JP2806510B2 - 人工臓器用膜または医療用具 - Google Patents

人工臓器用膜または医療用具

Info

Publication number
JP2806510B2
JP2806510B2 JP2280031A JP28003190A JP2806510B2 JP 2806510 B2 JP2806510 B2 JP 2806510B2 JP 2280031 A JP2280031 A JP 2280031A JP 28003190 A JP28003190 A JP 28003190A JP 2806510 B2 JP2806510 B2 JP 2806510B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
membrane
artificial
acrylate
medical device
blood
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2280031A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04152952A (ja
Inventor
誠人 大西
賢一 志村
Original Assignee
テルモ 株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by テルモ 株式会社 filed Critical テルモ 株式会社
Priority to JP2280031A priority Critical patent/JP2806510B2/ja
Publication of JPH04152952A publication Critical patent/JPH04152952A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2806510B2 publication Critical patent/JP2806510B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • External Artificial Organs (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、人工臓器用膜または医療用具に関するもの
である。詳しく述べると、本発明は、血小板の粘着・活
性化の抑制効果、補体系の活性化の抑制効果、生体内組
織との親和性を有する人工臓器用膜または医療用具に関
するものである。
(従来の技術) 近年、各種の高分子材料を利用した医用材料の検討が
進められており、人工腎臓用膜、血漿分離用膜、カテー
テル、人工肺用膜、人工血管、癒着防止膜、人工皮膚等
への利用が期待されている。生体にとって異物である合
成材料を生体内組織や血液と接触させて使用することと
なるため、医用材料が生体適合性を有していることが要
求される。
この際に使用される生体適合性は、目的や使用法によ
って意味が異なるが、以下に例を挙げて説明する。
医用材料を血液と接する材料として使用する場合、
(a)血液凝固系の抑制、(b)血小板の粘着・活性化
の抑制、(c)補体系の活性化の抑制の3要素が生体適
合性として重要な項目となる。
例えば、比較的短時間血液と接する体外循環用医用材
料(人工腎臓や血漿分離膜など)として使用する場合、
一般にヘパリンやクエン酸ナトリウム等の抗凝固剤を同
時に使用するため、特に(b)及び、(c)の血小板や
補体系の活性化の抑制が重要な課題となる。
血小板の粘着・活性化の抑制については、ミクロ相分
離した表面や親水性表面、特に水溶性高分子を表面に結
合させたゲル化表面が優れており、ポリプロピレンなど
の疎水性表面は劣っていると言われている(例えば、ト
ランスアクションズ オブ アメリカン ソサエティ
オブ アーティフィカル インターナショナル オルガ
ンズ(Trans.Am.Soc.Artif.Intern.Organs)、vol.XXXI
II、第75〜84頁(1987)や高分子と医療、三田出版会、
第73頁(1989)などを参照)。しかし、ミクロ相分離構
造を有する表面は、適度な相分離状態にコントロールす
ることにより良好な血液適合性を発現することが可能と
なるが、そのような相分離を作製できる条件が限られて
