JP2819555B2 - 半結晶性ポリマーの表面改質方法および該改質表面を有する半結晶性ポリマー物品 - Google Patents

半結晶性ポリマーの表面改質方法および該改質表面を有する半結晶性ポリマー物品

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JP2819555B2 JP63061748A JP6174888A JP2819555B2 JP 2819555 B2 JP2819555 B2 JP 2819555B2 JP 63061748 A JP63061748 A JP 63061748A JP 6174888 A JP6174888 A JP 6174888A JP 2819555 B2 JP2819555 B2 JP 2819555B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明の背景 i.本発明の分野 本発明は、半結晶性ポリマー物質および特に、同じま
たは類似のポリマー物質の準−非晶質(quasi−amorpho
us)表面層を有する半結晶性ポリマー物質に関する。本
発明はまた、半結晶性ポリマー表面を照射して、該表面
上に準−非晶質表面層を生成させる方法にも関する。
ii.背景技術 ポリマー表面の分解に及ぼす化学線の影響は多年にわ
たって研究されてきた。ほぼ1970年代の前には、この研
究は220ナノメーター(nm)以上の波長で低い強さの光
ランプを使用して行なわれた。多数の論文が文献に示さ
れているが、これらの典型はDayおよびWiles、Journal
of Applied Polymer Science、16 175(1972)、およ
び、Blais.DayおよびWiles.Journal of Applied Polyme
r Science17 1895頁(1973)である。
1970〜1980年代の間に、220nm未満の波長で紫外線(U
V)ランプのポリマー表面に及ぼす影響が平版印刷およ
び表面改質目的のために研究された。かような研究の例
として、Mimura等、Japanese Journal of Applied Phys
ice 17、541(1978)の研究が挙げられる。この研究で
は、UVランプを使用したとき光エッチングを起こすため
には長い露光時間および高いエネルギーを要することが
証明されている。U.S.P.No.3,978,341(Hoell)には、
レンズの湿潤性および接着性を改良するために83〜133.
5nm U.V.線を発生する火花放電にポリマーのコンタク
トレンズを暴露させるための装置が教示されている。
1975年には、エクスサイマー(excimer)レーザーが
発見された。エクスサイマーレーザーは、励起ダイマー
レーザーであり、2種の常態で非反応性気体[例えばク
リプトン(Kr)および弗素(F2)]を電気放電に暴露す
る。気体の1種(Kr)はエネルギーを付与されて励起状
態(Kr)になり、これは他の気体(F2)と結合して励
起された化合物(KrF)を形成する。この化合物は光
子を放出し、非励起状態に戻る。これは不安定であるか
ら直ちに解離して元の気体(krおよびF)になり、この
工程が繰返される。この放出された光子がレーザー出力
である。エクスサイマーレーザーの特異性は、短波長
(UV)光を生成させるその高い効率およびショートパル
ス幅である。これらがエクスサイマレーザーを工業的用
途に有用なものにしている。
Kawamura等は、Applied Physics Letters40 374
(1982)に、半導体製造用の写真平版レジストの製造に
使用するポリマーであるホト−エッチポリメチルメタク
リレート(PMMA)に対する248nm波長のKrFエクスサイマ
ーレーザーの使用を報告している。
U.S.P.No.4,414,059(Blum.BrownおよびSrinivasan)
には、220nm未満の波長およびポリマー連鎖の断片化お
よび断片部分の即座の脱出を起こすのに十分な出力密度
で平版印刷レジスト非晶質ポリマーの融蝕性(ablativ
e)光分解を利用するマイクロエレクトロニックス装置
の製造技術が開示されている。光分解によって融蝕され
た表面が残る。発明者等は、193nmおよび12ナノセカン
ドパルス幅でArFエクスサイマーレーザーを使用したと
き、ポリ(メチルメタクリレート)レジスト物質の融蝕
性光分解のしきい値(threshold)は、約10〜12mJ/cm2/
パルスのフルエンス(fluence)で起こることを見出し
た。融蝕を起こす前にしきい値より大きい大量のエネル
ギーを加えなければならないと述べている。融蝕性光分
解を起こさせるために、使用するエネルギーは、(i)
十分に大きく、かつ、(ii)非常に短時間に適用しなけ
ればならない。
U.S.P.No.4,417,948(Mayne−BantonおよびSrinivasa
n)並びに関連文献SrinivasanおよびLeigh、Journal Am
erican Chemical Society104、6784(1982)、には、
ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)のUVホトエッ
チング法が教示されている。
これらの文献において著者等は、ホトエッチングの機
構は高エネルギーUVによって表面ポリマー分子の鎖の分
断または結合の破壊の1種であることを証明している。
照射の存在下では結合破壊は続き、比較的小さい単位は
輻射線を吸収し、さらに小さい単位に分解し、最終生成
物が気化するまで続いて過剰の光子エネルギーをすべて
運び去る。この工程の結果小さい粒子は融蝕されて、各
種の気体を発生する。残留する表面物質は、低分子量分
子(オリゴマー)を含む。PET反復単位および結合の切
断に関する発生者の主張を検討すると、次のことが起こ
ると考えられる: 実際に、Journal of the American Chemical Society
論文に中において、発明者等はベンゼンを分析し、そし
て、PETの光分解のほぼしきい値、すなわち、193nmで約
20mJ/cm2/パルスでベンゼンを最初に検出している。発
明者等は、また、破壊された鎖の断片の末端を封鎖し、
かつ、これらの断片の再結合を防止する酸素の存在下で
ホトエッチング工程が加速されることを証明している。
Srinivasanは、Journal of the Vacuum SocietyB
1、923(1983)において、直径0.048cmのマスクを通し
ての有機ポリマーの融蝕性光分解の結果を報告してお
り、融蝕開始のためのしきい値が存在し、PMMAではこの
しきい値は10mJ/cm2/パルスであると述べている。さら
に、16mJ/cm2の1パルスはPMMA上にエッチマークを与え
るが、4mJ/cm2/パルスでの50パルスでは何等の検知しう
るエッチマークが残らないと述べている。PETおよびポ
リイミドでは、しきい値は約30mJ/cm2/パルスで始まっ
た。しかし、満足なエッチパターンを得るためには最適
フルエンス範囲は100〜350mJ/cm2/パルスであった。
SrinivasanおよびLazareは、Polymer26、1297(198
5)Conference Issueにおいて、著者等は、PET、PMMAお
よびホリミイドポリマーの6×12mm試料をUVランプから
の193nmの連続輻射およびエクスサイマーレーザーから
の193nmのパルス輻射の両者によるホトエッチングを報
告している。連続的低エネルギーUVランプの使用は、ポ
リマー表面の光酸化を起こし、X線光電分光計(XPS)
装置によって測定して増加した酸素:炭素比(O/C比)
が得られたが、ポリマー表面の中および融蝕に鎖の分断
を生成させるパルス高エネルギーエキスサイマーレーザ
ーの使用によってはXPSで測定して前記より低いO/C比が
得られた。著者等は、さらに、「融蝕性光分解は表面で
の原子をすべて除去し、新しい表面を創り出すのである
から原子レベルでのポリマーの改質のための正確な方法
ではないと指摘できる」とも述べている。
U.S.P.No.3,607,354には、配向されたポリ(エチレン
テレフタレート)フィルムの表面の艶消しのための高度
に活性なヒドロシシベンゼン溶剤の使用が開示されてい
る。この溶剤は、ポリ(エチレンテレフタレート)を溶
解、かつ、膨潤させ、そして、表面上に残す作用をす
る。表面層の化学組成は、フィルムが被覆される時点で
非常に活性な溶剤が存在するためポリマー本体の組成と
は異なる。光を散乱させる大きい寸法の結晶性晶球が生
成されるため艶消しになる。
U.S.P.No.4,568,632(Blum,HollowayおよびSrinivasa
n)には、ポリイミドのホトエッチングが特許請求され
ている。記載されている方法では、193nmでのパルスエ
キスサイマーレーザーを使用している。光融蝕に要する
言及されているエネルギーは、PETに対してよりポリイ
ミドの方がはるかに高い。PETのレーザーフルエンスの
しきい値は約30mJ/cm2/パルスであるがポリイミドでは
約50mJ/cm2/パルスと報告された。作業水準はPETでは約
50〜100mJ/cm2/パルスであり、ポリイミドでは100〜300
mJ/cm2/パルスと述べられている。エッチ率はPETで100
〜300mJ/cm2/パルスのフルエンスの範囲で1000Åであ
り、ポリイミドでは350mJ/cm2/パルスで750Åであっ
た。
LazareおよびSrinivasanは、Journal Physical Chemi
stry90、2124(1986)に、パルスUVレーザー輻射また
は連続的UVランプ輻射のいずれかで改質したPETの表面
特性の研究に関して報告している。著者等は、PETの高
い範囲の融蝕に関して次のように報告している:(i)
PETの照射された表面は低分子物質の層である、(ii)
該表面は粗い、化学的に物質なテキスチャーである、
(iii)該表面はオリゴマーの化学的に高活性特性を有
する、および(iv)該表面はアセトンによる洗浄によっ
て除去できる。PETの極く低分子量断片(オリゴマー)
はアセトンに可溶性であるから、著者等は処理表面から
の除去は表面上に低分子量物質が存在する証拠であると
断言している。著者等は、また、低強度UVランプ処理PE
T表面はアセトンで洗浄除去できないことも報告してい
る。この後者の論文ではPETの融蝕のしきい値を約30〜4
0mJ/cm2/パルスと報告している。
日本国特許公報JA−59−82380、JA−59−101937およ
びJA−59−101938(Kilanura、VenoおよびNomura)に
は、ある種のポリマー内からの可塑剤の移行を防止する
ための接着力の増加および遮断層形成の目的で中程度に
高いエネルギーレーザーからの多くのパルスを使用する
各種のポリマーの処理が記載されている。
BishopおよびDyerは、Applied Physics Letters4
7、1229(1985)にレーザービームをフィルム表面に集
中させることによりレーザービームのエネルギー密度を
増加させることによって、他の研究者の光融蝕エッチン
グ研究を実際にポリマーフィルムの切断またはスリット
化に拡大した研究を報告している。
上記引例の著者等は、ポリマーが半結晶性または非晶
質であることに係わりなく、ポリマー表面上のUV線の光
分解または光融蝕を研究した。本発明は実質的に光分解
を起こさず、しかも、殆んどまたは全く光融蝕を生成し
ない、そして、従来技術で使用されたものとは異なるエ
ネルギー範囲に暴露することによって生成された半結晶
性ポリマー表面のみに関するものである。
Marcel Dekker社、N.Y.によって出版されたSouheng W
uのrPolymer Interface and Adhesion」およびBasel、
第5章206頁には、ポリマー溶融物が冷却し、固化する
ときは通常非晶質表面が形成されるが、その本体相は半
結晶性であることが示されている。このことの少なくと
も一部は結晶構造中に順応できない段片が表面に排除さ
れる結果生ずる。この非晶質表面は、この断片の存在に
よって再結晶できず、そして、わずか分子の数層に等し
く、2または3nm以下の程度、一般には2nm未満の厚さの
極めてうすいものと考えられている。
U.K.P.No.1,579,002には、ポリマー表面の接着を増加
させるための表面の真空グロー放電処理が開示されてい
る。真空中における放電(例えばコロナ型放電)は、コ
ロナ放電処理結果として典型的に生ずる黄化を75〜80%
減少させる。グロー放電処理の間、表面はガラス転位温
度または融点より低い温度に熱せられる。
U.S.P.No.3,081,485には、電子ビーム照射を使用して
ポリマー物質を加熱および軟化させ、延伸および被覆の
ような機械的処理がさらに実施できるようにする方法が
記載されている。使用するエネルギー密度(例えば、カ
ラム2、15行)は、本発明において使用するエネルギー
密度より2倍程度の大きさである。U.S.P.No.3,081,485
に記載されているエネルギー量では融蝕を起こしうる。
発明者等は、カラム2、26行に、照射の間少量の痕跡の
被照射物質が蒸発すると述べている。前記の特許には表
面加熱が記載されているが、e−ビーム透過の直後深さ
(カラム3参照)は、150μmより大きいようである。
このエネルギー形態は、ポリマー本体に同じ影響を及ぼ
し、単に表面改質を起こすだけに留まらないであろう。
U.S.P.No.4,631,155には、ポリマー表面を強力な電磁
線の少なくとも1パルスで処することによるポリマーの
表面改質が記載されている。表面ポリマーは輻射線に比
較的長く暴露すると無配向になる。無配向は非晶質表面
の証拠である。カラム5に記載されているクロロホルム
試験によって示されるように、非常に厚い層が形成され
るようである。前記の特許に記載されている条件は、表
面中に化学的変化を非常に起こしそうである。
本発明の要約 本発明によって、半結晶性ポリマー上に非晶質化され
た表面層およびかような準−非晶質表面の製造方法が提
供される。本発明によって得ることができる半結晶性ポ
リマーにおける若干の特性は、減少された光学反射、増
加された光学透過率、増加されたコーティング接着力、
増加された自己接着性、非−黄化(非−分解)表面、非
テキスチャ化(非融蝕性)表面および該表面への他のポ
リマーのe−ビートグラフト化能力の増加がある。ポリ
マー物品は、準−非晶質状態にある同じポリマー組成物
の少なくとも5nmの深さを有する領域を少なくとも一表
面上に有する半結晶ポリマーから成る。この領域は連続
でも不連続でもよい。
図面の詳細な説明 図面は本発明の表面処理の効果およびポリ(エチレン
テレフタレート)フィルムの性質に及ぼす他の公知の方
法の効果をグラフによって示す。
斜線は一定エネルギー密度を表わす。すなわち、パル
ス数にパルス当りのエネルギーを乗じたものはこの線に
沿って一定に留まる。陰影域1は、融蝕およびエッチン
グ法によって生ずる表面のミクロテキスチャーを示す。
これは高い接着強さを生成する傾向がある。クロスハッ
