JP2774700B2 - 難燃性壁紙用基紙 - Google Patents

難燃性壁紙用基紙

Info

Publication number
JP2774700B2
JP2774700B2 JP6539291A JP6539291A JP2774700B2 JP 2774700 B2 JP2774700 B2 JP 2774700B2 JP 6539291 A JP6539291 A JP 6539291A JP 6539291 A JP6539291 A JP 6539291A JP 2774700 B2 JP2774700 B2 JP 2774700B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
base paper
paper
powder
weight
wallpaper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP6539291A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04281099A (ja
Inventor
修 中野
光夫 阪野
靖彦 浅井
敬史 三田
卓麻 木下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd filed Critical Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Priority to JP6539291A priority Critical patent/JP2774700B2/ja
Publication of JPH04281099A publication Critical patent/JPH04281099A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2774700B2 publication Critical patent/JP2774700B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paper (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、難燃性壁紙用基紙に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、住宅需要の拡大とともに、室内装
飾用内装材としての壁紙の使用が急激に増大するととも
に、需要家の要求も多様化し、それに応ずるべく各種の
機能性壁紙が案出されている。特に壁紙の表面に凹凸の
立体模様を付与したものは、高級感を与え、意匠効果に
も優れるので、広く使用されている。この立体模様を付
与した壁紙の製造は、塩化ビニル樹脂ペーストを基紙に
塗工後加熱ゲル化し、エンボス処理後、発泡インクをそ
の表面に印刷し、加熱発泡して凹凸模様を付与する方法
が広く行われている。また、特公昭53−13007号
に開示されているように、発泡剤と塩化ビニル樹脂を含
有する特殊なインキを使用し、基紙に模様を印刷し、加
熱発泡させて立体模様を表現する方法も行われており、
このタイプの壁紙は、特に基紙の印刷適性(表面平滑性
に支配される)を要求される。このように壁紙の製造に
は基紙は不可欠である。
【0003】一方壁紙に難燃性を付与するために、難燃
性を付与した基紙も多量に使用されている。基紙に難燃
性を付与するためには、原紙中に多量の、水酸化アルミ
ニウムのような自己消火性のある粉体を含有させたり、
原紙に難燃剤を含浸する例が大部分である。
【0004】自己消火性のある粉体は、たとえば水酸化
アルミニウムのように、加熱されると水を多量に放出す
ることで難燃性を与えるが、原紙に多量に含ませること
が必要である。原紙に対して80%以上含ませないと目
的とする難燃性が得られないが、原紙に対して80%以
上もの多量の粉体を抄き込むことは、通常の抄紙技術で
は実現できず、粉体の繊維への定着に特別な工夫がされ
ている。たとえば、特公昭45−8164号、特公昭5
7−49680号、特開昭57−167252号、特開
昭57−171799号、特開昭59−68204号公