おり、用途に制限のあるものであった。また、水溶性高
分子を表面に結合させたゲル表面では、血小板の粘着は
抑制されるが、材料表面で活性化された血小板や微小血
栓が体内に返還され、しばしば異常な血球成分(血小
板)の変動が観察され、問題となることがあった。
一方、補体系の活性化については、セルロースやエチ
レン−ビニルアルコール共重合体などの水酸基を有する
表面が高い活性を示し、ポリプロピレンなどの疎水性表
面では軽微であることが知られている(例えば、人工臓
器16(2)、1045〜1050(1987)などを参照)。しか
し、セルロース系やビニルアルコール系の材料を、例え
ば人工臓器用膜に使用すると、補体系の活性化の問題が
生じ、また、ポリエチレンなどの疎水性の表面を使用す
ると、血小板の粘着・活性化の問題が生じてしまう。
また、例えば長時間血液と接する人工血管として使用
する場合には、上記3項目のほかに新生内膜形式や生体
内組織の新生と再生が良好に行われるために生体内組織
(細胞)との親和性のある材料である必要がある。この
人工血管の材料としては、例えば超極細ポリエステル繊
維よりなる人工血管が挙げられる(人工臓器19(3)、
1287〜1291)。この超極細ポリエステル繊維は、生体の
異物認識〜生体防御による創傷治癒〜自己組織再生を利
用した医用材料の1つであり、今日人工血管として主に
使用されている。しかし、この人工血管を微小血管に長
期間適用すると、人工血管が閉塞してしまうという問題
が生じる。
さらに、血液以外にも生体内組織や体液と接する医用
材料、例えば、生体内に長期間埋入して使用される癒着
防止膜やインプラント材、あるいは創傷部(皮膚が剥が
れて損傷し、生体内組織が露出した部位)に接して使用
される創傷被覆材では、生体からの異物認識が少なく、
生体から剥離しやすい表面(非癒着性表面)が必要とさ
れる。しかしながら、従来上記材料として使用されてい
るシリコーン、ポリウレタンおよびポリテトラフルオロ
エチレンでは、材料表面に生体内組織が癒着してしまっ
たり、生体の異物認識が強すぎて、満足する性能が得ら
れていなかった。
以上より、従来の生体内組織や血液と接触させて使用
することとなる医用材料においては、血小板の粘着・活
性化の抑制、補体系の活性化の抑制、生体内組織との親
和性といった生体適合性を同時に満たす合成高分子表面
を容易に得ることができなかった。
(発明が解決しようとする課題) したがって、本発明は新規な生体内組織や血液と接し
て使用される人工臓器用膜または医療用具を提供するこ
とを目的とするものである。本発明はまた、血小板の粘
着・活性化の抑制、補体系の活性化の抑制効果、生体内
組織との親和性といった生体適合性を同時に満たす合成
高分子を表面に有する生体内組織や血液と接して使用さ
れる人工臓器用膜または医療用具を提供することを目的
とするものである。
(課題を解決するための手段) これらの諸目的は、下記一般式Iで表わされる繰返し
単位を構成成分とするヒドロキシル基を含まない合成高
分子を表面に有する人工臓器用膜または医療用具であっ
て、補体系を実質的に活性化することなく該表面を生体
内組織や血液と接して使用される人工臓器用膜または医
療用具によって達成される。
(ただし、式中、R1は炭素数1〜4のアルキレン、R2
炭素数1〜4のアルキルであり、またR3はHまたはCH3
をそれぞれ表す) なお、本明細書において、「生体内組織や血液と接し
て使用される」とは、生体の外表面組織である皮膚(表
皮、真皮までをここでいう皮膚に含める)や目(角膜)
と接して使用される形態を除く意味であり、この他の、
例えば、生体内に入れられた状態、生体内組織が露出し
た状態で当該組織と接して使用される形態、および体外
循環用医用材料において体外に取り出した生体内成分で
ある血液と接して使用される形態などをいうものとす
る。
本発明はまた、メトキシエチル(メタ)アクリレート
を主原料とする合成高分子を表面に有する人工臓器用膜
または医療用具であって、補体系を実質的に活性化する
ことなく該表面を生体内組織や血液と接して使用される
人工臓器用膜または医療用具によっても達成される。
本発明はさらに、上記人工臓器用膜または医療用具が
人工腎臓用膜、血漿分離膜、人工肺用膜、人工血管、人
工皮膚またはカテーテルである、前記人工臓器用膜また
は医療用具を示すものである。
(作用) 本発明に係わる生体内組織の血液と接して使用される
