JP2991251B2 - グラビア用中質塗工紙 - Google Patents

グラビア用中質塗工紙

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JP2991251B2 JP3146516A JP14651691A JP2991251B2 JP 2991251 B2 JP2991251 B2 JP 2991251B2 JP 3146516 A JP3146516 A JP 3146516A JP 14651691 A JP14651691 A JP 14651691A JP 2991251 B2 JP2991251 B2 JP 2991251B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原紙中に機械パルプを
含有するグラビア用塗工紙に関し、特にミッシングドッ
トが減少し、白紙光沢度、平滑度及び不透明度を改良し
たグラビア用中質塗工紙に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、印刷用塗工紙の需要の伸びが著し
く、とりわけ経済の低成長時代における低コスト化及び
軽量化に伴って中質塗工紙の需要の伸びが著しい。
【0003】中でも雑誌のビジュアル化やカラー化に伴
い印刷インキ濃度が高く、美麗で高級印刷が可能なグラ
ビア印刷方式が伸びている。
【0004】グラビア印刷は、金属ロール面上の凹みに
充填された印刷インキを直接紙面に転移させる印刷方式
であるので塗工紙の平滑性と版に密着するための柔軟性
が劣る場合オフセット(平版)及び活版(凸版)の印刷
方式では見られないインクの非転移現象である印刷ドッ
トの白抜け、いわゆるミッシングドットが発生し易い。
【0005】ミッシングドットは、特に印刷濃度の低い
ところ(ハイライトないしハーフトーン部)で発生し易
いが、ミッシングドットが発生すると印刷効果が損なわ
れ印刷物の品質を著しく低下させることになる。このミ
ッシングドットを発生する原因としては塗工紙の平滑性
のような表面特性及び柔軟性の劣ることを挙げることが
できる。
【0006】紙の表面平滑性を高める目的でグラビア印
刷用紙の場合は、オフセット印刷の場合よりも高い水準
でスーパーキャレンダー仕上げを行なうことが多い。
【0007】グラビア印刷用紙の場合、美麗な印刷仕上
げのための白紙光沢度、さらにはオフセット印刷よりも
インキ濃度が高いために紙の表面の印刷物が裏面から透
けて見えるいわゆるシースルートラブルが起こり易いの
で、シースルーと関連性の高い紙の不透明度も非常に重
要な特性の一つである。
【0008】そこで、従来のグラビア印刷用紙の塗料に
使用される顔料としては、カオリナイトクレー、炭酸カ
ルシウムなどの無機顔料を主体としたものが使用されて
きた。
【0009】カオリナイトクレーとしては一級クレー、
二級クレー、デラミネーテッドクレーなどが使用されて
いるが、ミッシングドット現象の防止と、不透明度の増
加を目的に焼成クレーを併用したものもある。
【0010】一方、グラビア印刷のミッシングドット現
象の防止と白紙光沢度及び不透明度の増加を目的に非造
膜性樹脂粒子、いわゆるプラスチックピグメントのよう
な有機顔料が用いられ、さらには内部に空隙を有するプ
ラスチックピグメントを併用したものも知られている
(特開昭64−20396号公報参照)。
【0011】しかしながら、前記公知の方法においてミ
ッシングドットの現象の防止と不透明度の増加を目的に
焼成クレーを併用した場合、塗料のレオロジー特性が劣
るので塗工濃度を高くできないとか、コーターでの作業
性が悪くなるという問題がある。
【0012】さらに、プラスチックピグメントを併用し
た場合、無機顔料だけでは得られないような高度の白紙
光沢度、表面平滑度、不透明度、白色度などを塗工紙に
付与することができるという利点を有する反面、有機顔
料は、無機顔料よりコスト高になることと高剪断力の下
での塗工液の粘度上昇が著しいことから、作用効果を引
き出すのに十分なだけの有機顔料を商業ベースで利用で