報等に開示されている方法や、本出願人が出願した特開
昭63−203900号、特開昭64−20398号記
載の技術が適用されている。
【0005】しかしながら、これらの方法で製造した高
粉体含有紙はいづれも、壁紙の基紙に使用した場合は種
々の欠点を有し、特にピーラブル適性が著しく劣る欠点
や、表面の粉体が脱落し、工程上で種々のトラブルを起
こすという欠点がある。ピーラブル適性とは改めて説明
を要しないと思うが、壁紙を新しく貼り替える時に、古
い壁紙が紙層から均一に剥がれ易い性能のことである。
この適性が劣ると、施工者は古い壁紙を注意深く剥し、
さらに壁面を平らにする作業を行わなければならず、作
業性が極端に悪くなる。上記高粉体含有紙がピーラブル
適性に劣る理由は、いづれも粉体の繊維への定着を向上
させるために、凝集効果の大きな凝集剤、定着剤、及び
合成ゴム、合成樹脂エマルションのような結着材を使用
し、紙料にフロックを形成させて抄紙しているためであ
るが、こうすることにより、必然的に紙の地合は著しく
悪くなる。
【0006】ピーラブル適性を良くするためには、紙層
の繊維が平面方向、特に紙の流れ方向に均一に分布して
いることが必要であるが、高粉体含有紙は極端に言うと
フロックの集まりであるので、その紙層中の繊維の方向
性は極めて不均一で、そのためにピーラブル適性が劣る
こととなるし、表面の均一性にも欠けるので、後に述べ
る印刷適性も劣ることになる。また抄紙工程で粉体の含
有量を多くすることによる粉体歩留りの低下、白水対策
等の問題が生じ、また繊維量を少なくすると強度が不足
し、後工程の塩ビペースト塗工時、印刷加工時、発泡工
程等で断紙のトラブルが起き易い。また、工程中に粉体
が脱落し、抄紙機械を汚染したり、印刷工程で版汚れを
発生したり、塩ビ面を汚染する、「粉落ち」と称するト
ラブルも起き易くなる。
【0007】一方、原紙に難燃剤処理し、難燃化する方
法も、種々提案されている(たとえば、特公昭52−2
5447号、特開昭51−19808号、特開昭51−
23312号、特公昭60−25475号、特開昭54
−64117号、特開昭54−101909号等の各公
報)。これらはセルロース繊維主体の原紙に難燃剤、た
とえばスルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン、
スルファミン酸アンモニウム、縮合リン酸アルキルエス
テル誘導体、硫酸グアニジン、リン酸アンモニウム、硫
酸アンモニウム、等の水溶液もしくは水に分散が可能な
ものを含浸する方法である。またこれに、澱粉、サイズ
剤、染料等の製紙用副資材やジシアンジアミド、メラミ
ンのメチロール化物、ジシアンジアミドのメチロール化
物等の耐熱助剤を併用することも行われ、これら処理剤
を原紙に対して15〜35%含浸することにより難燃性
基紙を得ている。
【0008】このような難燃剤を含浸した難燃性基紙
は、セルロース繊維の比率が多いので、必然的に紙層間
強度が大きくなり、壁紙を剥す時に必要以上の強い力を
要し、ピーラブル適性が最良のものとは言えなかった。
また、上に塗工する樹脂層の塗布量を約100g/m2
と多くして、この層で強度を持たせてピーラブル適性を
与えていた。また、上記難燃剤はいづれも耐候性、耐熱
変色性が悪く、変色の問題があるために、表面を塩ビ樹
脂等で全面覆う構成の壁紙の用途にしか利用されていな
かった。
【0009】本発明者らは、これらの問題点を解決した
新規な壁紙用基紙を開発し、特願平1−299180号
として出願した。その要旨とするところは、自己消火性
のある粉体を、原紙重量の10重量%以上、80重量%
以下含んだ原紙の片面若しくは両面に、自己消火性のあ
る粉体とバインダーを主剤としてなる塗工層を設け、全
体として難燃性を付与したことを特徴とする壁紙用基紙
を得ることにある。これにより、あらゆる構成の難燃性
壁紙の基紙として利用でき、ピーラブル適性の優れた基
紙を得ることができたが、性能のより一層の向上が望ま
れていた。
【0010】壁紙の重要な要求性能の一つに水浸伸度の
小さいことがある。壁紙を壁面に貼る時に水系の接着剤
を全面に塗布するが、この際基紙の水浸伸度が大きいと
壁紙が水を含んで伸びて、表面に印刷した図柄の見当合
わせが困難となり、また乾燥後に逆に縮みが過度に起