人工臓器用膜または医療用具は、一般式Iで表わされる
繰返し単位、いわゆるアルコキシアルキル(メタ)アク
リレートを構成成分とするヒドロキシル基を含まない合
成高分子を表面に有することを特徴とするものである。
(ただし、式中R1は炭素数1〜4、好ましくは炭素数1
〜3、最も好ましくは炭素数1〜2のアルキレン、R2
炭素数1〜4、好ましくは炭素数1〜3、最も好ましく
は炭素数1〜2のアルキルであり、またR3はHまたはCH
3をそれぞれ表す。) 前記アルコキシアルキル(メタ)アクリレートの重合
体は、下記のごときアルコキシアルキル(メタ)アクリ
レートの1種または2種以上の単量体の単独重合体また
は共重合体あるいは該アルコキシアルキル(メタ)アク
リレートとこれと共重合し得る単量体との共重合体であ
る。
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、
メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレ
ート、メトキシプロピルアクリレート、エトキシメチル
アクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシ
プロピルアクリレート、エトキシブチルアクリレート、
プロポキシメチルアクリレート、ブトキシエチルアクリ
レート、メトキシブチルアクリレート、メトキシメチル
メタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エト
キシメチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレ
ート、プロポキシメチルメタクリレート、ブトキシエチ
ルメタクリレート等があり、このうち、経済性や操作性
の点より特にメトキシエチルアクリレートが好ましい。
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートと共重合し
得る単量体としては、例えば、アクリルアミド、N,N−
ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミ
ド、アミノメチルアクリレート、アミノエチルアクリレ
ート、アミノイソプロピルアクリレート、ジアミノメチ
ルアクリレート、ジアミノエチルアクリレート、ジアミ
ノブチルアクリレート、メタアクリルアミド、N,N−ジ
メチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルア
ミド、アミノメチルメタクリレート、アミノエチルメタ
クリレート、ジアミノメチルメタクリレート、ジアミノ
エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルア
クリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリ
レート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタ
クリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレ
ート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレー
ト、エチレン、プロピレン等がある。
これらの共重合性単量体は、得られる重合体の生体適
合性が損なわれない程度の量で使用される。メトキシア
クリレートよりなるモノポリマーは吸水性とゴム弾性を
有し、物性としては必ずしも優れていないため、改質剤
としては使用できるものの、フィルムあるいは中空糸膜
などの成形体としての使用には問題があった。従って、
メタクリレートやメチルメタクリレートなどのホモポリ
マーのガラス転位点が300K以上の疎水性単量体と共重合
させることによって、ヤング率や強度などの物性が向上
し、各種の成形体としても有用となる。
また、共重合性単量体としては、分子内にヒドロキシ
基を有しないことが必須であり、さらに、生体適合性を
考慮すると、分子内にカオチン性基を有しない単量体で
あることが好ましい、共重合体は、ランダム共重合体、
ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよ
く、ラジカル重合やイオン重合、マクロマーを利用した
