JP2804277B2 - コントロールケーブル - Google Patents

コントロールケーブル

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JP2804277B2 JP63335135A JP33513588A JP2804277B2 JP 2804277 B2 JP2804277 B2 JP 2804277B2 JP 63335135 A JP63335135 A JP 63335135A JP 33513588 A JP33513588 A JP 33513588A JP 2804277 B2 JP2804277 B2 JP 2804277B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は駐車ブレーキなどに用いられるコントロール
ケーブルに関する。さらに詳しくは、可撓性を顕著に向
上せしめたコントロールケーブルに関する。
[従来の技術] 従来の鉄道車両における手動式の駐車ブレーキには遠
隔操作手段としてロッド・リンク式あるいはチェーン伝
達式のものを用いたものがある。
一方、たとえば地下鉄用の車輛などのようにスペース
の節約の要請が強く、さらに軽量化が要求されるもので
は、第5〜6図に示すような特殊な構造のコントロール
ケーブルが採用されている。
第5〜6図のコントロールケーブルは、いわゆるボー
ルベアリングタイプのコントロールケーブルであり、上
下面に溝のある偏平な帯状の中心レース(21)と、その
上下両側に多数配列されるボール(22)と、それらのボ
ール(22)の間隔を保持するためのリテーナ(23)と、
ボール(22)の外側に設けられるアウターレース(24)
と、その外周の螺旋管(25)やアウターコート(26)な
どから構成される。このものは中心レース(21)が可動
部材であり、ボール(22)およびリテーナ(23)は中心
レース(21)のストロークの1/2だけ転動することによ
って摩擦抵抗を減少させる構造となっている。
[発明が解決しようとする課題] 前記従来のボールベアリングタイプのコントロールケ
ーブルは平坦な中心レース(21)を可動部材としている
ので、3次元的な配索やねじりのある構成が困難であ
り、柔軟性に乏しく、しかもリテーナの移動長さを確保
するためにストロークに制限があるなど、採用するにあ
たって種々の制約がある。
すなわち実用的には、3次元配索やU字状の配索にさ
れたとき、前記ボール(22)の受ける抵抗が中心レース
(21)の上下でたがいに異なるので、中心レースの往復
運動によってボールが一端に片寄ってしまう。そのた
め、最終的にボールベアリングの効果(コロガリ接触)
が消失して中心レース(21)とボール(22)とにカジリ
を生じ、作動不能となるおそれがある。
本発明はかかる問題を解消し、第5〜6図のようなボ
ールベアリングタイプのコントロールケーブルと同程度
の荷重効率(ケーブルの一端に加えた操作力(F)に対
する他端よりえられる出力(W)の比率(%))および
ストローク効率(ケーブルの一端に加える操作ストロー
ク(ストロークロス(l)を含む)に対する他端の動作
ストロークの比率(%))を備えた3次元配索可能なコ
ントロールケーブルを、摺動式の内索および導管から構
成することを目的としている。
[課題を解決するための手段] 本発明のコントロールケーブルは、 (a)複数本の素線を撚り合わせたコア部と、該コアの
外周に設けた被覆とからなる内索と、 (b)チューブ状のライナーと、該ライナーの外周に複
数本の素線を配列させてなるシールド層と、該シールド
層の外周に鋼製のテープを隙間をあけて巻きつけられた
テーピングと、該テーピングの前記隙間を埋めるように
全長に亘って巻きつけられた可撓性および柔軟性に富む
充填材と、前記テーピングおよび充填材の外周に設けた
被覆層とを有し、前記内索を摺動自在に挿入する導管 とからなるコントロールケーブルであって、 前記内索に1〜5トンのプリテンションが0.2〜5時
間かけられ、前記導管にその反力によりプリコンプレッ
ションがかけられたのち、該プリテンションが解除され
てなることを特徴としている。
内索の被覆はポリアミド、ポリエステル、ポリアセタ
ールなどの熱可塑性樹脂組成物から形成され、とくにポ
リヘキサメチレンアジパミド(以下、ナイロン66とい
う)樹脂組成物が好適である。
また導管のライナーもポリエステル、ポリアミド、ポ
リアセタールなどの熱可塑性樹脂組成物から形成され、
とくにポリブチレンテフタレート(PBT)樹脂組成物が