り、継目に隙間を生じるので大きな問題となる。水浸伸
度は小さければ小さいほど好ましいが、実用的には基紙
の横方向で1.5%以下ならば十分である。従って水浸
伸度を小さくするために、紙料の叩解度を低めにおさえ
る対策がとられ、またガラス繊維などを混抄する手段が
とられていた。このため基紙の強度が低下し、表面平滑
性も低下するために印刷適性に劣っていた、またガラス
繊維を混抄する方法は生産コストが高くなり、作業性に
も問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれら従来の
技術の問題点を解決することを課題とする。即ち、ピー
ラブル性が良好で、水浸伸度が小さく、印刷適性に優
れ、熱変色が少ない難燃性壁紙用基紙を得ることを主な
課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく、特願平1−299180号に提案した構成
の壁紙用基紙の検討をさらに進めた。その結果、塗工剤
を塗工後、シリンダードライヤーでキャンバスで押さえ
ながら押圧乾燥した基紙は、水浸伸度を小さくでき、ま
た従来の塗工機による方法で乾燥したものと比較して、
難燃性をも向上できるという顕著な効果を見いだし本発
明を完成した。即ち、本発明の要旨とするところは、自
己消火性のある粉体を、原紙重量の5重量%以上、80
重量%以下含んだ原紙の両面に、シリンダードライヤー
でキャンバスで押さえながら押圧乾燥した、自己消火性
のある粉体とバインダーを主剤としてなる塗工層を設け
た難燃性壁紙用基紙を得ることにある。本発明の難燃性
とは、JIS A 1322「建築用薄物材料の難燃性試
験方法」に規定する難燃性の種類で、防炎1,2,3級
のいずれかに該当するものを意味する。
【0013】本発明に使用する原紙は、木材パルプを主
体に必要に応じて合成繊維、無機繊維、合成パルプ等を
適宜配合し、これに自己消火性のある粉体を混入し、他
の粉体、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、着色剤、サ
イズ剤、定着剤、等を適宜添加、抄紙して得られる。自
己消火性のある粉体とは、加熱されることにより、吸熱
反応で水を多量に放出する粉体であって、例えば、水酸
化アルミニウムは約200℃から分解を開始し(分解温
度)、2Al(OH)3 →Al23+3H2O−470
cal/gの吸熱反応を起すと言われている。この他水
酸化マグネシウムMg(OH)2、カルシウムアルミネ
ート3CaO・Al23・6H2O、水酸化カルシウム
Ca(OH)2、ドーソナイトNa・Al・O(OH)
・HCO3、アルミン酸カルシウム3CaO・Al23
・6H2O等も同様に加熱されることで水を放出し、吸
熱反応を起こす。
【0014】本発明では、自己消火性のある粉体とし
て、上記のものがいづれも使用できるが、特に水酸化ア
ルミニウムを使用することが、吸熱量が大きいこと、セ
ルロースの燃焼温度である約270℃より分解温度が低
く、セルロースの燃焼を防ぐ効果が大きいこと、安全性
が高いこと、安価であること、白色度が大きいこと等々
の理由で好ましい。これを主体に、他の自己消火性の粉
体や、目的に応じて二酸化チタン、炭酸カルシウム、カ
オリン、ケイ酸カルシウム等の粉体を併用することは一
向にかまわない。
【0015】自己消火性のある粉体は、本発明では繊維
に対して5重量%以上80重量%以下、好ましくは10
〜60重量%の添加量にすることが必要である。5重量
%以下であると、原紙の強度が大きくなり、難燃性も劣
り、水浸伸度が大きくなり、80重量%以上であると、
原紙地合が悪くなり、ピーラブル適性が出なくなる。ま
た、後工程で強度不足や粉落ちのトラブルを起こすこと
となる。自己消火性のある粉体は内添法、あるいはサイ
ズプレス等を使ったコーティング法、あるいはこの組合
せ等の従来公知のいづれかの方法により、基紙に含ませ
ればよい。
【0016】自己消火性のある粉体の添加量が5%に近
い場合はピーラブル適性を向上する目的で、クレー、炭
酸カルシウムなどの填料を併用することも適宜行われ
る。本発明ではこのようにして製造した原紙に、難燃剤
を含浸加工することも必要に応じ行われる。含浸剤の加