重合等の公知の方法で使用できる。
共重合体より形成される表面を有する医用材料では、
メトキシエチルアクリレートが有効に生体内組織や血液
と接して使用されなければならない。
例えば、ランダム共重合体の場合では、共重合する単
量体よりなるホモポリマーがポリメトキシエチルアクリ
レートより親水性である場合、該単量体の比率は60%以
下が好ましい。そのような単量体としては、アクリルア
ミド系誘導体のようにホモポリマーが水溶性である単量
体を例示できる。60%を越えるとアルコキシアルキルシ
アクリレートによる効果が低下してしまうからである。
一方、共重合する単量体が、アルキル(メタ)アクリレ
ートなどの疎水性単量体である場合、該単量体の比率は
95%以下であることが好ましい。メトキシエチルアクリ
レートのほうがより親水性であるため、生体内組織との
界面において、安定に存在しやすく、少量であっても効
果を発現することとなる。
ブロック共重合体やグラフト共重合体の場合において
も同様の現象がより強く発現されるため、共重合する単
量体よりなるホモポリマーがポリメトキシエチルアクリ
レートより親水性である場合、該単量体の比率は10%以
下が好ましく、共重合する単量体が、アルキル(メタ)
アクリレートなどの疎水性単量体である場合、該単量体
の比率は95%以下であることが好ましい。
このようにして得られるアルコキシアルキル(メタ)
アクリレート重合体の数平均分子量は10,000〜300,00
0、好ましくは30,000〜100,000である。
本発明の生体内組織や血液と接して使用される人工臓
器用膜または医療用具の形態としては、人工腎臓用膜、
血漿分離用膜、カテーテル、人工肺用膜、人工血管、癒
着防止膜、人工皮膚、創傷被覆材、インプラント用材
料、DDS基材等を例示することができる。特に、大量の
血液と接する医療用分離膜や長期間生体内組織と接する
創傷被覆材やインプラント用材料として好適に使用され
る。
また、本発明の生体内組織や血液と接して使用される
人工臓器用膜または医療用具は、一般式Iで表わされる
繰返し単位を構成成分とするヒドロキシル基を含まない
合成高分子を表面に有していればよく、該合成高分子の
みよりなる物品である必要はない。これは、材料の表面
構造が生体適合性と密接な関係があるからである。した
がって、基材の表面に該材料を被覆したものでよい。基
材の表面に該生体適合性医療用材料を保持させる方法と
しては、被覆法が最も一般的な方法であるが、放射線や
紫外線によるグラフト重合やプラズマ重合などにより保
持することも可能である。
被覆法を行なう場合には、前記アルコキシアルキル
(メタ)アクリレート重合体の溶液を浸漬法、スプレー
法、フローコーター法等公知の方法により被覆し、つい
で乾燥することにより行なわれる。その膜厚は1μm以
上であれば充分であり、好ましくは1mm以下である。
プラズマグラフト重合により基材の表面に前記アルコ
キシアルキル(メタ)アクリレート重合体層を形成する
には、10-3〜10Torr、好ましくは10-2〜1Torrの減圧下
にアルゴン、窒素、空気、種々のモノマー等の雰囲気下
に低温プラズマを1〜300秒間、好ましくは2〜30秒間
照射したのち、前記単量体を供給してプラズマ開始重合
を行なうことにより行なわれる。
基材としては、目的とする人工臓器ないし医療用具に
より異なるが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニ
リデン、ポリテトラフルオロエチレン、ハロゲン化ポリ
オレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリカーボネート等がある。
本発明の生体内組織や血液と接して使用される人工臓
器用膜または医療用具において、アルコキシアルキルア
クリレートは、分子内に極性基としてエーテル結合とエ
ステル結合を有しているだけであり、これらの極性基は
窒素原子(アミノ基、イミノ基)やカルボキシル基など
と異なり、生体内成分と強い静電的相互作用を持たない
ため、生体内組織や血液に対して活性が低く、また、適
度な親水性で大きな疎水基を持たないため、疎水性相互
作用も小さくなり、このため優れた生体適合性を発現す
るものと推測される。例えば、合成高分子材料表面と生
体内組織や血液中のタンパク質との接触を考えると、な
