JP3137352B2 - 熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物構造体及びその製造法 - Google Patents

熱可塑性ポリオレフィン樹脂組成物構造体及びその製造法

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JP3137352B2 JP10844591A JP10844591A JP3137352B2 JP 3137352 B2 JP3137352 B2 JP 3137352B2 JP 10844591 A JP10844591 A JP 10844591A JP 10844591 A JP10844591 A JP 10844591A JP 3137352 B2 JP3137352 B2 JP 3137352B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性ポリオレフィン
樹脂をマトリックスとし、これに熱可塑性ポリアミド系
樹脂が網目状に分散した構造体及びその製造法に関し、
簡易な方法により形成され、成形品として熱可塑性ポリ
オレフィン樹脂の優れた特長を保持し、特に耐熱性、機
械的物性等の改良された樹脂成形品を提供するものであ
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリエ
チレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン樹
脂は安価で軽く、成形性、耐薬品性に優れた熱可塑性樹
脂であり、一般雑貨品、自動車、電気・電子部品等とし
て広く用いられている。しかし、ポリオレフィン樹脂
は、一般に耐熱性(熱変形温度)、機械的物性が低く、
耐熱性・機械的強度等を要求される分野には不適当であ
った。これらを解決するためにポリオレフィン樹脂と各
種の樹脂とのアロイ化が行われているが、例えば熱可塑
性ポリアミド系樹脂を単純に混練しただけでは分散状態
が悪く、耐熱性、機械的物性等がポリオレフィン樹脂単
体と比べて余り向上しなかった。又、分散性を向上させ
る目的で無水マレイン酸変成等の相溶化手法を用いただ
けではポリアミド系樹脂が粒子状に分散し、期待するほ
どの熱的・機械的物性が得られなかった。本発明は熱可
塑性ポリオレフィン樹脂に熱可塑性ポリアミド系樹脂を
配合した場合の両成分の分散性の不良に基づく欠点を解
決し、成形品とした場合のその耐熱性と機械的物性等を
改善することを目的とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記問題点
に鑑み、熱可塑性ポリオレフィン樹脂と熱可塑性ポリア
ミド樹脂とのポリマーブレンドにおけるその分散形態の
改善につき鋭意検討した結果、特定の充填剤と分散性改
良剤を併用し、溶融混練時の各成分間の相対的表面張力
等を調整する事により、熱可塑性ポリオレフィン樹脂中
に熱可塑性ポリアミド系樹脂が網目状に分散した組成物
構造体が形成され、このようにして得た網目構造体は耐
熱性、機械的強度が一層改善される事を見出し、本発明
に到ったものである。即ち、本発明は熱可塑性ポリオレ
フィン樹脂Aをマトリックスとし、熱可塑性ポリアミド
系樹脂Bを溶融混練するに際し、溶融混練温度における
表面張力が成分Bより大であり且つ平均粒子径が0.05〜
50μm である充填剤C、及び分散性改良剤としての特定
の変成ポリオレフィン系ポリマーDを、下記式(1) 〜
(3) を満足する配合量で溶融混練することを特徴とする
A,B成分が相互に侵入して網目状に分散した組成物構
造体の製造法及び該製造法にて得た組成物構造体より成
る成形品に関するものである。 B/(A+B)=0.05〜0.5 (重量比) (1) C/(B+C)=0.1 〜0.7 (重量比) (2) D/(B+D)=0.02〜0.5 (重量比) (3) 先ず、本発明で言う相互侵入網目構造体の分散形態につ
いて説明すると、図1は従来のポリマーブレンド系にお
ける粒子分散形態を表す模式図であり、マトリックス樹
脂である熱可塑性ポリオレフィン樹脂Aに比し比較的含
量の少ない熱可塑性ポリアミド系樹脂Bは粒子状に分離
した分散形態を呈している。これに対し、図2は本発明
の相互侵入網目構造形態を示す模式図であり、この構造
では、熱可塑性ポリアミド系樹脂Bの中に特定の充填剤
Cが包含され、熱可塑性ポリアミド系樹脂Bの含量が少
ないにもかかわらず、熱可塑性ポリオレフィン樹脂Aと
熱可塑性ポリアミド系樹脂Bは互いにネットワークを形
成し、絡み合った構造となって連続相を形成している。
即ち、本発明では熱可塑性ポリオレフィン樹脂Aに対し
熱可塑性ポリアミド系樹脂Bの少なくとも一部有効量
が、一般には大部分が互いに実質上連続した網目状構造
を呈し、かかる分散形態を呈することに本発明の特徴が
あり、従来の単に熱可塑性ポリオレフィン樹脂に熱可塑
性ポリアミド系樹脂を配合した場合の粒子状分散又は層
状分散形態に比べて優れた機械的物性及び耐熱性等を得
るに至ったものである。かかる分散構造は、形成した構
造体、例えば、成形片を適度に粉砕又は切断し、キシレ
ンにて120 ℃に加熱してマトリックスである成分Aを溶
出除去することによって確認することができる。成分B
が網目状に分散している場合にはマトリックスAを溶出
除去した後も、そのままその形態を保持しているのに対
し、粒状又は層状に分離して分散している場合には、形
態が崩れ原形をとどめないことでもわかる。また、かか
るマトリックスの溶出処理後、適当な篩で分離すること
によって網目状に存在した部分をほぼ定量的に知る事も
出来る。
【0004】次に、本発明に用いられる成分について説
明する。本発明で用いられる成分Aの熱可塑性ポリオレ
フィン樹脂とは公知の如く、エチレン、プロピレン等の
α−オレフィン系炭化水素化合物を適当な触媒を用いて
付加重合することで得られるものであり、そのいずれも
が使用できる。例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリ
エチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
メチルペンテン等のポリオレフィンホモポリマー、或い
はこれらを主体とするコポリマー等が挙げられる。但
し、コポリマーに関してはオレフィン以外のコモノマー
成分が20重量%以下であるものが好ましい。又、これら
の成分Aとしては分岐、架橋構造を有するものでもよ
く、その重合度及び分岐度に関しても特に制限はなく、
成形加工性を有するものであれば何れにてもよく、また
2種以上の混合物でもよい。
【0005】次に本発明で用いられる成分Bの熱可塑性
ポリアミド系樹脂とは公知の如く、各種ジアミンと二塩
基酸の縮重合、各種環状アミドの開環重合、各種ω−ア
ミノ酸の縮重合等により得られるものであり、そのいず
れもが使用できる。その代表的なものはナイロン66、
ナイロン6等のポリアミドホモポリマー、及びこれらを
主体とするコポリマー、又はこれらの混合物で等が挙げ
られる。又、ソフトセグメントまたは変成剤を少量含有
するコポリマー、ターポリマー、ブロックポリマーであ
ってもよい。又、その重合度に関しても特に制限はな
く、成形加工性を有するものであれば何れにてもよい
が、溶融混練時において成分Bの粘度が成分Aより著し
く高粘度であるものは本発明の目的とする網目状の分散
形態の形成が困難になる傾向があり、一般に溶融混練温
度において成分Aの溶融粘度(ポイズ)に対して3倍以
下のものが好ましく、特に成分Bの配合量が比較的少量
の場合には低い方〔例えば、B/(A+B)<0.1 の場
合には同等以下〕が望ましい。
【0006】本発明における成分A,Bの配合比は、成
分Bが成分A及びBの総重量の5〜50重量%、好ましく
は10〜40重量%である。成分Bが過少の場合は本発明の
目的とする網目状の分散形態の形成が得難く、又、過大
の場合には熱可塑性ポリオレフィン樹脂本来の特性が失
われ好ましくない。
【0007】次に成分Cは、溶融混練温度における表面
張力が少なくとも同温度における成分Bの表面張力より
大であることが必要で、好ましくは成分Bとの表面張力
差が2dyn/cm以上大のものである。
【0008】各成分の表面張力は、その溶融混練温度で
の表面張力であって、熱可塑性樹脂の場合、一般に広く
利用されているように、その温度での懸滴法で評価出来
る。ここで懸滴法とは、管を垂直に立て、その内部に入
れた試料が液滴となって管端にぶら下がった状態の液滴
の形状挙動から、液体の表面張力を求める方法である。
尚、溶融しないもの(成分C)に対しては、ジスマンプ
ロット法で算出した接触角法で臨界表面張力を求め評価
