JP7365830B2 - 医療器具および医療器具の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の一形態は、表面にシリコーンオイルと下記式(I)で示される構成単位を含む化合物との混合物を含むコーティングを有する医療器具である。
本形態の医療器具は、表面にシリコーンオイルと上記式(I)で示される構成単位を含む化合物との混合物を含むコーティングを有する。本明細書において、コーティングとは、医療器具の表面の少なくとも一部がシリコーンオイルと上記式(I)で示される構成単位を含む化合物との混合物により被覆されていることを意味する。すなわち、本形態の医療器具の表面は、シリコーンオイルと式(I)で示される構成単位を含む化合物との混合物により、表面の一部のみが被覆されていてもよく、表面全体が被覆されていてもよい。好ましい実施形態では、医療器具の表面は、本発明の効果をより発揮するとの観点から、前記混合物により、表面の一部のみが被覆されていることが好ましい。
本形態に係る混合物は、シリコーンオイルを含む。
本形態に係る混合物は、下記式(I)で示される構成単位を含む化合物を含む。
本形態に係る混合物は、形態の安定性の観点から、架橋型シリコーンをさらに含むことが好ましい。
本形態に係るコーティングは、上記以外の成分(その他の成分)をさらに含むことができる。その他の成分としては、薬理作用のある薬剤で徐放性のあるもの、例えば、抗菌剤、抗血栓性剤などが挙げられる。
本形態の医療器具としては、体液や血液などと接触して用いる器具が挙げられる。上述のとおり、医療器具の表面がシリコーンオイルと上記式(I)で示される構成単位を含む化合物との混合物を含むコーティングを有することにより、優れた滑り性を有し、かつ優れた抗血栓性を発揮することができる。そのため、本形態の医療器具は、滑り性および/または抗血栓性を要求されるものであれば、いずれの用途で使用されてもよい。例えば、カテーテル、シース、カニューレ、針、三方活栓、ガイドワイヤなどが挙げられる。また、他の例としては、血液回路、人工透析器、人工(補助)心臓、人工肺、留置針、人工腎臓、ステントなどが挙げられる。血管などの体腔に挿入や留置をする医療器具の場合は、体腔と接触する際に滑り性を向上させるために当該器具の少なくとも一部の外表面に上記構造を有することができる。カテーテル、シースなど、内部空間に他の器具を挿入する医療器具の場合は、他の器具を挿入する際の滑り性を向上させるために、内部空間の少なくとも一部の表面に上記構造を有することができる。特に、本形態の医療器具は、滑り性、特に刺通特性と抗血栓性とを両立できるため、留置カテーテルとして好適に使用される。
本発明の別の形態は、シリコーンオイルと下記式(I)で示される構成単位を含む化合物とを含む混合溶液を基材にコートすることを有する、医療器具の製造方法である。
本形態に係る混合溶液は、シリコーンオイルと、下記式(I)で示される構成単位を含む化合物と、必要に応じて架橋型シリコーンとを含む。
医療器具の基材の材質としては、特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-α-オレフィン共重合体等のポリオレフィンや変性ポリオレフィン;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート等のポリエステル;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン(PVDC);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素樹脂等の各種高分子材料、金属、セラミック、カーボン、およびこれらの複合材料等が例示できる。上記の高分子材料は延伸処理がなされたもの(例えば、ePTFE)であっても良い。
混合溶液を基材にコートする方法は、特に制限されず、塗布・印刷法、浸漬法(ディッピング法、ディップコート法)、噴霧法(スプレー法)、スピンコート法、混合溶液含浸スポンジコート法など、従来公知の方法を使用できる。
ポリウレタン樹脂(日本ミラクトン社製)を用いて押出成型を行い、その後100℃で1時間アニール処理を行い、カテーテル基材を作製した。
メトキシエチルアクリレート(MEA)100g(0.77mol)を95gのメタノールに溶解し、四ツ口フラスコに入れ、50℃でN2バブリングを1時間行い、メタノール溶液を調製した(メタノール溶液調製工程)。その後、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-70、富士フイルム和光純薬株式会社製、10時間半減期温度:30℃)0.1gを5gのメタノールに溶解した開始剤溶液を、MEAを溶解したメタノール溶液に加えて重合反応液(重合反応液の単量体含量:50質量%)を調製した。重合反応液を攪拌しつつ、窒素ガス雰囲気下にて50℃で5時間重合させた。重合後の液をエタノールに滴下し、析出した重合体を回収した。なお、回収した重合体(PMEA)の重量平均分子量は、40万であった。