チ域2は、表面の性質が強い(2000g/線インチ)、中程
度(1000〜2000g/線インチ)および弱い(0〜1000g/線
インチ)結合の間に制御できる本発明による表面改質を
示す。これらの結合強さは表面の自己接着のためのもの
である。
本発明の詳細な説明 本発明によって、ポリマーによって強く吸収され、か
つ、独立の非晶質化層を生成させるのに十分な強さ並び
にフルエンスを有する輻射線によってポリマーを照射す
ることによって形成される半結晶性ポリマー上の独特の
非晶化表面層が提供される。かように、半結晶性ポリマ
ー表面は、強力なショートパルスUVエクスサイマーレー
ザーまたはショートパルス持続、強力UVフラッシュラン
プのような輻射線によって新規の準−非晶質組成物に変
えられる。
本発明によって、半結晶性ポリマー上に独特の非晶質
表面層の形式方法が提供される。この方法は、ポリマー
に強く吸収され、かつ、かような非晶質層を生ずるのに
十分に強さ並びにフルエンスを有する輻射線によるポリ
マーの照射である。半結晶性ポリマー表面は、強力なシ
ョートパルスUVエクスサイマーレーザーまた短時間持続
パルス、強力UVフラッシュランプのような輻射線によっ
て新規の形態学的状態に変えられる。
本発明によって、半結晶性ポリマー上の少なくとも一
つの非晶質表面層を他の表面にヒートシールする方法も
提供される。本発明において使用される好ましい半結晶
性ポリマーにおける若干の特定の性質は、減少した光学
的反射率並びに増加した光学的透過率、増加したコーテ
ィング接着力、増加した自己接着性および非黄化(非−
分解)表面である。本発明において使用される好ましい
ポリマー物品には、準−非晶質状態における同じポリマ
ー組成物の少なくとも5nmの深さを有する領域を少なく
とも一表面上に有する半結晶性ポリマーを含む。前記の
領域は連続または非連続でもよい。
本発明によって、半結晶性ポリマー上の非晶質化表面
であり、画像形成に特に好適である該非晶質化表面も提
供される。準−非晶質表面は、インキ、ワニス、ペイン
ト、染料、顔料または他の光学濃度含有物質で被覆する
ことができる。これらの被覆は、ポリマー表面に対して
極めて強力な接着性を示す。物質の画像様分布がある場
合には、背景域は表面処理前の元のポリマーと同じ色の
ままである。ポリマー物品は、準−非晶質状態にある同
じポリマー組成物の少なくとも5nmの深さを有する領域
を少なくとも一表面上に有し、かつ、その上に光学濃度
含有被覆を有する半結晶性ポリマーから成る。
本発明の実施によって生成された準−非晶質表面層ま
たは領域は、上記したU.S.P.No.4,417,948およびSriniv
asan等の論文に記載されているような融蝕工程に典型的
に由来するポリマー分解崩壊物を一般的に、かつ、好ま
しくは実質的に、本質的にまたは全く含まない。
残留崩壊物はポリマー本体より低い酸素/炭素比を有
する有機物質であろう。その存在量が肉眼では観察でき
なくても崩壊物自体は本体物質より色が黄色であり、か
つ、高度に結合しているであろう。崩壊物は表面上に顕
微鏡で観察しうる(少なくとも10,000×、好ましくは2
0,000×)加工物を残す。ポリ(エチレンテレフタレー
ト)に関しては、融蝕はアセトンに実質的に可溶性表面
を生成させるが、好ましい準−非晶質表面はアセトンに
は溶解性ではない。
本発明を理解する上で、多くの用語および概念を正し
く認識すべきである。本発明による半結晶性ポリマーの
表面の処理は、表面に物質を付加したり、または表面か
ら物質を実質的に除去しない。残留溶剤または残留低分
子量反応体並びに添加物は、この処理の間気化される
が、10,000を超える分子量を有する準−非晶質化領域の
ポリマー物質本体においては、通常その0.1%未満また
は1%の(揮発状態への)分解および(または)気化し
か生じない。ポリマー表面の化学的変性(例えば、酸
化、鎖の破壊)は、全くないか最小である。工程の間、
気化する物質の有意量(例えば0.1%以上または1%か
さ重量)の生成はなく少量の鎖の破壊は起こる。
非晶質、結晶性、半結晶性および配向は、ポリマー物
質の説明に一般に使用される用語である。真の非晶質状
態は、ポリマー鎖のランダムにからみ合った素材である
と考えられる。非晶質ポリマーのX線回折図形は、規則
性のないポリマー構造の表示であるぼやけハロー(diff
use halo)である。非晶質ポリマーはガラス転位温度で
軟化挙動を示すが、真の溶融または一次転位ではない。
ポリマーの半結晶状態は、ポリマー鎖の長い断片が非
晶質および結晶状態または相の両者の中に現われる状態
である。結晶相は、鎖が構成されている各種の化学的部
分の隣接折返しに高度に規則性が存在する鎖折返し構造
をとるポリマー鎖の多数の格子から成る。格子内の充填
配置(短距離秩序配向)は、その化学的および構造的観
点の両者において極めて規則的である。半結晶性ポリマ
ーは、特徴のある融点を示し、これ以上の温度では結晶
格子は無秩序になり、かつ、急速にその一体性を失う。
半結晶性ポリマー(またはコポリマー)のX線回折図形
は、一般に、結晶秩序の性質の指標である同心円環また
はスポットの対称的列によって区別できる。
ポリマーの配向はポリマー組成物内におけるポリマー
鎖(長距離秩序)またはポリマー段片(鎖)の方向整列
である。本発明の実施において記述される準−非晶質状
態においては、結晶格子の全体の長距離秩序配向または
秩序化は見掛結晶配向中に残留している。しかし、鎖
(短距離秩序配向)に沿って相当の局部的の無秩序が存
在する。従って、準−非晶質形態は非晶質相の典型であ
る短距離秩序非配向または低配向を示すと同時に結晶構
造の典型である長距離秩序化を示す。これらの特徴は、
X線回折、分光顕微分光測光法、IRRAS、NMR、溶剤抽出
などのような単一分析方法、またはこれらの方法の組合
せによって観察および測定できる。
半結晶性ポリマーの表面は、該表面の限定された表面
の加熱および急速な冷却によってその準−非晶質形態に
転化される。ポリマー組成物の限定しうる深さが準−非
晶質状態に転換される。この転換を「非晶質化」と称す
る。表面からポリマー本体の下方に測定した非晶質化ポ
リマーの厚さは制御できる。ポリマーは通常、少なくと
も5nm好ましくは少なくとも10nm、さらに好ましくは少
なくとも40nmそして最も好ましくは少なくとも60nmの深
さを有する準−非晶質上部表面を有する。ポリマーの準
−非晶質相または表面の厚さ範囲は、物品の最終用途に
よって約5〜10,000nm、好ましくは10〜10,000nm、さら
に好ましくは20〜500nmまたは20〜100nmそして最も好ま
しくは20〜250nmである。
表面準−非晶質は、転換がその場所で行なわれるため
に半結晶性ポリマー本体にしっかり粘着している。準−
非晶質および半結晶性領域の間には識別できる漸進帯域
ができることがあるがこれはすべての場合にあてはまら
ない。すなわち、転移はポリマー内でで非常に急転す
る。
非晶質化された表面領域の部分は1%と小さくても若
干の有利な効果が認められる。一般には、これは表面の
少なくとも10%、好ましくは50〜100%である。さらに
好ましくは表面の少なくとも80%または90%〜100%が
準−非晶質であることである。これらの%は表面積%で
ある。
本発明の準−非晶質表面の製造工程を実施する際に、
光線または紫外線の波長および(または)ポリマー中の
吸収性染料は、ポリマー組成物が約5,000以上の吸光係
数を示すように選定すべきである。ポリマー組成物は、
別の表示で1/μm以上または5/μm以上の吸光係数のい
ずれかを示すべきである。一定波長での吸光係数が高け
れば輻射線の光路内にある有効表面層はうすくなり、こ
れに比例して形態学的転移、すなわち、「非晶質化」を
受ける表面層はうするなる。好ましい関心のある波長範
囲は、約180〜260nmの間であり、最高の吸光係数は比較
的短波長で現れる。照射の波長で少なくとも10,000の吸
光係数がポリマーによって示されることが好ましい。
紫外線を使用する場合(例えば、193nm)、ボリエス
テルフィルムが3〜25mJ/cm2/パルスのフルエンスに相
当するエネルギーを受けることが望ましい。3mJ/cm2/パ
ルス未満のフルエンスでは、輻射線の効果は容易に認め
られない。25mJ/cm2/パルス以上のフルエンスでは、光
分解の低分子量生成物の気化(例えば、オフ−ガス
化)、表面層の分子量の実質的な減少、および相当広範
囲の表面粗化のような、影響を受けた表面層が過度の損
傷を受けはじめる。
輻射線パルス持続時間、すなわち、パルス幅は、影響
を受ける表面層の急速な励起を確保するために10ナノセ
カンド〜100マイクロセカンドの範囲内であるべきであ
る。この方法の効率は、照射の間ポリマーを加熱するこ
とによって増加する。この温度は室温より高く、かつ、
ポリマーのTmより低くなければならない。例えば30℃以
上または40℃以上が好ましい。
パルス幅、吸光係数および放射強度の正味効果は特別
の種類の物理的原因により事象を生成させることにあ
る。第一に、そして程度は小さいが、吸収された輻射線
エネルギーが半結晶性ポリマーにランダムな結合の分断
を起こす光分解効果がある。この効果によって生ずるポ
リマー性質の損傷を最小にするために、本発明の実施に
おいてはこの影響を最小にすることが望ましい。実際
に、理想条件下での本発明の操作では、酸素:炭素比の
若干の減少はあるが、敏感な偏光解析法または赤外測定
では適正な放射条件の結果としての表面からの物質の如
何なる有意な損失も検出されないことが見出されてい
る。しかし、表面層は数平均分子量の約50%未満の減少
に現われるようにわずかの分解を受けうる。
第二の影響は、輻射線の光路中における表面層の熱的
励起の異常性の結果である。吸収された光エネルギーの
多くは熱に交換され、加熱サイクルは輻射線のパルス幅
に比例する。ポリマー組成物による吸光により入射エネ
ルギーの急速な減衰のため容積内に異常な熱勾配が生成
されるが、影響を受ける領域の大部分でポリマーの通常
の融点[例えばポリ(エチレンテレフタレート)では約
260℃]を超える瞬間的温度に到達することは確かであ
る。約10ナノセカンド〜100マイクロセカンドの範囲内
では熱サイクルはパルス幅に比例する。熱サイクルの後
の現象的関心事は冷却サイクルに起こる。影響を受ける
容積がうすい状態であり、かつ、表面および本体物質が
周囲空気(通常室温である)と接触するため、表面は恐
らくマイクロセカンド以内でガラス転移温度[例えばポ
リ(エチレンテレフタレート)ではこれは約75℃であ
る]に冷却されるものと考えられる。この温度以下にな
れば、ポリマー鎖配座は凍結される傾向にある。この異
常に短い熱サイクルを考察すると、ポリマー鎖で起こり
うる配座変化はこの短い時間の間は高度に拘束されたま
まであるが影響を受けた表面ではこの励起を受けてい
る。「クランクシャフト」型のような短いセグメント運
動は極めて短い弛緩時間を有し、従って、本発明の実施
において生ずる時間−温度方式内で容易に起こるものと
予想される。かような運動が実際に起こっていることの
確認は、例えばArFエクスサイマレーザーで半結晶性フ
ィルム[例えば、二軸延伸ポリ(エチレンテレフタレー
ト)]を照射して得られた表面層中に有意のトランス−
コーシュ−コンフォーマー転移(trans−to−gauche−c
onformer transformation)の存在を示すIRRAS分光分析
研究がある。
この型の配座変化には、わずか数個の炭素原子のみが
含まれるPET鎖の短いセグメントの回転を必要とする。
同様な考察によって、この時間−温度方式では結晶格子
内の既存の充填配置を大幅に変化させるであろう長距離
並進的並びに巨大連鎖セグメント回転運動の型式は排除
されるから影響を受ける表面層内の既存の微結晶または
結晶格子は何等の空間的再配置を受けることは殆んど起
こり得ないことを示す。従って、PETのパルスUV照射
(および適切な吸光係数を有する恐らくすべての半結晶
性ポリマーも)によって、ポリマー鎖が短セグメント長
さ上で高度に無秩序になっている励起前の鎖間およびこ
れらの鎖の長いセグメント長さ上に存在した長距離秩序
は実質的に保留されている独特の形態(すなわち、準−
非晶質)の表面層を有するポリマーが得られることは確
かである。実際に、熱的に結晶させたPETのうすいフィ
ルムのエクスサイマーレーザー処理では、元の結晶構造
はこのまま残っていることは前記の説明を確証するもの
である。
エクスサイマーレーザー輻射線によって生ずる実質的
なトランス−ゴウシュ−トランフォーマー転換は、微結
晶は近距離無秩序化を受けるが、比較的長距離三次元充
填秩序は実質的にそのまま残ることを示唆する短距離鎖
配座の無秩序化を明らかに示している。この表面は若干
の結晶の性質を有し、しかも主として非晶質的性質を示
すから該表面を準−非晶質状態と呼ぶのは前記の理由に
よる。
本発明の方法によって影響を受けたまたは転換された
(すなわち、影響を受けた)表面は、鎖折返し結晶格子
の隣接折返しにおける同じ化学的部分の高度に規則性成
分は大部分が破壊されているが、結晶格子の全体の三次
元構造は温存されているから準−非晶質状態であると定
義さる。輻射の結果として生ずる化学的無秩序化は、擬
−結晶状態に似た比較的長距離幾何学的秩序を保留して
いる非晶質状態の特徴である。この層または領域は、非
晶質の用語の古典的意味での全く非晶質または結晶性の
いずれでもない。本発明の実施において生成される準−
非晶質層または領域を論議する本明細書においてこれら
の領域は、これらの化学的性質が結晶性組成物よりむし
ろ非晶質組成物に似る傾向があるために準−非晶質層ま
たは領域と呼ぶ。しかし、前記および前記の準−非晶質
物質の項で説明したように非晶質と準−非晶質とは明確
に異なる。
準非晶質層は、半結晶性と非晶質との間にある状態で
ある。準非晶質は半結晶性状態より真の非晶質状態と区
別する方がはるかに困難であるが明瞭な区別をつけるこ
とができる。
準−非晶質は、もちろん半結晶性状態から形成されな
ければならない。半結晶性状態は、一軸性配向フィル
ム、二軸性配向フィルムまたは全般的に配向していない
微結晶(例えば、フィルム全体にランダムに分布されて
球顆状微結晶)を含有していてもよい。かような半結晶
性フィルムを本発明の方法によって準−非晶質形態に変
換したとき(一表面上のみの場合のように全体または一
部)、該準−非晶質領域はこれらが微結晶配向の潜在記
憶を保留しているであろうにとを除いては、非晶質に見
えるであろう。このことが真の非晶質状態との明瞭な区
別である。
例えば、配向フィルムは、フィルム中の各種の方向に
おける赤外線(例えば5,000〜16,000nmの間)の吸収に
関しては異方性を示すであろう。二軸延伸フィルムは、
フィルムの未配向厚さ寸法(例えばZ−軸)および配向
した長さおよび幅寸法(例えば、X−およびY軸)の間
でこの異方性を最も有意に示す。かような配向フィルム
を本発明によって真の非晶質フィルムに最も良く似た状
態に準−非晶質化したとき(例えば、全厚さまたは比較
