JP2756942B2 - 板金製内歯車の成形法 - Google Patents

板金製内歯車の成形法

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JP2756942B2
JP2756942B2 JP8019158A JP1915896A JP2756942B2 JP 2756942 B2 JP2756942 B2 JP 2756942B2 JP 8019158 A JP8019158 A JP 8019158A JP 1915896 A JP1915896 A JP 1915896A JP 2756942 B2 JP2756942 B2 JP 2756942B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、板金製内歯車の成
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車の差動装置に使用されるビ
スカスカップリングカバーやトランスミッシヨン部品な
どのような内歯車を備えたカップ状部品は、鋼材に熱間
鍛造や温間鍛造を施して概ね内歯車の形状に成形し、次
にその素材を機械加工で切削して完成品としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の加工方
法では、鋼材を熱間鍛造または温間鍛造に要求される温
度にまで加熱する必要があるばかりか、加工工程に鍛造
工程と機械加工工程とが含まれるので生産効率が悪く、
また、内歯車に要求される精度を得るのに熟練を要して
いた。そこで、従来の熱間鍛造または温間鍛造に代え、
回転内型と成形ローラとを組み合わせて板金素材から作
ったカップ状素材の周壁に内歯車を転造することが考え
られた。
【0004】カップ状素材の周壁に内歯車を転造する場
合、回転内型に山部成形用の凹形成形空間と谷部成形用
の凸部とを設けておき、成形ローラで押圧した上記周壁
の肉が上記凹型成形空間の中に流動することによって内
歯車の山部が成形される一方、その凹形成形空間の中に
流動した周壁の肉の相互間に上記凸部が突入して内歯車
の谷部が成形される。
【0005】こうして成形された板金製内歯車の要部を
図12に示してある。同図において、101は基板部、
102は周壁、103は基板部101と周壁102との
連設部分であり、周壁102に内歯車の山部202と谷
部203が備わっている。図12の板金製内歯車におい
て、連設部分103の内面208と谷部203の内面と
のコーナ部209は直交または湾曲した入隅形状になっ
ている。そのため、上記連設部分103の入隅形状のコ
ーナ部209の肉厚が、その両側部分の肉厚に比べて必
ず薄くなることを避けられない。したがって、図12の
板金製内歯車では、上記コーナ部209を厚肉にして機
械的強度に関する信頼性を高めることに困難が伴う。
【0006】また、板金製のカップ状素材を転造してそ
の周壁に内歯車を成形する場合、連設部分103の内面
側の形状を図12で説明したような入隅形状のコーナ部
にすると、山部202や谷部203の形状が設計通りに
仕上がりにくくなり、生産効率が低下することが判明し
た。
【0007】本発明は以上の状況の下でなされたもので
あり、歯車成形面を備えた回転内型とこの回転内型に組
み合わされる成形ローラとを用いて効率よく高精度の板
金製内歯車を成形する方法を提供することを目的とす
る。
【0008】また、本発明は、基板部の外周に筒状の周
壁が連設されたカップ状素材における上記周壁の内周面
に山部と谷部を成形して内歯車とする場合に、上記基板
部と周壁との連設部分を力の集中しにくい形状に形作る
ことのできる板金製内歯車の成形法を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る板金製内歯
車の成形法は、基板部の外周に筒状の周壁が連設された
カップ状素材を、一端側が開放された山部成形用の凹形
成形空間と一端部が端窄まりテーパ面となされた谷部成
形用の凸部とが周方向に並んだ歯車成形面を備える回転
内型に嵌合状に取り付け、回転内型と共に上記カップ状
素材を回転させながら、カップ状素材の基板部と周壁と
の連設部分を成形ローラで回転内型側に定位置で押圧す
ることにより、その連設部分の外面を凹みを持たない形
状に成形することと、その連設部分の肉を上記凹型成形
空間の中に流動させてその連設部分を上記凹形成形空間
に対応する箇所で増肉させて内歯車の山部の根元部分を
成形することと、上記凹形成形空間の中に流動した周壁
の肉の相互間に上記凸部の一端部を突入させて内歯車の
谷部における上記連設部分側のテーパ壁面とを成形する
こととを行い、次に、カップ状素材の周壁を回転内型側
に成形ローラで押圧してその周壁の肉を上記凹型成形空
間の中に流動させることによりその周壁を凹型成形空間
に対応する箇所で増肉して内歯車の山部の残部を成形す
ると共に、上記凹形成形空間の中に流動した周壁の肉の
相互間に上記凸部を突入させて谷部の残部を成形する、
というものである。
【0010】この方法によると、熱間鍛造や温間鍛造に
必要な熱工程を行わずに板金製内歯車を製作することが
可能になるばかりでなく、材料歩留りが向上し、また、
内歯車に要求される精度を得るのに熟練を要しなくな
る。また、内歯車の山部の全体が成形される前にその山
部の根元部分が成形されるので、その後に行われる山部
の成形により内歯車の山部が根元部分に欠肉部の存在し
ない形状に精度よく仕上がる。その上、内歯車の山部の
根元部分の成形と共に、凹形成形空間の中に流動した周
壁の肉の相互間に上記凸部の一端部を突入させて内歯車
の谷部における上記連設部分側のテーパ壁面を成形する
ので、このテーパ壁面が精度よく形成されるだけでな
く、そのようにテーパ壁面を形成することによって上記
連設部分の内面が入隅形状にならなくなって連設部分が
薄肉になることを防ぐことができる。
【0011】上記成形法において、回転内型と共にカッ
プ状素材を回転させながらカップ状素材の基板部と周壁
との連設部分を成形ローラで回転内型側に定位置で押圧
する工程を、その連接部分に接触してカップ状素材に連
れ回りする成形ローラを回転内型に近付く方向に移動さ
せながら行うことが望ましい。また、成形ローラが、カ
ップ状素材の基板部と周壁との連設部分に接触するテー
パ状の傾斜成形面を備えていることが望ましい。
【0012】この方法を採用すると、成形ローラのテー
パ状の傾斜成形面により押圧されたカップ状素材の基板
部と周壁との連設部分の肉が、回転内型の凹型成形空間
に対して回転内型の径内方向と軸方向の両方向に向けて
流動するので、凹形成形空間がその肉で完全に確実に埋
まる。そのため、内歯車の山部の連設部分側の根元部分
が欠肉部を持たない形状に無理なく成形される。加え
て、内歯車の谷部における上記連設部分側のテーバ壁面
の精度も一層高くなる。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る板金内歯車
の成形法と板金内歯車の実施形態を説明する。図1〜
図8に板金製内歯車の成形法を示してあり、図9および
図10に板金内歯車を示し、図11に板金製内歯車の
要部を拡大して示してある。また、図12に比較例とし
ての板金製内歯車の要部を拡大して示してある。
【0014】図1には、円い板金の中央部に膨出部10
0を成形することにより得られた板金素材Aを部分端面
図で表してある。この板金素材Aにおいて、膨出部10
0を形成する方法には、プレスなどの公知の方法を採用
することが可能である。
【0015】図1の板金素材Aに対しては、プレスや転
造などの公知の方法で周壁が形成される。こうして形成
されたカップ状素材(以下「ワーク」という)Wが図3
に示されている。このワークWは、基板部101の外周
に筒状の周壁102が連設されたものであって、周壁1
02は元の板金素材Aよりも少し厚肉化されている。し
たがって、周壁102が基板部101よりも厚肉になっ
ている。なお、図2ではワークWの周壁102が少し湾
曲しているけれども、この周壁102は基板部101に
対して直交する方向に突き出た円筒壁であっても、ある
いは基板部101から先拡がり状に突き出た円錐壁であ
ってもよい。
【0016】この実施形態では、ワークWの周壁102
が図2に示した中間工程を経た後、最終的に図3の工程
を経て形成され、これらの工程を経る間に周壁102の
厚肉化が行われる。すなわち、図2の中間工程では、回
転内型1に取り付けられた図1の板金素材Aに成形ロー
ラ9を接触させてその成形ローラ9を連れ回りさせなが
