JP2794575B2 - 赤目防止制御装置 - Google Patents

赤目防止制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本発明は、閃光撮影時の赤目現象を防止するカメラの
赤目防止制御装置に関する。
B.従来の技術 赤目現象とは、電子閃光装置を用いたカラー写真撮影
において、人間の眼が赤色または金色に光って写ること
をいう。この現象は、眼の瞳孔を通過した電子閃光装置
の発光部の閃光が網膜部分で反射され、その反射光がフ
ィルムに写って発生するものである。眼の網膜部分には
毛細血管が多数存在し、その血液中のヘモグロビンが赤
色であるので、その反射光が赤みを帯びて写るのであ
る。
赤目現象が写真で顕著に現れるのは、以下のような条
件下であることが経験的に判明している。
1)撮影環境が暗い場合 人間の眼の瞳孔の大きさは周囲の明るさによって変化
し、暗い場合にはその直径が約7〜8mmに拡がってい
る。このときは眼への入射光量および反射光量は多くな
るので、当然赤目現象も目立ちやすい。
2)電子閃光装置の発光部と撮影レンズ光軸との距離が
近い場合 眼の網膜部分はかなりの高反射率であると同時に、ま
た反射の指向性も高い。従って電子閃光装置の発光部と
撮影レンズ光軸とが近く、網膜による正反射光がそのま
ま撮影レンズに入射しやすい位置関係に3つの要素(発
光部、撮影レンズ、眼)がある場合は、赤目は強く発生
する。すなわち、被写体である人物の瞳が、撮影レンズ
と閃光光源の発光部とを見込む角度が、ある程度以下の
小さい角度以下になっているときには、赤目は必ず発生
する。経験的に、この角度は約2〜2.5度である。従っ
て、電子閃光装置の発光部を撮影レンズ光軸から離せば
赤目の発生が防止されるが、発光部と撮影レンズ光軸と
の距離には限界があり、その限界値まで撮影レンズ光軸
を離しても、カメラから被写体までの距離(以下、被写
体距離と呼ぶ)が遠くなると上記角度となりやすい。換
言すると、被写体距離が所定値以上では赤目を避けるこ
とは困難である。
そこで、赤目現象を防止する技術が、従来から知られ
ている。例えば「psa JOURNAL」の1952年7月号には、
撮影前に目を明るい環境に慣らせておき、瞳孔を3mm以
下に縮小させた状態でフラッシュをたいて赤目を防止す
る方法が開示されている。また、特公昭58−48088号公
報には、瞳孔が閉じ動作をするのに必要な時間だけ撮影
前に予備照射ランプによるプリ照射を行ない、瞳孔がほ
ぼ最小径となったときに電子閃光装置の発光部を発光さ
せて写真撮影する技術が開示されている。さらに、特公
昭58−9130号公報には、2個の閃光放電管を設け、一方
の放電管をプリ発光して瞳孔を閉じさせた後、第2の放
電管をメイン発光して実際の撮影を行なう方法が開示さ
れている。
C.発明が解決しようとする問題点 しかしながら、上述の従来装置では、常に一定の光強
度のプリ照射光を一定時間だけ照射しているので、被写
体である人物が撮影位置から近い場合には赤目防止に十
分な光量であっても、被写体が撮影位置から遠い場合に
は、上述したように赤目が発生し易いにも拘らず、光量
不足となり赤目防止効果が十分発揮されないおそれがあ
る。
本発明の目的は、被写までの体距離に拘らず赤目防止
を確実に行ない得る赤眼防止制御装置を提供することに
ある。
D.問題点を解決するための手段 クレーム対応図である第1図により説明すると、本発
明は、被写体照明用の照射光を照射する主閃光装置101
と、人間の瞳孔を縮小せしめる赤目防止用の照射光を被
写体に向けて照射する赤目防止用発光装置102とを備
え、主閃光装置101の発光に先立って赤目防止用発光装
置102を発光させるようにした赤目防止制御装置に適用
される。そして上述の問題点は、撮影レンズの焦点距離