することができる(詳細は後記の実施例参照)。
【0009】成分Aと成分Bの表面張力の関係は、溶融
混練温度において少量成分であるBの表面張力がマトリ
ックス成分であるAのそれよりも大であることが必要で
あるが、一般に熱可塑性ポリアミド系樹脂Bの溶融混練
温度おける表面張力は熱可塑性ポリオレフィン樹脂Aの
それより大であり、この相対関係は満足される。因みに
熱可塑性ポリオレフィン樹脂Aの 285℃における表面張
力の値は10〜20dyn/cm(例えばポリエチレンは約17.5dy
n/cm、ポリプロピレンは約14.5dyn/cm)、熱可塑性ポリ
アミド系樹脂Bの値は約25〜40dyn/cm(例えばナイロン
66は約29.3dyn/cm、ナイロン6は約35dyn/cm)であ
る。従って成分Cの表面張力は 285℃で混練する場合、
少なくとも上記成分Bの値以上で、出来るだけ高い方が
好ましいことになる。
【0010】また、成分Cの充填剤は、平均粒径(又は
平均繊維長)が0.05〜50μm の粉粒状(又は繊維状)の
ものが好ましく、更に好ましくは平均粒径 0.1〜10μm
である。粒径は小さい程、細かい網目構造を形成する上
で有利である。成分Cの配合量は、成分B及びCの総重
量に対し、10〜70重量%が適当であり、好ましくは20〜
60重量%である。過少であると本発明の効果を発揮し難
く、過大であると物性に影響し好ましくない。成分Cの
充填剤としては、前記の条件を満足し、特に表面張力値
が前記の如く溶融混練温度において成分Bの値より大で
あれば、無機充填剤でも有機充填剤でも良く、形状も繊
維状、粉粒状、板状等その他目的により任意の形状のも
のが用いられる。例えば、無機充填剤としてはガラス繊
維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊
維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒
化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維等の平均
繊維長50μm 以下の無機質繊維状物質、或いはカーボン
ブラック、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ミ
ルドガラスファイバー、ガラスバルーン、ガラス粉、珪
酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、
クレー、珪藻土、ウァラストナイトの如き珪酸塩、酸化
鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、アルミ
ナの如き金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウムの如き金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウ
ムの如き金属の硫酸塩、その他フェライト、炭化珪素、
窒化珪素、窒化硼素等、また、マイカ、ガラスフレーク
等の平均径が50μm 以下の粉粒状又は板状充填剤等が、
使用するB成分に対する相対的表面張力値を考慮して、
成分Cとしての選択の対象となる。
【0011】又、有機充填剤Cとしては、上記の条件を
満足するものであれば耐熱性、高融点の熱可塑性樹脂、
熱硬化性樹脂等からなる充填剤が使用可能であり、その
例を挙げれば芳香族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリイミ
ド系樹脂、液晶性ポリマー、メラミン系樹脂、フェノー
ル樹脂、エポキシ系樹脂等が上記の条件を満足する限り
成分Cとして有効である。これらの粉粒体は一種又は二
種以上併用することも出来る。又、これらの充填剤は要
すれば適当な表面処理剤等により表面処理を行うことに
より、表面張力を調整し、成分Cとして有効に用いるこ
とができる。
【0012】次に分散性改良剤としての成分Dは、各種
カルボン酸基、カルボン酸無水物基、カルボン酸金属塩
基、カルボン酸エステル基、イミノ基、アミノ基及びエ
ポキシ基の一種以上を有する変成されたポリオレフィン
系ポリマーであり、例えば無水マレイン酸、無水コハク
酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、N−フェニル
マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、グリシジ
ルアクリレート、メタクリル酸アルキルエステル及び/
又はこれらの誘導体が、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン
に化学的に導入結合し、変成したポリオレフィン系コポ
リマー又はグラフトコポリマー、或いはポリオレフィン
とポリアミドよりなるポリアミドグラフト変成ポリオレ
フィン等が挙げられる。成分Dとして特に好ましい具体
例としては、無水マレイン酸変成ポリエチレン、無水マ
レイン酸変成ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−
無水マレイン酸共重合体、無水コハク酸変成ポリエチレ
ン、無水イタコン酸変成ポリエチレン等の変成ポリオレ
フィン、或いはポリアミドグラフト変成ポリオレフィン
等である。成分Dの重合度等に関しては特に制限はな
く、それ自体が成形加工性を有しないオリゴマーであっ
てもよい。成分Dの配合量は、成分B及びDの総重量に
対し、2〜50重量%が適当であり、好ましくは5〜30重
量%である。過少であると本発明の効果を発揮し難くな
る。
【0013】かかる成分Dの存在は、前記成分Cと共に
成分Bがマトリックスである成分A中に緻密な網目状の
分散形態を形成する上で重要な役割を果たすものであ
り、成分Dが存在しない場合には成分Cが存在しても充
分均一な網目状相構造を形成し難く、逆に成分Dが存在
しても成分Cが存在しない場合は、成分Bは小粒子とし
ては分散するが網目状の分散形態とはならず、本発明の
効果も充分発揮されない。本発明の網目状分散形態の発
現は前記の条件を満足する成分Cが溶融混練時に存在す
ることにより、その相対的表面張力の影響で、充填剤成
分Cが選択的に成分Bによって包含され、更に成分Dの
存在により細分化すると同時に成分Cを多数包含した成
分Bは、成分Cの混練による移動分散に連動して枝状に
延び、接合して網目構造を形成するものと解される。
【0014】尚、マトリックスである成分Aが、上記成
分Dの分散性改良剤としての構造要件を備えた変成ポリ
オレフィン系ポリマーである場合、即ち成分AとDが共
通の要件を備えている場合には、成分A自体が分散性改
良剤としての機能をも兼備するため、特に成分Dを別に
加えなくとも本発明の目的とする効果は充分に得られ
る。従って、かかる場合には特に別の成分Dを加えなく
とも、成分Aは成分Dを含むものと理解すべきで、かか
る場合も本発明の範囲に包含される。しかし、この際、
別の成分Dを配合しても何ら支障はない。
【0015】尚、本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂
組成物構造体には更にその目的を損なわない範囲で所望
の特性を付与するため従来公知の添加物、例えば潤滑
剤、滑剤、核剤、染顔料、離型剤、酸化防止剤、熱安定
剤、耐候(光)安定剤、強化剤、加水分解安定剤、その
他成分A,B,D以外の熱可塑性樹脂、成分C以外の充
填剤等の添加剤を配合してもよい。
【0016】本発明組成物構造体の調製法は種々の公知
の方法で可能であるが、少なくともA,B,C,Dの4
成分の共存下で加熱溶融し、30秒以上混練処理すること
が好ましく、その他の成分も同時に併用配合してもよ
く、また、別に加えても良い。具体的には、例えば成分
A〜Dを予めタンブラー又はヘンシェルミキサーのよう
な混練機で均一に混合した後、1軸又は2軸の押出機に
供給して溶融混練し、ペレットとした後成形に供しても
よく、直接成形してもよい。尚、ここで言う溶融混練は
溶融温度において40 sec-1以上の剪断速度下で行うのが
望ましい。特に好ましい剪断速度は 100〜500sec-1であ
る。処理温度は、樹脂成分が溶融する温度より5℃乃至
100℃高い温度であり、特に好ましくは融点より10℃乃
至60℃高い温度である。高温に過ぎると分解や異常反応
を生じ好ましくない。また、溶融混練処理時間は、30秒
以上15分以内、好ましくは1〜10分である。
【0017】
【発明の効果】本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂組
成物構造体は、熱可塑性ポリオレフィン樹脂に熱可塑性