工は抄紙機上の、たとえばサイズプレス装置で行うこと
ができる。本発明では自己消火性の粉体を原紙中に含む
ので、難燃剤は、従来の難燃剤含浸の裏打紙より少なく
てよく、その量は原紙に含まれる自己消火性粉体の量、
これから述べる塗工層に含まれる自己消火性粉体の量に
より適宜決定されるが、通常は原紙重量に対し5〜20
%の使用量である。
【0017】本発明ではこのようにして製造した原紙
に、さらに、自己消火性のある粉体とバインダーを主剤
としてなる塗工層を、ピーラブル性の向上、難燃性の向
上、表面平滑性を向上する等の目的で原紙の両面に設
け、基紙全体として難燃性を付与する。自己消火性のあ
る粉体としては、前述した粉体がいづれも使用できる
が、やはり水酸化アルミニウムを使用することが前述と
同じ理由で好ましい。バインダーとしては、SBR,M
BR等の合成ゴムラテックス、アクリルエマルション、
塩化ビニルエマルション、塩化ビニリデンエマルショ
ン、およびこれらの共重合エマルション等、カゼイン、
澱粉、PVA等々を適宜組合わせて使用するが、乾燥時
にシリンダードライヤーの汚れが少なく、また発熱量が
少なく難燃性のある、たとえば塩化ビニルや塩化ビニリ
デンエマルション、あるいはこれらとの共重合体を主体
に使用することが好ましい。自己消火性の粉体単独、も
しくは2種類以上に分散剤を加えて分散後、バインダー
を添加して塗料を作製するが、この際酸化チタン等の粉
体、保水剤、流動性改良剤、防カビ剤、防腐剤、着色剤
等の副資材を必要に応じて添加する。
【0018】バインダーの添加量は、余り少ないと塗工
層の必要強度が出ず、多すぎても難燃性に悪影響を与え
るので、通常は、粉体に対して5重量%から30重量%
添加する。こうして調製した塗料を原紙に塗工後、シリ
ンダードライヤーでキャンバスでおさえながら押圧乾燥
するが、ここに本発明の最大の特徴がある。前述したよ
うにこれにより、基紙の水浸伸度を低下でき、難燃性を
向上できる。この理由はよくわからないが、以下に述べ
る理由によるものと推定した。一般的に紙は横方向の伸
縮は縦方向より大きく、これは繊維の配向に起因してい
る。従来の顔料塗工層を設けた壁紙用基紙(特願平1−
299180号に提案のもの他)は一旦原紙を抄造して
から、エアナイフ塗工機やブレード塗工機のような塗工
機を使用して塗工しており(オフマシン塗工)、その乾
燥はアーチドライヤー、またはドラム型熱風ドライヤー
で行われていた。この方法では紙の横方向に掛かる張力
は非常に小さく、そのために乾燥時に原紙の横方向の縮
みが大きくなるので、必然的に横方向の水浸伸度は大き
くなっていた。
【0019】また縮むことにより塗工層表面に微細な凹
凸が生じ(表面粗さが大きくなる)、これにより表面平
滑性が低下し、印刷適性が悪くなる。表面粗さが予想以
上に難燃性に影響を与えることは、驚くべきことであ
る。表面粗さが大きいということは、燃焼時に酸素供給
量が多くなることを意味し、難燃性が低下する。このこ
とは、たとえば薪を燃やす時に細かくすればするほど酸
素供給量が増大し、良く燃えることと同じであると推定
した。塗工剤は原紙の両面に塗工されるがその塗工量
は、片面に3g/m2以上形成され、かつ両面で6〜2
5g/m2、好ましくは7〜15g/m2とする。片面の
塗工量が3g/m2より少ないと印刷適性が極端に悪く
なり、また22g/m2を越えて塗工することは乾燥が
困難となる。
【0020】本発明者らが行った実験結果を表1に示
す。原紙処方と塗工剤処方は両者共全く同一で、塗工後
の乾燥方法のみに相違がある。 本発明の基紙(キャンバスによる押圧乾燥) NBKP:LBKP=1:1(重量部比率)、でフリー
ネス500mlCFSのパルプ80重量部と水酸化アル
ミニウム20重量部の混合スラリーに湿潤紙力増強剤を
1重量部、硫酸バンド2重量部を添加し、坪量80g/
2の原紙を得た。ついで抄紙機上のサイズプレス装置
でスルファミン酸グアニジンを主剤としサイズ剤を混合
(混合比は固形比で10:1)した難燃処理剤を含浸
し、坪量88g/m2の難燃紙を得た。この難燃紙に水
酸化アルミニウム100重量部、ポリビニルアルコール
2重量部、塩化ビニリデン10重量部等よりなる塗工剤
をブレードコーターを使用して、オンマシンで片面6g