的大きい厚さを、フィルムの融蝕なしに繰返し処理すれ
ば準−非晶質である)。しかし、この場合は元の半結晶
性ポリマーの異方性配向の現在記憶がその証拠となる微
結晶配向の潜在記憶をフィルムが保留しているであろう
から、該フィルムまたは層の真の非晶質でないであろ
う。再結晶化を促進させるために、この準−非晶質また
はフィルムを加熱したとき、そのフィルムまたは層は元
の微結晶分布を回復するであろう、または配向フィルム
の場合には、その異方性配向の少なくとも一部を回復す
るであろう。真の非晶質層を再加熱したときは、そのフ
ィルムの場合には異方性は発達しないであろう。
半結晶性ポリマーフィルムが、最初から全般的に非配
向微結晶を含有している場合には、準−非晶質層または
フィルムの再加熱は、かような微結晶配向が該層または
フィルムに戻るであろう。
本方法は、照射表面の限定された深さ以内で照射エネ
ルギーを吸収する半結晶性ポリマーにおいて行なわれ
る。このエネルギーは、ポリマーを溶融させるには十分
な強さおよび持続時間であるが、ポリマーを気化、有意
に化学的に変性または融蝕させるには不十分の強さおよ
び持続時間である。照射を停止したとき溶融ポリマーは
結晶化することなく急速に冷却される。溶融層は周囲空
気および隣接するポリマー本体温度が該層を冷却させる
のに十分に低いため溶融層の特別の冷却は通常行う必要
はない。比較的厚い層またはうすい層で急速冷却を行う
ことを所望ならば強制冷却も使用できる。
半結晶性ポリマーは、この工程において使用される照
射を吸収できなければならない。ポリマーの輻射線吸収
能力が大きければ、ポリマー表面へのこの方法の集中度
はそれだけ大きくなる。一般的に、ポリマーは表面の熱
的軟化または溶融を生ずるのに十分なエネルギーを吸収
すべきであるがポリマーの融触、過度の分解または気化
を生ずる程高い量の輻射線を吸収してはならない。例え
ば、輻射線が1Joule/cm2の率で適用されたとき、ポリマ
ーは1μの厚さのフィルムで少なくとも5%の入射輻射
線を吸収できる。輻射線の吸収は、ポリマーに輻射線吸
収性物質の添加によって促進できる。これらおよび他の
輻射線吸収性物質は、0.05重量%の低い量で若干の顕著
な効果を有するが、90重量%またはそれ以上の高い量で
も使用できる。例えば、顔料の改質用に使用されるポリ
マーは、これを顔料と組合せた後に処理できる。かよう
な輻射線吸収性添加剤の一般的に好ましい範囲は、0.1
〜50重量%であろう。
半結晶性ポリマーベース上の準−非晶質表面層は、
(i)ポリマー本体の性質を未変化のままで、これが表
面の化学的構造を実質的に変化させずに存在する、(i
i)これは半結晶性ポリマーより低い軟化温度をする、
この低い軟化温度によって本体フィルムが自己接着でき
る温度より低い温度で自己接着できる、(iii)これは
有機溶剤によって比較的容易に膨潤し、これによってそ
れ自体および他のコーティングまたはポリマーと高度の
接着からみ合いができる、(iv)制御された深さの非晶
質化は溶剤の浸透の深さを限定し、そのため、準−非晶
質層の下にある本体物質に及ぼす溶剤の影響を制限す
る、および(v)これは本体から表面まで段階的に減少
した屈折率を有するために独立である。
本発明の生成物は、従来技術の方法の生成物とは異な
る特徴および外観を有する。例えば、準−非晶質領域の
深さは少なくとも5nmであることは既に言及した。これ
は本方法の本来の結果である。真に非晶質表面に関する
Wuにより報告された前記に引用した研究では、非−結晶
化性フラクションを非常にうすい非晶質層を生成する表
面に強制的にすることによって生成させたものである。
これらの層の厚さは、決して3nm以上はなく、通常は2nm
未満である。これに加えて、この表面領域の化学的組成
は、表面に非−結晶化性フラクションが集中されている
ために本体ポリマーの化学組成とは大幅に異なる。この
従来技術現象によって製造された表面は、連携する半結
晶性本体ポリマーの重量平均分子量と50%以上異なる重
量平均分子量を有する。本発明の実施によって製造され
た表面は、表面準−非晶質の重量平均分子量と本体の半
結晶性ポリマーのそれとは50%未満の差しかないはずで
ある。
時々観察できるが、本発明の処理物品に特有である本
発明の処理物質の他の特徴は、表面準−非晶質層と半結
晶性本体ポリマーとの長距離分子配向間の類似性であ
る。ポリマー配向は、ポリマー鎖が統計的にまたはさら
に支配的にポリマー内で配向する程度に関係する。通常
は、半結晶性ポリマーが溶融されたとき、結晶および非
晶質内の配向はランダム化され、かつ、半結晶性ポリマ
ー中における配向とは著しく異なる。本発明の実施にお
ける非晶質化表面の観察では、準−非晶質層内の配向
は、半結晶性ポリマーの配向と同じままである。直交偏
光子下の顕微鏡検査では、準−非晶質層内の配向は半結
晶性ポリマーの配向と同じか肉眼観察では区別できない
程度である。屈折率、赤外吸収スペクトルおよび溶解度
のような準−非晶質層の物理的性質は、この層が実際に
部分的に非晶質状態にあることを明らかに示している。
ポリマー表面のコロナ放電処理では、表面を必ずしも
非晶質にはせず、ポリマー表面を酸化する。コロナ処理
はその最も有意な酸化効果を約2nmの深さまで及ぼす傾
向がある。コロナ処理は、放電が行なわれる環境との反
応の結果としてポリマーに官能基を付与する。例えば、
カルボキシル基、フェノール基、ヒドロキシ基、カルボ
ニル基およびアミド基のような官能基がコロナ処理によ
ってポリマーに付加される。これらの基は本発明の方法
の直接生成物ではない。本発明の非晶質表面のコロナ処
理によってかような官能基が生成されるであろう。そし
て、必ずしも表面を結晶化させないであろう。コロナ処
理はまたその表面にそれらの新しい化学物質が形成され
るために光学濃度も変化させる。本体ポリマーと比較す
ると表面層の光学濃度は、電磁スペクトルの可視部分の
50nm域内(特に、黄色域で)0.2増加するであろう。
コロナ放電並びに火炎処理の両者は、処理される表面
領域におけるポリマーの化学組成を著しく変性させる。
コロナ放電はポリマーを分解または架橋させ本体ポリマ
ーより低いまたは高い架橋結合密度を表面に生成させる
傾向がある。本発明の物品はコロナ放電のような追加処
理をしなければ、本体ポリマー域におけるとほぼ同じ架
橋結合密度を非晶質表面において有するであろう。架橋
結合密度のこの変化は、再結晶化傾向または能力の減少
した状態で表面層においても観察できる。プラズマ、イ
オン移植処理は、コロナ放電によって生成されるのと同
様な架橋結合密度に影響を及ぼす。
ポリマー表面の火炎処理(U.S.P.No.4,568,632に報告
されているような)は、本発明の方法よりはるかに破壊
的、かつ、化学組成を変化させる方法である。上記の特
許には処理の間表面からの物質の融蝕を記載している。
これは恐らく蒸発、酸化、ポリマー鎖切断および他の破
壊的工程の組合せ結果であろう。この方法は上記のよう
な官能基の形成を生じ、恐らく約2nmの深さまで表面上
のポリマーの分子量および化学組成に相当全体的の変化
を起こすであろう。現在実施されている火炎処理も表面
層の化学組成の変化による表面上のポリマーの光学濃度
を変えさせる。光学濃度のこの変化は少なくとも約0.2
である。本発明の実施において、表面上に生成された準
−非晶質層は、0.1以内、好ましくは0.08以内、さらに
好ましくは0.05以内、そして最も好ましくは本体ポリマ
ーの0.03単位以内の光学濃度を有する。追加処理(例え
ば、コロナ放電または染料もしくは顔料による着色)
も、この値を変化させるのにもちろん使用できる。しか
し、準−非晶質層と本体層間に差をつけて分布させた染
料または顔料の不存在下でも、光学濃度は殆どまたは全
く相異がない。
本発明の好ましいフルエンス範囲内では、最も顕著な
結果は、輻射線の光路内にあり、そしてポリマーの表面
で始まる表面層内のポリマーの新規の形態学的状態(す
なわち、準−非晶質、無配向または配向ガラス)であ
る。この形態学的転化はO/C比の減少によって立証され
るような極めて緩和な分解である(XPS分析および溶剤
抽出データ)。赤外および偏光解析測定によって重量損
失が検出できなかったことはガス発生が最大でも微小で
あることを示している。同様に、IRRASスペクトルでは
“化学的変化ではなく形態学的変化”の証拠だけが示さ
れた。O/C比の変化は、酸素原子/炭素原子比が増加す
る火炎処理またはコロナ放電で起こる変化とは全く異な
る。この増加は非常に小さいが、大部分の完全処理では
前記の比に約0.1または0.2の変化がある。本発明の準−
非晶質層においてO/C比は本体ポリマーより実質的に減
少する。
本発明によって生成された表面層の顕著な特徴は;
(i)その変化しないテキスチャー;(ii)その変化し
ない光学吸収または散乱特性および(iii)そのなお評
価できる分子量である。これらの特徴の各々は非常に重
要である。例えば、フィルム粗さは達成できる記録情報
の最終密度の限定因子になりうるから磁気媒体用の基体
においてフィルム粗さは非常に有害である。これに対し
てフィルムの黄化または散乱(すなわち、曇り)は、フ
ィルムがX線フィルムのような画像用製品の製造の支持
体として使用される場合は許容できない。最後に、表面
準−非晶質中における低分子量オリゴマー生成物の大部
分が不存在であることは、固有の接着力の悪さまたはコ
ーティング/フィルム界面に存在する弱い境界層に由来
する耐溶剤性によってこの後に適用される機能コーティ
ングができない状態が避けられる。
ポリマーの準−非晶質表面はまた、表面の反射率を減
少させる。正常の、平滑な非被覆ポリマーフィルムは、
10%またはそれ以上の反射率を有するであろう。高度に
テキスチャー化されたポリマー表面はこの反射率を減少
させうるが、走査電子顕微鏡を使用し、10,000×倍率で
容易に見ることができるテキスチャーのない表面である
平滑な表面にはならない。本発明のポリマーフィルム
は、80〜90゜入射角での550nm光に対して9%またはそ
れ以下の反射率を有する平滑な表面が得られる。これは
実施例に明瞭に示されている。
本発明の方法は、局所的形態的意味でポリマー表面を
改質しない傾向を有する。非晶化の前および後の物理的
表面構造は、本発明の実施においては同じ傾向である。
高度の粗さを有する表面は、その外観が若干軟化する
が、依然として粗い表面のままである。平滑な表面はそ
れらの表面上に特徴がないことに関しては実質的に未変
化であろう。火炎処理はこの処理によって表面特徴を著
しく改質させる。
本発明の製造方法は、真空を必要とせず、表面との接
触を必要とせず、処理ポリマーに再循環性の薬品添加を
必要とせず、かつ、公知の環境問題もないため、スパッ
ターエッチ、コロナ、火炎および溶剤のような表面改質
の従来方法にまさる進歩である。
ポリマーフィルムの表面特性は産業にとって非常に重
要である。これらの特性は、接着力、摩擦係数、光学特
性、潤湿性および遮断性である。これらの所望特性を得
るためのポリマー表面の改質は、多数の異なる方法によ
って既に実現されている。これらの従来技術法の多くは
しかし、製品に対して不利な影響を有する。酸、アミ
ン、苛性アルカリ、フェノールまたは非反応性液体(す
なわち、溶剤)のようなさらに伝統的な「ウェットケミ
カル」(Wet Chemical)改質方法は、フィルムおよび繊
維の「湿潤適正」および「接着適正」を促進させるため
に成功裡に使用されてきた。これらの化学的処理は、ポ
リマーを一時的に膨潤させることができ、その結果比較
的反応性の表面が得られる。薬品の蒸発によってこの膨
潤はなくなる。かような処理によるこれらの物理的結果
は、新しい物質の添加、新しい物質が現われるまで表面
を下方に破壊する。これはまた比較的低分子量ポリマー
鎖を表面に生ずることになり、また表面上の分子の架橋
によって表面の化学的改質も得られる。
本発明のフィルムは、ヒートシール、遮断層、キャリ
ヤー層、改良された表面接着、摩擦性の制御および光学
透明性の各種の領域におけるポリマーフィルムの使用の
改良のためにも使用できる。
ポリマー物質の取扱い、操作または加工においてしば
しば起こる一つの問題は、フィルム表面間に存在する比
較的大きな摩擦係数である。二軸延伸ポリ(エチレンテ
レフタレート)は、商用及び製造用に広く使用されてい
るフィルム材料であり、かつ、隣接シートまたはプライ
間の過度の摩擦係数に関して問題があることは良く認識
されている。ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)
支持体を使用する画像用物質の取扱いおよび加工のよう
な多くの用途において、フィルム間に潤滑剤(乾式また
は湿式のいずれかの)の使用は望ましくない。隣接フィ
ルム間の抗力は自動式または手作業においてすら、シー
トの多重供給、シートの部分供給、およびシートのゆが
み供給のような問題を起こす可能性がある。この問題
は、いわゆる内部スリップ剤または潤滑用添加剤のいず
れも含有しないPETフィルムの巻取りの間に容易に現わ
れる。隣接プライの自己接着は、巻戻し操作においてこ
れらのプライを分離するのに大きな力を要し、かつ、こ
の力は特にうすいケージフィルムの場合には、しはしば
不適格になる程のフィルム破損を生ずるのに十分に大き
い。さらに、めんどうなフィルム取扱いおよび処理を避
けるために、静的およびすべり摩擦係数は望ましくは0.
8未満、好ましくは0.6未満であることが確立されてい
る。
摩擦係数のこの問題の標準解決法の一つは、いわゆる
内部スリップ剤を使用してフィルム内に粒子を配合する
ことである。これらの粒子の存在(通常、ポリマーの0.
1〜3重量%)は、フィルム表面を粗くし、かつ、静摩
擦係数を約0.3〜0.5の範囲内に減少させる。この方法は
多年にわたって使用されているが、この実施方法には重
要な欠点がある。この方法によってフィルム価格が増加
するのみならず、光の散乱効果によるフィルム透明度の
減少並びにフィルムの表面中の粒子の多数の突出によっ
て生ずる増加された粗さはしばしば不利益となる。
半結晶性ポリマーは開示された方法のように処理し
て、その物質の表面上に非晶質、準−非晶質または融蝕
ポリマーを生成させる。次いで、この処理表面を、
(i)表面ポリマー層のTgを減少させて該層内に結晶化
を起こさせる、または(ii)準−非晶質層を溶解させて
下層の半結晶性ポリマーを露出させるのいずれかが可能
な物質に暴露させる。照射によって生成する層の寸法
(厚さ)を制御することによって、微結晶の生長が起っ
たとき、光学的に望ましくない大きい球晶が生成しない
ように微結晶の生長が制御される。前記の表面上の結晶
状態は、そのポリマーの正常な表面と比較して表面の静
並び動摩擦係数も減少させる。
本発明の実施において有用な表面は、すべて準−非晶
質領域に含まれる。好ましい態様においてはこの領域
は、表面で始まり、全上部表面および領域(不連続の場
合は)が含まれる。他の有用な態様においては、準−非
晶質領域はU.S.P.No.4,417,948、R.SrinivasanおよびS.