るべくタンパク質の吸着変性や活性化が起こらない表面
が好ましく、物質間に働く大きな相互作用である疎水性
相互作用や静電的相互作用を小さくすることが有用であ
ると考えられており、このことからも本発明の医用材料
は好適な表面構造となり得る。
また、本発明の医用材料の表面は、水酸基が存在する
ことなく、適度の親水性を有しているので、血液浄化等
の膜素材として血液と接して使用した場合、補体系の活
性化や血小板の粘着が軽微となり、優れた血液適合性を
発現することとなる。
さらには、水酸基に起用した水素結合による生体成分
との相互作用、吸着タンパクの変性なども起こらなくな
る。
また、メトキシエチル(メタ)アクリレートやエトキ
シエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキ
ル(メタ)アクリレートは、適度の親水性と吸水性(メ
トキシエチルアクリレートでは吸水率4.1%)を有して
いるので、薄い膜状に成形した場合、創傷部の適度な蒸
散と保温が要求される創傷被覆材として優れたものとな
ることができる。
(実施例) 実施例1 ポリプロピレンフィルム(二村化学株式会社製、FOP
#60、厚さ60μm)の表面をプラズマ処理(乾燥空気で
1.0Torr、30秒)した後、メトキシエチルアクリレート
を20重量部含むメタノール溶液中にアゾビスイソブチル
ニトリル(0.5重量部)を開始剤として、50℃、3時間
重合して得られたポリメトキシエチルアクリレートを上
記ポリプロピレンフィルムの表面にコーティングするこ
とにより、メトキシエチルアクリレートをコーティング
したフィルムを作製した。
このようにして得られたフィルムをラット背部と腹腔
に埋入し、2週間および4週間後に上記フィルムを取り
出して生体適合性を観察したところ、組織や異物反応が
ほとんど認められず、優れた生体適合性を示した。
実施例2〜3および比較例1〜4 ポリプロピレンフィルムの表面にアルゴン低温プラズ
マを0.1Torr、約15秒間照射した後、第1表に示した単
量体と接触させてグラフト鎖を形成させた。
得られた材料表面について、実施例1と同様にして、
生体適合性試験を行った。
なお、比較例4は、ポリエチレンイミンと錯体を形成
させた後試験に供した。
結果を1表に示す。
実施例4〜5および比較例5〜9 血液との適合性を調べるために、表2に示した材料に
ついて、血小板の粘着テストを行った。すなわち、クエ
ン酸ナトリウムで抗凝固した人新鮮多血小板血漿と材料
表面とを30分間接触させ、生理食塩水でリンスし、グル
タルアルデヒドで固定した後、0.1mm2に粘着した血小板
数を電子顕微鏡で観察した。血小板の形態変化の進行度
により1→2→3→4型に分類して、MS(モルフォロジ
カルスコア)を以下のように定義して血液との適合性の
評価を行った。
MS=n1×1+n2×2+n3×3+n4×4 (n1は1型の血小板数、n2は2型の血小板数、n3は3型
の血小板数、n4は4型の血小板数) 結果を第2表に示す。これにより、ポリメトキシエチ
ルアクリレート表面は、MSが小さく、血小板の粘着が抑
制されていたことが示される。
実施例6および比較例10〜11 補体系の活性化について調べるために、メトキシエチ
ルアクリレートよりなる重合体を表面に有する孔径0.45
μmのポリプロピレン多孔質膜(実施例6)を実施例2
と同様の方法を用いてプラズマグラフト法により作製し
た。
このようにして得られた多孔質膜を用いて人新鮮血を
濾過して、濾液の血漿中に含まれる補体系の活性化成分
であるC3aの定量を行なった。
また、比較例として、孔径0.45μmのアドバンテック
(株)製セルロースアセテート膜(比較例10)とポリプ
ロピレン膜(比較例11)についても測定した。
結果を以下に示す。
濾液中のC3a濃度/分離前血漿中のC3a濃度 実施例6 1.5 比較例10 21.2 比較例11 5.6 生体内組織や血液と接して使用される創傷被覆膜や医
療用膜のような膜状物を作製するためにはある程度の強
度が要求され、他のモノマーとの共重合が必要となるこ
とがあるが、アルコキシアルキルアクリレートは、他の
アクリル系モノマーやスチレン、エチレン等と共重合す
ることが知られている。例えば、メトキシエチルアクリ
レートを薄い膜状に成形して強度を持たせるためには、
エチルメタクリレートなどの疎水性でガラス転位点の高
いポリマーと共重合させるとよい。膜状に成形するに