/m2(乾燥重量)ずつ塗工し、キャンバスで押圧乾燥
して坪量100g/m2の基紙を得た。 従来の基紙(オフマシン塗工機での乾燥) 上記した難燃剤を含浸後の難燃紙を一度巻取り、ブレー
ドコーターで同一の塗工剤を塗工し、アーチ式ドライヤ
ーで乾燥した。
【0021】
【表1】 本発明の基紙と、従来の基紙の比較。
【0022】表1から判るように、本発明、即ちキャン
バスによる押圧乾燥の基紙は、難燃性、印刷適性、水浸
伸度のいづれも従来の基紙より優れている。本発明で
は、塗工剤の塗工は通常は抄紙機のドライパートに連接
されたゲートロールコーター、ビルブレードコーター、
ツーストリームコーター、ベルバパコーター、などの公
知の塗工機により、オンマシン塗工される。この際乾燥
効率を高めるために、塗工前後に赤外線ヒーターなどに
より加熱することも適宜行われる。こうして塗工された
原紙はシリンダードライヤーでキャンバスでおさえなが
ら押圧乾燥される。キャンバスで原紙をおさえながら乾
燥することで原紙の横方法の収縮はおさえられ、水浸伸
度は小さくなり、塗工層の表面粗さは小さくなる。塗工
量は、基紙が結果として、難燃性となるだけの量を塗工
することが必要で、その量は原紙に含まれる自己消火性
の粉体の量、含浸される難燃剤の量、塗工剤の塗工量に
より調整する。その組合せの例を表2に挙げる。なお塗
工層は両面同一の塗工量で、粉体とバインダーに分け、
その合計を示してある。なお、この例はパルプはNBK
P:LBKP=1:1、粉体に水酸化アルミニウム、難
燃剤にスルファミン酸グアニジン、塗工用バインダーに
塩化ビニリデンエマルションを使用した例であるが、本
発明がこれらの例に限定されるものではないことは言う
までもない。
【0023】本発明の壁紙用基紙の構成例と難燃性評価
結果を表2に示す。構成材料の数字は乾燥重量部(g/
2)を示す。評価結果は難燃性以外は5点法で示した
(3以上が実用上の使用可能域である)。難燃性は前述
のJIS A 1322の規定によった。印刷適性はロ
ータリースクリーンによる印刷適性を、ピーラブル性は
壁紙に仕上げ、壁面に施工後、剥離した時の評価であ
る。
【0024】
【表2】
【0025】表2に示したように、本発明は原紙に含ま
れる自己消火性のある粉体の量、難燃剤の処理量、塗工
剤に含まれる自己消火性のある粉体の量および塗工量に
より、各性能が変化する。本発明者らが検討した結果で
は、ピーラブル性、水浸伸度、印刷適性、熱変色などの
諸性能が最もバランスが良い範囲は、自己消火性のある
粉体が原紙重量の10〜30重量%、難燃剤が原紙重量
の8〜15重量%、塗工層が7〜20g/m2である。
【0026】
【実施例】NBKP:LBKP=1:1フリーネス50
0mlCSFのパルプ85重量部に水酸化アルミニウム
15重量部(商品名ハイジライトH−42、昭和電工社
製造)、湿潤紙力増強剤(商品名エピノックスP−13
0、ディックハーキュレス社製造)を1%、澱粉2%、
硫酸バンド2%を添加し、長網抄紙機で91g/m2
原紙を抄造した。ついで抄紙機上のサイズプレス装置で
スルファミン酸グアニジンとサイズ剤を混和(固形比で
10:1)した難燃剤処理液を9g/m2含浸した。さ
らに抄紙機上のビルブレードコーターで、水酸化アルミ
ニウム(同上)100重量部に対して塩化ビニリデンエ
マルション(商品名サランX−106、旭化成社製造)
固形分で25重量部混合した塗料を片面10g/m
2(乾燥重量部)ずつ塗工し、キャンバスで押さえなが
ら押圧乾燥し、坪量120g/m2の壁紙用基紙を得
た。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明の難燃性壁紙
用基紙は構成され、下記に述べる顕著な効果がある。
難燃性に優れる。従来の難燃剤含浸タイプの基紙は着火
させると炭化、発煙を伴いながら燃焼し炭化長が長く発
煙量も多いが、本発明の基紙は炭化するが、塗工層は白
く残存し、炭化長は短く発煙量も少ない。
【0028】優れたピーラブル性を付与することが出
来る。壁紙は施工後数年で張り替えを行うがこの時、基
紙の裏面を残して均一に剥がれることが必要である。高
填料含有紙では地合いムラによりピーラブル性の低下
が、難燃剤含浸の基紙ではピーラブル適性に欠けていた