Lazare.によるPolymer、1985年、Vol.26.Aug.1297〜130
0頁の「Modification of Polymer Surfaces by Far−Ul
traviolet Radiation of Low and high(laser)Intens
ities」およびR.SrinivasanおよびW.J.Leigh、J.Am.Che
m.Soc.1982.104.6784〜6785頁の「Ablative Photode Co
mposition」に記載されている融蝕法によって生成され
るような高度にテキスチャー化されたまたは化学的に改
質された構造の直下またはその一部でもよい。これら引
例による有用な表面は、その表面特性は大幅に変化しう
る。これらの表面は、ポリマー分解崩壊物の下に準−非
晶質ポリマーの帯域または領域および(または)融蝕表
面領域を含有する。この融蝕法のすべての生成物は、本
体ポリマー中に存在する大きい濃度でその表面上に有
意、かつ測定可能量のポリマー分解崩壊物を有するであ
ろう。この崩壊物はカルボキシル基、ヒドロキシル基、
低分子量ポリマーまたは成分などの形態である。これら
の引例で好まれるような苛酷な融蝕法に処せられたポリ
マーは、本体領域のポリマーと同じかそれより低いポリ
マー分子量を有する有意にミクロ構造化した表面を有
し、該表面では本体ポリマーよりも低い酸素/炭素比を
示す。ピーク間の周期性は、典型的には平均300〜4000n
mの間であり、そして、ミクロテキスチャー化特徴の平
均高さ(谷からピークまで)は、通常、200〜4000nmの
間である。これらの物質並びに表面で始まる準−非晶質
領域を有し、ポリマー分解崩壊物を実質的に含まない好
ましい構造は、少なくとも5nmの深さ準−非晶質領域を
有する層の記述の中に含まれる。
上記した残留崩壊物は、本体ポリマーよりも酸素/炭
素比の低い有機物質であろう。存在する量が肉眼で観察
されなくても、崩壊物自体は本体ポリマーより色が黄色
であり、かつ、高度に共役している。崩壊物は単にテキ
スチャー化するだけでなく、崩壊物として認めることが
できる表面上の顕微鏡(少なくとも10,000×、好ましく
は20,000×)で観察できる加工物として残る傾向があ
る。ポリエチレンテレフタレートに関しては、融蝕はア
セトン中に実質的に可溶性の表面を生成させるが、好ま
しい準−非晶質表面層はアセトン中に溶解しない。
好ましい結晶化法の本質は、ポリマーの非晶質、準−
非晶質または融蝕層から成る少なくとも一表面を有する
半結晶性ポリマーのフィルムを先づ用意することであ
る。次いで、非晶質ポリマーを含有する表面を、層を含
有する準−非晶質または非晶質ポリマーのTgをポリマー
物質の周囲温度(内部温度)より低く低下させる物質
(例えば、浸透剤、溶剤、膨潤剤など)に暴露する。Tg
−低下性物質自体が除去される(蒸発)かまたは表面層
から除去される(浸出)と、該層内で結晶化が起こる。
この層中における微結晶の寸法は、元の層の厚さを1,00
0nm未満に保持することによって制御できる。この工程
の間に形成される結晶性表面のテキスチャーおよび形態
がポリマー表面の摩擦係数を減少させる。表面特徴の寸
法を、500nm未満、特別には400nm未満に抑えることによ
って光散乱、曇り、およびぼけ(blurring)も減少また
は無くすことができる。正常な環境では、非晶質ポリマ
ー中における溶媒に誘導された結晶化は、可視光を散乱
させるのに十分な寸法の球晶の生長を生ずる。この現象
は本発明にはあてはまらない。また、本発明の方法にお
いて結晶化が起こるときは、表面テキスチャー中には肉
眼で観察しうる(すなわち、100×)変化を伴わない。
溶解法の本質は、準−非晶質物質の若干または全部を
除去して下にある半結晶性ポリマーを露出させることで
ある。
浸透剤処理によって製造されたポリマー物品は、少な
くともその一表面上に本体ポリマーとは結晶分布の異な
る同じポリマーの少なくとも5nmおよび500nm未満の領域
であって0.8未満の動摩擦係数を有する領域を有する半
結晶性ポリマーから成る。
限定された深さだけの非晶質、準−非晶質または融蝕
ポリマーを有するポリマーフィルムの使用は、フィルム
中における光学透明性の保持が不可欠である。完全に結
晶化可能な非晶質ポリマー物質を本発明の方法に処した
場合には、大きい球晶が形成され、フィルムの表面に曇
りを生ずる。
本発明の独特な準−非晶質物質および方法の利用は、
表面粗さを減少させるための他の公知の方法に比較して
他の利点がある。フィルムの透明姓を維持しながら、こ
の方法では完全配向フィルムを使用でき、かつ、この処
理は低分子量物質の表面への移動、本体ポリマーおよび
表面の性質を変化させない。
表面に付与される動および動摩擦係数は、0.8未満、
好ましくは、0.7未満、さらに好ましくは0.6未満そして
通常は0.40〜0.6の範囲内またはそれ以上である。
PETフィルムが広く使用される2種の主要な用途は、
写真または画像用フィルムおよび磁気記録媒体の支持体
としてである。画像用フィルムの場合には、内部スリッ
プ剤はフィルムに過度の曇りを付与するのでこの使用は
完全に避けることがしばしば必要である。この場合に
は、巻取りおよび巻戻しの間フィルムのプライの分離に
役立つフィルムの厚い縁を付与する模様の刻目を付ける
のが普通である。空気間隙を含ませることはかようなフ
ィルムの取扱いを容易にする。しかし、この刻目方法は
比較的厚いフィルム、すなわち約50μmを超える最終ゲ
ージを有するフィルムへの使用に限定される。
典型的には8〜20μmの間の厚さで変化する磁気ビデ
オテープのようなうすいフィルムの場合には、内部スリ
ップ剤に代る適当なものがない。この場合これらのスリ
ップ粒子が付与する表面粗さは、フィルムの単位面積当
り貯えうる記録情報密度の限定因子になるため不都合で
ある。さらに、スリップ剤の使用を含むフィルム製造コ
ストの増加および押出す前にPET溶融物から凝集塊の除
去に使用されるフイルターの寿命を短縮させるためスリ
ップ剤の使用は不都合である。
本発明の方法では、少なくとも二つの点で独特である
PETフィルムの新規の形態が提供される。これはフィル
ムが実質的に曇りがなく、極めて平滑な表面を有し、し
かも、その製造の間およびその後の使用の間加工が容易
なように十分に低い摩擦係数を有する二軸延伸形態で提
供できる。本発明の方法によって処理されたPETフィル
ムの表面はまた、顕著な粘着特性を有する。すなわち、
感圧接着剤コーテイング、磁気コーテイング、画像コー
テイングなどの有用な機能コーテイングにおいて、通常
必要とされる任意の介在する接着促進用薬品または物質
的処理の手段を要せず直接適用できるという、すぐれた
接着特性が得られる。
本発明のPETフィルムは2工程法で製造される。第1
工程は、好ましくは正規の延伸の間広範囲に結晶化させ
た二軸延伸PETであり、そして、ヒートセット工程では
うすいフィルム層を有効に「非晶化」させる条件下での
パルスUV線に処する。
第2工程には、非晶質化表面層を、非晶質PETの半結
晶性状態への転移を誘導するのに有効なことが公知の液
体または気体浸透剤のいずれかでの処理が含まれる。
PETフィルム表面層がこれらの工程の各々で受ける形
態的転移の性質を以下にさらに完全に論議する。
本発明の第2工程には、影響を受けた表面層を、ポリ
マーの非晶質層を正常に半結晶性ポリマーに転移させる
浸透剤への暴露を含む。この転移はポリマーのTgを室温
より低くしそれによって鎖が結晶化するのに十分に易動
的にする浸透剤によるポリマーの膨潤によって誘発され
る。常態で非晶質のポリ(エチレンテレフタレート)の
25℃での結晶化を誘発する多数の溶剤および浸透剤は、
従来技術において公知である。この結晶化の機構並びに
有用な物質の広範な表面、A.B.DesaiおよびG.L.Wilkes
によりPolymer Symposia 46,291,Interscience、1974に
記載されている。結晶性ポリマーが非晶質のときは、Tg
より高い熱アニールに反応して結晶化することは公知で
ある。レプリカ表面の32,000倍での透過電子顕微鏡写真
は、レーザー処理PETの本質的に特徴のない表面のテキ
スチャーは210℃で30分アニールしたときラメラ(lamel
lar)結晶性を示唆するテキスチャーに転移することを
示している。IRRAS分光分析によって、短距離無秩序ゴ
ーシュコンフォーマーからトランス状態に殆んど完全転
化されるため結晶化が起ったことが確認された(熱的に
再結晶させたフィルムは非ヒートシール性が見出され
た)。
活性浸透剤の非晶質化層に及ぼす影響は、驚くほど全
く不同であることが見出された。レーザー処理PETをア
セトン、メチレンクロライドまたはクロロホルム中に浸
漬し、次いで乾燥して、滑り易い表面、すなわち、受入
れられる低い滑り摩擦係数を有するフィルムを有効に生
成する。しかし、発明者等はメチレンクロライドおよび
クロロホルムの両者は、全部ではないが大部分の影響を
受けた層を溶解させ、これら処理表面の複製表面は全く
結節状テキスチャーを示すことを見出した。かようにこ
れらの特定の溶剤は影響を受けた表面層を本質的に除去
し、そして、大部分が影響を受けてない下層の本体ポリ
マーを明らかに現わしている。これに反して、アセトン
処理では、測定しうる量の物質が溶解されないことが見
出された。明らかにアセトンは非晶質化表面層に単に再
結晶化を起こさせるだけであり、かように処理した32,0
00×での顕微鏡写真では、顕著な、微細の、規則的に網
状になったテキスチャーが示される。
本発明によって、ポリマーによって強く吸収され、か
つ、非晶質化層を生ずるのに十分な強さおよびフルエン
スを有する輻射線によるポリマーの照射によって形成さ
れた半結晶性ポリマー上の独特の非晶質化表面層または
表面領域が提供される。例えば、可塑剤遮断層として接
着剤物質を前記の層に結合させるか、有機ポリマー層を
前記の非晶質化層を接着させる。半結晶性ポリマー表面
を、強力なショートパルスUVエクスサイマーレーザーま
たはショートパルス持続強力フラッシュランプのような
化学線によって新規の組成物に転化させた。この表面
は、溶剤または熱ラミネーションのいずれかで適用し
て、コロナ放電またはプラズマライミングによって処理
した表面に比較して接着剤に対する改良された層感密着
力を示した。
本発明の最終生成物は、多数の異なる方法で製造でき
る。接着剤は準−非晶質表面上に直接被覆できるまたは
剥離層上に被覆し、そして、準−非晶質層をこれに貼合
せる。半結晶性ポリマー層内の移行性成分(UV吸収剤、
可塑剤、帯電防止剤、染料などのような)に対して好ま
しくは透過性の小さい第二有機ポリマー層を前記の準−
非晶質層上に被覆し、そして、接着剤をその第二層上に
被覆することができる。あるいはまた、接着剤を剥離層
またはキャリヤーシート上に被覆し、第二の有機ポリマ
ー層を接着剤に被覆または貼合せ、そして、準−非晶質
層を第二ポリマー層に貼合せることもできる。
感圧接着剤は、標準部類の材料として認められる技術
である。これらは乾燥(残留溶剤を除いて実質的に無溶
剤)形態では室温(例えば15〜25℃)で強力、かつ、永
久的に粘着性であり、手の圧より以上を要することなく
単に接触させるだけで各種の異なる表面に強固に接着す
る。これらは紙、セロファン、ガラス、木材および金属
に対して強い接着剤保持力を発揮させるために、水、溶
剤または熱による活性化を必要としない。これらは十分
に凝集保持性および弾性を有するため、これらの乾燥粘
着性があるにも拘らず指で取扱うことができ、かつ、実
質的残留物を残すことなく平滑表面から除去できる(Te
st methods for Pressure−Sensitive Tapes.6th.Ed.Pr
essure Sensitive Council、1953参照)。感圧接着剤お
よびテープは周知であり、かような接着剤に所望される
性質の広い範囲およびバランスは十分に分析されている
(U.S.P.No.4,374,883:およびTreatise on Adhesin and
Adhesives Vol.2‘Pressure Sensitive Adhesive、「M
aterial」R.I.Patrick,Ed.Macel Dekker.Inc.N.Y.1969
を参照)。感圧接着剤として有用な各種の物質および組
成物は商業的に入手でき、かつ、文献に完全に論議され
ている。(例えば、HauwinkおよびSalomon.Adhesion an
d Adhesives、Elsevier Publ.Co.Amsterdam.Netherlan
d.1967:Handbook of Pressure−Sensitive Adhesive Te
chnology,Donates Satas,Ed.Van Nostr and Reinhold C
o.N.Y.1982)。
感圧接着剤は、ゴム−樹脂物質、アクリル樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などから化学的に構成さ
れている。感圧接着剤配合物の組成および改良が記載さ
れている各種の特許文献の中には、U.S.RE.P.No.24,90
6;U.S.2,652,351;U.S.3,740,366;U.S.3,299,010;U.S.3,
770,708;U.S.3,701,758;U.S.3,922,464;U.S.3,931,087;
U.S.4,012,560;U.S.4,077,926;U.S.4,387,172;U.S.4,41
8,120;U.S.4,629,663などがある。ゴム樹脂、アクリ
ル、シリコーンおよびポリウレタン感圧接着剤並びに任
意の他の感圧接着剤、熱活性化剤、溶剤活性化性または
水活性化性接着剤が本発明において一般的に有用であ
る。
本発明によって、半結晶性ポリマー上に少なくとも一
つの非晶質化表面を有する少なくとも1種のフィルムの
ヒートシール方法が提供される。この表面は好ましくは
ポリマーによって強く吸収され、かつ、かような非晶質
化層を生ずるのに十分な強さ並びにフルエンスを有する
輻射線によるポリマーの照射によって形成される。半結
晶性ポリマー表面は、強力なショートパルスUVエクスサ
イマーレーザーまたはショートパルス持続、強力UVフラ
ッシュランプのような輻射線により新規の形態状態に変
えられる。
本発明のヒートシール方法は、(i)一つの表面が半
結晶性ポリマーから成り、その接触表面は準−非晶質状
態にある同じポリマーの領域を有し、該領域は少なくと
も5nmの深さを有する2種の表面を互いに接触させて置
き、そして(ii)それらの間で結合を生ずるように前記
の2種類の表面に接触域を十分に加熱することから成
る。使用する温度は、もちろん、異なる軟化、融解また
は溶融温度を有する使用する各ポリマーに依存する。前
記の温度は100℃と低い場合もあるが、最低温度が110〜
120℃がさらに一般的である。界面での温度は、ポリマ
ーを分解させる温度(一般には400℃以下)または半結
晶性構造または配向を破壊する温度(一般に300℃以
下)より低くなくてはならない。
ヒートシールの間これらの表面を緊密に接触を保つよ
うに工程の間圧力はもちろん望ましい。これは定盤また
はローラーなどで行える。少なくとも5g/cm2程度の圧力
が望ましく、少なくとも10g/cm2または50g/cm2の圧力が
さらに好ましい。
画像形成に使用されるポリマーの準−非晶質表面は、
光学濃度を有する物質または組成物が接着されている。
「光学濃度」とは410〜1000nm、好ましくは410〜780nm
の間の波長内の輻射線が測定しうる量で物質または組成
物によって吸収されることを示す。分光々度計で測定し
て、表面に適用される物質の光学濃度は、少なくとも0.