きないという問題点がある。
【0013】従って、ミッシングドット現象の防止に関
しては依然として満足のできる水準まで改善技術が到達
していないのが現状である。
【0014】さらに、グラビア印刷用紙として要求され
る軽量化の点については、原紙重量のみならず、塗工重
量をも減少させる必要があるが、単純に塗工重量を減少
させると塗工紙の不透明度、白紙光沢度及び表面平滑度
の低下とミッシングドットの増加が付随して起こること
になる。
【0015】また、不透明度を改善するために原紙中の
機械パルプ含有量を増加させていくことが通常行なわれ
ているが、機械パルプの増量は、用いるパルプの種類及
び叩解の程度によっては塗工紙の表面性を悪化させ、ミ
ッシングドットを著しく増加させてしまうものもある。
【0016】一方、塗工用顔料としてカオリンをカチオ
ン性ポリ電解質で凝集させるという化学処理を施すこと
によって、焼成クレーのような嵩高構造を持たしめた新
種の顔料が開発され、この顔料は、不透明性と印刷適性
に優れた性質を有するが、同時に塗工紙の光沢が出難く
なるといわれている(特開昭62−267371号公
報)。
【0017】このように、前記諸問題を解決することが
グラビア用塗工紙、とりわけ軽量グラビア用塗工紙にと
って大きな課題となっていた。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑みグラビア印刷用紙の軽量化、ミッシングドッ
トの減少及び白紙光沢度、平滑度並びに不透明度の改善
について塗工用原紙に使用するパルプ及び塗工組成物中
の各種顔料の研究のみならず、原紙組成と塗工組成物の
組合せについて幅広く研究した結果、フリーネスを限定
した値以下になるように叩解した機械パルプを一定割合
で配合した塗工用原紙に、嵩高な構造を有するカオリン
を一定割合で含有する塗工組成物を塗工することによ
り、グラビア印刷時の品質、とりわけミッシングドット
が著しく減少できることを見出し本発明を完成するに到
った。
【0019】従って、本発明の目的は、軽量化、ミッシ
ングドットの減少並びに白紙光沢度、平滑度及び不透明
度などの特性の向上を図ったグラビア用中質塗工紙を提
供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、片面塗工量が
3〜15g/m2の片面或いは両面塗工紙において、塗
工用原紙としてJIS P 8121で測定したパルプ
のフリーネスが85mlC.S.F.(カナダ標準フリー
ネス)以下の機械パルプを10〜80重量%含有し、か
つ顔料とバインダーからなる紙塗工組成物の顔料とし
て、0.77〜0.95ml/gの範囲の沈降容積を有す
る嵩高なカオリンを全顔料の10〜90重量%含有する
塗料を塗工したことを特徴とするグラビア用中質塗工紙
である。
【0021】本発明の原紙に配合される機械パルプには
加圧ストーングランドパルプ(PGW)、ストーングラ
ンドパルプ(SGP又はGP)、レファイナーグランド
パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)
などが挙げられ、これらの未晒及び半晒パルプが単独
で、或いは混合して用いられる。
【0022】しかしながら、本発明ではパルプの叩解の
程度が重要であり、JIS P8121に記載の試験方
法により測定されるフリーネスで85mlC.S.F.
(カナダ標準フリーネス)以下に叩解されたものを用い
ることが必須で、好ましくは70mlC.S.F.以下、
さらに好ましくは35〜55mlC.S.F.の範囲に叩
解したパルプを使用することにより所望する効果が得ら
れる。
【0023】パルプのフリーネスが高いと原紙の表面が
粗くなり、塗工紙に所望される表面平滑性が得られず、
フリーネスは、低い方が表面平滑性にとっては好ましい
ものの原紙密度が高くなるので塗工紙に柔軟性が乏しく
なり、グラビア印刷用紙としては好ましくない。
【0024】機械パルプとしてPGWが最も好ましく、
材種としてはパイン系よりもスプルース系のものより得
