JPH0797795A - グラビア印刷用塗被紙 - Google Patents

グラビア印刷用塗被紙

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JPH0797795A
JPH0797795A JP24084993A JP24084993A JPH0797795A JP H0797795 A JPH0797795 A JP H0797795A JP 24084993 A JP24084993 A JP 24084993A JP 24084993 A JP24084993 A JP 24084993A JP H0797795 A JPH0797795 A JP H0797795A
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JP
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paper
coated paper
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pigment
coated
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JP24084993A
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English (en)
Inventor
Kazuya Nishikawa
一哉 西川
Itsuro Yamamoto
逸朗 山本
Tsutomu Tsukada
力 塚田
Yoshihiko Saijo
良彦 西条
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
New Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 グラビア印刷用塗被紙 【目的】 塗被工程におけるペーパーロール、マシンカ
レンダーロールおよびスーパーカレンダーロール等の汚
れによる生産効率の低下を招くことなく製造でき、塗被
紙の密度が低く、剛度が高いので紙に腰があり、不透明
度も高いのでグラビア印刷における中間調階調印刷面の
ミスドットの発生が少なく、網点再現性に優れた高級の
グラビア印刷品質が得られる印刷用塗被紙を提供する。 【構成】木材パルプを主原料とする原紙と、この原紙上
に形成され、且つ顔料と接着剤の混合物を主成分とする
塗被層を有し、前記塗被層が、顔料として嵩高なカオリ
ンを、絶乾全顔料重量当り50〜100重量%及び接着
剤としてガラス転移温度が−55〜0℃のスチレン−ブ
タジエン共重合体樹脂を含有し、且つ前記塗被層表面の
王研式平滑度が200〜1000秒である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、グラビア印刷用塗被紙
に関する。さらに詳しく述べるならば、本発明は、主と
して商業美術印刷物、出版印刷物及び紙器印刷物に供さ
れ、中間調階調部の印刷面においてミスドットの発生が
少なく、網点再現性の優れた高級なグラビア印刷物を得
るのに適したグラビア印刷用塗被紙に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】グラビア印刷は、被印刷体へのインキ転
移機構が凸版印刷及び平版印刷と異なり、印刷面の濃淡
が金属版材のセルの大きさや深さで表現されるため、中
間調階調部からハイライト部に至る網点再現性が優れ、
写真に近い深みのある印刷が可能である。このため、近
年、高級な印刷分野を中心に用途を大きく拡大してい
る。
【0003】しかしながら、この方法で印刷する際、イ
ンキは、金属版材の微小なセルから直接被印刷体である
紙面に転移させられるため、セル内に満たされたインキ
が完全に紙面に転移せず、或いは欠落して未印刷部分或
いは印刷ドットの白抜け、いわゆるミスドットがしばし
ば発生する。
【0004】ミスドットの発生は、グラビア印刷が高級
印刷用として適用されることから印刷効果を損なう致命
的欠陥となる。このため、被印刷体としてのグラビア印
刷用塗被紙のみでなく、原稿、印刷条件、色材(イン
キ)及び版材からなる印刷の5要素の全てに厳格な管理
が要求される。とりわけ、グラビア印刷用塗被紙の有す
る物性がミスドットの発生に著しく影響するため、グラ