2のDmax、好ましくは少なくとも0.5さらに好ましくは少
なくとも0.8、そして最も好ましくは少なくとも1.0また
は少なくとも2.0であるべきである。
光学濃度を有する物質または組成物は、例えば、染
料、顔料、ペイント、ステイン、ワニス、トーナー、イ
ンキなどが含まれる。これらは任意の公知の各種の方法
で適用できる。例えば染料および顔料は、直接表面上に
蒸着させるか、パインダー組成物または溶剤中に加え
る。ペイントおよびインキは、ブラシュ、グラビヤプレ
ート、平版印刷プレート、吹付け、ジェット、静電塗装
などで適用できる。
本発明によって、ポリマー組成物によって強く吸収さ
れ、かつ、非晶質化層を生ずるのに十分な強さ並びにフ
ルエンスを有する輻射線によって該ポリマーを照射する
ことによって形成された可塑化半結晶性ポリマー,特に
ポリ(ビニルクロライド)ポリマー(PCV)上の非晶化
表面層または領域が提供される。この非晶質化は、表面
を真の非晶質にすることによって、U.S.P.Nos.4,568,63
2および4,417,948に示された融蝕法によって、または本
明細書に記載の新規、かつ、独特の方法によって達成で
きる。半結晶性ポリマー表面は、強力なショートパルス
UVエキスサイマーレーザー、またはショートパルス持続
強力UVフラッシュランプのような化学線によってこのよ
うな新規の形態状態に変えられる。前記物品の非晶質化
表面は、ポリウレタンまたはポリアクリレートフィルム
のような遮壁を形成する物質で被覆される。
ポリマー物質中に含まれ、かつ、本体ポリマー中に移
行する傾向のある典型的な機能物質には、可塑剤、潤滑
剤、コーティング助剤、界面活性剤、酸化防止剤、輻射
線(例えば紫外線)吸収剤、安定剤などが含まれる。こ
れらが含有されているポリマーの表面に移行する傾向が
あるこれらの物質は、本発明によって「移行性」物質と
呼ばれる。これらの物質の若干の例を下記に挙げる。
比較的良く知られている可塑剤および柔軟剤の中に
は、トール油脂肪酸、フェノール樹脂、植物油、ジプロ
ピレングリコール、ジベンゾエート、パラフィン系石
油、ブチルオレエート、ブチルステアレート、芳香族炭
化水素油、硫黄反応植物油、ナフテン系石油、クマロン
−インデン樹脂、ナフタレートエステル、ポリエステ
ル、シリケートブレンド、有機ホスフェート、ウッドロ
ジン、エポキシ化植物油、パインタール、およびトリメ
リテートが含まれる。潤滑剤としては、パラフィンワッ
クス、ステアレート、シリコーン、ポリアルキレングリ
コール、およびポリテトラフルオロエチレンがある。周
知の化学および熱安定剤には、亜鉛有機錯体、バリウ
ム、カドミウム錯体、有機錫化合物、ホスファイト、フ
ェノール樹脂、臭素化有機化合物、鉛ホスファイト、脂
肪エステル、エポキシ化植物油およびホスフェートが含
まれる。酸化防止剤および抑制剤には、高度官能化ヒン
ダードフェノール、アルキル化ジフェニルアミン、アル
キル化−アリール化ビスフェノールホスファイト、ポリ
マー状フェノール官能化キノリン、マイクロクリスタル
ワックス、アルキル化キノリン、アルキル化チオジプロ
ピオネート、フェノールアミン、およびヒンダードチオ
ビスフェノールが含まれる。これらは、もちろん、ポリ
マー組成物中に含まれて有用であることが当業界で公知
の多数の移行性物の異なる種類の一例にすぎない。通
常、これらの物質は、ポリマー組成物の少なくとも0.5
重量%として存在する。多数の物質は、ポリマー組成物
の少なくとも1%、好ましくは2重量%の量で存在し、
ポリマー組成物の20〜25重量%までの濃度で使用され
る。
PVCフィルムの表面の非晶質化は、ポリマー物質に対
するその接着性を著しく改善する。他の物質に対する接
着性が不良であると称されているポリマー(例えば、ポ
リテトラフルオロエチレン)を除いて殆んどすべてのポ
リマー物質は、熱および圧力の適用によって処理表面上
に極めて強力に接着する。フィルムとして張合せるか、
ホットメルト接着剤として押出すか、溶剤被覆のいずれ
でも実質的にすべてのポリマー物質は、未処理PVCより
さらに強力に処理PVC表面上に接着する。PVC組成物自体
よりPVCフィルム中において可塑剤の移行性の少ない任
意のポリマーが、可塑剤移行を減少させるために使用で
きる。実施例44に記載の溶液および条件下において、20
重量%の可塑剤を含有する物質の8μフィルムが16時間
で10重量%より少ない可塑剤の損失であれば、そのフィ
ルムは同じ寸法のPVCフィルムより可塑剤による浸透性
が少ない。若し可塑剤の浸透性をPVCと比較するために
用いられるポリマーが、可塑剤を含むことができない
(例えば、可塑剤が不溶性または不混和性のような)場
合には、低い可塑剤量を有するPVC被覆層と前記ポリマ
ーの被覆層とを比較することによって浸透性の低さを測
定(比較)できる。これらの両被覆層を、少なくとも20
重量%の可塑剤を有するPVCフィルム上に置く。この低
い可塑剤量を有するPVC被覆層によって失われた可塑剤
量の90%未満しか可塑剤を失なっていない被覆層が浸透
性の少ないポリマーである。
選択するコーティングポリマーは、ポリ(アクリル)
ポリマーおよびポリウレタンポリマーである。式 (式中、RはHまたはCH3である)の単位を有する部分
から誘導される単位を少なくとも25モル%含有する任意
のポリマーはアクリル系物質である。この用語の中に
は、明らかにアクリルおよびメタクリルポリマーおよび
コポリマーが包含される。アクリロイルおよびメタクリ
ロイルモノマーの例は、アクリル酸、メタクリル酸、無
水アクリル酸、エチルアクリレート、n−ブチルアクリ
レート、n−ブチルメタクリレート、イソオクチルアク
リレート、ドデシルメタクリレートおよびエチレングリ
コールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタ
クリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネ
オペンチルジメタクリレート、ヘキシレングリコールジ
メタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレー
ト、トリエチエングリコールジメタクリレート、テトラ
エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレング
リコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリ
メタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリ
レート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、
トリメチロールプロパンモノココナッツオイレートジメ
タクリレート、2,2′ビス(4−メタクリロキシジエト
キジフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリ
レート、ブチレングリコールジアクリレート、ネオペン
チルグリコールジアクリレート、プロピレングリコール
ジアクリレート、ヘキシレングリコールジアクリレー
ト、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレ
ングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコー
ルジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレ
ート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,
2′ビス(4−アクロイルプロピロキシフェニル)プロ
パン、2,2′ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニ
ル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメ
チロールメタントリアクリレートおよびテトラメチロー
ルメタンテトラアクリレートのような多官能性アクリレ
ートである。これらのアクリル系物質そして特にアクリ
ルエステルは、アクリル基と共重合性であることが知ら
れているフェノール、グリコール、ポリグリコールなど
のようなすべてのコモノマーと共重合できる。
支持体上のコーティングは、しばしば、2種のポリマ
ー物質間で実際にグラフトする。すなわち、相当の量の
化学結合がコーティングと非晶質との間で実際に生ず
る。このことは、共重合性組成物が非晶質層の表面上で
重合または硬化して抗移行性コーティングを形成する場
合に特にあてはまる。
ポリウレタンは有機ポリイソシアネートと有機ポリヒ
ドロキシル化合物との間の反応生成物として形成される
物質である。これらの物質は当業界において周知であ
る。ポリウレタンおよびそれらの化学的組成に関するす
ぐれた記述は、U.S.P.No.3,808,162に見出される。
本発明の実施のこの特徴によって遮断層で処理された
ポリマー表面は、接着剤特に、感圧接着剤で有利にさら
に被覆できる。もちろん、接着層は本発明によって処理
されたフィルムまたはシート上で最良に使用されるであ
ろう。接着剤は、フィルムまたはシートの裏側に適用し
て露出した遮断層を有するテープを供給することもでき
る。しかし、接着剤を遮断層に適用するのが最も好まし
い。この方法では、フィルムまたはシートと接着剤との
間の成分の移行を減少させる。可塑剤などのフィルムま
たはシートから接着剤への移行は接着性の性質を大巾に
変化させるから上記のことは感圧接着テープにおいて特
に重要である。接着力の増加または減少、接着剤の凝集
性の変質、ベースに対する接着剤の接着剤の変化のいず
れかの性質の変化は望ましくない。
感圧接着剤は材料の標準部類として認められ、かつ、
上記に定義したような技術である。
環境および完全論争に関する関心の増加に伴い、産業
は多数の非−化学的表面改質法に注目するようになっ
た。コロナ、プラズマ、スパッターエッチ、E−ビー
ム、熱UVおよびレーザーによる処理のような代替技術が
ポリマーの表面性の改質に使用されてきた。これらの処
理のすべてはポリマー表面に相当大きい影響を与える。
E−ビームおよび熱を除いては、各処理は物質除去によ
って生ずる粗い表面になり、かつ、これら処理法のすべ
ては湿式化学処理の変化に非常に類似の表面に実質的に
化学的に改質する結果となる。これらの処理法のうちで
新しい表面化学性を有意に生成せずにポリマーの結晶性
に影響を及ぼす処理方法はない。第1に各処理方法がポ
リマー表面に及ぼす影響を要約する。
ポリマーは、一般に半結晶性か非晶質のいずれかであ
る。これらの区分はポリマー分子の秩序性の程度の記述
である。非晶質ポリマーは、ランダムに秩序のかみ合っ
た鎖から成る。すなわち、非晶質ポリマーは、高度に無
秩序化され、かつ、他の分子とからみ合っている。半結
晶性ポリマーは、非晶質領域と結晶領域とから成る。結
晶領域は比較的秩序化され、かつ、鎖の断片は実際に結
晶格子中に充填されている。若干の結晶領域は、他の領
域より秩序化されていてもよい。結晶領域がポリマーの
溶融温度より高く加熱された場合には、分子はこれによ
り少ない秩序またはさらにランダムになる。若し、急速
に冷却すれば、この比較的秩序性の少ない特徴はその場
所に「凍結」されて、得られたポリマーは非晶質である
と言われる。若し、徐々に冷却したときは、これらの分
子は再充填されて結晶領域を形成し、ポリマーは半結晶
性であると言われる。若干のポリマーは常に非晶質であ
る。若干のポリマーは、熱処理、延伸または配向および
溶剤誘導によって半結晶性にすることができ、そして、
真の結晶化度はこれらの方法によって制御できる。
本発明の独特性の一つの特徴は、上記の結晶化方法を
逆転させて、半結晶性ポリマーのうすい層を影響を受け
ない本体の半結晶性ポリマー上に載っている準−非晶質
のうすい表面層に転移させることである。
本発明の処理を行うために輻射線源に要求される2種
の必要な条件がある。強力(単位面積当りの高出力)お
よび高フルエンス(パルス当りの高エネルギー密度)の
両者が輻射線源に要求される。これらの要求事項によっ
て、処理される非常にうすい表面に発生した実質的量の
熱が該表面中に留まることが保証される。輻射線の効果
は、表面層中にエネルギーを集中させることである。内
部への熱の拡散はエネルギーのこの集中度を減少させ、
この方法の効率を低下させる。従って、照射の間ポリマ
ー内部には極く少量の熱しか消滅しないことが望まし
い。表面照射の間内部への熱の移動が多ければ、この方
法の効率は少なくなり、遂にはあまり多くの熱が内部に
移行してこの方法が作用しなくなる。表面のみを急速に
加熱し、ポリマー内部は加熱しないこの要求事項のため
に、本来長いパルス幅を有する水銀、アーク灯および普
通のキセノンフラッシュランプのような慣用の強力UV源
では熱エネルギーの本体ポリマーへの急速な拡散にな
る。このことは表面で達成すべきエネルギーの高い集中
が妨げられる。
UVエクスサイマーレーザーは、強力、高フルエンス輻
射線を処理すべき表面上に生成させることができる。UV
エクスサイマーで使用されるポリマーは、半結晶性であ
り、かつ、UVレーザー波長でのUV吸収性でなければなら
ない。表面と交互作用したレーザーパルプの結果は、光
分解と加熱の組合せである。換言すれば強力なショート
パルスはポリマー表面を相当加熱するが内部はポリマー
溶融温度以上には加熱せず、かつ、若干の小数の分子鎖
の分断を起こす。短時間の間、表面領域はその溶融温度
以上に加熱され、分子自体は無秩序状態にランダム化
し、分断された結合は再結合するが、必ずしもそれらが
分裂した末端に結合するわけでもなく同程度に再結合す
るわけではない。一時的に破壊された分子結合は溶融化
工程を促進させるであろう。照射後に表面は急速に冷却
され、長距離秩序が無秩序化されて新規の短距離秩序に
秩序化した層が非晶質構造中に「凍結」される。すなわ
ち、冷却速度は表面層が際結晶化できない程十分に速
い。結合分断の再組合せおよびイオンの付加のような化
学変化がないために分子量に極くわずかの変化しか受け
ていない層である準−非晶質層が照射によって本体ポリ
マー上に生成される。表面テキスチャーは、何等の物質
が除去または融蝕されておらず、かつ、溶融および冷却
が短時間に起こるから有意な変化を受けていない。
レーザー処理表面は、多数の試験によって準−非晶質
であることが証明できる:(i)これはポリマーの真に
非晶質形態のみを溶解させる溶剤で洗浄除去される、
(ii)表面の赤外反射吸収分光分析(IRRAS)では、ポ
リマーの真の非晶質形態によって通常現れるのと同じ表
面層図型を示す、および(iii)表面の薄層偏光解析で
は、ポリマーは真の非晶質形態と同じ屈折率を示す。
処理表面のXPS測定は、付加による何等の有意な変化
を示さない。また、わずかのO/C比の変化が起こったこ
とが示されたが、これは小量の表面脱カルボキシル化を
示している。ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)クロ
ロホルム抽出PETフィルムは、未処理ポリマーに比較し
て小さい分子量の減少のみが示される。水接触角測定で
は処理表面に何等の変化を示さない、このことは表面が
有意に粗化されず、かつ、官能基が付加されていないこ
とを示している。32,000×倍率で見えるように、極めて
微細なスケール上にわずかなテキスチャー化が観察され
るが、高さ700Å以上の突起はなく、大部分(50%以
上)の突起は300Å未満の高さを有する。シャドウマス
ク透過電子顕微鏡(TEM)では若干の試料の表面上の300
Åの谷とピークを示す(その元の地形によって)。さら
に他の場合において、同様に処理したPETフィルムは、
完全に平滑で本質的に起伏のない表面を示す。
ポリマーのレーザー処理の初期の研究は、ポリマーの
エッチングおよび融蝕に関するものであり、従って、本
発明で必要とするよりはるかに高いレーザー強度並びに
フルエンスを使用した。これらの研究者は、処理する各
ポリマーによってもちろん異なるが融蝕のためのフルエ
ンスのしきい域を見出した。このしきい域以下では何等
の融蝕も起こらなかった。研究では、これより低いフル