は、キャスティング法や湿式紡糸法等の方法でよく、形
状も平膜状、中空糸状を問わない。
以下に、膜状物の作製についての実施例を示す。
メトキシエチルアクリレートとエチルメタクリレート
(2:1)をブタノール中で、ベンゾインパーオキサイド
(0.1重量%)を開始剤として重合させた。得られたポ
リマー溶液をガラス板上にキャストし、溶媒を蒸発乾固
してメトキシエチルアクリレートを構成成分とした膜
(実施例7)を得た。
メトキシエチルアクリレートとエチルメタクリレート
(1:2)をベンゼン中で、ベンゾインパーオキシド(0.1
重量%)を開始剤として重合させた。得られたポリマー
溶液をガラス板上にキャストし、溶媒を蒸発乾固してメ
トキシエチルアクリレートを構成成分とした膜(実施例
8)を得た。
メトキシエチルアクリレートとメチルメタクリレート
(1:5)をベンゼン中で、ベンゾインパーオキシド(0.1
重量%)を開始剤として重合させた。得られたポリマー
溶液をガラス板上にキャストし、溶媒を蒸発乾固してメ
トキシエチルアクリレートを構成成分とした膜(実施例
9)を得た。
実施例7〜9の膜について、実施例4と同様にして血
小板の粘着テストを行った。
結果を以下に示す。これより、粘着した血小板はほと
んど観察されなかった。
MS 実施例7 6 実施例8 14 実施例9 11 例えば、実施例9で得られたメトキシエチルアクリレ
ートとメチルメタクリレートの共重合体をメタノールに
溶解させ、塩化カルシウム:メタノール:水=1:1:8の
組成の凝固浴にキャストすることにより、メトキシエチ
ルアクリレートを含む重合体よりなる膜状物を得ること
ができる。
このようにして得られる膜状物は、創傷被覆膜や血漿
分離膜、あるいは人工腎臓用膜として有用である。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明は、一般式Iで表わされる
繰返し単位を構成成分とするヒドロキシル基を含まない
合成高分子を表面に有する人工臓器用膜または医療用具
であって、補体系を実質的に活性化することなく該表面
を生体内組織や血液と接して使用される人工臓器用膜ま
たは医療用具であるから、生体内組織や血液と接触した
際に、血小板の粘着や活性化が軽微で、また補体系の活
性化が軽微であり、さらに生体内組織との親和性に優れ
ているという利点があり、このため、人工腎臓用膜、血
漿分離膜、カテーテル、人工肺用膜、人工血管、人工皮
膚等の人工臓器ないし医療用具の材料として極めて有用
である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式Iで表わされる繰返し単位を構
    成成分とするヒドロキシル基を含まない合成高分子を表
    面に有する人工臓器用膜または医療用具であって、補体
    系を実質的に活性化することなく該表面を生体内組織や
    血液と接して使用される人工臓器用膜または医療用具。 (ただし、式中、R1は炭素数1〜4のアルキレン、R2
    炭素数1〜4のアルキルであり、またR3はHまたはCH3
    をそれぞれ表す)
  2. 【請求項2】メトキシエチル(メタ)アクリレートを主
    原料とする合成高分子を表面に有する人工臓器用膜また
    は医療用具であって、補体系を実質的に活性化すること
    なく該表面を生体内組織や血液と接して使用される人工
    臓器用膜または医療用具。
  3. 【請求項3】該人工臓器用膜または医療用具が人工腎臓
    用膜、血漿分離膜、人工肺用膜、人工血管、人工皮膚ま
    たはカテーテルである、請求項1または2に記載の人工
    臓器用膜または医療用具。
JP2280031A 1990-10-18 1990-10-18 人工臓器用膜または医療用具 Expired - Fee Related JP2806510B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2280031A JP2806510B2 (ja) 1990-10-18 1990-10-18 人工臓器用膜または医療用具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2280031A JP2806510B2 (ja) 1990-10-18 1990-10-18 人工臓器用膜または医療用具