ビア印刷用塗被紙の品質への要求は特に厳しい。このよ
うな理由から、グラビア印刷用塗被紙の物性を適正にす
るため、原紙及び塗被層の両面から多くの検討が加えら
れ、種々の改良法が提案されている。
【0005】従来、グラビア印刷におけるミスドットの
発生を防止することは、塗被紙の平滑性を良好にする方
法と、塗被紙に圧縮性を付与する方法により、塗被紙が
印刷時に版材で加圧された状態で版材表面と塗被紙表面
の密着性を良好にし、効果的にインキを転移させること
によって改善が図られてきた。
【0006】例えば、原紙を製造するための原料として
化学パルプの他に砕木パルプ(GP)、サーモメカニカ
ルパルプ(TMP)、リファイナーグランドパルプ(R
GP)等の機械パルプを配合した原紙を用いる方法が古
くから実用化されている。これは機械パルプを配合した
原紙の圧縮性が化学パルプのみを用いた場合に比べ大き
い性質を利用したものであるが、機械パルプは、その使
用量を増せば原紙の表面性を悪化させるので、ミスドッ
トの発生増加を付随的に伴うものである。従って、原紙
の物性のみでミスドットを完全に消去することは難し
く、塗被層の物性も含めて適正化を図ることが不可欠で
ある。このため、塗被層の組成に関して種々の検討が行
われている。
【0007】従来から、グラビア印刷用紙の塗被組成物
として使用される顔料としては、一般的に、カオリン
(カオリナイトクレー)、炭酸カルシウム等の無機顔料
が主体であるが、カオリンは、塗被紙に平滑性と光沢性
を付与する点で優れており、一級クレー、二級クレー、
デラミネーテッドクレー等があり、更にミスドットの発
生防止と不透明度の増加を目的として焼成クレーを併用
することも知られている。
【0008】一方、ミスドットの発生防止と白色度及び
不透明度の増加を狙って、プラスチックピグメントのよ
うな有機顔料が用いられ、内部に空隙を有するプラスチ
ックピグメントを併用することもある(特開昭64−2
0396号公報)。しかしながら、焼成クレー、プラス
チックピグメントは塗被液の粘性を顕著に高くする性質
を有しており、操業性を悪化させ、しかも高価なもので
あるため大量に使用することはできないという欠点があ
る。
【0009】前記した如く塗被紙の平滑性を良好にする
ことと、塗被紙に圧縮性を付与することは、二律背反的
な挙動を示す特性であり、両者を満足させることは非常
に困難である。即ち、塗被紙の平滑性を良好にするため
マシンカレンダーやスーパーカレンダー等の設備によ
り、表面を金属ロールに圧接して仕上げを強化すると当
然平滑性は向上するが、逆に圧縮性は損なわれ、一方、
圧縮性を重視して仕上げ処理の程度を軽減すれば、逆に
表面の平滑性が損なわれるという結果となる。
【0010】このようなの理由で、一般的には表面の平
滑性を最重視し、圧縮性を犠牲にして表面の仕上げ処理
を強化する手段がとられている。この場合、仕上げ処理
を強化することにより塗被紙の嵩高さの減少を招き、剛
度及び不透明度の低下等の様々な欠点も付随して発生す
る。
【0011】特開平1−118695号公報及び特開平
3−40897号公報には、塗被層に炭酸カルシウムと
タルクという特定の顔料を含有させることにより、軽度
の仕上げ処理でミスドットの少ない塗被紙を製造する方
法が開示されている。タルクは鱗片状で優れた平滑性を
塗被紙に付与させることができるが、一方、その使用に
際しては、水中での分散性が劣り容易に分散できないば
かりか、塗被液の粘度を著しく上昇させるため配合率に
制約があり、ミスドットの発生を防止する効果が乏しい
上に、塗被液の粘度が上昇することにより高濃度での塗
工が困難になるため生産効率を低下させるという結果を
招く欠点を有している。
【0012】特開平4−352900号公報には、フリ
ーネスが85mlcsf以下の機械パルプを含む原紙の
上に、0.77〜0.95ml/gの範囲の沈降容積を
有する嵩高カオリンを顔料として含有させた塗被組成物
を用いて塗被層を形成させ、ミスドットが減少し白紙光
沢度、平滑度及び不透明度を改良した軽量のグラビア用
中質塗工紙が開示されている。この塗工紙は、嵩高カオ
リンと機械パルプの併用による相乗効果により塗工紙に
圧縮性が付与されており、スーパーカレンダーで塗工紙
の表面平滑性を改善し、ミスドットの発生を防止してグ
ラビア印刷適性を得るというものである。しかしなが
ら、塗工紙の圧縮性は、それなりに改善されるが、スー