好適である。
ライナーの材料であるPBTはチタン酸カリウムウイス
カーを配合することにより、表面硬度および熱変形温度
を上げて耐久性を向上させることができるが、配合割合
が1重量%未満のばあいは耐久性が無添加のばあいと変
わらず、30重量%を超えるばあいには、さらなる向上が
認められず、可撓性がいちじるしく低下する。したがっ
て好ましい配合割合は1〜30重量%である。なお前記チ
タン酸カリウムウイスカーのような無機系フィラーのか
わりにアラミド繊維などの有機系フィラーを添加剤とし
てもよい。そのばあいの配合割合も1〜30重量%が好ま
しい。
[作 用] 本発明のコントロールケーブルは従来のボールベアリ
ング式コントロールケーブルに比して格段に高い柔軟性
を有し、配索の自由度が高く、配索作業が容易である。
しかも従来のボールベアリング式のコントロールケーブ
ルと比較すると荷重効率がほぼ同じであり、ストローク
効率にいたってはかえってすぐれたものがえられる。
すなわちシールド層は複数の素線から構成されるので
可撓性があり、そのシールド層の外周に設けられる鋼製
のテープを隙間をあけて巻きつけられたテーピングが可
撓性を損うことなくシールド層に加わる圧縮に基づくバ
ードケージ現象を好適に防ぐ。またテーピングの隙間の
可撓性および柔軟性に富む充填材は導管の可撓性を妨げ
ることなくテーピングによって生ずる外形の凹凸を平滑
にし、凹凸による弊害を除去する。さらに内索にプリテ
ンションがかけられているため、使用時のストロークロ
スが一層少なくなり、また導管にその反力によりプリコ
ンプレッションがかけられているため、使用時の永久変
形を小さく抑えることができる。
前記荷重効率およびストローク高率などの性能は、被
覆にナイロン66を、ライナーにPBT樹脂組成物を用いる
ことによってとくに好ましく達成される。
その理由としては、ナイロン66樹脂組成物が高度な柔
軟性と高荷重下の耐摩耗性とを有し、PBT樹脂組成物を
ライナーとして組合せたときにそれぞれの物性が両者間
の摩耗をいちじるしく減少するような相互作用を発揮す
ることによるものと思われる。
[実施例] つぎに図面を参照しながら本発明のコントロールケー
ブルを説明する。
第1図は本発明のコントロールケーブルの一実施例を
示す一部断面正面図、第2図および第3図はそれぞれ第
1図のコントロールケーブルの内索および導管の拡大断
面図、第4図は本発明のコントロールケーブルの性能を
測定するための測定装置の説明図である。
第1図において(1)は内索であり、(2)は導管で
ある。
内索(1)は第2図に示すように鋼素線(3a)を複数
本撚りあわせてなるコア部(3)を有する。第2図の実
施例ではコア部(3)は7本の鋼素線(3a)を撚り合わ
せた中心部と、その外周に中心部と同じまたは逆の撚り
方向で巻きつけた12本の鋼素線(3b)とから構成され
る。
コア部(3)の外周には後述する被覆(4)が設けら
れている。
導管(2)は第3図に示すようにチューブ状のライナ
ー(5)と、そのライナー(5)の外周に多数の鋼線を
ゆるいピッチで螺旋状にに密接して巻きつけたシールド
層(6)と、その外周に鋼製のテープ(第1図の(7
a))を螺旋状に隙間をあけて巻きつけたテーピング
(7)と、テーピング(7)の隙間を埋めるように全長
に亘って巻きつけられた充填材(7b)と、さらにその外
周に設けた合成樹脂製のアウターコート(8)とから構
成されている。なお、このアウターコート(8)は特許
請求の範囲の第1項でいう被覆層に対応するものであ
る。
コア部(3)の外周に被覆される被覆(4)には各種
のポリアミド、ポリエステル、ポリアセタールならびに
それらの樹脂にゴムを配合した高耐衝撃グレードのも
の、および(または)少量の滑剤、潤滑油、可塑剤、難
燃剤などを添加した組成物を用いうるが、柔軟性と高荷
重下の摺動特性、耐久性にすぐれたナイロン66樹脂組成
物がとくに好ましい。
叙上のごとく構成される内索(1)はいずれの方向に
曲げても円滑な作動性がえられ、可撓性が高く、たとえ
ば内索の直径が5mm程度のときで曲率半径100mm、内索の
直径が15mm程度のばあいでも曲率半径300mm程度で繰返
し使用可能である。
前記導管(2)のライナー(5)にはポリブチレンテ
レフタレート(ポリアセタール)樹脂組成物がとくに好
ましい。ライナー(5)は硬度の高い鋼線からなるコア
部(3)の上に被覆された被覆(4)と高荷重下で繰り
返し摺動するものであり、そのときの耐久性が求められ