ら、その成形ローラ9に設けられている短い円弧状の成
形面91で上記板金素材Aの外周部を矢符yのように押
圧することが行われる。この中間工程を経ることにより
板金素材Aの外周部102aが上記成形面91に沿って
短い円弧状をなす湾曲状に成形される。次に、図2の成
形ローラ9に代えて、図3の成形ローラ9Aが組み合わ
され、この成形ローラ9Aを短い円弧状の外周部102
a(図2参照)に接触させてその成形ローラ9Aを連れ
回りさせながら、この成形ローラ9Aに備わっている長
い円弧状をなす成形面91Aで板金素材Aの短い円弧状
の外周部102a(図2参照)を矢符y′のように押圧
することにより、図3のように長い円弧状に湾曲した周
壁102を形成している。図2の工程で用いられている
成形ローラ9は、素材Aの外周端面に対する受面92を
有しており、この受面92に素材Aの外周部102aが
突き当たることによってその素材Aの外周部102a、
ひいては図3の工程で形成される周壁102の厚肉化が
行われる。
【0017】周壁102を形成する工程を図2と図3で
説明した2工程に分けて行うと、ワークWの周壁102
の端部に肉の巻込みに伴う肉の重なりが生じないので好
ましい。
【0018】図2や図3の工程を経て形成されたワーク
Wの周壁102に対して、内歯車の成形工程が行われ
る。
【0019】この実施形態においては、回転内型1と押
え型2とが板金製内歯車製造の全工程において共通して
用いられる。回転内型1は、その外周面に周方向に交互
に等間隔で並んだ山部成形用の凹形成形空間11と谷部
成形用の凸部12とを備える歯車成形面P1と円筒面P
2とを備えている。上記凸部12の一端部は、母線方向
で平坦な端窄まりテーパ面12aとなされている。凹形
成形空間11は軸方向の一端側が開放され、他端側に山
部の軸方向開放端面(後述する)を成形するための山部
開放端成形面13が設けられていて、この山部開放端成
形面13を境にして歯車成形面P1と円筒面P2とが軸
方向で隣接している。そして、凹形成形空間11や凸部
12の軸方向の長さ(軸長)は、周壁102を成形する
ことによって形成される内歯車の山部や谷部(後述す
る)の軸長に合わせて適切に定めてある。
【0020】回転内型1に図外の駆動源の回転力が伝達
される。成形の最初の工程では、図4のように、回転内
型1に成形ローラ3が組み合わせられる。押え型2は、
ワークWを回転内型1との間に挾み込んで取り付けるた
めに必要で、ワークWを押さえ付けたままで回転内型1
に連れ回りする。
【0021】成形ローラ3は回転内型1に対してその軸
線に直交する方向で遠近可能であり、成中は回転内型
1に対して離れた位置から次第に近付く方向に移動され
る。図4に示したように、成形ローラ3は、ワークWの
基板部101と周壁102との連設部分103に接触す
るテーパ状の傾斜成形面31と、傾斜押圧面32とを備
えている。傾斜押圧面32は、傾斜成形面31の最径小
部に連設されていて、傾斜成形面31と傾斜方向が同一
であり、しかも傾斜成形面31よりも軸線に対して緩勾
配のテーパ状になっている。なお、軸線に対する傾斜成
形面31の傾斜角は45゜になっており、軸線に対する
傾斜押圧面32の傾斜角は3゜になっている。この成
ローラ3は、上記傾斜押圧面31がワークWの上記連設
部分103に押し付けられているときには、ワークWに
連れ回りする。
【0022】この実施形態において、内歯車の山部は、
まず最初に根元部分204が成形される。この工程を図
4に示してある。同図に示したように、回転内型1と押
え型2とでワークWを挾み込ませて取り付けることによ
り、回転内型1にワークWの周壁102を嵌合すること
から始まる。このとき、成型ローラ3は回転内型1から
離れた位置に後退している。
【0023】回転内型1と共にワークWを回転させ、成
ローラ3を回転内型1に近付けていく。成ローラ3
の傾斜成形面31がワークWの連設部分103に接触す
ると、成ローラ3がワークWとの連れ回りを開始す
る。
【0024】ワークWに連れ回りしている成ローラ3
がさらに回転内型1に近付いていくと、傾斜成形面31
がワークWの連設部分103を回転内型1側に定位置で
押圧する。これにより、ワークWの連設部分103での
肉の流動が始まり、凹形成形空間11の開放された一端
側部分14に対応する箇所では連設部分103の肉が回
転内型1の径内方向と軸方向とに向けて流動し、そのよ
うに流動する肉が凹形成形空間11の中に入っていき、
それによって連設部分103が増肉される。他方、回転
内型1の凸部12に対応する箇所ではその凸部12が上
記凹形成形空間11の中に流動した肉の相互間に突入す
るので、ワークWの連設部分103がその凸部12に対
応する箇所では減肉されると同時に、凸部12の端窄ま
りテーパ面12aによって内歯車の谷部における上記連
設部分側のテーパ壁面(図11参照)207が成形され
る。こうして成形されるテーパ壁面207は、基板部1
01に近付くほど径小となる母線方向で平坦なテーパ壁
面である。この工程を行った後のワークWの周壁102
は先拡がりに傾斜した状態になる。また、連設部分10
3の外面103aは成形ローラ3の傾斜成形面31によ
って凹みを持たないテーパ形状に成形される。
【0025】図4は回転内型1の凹形成形空間11の開
放された一端部14の中に流動した肉が凹形成形空間1
1の一端部14を完全に埋めた状態を示しており、同図
の矢符aは成形ローラ3による押圧方向を表している。
このように、凹形成形空間11の一端部14がワークW
における連設部分103から流動した肉で埋まると、そ
の凹形成形空間11を埋めている肉によって、図11
び図12に示した内歯車200の山部202の根元部分
204と上記テーパ壁面207とが先に形成される。
【0026】この実施形態においては、山部202の根
元部分204とテーパ壁面207とを形成した周壁10
2に対して、次に、山部202の軸方向開放端面205
を含む端部を成形する工程が行われる。この工程を図5
〜図7に示してある。
【0027】この工程では、上記した回転内型1に図5
に示した成形ローラ4が組み合わされる。この成形ロー
ラ4は、正円筒状の成形面41の一端部にテーパ状の傾
斜保形面42を有すると共に、成形面41の他端部に径
方向に少し突出したリング状の鍔形成形面43を有して
いる。この成形ローラ4は回転内型1に対して軸方向に
直交する方向で遠近移動可能であり、成中は回転内型
1に対して離れた位置から次第に近付く方向に移動され
る。この実施形態において、成形ローラ4の鍔形成形面
43は、成形ローラ4に一体に備わっている環状部材4
Aの外周面によって形成されている。
【0028】回転内型1に取り付けられたワークWの周
壁102は回転内型1の歯車成形面P1と円筒面P2と
に対向している。この状態から、図5の矢符bのように
成形ローラ4が回転内型1に近付いていくと、鍔形成形
面43がワークWの先拡がりに傾斜した周壁102の先
端部104に同図のように最初に接触し、成形ローラ4
がワークWとの連れ回りを開始する。
【0029】ワークWに連れ回りしている成ローラ4
がさらに回転内型1に近付いていくと、成ローラ4の
鍔形成形面43により押圧された周壁102の先端部1
04が回転内型1における円筒面P2に当たり、この円
筒面P2と鍔形成形面43とによりワークWの周壁10
2の先端部104が挾まれる。
【0030】さらに成ローラ4が図6の矢符cのよう
に回転内型1に近付いていくと、鍔形成形面43が周壁
102を押圧し、周壁102の肉が鍔形成形面43と上
記円筒面P1との隙間を通って外方へ流動する一方で、
鍔形成形面43が上記周壁102に喰い込んで周壁10
2の肉が上記隙間を通って外方へ流動することを制限す
る。このため、周壁102の肉が、鍔形成形面43と上
記円筒面P2との隙問から外方へ流動して逃げるという
現象が抑制されことになり、それだけ周壁102の肉が
凹型成形空間11の中へ流動する傾向が強まる。
【0031】その後さらに成ローラ4が図7の矢符d
のように回転内型1に近付いていくと、凹形成形空間1
1の中へ流動した周壁102の肉がその凹形成形空間1
1の他端部16を完全に埋める。このように、凹形成形
空間11の他端部16が周壁102から流動した肉で完
全に埋まると、その凹形成形空間11を埋めている肉に
よって図9および図10に示した内歯車200の山部2
02の軸方向開放端面205を含む端部が成形される。
このとき、回転内型1の山部開放端成形面13が、山部
202の軸方向開放端面205を所謂“肉垂れ”や“バ
リ”を生じさせずに精度よく仕上げることに役立っ。
【0032】なお、このとき、回転内型1の凹形成形空
問11の他端部16に対応する箇所ではその凹形成形空
間11の中に向けて周壁102の肉が流動して周壁10
2が増肉され、また、回転内型1の凸部12に対応する
箇所ではその凸部12が上記凹形成形空間11の中に流
動した周壁102の肉の相互間に突人するので、周壁1
02が減肉される。
【0033】この後、内歯車200の山部202の中間
部が成形される。山部202の中間部の成形は、ワーク
Wの周壁102を回転内型1側に押圧してその周壁10
2の肉を上記凹型成形空間11の中に流動させることに
よりその周壁102を凹型成形空間11に対応する箇所
で増肉する一方で、その周壁102を凸部12に対応す
る箇所で減肉することにより行われる。すなわち、成型
ローラ4が図8の矢符eのように回転内型1に近付いて
いくと、成形ローラ4の傾斜保形面42が上記連設部分
103の形状を保つ作用を発揮する。同時に、正円筒状
の成形面41によって周壁102の軸方向中間部が押圧
されてその肉が回転内型1の凹形成形空間11の中へ向
けて流動し、その凹形成形空間11が周壁102の肉で
完全に埋まる。これにより、回転内型1の凹形成形空間
11に対応する箇所ではその凹形成形空間11の中に向
けて周壁102の肉が流動して周壁102が増肉され、
また、回転内型1の凸部12に対応する箇所ではその凸
部12が上記凹形成形空間11の中に流動した周壁10
2の肉の相互間に突入するので、周壁102が減肉され
る。
【0034】以上により内歯車200の山部202の成
が終了し、凹形成型空間11を埋めている肉が、図9
および図11に示した内歯車200の山部202とな
り、凸部12の突入した箇所が内歯車200の谷部20
3となる。なお、図5〜図8で説明した工程において生
じた余剰の肉垂れ部分、すなわち鍔形成形面43と回転
内型1の円筒面P2との間にはみ出してきた周壁102
の先端部104は、離型後に切削して除去される。
【0035】図9は本発明方法によって成された内歯
車200を備えたビスカスカップリングカバーCの断面
図、図10は図9のX線矢視図、図11は図9の要部拡
大端面図である。このビスカスカップリングカバーC
は、基板部101の外周に連設された筒状の周壁102
の内周面に周方向で交互に位置する山部202と谷部2
03とを備え、中央部にボス206を備えている。ま
た、基板部101と周壁102との連設部分103はそ
の外面103aが凹みを持たないテーパ形状になってお
り、山部202と谷部203の形成域の内面が、基板部
101に近付くほど径小となるテーパ壁面207になっ
ており、このテーパ壁面207は母線方向では平坦であ
る。そして、連設部分103はその両側の箇所よりも肉
厚になっている。図11には連設部分103の最も薄い
部分の肉厚をt2で、最も厚い部分の肉厚をt3で示し
ており、これらは図12で説明した連設部分の肉厚tl
よりも厚くなっている。
【0036】この板金製歯車は、使用中に最も荷重の集
中しやすい部分である基板部101と周壁102との連
設部分103の内面がテーパ壁面207になっているの
で、そのテーパ壁面207によって荷重が分散されて亀
裂や割れを生じにくい。ここで、図12に比較例として
示した板金製内歯車のように、連設部分103の内面2
08が谷部203の内面に対して直角になっていると、
その部分に荷重が集中して亀裂や割れが生じやすい。
【0037】
【発明の効果】本発明の板金製内歯車の成形法によれ
ば、熱間鍛造や温間鍛造に必要な熱工程を行わずに板金
製内歯車を製作することが可能になるので生産効率が向
上する。また、材料歩留りが向上し、また、内歯車に要
求される精度を得るのに熟練を要しなくなる。
【0038】特に、本発明に係る板金製内歯車の成形法
は、カップ状素材の基板部と周壁との連設部分を成形ロ
ーラで回転内型側に定位置で押圧することにより、その
連設部分の外面を凹みを持たない形状に成形すること
と、連設部分を上記凹形成形空間に対応する箇所で増肉
させて内歯車の山部の根元部分を成形することと、上記
凹形成形空間の中に流動した周壁の肉の相互間に上記凸
部の一端部を突入させて内歯車の谷部における上記連設
部分側のテーパ壁面とを成形することとを行うので、山
部の根元部分と谷部における上記連設部分側のテーパ壁
面とが精度よく成形されるという利点や、連設部分の肉
厚を薄くならずに済むような成形を行える利点がある。
その上、連設部分での肉の流動性も高まる。
【0039】そして、成形ローラが、カップ状素材の基
板部と周壁との連設部分に接触するテーパ状の傾斜成形
面を備えていると、内歯車の山部の連設部分側の根元部
分が欠肉部を持たない形状に無理なく成形されることに
加えて、内歯車の谷部における上記連設部分側のテーパ
壁面の精度もいっそう高くなるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】板金素材の部分端面図である。
【図2】カップ状素材の周壁を形成するための中間工程
を示す部分側面図である。
【図3】カップ状素材の周壁を形成するための最終工程
を一部断面で表した部分側面図である。
【図4】山部の根元部分とテーパ壁面の成形工程を一部
断面で表した部分側面図である。
【図5】山部の軸方向開放端面を含む端部を形成するた
めの始まり工程を一部断面で表した部分側面図である。
【図6】山部の軸方向開放端面を含む端部を形成するた
めの中間の工程を一部断面で表した部分側面図である。
【図7】山部の軸方向開放端面を含む端部を形成するた
めの最終工程を一部断面で表した部分側面図である。
【図8】山部の中間部成形工程を一部断面で表した部分
側面図である。
【図9】本発明方法によって成された内歯車を有する
ビスカスカップリングカバーの断面図である。
【図10】図9のX線に沿う部分矢視図である。
【図11】図9の要部拡大断面図である。
【図12】比較例としての板金製内歯車の要部拡大断面
図である。
【符号の説明】
1 回転内型 2 押え型 3,4 成形ローラ 11 凹形成形空間 12 凸部 12a 端窄まりテーパ面 31 傾斜成形面 101 基板部 102 周壁 103 連設部分 103a 連設部分の外面 202 山部 203 谷部 204 山部の根元部分 207 テーパ壁面 W ワーク(カップ状素材) P1 歯車成形面

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板部の外周に筒状の周壁が連設された
    カップ状素材を、一端側が開放された山部成形用の凹形
    成形空間と一端部が端窄まりテーパ面となされた谷部成
    形用の凸部とが周方向に並んだ歯車成形面を備える回転
    内型に嵌合状に取り付け、 回転内型と共に上記カップ状素材を回転させながら、カ
    ップ状素材の基板部と周壁との連設部分を成形ローラで
    回転内型側に定位置で押圧することにより、その連設部
    分の外面を凹みを持たない形状に成形することと、その
    連設部分の肉を上記凹型成形空間の中に流動させてその
    連設部分を上記凹形成形空間に対応する箇所で増肉させ
    て内歯車の山部の根元部分を成形することと、上記凹形
    成形空間の中に流動した周壁の肉の相互間に上記凸部の
    一端部を突入させて内歯車の谷部における上記連設部分
    側のテーパ壁面とを成形することとを行い 次に、カップ状素材の周壁を回転内型側に成形ローラで
    押圧してその周壁の肉を上記凹型成形空間の中に流動さ
    せることによりその周壁を凹型成形空間に対応する箇所
    で増肉して内歯車の山部の残部を成形すると共に、上記
    凹形成形空間の中に流動した周壁の肉の相互間に上記凸
    部を突入させて谷部の残部を成形することを特徴とする
    板金製内歯車の成形法。
  2. 【請求項2】 回転内型と共にカップ状素材を回転させ
    ながらカップ状素材の基板部と周壁との連設部分を成形
    ローラで回転内型側に定位置で押圧する工程を、その連
    設部分に接触してカップ状素材に連れ回りする成形ロー
    ラを回転内型に近付く方向に移動させながら行う請求項
    1に記載の板金製内歯車の成形法。
  3. 【請求項3】 成形ローラが、カップ状素材の基板部と
    周壁との連設部分に接触するテーパ状の傾斜成形面を備
    える請求項2に記載の板金製内歯車の成形法。
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