パーカレンダーによる表面平滑性の付与により、圧縮性
がかなり減少させられ、充分ではないという欠点があ
る。
【0013】ここで用いられている嵩高カオリンは、水
中に1次粒子の状態に分散されたカオリンスラリーを用
いてカチオン性ポリ電解質で複合粒子の状態に凝集させ
て、化学的に改質したカオリンで、焼成クレーのように
嵩高構造を持たしめたもので、不透明性と印刷適性に優
れた性質を有するが、光沢性は出難いというものである
(特開昭62−267371号公報)。
【0014】一方、特開平1−201599号公報及び
特開平2−139500号公報には塗被層の接着剤に関
し、特定の共重合体物質を適用する方法が開示されてい
る。これらはともに脂肪族共役ジエン系単量体の使用比
率を高めて重合して得られる共重合体物質で、ポリマー
のガラス転移温度はマイナスの温度域にまで低下させら
れており、そのような共重合体物質を接着剤として用い
ることにより塗被紙の表面に良好な造膜性と柔軟性を付
与し、ミスドットの発生を防止しようとするものであ
る。
【0015】しかしながら、カオリン、炭酸カルシウ
ム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、タルク等の如
き一般的な顔料と、前記した如く脂肪族共役ジエン単量
体の使用比率が高められてポリマーのガラス転移温度が
低下させられた共重合体物質を接着剤として配合した塗
被組成物を用いて塗被層を形成した場合、乾燥の際に塗
被層の硬化が不十分となり、塗被層を乾燥した後にペー
パーロール及びスーパーカレンダー等のロールに汚れ或
いは付着物(いわゆるカス)を生じせしめ、そのため生
産設備を定期的に停止して除去作業を行なわざるを得
ず、生産効率を著しく損なうという欠点がある。又、接
着剤として前記共重合体物質の配合率が少な過ぎると実
用に耐え得る強度を塗被層に付与することはできない。
【0016】このように、共重合体物質の配合率には厳
密な制約はないものの、ミスドットの防止効果、用途に
応じた塗被層への強度や柔軟性の付与等を配慮すると、
配合率は、絶乾全顔料重量当り絶乾で2〜30重量%の
範囲で塗被層に含有させて用いられるのが一般的であ
る。他に接着剤として各種のデンプン、ポリビニルアル
コール、ポリアクリルアミド、酢酸ビニル等を水溶液或
いはエマルジョンの形で併用することができるが、用い
られる印圧下での塗被層の圧縮性を高めるためには、塗
被層が硬くなって柔軟性が損なわれることを防ぐ必要が
ある。
【0017】以上の理由から、塗被工程におけるペーパ
ーロール、スーパーカレンダー等のロールの汚れによる
生産効率の低下を招くことなく塗被紙が製造でき、グラ
ビア印刷を行なう際にに中間調階調部の印刷面にミスド
ットの発生が少なく、且つ塗被紙の密度が低く、剛度と
不透明度が高い等の品質特性を有するグラビア印刷用塗
被紙が強く求められているが、未だこれらの特性を備
え、要件を満たし得る基材は提供されていないというの
が現状である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み、塗被工程におけるペーパーロール、マシン
カレンダー及び加工工程におけるスーパーカレンダーの
ロール等の汚れによる生産効率の低下を招くことなく塗
被紙を製造でき、しかも印刷する際にミスドットの発生
の少なく、高級なグラビア印刷品質特性が得られ、且つ
塗被紙の剛度及び不透明度等の重要な品質特性にも優れ
たグラビア印刷用塗被紙を得るため、原紙上に形成する
塗被層の材料についてを鋭意研究した結果、遂にこれら
の要件を満たし得るグラビア印刷用塗被紙を得ることが
でき、本発明を完成させるに至った。
【0019】即ち、グラビア印刷におけるミスドットの
発生に影響する要因を細部に亘り解析した結果、ミスド
ットの発生を防止するためには、確かに前記したように
(1)塗被紙の表面平滑性を向上させ、印刷時において
版材表面と塗被紙の表面の密着性を良好にすること、及
び(2)塗被紙の圧縮性を向上させ、塗被紙が印刷に際
し、版材で加圧された状態で版材表面と塗被紙の表面と
の密着性をより一層良好にすることの両方が重要である
が、本発明者等は、前記嵩高なカオリンとポリマーのガ
ラス転移温度をマイナスの領域に有するスチレンーブタ
ジエン共重合体物質とを一緒に併用することにより、ペ
ーパーロール、スーパーカレンダー等のロールに塗被紙