るため、微細繊維などのフィラーを配合してもよく、チ
タン酸カリウムウイスカーを1〜30重量%配合したPBT
樹脂組成物がとくに好ましい。
シールド層(6)の外周に鋼製のテープ(7a)を螺旋
巻きしたテーピング(7)は、シールド層(6)内に挿
通させる内索(1)に高荷重を負荷したときに密着した
シールドの各線に大きい隙間が発生するバードケージ現
象を防止するためのものであり、かかる趣旨からテープ
(7a)としては従来公知のS10〜60Cの硬鋼線をいくらか
平坦な断面形状(たとえば小判状)につぶしたものなど
が通常用いられる。
前記テープ(7a)の隙間に介在される充填材(7b)は
フェルトや不織布などの可撓性および柔軟性に富むひも
状のものから構成される。充填材(7b)は導管の可撓性
などを損なうことなくテーピング(7)によって生ずる
凹凸を平滑化するためのものである。すなわち充填材
(7b)を設けずに直接アウターコート(8)を施すばあ
いは、テーピング(7)の凹凸がほぼそのままアウター
コート(8)の表面に現われるので、配索時に物の角な
どでこすれたり、振動を受けて物に繰り返しぶつかるば
あいに凸部が損傷しやすいので、そのような弊害を除去
するのである。
導管(2)の最外層のアウターコート(8)はシール
ド層(6)やテーピング(7)および充填材(7b)を錆
や侵水から保護するものであり、従来公知のポリアミ
ド、ポリエーテルエステル、ポリプロピレン、ポリエチ
レン、ポリ塩化ビニルなどを用いることができる。
叙上のごとく構成される導管(2)も可撓性が高く、
いずれの方向に対しても、たとえば直径10mmの導管で半
径最小100mm程度、直径30mm程度の導管のばあいで曲げ
半径最小300mm程度で配索しうる。
前記内索(1)はその外周にシリコーン系グリースな
どの潤滑剤が塗布されたうえで、導管(2)内に挿入し
て組み立てられる。なお第1図に示すコントロールケー
ブルにおいては、導管(2)を固定する手段として、導
管(2)の端部外周にかしめつけられるチューブ状のか
しめ部(9)と、そのかしめ部(9)と連続する筒状の
固着部(10)とからなるアウターキャップ(11)が用い
られている。固着部(10)の外周にはネジ(12)が形成
されており、静止相手部材(13)に対して両側からダブ
ルナット(14)で固定している。
また内索(1)は前記固着部(10)内を通って外部に
導出され、可動相手部材に連結されるべき索端ロッド
(15)に固着されている。なお索端ロッド(15)の一端
の筒状のカシメ部(16)は、被覆(4)を剥がした内
索、すなわちコア部(3)の外周に直接かしめつけられ
ている。さらに外部の出ている内索(1)は蛇腹状のブ
ーツ(17)によっ保護されている。
つぎに具体的な実施例および比較例をあげて、本発明
のコントロールケーブルとボールベアリング式のコント
ロールケーブルとを比較して説明する。
実施例 直径2mmの単線を19本、第2図のように撚り合わせ、
さらにナイロン66をクロスヘッドダイを有する溶融押出
機を用いて被覆として被覆し、直径12mmの内索をえた。
またPBT(ポリブチレンテレフタレート)90重量%と
チタン酸カリウムのウィスカー10重量%の混合物をチュ
ーブ状に押出成形した外径17mm、内径14mmのライナーの
外周に、第3図に示すように28本の鋼線(1本の直径2m
m)をゆるい離線巻きに巻きつけてシールド層を構成
し、その外周に幅2.4mm、厚さ1mmの鋼製のテープを4mm
の隙間をあけながら巻きつけてテーピングを設け、テー
プの隙間にPET(ポリエチレンテレフタレート)製の不
織布からなる充填剤を巻きつけ、さらにポリプロピレン
のアウターコートを設けて全体として直径を26mmとし、
導管をえた。
内索の外周にシリコーン系グリースを適量塗布したの
ち両者を組み合わせて実施例のコントロールケーブル
(プルケーブル)を製造した。
比較例 直径24mm、力伝達容量4tonの第5〜6図に示すような
ボールベアリングタイプのコントロールケーブルを比較
例として採用した。
実施例および比較的のコントロールケーブルを第4図
に実線(U)で示すように曲げ半径が300mmのU字状に
配索し、荷重効率ηw=W/F(%)およびストローク効
率ηs(%)を求めた。なお(F)は操作側の引き操作
力であり、(W)は静止側の反力である。
ストローク効率ηsは、第4図に示すl=l1−l0m(l
0:F=50kg(初期荷重)のときの位置、l1:F=1,200kg
(最大使用荷重)のときの位置)をストロークロスとし
て、ストローク量80mmのばあいについて、 により計算した。