られたパルプが好適である。原紙中には前記機械パルプ
を10〜80重量%、好ましくは20〜65重量%含有
させることが本発明の軽量化した中質グラビア塗工紙を
得るためには必要である。
【0025】このような機械パルプの配合割合は、多い
ほど不透明度の向上と塗工紙のミッシングドットの減少
に寄与するが、反面、引張り強さ、引裂き強さ及び破裂
強さで表される紙力の低下につながるので、機械パルプ
の配合割合は、10〜80重量%の範囲内で適宜選択さ
れる。
【0026】前記機械パルプ以外のパルプとして、針葉
樹(N)及び広葉樹(L)の漂白クラフトパルプ(BK
P)、漂白サルファイトパルプ(BSP)及びこれらの
セミ漂白パルプ(SBP)が機械パルプと一緒に用いら
れる。
【0027】紙力増強剤、サイズ剤、填料、歩留向上剤
などの抄紙補助薬品が必要に応じて添加され、通常の抄
紙機において原紙が抄造される。必要に応じてサイズプ
レス或いはゲートロールコーターにより澱粉、ポリビニ
ルアルコール、ポリアクリルアミドなどを原紙に塗布し
てもよい。
【0028】本発明に係る塗工組成物は、顔料及び接着
剤からなり、顔料は、特開昭62−267371号公報
及び特開昭63−278986号公報に記載の方法で製
造され、4級アンモニウム重合体塩、ジアリルアンモニ
ウム重合体塩、ポリジメチルアリルアンモニウムクロラ
イド、ポリアミンのなかから選ばれたポリ電解質をカオ
リンの重量当り0.03〜0.15%の範囲の量添加さ
れてカオリンが処理され、0.77〜0.95ml/gの
範囲の沈降容積を持たしめられ、かくの如き化学処理に
よって焼成クレーの如き嵩高構造を持たしめたカオリン
(以後嵩高カオリンと呼称する)を全顔料の10〜90
重量%、好ましくは30〜60重量%配合したものが用
いられる。
【0029】嵩高カオリンが全顔料の10重量%未満で
ある場合には嵩高カオリンを使用しない場合と比較して
ミッシングドットの減少が見られず、又、配合割合が9
0重量%を越えると高剪断力下における塗工液の粘度上
昇により塗工時に均一な塗工面が得られ難くなること、
及びミッシングドットの減少効果が頭打ちとなってしま
うため得策ではない。
【0030】本発明の塗工組成物において、嵩高カオリ
ンと併用しうる顔料としては特に限定されるものではな
く、一般のカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カ
ルシウム、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、二酸
化チタン、プラスチックピグメントなどの通常の無機顔
料及び有機顔料が必要に応じて適宜使用される。
【0031】本発明で使用される塗工組成物に用いられ
る接着剤としては、アルカリ感応性合成樹脂エマルジョ
ン、アルカリ非感応性合成樹脂エマルジョン、及び酸化
澱粉、エステル化澱粉、酵素変性澱粉、カチオン化澱粉
などの澱粉類、カゼイン、大豆蛋白などの蛋白質類、カ
ルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
スなどの繊維素誘導体、及びポリビニルアルコールなど
の水溶性合成樹脂などを挙げることができる。
【0032】さらに、分散剤、消泡剤、潤滑剤、保水
剤、pH調整剤などが本発明の塗工組成物に必要に応じ
て適宜使用される。
【0033】塗工組成物は、前記原紙の片面或いは両面
に片面塗工量が3〜15g/m2 の範囲内になる如くオ
ンマシン或いはオフマシンにおいて一段或いは多段で塗
工される。
【0034】塗工量が3g/m2 未満ではミッシングド
ットの減少が期待できず、15g/m2 を越えるとミッ
シングドットの減少のためには良好であるが、軽量化の
意味が薄れるので好ましくない。
【0035】又、両面の塗工組成物或いは多段塗工する
場合の各段を形成する塗工組成物の配合は、必要に応じ
て適宜変更される。
【0036】塗工方式については特に限定されるもので
はなく、ブレードコーター、ロールコーター、バーコー
ター、エアナイフコーターなどの公知の塗工設備が用い
られる。
【0037】このようにして得られたグラビア用塗工紙
は、通常スーパーキャレンダー処理が施され、その際に
他の塗工紙よりも厳しい処理条件が適用され、高い表面
平滑度とミッシングドットの減少が達成される。
【0038】しかしながら、このような処理により不透
明度は、低下傾向を示し、スーパーキャレンダーに塗料
が付着し、スーパーキャレンダーのロール及び塗工紙の
表面性を損なうダスティングと呼ばれるトラブルを生じ
るので、余りに過度なスーパーキャレンダー条件による
処理は好ましくない。
【0039】本発明により得られるグラビア用中質塗工
紙のミッシングドットが少なく、表面平滑度、白紙光沢
度及び不透明度が高いなどの諸効果が得られる理由につ
いては必ずしも明確ではないが、以下の様に考えられ
る。
【0040】(1)本発明の高度に叩解された機械パル
プの繊維は、細胞壁の一部が破壊されてフィブリル化し
ているため、このようなパルプ繊維を用いている塗工紙
をスーパーキャレンダー掛けすると全体として潰れ易
く、表面に突出している部分は、さらに選択的に潰され
るため高平滑になりやすい。
【0041】又、パルプ繊維は、柔軟になっているので
グラビア印刷の際のクッション性が高く、ミッシングド
ットが減少する。
【0042】同様の理由により、同一フリーネスにおい
て比較すると、TMP、GP、PGWの順に、より大き
な作用効果が得られ、材種は、パイン系の材種よりもス
プルース系の材種の方が本発明のためには好適である。
【0043】(2)本発明の塗工組成物の顔料として使
用する化学処理した嵩高カオリンは、顔料の分散から塗
工工程までの過程では焼成クレーと同様の挙動を示し、
単位面積に一定重量の塗工を施す際には嵩高な顔料を使
用すると塗料の容積が大きくなるため、表面へより均一
に塗工することができる。
【0044】又、塗工後乾燥する場合には顔料の空隙に
充填されていた水分が蒸発し、空気層ができるため界面
が増加し、光散乱能力が増加するので結果として白色度
と不透明度の向上をもたらすことになる。
【0045】スーパーキャレンダーで塗工紙に表面平滑
性を付与する際に、焼成クレーを用いた場合にはクレー
同士の結合が強いため、表面に突出した部分が十分に潰
されずに残り、十分な平滑性と光沢度を付与することが
できないが、化学処理による嵩高カオリンナイトクレー
は、クレー同士の結合が比較的弱く、表面に突出した部
分が容易に潰されるので十分な平滑性と光沢度が付与さ
れることになる。
【0046】さらに、嵩高クレーを含有する塗工紙は、
嵩高クレーと機械パルプのクッション特性が相乗的に機
能し、グラビア印刷を施す際に印刷圧力で変形するほど
のクッション性を発現するので、ミッシングドットの減
少が極めて顕著になると考えられる。
【0047】嵩高クレーを用いた塗料は塗工量を増すと
共に平滑性も増し、塗工量とミッシングドットの減少
は、相関関係があるので同一のミッシングドット発生率
で比較すると、より少ない塗工量で済むことになり、グ
ラビア用塗工紙の軽量化が達成できる。
【0048】沈降容積の測定方法 顔料の沈降容積は、家庭用ミキサー(ナショナルMX−
V10:松下電器産業社製)を用い、顔料の10%固形
分濃度において分散剤(アロンT−40:東亜合成社
製)を顔料100部当り0.05部使用して3分間分散
したものについて分析した。この分散液200mlを採取
し、遠心分離器(KN−45:KUBOTA社製)にか
け、2000RPMの回転数で45分間処理し、上澄み
液を除いた顔料を含む残りの液の容量(ml) 及びその液
中に含まれる顔料の絶乾重量を求め、沈降容積を液の容
量(ml) /顔料の絶乾重量(g)で求められる値とし
た。
【0049】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明は、勿論これらに限定されるもので
はない。尚、部及び%は、すべて重量部及び重量%であ
る。
【0050】実施例1 原紙を構成するパルプ組成をNBKP(570mlC.
S.F.)25%、LBKP(440mlC.S.F.)
