸滴法
で評価することができる。ここで懸滴法とは、管を垂直
に立て、その内面に入れた液体が滴となって管端にぶら
下がった状態の滴の形状から、液体の表面張力を求める
方法である。尚、溶融しないもの(B成分)に対して
は、ジスマンプロット法で算出した接触角法で臨界表面
張力を求めることができる。
【0005】又、本発明における相互侵入網目構造を形
成するためには、粒子成分Bの粒径も重要である。粒径
が大き過ぎるとC成分によって充分包含されず緻密な網
目構造を形成し難く、又、小さ過ぎるとほとんどC成分
の変形網状化に寄与しなくなる。そのため充填剤成分B
の平均粒径は0.05〜10μm 、好ましくは0.08〜5μmで
ある。
【0006】次に本発明においてA、B、Cの3成分の
配合比は下記の条件を満足することが必要である。 C/(A+C)= 0.03〜0.45(重量比) (1) (B+C)/(A+B+C) = 0.03 〜0.6(重量比)(2) C/(B+C)= 0.05〜0.95(重量比) (3) 即ち、本発明の目的であるポリアセタール樹脂の特長を
生かす観点から、成分Cは成分Aよりも少なく、成分C
が比較的低配合下でも網目状の分散形態を形成する点に
本発明の特徴と利点がある。しかし成分Cがあまりに過
少になると本発明の目的とする網目状の分散形態の形成
が困難になる。又、成分Bの量も網目構造の発現には自
ずから限界があり、これもあまり過少でも過大でも好ま
しくない。従って本発明の目的とするポリアセタール樹
脂の特長を生かし、しかも成分A、Cが相互に網目構造
を発現するためには成分A、B、Cの配合比が上記式
(1)、(2) 及び(3) の何れをも満足することが肝要であ
り、特に好ましい配合比は次の範囲内にある場合であ
る。 C/(A+C)= 0.05〜0.40(重量比) (B+C)/(A+B+C) = 0.05 〜0.40( 重量比) C/(B+C)= 0.25〜0.95(重量比) 次に本発明の各成分について説明する。本発明で用いら
れるA成分のポリアセタール樹脂とは、オキシメチレン
基(-CH2O-) を主たる構成単位とする高分子化合物で、
ポリオキシメチレンホモポリマー、オキシメチレン基以
外に他の構成単位を少量含有するコポリマー、ターポリ
マー、ブロックコポリマーの何れにてもよく、又、分子
が線状のみならず分岐、架橋構造を有するものであって
もよい。又、その重合度に関しても特に制限はなく、溶
融加工性を有するものであれば何れにてもよい。
【0007】次に、本発明で用いられるC成分の熱可塑
性ポリウレタン樹脂とは前記の如く溶融混練時の表面張
力値が上記ポリアセタール樹脂Aのそれより大なるもの
で、下記 (i)、(ii)及び(iii) を主たる構成成分とする
熱可塑性重合体である。 (i)ジイソシアネート化合物 (ii) 分子量が500〜5000の高分子量ポリオール (iii)分子量が60〜500 の低分子量ポリオール及び/又
はポリアミン ここで熱可塑性ポリウレタン樹脂Cを構成する(i) のジ
イソシアネート化合物とは、例えば1,4 −ブチレンジイ
ソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、シクロペンチレン−1,3 −ジイソシアネート、4,4'
−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロ
ンジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4 −ジイソ
シアネート、2,4 −トリレンジイソシアネート、2,6 −
トリレンジイソシアネート、2,4 −トリレンジイソシア
ネートと2,6 −トリレンジイソシアネートとの異性体混
合物、4,4'−メチレンビス(フェニルイソシアネー
ト)、2,2 −ジフェニルプロパン−4,4'−ジイソシアネ
ート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレ
ンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,4
−ナフチレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイ
ソシアネート、4,4'−ジフェニルジイソシアネート、ア
ゾベンゼン−4,4'−ジイソシアネート、m−またはp−
テトラメチルキシレンジイソシアネートおよび1−クロ
ロベンゼン−2,4 −ジイソシアネートを包含する。好ま
しくは4,4'−メチレンビス(フェニルイソシアネー