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04152952A JPH04152952A (ja) 1992-05-26
JP2806510B2 true JP2806510B2 (ja) 1998-09-30

Family

ID=17619336

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2280031A Expired - Fee Related JP2806510B2 (ja) 1990-10-18 1990-10-18 人工臓器用膜または医療用具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2806510B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3459836B2 (ja) 1992-03-18 2003-10-27 テルモ株式会社 血小板純化用フィルター
EP1655354A2 (en) 2004-11-09 2006-05-10 JSR Corporation A biological substance absorption preventing coating composition, an article coated therewith and a method of using the same
JP2006158961A (ja) * 2004-11-09 2006-06-22 Jsr Corp 生体関連物質用物品およびその製造方法、ならびに生体関連物質吸着防止用コーティング組成物およびその使用方法
US7863408B2 (en) 2002-07-05 2011-01-04 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Body fluid compatible and biocompatible resin
WO2013024815A2 (ja) 2011-08-15 2013-02-21 一般財団法人川村理化学研究所 ブロック共重合体、および抗血栓コーティング剤
CN112789065A (zh) * 2018-10-01 2021-05-11 微仙美国有限公司 医疗设备

Families Citing this family (28)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3908839B2 (ja) * 1997-10-09 2007-04-25 テルモ株式会社 中空糸膜外部血液灌流型人工肺
JP4404445B2 (ja) 2000-05-17 2010-01-27 テルモ株式会社 血液フィルターおよび血液フィルターの製造方法
JP4404468B2 (ja) 2000-09-29 2010-01-27 テルモ株式会社 血液フィルターおよびその製造方法
ES2315325T3 (es) * 2001-04-25 2009-04-01 Terumo Kabushiki Kaisha (met)acrilatos de polialcoxialquilo y su preparacion.
EP1270029B1 (en) 2001-06-28 2004-12-29 Terumo Kabushiki Kaisha Artificial cardiopulmonary circuit system
US7700659B2 (en) 2005-03-24 2010-04-20 Advanced Cardiovascular Systems, Inc. Implantable devices formed of non-fouling methacrylate or acrylate polymers
US9381279B2 (en) 2005-03-24 2016-07-05 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Implantable devices formed on non-fouling methacrylate or acrylate polymers
BRPI0617460B8 (pt) 2005-10-18 2021-07-27 Fujimori Kogyo Co Ltd aparelho que monitora a formação de trombo pelo escoamento de sangue anticoagulado através de um canal que simula um vaso sanguíneo enquanto libera um tratamento de anticoagulação ou que promove a coagulação sanguínea, e, método in vitro para monitorar a formação de trombo
JP6474540B2 (ja) * 2010-11-17 2019-02-27 国立大学法人山形大学 溶液から細胞を分離する細胞分離方法、細胞吸着用水和性組成物、および細胞分離システム
EP3088014B1 (en) 2013-12-27 2018-06-20 Terumo Kabushiki Kaisha Medical device
WO2015098764A1 (ja) * 2013-12-27 2015-07-02 テルモ株式会社 抗血栓性医療材料、および該医療材料を利用した医療用具
WO2015125890A1 (ja) * 2014-02-24 2015-08-27 テルモ株式会社 医療材料、および該医療材料を利用した医療用具
JP6278731B2 (ja) 2014-02-24 2018-02-14 テルモ株式会社 抗血栓性医療材料、および該医療材料を利用した医療用具
JP6456196B2 (ja) * 2015-03-10 2019-01-23 テルモ株式会社 抗血栓性接着用組成物、ならびに該抗血栓性接着用組成物を利用した医療用具およびその製造方法
US10188774B2 (en) 2015-03-10 2019-01-29 Terumo Kabushiki Kaisha Method for producing antithrombotic coating material
JP6600560B2 (ja) * 2015-03-10 2019-10-30 テルモ株式会社 抗血栓性コーティング材の製造方法
JP6640584B2 (ja) * 2016-02-02 2020-02-05 テルモ株式会社 医療用具およびその製造方法
JP6278321B2 (ja) * 2016-02-10 2018-02-14 国立大学法人山形大学 溶液から細胞を分離する細胞分離方法、および、細胞分取用水和性組成物
CN108601934B (zh) 2016-03-08 2021-05-07 泰尔茂株式会社 医疗用具
CN110612107A (zh) * 2017-05-12 2019-12-24 微仙美国有限公司 医疗器械
JP7209643B2 (ja) * 2018-01-22 2023-01-20 テルモ株式会社 医療用コーティング材料および該医療用コーティング材料を利用した医療用具
WO2019187860A1 (ja) 2018-03-30 2019-10-03 テルモ株式会社 医療器具および医療器具の製造方法
CN112771090A (zh) * 2018-09-26 2021-05-07 三菱化学株式会社 蛋白质附着抑制用共聚物、共聚物的制造方法、树脂改性剂、成型材料、含有共聚物的组合物、涂膜和物品
JP7365830B2 (ja) * 2019-09-17 2023-10-20 テルモ株式会社 医療器具および医療器具の製造方法
JPWO2022185963A1 (ja) 2021-03-04 2022-09-09
US20240254423A1 (en) * 2021-07-28 2024-08-01 Phc Holdings Corporation Cell capture device, cell capture apparatus, and cell capture method
WO2023068375A1 (ja) * 2021-10-22 2023-04-27 三菱ケミカル株式会社 樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、成形材料、及び物品
CN120826246A (zh) * 2023-03-22 2025-10-21 东亚合成株式会社 医疗用涂布剂和医疗设备