上記で作製したPMEA(重量平均分子量40万)とシリコーンオイル(メディカルフルイド360、ダウコーニング株式会社製)と特公昭61-35870号公報に記載のコーティング剤調製例1に基づいて作られた架橋型シリコーンとをそれぞれ濃度が0.1w/v%と3w/v%と3w/v%とになるようアサヒクリンAK225(ジクロロペンタフルオロプロパン;旭硝子株式会社製)に溶解して、混合溶液を作製した。この混合溶液に、株式会社アイエイアイ製ロボシリンダーを用いて、上記で作製したカテーテル基材を10秒間浸漬し、速度5mm/secで引き上げ、60℃で30分乾燥して、カテーテルを作製した。作製したカテーテルをレーザー顕微鏡(対物レンズ150倍)を用いて確認したところ、PMEAとシリコーンオイルと架橋型シリコーンとの混合物が分散している状態を形成していた(図2)。
上記で作製したPMEA(重量平均分子量40万)とシリコーンオイル(メディカルフルイド360、ダウコーニング株式会社製)とをそれぞれ濃度が0.1w/v%と3w/v%とになるようアサヒクリンAK225(旭硝子株式会社製)に溶解して、混合溶液を作製した。この混合溶液に、株式会社アイエイアイ製ロボシリンダーを用いて、上記で作製したカテーテル基材を10秒間浸漬し、速度5mm/secで引き上げ、60℃で30分乾燥して、カテーテルを作製した。作製したカテーテルをレーザー顕微鏡(対物レンズ150倍)を用いて確認したところ、PMEAとシリコーンオイルとの混合物が分散している状態を形成していた(図2)。
上記で作製したPMEA(重量平均分子量40万)を濃度が0.1w/v%になるようアサヒクリンAK225(旭硝子株式会社製)に溶解して、溶液を作製した。この溶液に、株式会社アイエイアイ製ロボシリンダーを用いて、上記で作製したカテーテル基材を10秒間浸漬し、速度5mm/secで引き上げ、60℃で30分乾燥して、比較カテーテルを作製した。作製したカテーテルをレーザー顕微鏡(対物レンズ150倍)を用いて確認したところ、ほぼ均一な表面状態であった(図2)。
シリコーンオイル(メディカルフルイド360、ダウコーニング株式会社製)と特公昭61-35870号公報に記載のコーティング剤調製例1に基づいて作られた架橋型シリコーンとをそれぞれ濃度が3w/v%と3w/v%とになるようアサヒクリンAK225(旭硝子株式会社製)に溶解して、混合溶液を作製した。この混合溶液に、株式会社アイエイアイ製ロボシリンダーを用いて、上記で作製したカテーテル基材を10秒間浸漬し、速度5mm/secで引き上げ、60℃で30分乾燥して、比較カテーテルを作製した。作製したカテーテルをレーザー顕微鏡(対物レンズ150倍)を用いて確認したところ、ほぼ均一な表面状態であった(図2)。
シリコーンオイル(メディカルフルイド360、ダウコーニング株式会社製)を濃度が3w/v%になるようアサヒクリンAK225(旭硝子株式会社製)に溶解して、溶液を作製した。この溶液に、株式会社アイエイアイ製ロボシリンダーを用いて、上記で作製したカテーテル基材を10秒間浸漬し、速度5mm/secで引き上げ、60℃で30分乾燥して、比較カテーテルを作製した。作製したカテーテルをレーザー顕微鏡(対物レンズ150倍)を用いて確認したところ、ほぼ均一な表面状態であった。
[刺通抵抗評価]
実施例1~2のカテーテルおよび比較例1~3の比較カテーテルについて、刺通抵抗(胴部抵抗)を測定した。具体的には、外径0.8mm、内径1.1mmのカテーテルに内針を組み込み、株式会社島津製作所製小型卓上試験機EZ-1を用いて、厚さ50μmのポリエチレンフィルムに角度90度、速度30mm/minで穿刺し、針先から10mm通過後の最大抵抗値を測定し、胴部抵抗とした。結果を表1に示す。
実施例1~2のカテーテルおよび比較例1~3の比較カテーテルについて、ヘキサンに浸漬することにより洗浄した後、図1に示す系にて3時間の血液循環実験を行った。循環後、カテーテルの表面に付着した血栓量を測定した(蛋白定量)。結果を表1に示す。
Claims (6)
- 表面にシリコーンオイルと下記式(I)で示される構成単位を含む化合物との混合物を含むコーティングを有し、前記混合物において、前記シリコーンオイルと前記式(I)で示される構成単位を含む化合物との質量比が、1:0.01~0.1である、カテーテル:
- 前記式(I)で示される構成単位を含む化合物がポリメトキシエチルアクリレートである、請求項1に記載のカテーテル。
- 前記混合物により、前記表面の一部のみが被覆されている、請求項1または2に記載のカテーテル。
- 前記混合物が架橋型シリコーンをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のカテーテル。
- シリコーンオイルと下記式(I)で示される構成単位を含む化合物とを含む混合溶液を基材にコートすることを有し、前記混合溶液において、前記シリコーンオイルと前記式(I)で示される構成単位を含む化合物との質量比が、1:0.01~0.1である、カテーテルの製造方法:
- 前記混合溶液が架橋型シリコーンをさらに含む、請求項5に記載の製造方法。
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