の表面が機械的に圧接されても、前記の共重合物質がロ
ール表面にカスとして付着することを伴うことなく、か
かる印圧下での塗被層の圧縮性を一層強化することがで
き、従って塗被紙の平滑性を高める(1)の手法も充分
活用できるので、塗被紙の重要な品質特性である嵩高性
を減少せしめることなく、剛度、不透明度等の品質特性
の損失もなしにグラビア印刷適性に優れた塗被紙を得る
ことができることを見出だしたのである。
【0020】本発明の目的は、塗被工程におけるペーパ
ーロール、マシンカレンダー及び加工工程におけるスー
パーカレンダーのロール等に汚れ、付着物等を発生させ
ることなく、従って塗被紙の製造に際し生産効率の低下
を招くことなく、しかもグラビア印刷における中間調階
調部の印刷面へのミスドットの発生が少なく、高級なグ
ラビア印刷品質が得られ、且つ塗被紙の剛度、不透明度
等の重要な品質特性の優れたグラビア印刷用塗被紙を提
供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、木材パルプを
主原料とする原紙の上に顔料と接着剤を主成分とする塗
被層が形成されてなるグラビア印刷用塗被紙において、
該塗被層が、顔料として沈降容積0.77〜0.95m
l/gの嵩高なカオリンを絶乾全顔料の重量当り50〜
100重量%及び接着剤としてガラス転移温度が−55
〜0℃のスチレン−ブタジエン共重合体樹脂を含有し、
且つ該塗被層表面がJAPAN TAPPI紙パルプ試
験法No.5に記載の王研式平滑度が200〜1000
秒の範囲であることを特徴とするグラビア印刷用塗被紙
である。
【0022】本発明に用いられる原紙は、広葉樹晒クラ
フトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ等の化学パルプ、
GP、RGP、TMP等の機械パルプを原料として用い
公知の長網多筒型抄紙機、長網ヤンキー型抄紙機、丸網
抄紙機等で抄紙される上質紙、中質紙、片艶紙及びクラ
フト紙等の酸性紙、中質紙、アルカリ性紙を包含するも
のである。原紙中には紙力増強剤、サイズ剤、填料、歩
留向上剤等の抄紙補助薬品が含まれ、必要に応じて、サ
イズプレス或いはゲートロールコーターにより澱粉、ポ
リビニルアルコール、ポリアクリルニトリル等の薬品が
塗布される。
【0023】本発明に用いられる塗被組成物は、顔料及
び接着剤を主成分として構成され、顔料は、特開昭62
−267371号公報及び特開昭63−278986号
公報に記載の方法で製造され、4級アンモニウム重合体
塩、ジアリルアンモニウムクロライド、ポリアミンの中
から選ばれたポリ電解質カオリンの重量当り0.03〜
0.15%の範囲の量がカオリンに添加されて処理さ
れ、0.77〜0.95ml/gの沈降容積を有してお
り、このような化学処理によって焼成クレーの如き嵩高
構造を付与されたカオリン(以後嵩高カオリンと呼称す
る)を全顔料の絶乾重量当り50〜100重量%含有す
ることから構成される。前記嵩高カオリンの使用量が5
0重量%未満では、塗被層内部から表面方向へのバイン
ダーマイグレーションを抑制することができないから不
適である。
【0024】本発明のために嵩高カオリンと併用できる
顔料としては、特に限定されないが、一般のカオリン、
重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、水酸化アル
ミニウム、サチンホワイト、二酸化チタン、プラスチッ
クピグメント等の通常の無機顔料及び有機顔料を挙げる
ことができ、必要に応じて適宜使用される。更に、分散
剤、耐水化剤、潤滑剤、消泡剤、着色剤、防腐剤等の補
助薬品を任意に配合することができる。
【0025】本発明に用いられる接着剤としてのガラス
転移温度点が−55〜0℃の範囲にある水不溶性のスチ
レン−ブタジエン共重合体樹脂は、例えば芳香族ビニル
単量体、脂肪族共役ジエン系単量体、メタアクリル酸、
エチレン系不飽和酸単量体及びその他の共重合可能な単
量体から構成される単量体を公知の方法で共重合させる
際に脂肪族共役ジエン系単量体の使用比率を適正に調節
することにより得られるものである。脂肪族共役ジエン
系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−
1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン
等が挙げられるが、この単量体の使用比率が全単量体の
絶乾重量当り30〜55重量%で製造され、樹脂のガラ
ス転移温度が前記の範囲内であれば組成自体に厳密な制
限はない。このような共重合体樹脂は、公知の方法で乳
化分散され、ラテックスとして或いはエマルジョンとし
て使用に供される。
【0026】前記の如くして得られる塗被組成物は、サ
イズプレス、ゲートロールコーター、バーコーター、ロ
ールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター
等から任意に選定された公知の塗被設備において前記原
紙の片面或いは両面に片面塗被量が絶乾重量で3〜20
g/m2の範囲内でオンマシン或いはオフマシンで一段
で或いは顔料と接着剤を主成分とする別の塗被組成物を
予め下塗りし、その上に前記の塗被組成物を塗被すると
いう多段で塗被される。塗被量が3g/m2では、ミス
ドットの減少が得られず、20g/m2を超えると、ミ
スドットの発生を防止するためには良好であるが、効果
は頭打ちになり、コストの増加を伴うので適さない。
【0027】このようにして塗被された塗被紙は、公知
の乾燥機で乾燥された後、スーパーカレンダーのような
表面の仕上げ設備で平滑化処理が施される。この場合の
表面を処理された塗被層の平滑度は、ミスドットの発生
の防止効果、嵩高による圧縮性、剛度、不透明度等の物
性を適正にする上で、JAPAN TAPPI紙パルプ
試験法No.5に記載される王研式平滑度で200〜1
000秒の範囲にコントロールする必要がある。平滑度
が200秒未満では、塗被紙の表面が粗であるためミス
ドットを効果的に防止することができず、一方、平滑度
が1000秒を超えて高くすると、ミスドットの発生は
防止できるものの、密度が高くなり、剛度、不透明度等
の特性を損なうので不適である。
【0028】本発明で用いる嵩高カオリンは、微細なカ
オリンの一次粒子が集合した多孔性で嵩高構造を呈して
いるため、塗被層の顔料として用いた場合、顔料構造の
間に形成される空隙内に共重合体物質を包み込んで固定
化し、乾燥工程でのバインダーマイグレーションを効果
的に抑制でき、しかもこのような嵩高カオリンは、塗被
層の厚さ方向に均一に分布させることができ、ロールの
汚れ発生を防止できるのである。それによって、本発明
の塗被紙の塗被層は圧縮性に極めて優れるので、塗被紙
の平滑性が多少劣っていても効果的にミスドットの発生
を防止することができ、嵩高いので、剛度に優れ、不透
明度、白色度等の重要な品質特性を良好に維持しつつ、
これまでにない優れたグラビア印刷品質特性を発現でき
るのである。
【0029】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、勿論本発明はこれによって限定されるもの
ではない。尚、以下において%とあるのは、すべて重量
%を示す。
【0030】実施例1 フリーネス470mlcsfの針葉樹晒クラフトパルプ
20%及びフリーネス470mlcsfの広葉樹晒クラ
フトパルプ80%からなる木材パルプ原料に絶乾パルプ
重量当りでタルク(商標:SPE、荒川化学工業製)の
含有量が10%となるように添加し、更に強化ロジンサ
イズ0.3%と硫酸バンド2%を添加し、長網多筒型抄
紙機により米坪量70g/m2の原紙を抄造した。原紙
の王研式平滑度は45秒であった。
【0031】次に、顔料として化学処理した嵩高カオリ
ン(商標:エクシロン、沈降容積:0.79ml/g、
米国エンゲルハード製)100%を用いて、絶乾顔料重
量当りアクリル系分散液(商標:ポイズ520、花王
製)2.5%を添加し固形分濃度65%において高速デ
リッターを用いて分散後、更に接着剤としてスチレン−
ブタジエン共重合体ラテックス(商標:JSR−061
9、ガラス転移温度:−4℃、日本合成ゴム製)を固形
分換算で絶乾顔料重量当り10%添加、混合し、更に潤
滑剤(ノプコートC−108、サンノプコ製)1.0
%、消泡剤(DEF122NS、サンノプコ製)0.0
3%、蛍光染料(FoL、日本化薬製)0.10%を添
加、混合し、5%濃度の苛性ソーダ溶液を用いてpH
8.5に調整して60%固形分濃度の塗被液を製造し
た。
【0032】この塗被液を前記原紙の上に、ブレードコ
ーターを用いて片面の乾燥重量が10.0g/m2にな
るように塗被速度600m/分で両面に塗被し、公知の