エンスでは実際に起こることに関しては何も測定しなか
った。融蝕のフルエンスしきい値と同様に、本発明の非
晶化のための同様なフルエンスしきい値の存在およびこ
れも処理ポリマーによって異なることを見出した。
大きい商業的関心があるために、PETの処理は本発明
の進行の間最も広範に研究された。しかし、他のポリマ
ーも研究した。次の半結晶性、UV吸収性ポリマーおよび
コポリマーを特に処理した:ポリエステル(例えばPE
T)、ナイロン、PET上のポリ(ビニリデンクロランド)
のコーティング混合物およびUV級数性可塑剤を含むポリ
(ビニルクロライド)。ポリオレフィン(例えばポリエ
チレンおよびポリプロピレン)、ポリビニルクロライ
ド、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリビニリデン
クロライドは半結晶性であるが、190nm以上の波長でUV
吸収性でなく、従って、次のいずれかの処理を必要とす
る:UV吸収性化合物の添加、比較的短波長のレーザーま
たはUVレーザーとは異なるエネルギー源。E−ビーム、
X線、イオンビーム、およびプラズマは十分な強度およ
びフルエンスで適用できればこれらのポリマー上でも作
用する。
ポリメチルメタクリレートおよびエポキシ樹脂は、通
常非晶質であり、前記のような処理は不要であり、そし
て、表面と本体ポリマーとの間に差を生じない。
UV線源は、好ましくは320nm未満の波長のエクスサイ
マーレーザーまたはフラッシュランプでよい。パルス幅
は100マイクロセカンド未満でなければならない。典型
的のパルス幅は、フラッシュランプでは7.5マイクロセ
カンドであり、エクスサイマーレーザーでは10〜80ナノ
セカンドである。
本発明によって生成された準−非晶質表面を有するポ
リマーは、これらのポリマーが従来使用されている製品
領域において使用できる。例えば、画像媒体、接着剤な
どのポリエステル支持体は、媒体または接着剤に対して
改良された結合を発揮する。半結晶性物質のヒートシー
ル性フィルムは、本発明の実施によって処理したとき改
良されたヒートシール適性を発揮する。半結晶性ポリマ
ーの他の物質に対する結合能力は、準−非晶質層の存在
によって普遍的に促進される、従って、本発明は半結晶
性ポリマーに対する接着が所望されるすべての公知の情
況において使用できる。
実施例 次の実施例において、すべての処理はQuestek社、Bil
lerica,MAによるModel 2460レーザーまたはLambda Pysi
k社、Acton,MA のModel 102Eレーザーのいずれかを使用
して行った。これらのレーザーはポリマーフィルム処理
の目的には同等の出力が得られる。レーザーは、193nm
の放射波長でAγプラス弗素ガスまたは248nmの放射波
長でクリプトンプラス弗素ガスを使用し、そして、試料
の照射表面を制御し、これによって試料に当るビームの
エネルギー密度を制御する円筒形レンズ方式を使用して
操作した。各装置はGentech社Ste−Fog、QC.Candaから
のModel ED500出力計によって校正した。パルス幅は両
レーザーで約15ナノセカンドであった。
実施例1 本実施例では、スリップ剤を添加してない0.1mm(4mi
l)厚さの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)
フィルムの表面処理を説明する。このフィルムは3M社.S
t.Paul,MNから製品#OR8478400として入手できる。レー
ザー照射後、各試料について10秒の応答時間を有するPe
rkin Elmer社(Norwalk.CT)からのLambda9分光光度計
を使用し、550nmで光学透過率の変化を測定した。対照
として未処理フィルムを使用し、88.25%の光学透過率
を測定した。次のデータにはこの対照値からの透過率%
の変化を示す。
第2表はその結果を示し、そして、193nmで片側を処
理したPETフィルムの光学透過率の増加およびフルエン
スの増加に伴う効果の見掛の平坦化を示す。この増加お
よび次の平坦化は、増加するフルエンスに伴って増加す
る処理の深さによる。全く顕著なことは、この増加され
た透過率の開始のために約3mJ/cm2/パルスフルエンスを
要するしきい値効果である。このフルエンスしきい値は
このレーザー処理で測定したすべての効果に認められ
る。
これらのフルエンスでのポリマーフィルムのレーザー
処理は、350nm以上の波長でフィルムの吸光係数に有意
の変化はない。従って、レーザー処理フィルムの増加さ
れた透過率はフィルムの反射率の減少およびいずれかの
効果の測定も同等である結果である。
実施例2 本実施例は、レーザーガスがKrとFとの混合物であ
り、出力波長が248nmであるのを除いて実施例1の繰返
しである。
フルエンスが5mJ/cm2を超えるまでは光学透過率に何
等の変化がなかったことをデータは示している。9mJ/cm
2に達すると、透過率の増加に1.5%のピーク変化があっ
た。約5mJ/cm2/パルスの比較的高い値へのフルエンスし
きい値の移動(実施例1に比較して)は、表面処理に使
用される輻射線の波長に対するしきい値の依存性を示し
ている。これはPETが248nm波長の輻射線より193nm波長
の輻射線を有効に吸収することによって起こる。
エクスサイマーレーザーは、193,248,308および351nm
の4種の異なる波長で効率的に作用する。ポリマーの効
率的に改質には、表面の最初のマイクロメーターの数10
分の1でUV輻射線の大部分が吸収されることが必要であ
る。PETは、193および248nmの両波長を強力に吸収す
る。表面改質の効率はまた、UVの光分解活性にも依存す
る。193nmは248nmより強力に吸収され、かつ、高い光分
解活性を有するから、表面改質のためには193nmの方が
わずかに効率が高い。エクスサイマーレーザー輻射線
(15ナノセカンドパルス幅)によるPETの表面改質のし
きい値は、193nmでは3〜4mJ/cm2/パルスであり、248nm
では5mJ/cm2/パルスである。
エクスサイマーレーザーは、193nmより248nmの方が概
略2倍多い出力を生成する。表面改質のための248nmで
のしきい値は193nmのほぼ2倍であるから、この2種の
波長の間の正味の表面改質効率はほぼ等しい。従って、
操作波長の選択は他の因子によって決まる。
実施例3 3M社、St.paul.MN.から得られた3M樹脂ER66200から0.
3mm(12mil)厚さの非晶質PET押出キャストを使用して
実施例1を繰返した。反射方式でLambda9分光光度計で
得られたデータは、10mJ/cm2フルエンスまでは反射率に
何等の変化がなかったことを示す。これはフィルムが完
全に非晶質であるから、予想されたことである。
実施例4 PETの試料を実施例1のように各種のフルエンスで処
理し、次いで、トリクロロメタン溶剤に5分間浸漬し
た。次いで、抽出された三量体および非晶質PETについ
て溶剤をUV吸収によって分析した。結晶性PETはトリク
ロロメタン中には溶解しないが非晶質PETはうすい層で
は可溶性である。データは、3mJ/cm2/パルス以下では一
定量の抽出(0.4μg/cm2)を示した。約3.5mJ/cm2/パル
スでは抽出の量は増加し始め、7mJ/cm2/パルスで約1.6m
J/cm2の最大値まで増加した。この量は少なくとも9mJ/c
m2/パルスまでは一定に維持された。
この場合もフルエンスしきい値現象は約3.5mJ/cm2/パ
ルスであり、抽出された非晶質PETはフルエンスの増加
と共に増加し、そして、約7mJ/cm2/パルスで水平になっ
た。
実施例3および4は、本発明の本体ポリマー表面上に
生成させた非晶質層であることの十分な証拠であり、さ
らに追加の実験によってこの層は再結晶できることが証
明された。
実施例5 実施例1と同じ0.1mm(4mil)のPETの試料をILC Tech
nology社、Sunnyvale、CaliforniaによるL−2695フラ
ッシュランプで1700アンペアのピーク電流、貯蔵エネル
ギー25ジュールおよびランプ−試料間距離1.0cmを使用
し、1回の7.5マイクロセカンドパルスで処理した。Lam
bda9分光光度計で処理試料の光学透過率を測定し、340
〜700nmの測定範囲全体で透過率の増加を示し、そし
て、550nmでは1.5%の増加であった。このことは、強力
なショートパルスUVの多いフラッシュランプも、ポリマ
ー上に非晶質表面を形成する能力があることを示してい
る。
実施例6 実施例1と同様に、PETの試料を処理し、光学透過率
を測定し、そして、適用したフルエンスおよびパスル数
の両者を変化させることによって試料のレーザー輻射線
照射を変化させた。第3表のデータはこの結果を示す。
低い輻射線照射では、光学透過率の増加が得られるこ
とが判る。しかし、比較的高い照射では、光学透過率は
減少する。この理由は、表面の黄化およびテキスチャー
の組合せによって現われるポリマーの光分解によるもの
である。
実施例7 各種のフルエンスで実施例1と同様に結晶性ポリエー
テルエーテルケトンの試料を処理した。処理試料の光学
透過率を実施例1と同様に分光光度計で550nmで測定し
た。データは、16〜24mJ/cm2/パルスの増加されたフル
エンスでは、14.74%の反射率から14.60%反射率への減
少した反射率を示した。
実施例8 PETの試料を、実施例2のように1〜6mJ/cm2/パルス
のフルエンスで処理し、そして、自己接着性を測定し
た。Sentinal社、Hyannis、MA.のモデル12ASDヒート
シーラーを使用し、350゜F、20psiのシール圧力および
3秒の保持時間で処理表面を互いに接着させた。接着強
さは試料を手で180゜離して剥がし、各種フルエンスに
よって得られた相対的剥離強さを判断した。このデータ
では、4mJ/cm2/パルス以上で増加した接着力を示した。
処理しないフィルムはわずかの接着力を有したが、約6m
J/cm2/パルスで良好な接着力に増加した。
これらのデータは、実施例2の透過率の増加%のデー
タと非常に似ており、そして、実質的に同じフルエンス
しきい値を示す。このことは本発明によって生成された
非晶質表面が両方の効果を生ずることを強く示唆する。
実施例9 PETの試料を、実施例1のように処理し、そして、自
己接着性を測定した。Sentinal社、Hyannis、MA.のモデ
ル12ASDヒート シーラーを使用し、350゜F、20psiのシ
ール圧力および3秒の保持時間で処理表面を互いに接着
させた。接着強さは、手で180゜離して試料を剥がし、
各種処理によって得られた相対的剥離強さを判断した。
他の方法で処理したPETの接着強さ湿分が影響を及ぼす
ことが公知であるから、各試料は乾燥および水道水下で
試験した。接着強さは次のように分類した:弱接着はポ
リマーフィルムの破損なく剥離できた、中接着は比較的
高い剥離強さを有し、そして、時にはポリマーフィルム
が破損した、そして、強接着は剥離できず、ポリマーフ
ィルムが破損する。これらの半定量的結果を図にプロッ
トする。
連続波、低〜中強度UVランプの文献においては、ポリ
マーの表面改質はエネルギーに不感受性であることは周
知である。すなわち、例えば、ある種の方式にポリマー
を改質するのに100mJ/cm2を要したとすれば、このエネ
ルギー密度が100watts/cm2で1秒間、または50watts/cm
2で2秒間を使用して得られたかどうかは関係なく、ポ
リマーは光融蝕に要するエネルギー範囲に達するまでは
無傷であると常に考えられてきた。図面の一定エネルギ
ー密度を示す線は、この慣習的知恵を立証し、かつ、あ
るフルエンスまでは実験によって証明されている。
本発明の驚ろくべき発見は、この場合は3.5mJ/cm2/パ
ルスであるしきい値フルエンスでは、自己接着性を生成
するのに要するエネルギー密度が非常に減少することで
ある。この現象の説明は、低フルエンスでは自己接着性
は表面層の酸化の結果であるが、しきい値フルエンスよ
り上では本体ポリマーより低い軟化温度で非晶質表面層
が形成される結果として自己接着性の増加するとものと
考えられている。融蝕またはミクロテキスチャー化領域
では、ポリマーの自己接着性も非常に強いことが判る。
このことは本発明の別の驚くべき発見であり、そして、
ポリマー表面上に生成された構造の減少された軟化温度
による。
図面から、フルエンス量がある範囲内であれば1パル
スで非晶質化が得られ、そして、特定のフルエンスでの
パルス数の増加によって、処理の深さが増加し、パルス
数が高すぎてポリマーが著しく光分解を受けるまで続
く。
例10(比較例) 実施例1と同じPETの試料を、Westbury社、N.Y.の6wa
ttモデルENF−26 SeptronicsランプからのCW短波長UV
で種々に照射して処理した。このランプは、ポリマー表
面上に直接、1分間、15分間および35分間置いた。照射
試料および未照射対照を、350゜F、20psiのシール圧力
で3秒間にセットしたModel 12ASD、Sentinal社、Hyan
nis、MA.を使用して自己接着させた。自己接着強さは、
シールした試料を手で180゜離して剥がすことによって
測定し、得られた相対剥離強さを判断した。試料は水道
水下の湿分接着強さも試験した。この結果を第4表に示
す。 第4表 照射 接着力 乾湿性 0分 接着性なし なし 1分 接着性なし なし 15分 中程度接着性 あり 35分 中程度接着性 あり CW UVランプからのPET自己接着性は表面酸化によっ
て生じ、表のように実施例9におけるようなPETレーザ
ー処理とは非常に異なる接着性を示す。
実施例11 PETの試料を実施例5におけるショートパルスUVフラ
ッシュランプで処理した。2個の試料を互いに接着させ
るのにハンドシールアイロンを145℃で6秒間使用し
た。180゜離して試料を手で引張って剥そうと試みたが
試料は良好な接着性を示した。接着は同様に水道水下で
試験し、非感湿性であることが分かった。
実施例12 Allied Corp、Morristown、NJからのナイロン66、製
品Capran−996の0.038mm(1.5mil)の試料を実施例1の
ように25mJ/cm2の1パルスで照射した。この試料をガラ
ス繊維で覆ったハンドシールアイロンを使用し143℃で
6秒間互いに接着させた。未処理対照試料は何等の自己
接着性を示さなかったが、照射試料は180゜の手で引張
って剥がそうと試みたとき良好な接着性を示した。試料
を15分間水中で煮沸させたが、接着強さに感知しうる減
少はなかった。
実施例13 PETの試料を実施例1のように5mJ/cm2/パルスで2パ
ルスで処理した。これらのPET試料を実施例12と同じシ
ール条件を使用して実施例12の処理したナイロン66試料
に接着させた。180゜で手で引張る剥離試験で試料間の
良好な接着性を示した。
実施例14 被覆PETフィルムの試料を実施例1のように処理し
た。コーティングは75%のポリビニリデンジクロライド
(PVDC)と25%のアクリロニトリルのコポリマーの溶液
の0.002mm(0.08mil)であり、0.0127mm(0.5mil)のPE
T上に被覆した。このフィルム製品は3M社、St.Paul、MN
からScotchpar86096として入手できる。このフィルムの
被覆側は約130℃で通常自己接着性である。この試料
は、これをUVレーザーで最初に処理することによって自
己接着性になるのに要する温度の低下を示した。この試
料をHyannis、MA.のModel 12ASD Sentinalヒートシラー
を使用し100℃、20psiおよび3秒の保持時間で自己シー
ルさせた。接着は180゜手による引張で試験し、その結
果を第5表に示す。
表から分かるように、約4mJ/cm2/パルスのフルエンス
しきい値より上では、結合強さは優秀であり、剥離試験
ではフィルムが破損した。こと試料はまた、U.V.吸収剤
(アクリロニトリル)の添加により、通常はUV非吸収性
結晶性ポリマー(PVDC)の非晶質化が可能であることも
示している。
実施例15 PETの試料を実施例1のように、5mJ/cm2/パルスのフ
ルエンスで5パルスでレーザー処理し、次いで、Inmont
Corp.Clifton.NJからのシリーズ93白色印刷インキの0.