20%、PGW(40mlC.S.F.)40%、SGP
(55mlC.S.F.)15%とし、原紙中の灰分が8
%となる如く内添用タルクを添加し、さらにサイズ剤
(SPG:荒川化学工業社製)を絶乾パルプ重量当り
0.3%及び硫酸バンドを1.0%添加して、中質紙、
グラビア印刷用紙及び新聞用紙が抄造可能な抄紙機を用
いて絶乾坪量46g/m2 の塗工用原紙を製造した(原
紙Aと呼称する)。
【0051】顔料として化学処理した嵩高カオリン(エ
クシロン、沈降容積0.79ml/g:米国エンゲルハー
ド社製)60部、二級クレー(HTクレー、沈降容積
0.74ml/g:米国エンゲルハード社製)40部を用
い、顔料100部当り分散剤としてポリアクリル酸ソー
ダ(アロン−T:東亜合成社製)0.06部を添加し、
固形分濃度70%になる如く水を添加して高速デリッタ
ーにおいて分散後、さらに接着剤としてカルボキシル化
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(L−179
6−10:旭化成社製)を6部及び酸化澱粉(王子エー
スA:王子コンスターチ社製)2部を添加混合した。
【0052】その他に、次の薬品を顔料100部当り添
加混合して、さらに5%濃度の苛性ソーダ溶液を用いて
pH8.5に調整して55%固形分濃度の塗工液を製造
した。 潤滑剤(ノプコートC−108:サンノプコ社製) 1.30部 防腐剤(スラオフAB:武田薬品工業社製) 0.04部 消泡剤(DEF122NS:サンノプコ社製) 0.02部 蛍光染料(FoL:日本化薬社製) 0.10部
【0053】該塗工液をオンマシンブレードコーターを
用いて1000m/分で両面にそれぞれ塗工重量が7g
/m2 になるように前記原紙Aに塗工し、乾燥後スーパ
ーキャレンダー処理して坪量60g/m2 のグラビア用
中質塗工紙を得た。
【0054】実施例2 片面塗工量が5.5g/m2 となるように両面に塗工し
た以外は実施例1と同じにして坪量57g/m2 のグラ
ビア用中質塗工紙を得た。
【0055】比較例1 塗工顔料組成を二級クレー(HTクレー、沈降容積0.
74ml/g:米国エンゲルハード社製)70部、デラミ
ネーテッドクレー(NUクレー、沈降容積0.76ml/
g:米国エンゲルハード社製)30部とした以外は実施
例1と同じにしてグラビア中質塗工紙を得た。
【0056】実施例1、2及び比較例1で得られた塗工
紙の物性試験及び評価を次の方法で行ない、その結果を
表1に示す。
【0057】試験及び評価方法 (1)白色度、不透明度及び白紙光沢度 塗工紙のフェルト面について、以下の規格に従い測定し
た。 白色度 JIS P 8123 不透明度 JIS P 8138 白紙光沢度 JIS P 8142
【0058】(2)ミッシングドット ミッシングドットは、大蔵省印刷局型グラビア印刷試験
機(熊谷理機工業社製)を用い、次に示す印刷条件で塗
工面に印刷し、20%階調部における網点数5000個
中の欠落個数を点数で評価した。欠落個数と評価点数の
関係を図1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】表1に記載の結果から嵩高カオリン(エク
シロン)を60部使用した本発明のグラビア中質塗工紙
(実施例1)は、嵩高カオリンを使用しない場合(比較
例1)よりもミッシングドットの評価点が高く、その発
生の少ないことが分かる。一方、片面塗工量を7.0g
/m2 から5.5g/m2 に減少した本発明法(実施例
2)でも嵩高カオリンを使用しないで7g/m2 塗工し
たもの(比較例1)と同等の印刷適性を有し、本発明法
により塗工紙の軽量化及び生産コストの低減が可能にな
ることが分かる。
【0061】実施例3 塗工組成物中の顔料組成を化学処理した嵩高カオリン
(エクシロン)30部、二級クレー(HTクレー)70
部の如く変更した以外は、実施例1と同じにして塗工組
成物を製造し、該塗工組成物を実験室ブレードコーター
(王子工営社製)を用いて原紙Aの片面塗工量が7g/
2 になる如く両面に塗工し、実験室ドラム乾燥機(熊
谷理機社製)で乾燥後、実験室スーパーキャレンダー
(王子工営社製)で処理してグラビア用中質塗工紙を得
た。
【0062】実施例4 塗工組成物中の顔料組成を化学処理した嵩高カオリン
(エクシロン)60部、二級クレー(HTクレー)40
部の如く変更した以外は、実施例3と同じにしてグラビ
ア用中質塗工紙を得た。
【0063】実施例5 塗工組成物中の顔料組成を化学処理した嵩高カオリン
(エクシロン)90部、二級クレー(HTクレー10部
の如く変更した以外は、実施例3と同じにしてグラビア
用中質塗工紙を得た。
【0064】比較例2 塗工組成物中の顔料組成を二級クレー(HTクレー)7
0部、デラミネーテッドクレー(NUクレー)30部の
如く変更した以外は、実施例3と同様にしてグラビア用
中質塗工紙を得た。
【0065】実施例3,4,5及び比較例2で得られた
塗工紙の物性試験結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】表2に記載の結果から、嵩高カオリン(エ
クシロン)を配合した本発明のグラビア用中質塗工紙
(実施例3,4及び5)は、嵩高カオリンを使用しない
場合(比較例2)よりもミッシングドットの評価点が高
く、ミッシングドットの発生の少ないことが分かる。
又、嵩高カオリンの配合率を増加させるとミッシングド
ットは、さらに減少する傾向を示すが、頭打ちとなり、
嵩高カオリンを60部以上配合することは、得られる効
果の割りには生産コストを引き上げることになる。
【0068】実施例6 原紙を構成するパルプ組成をNBKP(570mlC.