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56140927A (en) * 1980-04-07 1981-11-04 Nitto Electric Ind Co Ltd Medical member

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3459836B2 (ja) 1992-03-18 2003-10-27 テルモ株式会社 血小板純化用フィルター
US7863408B2 (en) 2002-07-05 2011-01-04 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Body fluid compatible and biocompatible resin
EP1655354A2 (en) 2004-11-09 2006-05-10 JSR Corporation A biological substance absorption preventing coating composition, an article coated therewith and a method of using the same
JP2006158961A (ja) * 2004-11-09 2006-06-22 Jsr Corp 生体関連物質用物品およびその製造方法、ならびに生体関連物質吸着防止用コーティング組成物およびその使用方法
US7569622B2 (en) 2004-11-09 2009-08-04 Jsr Corporation Biological substance related article and method of manufacturing the same, and biological substance adsorption preventive coating composition and method of using the same
US7754806B2 (en) 2004-11-09 2010-07-13 Jsr Corporation Biological substance related article and method of manufacturing the same, and biological substance adsorption preventive coating composition and method of using the same
WO2013024815A2 (ja) 2011-08-15 2013-02-21 一般財団法人川村理化学研究所 ブロック共重合体、および抗血栓コーティング剤
US9474835B2 (en) 2011-08-15 2016-10-25 Kawamura Institute Of Chemical Research Block copolymer and antithrombotic coating agent
CN112789065A (zh) * 2018-10-01 2021-05-11 微仙美国有限公司 医疗设备
US11975125B2 (en) 2018-10-01 2024-05-07 Microvention, Inc. Medical devices

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04152952A (ja) 1992-05-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2806510B2 (ja) 人工臓器用膜または医療用具
JP4404468B2 (ja) 血液フィルターおよびその製造方法
JP2992556B2 (ja) 表面改質した医療器具
JP2566548B2 (ja) 表面改質した外科用機器、器具、インプラント、コンタクトレンズおよびその類似物
US4961954A (en) Surface modified surgical instruments, devices, implants, contact lenses and the like
US5290548A (en) Surface modified ocular implants, surgical instruments, devices, prostheses, contact lenses and the like
US6387379B1 (en) Biofunctional surface modified ocular implants, surgical instruments, medical devices, prostheses, contact lenses and the like
US5885566A (en) Surface modified surgical instruments, medical devices, implants, contact lenses and the like
JP6373872B2 (ja) 医療用具
JPWO2015137259A1 (ja) 医療用具の製造方法および医療用具
CN106674486B (zh) 一种侧链含磷酰胆碱基团的聚酯型聚氨酯材料及其制备方法
JP6462278B2 (ja) 生体適合性コポリマー、これを利用する抗血栓コーティング剤及び医療用具
CN115721786B (zh) 一种功能性医用涂层及其制备方法
JPH07184989A (ja) 血液適合性医療用高分子材料および医療材料
JPH11510399A (ja) 生体材料用の血栓耐性表面処理
JP6397889B2 (ja) 医療材料、および該医療材料を利用した医療用具
JP2011177381A (ja) 医療用具システム
JP4718766B2 (ja) 血液フィルター
JP4162028B2 (ja) (メタ)アクリレート共重合体
JP2014147639A (ja) 医療用具
JPH03103264A (ja) 生体適合性に優れた表面を有する医療用具の製造方法
RU2388495C1 (ru) Способ получения тромборезистентных полимерных материалов
JPH07145215A (ja) 生体適合性樹脂組成物及びそれを用いた医療用材料
JP3361117B2 (ja) 血液または血液成分の保存容器
Ikada Super-hydrophilic surfaces for biomedical applications

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070724

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080724

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090724

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090724

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100724

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees