JPH06287894A - 難燃紙及びその製造方法 - Google Patents

難燃紙及びその製造方法

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JPH06287894A
JPH06287894A JP12682192A JP12682192A JPH06287894A JP H06287894 A JPH06287894 A JP H06287894A JP 12682192 A JP12682192 A JP 12682192A JP 12682192 A JP12682192 A JP 12682192A JP H06287894 A JPH06287894 A JP H06287894A
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JP
Japan
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filler
paper
sericite
weight
fillers
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JP12682192A
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English (en)
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Osamu Nakano
修 中野
Yasuhiko Asai
靖彦 浅井
Mitsuo Sakano
光夫 阪野
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TOKUSHU SEISHI KK
Original Assignee
TOKUSHU SEISHI KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 燃焼後の形状保持性に優れた難燃紙及びその
製造方法の提供。 【構成】 セルロース繊維を主体とする繊維60〜15
重量部に対して2種類以上の填料が40〜85重量部充
填され、填料の1種類がセリサイト系填料であり、セリ
サイト系填料以外の填料が自己消火性のある填料を主体
とし、セリサイト成分の填料全体に占める割合が20〜
70重量%である紙を抄造し、必要に応じてさらに難燃
剤を含浸若しくは塗工し、又は/及び自己消火性のある
填料とバインダーを主体とした塗工層を設けて、JIS
A1322に規定する防炎3級以上の性能を有する難燃
紙を得る。この際、自己消火性のある填料とバインダー
を主体とした塗工層にセリサイト系填料を併用すること
で性能を向上できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、難燃紙及びその製造方
法に関する。さらに詳しくは、燃焼後の形状保持性に優
れた難燃紙及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、紙にクレー、炭酸カルシウム、二
酸化チタン等の填料を充填する主な目的は、白色度の向
上、不透明度の向上、印刷適性の向上にあった。そして
填料の充填割合は紙の10〜20重量%であった。
【0003】一方填料を紙に多量に充填した「高填料充
填紙」と呼ばれる特殊紙が最近注目されるようになっ
た。高填料充填紙の定義について定説は無いが、本発明
では一応40重量%以上の填料を含有する紙を高填料充
填紙と呼ぶことにする。高填料充填紙は、填料の持つ性
質を積極的に利用したものであって、例えば水酸化アル
ミニウム等の自己消火性填料を利用した難燃紙、陶土等
を利用した施ゆう紙、ジルコニアを利用した耐熱紙、ゼ
オライト等を利用した吸着紙などが既に実用化されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、自己消
火性填料を利用した難燃紙に着目し検討を開始した。自
己消火性填料とは、加熱されることにより、吸熱反応で
水を多量に放出する填料であって、例えば、水酸化アル
ミニウムは約200℃から分解を開始し、2Al(O
H)3 →Al23+3H2O−470cal/gの吸熱
反応を起すと言われており、紙を難燃化させる。本発明
者らが種々検討した結果では、これら自己消火性填料を
多量に紙に充填した難燃紙は、燃焼試験後において、炭
化した部分がシート状の形状を保持しないことが判っ
た。従ってこれらの難燃紙を建材の表面に使用した場合
は火災時には炭化部分が欠落貫通する結果、下層の建材
が燃焼しやすくなるという欠点がある。
【0005】燃焼後の形状保持性に優れた難燃紙とし
て、灰ホウ石粉末を高充填した無機質シートが知られて
いる(例えば特公平3−4679)。しかしながらこの
シートは灰ホウ石が灰色であるので、これを高充填した
シートは灰色となり、また灰ホウ石は高価であるので特
定の用途にしか使用出来ない問題点があった。
【0006】填料を紙に充填させるに当たって、主とし
てセルロース繊維と填料よりなるスラリーに硫酸アルミ
ニウム等の多価金属イオンやカチオン性化合物を添加し
て填料を繊維に定着させて抄造することは古くから行わ
れていた。これらの定着剤の使用量を多くすると分散液
全体の電荷平衡が破れ、時には過度の凝集が起こり地合
の悪化を引き起こす。従ってこの方法で生産性良く紙を
抄造するには、填料の添加量はセルロース繊維に対して
40重量%が上限とされ、前述のように通常は填料の充
填割合は紙の10〜20重量%である。従ってこの方法
で自己消火性填料を多量に充填した難燃紙を製造するこ
とは困難を伴う。
【0007】本発明は、これらの問題点を解決すること
を課題とする。即ち、燃焼後も形状保持性の優れた白色
度に優れた難燃紙を得ること、またその効率的な製造方
法を得ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく、種々検討を進めた。その結果、セリサイト
系填料を使用することで上記課題を解決できることを見
いだし本発明を完成したものである。即ち本発明は
(1)セルロース繊維を主体とする繊維60〜15重量
部に対して2種類以上の填料が40〜85重量部充填さ
れ、(2)填料の1種類がセリサイト系填料であり、
(3)セリサイト系填料以外の填料が自己消火性のある
填料を主体とし、(4)セリサイト成分の填料全体に占
める割合が20〜70重量%である紙を抄造し、(5)
必要に応じてさらに難燃剤を含浸若しくは塗工し、又は
/及び自己消火性のある填料とバインダーを主体とした
塗工層を設けて、JIS A1322に規定する防炎3
級以上の性能を有することを特徴とする難燃紙である。
また、(1)セルロース繊維を主体とする繊維60〜1
5重量部に対して2種類以上の填料が40〜85重量部
充填され、(2)填料の1種類がセリサイト系填料であ
り、(3)セリサイト系填料以外の填料が自己消火性の
ある填料を主体とし、(4)セリサイト成分の填料全体
に占める割合が20〜70重量%である紙を抄造するに
当り、セルロース繊維と填料を主体として成るスラリー
にカチオン凝集剤とアニオン凝集剤を添加し抄造し、
(5)必要に応じてさらに難燃剤を含浸若しくは塗工
し、又は/及び自己消火性のある填料とバインダーを主
体とした塗工層を設けて、JIS A1322に規定す
る防炎3級以上の性能を有することを特徴とする難燃紙
の製造方法である。
【0009】本発明で使用するセルロース繊維とは、針
葉樹晒クラフトパルプ(NBKP),広葉樹晒クラフト
パルプ(LBKP),針葉樹晒サルファイトパルプ(N
BSP),サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材
パルプ、麻,楮,雁皮,三椏等の靭皮繊維、コットンリ
ンター,竹,ワラ等の非木材パルプ等の単独若しくは混
合物を意味する。本発明ではこれらのセルロース繊維の
単独あるいは混合物を適度に叩解して、必要に応じてビ
ニロン,ナイロン,ポリエステル等の合成繊維、ガラス
繊維,ロックウール等の無機繊維、合成パルプ等の繊維
物質を適宜配合する。
【0010】本発明では難燃性、燃焼後の形状保持性、
物理的な諸強度を考慮するとセルロース繊維を主体とす
る繊維60〜15重量部に対して2種類以上の填料を4
0〜85重量部充填させるが、填料の1種類がセリサイ
ト系填料であり、セリサイト系填料以外の填料が自己消
火性のある填料であることが必要である。またセリサイ
ト成分の填料に占める割合が20〜70重量%であるこ
とが必要である。填料を紙に充填させるに当たって、歩
留りを考慮に入れて実際の添加量は適宜調整する必要が
ある。また後で述べるように難燃性が不足する場合は、
紙を抄造してさらに難燃化処理する。
【0011】セリサイトとは、別名絹雲母とも呼ばれて
いる填料である。セリサイトの化学組成は、白雲母(理
想的な化学式:K2O・3Al23・6SiO2・2H2
O)の組成に近く、白雲母に比べて、K2Oが少なく、
SiO2とAl23の比が大きく、H2Oが多いという特
徴がある。従ってセリサイト自身も加熱により水を放出
し紙の難燃化に寄与する。
【0012】紙にクレーを充填することは前述のように
周知である。クレーは製紙用語としてはコーティング用
及び内添用に使用される精製粘土の総称を意味し、組
成、形状によりパイロフィライト質クレー,カオリン質
クレー,タルク質クレー,セリサイト質クレーに分けら
れる。ほとんどすべての製紙用クレーはセリサイト成分
を含んでいるが、セリサイトはSiO2の比率が高く硬
度が大きいので、抄紙機のワイヤの摩耗や、ロータリー
カッターやギロチンカッターの刃の摩耗が早いという問
題を引き起こす。従って製紙用クレーはセリサイト成分
のなるべく少ないもの、即ちパイロフィライト質クレ
ー,カオリン質クレー,タルク質クレーが好んで使用さ
れて来た。
【0013】本発明ではセリサイト系填料に、純粋なセ
リサイトを使用することが好ましいが、純粋なセリサイ
トは価格が高く、分散液の粘度特性が悪いので、セリサ
イト成分を含む填料、例えばセリサイト質クレーを使用
してもよい。この場合、セリサイト成分含有量が30重
量%以上、好ましくは50重量%以上のものが通常使用
される。セリサイト質クレーは他のクレーに比べ、白色
度、不透明度が高いという別の利点も生まれる。
【0014】本発明に使用するセリサイト系填料以外の
填料として使用する自己消火性のある填料は、前述した
水酸化アルミニウムの他に、水酸化マグネシウム(Mg
(OH)2)、カルシウムアルミネート(3CaO・A
23・6H2O)、水酸化カルシウム(Ca(O
H)2)、ドーソナイト(Na・Al・O(OH)・H
CO3)、アルミン酸カルシウム(3CaO・Al23
・6H2O)等があり、これらも加熱されることで水を
放出し、吸熱反応を起こし紙を難燃化させる。本発明で
は、自己消火性のある填料として、上記のものがいづれ
も使用できるが、特に水酸化アルミニウムを使用するこ
とが、吸熱量が大きいこと、セルロースの燃焼温度であ
る約300℃より分解温度が低く、セルロースの燃焼を
防ぐ効果が大きいこと、安全性が高いこと、安価である
こと、白色度が大きいこと等々の理由で好ましい。これ
らの自己消火性填料の他に本発明の目的を阻害しない範
囲で他の填料、例えば炭酸カルシウム、二酸化チタン、
シリカ、パイロフィライト質クレー,カオリン質クレ
ー,タルク質クレー等を併用することができる。
【0015】本発明ではさらに必要に応じて、乾燥紙力
増強剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、着色染顔料、他の
製紙用副資材を適宜併用することが出来る。
【0016】次に本発明の難燃紙の製造方法について述
べる。本発明では、セルロース繊維主体の繊維に、歩留
りを考慮して所定の填料を配合したスラリーに硫酸アル
ミニウム等の多価金属イオンやカチオン性化合物を添加
して填料を繊維に定着させて抄造する方法を採用できる
が、この方法では前述のように填料の歩留りが悪く、地
合の悪化、白水への填料の流出等の弊害が発生すること
が多い。これらの弊害を解決する一つの方法は、本出願
人が先に出願した特開昭63−203900号に提案し
たように、填料を多量に添加した未凝集スラリーの流送
中に凝集剤を加えて凝集し、傾斜フロー板を使用して抄
造したり、特開昭64−20398号に提案したよう
に、傾斜ワイヤ式抄紙機で抄造する方法を採用すること
である。しかしながらこれらの方法は、抄紙機を特別に
設計、設置しなければならないという問題があるので、
本発明者らはさらに検討を進め本発明の難燃紙の効率的
な製造方法を見いだした。
【0017】最近は抄紙機の大型化、紙の中性紙化を背
景に填料歩留りの向上が強く望まれ、いわゆる「デュア
ルシステム(dual system)」と呼ばれる填
料の定着方法が発展している。デュアルシステムは2種
類以上の凝集剤を組合せて、セルロース繊維と填料の強
固なフロックを形成させて填料歩留りを向上させる抄造
方法である。例えばカチオン化澱粉とコロイド状ケイ酸
の組合せ、グアーガムとコロイド状ケイ酸の組合せ、カ
チオン性ポリアクリルアミドとコロイド状ケイ酸の組合
せ、カチオン性ポリアクリルアミドと変性ベントナイト
の組合せ、両性ポリアクリルアミドとアルミ化合物の組
合せ、ポリエチレンオキサイドと特殊フェノール樹脂の
組合せ、ポリエチレンオキサイドとベントナイトの組合
せ、ベントナイトとアニオン性ポリアクリルアミドの組
合せ、ベントナイトとポリエチレンイミンとポリアクリ
ルアミドの組合せ等が知られている。
【0018】この方法を応用して高填料充填紙を製造す
ると、強い凝集によって填料歩留り(ワンパスリテンシ
ョン)は向上するものの、地合が悪く、ピンホールの多
数ある紙となってしまい、引張り強さ,引き裂き強さ,
内接強さ等の物理的強度のバラツキが大きくなってしま
う問題点があると言われていた。また、この方法は凝集
剤の添加量が少ないと填料歩留りが低下し、排水に多量
の填料が流失するという問題を起こすので、凝集剤の添
加量を常時制御する必要があり、また抄紙機の操業中に
は白水の循環使用等により、凝集度合が時々刻々変化す
るので、その制御は困難であると言われていた。
【0019】本発明者らは、これらのデュアルシステム
により本発明の難燃紙の製造を検討した。その結果本発
明の難燃紙はこれらいずれの方法によっても製造できる
ことが判った。本発明者らはさらに検討を進めた結果、
ある特定の凝集剤の組合せ即ちカチオン凝集剤とアニオ
ン凝集剤との組合せで、従来言われていた地合が悪化す
るという弊害がほとんど発生することなく本発明の難燃
紙を抄造できることを見いだした。この理由は後に詳し
く述べるように、セリサイト系填料の持つ特異な性質と
凝集剤との相乗効果によるものと推定された。
【0020】本発明では通常、先ずセルロース繊維主体
の繊維物質を適度に叩解し、所定の填料と必要に応じ他
の製紙用副資材を添加したスラリーにカチオン凝集剤を
添加する。添加量は通常スラリー固形分に対して、固形
分として0.02〜0.06重量%である。カチオン凝
集剤としては、ポリアクリルアミド,ポリアクリルアミ
ド・アクリレート共重合体,アクリルアミド・メタアク
リレート共重合体,カチオン澱粉,グアーガム,ポリエ
チレンイミン,ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリ
ンなどの凝集剤がいずれも使用できるが、効果が大きい
こと、安定度に優れること、地合を悪化する程度の少な
いことからカチオン澱粉が好ましく使用される。カチオ
ン凝集剤は通常ポーチャーやマシンチェストで添加す
る。
【0021】ついでアニオン凝集剤を添加する。アニオ
ン凝集剤としては、ポリアクリルアミド,アクリルアミ
ド・アクリル酸ソーダ共重合体,アクリルアミド・アク
リレート共重合体,アクリルアミド・メタアクリレート
共重合体,コロイド状ケイ酸などの凝集剤が使用できる
が、効果が大きいこと、安定度に優れること、地合を悪
化する程度の少ないことからポリアクリルアミドが好適
に使用される。添加する場所は、ポーチャーやマシンチ
ェスト中よりファンポンプ前後あるいはスクリーン後が
フロックの破壊を少なくする意味で好ましい。添加は複
数の箇所で行ってもよい。アニオン凝集剤の添加により
セルロース繊維と填料はフロックを形成するが、流送途
中でフロックが弱くなることがある。この場合は、さら
にカチオン性物質例えば上記したカチオン凝集剤をワイ
ヤパートに近い部分で添加し抄造することができる。抄
紙機は、通常の長網抄紙機が使用できる。また、本発明
では必要に応じて抄紙機上のサイズプレス装置により、
サイズ剤や顔料塗工液を塗工したり難燃剤等を含浸す
る。
【0022】次にセリサイト系填料の特異な効果につい
て説明する。セリサイト系填料を前に述べた特定の比率
で使用し、カチオン凝集剤とアニオン凝集剤でフロック
を形成させて抄造すると、紙の地合が著しく向上するの
は以下に述べる理由によるものと推定された。セリサイ
ト系填料は他の填料と比べ、填料自体の保水量が大き
く、カチオン凝集剤とアニオン凝集剤の添加により水を
抱き込んだ大きなフロックとなりやすい。このためセリ
サイト系填料を使用しない場合と比較して、填料歩留り
は向上し、抄紙機のワイヤー上での脱水速度が遅くな
り、ワイヤー上のミキシングやシェイキングにより均一
な地合が作りやすくなる。均一な地合が形成されること
により、ピンホールが少なく、また物理的強度のバラツ
キも少なくなる。セリサイト成分の填料に占める割合が
70重量%を越えると、粘性のある紙匹となり、ワイヤ
ー上の脱水速度が極端に遅くなり、紙匹のワイヤーから
の剥がれが悪くなったり、プレス装置で紙匹の潰れが出
やすくなり連続生産が困難となる。またセリサイト成分
の填料に占める割合が20重量%未満であると脱水速度
が早くなり、地合の悪化を引き起こす。かかる観点か
ら、セリサイト成分の填料全体に占める割合は20〜7
0重量%とすることが必要である。
【0023】本発明では、このようにして抄紙した紙の
難燃性が、JIS A1322に規定する防炎3級以上
となることが必要である。防炎3級以上とは、防炎1級
または防炎2級または防炎3級のいずれかに入ることを
意味する。従って、自己消火性の填料の充填割合が低い
場合は、この範囲に入らなくなる場合がある。またさら
に難燃性を向上したい場合がある。その場合はさらに難
燃剤を含浸若しくは塗工し、又は/及び自己消火性のあ
る填料とバインダーを主体とした塗工層を設けて、JI
S A1322に規定する防炎3級以上の性能を有する
ようにする。
【0024】難燃剤としては、たとえばスルファミン酸
グアニジン、リン酸グアニジン、スルファミン酸アンモ
ニウム、縮合リン酸アルキルエステル誘導体、硫酸グア
ニジン、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、等の
水溶液もしくは水に分散が可能なものがいずれも使用で
き、これらの1種類以上を紙に含浸若しくは塗工する。
通常は抄紙機のサイズブレス装置で含浸したり、ビルブ
レードコーターで塗工を行う。この際、填料、澱粉、サ
イズ剤、染料等の製紙用副資材やジシアンジアミド、メ
ラミンのメチロール化物、ジシアンジアミドのメチロー
ル化物等の耐熱助剤を適宜併用することも行われる。
【0025】本発明はこのようにして製造した紙の片面
又は両面にさらに自己消火性のある填料とバインダーを
主体とした塗工層を設け、さらに難燃性を高めることも
できる。自己消火性のある填料としては、前述した填料
がいづれも使用できるが、水酸化アルミニウムを使用す
ることが前述と同じ理由で好ましい。バインダーとして
は、SBR,MBR等の合成ゴムラテックス、アクリル
エマルション、塩化ビニルエマルション、塩化ビニリデ
ンエマルション、及びこれらの共重合エマルション等、
カゼイン、澱粉、PVA等々を適宜組合わせて使用する
が、発熱量が少なく難燃性のある、たとえば塩化ビニル
や塩化ビニリデンエマルション、あるいはこれらとの共
重合体を主体に使用することが好ましい。自己消火性の
填料単独、もしくは2種類以上に分散剤を加えて分散
後、バインダーを添加して塗料を調製するが、この際上
記した難燃剤、二酸化チタン等の填料、保水剤、流動性
改良剤、防カビ剤、防腐剤、着色剤等を必要に応じて添
加することもできる。バインダーの添加量は、余り少な
いと塗工層の必要強度が出ず、多すぎても難燃性に悪影
響を与えるので、通常は、填料に対して5重量%から3
0重量%添加する。こうして調製した塗料を、エアナイ
フコーター、ブレードコーター、ロールコーター等の塗
工機で原紙の片面若しくは両面に塗工する。塗工量は通
常5〜30g/m2である。
【0026】本発明ではさらに、自己消火性のある填料
以外の填料にセリサイト系填料を併用することで難燃性
と燃焼後の形状保持性をより高めることもできる。この
場合、セリサイト成分の填料全体に占める割合が50重
量%を越えると塗工液の流動特性が悪くなり、また壁紙
用基紙の用途に使用すると、塩化ビニル樹脂等の塗工工
程でフクレを生じるので、セリサイト成分の填料全体に
占める割合は20〜50重量%とすることが必要であ
る。
【0027】
【実施例】次に本発明を実施例に基づき詳細に説明す
る。なお便宜的に歩留りは100%に換算して記載して
ある。重量部はいずれも乾燥重量部を示す。
【0028】実施例.1 繊維として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と広
葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)を7:3の比率で混
合しフリーネス550mlC.S.F.に調整したスラ
リー15重量部に対して、水酸化アルミニウム(商品名
「ハイジライトH−42」、昭和電工(株)製)を51
重量部、セリサイト成分の含有量50重量%のセリサイ
ト質クレーを34重量部混合し、ポーチャーにおいてカ
チオン澱粉(商品名「ソルダインCP−10N」、大和
化学工業(株)製造)を1重量部、サイズ剤(商品名
「ハーコン75」、播磨化成工業(株)製)を0.3重
量部、耐水化剤(商品名「ポリミンSN」、BASF
(株)製)を1重量部を添加し、さらにアニオン系凝集
剤(商品名「サンポリーAH200」、三共化成工業
(株)製)を流送途中でスラリー乾燥重量部に対して
0.004重量部加え長網抄紙機で、坪量80g/m2
を目標に難燃紙を抄造した。
【0029】実施例.2 繊維スラリー60重量部、水酸化アルミニウムを13.
3重量部、セリサイト成分の含有量が30重量%のセリ
サイト質クレーを26.7重量部とした以外は実施例1
と同一の処方で、坪量80g/m2を目標に原紙を抄造
し、サイズプレス装置で難燃剤としてスルファミン酸グ
アニジンを7g/m2含浸した。
【0030】実施例.3 繊維スラリー15重量部、水酸化アルミニウムを10.
6重量部、セリサイト成分80重量%のセリサイト質ク
レーを74.4重量部とした以外は実施例1と同一の処
方で、坪量80g/m2を目標に難燃紙を抄造した。
【0031】実施例.4 繊維スラリー60重量部、水酸化アルミニウムを5重量
部、セリサイト成分80重量%のセリサイト質クレーを
35重量部とした以外は実施例1と同一の処方で、坪量
80g/m2を目標に原紙を抄造し、サイズプレス装置
で難燃剤としてスルファミン酸グアニジンを10g/m
2含浸した。
【0032】実施例.5 実施例2の難燃剤を含浸する前の原紙に、塗工層として
水酸化アルミニウム(商品名「B−703」、日本軽金
属(株)製)90重量部と塩化ビニリデンラテックス
(商品名「サランL−106」、旭化成工業(株)製)
7重量部、ポリビニルアルコール(商品名「PVA−1
17」、クラレ(株)製)3重量部よりなる塗工液をエ
アーナイフコーターで両面に20g/m2ずつ塗工し
た。
【0033】実施例.6 実施例2の難燃剤を含浸する前の原紙に、塗工層として
水酸化アルミニウム(商品名「B−703」、日本軽金
属(株)製)50重量部、セリサイト成分50重量%の
セリサイト質クレー40重量部と塩化ビニリデンラテッ
クス(商品名「サランL−106」、旭化成工業(株)
製)7重量部、ポリビニルアルコール(商品名「PVA
−117」、クラレ(株)製)3重量部よりなる塗工液
をエアーナイフコーターで両面に20g/m2ずつ塗工
した。
【0034】比較例.1 繊維スラリー60重量部、水酸化アルミニウムを15重
量部、セリサイト成分10重量%のカオリナイト系クレ
ーを25重量部とした以外は実施例1と同一の処方で、
坪量80g/m2の難燃紙を抄造した。
【0035】比較例.2 繊維スラリー15重量部、水酸化アルミニウムの添加を
85重量部とし、セリサイト質クレーの添加をゼロとし
た以外は実施例1と同一の処方で、坪量80g/m2
難燃紙を抄造した。
【0036】各実施例、比較例の評価結果を表1に示
す。坪量(g/m2)はJIS P8124、厚さ(m
m)はJIS P8118に準じて測定した。地合は目
視により判断し5段階評価(5:最も良い〜1:最も悪