S.F.)40%、PGW(40mlC.S.F.)20
%、ニュージーランド産TMP(90mlC.S.F.)
40%の如く変更した以外は、実施例1と同じにして原
紙B及び塗工組成物を製造し、該塗工組成物をパイロッ
ト規模塗工装置のヘリコーター( EnglishClays Loveri
ng Poching & Co. Ltd. 製)を用いて該原紙Bのフェル
ト面に塗工速度700m/分で片面に塗工量が10g/
2 となる如く塗工し、乾燥後実験室スーパーキャレン
ダーで処理したグラビア用中質塗工紙を得た。
【0069】実施例7 塗工組成物中の顔料組成を二級クレー(HTクレー)7
0部、化学処理した嵩高カオリン(エクシロン)30部
の如く変更し、原紙Aを用いた以外は、実施例6と同じ
にしてグラビア用中質塗工紙を得た。
【0070】比較例3 塗工組成物中の顔料組成を二級クレー(HTクレー)8
0部、焼成クレー(アングロアメリカ社製 アルファテ
ックス)20部の如く変更した以外は、実施例6と同じ
にしてグラビア用中質塗工紙を得た。
【0071】比較例4 塗工組成物中の顔料組成を二級クレー(HTクレー)7
0部、デラミネーテッドクレー(NUクレー)30部の
如く変更した以外は、実施例6と同じにしてグラビア用
中質塗工紙を得た。
【0072】実施例6,7、比較例3及び比較例4で得
られたグラビア塗工紙の物性測定結果を表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】表3に記載の結果から嵩高カオリン(エク
シロン)を配合したもの(実施例6及び7)は、嵩高カ
オリンを使用しないもの(比較例3及び4)よりもミッ
シングドットが少なく、評価点数の高いことが分かる。
又、嵩高カオリンを60部配合した実施例6と該カオリ
ンを30部配合した実施例7を比較してみるとパルプ配
合を変更することによってもミッシングドットが少な
く、評価点数の高いことが分かる。従って、ミッシング
ドットの減少には化学処理した嵩高カオリンは、有効で
あるが、その結果をさらに十分発現させるためには機械
パルプの配合も重要である。
【0075】
【発明の効果】本発明のグラビア用中質塗工紙は、フリ
ーネスを特定した機械パルプを含む塗工用原紙に化学処
理によって嵩高な構造としたカオリンを顔料として含有
する塗工組成物を塗工することにより、ミッシングドッ
ト、不透明度、白色度及び光沢度が良好であり、さらに
従来品と同じ水準に塗工紙の品質を維持する場合、塗工
重量の減少が可能となるので、グラビア用中質塗工紙の
軽量化ができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】グラビア印刷した場合の網点の欠落個数と評価
点数の関係を示す図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 片面塗工量が3〜15g/m2 の範囲の
    片面或いは両面塗工紙において、塗工用原紙としてJI
    S P 8121で測定したパルプのフリーネスが85
    mlC.S.F.以下の機械パルプを10〜80重量%含
    有し、かつ顔料とバインダーからなる紙塗工組成物の顔
    料として、0.77〜0.95ml/gの範囲の沈降容積
    を有するカオリンを全顔料の10〜90重量%含有する
    塗料を塗工したことを特徴とするグラビア用中質塗工
    紙。
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