001mm(0.05mil)で被覆し、180゜Fで24秒乾燥させた。
インキ接着性は3M社、St.Paul、MNからの#610接着テー
プを、かみそりでけがいたインキ被覆表面に置き、テー
プを迅速にスナップ剥離することによって試験した。未
処理対照試料上のインキはテープ試験で容易に除去され
たが、処理試料上では完全に残った。3M社、St.Paul、M
Nから販売されて、さらに強力な接着テープタイプ622を
次に使用した場合でも対照試料インキ被覆は除去され
た。処理試料コーティング上のインキは除去されず、さ
らに、622テープの接着剤がインキコーティング上に残
った。
インキ接着力は、ポリマーフィルム上のレーザー処理
非晶質表面層によって生成した増加された接着適正によ
って自己接着性に正比例する。従って、自己接着性で経
験したしきい値フルエンス効果はインキ接着性において
も起こるものと予想される。
実施例16 3M社、St.Paul、MNから入手できるTCG374−2ポリビ
ニルクロライド(PVC)フィルム(ポリエステル可塑剤
が配合されている)の試料を、10、20または30mJ/cm2/
パルスの2パルスで実施例1のようにレーザー処理し
た。これらの試料は未処理対照と共に、3M社、St.Pau
l、MNからの6605インキでPE225メッシュを使用しスクリ
ーン印刷した。インキ被覆直後、150゜Fで24時間熟成後
および150゜Fで4日間熟成後に実施例15のように#610
インキでスナップ試験で試験した。その結果を第6表に
示す。
第6表 かみそりでけがいた610テープ (未熟性) インキ剥離率% 未処理対照 2 10mJ/cm22パルス 0 20mJ/cm22パルス 0 30mJ/cm22パルス 0 (24Hrs−150゜F) 未処理対照 95 10mJ/cm22パルス 0 20mJ/cm22パルス 0 30mJ/cm22パルス 0 (4月−150゜F) 未処理対照 98 10mJ/cm22パルス 0 20mJ/cm22パルス 0 30mJ/cm22パルス 10 このデータは、レーザー処理はPVCに対するインキ接
着力を劇的に改良し、かつ、2パルスで30mJ/cm2/パル
スのフルエンスで処理し、4日間150゜F(65℃)で熟成
させた試料はこれより低いフルエンスで照射したものに
比較してインキ接着力の真の(および再現性ある)減少
を示すことを示している。(この効果は比較的高いフル
エンスでさら顕著になる)。高フルエンスでのデータ
は、高フルエンスで処理して良好な接着力が主張されて
いる日本国特許出願JA59−82380、JA59−10937およびJA
55−101938のデータとは矛盾する。
実施例17 約0.01mm(0.5mil)のジメチルメタクリルアミド(DM
A)の被覆を、実施例2のように12mJ/cm2/パルスのフル
エンスおよび2パルスでレーザー処理したPETの処理表
面上に手で塗布した。これらの被覆試料を、次いで、En
ergy Science Inc.Woburn、MAからのModel250 Electroc
urtain 電子ビームで窒素雰囲気中0.5〜10Mradの線量
を使用し175KEVで照射した。
次いで、処理試料をジクロロメタン中で24時間還流さ
せ、PET支持体と結合しなかったすべてのDMAホモポリマ
ーを抽出し、還流溶剤は捨てた。サンプルは次に、透過
度フーリエ変換赤外分光計(FTIR)によってPET表面に
結合しているDMAの量を分析した。第7表に示したこの
分析結果は、重合DMAの赤外吸収特性のピーク吸収:PET
の赤外吸収特性のピーク吸収の比である。これらの数値
は、PET表面に結合しているDMA量の指標であり、この数
値が高ければそれだけ多くのDMAが結合していることを
示す。約0.4として報告された結果は、有意でなく、系
の雑音による。 第7表 線量(Mrad) 未処理PET レーザー処理PET 0.5 0.00 0.14 1.0 0.00 0.45 3.0 0.00 0.35 5.0 0.42 0.87 10.0 1.05 2.06 このデータは、約5Mrad以上のレーザー処理PETに対す
るDMAの改良された接着を示している。
実施例18 約0.01mm(0.5mil)のDMAとトリメチロールプロパン
トリアクリレート(TMPTA)の90/10混合物の被覆を、実
施例2のように12mJ/cm2/パルスのフルエンスおよび2
パルスでレーザー処理し、さらに上記実施例16のように
正確に処理したPETの処理表面上に手で塗布した。FTIR
の結果を第8表に示す。 第8表 線量(Mrad) 未処理PET レーザー処理PET 0.5 0.02 0.40 1.0 0.56 0.45 3.0 0.45 3.17 5.0 0.19 3.53 10.0 0.45 2.08 このデータは、約3Mrad以上のレーザー処理PETに対す
るDMA/TMPTAの有意に改良された接着を示している。
実施例19 本実施例の目的は、レーザー処理PETに対するDMA/TMP
TAの増加した接着適性は、レーザー処理によってPET上
に生成された非晶質表面層によるものであることを証明
することである。実施例1と同じPETの試料にオルトク
ロロフェールに溶解させた同じPETの溶液を100nm被覆厚
さにスピン被覆した。この被覆は非晶質であるから、被
覆試料をNational Appliance社製モデル5861炉中、窒素
雰囲気下230℃で3時間アニールし、被覆を結晶化させ
る。第2のPET試料をオルトクロロフェノール中に溶解
させた同じPETで100nmの厚さに被覆し、炉中60℃で1時
間乾燥させた。この温度はPET被覆のガラス転移温度よ
り低いから、被覆は非晶質のまま残る。各試料を実施例
17のようにDMA/TMPTAで被覆し、そして、5MradでE−ビ
ームによって硬化させた。次いで、実施例16のように試
料のFTIR比を分析し、アニールおよび結晶化した試料で
は0.27、そして、非晶質試料では2.81であった。このデ
ータは、DMA/TMPTAのPETに対する接着適性は非晶質表面
層によって増加することを示している。
実施例20 PETの試料を、50mJ/cm2/パルスの10パルスで実施例1
のように処理し、次いで、25℃のメチレンクロライド溶
液中を2〜7秒間で迅速に通過させた。メチレンクロラ
イドを流して除いた。これらの試料の肉眼観察では、フ
ィルム透明度の減少はなかった。顕微鏡写真(3200×)
では、約200〜400Åの深さの不規則の形状の小さい孔の
あいたテキスチャーを示した。摩擦係数(COF)を各試
料についてASTM−D1894によって測定し、その結果を第
9表に示す。
作用機構は不明であるが、PETのレーザー処理に次い
で、メチレンクロライドにさらすとPET自体の静並びに
動摩擦係数の両者が有意に減少することが分かる。メチ
レンクロライドまたはレーザー処理を別個に行っても両
者の組合せほど有効でないことも明らかである。
実施例21 本実施例の目的は、UVレーザー処理によって生成され
る非晶質ポリマー表面構造と、前記の実施例のように達
成される機能的結果とを関係づけることである。実施例
1に記載のようなPETをO−クロロフェノールに溶解さ
せ、そして、前もって、1500Åのアルミニウムを蒸着さ
せてある75mm(3インチ)の研磨した円形シリコンウエ
ファー上に1740Åの厚さの最終PETになるようにスピン
コートした。このウエファーを窒素雰囲気下の実験用炉
中80℃で1/2時間乾燥させた。次いで、これらを窒素下
の炉中220℃で3時間結晶させた。
これらの試料を実施例1のように各種のフルエンスで
193nmでレーザー処理した。
UV処理によって生成された表面非晶質化の分析を、Ap
plied SpectroscopyVol.39 1985 269頁に記載のよう
に赤外吸収分光分析(IRRAS)としての公知の方法で低
視射角赤外線を使用するFTIRの変法によって行った。結
晶PETは、7440nm光を光度に吸収性であるが、非晶質PET
はこの波長に対して殆んど透明である。従って、IRRAS
で測定される吸収の変化%は、ポリマー結晶化度の敏感
な指標である。データは、この変化率%はレーザー処理
フルエンスの関数であり、0は未処理試料と変化がない
ことを示す。
データは、PETに対し約4.5mJ/cm2/パルスで特徴ある
しきい値フルエンスを示し、ここから非晶質化度が増加
することを示す、処理表面の非晶質化度の直接測定は、
前記の実施例に示されるような効果:フルエンスの一般
形態に従う。
実施例22 本実施例の目的は、レーザー非晶質化のしきい値フル
エンス現象の感温度性を示すことである。
本実施例のデータを得るために必要な吸光係数の測定
は、試料の再結晶化が測定に影響しないようにするた
め、各試料が処理温度にある間のレーザー処理直後に行
った。
ウエファー上のPET試料を、1650Åの厚さで実施例21
のようにして製造した。この試料を実施例2のように各
種のフルエンスで248nmでレーザー処理した。各試料は
また、実験室ホットプレート上に置いて温度を調節し
た。処理試料の非結晶化は、レーザー処理直後で、か
つ、試料がまた調節温度にある間に、Spectra Physics
社、MAのダイオードレーザー源およびSBRC社、Goleta、
CAのModel GA−STD−1.0−40742光検出器を有するIRRAS
を使用し、7440nmで層の吸光係数を測定した。この非晶
質化:フルエンスデータをプロットし、外挿して各種の
各温度でのしきい値フルエンスを得た。
このデータでは、非晶化のためのしきい値フルエンス
は、ポリマーの溶融温度以下では強い温度依存性であ
り、ポリマーの熱容量を克服するのに必要なレーザーエ
ネルギーの直接結果である。ポリマーの溶融温度では、
溶融熱が表面層非晶質化を起こすのに必要な最小しきい
値フルエンスを支配する。このしきい値フルエンス:温
度効果は、すべての半結晶性ポリマーに適用されるもの
と予想される。
このデータは、非晶質化に必要なレーザーエネルギー
量は、その融点より幾分低い温度にポリマーを補助的に
加熱することによって減少させることができ、それによ
ってさらに効率的な方法を生成させることができる。
実施例23 本実施例の目的は、本発明のレーザー処理によって生
成される表面全体の非晶質性の勾配を示すことである。
1200Åの被覆厚さを有し、実施例21のように製造した
PET試料を、実施例1のように10mJ/cm2/パルスの2パル
スで処理した。
2種の分析方法の組合せによって、深さ分布が得られ
た。非晶質化度の特徴を示すために実施例19のようにIR
RASを使用し、処理ポリマーの層の逐次除去には酸素プ
ラズマエッチングを使用した。
酸素プラズマエッチングは、28秒間で380mW/cm2のエ
ネルギー密度で13.6MHz無線周波放電で励起された7.5sc
cmの速度で流れる0.02torrの酸素を使用しIRRAS試料室
内で直接実施した。この処理の各適用によって130Åの
物質が除去された。
レーザー処理試料非晶化深さ分布は、IRRAS吸光測定
並びに酸素プラズマエッチングの繰返しによって得られ
た。データーは0〜100nmの結晶化度の増加量が示され
た。
データは、処理ポリマーの表面が完全に非晶質化され
たことを示した。この完全な非晶質は処理層中に相当の
距離まで延び、そして、非晶質化勾配は処理と本体ポリ
マー間の遷移域で比較的急であった。
実施例24 ウエファー上のPETの試料を実施例21のように、930Å
の厚さおよび真空炉中230℃で3時間結晶化させて製造
した。これらの試料を実施例2のようにマスクを通し10
mJ/cm2/パルスの3パルスで照射し、次いで、液体トリ
クロロメタン中に5分間浸漬した。光学顕微鏡では、レ
ーザーによって生成された非晶質化層は完全に除去さ
れ、その結果、非常に鋭い画像がウエファー上のPETに
生成された。これは写真平版製造および本体フィルム上
に画像テキスチャーを生成させる独特の方法である。
この方法は、任意のUV吸収性半結晶性並びに本発明に
よって非晶質化できる有機および無機物質で行うべきで
ある。
本実施例は実施例22と組合せて、この方法の感度を制
御するための温度の使用、並びにポリマー内の画像コン
トラストの制御のために温度を使用することができる。
実施例25 スリップ粒子を含まない0.1nmの二軸延伸ポリ(エチ
レンテレフタレート)フィルムを、10mJ/cm2のパルス当
りのフルエンスで193nmで放射されるアルゴン−弗素エ
クスサイマーレーザーからの5パルスの輻射線で処し
た。試料のこの処置フィルムから切断し、25℃でメチレ
ンクロライドのプール中を急速に透過させた。この処理
は、大部分の影響を受けた表面領域を有効に除去する。
CH2Cl2液体への全暴露時間は2〜7秒の間で変化させ
た。溶剤は流下除去した。試料の検査ではフィルム透過
性は肉眼では減少していなかった。
若干のこれらのフィルムの表面テキスチャーを透過電
子顕微鏡のシャドウ表面レプリを32,000×倍率で検査し
た。溶剤処理前のレーザー処理PETの表面は、それらの
最大寸法が600Åより大きくない浅い、ランダムに間隔
があり、かつ不規則形状の起伏が特徴であった。フィル
ムを液体メチレンクロライドにさらすと直径150〜600Å
の間の間隔の密なこぶ状起伏が現われる(任意の種類の
処理の前は、二軸延伸PETフィルムは非常に小さいピー
ク:谷比を有する約150〜600Åの寸法範囲を有する平滑
であるが幾分こぶのあるテキスチャーであることが見出
されている。この未処理表面のメチレンクロライド(液
体)処理は、表面テキスチャーに認めうる何等の変化も
もたらさない)。 第2表 滑りフィルム表面 μ静的 μ動的 二軸/二軸 >5 >5 CH2Cl2処理/CH2Cl2処理 4.3 3.5 レーザー処理(LT)/LT 1.5 0.45 LT/二軸 1.1 0.43 LT+CH2Cl2/LT+CH2Cl2 0.57 0.42 LT+CH2Cl2/二軸 0.40 0.45 LT+CH2Cl2(V)/二軸 0.57 0.50 レーザー処理に続いて、フィルムを25℃で1時間飽和