い)を行った。引張り強さ(縦方向:kgf/15m
m)及び内接強さ(縦方向のT字剥離力:gf/30m
m)は万能引張り試験機を用い、そのバラツキ(単位は
同じ)も測定した。難燃性はJIS A1322に準じ
て測定し、測定後のサンプルで炭化部分の形状保持性を
判断し5点法で表示した(5:最も良い〜1:最も悪
い)。3点以上が実用的に優れている範囲である。
【0037】
【表1】
【0038】表1から明らかのように、実施例の難燃紙
はいずれも比較例に比べて地合が良好で、引張り強さ、
内接強さのバラツキが比較例より少なく、難燃性は防炎
3級以上あり、また燃焼試験後の形状保持性にも優れて
いることが判る。
【0039】
【発明の効果】以上に述べたように本発明の難燃紙は製
造され、下記に述べるような顕著な効果を有する。 (1)難燃性は防炎3級以上あり、燃焼後の形状保持性
に優れる。 (2)灰ホウ石粉体を使用した従来の形状保持性に優れ
た難燃紙と比較してはるかに白色度が高い。 (3)従来の高填料含有紙と比較し、カチオン凝集剤と
アニオン凝集剤を添加する方法で製造した本発明の難燃
紙は、セリサイト系填料と凝集剤との相乗効果により、
地合は著しく向上し、特殊な抄紙機を使用せずに、長網
抄紙機ようなごく普通の抄紙機で抄造できる。 (4)従ってピンホールが少なく、引張り強さ、内接強
さ等の物理的強度のバラツキが少ない難燃紙を製造でき
る。 (5)セリサイト質クレーを使用することにより、他の
クレーを使用することに比べ白色度、不透明度が高い難
燃紙を製造できる。 (6)必要に応じて表面に、セリサイト系填料を併用し
た自己消火性填料とバインダーを主体とする塗工層を設
けることによって、より難燃性、形状保持性を向上で
き、また印刷適性も格段に向上できる。また表面に塗工
層を形成するので表面の強度が向上し、ピーラブル性も
向上できる。
【0040】本発明の難燃紙は以上の様な特性を有する
ので、壁紙用基紙等の建材用途に好適に使用できる。ま
た耐熱性インキで印刷を施せば燃焼後にも印刷された内
容が判読可能となるので、有価証券、保険証書等の用途
にも好適に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 7199−3B D21H 3/66

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)セルロース繊維を主体とする繊維
    60〜15重量部に対して2種類以上の填料が40〜8
    5重量部充填され、(2)填料の1種類がセリサイト系
    填料であり、(3)セリサイト系填料以外の填料が自己
    消火性のある填料を主体とし、(4)セリサイト成分の
    填料全体に占める割合が20〜70重量%である紙を抄
    造し、(5)必要に応じてさらに難燃剤を含浸若しくは
    塗工し、又は/及び自己消火性のある填料とバインダー
    を主体とした塗工層を設けて、JIS A1322に規
    定する防炎3級以上の性能を有することを特徴とする難
    燃紙。
  2. 【請求項2】 自己消火性のある填料とバインダーを主
    体とした塗工層にセリサイト系填料が含まれていること
    を特徴とする請求項1記載の難燃紙。
  3. 【請求項3】 (1)セルロース繊維を主体とする繊維
    60〜15重量部に対して2種類以上の填料が40〜8
    5重量部充填され、(2)填料の1種類がセリサイト系
    填料であり、(3)セリサイト系填料以外の填料が自己
    消火性のある填料を主体とし、(4)セリサイト成分の
    填料全体に占める割合が20〜70重量%である紙を抄
    造するに当り、セルロース繊維と填料を主体として成る
    スラリーにカチオン凝集剤とアニオン凝集剤を添加し抄
    造し、(5)必要に応じてさらに難燃剤を含浸若しくは
    塗工し、又は/及び自己消火性のある填料とバインダー
    を主体とした塗工層を設けて、JIS A1322に規
    定する防炎3級以上の性能を有することを特徴とする難
    燃紙の製造方法。
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