を検出する焦点距離検出手段103と、検出された焦点距
離が長いほど赤目防止用照射光の光量が多くなるように
この照射光の射出光量を制御する光量制御手段104とを
具備することにより解決される。
E.作用 光量制御手段104は、焦点距離検出手段103により検出
された焦点距離が長いほど赤目防止用照射光の光量が多
くなるように赤目防止用発光装置102の射出光量を制御
する。通常、撮影レンズの焦点距離が長いときには被写
体までの距離が遠い場合が多いが、これによれば被写体
距離が遠くても光量不足となることがなく赤目を確実に
防止できる。
F.実施例 第2図〜第4図に基づいて本発明の一実施例を説明す
る。
第2図は本発明に係る赤目防止制御装置の全体構成を
示すブロック図である。カメラ本体10内に設けられたコ
ントロールIC11には調光用IC12が接続され、この調光用
IC12には受光素子13が接続されている。受光素子13は、
後述する電子閃光装置30発光時の被写体の輝度を検出し
てその検出信号を調光用IC12に入力し、調光用IC12は、
この検出信号の積分値が、コントロールIC11から入力さ
れるフィルム感度情報に基づいて決まる所定のレベルに
達すると発光を停止させるべくローレベレのメイン発光
停止信号を出力する。
またコントロールIC11には、撮影レンズ本体20の内部
に設けられたレンズ内IC21が接続される。このレンズ内
IC21には、撮影レンズの焦点距離やこの焦点距離に対応
する開放F値等が予めレンズ情報として格納されてお
り、これらの情報がコントロールIC11に入力される。コ
ントロールIC11は、これらの入力情報と、不図示の露出
制御用測光ICからの被写体輝度と、上述したフィルム感
度情報とに基づいて撮影時に電子閃光装置30の発光が必
要か否かを判定し、必要と判断した場合にはシャッタレ
リーズに伴って後述するプリ発光のためのプリ発光開始
信号と、被写体照明用のメイン発光のためのメイン発光
開始信号を順次出力する。
電子閃光装置30は、昇圧回路31,メインコンデンサ32,
トリガコンデンサ33を有し、昇圧回路31の昇圧動作によ
りメインコンデンサ32およびトリガコンデンサ33が充電
される。また電子閃光装置30には、抵抗34,トリガトラ
ンス35,キセノン管36,大電流制御素子37およびインタフ
ェース回路38が設けられ、上述したコントロールIC11か
らのメイン発光開始信号および調光用IC12からのメイン
発光停止信号はインタフェース回路38に入力される。発
光開始信号が入力されるとインタフェース回路38により
大電流制御素子37のゲートGに電圧が印加され、コレク
タCとエミッタEとが導通する。これに伴いトリガコン
デンサ33に蓄積されたエネルギーがトリガトランス35を
介してキセノン管36のトリガ電極に印加され、キセノン
管36がメインコンデンサ32の蓄積エネルギーにより発光
する。また、発光中に調光用IC12からメイン発光停止信
号が入力された場合、インタフェース回路38は、大電流
制御素子37のゲートGへの印加電圧を断つ。これにより
大電流制御素子37のコレクタCとエミッタEとが遮断さ
れ、その結果キセノン管36の発光が停止する。
ここで、各信号およびメイン発光の発光波形の時間的
変化を第3図(a)に示す。
信号線l1がローレベルになるのに伴い、すなわちメイ
ン発光開始信号の出力に伴いプリ発光が開始され、時間
経過に伴い図示の如くその光量が上昇し、信号線l2がロ
ーレベルになるのに伴って、すなわち発光停止信号の出
力に伴って発光が停止して光量が零となる。
また、本実施例では、電子閃光装置30が赤目防止装置
を兼用しており、コントロールIC11は閃光撮影時、上述
したメイン発光に先立って赤目を防止するためのプリ発
光を行うべくプリ発光開始信号を出力する。このプリ発
光は、人間の瞳孔を縮小させるためのものである。プリ