ドライヤーで水分含有量が5.8%になるまで乾燥し
た。得られた塗被紙を実験室用スーパーカレンダー(熊
谷理機工業製)に通し、圧接処理して塗被紙の表面を王
研式平滑度で300秒に仕上げ、グラビア印刷用塗被紙
を製造した。
【0033】顔料の沈降容積、汚れの発生状況、得られ
た塗被紙のミスドット発生防止の状況、平滑度、密度、
剛度、不透明度を次の方法で測定した。(1)沈降容積 家庭用ミキサー(ナショナルMX−V10、松下電器産
業製)を用い、顔料の10%固形分濃度において、分散
剤(アロンT−40、東亜合成製)を絶乾顔料重量当り
0.05%添加して3分間分散させたものを、200m
l採取し、遠心分離器(KN−45、KUBOTA製)
にかけ、2000RPMの回転数で45分間処理し、上
澄み液を除いた顔料を含む残りの液の容積(ml)及び
その液中に含まれる顔料の絶乾重量(g)を求め、沈降
容積を液の容積(ml)/顔料の絶乾重量(g)で求め
られる値で表示した。
【0034】(2)汚れの発生状況 2時間の塗被の間に発生したペーパーロール、カレンダ
ー等のロールの汚れ及びスーパーカレンダーでのロール
の汚れを目視で観察し、評価した。(3)ミスドット発生防止の状況 得られたグラビア印刷用塗被紙から所定の供紙片を作製
し、大蔵省印刷局式グラビア印刷適性試験機(熊谷理機
工業製)により網グラビア版を用いて印刷し、10〜7
0%網点部のミスドットを目視で観察して、○:極めて
良好、△:やや不良、×:極めて不良、で評価した。
【0035】(4)平滑度 JAPAN TAPPI紙パルプ試験法No.5により
測定した。(5)緊度 JIS P 8118により測定した。(6)剛度 JIS P 8143によりクラーク剛度を測定した。(7)不透明度 JIS P 8138により測定した。
【0036】実施例2 実施例1で得られた原紙を用いてその上に下記に示す塗
被組成物からなる組成の下塗り層を7g/m2形成した
後、乾燥し、その後実施例1の塗被液を実施例1と同様
にして塗被、乾燥し、スーパーカレンダー処理してグラ
ビア印刷用塗被紙を製造し、その品質を評価した。
【0037】 下塗り用塗被組成物 二級クレー(商標:HTクレー、沈降容積:0.74ml/g、 米国エンゲルハード製) 90% スチレン−ブタジエン共重合物質(商標:JSR−0619) 7% 酸化澱粉(商標:王子エースA、王子コンスターチ製) 3% 実施例1の塗被液の製造と同様にして、固形分濃度が6
0%の塗被液を製造した。
【0038】実施例3 塗被用組成物の顔料組成を化学処理した嵩高カオリン
(商標:エクシロン、沈降容積:0.79ml/g、米
国エンゲルハード製)53%、二級クレー(商標:HT
クレー、沈降容積:0.74ml/g、米国エンゲルハ
ード製)47%とした以外は実施例1と同様にしてグラ
ビア印刷用塗被紙を製造し、その品質を評価した。
【0039】実施例4 塗被用組成物の接着剤としてポリマーのガラス転移温度
が−51℃のスチレン−ブタジエン共重合物質(商標:
JSR−0596、日本合成ゴム製)を用いた以外実施
例1と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を製造し、その
品質を評価した。
【0040】実施例5 塗被紙の王研式平滑度を800秒とした以外実施例1と
同様にしてグラビア印刷用塗被紙を製造し、その品質を
評価した。
【0041】比較例1 塗被用組成物の顔料組成として嵩高カオリン(商標:エ
クシロン、沈降容積:0.79ml/g、米国エンゲル
ハード製)45%、二級クレー(商標:HTクレー、沈
降容積:0.74ml/g、米国エンゲルハード製)5
5%とした以外は実施例1と同様にしてグラビア印刷用
塗被紙を製造し、その品質を評価した。
【0042】比較例2 塗被組成物の接着剤としてポリマーのガラス転移温度が
2℃のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商
標:JSR−0687、日本合成ゴム製)を用いた以外
は実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を製造
し、その品質を評価した。
【0043】比較例3 塗被組成物の接着剤としてポリマーのガラス転移温度が
−60℃のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス
(商標:JSR−0686、日本合成ゴム製)を用いた
以外は実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を製
造し、その品質を評価した。
【0044】比較例4 塗被紙の王研式平滑度を150秒とした以外は実施例1
と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を製造し、その品質
を評価した。
【0045】比較例5 塗被紙の王研式平滑度を1200秒とした以外は実施例
1と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を製造し、その品
質を評価した。
【0046】実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた
結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】表1から明かなように、本発明に係るグラ
ビア印刷用塗被紙は、ロール汚れもなく、塗被紙の密度
は低く剛度が高く紙に腰があり、不透明度も高い上、ミ
スドットは発生せず、網点再現性に優れている(実施例
1〜6)が、嵩高カオリンが少ないとミスドットが発生
し、グラビア印刷には向けられず(比較例1)、ポリマ
ーのガラス転移温度が高いとロール汚れは発生しなかっ
たがミスドットが発生した(比較例2)。一方、ポリマ
ーのガラス転移温度が低すぎても塗被紙の表面に粘着性
がでてロールの汚れが顕著になるので実用に耐えられな
い(比較例3)。塗被紙の平滑度が低いとミスドットが
発生し、高過ぎるとミスドットの発生は防止できたが、
塗被紙の密度が高く、剛度が低下し紙に腰がなく、不透
明度も低いのでグラビア印刷には適さない(比較例4、
5)。
【0049】
【発明の効果】本発明は、塗被工程におけるペーパーロ
ール、マシンカレンダー及び加工工程におけるスーパー
カレンダーのロール等の汚れによる生産効率の低下を招
くこと、グラビア印刷における中間調階調部の印刷面に
ミスドットの発生が少なく、且つ剛度と不透明度のよう
な重要な品質特性にも優れ、腰があって高級なグラビア
印刷用塗被紙を提供するという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西条 良彦 鳥取県米子市吉岡373番地 王子製紙株式 会社米子工場内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材パルプを主原料とする原紙の上に顔
    料と接着剤を主成分とする塗被層が形成されてなるグラ
    ビア印刷用塗被紙において、該塗被層が、顔料として沈
    降容積0.77〜0.95ml/gの嵩高なカオリンを
    絶乾全顔料の重量当り50〜100重量%及び接着剤と
    してガラス転移温度が−55〜0℃のスチレン−ブタジ
    エン共重合体樹脂を含有し、且つ該塗被層表面がJAP
    AN TAPPI紙パルプ試験法No.5に記載の王研
    式平滑度が200〜1000秒の範囲であることを特徴
    とするグラビア印刷用塗被紙。
JP24084993A 1993-09-28 1993-09-28 グラビア印刷用塗被紙 Pending JPH0797795A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002088679A (ja) * 2000-09-06 2002-03-27 Nippon Paper Industries Co Ltd グラビア印刷用塗工紙
JP2010065349A (ja) * 2008-09-11 2010-03-25 Oji Paper Co Ltd 塗工ライナー及びそれを用いた段ボールシート

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002088679A (ja) * 2000-09-06 2002-03-27 Nippon Paper Industries Co Ltd グラビア印刷用塗工紙
JP2010065349A (ja) * 2008-09-11 2010-03-25 Oji Paper Co Ltd 塗工ライナー及びそれを用いた段ボールシート

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