ポリアミド系樹脂が網目状に分散した構造を有し、簡易
な方法で形成することが出来、熱可塑性ポリオレフィン
樹脂の特長を保持し、従来の単に両成分を配合した粒子
状分離分散の場合に比べて、成形品表面が縞状の外観を
呈することもなく、平滑で良好な表面特性を示し、機械
的強度、剛性、弾性率等が向上し、且つ成形品の耐熱性
も改良され、多くの用途が期待される。
【0018】
【実施例】以下実施例により本発明を更に具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】実施例1〜2 表1に示す表面張力値(285 ℃)の、(A)ポリプロピ
レン樹脂(三井石油化学工業(株)製、ハイポール)、
(B)ナイロン66(ポリプラスチックス(株)製、ポ
リプラナイロン66)、(C)タルク(富士タルク工業
(株)製、平均粒径2μm 又は20μm )、(D)無水マ
レイン酸変成ポリプロピレン樹脂を表1に示す割合で混
合し、設定温度 285℃にて内径30mm二軸押出機を用い、
スクリュー回転数100rpm( 剪断速度約125sec-1) で溶融
混練し、ペレット化した。次いで、該ペレットより射出
成形機により試験片を作成し、評価を行った。結果は表
1に示す。尚、各特性値の測定法は以下の通りである。
【0020】表面張力の測定法 (以下の例もこれに準ずる)ポリプロ
ピレン樹脂及びナイロン66については、協和界面科学
(株)製、自動界面張力計PD−Z型を使用し、懸滴法
(丸善(株)新実験科学講座18巻「界面とコロイド」(1
977)の 78-79頁記載の方法)で 285℃の雰囲気で測定し
た。ポリプロピレン樹脂は14.5dyn/cm、ナイロン66は
29.3dyn/cmであった。また、タルク粒子については、タ
ルク原石表面を、協和界面科学(株)製、自動接触角計
CA−Zを使用し、接触角法(丸善(株)新実験科学講
座18巻「界面とコロイド」(1977)の93-106頁記載の方
法)にて各温度での臨界表面張力を測定し、温度係数を
求めた。結果は次の通りであり、285 ℃でのタルクの表
面張力に換算すると60dyn/cmとなる。 25℃ 表面張力 65dyn/cm 60℃ 表面張力 65dyn/cm 80℃ 表面張力 64dyn/cm 温度勾配(−dr/dT)=0.02網目構造の確認法 (以下の例もこれに準ずる) 10×10×3mmに切断した成形片をキシレン溶液に入れ、
油浴上120 ℃にて5時間加熱処理し、マトリックス樹脂
であるポリオレフィン樹脂A及び分散性改良剤Dを溶出
させた後、肉眼及び光学顕微鏡、電子顕微鏡により形態
変化を観察し、この条件では変化しない熱可塑性ポリア
ミド系樹脂の分散形態を調べた。ここで、熱可塑性ポリ
アミド系樹脂が従来のように粒子分散であれば、成形片
の形態をとどめず、粒子状の熱可塑性ポリアミド系樹脂
の沈積物が肉眼又は光学顕微鏡で観察されるのみであ
る。これに対し、本発明の如く、熱可塑性ポリアミド系
樹脂が網目構造をとっている場合、成形片は形態を留め
ており、これは肉眼又は光学顕微鏡で観察される。更に
走査型電子顕微鏡で拡大して観察すると網目構造がより
明確に確認できる。因みに実施例1の組成物構造体の溶
出処理後の粒子構造(網目構造)を示す電子顕微鏡写真
を図3に示す。また、この網目構造の定量的評価方法と
して、前記方法でマトリックス樹脂Aを溶解処理した
後、12メッシュの篩で分離し、残重量を調べた。粒子状
分散部分は篩を通過し残らないが、網目構造部分は残る
ため、残重量%は網目構造部分の(B+C)の重量を意
味する。引張強伸度 :ASTM D638 の方法に準拠して測定した。熱変形温度 :ASTM D648 の方法に準拠して18.6kg荷重に
て測定した。曲げ弾性率 :ASTM D790 の方法に準拠して測定した。
【0021】比較例1〜5 熱可塑性ポリプロピレン樹脂A単独、ナイロン66B単
独、成分A,Bの配合において充填剤Cを含まないよう
な組み合わせとした場合、又は成分Dを含まない場合等
について、同様の方法で評価した。評価結果は表1に併
せて示す。
【0022】実施例3〜6、比較例6〜7 成分C,Dの配合量を表2のように変えた他は実施例1
と同様に成形片を作成し評価した。評価結果は表2に示
す。
【0023】実施例7〜8 成分A,B,C及びDの配合量を表3のように変えた他
は実施例1と同様に成形片を作成し評価した。評価結果
は表3に示す。
【0024】実施例9、比較例8〜9 成分Cを炭酸カルシウム(白石工業(株)製、平均粒径
1μm)に変え、又、比較のためシリコーンゴム粒子(ト
ーレシリコーン(株)製、R−925、平均粒径1μm)
及びアクリルゴム粒子(三菱レーヨン(株)製、W52
9、平均粒径 0.3μm )に変えた以外は実施例1と同様
に成形片を作成し評価した。評価結果は表4に示す。
【0025】実施例10〜11 成分Dを無水マレイン酸変成エチレン−プロピレン共重
合体又はポリアミドグラフト変成ポリプロピレンに変
え、表5のように配合量を変えた他は実施例1と同様に
成形片を作成し評価した。評価結果は表5に示す。
【0026】実施例12〜13、比較例10〜11 成分Bをナイロン6(東レ(株)製、アラミン)に変
え、表6の配合量にて前例と同様に成形片を作成し評価
した。評価結果は表6に示す。
【0027】実施例14〜17、比較例12〜15 成分Aを高密度ポリエチレン(三井石油化学工業(株)
製、ハイゼックス)に変え、また成分Dを無水マレイン
酸変成ポリエチレンに変えた場合について、前例と同様
に成形片を作成し評価した。評価結果は表7に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のポリマーブレンド系による構造体の分散
状態を示す模式図である。
【図2】本発明による構造体の分散状態を示す模式図で
ある。
【図3】実施例1の組成物構造体の溶出処理後の粒子構
造(網目構造)を示す電子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 77/00 C08L 77/00 (56)参考文献 特開 平4−363349(JP,A) 特開 平4−331248(JP,A) 特開 平4−136061(JP,A) 特開 平3−218806(JP,A) 特開 昭63−126710(JP,A) 特開 昭62−241938(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/00 - 3/28 C08J 5/00 C08L 1/00 - 101/16

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリオレフィン樹脂Aをマトリ
    ックスとし、熱可塑性ポリアミド系樹脂Bを溶融混練す
    るに際し、溶融混練温度における表面張力が成分Bより
    大であり且つ平均粒子径が0.05〜50μm である充填剤
    C、及び分散性改良剤としての変成ポリオレフィン系ポ
    リマーDを、下記式(1) 〜(3) を満足する配合量で溶融
    混練することを特徴とするA,B成分が相互に侵入して
    網目状に分散した組成物構造体の製造法。 B/(A+B)=0.05〜0.5 (重量比) (1) C/(B+C)=0.1 〜0.7 (重量比) (2) D/(B+D)=0.02〜0.5 (重量比) (3)
  2. 【請求項2】 溶融混練温度における成分Cの表面張力
    が成分Bのそれより2dyn/cm以上大である請求項1記載
    の組成物構造体の製造法。
  3. 【請求項3】 成分Aがポリオレフィン重合体或いはα
    −オレフィンを主体とし他のコモノマー成分が20重量%
    以下の共重合体である請求項1又は2記載の組成物構造
    体の製造法。
  4. 【請求項4】 成分Bがナイロン66、ナイロン6及び
    これらを主体とする熱可塑性ポリアミドコポリマー、又
    はこれらの混合物である請求項1〜3の何れか1項記載
    の組成物構造体の製造法。
  5. 【請求項5】 成分Dがカルボン酸基、カルボン酸無水
    物基、カルボン酸金属塩基、カルボン酸エステル基、イ
    ミノ基、アミノ基及びエポキシ基の一種以上を有する変
    成ポリオレフィン系ポリマーである請求項1〜4の何れ
    か1項記載の組成物構造体の製造法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れか1項記載の方法に
    より製造した組成物構造体より成る成形品。
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