CH2Cl2蒸気にさらした。
実施例26 第二の、同様に処理したレーザー処理PETは、陰影レ
プリカのTEM写真(32,000×)では本質的に特徴がない
ことが見出された。アセトンによる洗浄では約200Åの
最大ピーク−谷を有する粒状起伏よりむしろこぶ(鋭く
ない円形)を有する均一な網状表面を生じた。メチレン
クロライドの場合と同様に、二軸延伸PETのアセトン洗
浄ではその表面テキスチャーに認めうる変化を生じな
い。
これらの試料の摩擦係数を下記の表に示す: 滑りフィルム表面 μ静的 μ動的 二軸/二軸 >5 >5 アセトン洗浄 二軸/二軸 >5 >5 レーザー処理+アセトン/二軸 0.53 0.37 実施例28〜42 金属化PVCフィルム(金属様外観にするため金属添加
物を有するPCV)、白色PVCフィルムおよび透明PVCフィ
ルムを、20mJ/cm2(2パルス)で193nm Ar+F エク
スサイマーレーザーを使用して実施例1の方法によって
処理した。このフルエンスで、フィルムを表面が非晶質
になるしきい値エネルギー以上に照射した。これらのフ
ィルムを5種の異なる商用に使用されているアクリレー
ト感圧接着剤に貼合せた。層間密着力は次の通りであ
る。
この結果は、ポリ(ビニルクロライド)金属状フィル
ムとの組合せにおける溶融接着で層間密着力に最大の改
良を示した。溶融として示した接着剤は、「ポリメル
ツ」(polymelts)として当業界での公知の感圧接着剤
である。これらの接着剤は、溶融押出で適用し、そし
て、コーティングおよび冷却後も粘着性のまま(すなわ
ち、感圧接着性)である。感圧接着剤の溶剤コーティン
グは、溶剤流延し、そして、乾燥させた。
実施例28〜42に作用した感圧接着剤はすべてアクリレ
ート感圧接着剤であり、そして、次の組成(重量)を有
する: A. イソオクチルアクリレート 93.0 アクリル酸 7.0 水素化樹脂エステル(粘着性付与剤) 16.4 ビス−アミド(架橋剤) 3 B. 2−メチルブチルアクリレート 90 アクリル酸 10 ベンゾフェノン(架橋剤) 0.5 C. 2−メチルブチルアクリレート 90 アクリル酸 10 ビス−アミド(架橋剤) 3 D. イソオクチルアクリレート 60 メタクリレート 32.5 アクリル酸 7.5 ベンゾフェノン 0.5 E. イソオクチルアクリレート 60 メタクリレート 32.5 アクリル酸 7.5 ビス−アミド(架橋剤) 3 例43(比較例) レーザー処理ポリ(エチレンテレフタレート)のアクリ
ル系熱可塑性樹脂に対する接着性 0.1mm(4mil)の厚さのポリ(エチレンテレフタレー
ト)フィルムを193nmUVレーザーで処理し、次いで、U.
S.4,417,948の教示による次の融蝕条件で処理した: 31mJ/cm2/パルス、25パルス、60゜入射角。
得られたフィルムを接着剤被覆シリコーン剥離ライナ
ーと貼合せた。剥離ライナー状のプレコート接着剤は、
配合イソオクチルアクリルアクリレート/アクリル酸
(95.5/4.5)の感圧接着剤および配合イソオクチルアク
リレート/N−(1,1,3,3−テトラメチル−n−ブチル−
アクリルアミド/アクリル酸(50/37/13)の熱可塑性樹
脂のオーバーコート層から成る二重層である。貼合せ
は、PETフィルムの下塗りした表面の次の条件下で商用
のフィルムラミネーターを使用して熱可塑性樹脂と接触
させて実施した: ローラー速度 10インチ/分 ローラー温度 260゜F ローラーニップ圧力 25 1bs/in2 得られたラミネートからシリコーンライナーを除き、
そして、露出された感圧接着剤を周囲条件下でプレート
ガラスに対してスキージー磨き仕上げした。1分間の保
持時間後に、磨き仕上げしたフィルムをガラスから剥が
した。レーザー処理PETはガラスに対して接着剤の離層
はなかった。これに対して未処理PETでは全接着剤がガ
ラスに転移したのと対照的である。
実施例44 本実施例では0.1mm厚さのポリ(ビニルクロライド)
フィルム表面の処理を説明する。フィルムの組成は、32
0,000の平均分子量を有する100重量部のポリ(ビニルク
ロライド)、37重量部のジイソノニルフタレート、3重
量部の安定剤、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6
−t−ブチルフェノール)および1重量部のカーボンブ
ラックであった。
このフィルムの試料を10mJ/cm2でArFエクスサイマー
レーザーが放射する193nmの2パルスで処した。次い
で、処理フィルムを最初にイソプロパノール中のベンゾ
フェノンの5%溶液を被覆し、次いで、1%の不活性フ
ルオロカーボン界面活性剤を含有するトリメチロールプ
ロパントリアクリレートモノマーの0.025mmウエットコ
ーティングで被覆した。次いで、試料を窒素雰囲気下20
0Wattsで紫外線によって硬化させた。エクスサイマーレ
ーザーで処理しなかったフィルム試料も同様に被覆し
た。
両種のフィルム試料を、5cm×5cm平方に切断、秤量し
100mlの30:70、トルエン:ヘプタン溶液中に入れ、40℃
で2時間振とうした。20℃で16時間乾燥後、再秤量し、
処理しない試料は約30%の可塑剤を失ったが、エクスサ
イマー処理試料の可塑剤損失は2%未満であることが判
明した。
実施例45 実施例45の輻射線処理物品に、93部のイソオクチルア
クリレート、7部のアクリル酸、16.4部の水素化樹脂エ
ステル(粘着性付与剤)および3部のビス−アミド(架
橋剤)から成るアクリル系感圧接着剤を溶剤から遮断層
として被覆した。接着剤の性質は、長期間にわたって安
定であった。このことは、ポリ(ビニルクロライド)フ
ィルムから接着剤中への可塑剤の移行がないことに一部
理由があることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
第1図は改質用輻射線の多数のパルス/フルエンスと接
着強さとの関係を示すチャートを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 025874 (32)優先日 1987年3月16日 (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 025881 (32)優先日 1987年3月16日 (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 025884 (32)優先日 1987年3月16日 (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 026051 (32)優先日 1987年3月16日 (33)優先権主張国 米国(US) (72)発明者 マデライン パシオレック シンバッハ アメリカ合衆国 ミネソタ州 セント ポール,3エム センター(番地なし) (72)発明者 ロバート ウィリアム ウォーナー アメリカ合衆国 ミネソタ州 セント ポール,3エム センター(番地なし) (72)発明者 ジョン トーマス シンプソン アメリカ合衆国 ミネソタ州 セント ポール,3エム センター(番地なし) (72)発明者 エライン マリー ヨークギティス アメリカ合衆国 ミネソタ州 セント ポール,3エム センター(番地なし) (72)発明者 サムエル スミス アメリカ合衆国 ミネソタ州 セント ポール,3エム センター(番地なし) (72)発明者 ジョセフ ホレース インクレモナ アメリカ合衆国 ミネソタ州 セント ポール,3エム センター(番地なし) (72)発明者 バーノン ホーマー ウィルソン アメリカ合衆国 ミネソタ州 セント ポール,3エム センター(番地なし) (72)発明者 アーサー アレン アーモット アメリカ合衆国 ミネソタ州 セント ポール,3エム センター(番地なし) (56)参考文献 特開 昭60−226534(JP,A) 特開 昭60−245643(JP,A) 特開 昭60−110729(JP,A)

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】準−非晶質状態にある同じポリマーの少な
    くとも5nmの厚さを有する領域を、少なくともその一表
    面に有する半結晶性ポリマーから成ることを特徴とする
    ポリマー物品。
  2. 【請求項2】前記の領域が、前記の少なくとも一表面の
    30〜100%を構成し、そして、前記の準−非晶質領域の
    酸素原子/炭素原子比が前記の半結晶性ポリマー中にお
    けるそれらの比と同じかまたはそれより少ない特許請求
    の範囲第1項の物品。
  3. 【請求項3】前記の準−非晶質領域が、20〜500nmの間
    の厚さを有する特許請求の範囲第1項の物品。
  4. 【請求項4】前記の準−非晶質領域が、20〜500nmの範
    囲内の厚さを有し、かつ、染料または顔料の不存在下
    で、電磁スペクトルの可視域において前記の半結晶性ポ
    リマーの光学濃度と0.1未満異なる光学濃度を有する特
    許請求の範囲第1項の物品。
  5. 【請求項5】前記の半結晶性ポリマーが、ポリ(ビニル
    クロライド)、ポリ(ビニリデンクロライド)、ポリテ
    トラフルオロエチレン、ナイロン、ポリウレタン、ポリ
    エステル、ポリオレフィンおよびそれらのコポリマーか
    らなる群から選ばれるポリマーから成る特許請求の範囲
    第1項〜第4項の任意の1項の物品。
  6. 【請求項6】少なくとも一表面上に、該表面の上面から
    少なくとも5nmの厚さを有する該表面の領域を有する半
    結晶性ポリマーから成るポリマー物品であって、前記の
    領域が該ポリマー非晶質状態に一致する該ポリマーの短
    距離秩序性を有し、かつ、該ポリマーの半結晶性状態に
    一致する該ポリマーの長距離秩序性を有することを特徴
    とする前記の物品。
  7. 【請求項7】半結晶性ポリマーの表面の改質方法であっ
    て、半結晶性ポリマー組成物の少なくとも一表面を該組
    成物によって吸収される輻射線で照射し、前記の表面上
    の半結晶性ポリマーを溶融させ、溶融した該ポリマーの
    領域内で融蝕または気化が該ポリマーの全重量の1重量
    %未満となるように前記の輻射線照射の強さ並びにフル
    エンスを制御し、そして、前記の少なくとも一表面上に
    準−非晶質ポリマー領域を形成するような速度で前記の
    溶融ポリマーを冷却させることを特徴とする前記の方
    法。
  8. 【請求項8】半結晶性ポリマーの表面の改質方法であっ
    て、半結晶性ポリマーの表面の少なくとも一表面を該ポ
    リマー組成物によって吸収される輻射線の1回またはそ
    れ以上の照射で照射し、そして、前記の表面上の半結晶
    性ポリマーを溶融させるように前記の輻射線照射の強さ
    並びにフルエンスを制御し、そして、前記の溶融および
    冷却によって形成した準−非晶質表面内に若干の分子配
    向が維持されるのに十分に迅速に冷却することを特徴と
    する前記の方法。
  9. 【請求項9】前記の少なくとも一表面の表面積の80〜10
    0%を、20〜250nmの深さまで準−非晶質にし、そして、
    前記の半結晶性ポリマーが、ポリ(ビニルクロライ
    ド)、ポリエステル、ポリ(ビニリデンクロライド)、
    ポリ(テトラフルオロエチレン)、ナイロン、ポリウレ
    タンおよびポリオレフィンからなる群から選ばれたポリ
    マーから成る特許請求の範囲第8項の方法。
  10. 【請求項10】前記の照射が100マイクロセカンド未満
    のパルスによる特許請求の範囲第7項、第8項、または
    第9項の方法。
  11. 【請求項11】前記の少なくとも一表面上に接着剤を適
    用した特許請求の範囲第1項〜第4項のポリマー物品を
    接着させる方法において、前記の接着剤を他の表面に接
    着させるのに十分な熱、圧力または他の適用エネルギー
    条件下で、前記の接着剤を前記の他の表面に接着させる
    方法。
  12. 【請求項12】特許請求の範囲第1項〜第4項の任意の
    1項に記載の少なくとも1種のポリマー物品を用意し、
    次いで、該ポリマー物品の前記の少なくとも一表面を他
    の物品と接触させている間に、前記の少なくとも一表面
    を加熱し、その際、該加熱は前記のポリマーのガラス転
    移温度より高い温度であり、そして、準−非晶質ポリマ
    ーの前記の領域を冷却によって結晶化させることを特徴
    とする2種の物品を一緒にヒートシールする方法。
  13. 【請求項13】半結晶性ポリマーの表面改質方法であっ
    て、半結晶性ポリマー組成物の少なくとも一表面を、該
    組成物によって吸収される輻射線で照射し、該表面上の
    半結晶性ポリマーを溶融させ、かつ、前記のポリマーの
    融蝕または気化が該ポリマーの全重量の0.1重量%未満
    であるように前記の輻射線照射の強さ並びにフルエンス
    を制御し、前記の少なくとも一表面に準−非晶質ポリマ
    ー領域を形成する速度で溶融ポリマーを冷却させ、そし
    て、前記の少なくとも一表面に、少なくとも0.2の透過
    または反射光学濃度を付与する物質を接着させることを
    特徴とする前記の方法。
  14. 【請求項14】前記の半結晶性ポリマーが可塑剤を含有
    するポリ(ビニルクロライド)であり、ポリマー物品
    が、更に (i)前記の半結晶性ポリマーの前記の少なくとも一表
    面上に、前記の半結晶性ポリマーより該可塑剤による浸
    透性が少ない有機ポリマーから成る連続ポリマーフィル
    ム、及び (ii)該連続ポリマーフィルムに接着した感熱性接着剤 を含む、特許請求の範囲第1項〜第5項の任意の1項の
    物品。
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