が、本発明によれば、理想的なピーラブル適性が得られ
る。
【0029】印刷適性に優れる。最近、表面の樹脂加
工量を少なくした、軽量壁紙に適した加工法(ロータリ
ースクリーン法、グラビヤコート法)が普及してきた
が、これに対し難燃剤含浸基紙は白色度、不透明度、耐
熱変色性に問題があり、自己消火性粉体高含有紙は地合
い構成の不均一によるピンホールが生じやすく、表面平
滑性が充分ではなかった。本発明によれば、上記加工法
にも充分満足できる表面平滑性が得られ、軽量壁紙用に
最適の基紙となる。
【0030】水浸伸度が小さく、施工時の図柄のず
れ、乾燥時のずれが無い。
【0031】裏面からの糊の浸透防止に優れ、貼り付
け可能時間の向上が計れる。壁紙施工時、裏面への糊塗
工作業は、施工の前日か当日にまとめて行われ、糊塗工
面同士を重ね折りしたものを現場に搬入し、壁面に貼り
付ける。このため、糊付けから施工までには一定時間放
置されることが避けられず、その間に糊の水分が紙層に
浸透し、乾燥すると現場で施工できなくなる。糊を塗工
してから、壁面に支障なく貼り付けることができるまで
の時間を貼り付け可能時間と言い、壁紙には重要な性能
である。本発明の基紙は塗工層を設けているので、水分
の紙層への浸透を塗工層処方でで制御することが可能
で、従来の基紙に比べ貼り付け可能時間が長くなり、施
工性が向上する。
【0032】任意の着色が可能である。通常ビニル壁
紙は基紙に下引きの塩化ビニル樹脂塗工、印刷、発泡イ
ンキ印刷発泡、エンボス加工などの諸工程を経るが、本
発明によれば難燃塗工層の片面を顔料、金属粉、パール
粉、雲母粉等で着色出来るし、該塗工層があれば、従来
の工程に於ける下引きコートを省略するか、または従来
より少量の下引きコート量で済み、製品の美感、階調性
を増すことが可能である。
【0033】塩化ビニル樹脂塗工層の密着性が向上す
る。基紙塗工層には粉体が密に存在しているが、この粉
体の種類、形状、接着剤の種類、量を適宜選択して塩化
ビニル樹脂との密着性を向上させることが出来る。
【0034】粉落ちが少ない。自己消火性粉体高含有
紙の紙層は、主として粉体から成っているため、粉落ち
は避けられないが、本発明によれば、粉体がバインダー
と共に塗工層を形成しているために、粉落ちが非常に少
ない。
【0035】白色度、不透明度が高く、耐熱変色性、
耐候性に優れる。本発明の基紙の白色度、不透明度は、
難燃剤含浸基紙より高く、後工程の印刷の仕上がり効果
が大きくなる。また、壁面に貼り付けた時、壁面の色が
壁紙表面まで影響(シースルー)しなくなる。また難燃
剤含浸基紙は難燃剤の含有量が多いので、長期使用で変
色し、また樹脂塗工時、発泡加工時の熱により変色する
が、本発明によれば難燃剤を使用しないか、もしくは使
用しても少なくでき、また表面に粉体塗工層があるの
で、原紙が多少変色しても塗工層でそれが緩和され、全
体としての耐変色性は向上する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木下 卓麻 静岡県駿東郡長泉町本宿501番地 特種 製紙株式会社内 審査官 真々田 忠博 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D21H 11/00 - 27/42 D21F 5/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自己消火性のある粉体を、原紙重量の5
    重量%以上、80重量%以下含んだ原紙の両面に、シリ
    ンダードライヤーでキャンバスで押さえながら押圧乾燥
    した、自己消火性のある粉体とバインダーを主剤として
    なる塗工層を設けたことを特徴とする難燃性壁紙用基
    紙。
  2. 【請求項2】 原紙が難燃剤で処理されていることを特
    徴とする請求項1に記載の難燃性壁紙用基紙。
  3. 【請求項3】 自己消火性のある粉体が水酸化アルミニ
    ウムであることを特徴とする請求項1に記載の難燃性壁
    紙用基紙。
  4. 【請求項4】 自己消火性のある粉体が原紙重量の10
    〜30重量%、難燃剤が原紙重量の8〜15重量%、塗
    工層が7〜20g/m2であることを特徴とする請求項