ト)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4 −
トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト等である。次に熱可塑性ポリウレタン樹脂Cの構成成
分である (ii) の高分子量ポリオールは分子量が500〜5
000、好ましくは1000〜3000で、ポリウレタンの軟質セ
グメントを形成する成分である。斯かる高分子量ポリオ
ールとしては主として両末端に水酸基を有するポリエス
テルジオール(ポリ炭酸エステルジオールを含む)、ポ
リエーテルジオール等であり、その一部少量がトリオー
ル等であってもよい。適当なポリエステルジオールは、
1種または2種以上の2価のアルコールと1種または2
種以上のジカルボン酸とから構成されるポリエステルジ
オールである。これを構成する適当なジカルボン酸は、
アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、スベリン酸、メチ
ルアジピン酸、グルタル酸、アゼライン酸、チオジプロ
ピオン酸およびシトラコン酸および少量の芳香族ジカル
ボン酸を含有する混合物等が挙げられる。又、他の構成
成分として適当な2価のアルコールは、1,3 −又は1,2
−プロピレングリコール、1,4 −ブタンジオール、1,3
−ブタンジオール、2−メチルペンタンジオール、1,5
−ジエチレングリコール、1,5 −ペンタンジオール、1,
6 −ペンタンジオール、1,12−ドデカンジオールおよび
それらの混合物等が挙げられる。さらに、ヒドロキシル
カルボン酸、ラクトン、およびカーボネート、たとえば
ε−カプロラクトンおよび3−ヒドロキシル酪酸をポリ
エステルジオールの構成成分とすることもできる。好ま
しいポリエステルジオールは、ポリアジピン酸エステル
のジオール、ポリラクトンのジオール及びポリ炭酸エス
テルのジオールである。適当なポリエーテルジオールと
しては、1種または2種以上のアルキレングリコール、
たとえば、エチレングリコール、1,2 −又は1,3 −プロ
ピレングリコール、1,4 −ブタンジオールおよび1,5 −
ペンタンジオール、およびそれらの混合物等の縮合生成
物である。適当なポリアルキレンエーテルジオールはテ
トラヒドロフランからも製造することができる。さら
に、ポリエーテルジオールは、コモノマー、ことに不規
則コモノマー又はブロックコモノマーとして、エチレン
オキシド、プロピレンオキシドおよび/またはテトラヒ
ドロフラン(THF)から誘導されたエーテルグリコールで
あってもよく、少量の3−メチルTHF とTHF ポリマーエ
ーテルコポリマーを使用することもできる。特に好まし
いポリエーテルジオールは、ポリ(テトラメチレンエー
テル)グリコール(PTMEG)、ポリ(プロピレンオキシ
ド)グリコール、プロピレンオキシドとエチレンオキシ
ドとのコポリマー、およびテトラヒドロフランとエチレ
ンオキシドとのコポリマーであり、より好ましくはポリ
(テトラメチレンエーテル)グリコールである。他の適
当なポリマーのジオールは、主鎖が主として炭化水素で
あるもの、たとえばポリブタンジオールであってもよ
い。熱可塑性ポリウレタン樹脂Cの構成成分である (ii
i)分子量が60〜500 の低分子量ポリオール及び/又はポ
リアミンは、主として脂肪族直鎖ジオール又はジアミ
ン、或いは芳香族ジオール又はジアミンから選ばれた少
なくとも1種またはそれ以上で、一部少量のトリオール
を含有していてもよい。この成分は熱可塑性ポリウレタ
ン樹脂Cの硬質セグメントとなり、又、鎖延長、架橋の
役割を果たすものである。好ましい低分子量ポリオール
としては、1,2 −エタンジオール、1,3 −プロパンジオ
ール、1,4 −ブタンジオール、1,5 −ペンタンジオー
ル、1,6 −ヘキサンジオール、1,4 −シクロヘキサンジ
オール、エチレングリコール、プロピレングリコール、
グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロ
パン、ハイドロキノンジエチロールエーテル、レゾルシ
ンジエチロールエーテル等が挙げられる。より好ましく
はエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2 −
エタンジオール、1,4 −ブタンジオール、1,6 −ヘキサ
ンジオール、グリセリン、ハイドロキノンジエチロール
エーテル、レゾルシンジエチロールエーテル又はこれら
の誘導体である。又、ポリアミンとしては、ジフェニル
メタンジアミン、m−フェニレンジアミン又はこれらの
誘導体である。斯かる反応生成物からなる熱可塑性ポリ
ウレタン樹脂は、高分子量ポリオール(ii)1当量に対し
て、低分子量ポリオール及び/又はポリアミン (iii)が
約0.2〜5当量の範囲内の量で構成されたポリウレタン
が好ましく、 (ii)成分の多いほど軟質となり組成物の
硬度に影響する。
【0008】次に、B成分のブタジエン系グラフト共重
合体としては、前記の通り表面張力がC成分より大き
く、且つその粒径が0.05〜10μm の粒子状であることが
必要である。機械的物性、ウエルド部での物性、成形品
の表面性等を考慮すると、混練温度もしくは押出温度で
溶融しない下記の如き架橋タイプのものが好ましい。即
ち、ブタジエン系重合体にメタクリル酸エステル、芳香
族モノビニル化合物及びシアン化ビニル化合物より成る
群から選ばれたビニル系単量体の1種以上をグラフト共
重合せしめたブタジエン系グラフト共重合体である。更
に詳しくは、メタクリル酸エステルとしては炭素数1〜
4のアルキルエステルがよく、特にメチルエステルが好
ましい。芳香族モノビニル化合物としては、例えばスチ
レン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ハロゲン
化スチレン、ビニルナフタレン等が挙げられ、特にスチ
レンが好ましい。シアン化ビニル化合物としては、例え
ばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−ハロゲ
ン化アクリロニトリル等が挙げられ、特にアクリロニト
リルが好ましい。又、前述の如き安定した網目構造をと
るために表面張力を高くするものとして、グラフト成分
の内、メタクリル酸エステル、芳香族モノビニル化合物
及びシアン化ビニル化合物の割合が10〜90重量%の重合
物が好ましい。特に好ましいのは、メチルメタクリレー
ト−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂である。本発明
でB成分として用いられるブタジエン系グラフト共重合
体は、塊状重合、懸濁重合、塊状懸濁重合、溶液重合あ
るいは乳化重合の何れの方法でも製造できる。但し、本
発明で用いるブタジエン系グラフト共重合体粒子は、
(4) 式の表面張力関係にあることが肝要であり、俗にブ
タジエン系グラフト共重合体と呼ばれるものであって
も、その含有物、或いは多層構造、表面処理等により、
その粒子の表面張力が(4) 式を満足しないものは、本発
明のB成分として不適当であり、本発明から除外され
る。
【0009】尚、本発明の樹脂組成物構造体には更にそ
の目的を損なわない範囲で所望の特性を付与するため従
来公知の添加物、例えば滑剤、核剤、染顔料等の着色
剤、離型剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候(光)安定
剤、強化剤、加水分解安定剤、無機又は有機質の繊維状
充填剤、成分B以外の板状又は粒状充填剤、成分A、C
以外の熱可塑性樹脂等の添加剤を配合してもよい。
【0010】本発明の樹脂組成物構造体の調製法は種々
の公知の方法で可能であるが、少なくともA、B、Cの
3成分の共存下で加熱溶融し、30秒以上混練処理するこ
とが好ましく、その他の成分も同時に併用配合してもよ
く、又、別に加えてもよい。具体的には例えば成分A、
B、Cを予めタンブラー又はヘンシェルミキサーのよう
な混合機で均一に混合した後、1軸又は2軸の押出機に
供給して溶融混練し、ペレットとした後成形に供しても
よく、直接成形してもよい。尚、ここで言う溶融混練と
は溶融温度において40sec-1以上の剪断速度下で行うの
が望ましい。特に好ましくは100 〜500sec-1である。処
理温度は、樹脂成分が溶融する温度より5℃乃至100 ℃
高い温度であり、特に好ましくは融点より10℃乃至60℃
高い温度である。高温に過ぎると分解や異常反応を生じ
好ましくない。又、溶融混練処理温度は、30秒以上15分
以内、好ましくは1〜10分である。
【0011】
【発明の効果】本発明によれば、ポリアセタール樹脂に
少量の熱可塑性ポリウレタン樹脂を混合した組成物にお
いて、両者が相互に侵入した網目構造を容易に形成で
き、従来の粒状分離分散形態の組成物に比べて、ポリア
セタール樹脂本来の特徴を維持し、成形品の表面状態が
良好でしかも靱性、耐衝撃性に優れ、特に成形品のウエ
ルド強伸度が向上し、極めて有用である。
【0012】
【実施例】以下実施例により本発明を更に具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、以下の例で用いた粒子状充填剤B及び熱可塑性ポリ
ウレタン樹脂Cの詳細は下記の通りである。 ・MBS樹脂(B-1) ; 平均粒径0.3 μm 、BTA−73
1(呉羽化学工業(株)製) 尚、粒径が異なるもの
(1、5、20μm )は上記BTA−731(0.3 μm )
を240 ℃で加熱凝集させた後、粉砕し、ふるいで分別す
ることにより調製した。 ・MBA樹脂(B-2) ; メチルメタクリレート20部、ブタ
ジエン60部、アクリロニトリル20部、水200 部、脂肪酸
石鹸4.5 部、ステアリン酸0.6 部、第三ドデシルメルカ
プタン0.5 部、過酸化水素0.35部、硫酸第一鉄0.02部、
ピロリン酸ナトリウム0.1 部、塩化カリウム0.3 部(何
れも重量部) を重合反応器に仕込み、撹拌しながら35℃
で20時間重合を行うことにより調製した。 ・熱可塑性ポリウレタン樹脂(C-1) ; ミラクトランE1
80MNAT(日本ミラクトラン(株)製) ・熱可塑性ポリウレタン樹脂(C-2) ; ミラクトランE3
75MSJP(日本ミラクトラン(株)製)
【0013】実施例1〜6、比較例1〜7 (A) ポリアセタール樹脂(ポリプラスチックス(株)
製、ジュラコン)、(C)熱可塑性ポリウレタン樹脂(ジ
フェニルメタンジイソシアネート−ポリブチレンアジペ
ートジオール−1,4 −ブタンジオール系ポリウレタン、
C-1)、(B) メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレ
ングラフト共重合体樹脂(MBS樹脂、B-1)(平均粒径
0.3 μm)を表1に示す割合で混合し、設定温度190 ℃に
て30mm二軸押出機でスクリュー回転数80rpm(剪断速度約
100sec-1) で混練し、ペレット化した。次いで、該ペレ
ットより日精樹脂工業(株)製成形機でバレル温度190
℃、金型温度80℃で成形し、評価した。又、表1(比較
例)に示す本発明の要件を満足しない条件にて実施例と
同様に試験片を作成し評価した。これらの結果を併せて
表1に示す。尚、評価項目及びその測定法は以下の通り
である。網目構造の確認法 10×10×3 mmの成形片を塩酸エタノール液 (32N 塩
酸:エタノール=1:3(vol))に入れ、80℃で12時間
還流し、肉眼及び光学顕微鏡、電子顕微鏡により形態変
化を観察した。即ち、マトリックス樹脂であるポリアセ
タール樹脂を酸分解、溶出させた後、この条件では変化
しない熱可塑性ポリウレタン樹脂の分散形態を調べた。
ここで、熱可塑性ポリウレタン樹脂が従来のように粒子
分散であれば、成形片の形態をとどめず、(微)粒子状
の熱可塑性ポリウレタン樹脂が肉眼又は光学顕微鏡で観
察される(図5;比較例2の場合の光学顕微鏡写真)。
これに対し、本発明の如く、ポリアセタール樹脂と熱可
塑性ポリウレタン樹脂が相互侵入網目構造をとっている
場合、成形片はポリウレタン樹脂の形態をとどめてお
り、これは肉眼又は光学顕微鏡で観察される。更に走査
型電子顕微鏡で拡大して観察すると相互侵入網目構造が
より明確に確認できる(図6;実施例1の場合の光学顕
微鏡写真)。又、この網目構造の定量的評価方法とし
て、前記方法で成形片を酸処理した後、特定の篩で分離
し、残重量%を調べた。粒子状分散部分は篩を通過し残
らないが、熱可塑性相互侵入網目構造部分は残るため、
残重量%は網目構造部分の(B+C)部分の重量を意味
する。成形片の物性 成形片のアイゾット衝撃強度(ノッチ付)はASTM D256
の方法、引張伸び、ウエルド伸度はASTM D638 の方法に
準拠して測定した。又、光沢率は、縦50mm、横100 mm、
厚さ3mmの成形片にて、ASTM D523 の方法に準拠して測
定した。各成分の表面張力の測定法 ポリアセタール樹脂及び熱可塑性ポリウレタン樹脂につ
いては、協和界面科学(株)製自動界面張力計PD−Z
型を使用し、懸滴法(丸善(株)新実験化学講座18巻
「界面とコロイド」(1977)の78〜79頁記載の方法)で19
0 ℃の雰囲気で測定した。ポリアセタール樹脂は21dyn/
cm、熱可塑性ポリウレタン樹脂は28dyn/cmであった。
又、MBS樹脂については、200 ℃でプレス機によりフ
ィルム状に加工し、協和界面科学(株)製自動接触角計
CA−Z型を使用し、接触角法(丸善(株)新実験化学
講座18巻「界面とコロイド」(1977)の93〜106 頁記載の
方法)にて各温度での臨界表面張力を測定して温度係数
を求め、190 ℃でのMBS樹脂の表面張力(38dyn/cm)を
求めた。
【0014】
【表1】 実施例7〜8、比較例8 B成分(B-1) の粒径を表2に示すように変えた場合につ
いて実施例1と同様の試験を行い評価した。結果を表2
に示す。
【0015】
【表2】 実施例9〜11、比較例9 B成分をメチルメタクリレート−ブタジエン−アクリロ
ニトリルグラフト共重合体(MBA樹脂、B-2)に変え、
又、C成分をジフェニルメタンジイソシアネート−(ポ
リテトラメチレンエーテル)グリコール−1,4 −ブタン
ジオール系ポリウレタン (C-2)に変えた場合について上
記実施例と同様の試験を行い評価した。結果を表3に示
す。
【0016】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のブレンド系における粒子分散形態を表す
模式図(平面図)である。
【図2】従来のブレンド系における粒子分散形態を表す
模式図(立体図)である。
【図3】本発明の相互侵入網目構造形態を表す模式図
(平面図)である。
【図4】本発明の相互侵入網目構造形態を表す模式図
(立体図)である。
【図5】比較例2で得られた成形品の酸分解後の粒子構
造を示す光学顕微鏡写真である。
【図6】実施例1で得られた成形品の酸分解後の粒子構
造(網目構造)を示す光学顕微鏡写真である。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアセタール樹脂A、ブタジエン系グ
    ラフト共重合体からなる平均径が0.05〜10μm の粒子状
    充填剤B、及び熱可塑性ポリウレタン樹脂Cからなり、
    各成分A、B、Cの配合量が式(1) 、(2) 及び(3) の範
    囲内にあり、且つ各成分A、B、Cの溶融混練時の温度
    における相対的表面張力が式(4) を満足し、ポリアセタ
    ール樹脂Aと熱可塑性ポリウレタン樹脂Cが相互に侵入
    して網目状に分散したポリアセタール樹脂組成物構造
    体。 C/(A+C)= 0.03〜0.45(重量比) (1) (B+C)/(A+B+C) = 0.03 〜0.6(重量比)(2) C/(B+C)= 0.05〜0.95(重量比) (3) S <C S <B S (4) (但し、A S 、C S 及びB S は夫々A、C及びBの溶融
    混練温度における表面張力を示す。)
  2. 【請求項2】 B成分のブタジエン系グラフト共重合体
    がメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合
    体樹脂である請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物
    構造体。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリウレタン樹脂Cが下記
    (i)、 (ii) 及び (iii)主たる構成成分とする熱可塑
    性の重合体である請求項1又は2記載のポリアセタール
    樹脂組成物構造体。 (i)ジイソシアネート化合物 (ii) 分子量が500〜5000の高分子量ポリオール (iii)分子量が60〜500 の低分子量ポリオール及び/又
    はポリアミン
  4. 【請求項4】 C成分の溶融混練温度における表面張力
    が24dyn/cm以上であり、B成分のそれが32dyn/cm以上で
    ある請求項1〜3の何れか1項記載のポリアセタール樹
    脂組成物構造体。
  5. 【請求項5】 ポリアセタール樹脂A、ブタジエン系グ
    ラフト共重合体からなる平均径が0.05〜10μm の粒子状
    充填剤B、及び熱可塑性ポリウレタン樹脂Cからなる樹
    脂組成物構造体の製造法であって、各成分A、B、Cの
    配合量が式(1) 、(2) 及び(3) の範囲内にあり、且つ各
    成分A、B、Cの溶融混練時の温度に おける相対的表面
    張力が式(4) を満足する3成分を用い、溶融混練するこ
    とを特徴とするポリアセタール樹脂Aと熱可塑性ポリウ
    レタン樹脂Cが相互に侵入して網目状に分散したポリア
    セタール樹脂組成物構造体の製造法。 C/(A+C)= 0.03〜0.45(重量比) (1) (B+C)/(A+B+C) = 0.03 〜0.6(重量比)(2) C/(B+C)= 0.05〜0.95(重量比) (3) S <C S <B S (4) (但し、A S 、C S 及びB S は夫々A、C及びBの溶融
    混練温度における表面張力を示す。)
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