発光開始信号の出力により第3図(b)に示すように、
上述と同様の動作でキセノン管36が発光を開始し、プリ
発光開始信号が絶たれると発光が停止する。そしてこの
プリ発光の発光時間は後述するように撮影レンズの焦点
距離によって制御される。
以上の実施例の構成において、レンズ内IC21が焦点距
離検出手段103を、コントロールIC11が光量制御手段104
をそれぞれ構成する。
次に、第4図のフローチャートに基づいてコントロー
ルIC11による閃光撮影の手順を説明する。例えば不図示
のレリーズ釦が半押し操作されるとこのプログラムが起
動され、まずステップS1で上述したように被写体輝度と
フィルム感度情報とから電子閃光装置30のメイン発光が
必要か否かを判定する。否定判定されるとステップS20
で電子閃光装置30を使用しない通常撮影処理を行い、肯
定判定されるとステップS2に進む。ステップS2では、レ
ンズ内IC21から撮影レンズの焦点距離を読み込み、次い
でステップS3でこの焦点距離からプリ発光の発光時間を
決定する。すなわち、コントロールIC11内には、複数の
焦点距離にプリ発光時間をそれぞれ対応づけたテーブル
が格納され、このテーブルからステップS2で読み込んだ
焦点距離に対応するプリ発光時間を選択する。ここで、
テーブル中のプリ発光時間は、焦点距離が長くなる程長
くなるように設定されている。
次いでステップS4でレリーズ釦が全押しされたか否か
を判定し、否定と肯定されるまで待ち、肯定されるとス
テップS5に進む。以降、第3図(c)のタイムチャート
を参照しつつ説明する。
ステップS5では、電子閃光装置30のインタフェース回
路38にプリ発光開始信号を出力する(時点t1)。これに
伴い上述した動作により電子閃光装置30のキセノン管36
がプリ発光を開始し、その光量が図示の如く上昇する。
次にステップS6に進み、プリ発光開始から所定時間が経
過したか否かを判定する。この所定時間は、ステップS3
で選択設定した撮影レンズの焦点距離に対応したプリ発
光時間である。ステップS6が否定されると肯定されるま
で待ち、肯定されるとステップS7に進む。ステップS7で
は発光開始信号を断ちプリ発光を停止せしめる(時点
t2)。
次にコントロールIC11は、ステップS8でプリ発光開始
から所定時間が経過したか否かを判定する。この所定時
間は、プリ発光により人間の瞳孔が最も縮小するのに要
する時間であり、例えば0.75秒とされる。ステップS8が
否定されると肯定されるまで待ち、肯定されるとステッ
プS9で閃光撮影を行なう。
すなわち、まず不図示の絞りを駆動するとともにシャ
ッタを開き、これに伴い時点t3において電子閃光装置30
のインタフェース回路38にメイン発光開始信号を入力す
る。これにより上述した動作で電子閃光装置30のキセノ
ン管36がメイン発光を開始し、その射出光量は、図示の
如く上昇する。また、この発光開始に伴って調光用IC12
が作動し、受光素子13から入力される検出信号が、フィ
ルム感度により決まる所定値に達すると、時点t4におい
て、電子閃光装置30のインタフェース回路38にメイン発
光停止信号を出力する。これにより、上述した動作でキ
セノン管36の発光が停止し、その後、時点t5で両信号が
共にハイレベルとなって一連の発光シーケンスが完了す
る。またコントロールIC11は、発光停止後にシャッタを
閉じ、その後、フィルム巻き上げなどを行ってから撮影
のための処理を終了させる。
通常、撮影レンズの焦点距離が長いときには被写体距
離が遠いことが多く、上述したように赤目が発生し易
い。一方。焦点距離が長いときには被写体をアップで撮
影する場合が多く赤目発生が大きな問題となる。以上の
手順によれば、撮影レンズの焦点距離が長いほど赤目防
止用のプリ発光時時間が長くなるので、被写体距離が遠
くても光量不足となることがなく、赤目を確実に防止で
きる。
なお以上では、撮影レンズの焦点距離が長いほどプリ
発光時間を長くすることによりプリ照射光の光量を増加
させるようにしたが、例えば1回のプリ発光時間は一定
とし、焦点距離が長いほどその発光回数を多くして光量
を増加させてもよい。また、同様に発光時間は一定と
し、焦点距離が長いほどプリ発光時の光強度を強くして
光量を増加させてもよい。これには、例えば複数の発光
管を有する赤目防止用発光装置を電子閃光装置とは別に
設け、焦点距離が長いほどその発光させる発光管の数を
増加させたり、あるいは印加される電圧に応じて光強度
が可変なプリ発光用の発光素子を設け、焦点距離が長い
ほど印加電圧を増加させればよい。
さらに、メイン発光後、被写体の輝度を検出し、この
輝度が所定値に達すると発光を停止させる自動調光方式
の電子閃光装置を用いた例を示したが、これに限定され
ず、他の方式の電子閃光装置を用いたものでもよい。さ
らにまた、この電子閃光装置は、カメラに内蔵されたも
のでもよいし、外付けのものでもよい。また電子閃光装
置として、被写体が暗いときに自動発光される例を示し
たが、手動操作により強制的にメイン発光を行なうもの
でもよい。
さらに、メイン発光に先立って必ず赤目防止用のプリ
発光を行なう例を示したが、例えば被写体の輝度から赤
目発生の有無を判定し、赤目発生と判断された場合にの
みメイン発光に先立ってプリ発光を行なうようにしても
よい。さらにまた、撮影者が赤目発生の有無を判定し、
赤目発生と判断して何らかの操作を行なうとメイン発光
に先立ってプリ発光が行なわれるタイプのカメラでもよ
い。
G.発明の効果 本発明によれば、撮影レンズの焦点距離が長いほど赤
目防止用の発光量を増加させるようにしたので次のよう
な効果がある。すなわち、撮影レンズの焦点距離が長い
ときには、通常、被写体までの距離が遠いことが多いた
め赤目が発生しやすく、かつ被写体をアップで撮影する
ことが多いため赤目が目立ち易くなるが、本発明によれ
ば、このような場合にはプリ発光量が増加するので、光
量不足となることがなく赤目を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図はクレーム対応図である。 第2図〜第4図は本発明の一実施例を示し、第2図は本
発明に係る赤目防止制御装置のブロック図、第3図
(a),(b)はメイン発光時およびプリ発光時の各信
号と発光波形とをそれぞれ示すタイムチャート、第3図
(c)は、両発光を連続して行なった状態を示すタイム
チャート、第4図は閃光撮影の処理手順を示すフローチ
ャートである。 10:カメラ本体 11:コントロールIC 12:調光用IC、20:撮影レンズ 21:レンズ内IC、30:電子閃光装置 36:キセノン管 101:電子閃光装置 102:赤目防止用発光装置 103:焦点距離検出手段 104:光量制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03B 15/05

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被写体照明用の照射光を照射する主閃光装
    置と、 人間の瞳孔を縮小せしめる赤目防止用の照射光を被写体
    に向けて照射する赤目防止用発光装置とを備え、前記主
    閃光装置の発光に先立って前記赤目防止用発光装置を発
    光させるようにした赤目防止制御装置において、 撮影レンズの焦点距離を検出する焦点距離検出手段と、 前記検出された焦点距離が長いほど前記赤目防止用照射
    光の光量が多くなるように該照射光の射出光量を制御す
    る光量制御手段とを具備することを特徴とする赤目防止
    制御装置。
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