さらにコントロールケーブルの一般的なテスト方法に
基づき、第4図の波線(S)で示すようにコントロール
ケーブルを曲げ半径300mmのS字状に配索して同様に測
定および計算した。
求めた結果を第1表に示す。
第1表からわかるように荷重効率については実施例の
コントロールケーブルは比較例とほぼ同じであり、摩擦
抵抗による損失が両者とも同じであることがわかる。ま
たストローク効率については実施例のコントロールケー
ブルが比較例よりもすぐれている。
本発明のコントロールケーブルは使用荷重の150〜300
%程度の力で0.2〜5時間程度プリテンションを加えた
のち、このプリテンションを解除する処理を行ない、初
期に生ずる永久伸びをあらかじめ生じさせておく。それ
により使用時のストロークロスが一層少なくなる。たと
えば使用荷重0.5〜1.5tonの鉄道車輛の駐車ブレーキに
用いるばあいは、通常1〜5ton、好ましくは3ton前後の
プリテンションを2〜4時間かけておく。
またかかるプリテンションを加えると導管側に反力と
して同じく1〜5tonのプリコンプレッションが加わるの
で、導管に生ずべき初期の圧縮変形があらかじめ発生
し、使用時の永久変形を小さく抑えることができる。
なおプリテンションは連続的にかけておいてもよく、
負荷と除去とを何回か繰返してもよい。
[発明の効果] 本発明のコントロールケーブルは、従来の複雑、高価
で曲げの向きも制限があるボールベアリングタイプのも
のと比較すると格段に高い配索の自由度をもち、かつほ
ぼ同じ荷重効率およびストローク効率を有するため、ブ
レーキシステムなど制御対象物全体の製造、組み立て、
メンテナンス作業が容易になる利点がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のコントロールケーブルの一実施例を示
す一部断面正面図、第2図および第3図はそれぞれ第1
図のコントロールケーブルの内索および導管の拡大断面
図、第4図は本発明のコントロールケーブルの性能を測
定するための測定装置の説明図、第5〜6図はそれぞれ
従来のコントロールケーブルの一例を示す要部斜視図お
よび断面図である。 (図面の主要符号) (1):内索 (2):導管 (3):コア部 (4):被覆 (5):ライナー (6):シールド層 (7):テーピング (7b):充填材 (8):アウターコート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大岡 義明 兵庫県神戸市兵庫区和田山通2丁目1番 18号 川崎重工業株式会社兵庫工場内 (56)参考文献 特開 昭58−184312(JP,A) 特開 昭57−163202(JP,A) 特公 昭37−4803(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16C 1/10 - 1/26

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)複数本の素線を撚り合わせたコア部
    と、該コア部の外周に設けた被覆とからなる内索と、 (b)チューブ状のライナーと、該ライナーの外周に複
    数本の素線を配列させてなるシールド層と、該シールド
    層の外周に隙間をあけて巻きつけられた鋼製のテーピン
    グと、該テーピングの前記隙間を埋めるように全長に亘
    って巻きつけられた可撓性および柔軟性に富む充填材
    と、前記テーピングおよび充填材の外周に設けた被覆層
    とを有し、前記内索を摺動自在に挿入する導管 とからなるコントロールケーブルであって、 前記内索に1〜5トンのプリテンションが0.2〜5時間
    かけられ、前記導管にその反力によりプリコンプレッシ
    ョンがかけられたのち、該プリテンションが解除されて
    なることを特徴とするコントロールケーブル。
  2. 【請求項2】前記内索の被覆がポリヘキサメチレンアジ
    パミド樹脂組成物から形成され、導管のライナーがポリ
    ブチレンテレフタレート樹脂組成物から形成されてなる
    請求項1記載のコントロールケーブル。
  3. 【請求項3】前記ライナーが、チタン酸カリウムウイス
    カーを1〜30重量%含むポリブチレンテレフタレート樹
    脂組成物から形成されてなる請求項1記載のコントロー
    ルケーブル。
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