    1に記載の難燃性壁紙用基紙。
JP6539291A 1991-03-06 1991-03-06 難燃性壁紙用基紙 Expired - Fee Related JP2774700B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6539291A JP2774700B2 (ja) 1991-03-06 1991-03-06 難燃性壁紙用基紙

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6539291A JP2774700B2 (ja) 1991-03-06 1991-03-06 難燃性壁紙用基紙

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04281099A JPH04281099A (ja) 1992-10-06
JP2774700B2 true JP2774700B2 (ja) 1998-07-09

Family

ID=13285685

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6539291A Expired - Fee Related JP2774700B2 (ja) 1991-03-06 1991-03-06 難燃性壁紙用基紙

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2774700B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06264398A (ja) * 1993-03-09 1994-09-20 Nippon Paper Ind Co Ltd 難燃紙の製造方法
JP2933188B2 (ja) * 1993-03-31 1999-08-09 日本製紙株式会社 難燃紙及びその製造方法
CN109132650A (zh) * 2018-09-05 2019-01-04 温州立可达印业股份有限公司 阻燃接装纸卷凹机、阻燃接装纸的加工工艺及阻燃接装纸

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04281099A (ja) 1992-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2000335105A (ja) インクジェット受容層を有する化粧ベース紙
JP2004532941A (ja) 改良された不透明度を有する装飾原紙
CN100519936C (zh) 涂覆的纤维网及其制备方法
KR20010043253A (ko) 석고판용 라이너
JP2774700B2 (ja) 難燃性壁紙用基紙
JP6633251B2 (ja) 印刷用塗工紙
JPH06280192A (ja) ビニル壁紙裏打ち用難燃紙の製造方法
JP2002180399A (ja) 壁紙用裏打ち紙及び壁紙
JP2933188B2 (ja) 難燃紙及びその製造方法
JPH03161598A (ja) 壁紙用基紙
JP2970019B2 (ja) 両面キャスト塗被紙の製造方法
JPH11350391A (ja) オフセット輪転印刷用塗被紙
JPH07119090A (ja) 難燃壁紙、襖紙の製造方法
JPH06287894A (ja) 難燃紙及びその製造方法
TWI781183B (zh) 印刷用塗覆紙
JP2004091997A (ja) 印刷用塗工紙
JPH07197399A (ja) 壁紙用裏打紙
JPH0742096A (ja) 化粧板用コート紙
JPH10273896A (ja) 壁紙用裏打ち紙
JP2002038393A (ja) 低密度塗工板紙の製造方法
JP3864515B2 (ja) 低密度壁紙及びその製造方法
JP3532017B2 (ja) ビニル壁紙裏打ち用無機シートの製造方法
JPH1112997A (ja) 剥離紙用原紙
JP2004143624A (ja) 印刷用嵩高塗工紙
JPH0450400A (ja) ビニル壁紙裏打ち用難燃紙

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees