JP2748193B2 - ハロゲン化銀写真感光材料の現像処理方法 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料の現像処理方法

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JP2748193B2 JP3082958A JP8295891A JP2748193B2 JP 2748193 B2 JP2748193 B2 JP 2748193B2 JP 3082958 A JP3082958 A JP 3082958A JP 8295891 A JP8295891 A JP 8295891A JP 2748193 B2 JP2748193 B2 JP 2748193B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はハロゲン化銀感光材料
(以下、感材)の現像処理方法に関し、特に高濃度な亜
硫酸の塩またはハロゲン化銀溶剤を含んだ現像液を使用
した時でも、現像タンクや現像ラック、ローラーに付着
する銀汚れ、すなわち銀スラッヂを少なくし、機器のメ
ンテナンスを容易にし、なおかつ感材の写真性能をほと
んど変化させない方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】近年、ハロゲン化銀感光材料の現像処理に
おいて、迅速処理の要求が増々強くなっている。迅速処
理をするためには、現像液の活性を上げることも必要で
あるがハロゲン化銀感光材料の性質に起因するところも
大きい。自動現像機(以下自現機という)を使用する場
合、通常、現像、定着、水洗、乾燥という工程があり、
特に乾燥工程は重要である。迅速で乾燥を終了させるた
めには、感光材料の銀量を少なくすることがもっとも効
果が大きい。平板状ハロゲン化銀粒子はカバーリングパ
ワーが高いために、写真性、画質等の性能を損なうこと
なく銀量を下げることが可能である。このことは乾燥工
程ばかりではなく、現像、定着、水洗工程の迅速処理に
とっても有利である。一般にハロゲン化銀写真感光材料
を迅速処理すると、処理量に応じて次第に現像タンクや
バット、自現機の現像タンクの壁、現像タンク、現像ロ
ーラーに銀が付着、蓄積することは古くから知られてい
る。これは銀汚れ又は銀スラッヂとも言われ、処理され
る感材に付着して、画像を汚したりするので、定期的に
機器の洗浄、メンテナンスを必要としている。
【0003】この銀汚れを落とすための洗浄には、その
都度、現像液を現像タンクから抜き、例えば硫酸セリウ
ムの如き、非常に強い酸化剤溶液をタンクに満たし、短
くても十数分から長くは三十分以上も攪拌しながら放置
しなければならない。更にこの後この酸化剤の痕跡が現
像タンク中に残っては、現像液を酸化劣化させるのでよ
く水洗いせねばならない。この洗浄作業は特に自現機
の、日常のメンテナンスとして最大の負荷の一つとなっ
ており、作業の安全性という点、更に洗浄剤の公害負荷
という観点からも改良が切に望まれているものである。
一方、この銀スラッヂを少なくする方法として、特公昭
62−4702号のように現像液中に溶出する銀イオン
を少なくする及び/又は、銀イオンの銀への還元を抑制
するような化合物を添加する方法が知られている。また
かかる目的のスラッヂ防止剤として2−メルカプト−
1,3,4−チアジアゾール類(英国特許第94016
9号明細書)、2−メルカプト−1,3,4−オキサジ
アゾール類あるいは1−フェニル−5−メルカプトテト
ラゾール(米国特許第3173789号明細書)、DL
−6,8−ジチオオクタン酸(米国特許第331870
1号明細書)、o−メルカプト安息香酸(英国特許第1
144481号明細書)、脂肪族メルカプトカルボン酸
(米国特許第32628955号明細書)、L−チアゾ
リジン−4−カルボン酸(J. Photogr. Sci.13、23
3(1965))、2価イオウ化合物(特開昭52−3
6029号明細書)、2−メルカプトベンツオキサゾー
ル、2−メルカプトベンツイミダゾール(Photogr. Sci.
Eng. 、20、220(1976))等が知られてい
る。しかし、これらの方法は現像そのものを抑制する作
用も避けられず、感度の低下を伴うという欠点を有す
る。しかも感光材料の特性により、この化合物に対する
感受性が異なるので、一率に使って効果が期待できるも
のではない。また、少しでも感度を高く出して使おうと
する感光材料/現像処理システムとしては、感度の低下
は重大な欠点である。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
はハロゲン化銀感光材料を迅速現像処理するとき第一
に、現像タンク中、及び/又は現像ラック、ローラー中
に発生する銀汚れを軽減すること、第二に自現機や現像
の機器のメンテナンスを容易にすること、第三に写真特
性に全く影響を与えないで銀汚れを軽減すること、第四
に現像液の安定性を損なうことなく銀汚れを軽減するこ
とである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は支持体の少なく
とも一方の側に少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀乳
剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料の現像処理方法
において、該乳剤層の表面保護層および/またはその他
の親水性コロイド層に、平均粒子サイズが0.3μm未
満であって、沃化銀含有率が30モル%以下の沃臭化
銀、または臭化銀、または塩化銀含有率が50モル%未
満の塩臭化銀である非感光性微細ハロゲン化銀粒子を含
有させ、該ハロゲン化銀写真感光材料を銀スラッヂ防止
剤を含有する現像液にて処理することにより達成され
た。さらに本発明で使用する銀スラッヂ防止剤は、公知
の化合物を適宜使用しうるが、下記一般式(I)で表さ
れる化合物を用いるのが、とりわけ優れている。 一般式(I)
【0006】
【化2】
【0007】式中、Xは水素原子又はスルホン酸基を表
わす。M1 は水素原子又はアルカリ金属原子を表わし、
2 は水素原子、アルカリ金属原子又はアンモニウム基
を表わす。本発明の一般式(I)で表される化合物は、
1 が水素原子であるとき下記の一般式(II)の如くそ
の互変異性体であってもよい。 一般式(II)
【0008】
【化3】
【0009】(XとM2 はそれぞれ一般式(I)の場合
と同じ意味を表わす。) 本発明においては、一般式(I)で表される化合物を亜
硫酸イオン、チオ硫酸イオン、チオシアン酸イオン、チ
オエーテル化合物又はチオアミド化合物などのハロゲン
化銀の溶解作用を有する化合物を比較的多量に含有する
現像液に添加したとき特にスラッヂの防止効果が大き
い。また本発明の現像液は感光材料をローラ搬送方式や
ベルト搬送方式の自動現像機で処理するときに用いると
フィルム表面の汚染や損傷による写真の仕上り品質の低
下を防止する効果が特に大きい。上記の一般式(I)又
は(II)においてXで表される低級アルキル基、及び低
級アルコキシ基はそれぞれ炭素原子を1〜5個有する基
を意味するが、好ましくは炭素原子を1〜3個有する基
である。一般式(I)で表される好ましい化合物の例を
以下に挙げる。
【0010】
【化4】
【0011】本発明における銀スラッヂ防止剤の使用量
は現像液1リットル当り1×10-5〜1×10-1モルで
あることが好ましく、特に1×10-4〜1×10-2モル
である。
【0012】本発明の現像液に用いる現像主薬にはハイ
ドロキノン類を主体とするが、良好な性質を得やすい点
で、ハイドロキノン類と1−フェニル−3−ピラゾリド
ン類の組合せ、またはハイドロキノン類とp−アミノフ
ェノール類との組合せがよい。本発明に用いるハイドロ
キノン系現像主薬としてはハイドロキノン、クロロハイ
ドロキノン、ブロムハイドロキノン、イソプロピルハイ
ドロキノン、メチルハイドロキノン、2,3−ジクロロ
ハイドロキノン、2,5−ジクロロハイドロキノン、
2,3−ジブロムハイドロキノン、2,5−ジメチルハ
イドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸塩などが
あるが特にハイドロキノンが好ましい。本発明に用いる
3−ピラゾリドン系現像主薬としては1−フェニル−3
−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3
−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒド
ロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,
4−ジヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェ
ニル−5−メチル−3−ピラゾリドン、1−p−アミノ
フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−
p−トリル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1
−p−トリル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3
−ピラゾリドン、などがある。ハイドロキノン系現像主
薬は通常0.01モル/リットル〜1.5モル/リット
ル、好ましくは0.05モル/リットル〜1.2モル/
リットルの量で用いられる。これに加えて、p−アミノ
フェノール系現像主薬または3−ピラゾリドン系現像主
薬は通常0.0005モル/リットル〜0.2モル/リ
ットル、好ましくは0.001モル/リットル〜0.1
モル/リットルの量で用いられる。
【0013】本発明の現像液に用いる亜硫酸塩としては
亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、
亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫
酸カリウム、などがある。亜硫酸塩は0.1モル/リッ
トル以上特に0.3モル/リットル以上が好ましい。ま
た、上限は現像液濃縮液で2.5モル/リットルまでと
するのが好ましい。本発明の現像処理に用いる現像液の
pHは9から13までの範囲のものが好ましい。更に好
ましくはpH10〜12までの範囲である。pHの設定
のために用いるアルカリ剤には水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、第三リン
酸ナトリウム、第三リン酸カリウムの如きpH調節剤を
含む。特開昭62−186259号(ホウ酸塩)、特開
昭60−93433号(例えば、サッカロース、アセト
オキシム、5−スルホサリチル酸)、リン酸塩、炭酸塩
などの緩衝剤を用いてもよい。本発明においては現像液
は鉄イオンに対するキレート安定度定数が8以上である
キレート剤を含有することが好ましい。ここにキレート
安定度定数とは、L. G. Sillen・A. E. Martell 著, H
“Stabillty Constants of Metal-ion Complexes”,Th
e Chemical Society, London(1964)。S. Chabere
k ・ A. E. Martell著, “Organic Sequestering Agent
s ”, Wiley (1959)。等により一般に知られた定
数を意味する。本発明において鉄イオンに対するキレー
ト安定度定数が8以上であるキレート剤としては、有機
カルボン酸キレート剤、有機リン酸キレート剤、無機リ
ン酸キレート剤、ポリヒドロキシ化合物等が挙げられ
る。なお、上記鉄イオンとは、第2鉄イオン(Fe3+
を意味する。本発明において第2鉄イオンとのキレート
安定度定数が8以上であるキレート剤の具体的化合物例
としては、下記化合物が挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。即ちエチレンジアミンジオルトヒド
ロキシフェニル酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、
ジアミノプロパン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシ
エチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルグ
リシン、エチレンジアミン二酢酸、エチレンジアミン二
プロピオン酸、イミノ二酢酸、ジエチレントリアミン五
酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、1,3−ジアミ
ノ−2−プロパノール四酢酸、トランスシクロヘキサン
ジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコール
エーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン−N,N,
N’,N’テトラキスメチレンホスホン酸、ニトリロ−
N,N,N−トリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシ
エチリデン−1,1−ジホスホン酸、1,1−ジホスホ
ノエタン−2−カルボン酸、2−ホスホノブタン−1,
2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシ−1−ホスホ
ノプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、カテコール
−3,5−ジスルホン酸、ピロリン酸ナトリウム、テト
ラポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム
が挙げられる。また上記現像液にはジアルデヒド系硬膜
剤またはその重亜硫酸塩付加物を用いてもよいが、その
具体例を挙げればグルタールアルデヒド、又はこの重亜
硫酸塩付加物などがある。
【0014】上記成分以外に用いられる添加剤として
は、臭化ナトリウム、臭化カリウム、沃化カリウムの如
き現像抑制剤:エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、ジメチルホルムアミ
ド、メチルセロソルブ、ヘキシレングリコール、エタノ
ール、メタノールの如き有機溶剤:1−フェニル−5−
メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンツイミダ
ゾール−5−スルホン酸ナトリウム塩等のメルカプト系
化合物、5−ニトロインダゾール等のインダゾール系化
合物、5−メチルベンツトリアゾール等のベンツトリア
ゾール系化合物などのカブリ防止剤を含んでもよく、Re
search Disclosure 第176巻、No. 17643、第XX
I 項(12月号、1978年)に記載された現像促進剤
や更に必要に応じて色調剤、界面活性剤、消泡剤、硬水
軟化剤、特開昭56−106244号記載のアミノ化合
物などを含んでもよい。本発明の現像処理においては現
像液に本発明の銀汚れ防止剤以外の銀汚れ防止剤、例え
ば特開昭56−24347号に記載の化合物を用いるこ
とができる。本発明の現像液には、ヨーロッパ特許公開
136582号、英国特許第958678号、米国特許
第3232761号、特開昭56−106244号に記
載のアルカノールアミンなどのアミノ化合物を現像促
進、コントラスト上昇その他の目的で用いることができ
る。この他 L. F. Aメイソン著「フォトグラフィック・
プロセシング・ケミストリー」、フォーカル・プレス刊
(1966年)の226〜229頁、米国特許第2,1
93,015号、同2,592,364号、特開昭48
−64933号などに記載のものを用いてもよい。
【0015】定着液はチオ硫酸塩を含む水溶液であり、
pH3.8以上、好ましくは4.2〜7.0を有する。
定着剤としてはチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニ
ウムなどがあるが、定着速度の点からチオ硫酸アンモニ
ウムが特に好ましい。定着剤の使用量は適宜変えること
ができ、一般には約0.1〜約6モル/リットルであ
る。定着液には硬膜剤として作用する水溶性アルミニウ
ム塩を含んでもよく、それらには、例えば塩化アルミニ
ウム、硫酸アルミニウム、カリ明ばんなどがある。定着
液には、酒石酸、クエン酸、グルコン酸あるいはそれら
の誘導体を単独で、あるいは2種以上、併用することが
できる。これらの化合物は定着液1リットルにつき0.
005モル以上含むものが有効で、特に0.01モル/
リットル〜0.03モル/リットルが特に有効である。
定着液には所望により保恒剤(例えば、亜硫酸塩、重亜
硫酸塩)、pH緩衝剤(例えば、酢酸、硼酸)、pH調
整剤(例えば、硫酸)、硬水軟化能のあるキレート剤や
特開昭62−78551号記載の化合物を含むことがで
きる。
【0016】本発明において「現像工程時間」又は「現
像時間」とは、処理する感光材料の先端が自現機の現像
タンク液に浸漬してから次の定着液に浸漬するまでの時
間、「定着時間」とは定着タンク液に浸漬してから次の
水洗タンク液(安定液)に浸漬するまでの時間、「水洗
時間」とは、水洗タンク液に浸漬している時間をいう。
また「乾燥時間」とは、通常自現機には、35℃〜10
0℃好ましくは40℃〜80℃の熱風が吹きつけられる
乾燥ゾーンが設置されており、その乾燥ゾーンに入って
いる時間をいう。本発明の現像処理では、現像時間が5
秒〜1分、好ましくは5秒〜20秒、その現像温度は2
5℃〜50℃が好ましく、25℃〜40℃がより好まし
い。定着温度及び時間は約20℃〜約50℃で5秒〜1
分が好ましく、25℃〜40℃で10秒〜30秒がより
好ましい。水洗または安定浴温度及び時間は0〜50℃
で5秒〜1分が好ましく、15℃〜40℃で10秒から
30秒がより好ましい。本発明の方法によれば、現像、
定着及び水洗(又は安定化)された写真材料は水洗水を
しぼり切る、すなわちスクイズローラーを経て乾燥され
る。乾燥は約40℃〜約100℃で行われ、乾燥時間は
周囲の状態によって適宜変えられるが、通常は約5秒〜
1分でよく、特により好ましくは40℃〜80℃で約5
秒〜30秒である。本発明の感光材料の現像処理方法に
は、写真感光材料として、特に制限はなく、一般の黒白
感光材料が主として用いられる。特に医療画像のレーザ
ープリンター用写真感光材料や印刷用スキャナー感材並
びに、医療用直接撮影X−レイ感材、医療用間接撮影X
−レイ感材、CRT画像記録用感材、マイクロ用感材、
一般黒白ネガフィルム、黒白印画紙などに用いることが
好ましい。
【0017】次に本発明で使用する実質的に非感光性の
ハロゲン化銀微粒子について説明する。現像液中に蓄積
したヨードによるカブリの増加等の写真性の変化を防止
する手段として実質的に感度を有さないハロゲン化銀微
粒子を感材中に含有させ、性能を向上させる試みは数多
く行われてきた。たとえば特開昭50−23228号、
同59−69754号、同59−160135号には微
粒子乳剤を含有させる技術が開示されている。したがっ
てハロゲン化銀微粒子を感材中に含有させること自体は
新規なことではない。しかしながら、ハロゲン化銀微粒
子を含有した感材を、銀スラッヂ防止剤を含有する現像
液で現像した時の写真性改良効果と銀スラッヂ(銀汚
れ)防止効果の実現は、まさに予想しえない驚くべき事
実であった。
【0018】本発明の微細ハロゲン化銀粒子は写真画像
を形成するために設置された感光性ハロゲン化銀乳剤
層、中間層、下塗層、保護層などに添加される。またそ
れらの複数の層に添加してもよい。特に好ましいのは、
その保護層にのみ添加することである。本発明に用いら
れる微細ハロゲン化銀粒子は、平均サイズ(体積相当球
直径)で0.3μm未満である必要がある。0.3μm
以上では、光学的な散乱効果が無視できなくなり、画像
の鮮鋭度の劣化をもたらす。さらに平均サイズが小さい
程、より少量の微細ハロゲン化銀の添加で十分な現像処
理安定性を得ることができて好ましい。本発明に対して
は、平均粒子サイズが0.2μm未満であることが好ま
しく、特に好ましくは0.10μm未満の超微粒子であ
る。粒子サイズは通常行なわれている電子顕微鏡を用い
る方法で決定できる。粒子サイズの平均値は数平均によ
って決定される。粒子サイズ分布には特に制限はないが
サイズ分布の狭いいわゆる炭分散乳剤を用いるのが本発
明にとって好ましい。好ましいサイズ分布は変動係数で
20%以下、さらに好ましくは15%以下、特に好まし
くは10%以下である。粒子の形状は(100)面から
なる立方体、(111)面からなる八面体、(110)
面からなる12面体、さらに(hhl)、(hkl)面
(h、k、l>1)などの高次の面指数をもつ多面体の
いずれでもよい。また(100)と(111)面が共存
する14面体粒子などの複数の面を有する粒子でもよ
い。さらに双晶面をもつ平板状粒子、不定型であるジャ
ガイモ状粒子でもよい。本発明に用いる微粒子はいずれ
の形状でもよい。
【0019】本発明に用いる微細ハロゲン化銀粒子のハ
ロゲン組成に特に制限はないが沃化銀含量があまり高い
と感材中の増感色素の残色を悪化させたりする弊害がお
こるので沃化銀含有率は10モル%以下、特に2モル%
以下が好ましい。また塩化銀含有率が高いと、微細粒子
自体の現像液への溶解度が高くなり、銀スラッヂ防止剤
効果が目減りする。それゆえ塩化銀含有率は50モル%
未満が好ましく、特に30モル%未満がよい。微粒子は
内部と表層が均一な相から成っていても、異なる相から
成っていてもよい。異なる相からなる場合にはコアー・
シェル構造でも、エピタキシャル構造のどちらでもよ
い。さらに本発明の微粒子には、粒子の成長を抑制した
り物理熟成を抑制し、感材の写真性能を安定に保つため
に下記一般式(III)の化合物を添加しておくことが好ま
しい。 一般式(III)
【0020】
【化5】
【0021】(式中、R2 は少なくとも1個の−COO
Mもしくは−SO3 Mで置換された脂肪族基、芳香族基
またはヘテロ環基を表わし、Mは水素原子、アルカリ金
属原子、四級アンモニウムまたは四級ホスホニウムを表
わす。) 一般式(III) のR2 で示される脂肪族基としては、具体
的には炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐アルキル基
(例えばメチル基、プロピル基、ヘキシル基、ドデシル
基、イソプロピル基など)、炭素数1〜20のシクロア
ルキル基(例えばシクロプロピル基、シクロヘキシル基
など)、芳香族基としては、具体的には炭素数6〜20
のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基など)、
また、ヘテロ環基としては、具体的には1個以上の窒
素、酸素あるいは硫黄原子等を含む5員環、6員環ある
いは7員環のヘテロ環であり、さらに適当な位置で縮合
環を形成しているもの(例えば、ピリジン環、キノリン
環、ピリミジン環、イソキノリン環など)を包含する。
また、上記の直鎖もしくは分岐アルキル基、シクロアル
キル基、アリール基及びヘテロ環基は−COOMまたは
−SO3 Mに加えさらに置換基を有してもよい。これら
の置換基としては、具体的には、ハロゲン原子(F、C
l、Brなど)、アルキル基(メチル基、エチル基な
ど)、アリール基(フェニル基、p−クロロフェニル基
など)、アルコキシ基(メトキシ基、メトキシエトキシ
基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基など)、ス
ルホニル基(メタンスルホニル基、p−トルエンスルホ
ニル基など)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミ
ド基、ベンゼンスルホンアミド基など)、スルファモイ
ル基(ジエチルスルファモイル基、無置換スルファモイ
ル基など)、カルバモイル基(無置換カルバモイル基、
ジエチルカルバモイル基など)、アミド基(アセトアミ
ド基、ベンズアミド基など)、ウレイド基(メチルウレ
イド基、フェニルウレイド基など)、アルコキシカルボ
ニルアミノ基(メトキシカルボニルアミノ基など)、ア
リールオキシカルボニルアミノ基(フェノキシカルボニ
ルアミノ基など)、アルコキシカルボニル基(メトキシ
カルボニル基など)、アリールオキシカルボニル基(フ
ェノキシカルボニル基など)、シアノ基、ヒドロキシ
基、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、アミノ基(無
置換アミノ基、ジメチルアミノ基など)、アルキルスル
フィニル基(メトキシスルフィニル基など)、アリール
スルフィニル基(フェニルスルフィニル基など)、アル
キルチオ基(メチルチオ基など)、及びアリールチオ基
(フェニルチオ基など)を挙げることができ、これらの
置換基は2個以上置換していてもよく又、置換基は同じ
でも異なっていてもよい。一般式(III) で表わされる含
チッ素異節環化合物(メルカプトテトラゾール誘導体)
のうちで、特に好ましいものとして一般式(IV)で表わさ
れるものを挙げることができる。 一般式(IV)
【0022】
【化6】
【0023】一般式(IV)のR3 は少なくとも1個の−C
OOMまたは−SO3 Mで置換されたフェニル基を表わ
し、このフェニル基は−COOMまたは−SO3 M以外
に、さらに他の置換基によって置換されていてもよい。
他の置換基として具体的には前記R2 で表わされる直鎖
もしくは分岐アルキル基、シクロアルキル基、アリール
基及びヘテロ環基の置換基と同じものを挙げることがで
きる。ここで−COOM、−SO3 Mが2個以上あると
きは同じでも異なってもよい。Mは一般式(III) で表わ
されたものと同じものを意味する。以下に本発明に用い
られる一般式(III) で表わされる化合物の好ましい具体
例を挙げる。但し、本発明はこれら具体例のみに限定さ
れるものではない。
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】本発明における実質的に非感光性の微細ハ
ロゲン化銀粒子の使用量は1平方メートル当り銀量とし
て0.01〜1g/m2であることが好ましく、特に0.
03〜0.3g/m2であることが好ましい。本発明の感
光材料においては、感光性ハロゲン化銀乳剤層が支持体
の一方の側に少なくとも1層設けられるのでもよく、支
持体の両方の側に各々少なくとも1層設けられるのでも
よい。本発明の感光材料は、必要があれば感光性ハロゲ
ン化銀乳剤層以外にも親水性コロイド層を有することが
できる。本発明の感光材料は、感光性ハロゲン化銀乳剤
層を含む親水性コロイド層を有する側のゼラチン量が、
1.70〜3.50g/m2の範囲にある。感光性乳剤層
が支持体の一方の側にのみ存在すれば、その側のゼラチ
ン量が上記範囲にあることを要し、感光性乳剤層が支持
体の両側に存在すれば、双方の側のゼラチン量が各々上
記範囲にあることを要する。感光性乳剤層以外に親水性
コロイド層を有さない場合は、感光性乳剤層のゼラチン
量が上記の範囲にあることになる。ゼラチン量は、より
好ましくは1.80〜3.0g/m2の範囲特に1.9g
/m2〜2.5g/m2の範囲が好ましい。本発明のメルテ
ィング・タイムは8分以上45分以下に設定されている
ことが好ましい。本発明書でいうメルティング・タイム
とは、1cm×2cmに切断したハロゲン化銀写真感光材料
を50℃の水酸化ナトリウム1.5重量%水溶液中に浸
漬したとき、該ハロゲン化銀写真感光材料を構成する少
なくとも一層のハロゲン化銀乳剤層が融解し始めるまで
の時間を言う。
【0028】次に、本発明で用いる感光性乳剤粒子につ
いて説明する。粒子と同一体積の球相当平均粒子サイズ
は0.4μm以上であることが好ましい。特に0.5〜
2.0μmであることが好ましい。粒子サイズ分布は狭
い方がよい。乳剤中のハロゲン化銀粒子は立方体、八面
体のような規則的(regular)な結晶形を有するものでも
よく、また球状、板状、じゃがいも状などのような変則
的な(irregular) な結晶形を有するものでもよい、種々
の結晶形の粒子の混合から成ってもよい。ハロゲン化銀
の組成としては高感度であるという理由で沃臭化銀であ
る。本発明のハロゲン化銀粒子の沃化銀含有率は個々の
粒子の平均として全銀量に対して3.0モル%以下であ
る必要があり、好ましくは2.0モル%以下、特に1.
0モル%以下が良い。個々の粒子間における沃化銀分布
はあってもよいし均一でもよい。本発明のハロゲン化銀
粒子には写真性に影響を与えない程度の微量の塩化銀を
含有していてもよい。本発明の実施に際して乳剤として
単分散性乳剤を用いる場合、該単分散性乳剤の調製にあ
たっては、ハロゲン化銀粒子の成長に伴って水溶性銀塩
及び水溶性ハロゲン化物の添加速度を速めることが望ま
しい。添加速度を速めることによって、より粒子径分布
を単分散化し、また混合時間が短縮され、工業生産に有
利である。またハロゲン化銀粒子内部に構造欠陥の形成
される機会が減少するという点でも好ましい。この添加
速度を速める方法としては、特公昭48−36890
号、同52−16364号、特開昭55−142329
号の各公報に記載の如く、銀塩水溶液及びハロゲン化物
水溶液の添加速度を連続的に、或いは段階的に増加させ
てもよい。上記添加速度の上限は新しい該粒子が発生す
る寸前の流速でよく、その値は、温度、pH、pAg、
攪拌の程度、ハロゲン化銀粒子の組成、溶解度、粒径、
粒子間距離、或いは保護コロイドの種類と濃度等によっ
て変化する。単分散乳剤の製法は公知であり、例えば
J. Phot. Sci.12,242〜251(1963)、特
公昭48−36890号、同52−16364号、特開
昭55−142329号公報に記載されており、また特
開昭57−179835号に記載されている技術を採用
することもできる。本発明に用いられるハロゲン化銀乳
剤はコア・シェル型単分散性乳剤であってもよく、これ
らコア・シェル乳剤は特開昭54−48521号等によ
って公知である。本発明の実施に際して乳剤として多分
散乳剤を用いる場合、該多分散乳剤の製法は公知の方法
を用いることができる。例えば T. H. James著“The Th
eory ofthe Photographic Process”第4版,Macmillan
社刊(1977年)38〜104頁等の文献に記載さ
れている中性法、酸性法、アンモニア法、順混合、逆混
合、ダブルジェット法、コントロールド・ダブルジェッ
ト法、コンヴァージョン法、コア/シェル法などの方法
を適用して製造することができる。
【0029】また粒子径が粒子厚みの5倍以上の平板状
粒子は、本発明に対し好ましく用いられる(詳しくは、
RESEARCH DISCLOSURE 225巻 Item 22534 P.
20〜P.58、1月号、1983年、及び特開昭58
−127921号、同58−113926号公報に記載
されている)。平板状ハロゲン化銀粒子の製法として
は、当業界で知られた方法を適宜、組合せることにより
成し得る。平板状ハロゲン化銀乳剤は、クナック(Cugna
c)およびシャトー(Chateau) 「物理的熟成時の臭化銀結
晶の形態学の進展(イボルーション・オブ・ザ・モルフ
ォルジー・オブ・シルバー・プロマイド・クリスタルズ
・デュアリング・フィジカル・ライプニング)」サイエ
ンス・エ・インダストリエ・フォトグラフィー、33
巻、No. (1962)、pp. 121−125、ダフィン
(Duffin)著「フォトグラフィク・エマルジョン・ケミス
トリー(Photographic emulsion Chemistry) 」フォーカ
ル・プレス(Focal Press) 、ニューヨーク、1966
年、p.66〜p.72、A. P. H.トリベリ(Trivelli)、W.
F. スミス(Smith) フォトグラフィク ジャーナル(Phot
ographic Journal)、80巻、285頁(1940年)
等に記載されているが特開昭58−127,921、特
開昭58−113,927、特開昭58−113,92
8、米国特許第4439520号に記載された方法を参
照すれば容易に調製できる。
【0030】本発明の効果を有効に利用するためには、
特開平2−68539の如く乳剤調製工程中の化学増感
の際に、ハロゲン化銀1モルあたり0.5ミリモル以上
のハロゲン化銀吸着性物質を存在させることが好まし
い。このハロゲン化銀吸着性物質は、粒子形成中、粒子
形成直後、後熟開始前後時などいずれの時期に添加して
もよいが化学増感剤(例えば、金や硫黄増感剤)の添加
されるより前、もしくは化学増感剤と同時に添加される
ことが好ましく、少なくとも、化学増感が進行する過程
で、存在している必要がある。ハロゲン化銀吸着性物質
の添加条件として、温度は30℃〜80℃の任意の温度
でよいが、吸着性を強化する目的で、50℃〜80℃の
範囲が好ましい。pH、pAgも任意でよいが、化学増
感をおこなう時点ではpH6〜10、pAg7〜9であ
ることが好ましい。本発明でいう、ハロゲン化銀吸着性
物質とは増感色素、もしくは写真性能安定化剤の類を意
味する。すなわちアゾール類{たとえばベンゾチアゾリ
ウム塩、ベンゾイミダゾリウム塩、イミダゾール類、ベ
ンズイミダゾール類、ニトロインダゾール類、トリアゾ
ール類、ベンゾトリアゾール類、テトラゾール類、トリ
アジン類など};メルカプト化合物類{例えばメルカプ
トチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メル
カプトイミダゾール類、メルカプトベンズイミダゾール
類、メルカプトベンゾオキサゾール類、メルカプトチア
ジアゾール類、メルカプトオキサジアゾール類、メルカ
プトテトラゾール類、メルカプトトリアゾール類、メル
カプトピリミジン類、メルカプトトリアジン類など};
例えばオキサドリンチオンのようなチオケト化合物;ア
ザインデン類{例えばトリアザインデン類、テトラアザ
インデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3a,
7)テトラアザインデン類)、ペンタアザインデン類な
ど);のようなカブリ防止剤または安定剤として知られ
た、多くの化合物をハロゲン化銀吸着物質としてあげる
ことができる。さらに、プリン類または核酸類、あるい
は特公昭61−36213号、特開昭59−90844
号、等に記載の高分子化合物、なども利用しうる吸着性
物質である。なかでも特にアザインデン類とプリン類、
核酸類は本発明に好ましく、用いることができる。これ
らの化合物の添加量はハロゲン化銀1モルあたり300
〜3000mg、好ましくは、500〜2500mgであ
る。
【0031】本発明のハロゲン化銀吸着性物質として、
増感色素は、好ましい効果を実現しうる。増感色素とし
て、シアニン色素、メロシアニン色素、コンプレックス
シアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、ホロ
ホーラーシアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色
素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等を用い
ることができる。本発明に使用される有用な増感色素は
例えば米国特許3,522,052号、同3,619,
197号、同3,713,828号、同3,615,6
43号、同3,615,632号、同3,617,29
3号、同3,628,964号、同3,703,377
号、同3,666,480号、同3,667,960
号、同3,679,428号、同3,672,897
号、同3,769,026号、同3,556,800
号、同3,615,613号、同3,615,638
号、同3,615,635号、同3,705,809
号、同3,632,349号、同3,677,765
号、同3,770,449号、同3,770,440
号、同3,769,025号、同3,745,014
号、同3,713,828号、同3,567,458
号、同3,625,698号、同2,526,632
号、同2,503,776号、特開昭48−76525
号、ベルギー特許第691,807号などに記載されて
いる。増感色素の添加量はハロゲン化銀1モルあたり2
00mg以上2000mg未満、好ましくは400mg以上8
00mg未満がよい。以下に本発明で有効な増感色素の具
体例を示す。
【0032】
【化10】
【0033】
【化11】
【0034】本発明の感光性乳剤として平板状粒子は特
に好ましいものである。本発明の平板状乳剤の投影面積
直径は0.3〜2.0μm、特に0.5〜1.2μmで
あることが好ましい。また平行平面間距離(粒子の厚
み)としては0.05μm〜0.3μm、特に0.1〜
0.25μmのものが好ましく、アスペクト比として
は、3以上、20未満、特に4以上8未満のものが好ま
しい。本発明の平板状ハロゲン化銀乳剤中には、アスペ
クト比が2以上のハロゲン化銀粒子が全粒子の50%
(投影面積)以上、特に70%以上存在し、その平板粒
子の平均アスペクト比が3以上、特に4〜8であること
が好ましい。平板状ハロゲン化銀粒子の中でも単分散六
角平板粒子はとりわけ有用な粒子である。本発明でいう
単分散六角平板粒子の構造および製造法の詳細は特開昭
63−151618の記載に従う。
【0035】本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤の化
学増感の方法としては前述のハロゲン化銀吸着性物質の
存在下で硫黄増感法、セレン増感法、還元増感法、金増
感法などの知られている方法は用いることができ、単独
または組合せて用いられる。貴金属増感法のうち金増感
法はその代表的なもので金化合物、主として金錯塩を用
いる。金以外の貴金属、たとえば白金、パラジウム、イ
リジウム等の錯塩を含有しても差支えない。その具体例
は米国特許2,448,060号、英国特許618,0
61号などに記載されている。硫黄増感剤としては、ゼ
ラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合
物、たとえばチオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、
ローダニン類等を用いることができる。具体例は米国特
許1,574,944号、同2,278,947号、同
2,410,689号、同2,728,668号、同
3,501,313号、同3,656,955号に記載
されたものである。チオ硫酸塩による硫黄増感と、金増
感の併用は本発明の効果を有効に発揮しうる。還元増感
剤としては第一すず塩、アミン類、ホルムアミジンスル
フィン酸、シラン化合物などを用いることができる。
【0036】本発明に用いられる写真乳剤には、感光材
料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のカブリを防
止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、化学増
感工程でのハロゲン化銀吸着性物質とは別に種々の化合
物を含有させることができる。すなわちアゾール類{例
えばベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾール類、ニ
トロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミダゾール
類、ブロモベンズイミダゾール類、ニトロインダゾール
類、ベンゾトリアゾール類、アミノトリアゾール類な
ど};メルカプト化合物類{例えばメルカプトチアゾー
ル類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベン
ズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、メル
カプトテトラゾール類、メルカプトピリミジン類、メル
カプトトリアジン類など};例えばオキサドリンチオン
のようなチオケト化合物;アザインデン類{例えばトリ
アザインデン類、テトラアザインデン類(特に4−ヒド
ロキシ置換(1,3,3a,7)テトラアザインデン
類)、ペンタアザインデン類など};ベンゼンチオスル
ホン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルホ酸アミ
ド等のようなカブリ防止剤または安定剤として知られ
た、多くの化合物を加えることができる。特に特開昭6
0−76743号、同60−87322号公報に記載の
ニトロン及びその誘導体、特開昭60−80839号公
報に記載のメルカプト化合物、特開昭57−16473
5号公報に記載のヘテロ環化合物、及びヘテロ環化合物
と銀の錯塩(例えば1−フェニル−5−メルカプトテト
ラゾール銀)などを好ましく用いることができる。化学
増感工程で増感色素を用いた場合でも必要に応じて、他
の波長域の分光増感色素を添加してもよい。
【0037】本発明を用いて作られる感光材料の写真乳
剤層または他の親水性コロイド層には塗布助剤、帯電防
止、スベリ性改良、乳化分散、接着防止及び写真特性改
良(例えば、現像促進、硬膜剤、増感)等種々の目的
で、種々の界面活性剤を含んでもよい。例えばサポニン
(ステロイド系)、アルキレンオキサイド誘導体(例え
ばポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール/
ポリプロピレングリコール縮合物、ポリエチレングリコ
ールアルキルエーテル類又はポリエチレングリコールア
ルキルアリールエーテル類、シリコーンのポリエチレン
オキサイド付加物類)、糖のアルキルエステル類などの
非イオン性界面活性剤;アルキルスルフォン酸塩、アル
キルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスル
フォン酸塩、アルキル硫酸エステル類、N−アシル−N
−アルキルタウリン類、スルホコハク酸エステル類、ス
ルホアルキルポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル類、などのアニオン界面活性剤;アルキルベタイン
類、アルキルスルホベタイン類などの両性界面活性剤;
脂肪族あるいは芳香族第4級アンモニウム塩類、ピリジ
ニウム塩類、イミダゾリウム塩類などのカチオン界面活
性剤を用いることができる。この内、サポニン、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸Na塩、ジ−2−エチルヘキシル
α−スルホコハク酸Na塩、p−オクチルフェノキシエ
トキシエタンスルホン酸Na塩、ドデシル硫酸Na塩、
トリイソプロピルナフタレンスルホン酸Na塩、N−メ
チル−オレオイルタウリンNa塩、等のアニオン、ドデ
シルトリメチルアンモニウムクロライド、N−オレオイ
ル−N’,N’,N’−トリメチルアンモニオジアミノ
プロパンブロマイド、ドデシルピリジウムクロライドな
どのカチオン、N−ドデシル−N,N−ジメチルカルボ
キシベタイン、N−オレイル−N,N−ジメチルスルホ
ブチルベタインなどのベタイン、ポリ(平均重合度n=
10)オキシエチレンセチルエーテル、ポリ(n=2
5)オキシエチレンp−ノニルフェノールエーテル、ビ
ス(1−ポリ(n=15)オキシエチレン−オキシ−
2,4−ジ−t−ペンチルフェニル)エタンなどのノニ
オンを特に好ましく用いることができる。
【0038】帯電防止剤としてはパーフルオロオクタン
スルホン酸K塩、N−プロピル−N−パーフルオロオク
タンスルホニルグリシンNa塩、N−プロピル−N−パ
ーフルオロオクタンスルホニルアミノエチルオキシポリ
(n=3)オキシエチレンブタンスルホン酸Na塩、N
−パーフルオロオクタンスルホニル−N’,N’,N’
−トリメチルアンモニオジアミノプロパンクロライド、
N−パーフルオロデカノイルアミノプロピル−N’,
N’−ジメチル−N’−カルボキシベタインの如き含フ
ッ素界面活性剤、特開昭60−80848号、同61−
112144号、同62−172343号、同62−1
73459号などに記載のノニオン系界面活性剤、アル
カリ金属の硝酸塩、導電性酸化スズ、酸化亜鉛、五酸化
バナジウム又はこれらにアンチモン等をドープした複合
酸化物を好ましく用いることができる。本発明に於ては
マット剤として米国特許第2992101号、同270
1245号、同4142894号、、同4396706
号に記載の如きポリメチルメタクリレートのホモポリマ
ー又はメチルメタクリレートとメタクリル酸とのコポリ
マー、デンプンなどの有機化合物、シリカ、二酸化チタ
ン、硫酸、ストロンチウムバリウム等の無機化合物の微
粒子を用いることができる。粒子サイズとしては1.0
〜10μm、特に2〜5μmであることが好ましい。
【0039】本発明の写真感光材料の表面層には、滑り
剤として米国特許第3489576号、同404795
8号等に記載のシリコーン化合物、特公昭56−231
39号公報に記載のコロイダルシリカの他に、パラフィ
ンワックス、高級脂肪酸エステル、デン粉誘導体等を用
いることができる。本発明の写真感光材料の親水性コロ
イド層には、トリメチロールプロパン、ペンタンジオー
ル、ブタンジオール、エチレングリコール、グリセリン
等のポリオール類を可塑剤として用いることができる。
【0040】本発明の感光材料の乳剤層や中間層および
表面保護層に用いることのできる結合剤または保護コロ
イドとしては、ゼラチンをもちいるのが有利であるが、
それ以外の親水性コロイドも用いることができる。例え
ばゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフト
ポリマー、アルブミン、カゼイン等の蛋白質;ヒドロキ
シエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セ
ルロース硫酸エステル類等の如きセルロース誘導体、ア
ルギン酸ソーダ、デキストラン、澱粉誘導体などの糖誘
導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部
分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアク
リル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリ
ビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等の単一あ
るいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用
いることができる。ゼラチンとしては石灰処理ゼラチン
のほか、酸処理ゼラチンや酵素処理ゼラチンを用いても
よく、また、ゼラチンの加水分解物や酵素分解物も用い
ることができる。これらの中でもゼラチンとともに平均
分子量5万以下のデキストランやポリアクリルアミドを
併用することが好ましい。特開昭63−68837、同
じく63−149641に記載の方法は本発明でも有効
である。
【0041】本発明の写真乳剤及び非感光性の親水性コ
ロイドには無機または有機の硬膜剤を含有してよい。例
えばクロム塩(クロム明ばん、酢酸クロムなど)、アル
デヒド類(ホルムアルデヒド、グリオキサール、グリタ
ールアルデヒドなど)、N−メチロール化合物(ジメチ
ロール尿素、メチロールジメチルヒダントインなど)、
ジオキサン誘導体(2,3−ジヒドロキシジオキサンな
ど)、活性ビニル化合物(1,3,5−トリアクリロイ
ル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビス(ビニルスル
ホニル)メチルエーテル、N,N’−メチレンビス−
〔β−(ビニルスルホニル)プロピオンアミド〕な
ど)、活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロル−6−ヒ
ドロキシ−s−トリアジンなど)、ムコハロゲン酸類
(ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸など)、イソ
オキサゾール類、ジアルデヒドでん粉、2−クロル−6
−ヒドロキシトリアジニル化ゼラチンなどを、単独また
は組合せて用いることができる。なかでも、特開昭53
−41221、同53−57257、同59−1625
46、同60−80846に記載の活性ビニル化合物お
よび米国特許3,325,287号に記載の活性ハロゲ
ン化物が好ましい。
【0042】本発明の硬膜剤として、高分子硬膜剤も有
効に利用しうる。本発明に用いられる高分子硬膜剤とし
ては例えばジアルデヒド澱粉、ポリアクロレイン、米国
特許3,396,029号記載のアクロレイン共重合体
のようなアルデヒド基を有するポリマー、米国特許第
3,623,878号記載のエポキシ基を有するポリマ
ー、米国特許第3,362,827号、リサーチ・ディ
スクロージャー誌17333(1978)などに記載さ
れているジクロロトリアジン基を有するポリマー、特開
昭56−66841に記載されている活性エステル基を
有するポリマー、特開昭56−142524、米国特許
第4,161,407号、特開昭54−65033、リ
サーチ・ディスクロージャー誌16725(1978)
などに記載されている活性ビニル基、あるいはその前駆
体となる基を有するポリマーなどが挙げられ、活性ビニ
ル基、あるいはその前駆体となる基を有するポリマーが
好ましく、中でも特開昭56−142524に記載され
ている様な、長いスペーサーによって活性ビニル基、あ
るいはその前駆体となる基がポリマー主鎖に結合されて
いるようなポリマーが特に好ましい。
【0043】本発明の写真感光材料中の親水性コロイド
層はこれらの硬膜剤により水中での膨潤率が280%以
下、特に200〜280%になるように硬膜されている
ことが好ましい。本発明における水中での膨潤率は凍結
乾燥法により測定される。即ち、写真材料を25℃60
%RH条件下で7日経時した時点で親水性コロイド層の
膨潤率を測定する。乾燥厚(a)は切片の走査型電子顕
微鏡により求める。膨潤膜層(b)は、写真材料を21
℃の蒸留水に3分間浸漬した状態を液体窒素により凍結
乾燥したのち走査型電子顕微鏡で観察することで求め
る。膨潤率は(b)−(a)を(a)で除して100倍
した値(%)として求める。支持体としてはポリエチレ
ンテレフタレートフィルムまたは三酢酸セルロースフィ
ルムが好ましい。
【0044】支持体は親水性コロイド層との密着力を向
上せしめるために、その表面をコロナ放電処理、あるい
はクロー放電処理あるいは紫外線照射処理する方法が好
ましくあるいは、スチレンブタジエン系ラテックス、塩
化ビニリデン系ラテックス等からなる下塗層を設けても
よくまた、その上層にゼラチン層を更に設けてもよい。
また、ポリエチレン膨潤剤とゼラチンを含む有機溶剤を
用いた下塗層を設けてもよい。これ等の下塗層は表面処
理を加えることで更に親水性コロイド層との密着力を向
上することもできる。本発明の写真感光材料の乳剤層に
は圧力特性を改良するためポリマーや乳化物などの可塑
剤を含有させることができる。たとえば英国特許第73
8,618号には異節環状化合物を同738,637号
にはアルキルフタレートを、同738,639号にはア
ルキルエステルを、米国特許第2,960,404号に
は多価アルコールを、同3,121,060号にはカル
ボキシアルキルセルロースを、特開昭49−5017号
にはパラフィンとカルボン酸塩を、特公昭53−280
86号にはアルキルアクリレートと有機酸を用いる方法
等が開示されている。本発明のハロゲン化銀写真感光材
料の乳剤層のその他の構成については特に制限はなく、
必要に応じて種々の添加剤を用いることができる。例え
ば、ResearchDisclosure 176巻22〜28頁(19
78年12月)に記載されたバインダー、界面活性剤、
その他染料、紫外線吸収剤、塗布助剤、増粘剤、などを
用いることができる。以下、実施例にて本発明を具体的
に説明する。
【0045】
【実施例】実施例1 微細沃化銀粒子Aの調製 水2リットル中に沃化カリウム0.5g、ゼラチン26
gを添加し35℃に保った溶液中へ攪拌しながら40g
の硝酸銀を含む硝酸銀水溶液80ccと39gの沃化カリ
ウムを含む水溶液80ccを5分間で添加した。この時、
硝酸銀水溶液と沃化カリウム水溶液の添加流速は添加開
始時には各々8cc/分とし、5分間で80cc添加終了す
るように直線的に流速を加速した。こうして粒子を形成
しおわったのち35℃にて沈降法により可溶性塩類を除
去した。つぎに40℃に昇温してゼラチン7gを添加し
苛性ソーダによりpHを6.8に調整した。得られた乳
剤は平均直径が0.02μmの単分散AgI微粒子であ
った。
【0046】微細沃臭化銀粒子B(AgBr8020)の
調製 Aの調製に対して40gの硝酸銀80ccと同時に添加す
るハロゲン水溶液を沃化カリウム7.31gと臭化カリ
ウム22.4gの混合水溶液とした。得られた乳剤は平
均直径が0.04μmの単分散沃臭化銀微粒子であっ
た。
【0047】微細臭化銀粒子Cの調製 水2リットル中に臭化カリウム0.36g、ゼラチン2
6gを添加し35℃に保った溶液中へ攪拌しながら40
gの硝酸銀を含む水溶液80ccと28gの臭化カリウム
を含む水溶液をAと同じ方法で添加した。以下Aと同様
にして乳剤Cを得た。得られた乳剤は平均直径が0.0
6μmの単分散臭化銀微粒子であった。
【0048】微細塩臭化銀粒子D(AgBr60Cl40
の調製 30℃に保ったゼラチン水溶液(a)に硝酸銀水溶液
(b)とハロゲン水溶液(c)を同時混合法により、電
位を+150mVに制御しながら12分間で添加した。 (a)石灰処理ゼラチン 10g KBr 0.41g H2 O 1000cc (b)AgNO3 150g H2 O 300cc (c)KBr 62.6g NaCl 21.6g H2 O 300cc 電位の測定は、金属銀電極とダブルジャンクション型飽
和カロメロ比較電極を用いた。沈降剤としてナフタレン
スルホン酸ソーダのホルマリン縮合物を加えpH3.8
にて脱塩処理をおこなった。その後、ゼラチン30gと
2 Oを加えて分散し、苛性ソーダでpH6.8に調整
した。得られた乳剤は平均粒径が0.08μmの塩臭化
銀微粒子であった。
【0049】微細塩化銀粒子Eの調製 38℃に保ったゼラチン水溶液(d)に硝酸銀水溶液
(e)と塩化ナトリウム水溶液(f)を、同時混合法に
より、電位を+450mVに制御しながら(e)液の添
加が終了するまでの12分間添加を行った。電位の測定
は、金属銀電極とダブルジャンクション型飽和カロメロ
比較電極を用い、電位制御は設定電位に対する差を検知
して、(f)液の添加量を自動的にコントロールして行
った。その後沈降剤としてナフタレンスルホン酸ソーダ
のホルマリン縮合物を加え、pHを3.8に合わせて、
脱塩処理を行ない、その後NaOHとゼラチンとH2
を加えて分散し、pH6.8になる様に調製した。 (d)石灰処理ゼラチン 10g NaCl 0.2g H2 O 1000cc (e)AgNO3 150g H2 O 300cc (f)NaCl 54g H2 O 300cc (e)と(f)の溶液を添加した直後は微細だった粒子
は脱塩処理中に凝集や、物理熟成がおこってしまい多分
散で平均粒径0.36μmの塩化銀粒子がpH調整後に
得られた。
【0050】安定化剤を吸着させた微細ハロゲン化銀粒
子F〜Iの調製 微細ハロゲン化銀粒子C〜Eの調製に対して硝酸銀とハ
ロゲン水溶液の添加が終了した直後に一般式(III) の化
合物例(11)をAg1モル当たり1.5g添加して各
々F〜Iとした。F、Gは化合物例(11)の添加によ
り、粒子サイズに変化がなかったがIはEに対して微細
化、単分散化した。これは化合物例(11)がAgCl
微粒子の変型を防止したためである。以上のA〜Iの調
製内容と結果を表−1にまとめた。
【0051】
【表1】
【0052】感光性ハロゲン化銀乳剤の調製 以下の様な方法で感光性ハロゲン化銀乳剤を作製した。
水1リットル中に臭化カリウム4.5g、ゼラチン2
0.6g、チオエーテルHO(CH2)2S(CH2)2S(CH2)2OHの5
%水溶液2.5ccを添加し60℃に保った容器中へ攪拌
しながら硝酸銀水溶液37cc(硝酸銀3.43g)と臭
化カリウム2.97gと沃化カリウム0.363gを含
む水溶液33ccをダブルジェット法により37秒間で添
加した。つぎに臭化カリウム0.9gの水溶液を添加し
た後70℃に昇温して硝酸銀水溶液53cc(硝酸銀4.
90g)を13分間かけて添加した。ここで25%のア
ンモニア水溶液15ccを添加、そのままの温度で20分
間物理熟成したのち100%酢酸溶液を14cc添加し
た。引き続いて硝酸銀133.3gの水溶液と臭化カリ
ウムの水溶液をpAg8.5に保ちながらコントロール
ダブルジェット法で35分間かけて添加した。次に2N
のチオシアン酸カリウム溶液10ccと直径0.07μm
のAgI微粒子を全銀量に対して0.05モル%添加し
た。5分間そのままの温度で物理熟成したのち35℃に
温度を下げた。こうしてトータル沃化銀含量0.31モ
ル%、平均投影面積直径1.10μm、厚み0.165
μm、直径の変動係数18.5%の単分散平板状粒子を
えた。この後、沈降法により可溶性塩類を除去した。再
び40℃に昇温してゼラチン55gとフェノキシエタノ
ール2.35gおよび増粘剤としてポリスチレンスルホ
ン酸ナトリウム0.8gを添加し、苛性ソーダと硝酸銀
溶液でpH5.90、pAg8.25に調整した。この
乳剤を攪拌しながら56℃に保った状態で化学増感を施
した。まず二酸化チオ尿素0.043mgを添加し22分
間そのまま保持して還元増感を施した。つぎに4−ヒド
ロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザイン
デン20mgと増感色素(増感色素の化合物例S−(3) )
500mgを添加した。さらに塩化カルシウム水溶液1.
1gを添加した。引き続きチオ硫酸ナトリウム3.3mg
と塩化金酸2.6mgおよびチオシアン酸カリウム90mg
を添加し40分後に35℃に冷却し、乳剤Aとした。乳
剤Aのハロゲン化銀1モルあたり下記の薬品を添加して
塗布液とした。 ・2,6−ビス(ヒドロキシアミノ)−4−ジエチルアミ ノ−1,3,5−トリアジン 72mg ・トリメチロールプロパン 9g ・デキストラン(平均分子量3.9万) 18.5g ・ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量60万) 1.8g ・硬膜剤 1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタン 膨潤率が230%となるよう に添加量を調整。
【0053】
【化12】
【0054】
【化13】
【0055】表面保護層塗布液の調製 表面保護層は各成分が下記の塗布量となるように調製準
備した。 表面保護層の内容 塗布量 ・ゼラチン 0.966g/m2 ・ボリアクリル酸ナトリウム(平均分子量40万) 0.023 ・4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7− テトラザインデン 0.015
【0056】
【化14】
【0057】 ・ポリメチルメタクリレート 0.087 (平均粒径3.7μm) 0.0005 ・プロキセル(NaOHでpH7.4に調整) 支持体の調製 (1) 下塗層用染料D−1の調製 下記の染料を特開昭63−197943号に記載の方法
でボールミル処理した。
【0058】
【化15】
【0059】水434mlおよび Triton X−200界面
活性剤(TX−200)の6.7%水溶液791mlとを
2リットルのボールミルに入れた。染料20gをこの溶
液に添加した。酸化ジルコニウム(ZrO)のビーズ4
00ml(2mm径)を添加し内容物を4日間粉砕した。こ
の後、12.5%ゼラチン160gを添加した。脱泡し
たのち、濾過によりZrOビーズを除去した。得られた
染料分散物を観察したところ、粉砕された染料の粒径は
直径0.05〜1.15μmにかけての広い分野を有し
ていて、平均粒径は0.37μmであった。さらに、遠
心分離操作をおこなうことで0.9μm以上の大きさの
染料粒子を除去した。こうして染料分散物D−1を得
た。 (2) 支持体の調製 二軸延伸された厚さ183μmのポリエチレンテレフタ
レートフィルム上にコロナ放電処理をおこない、下記の
組成より成る第1下塗液を塗布量が5.1cc/m2となる
ようにワイヤーバーコーターにより塗布し、175℃に
て1分間乾燥した。次に反対面にも同様にして第1下塗
層を設けた。使用したポリエチレンテレフタレートには
下記構造の染料が0.04wt%含有されているものを
用いた。
【0060】
【化16】
【0061】 ブタジエン−スチレン共重合体ラテックス溶液 (固型分40%ブタジエン/スチレン重量比 =31/69) 79cc 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリ アジンナトリウム塩4%溶液 20.5cc 蒸留水 900.5cc 上記の両面の第1下塗層上に下記の組成からなる第2の
下塗層を塗布量が下記に記載の量となるように片面ず
つ、両面にワイヤー・バーコーター方式により150℃
で塗布・乾燥した。 ・ゼラチン 80mg/m2 ・染料分散物D−1(染料固型分として20mg/m2
【0062】
【化17】
【0063】 ・マット剤 平均粒径2.5μmのポリメチルメタクリレート 2.5mg/m2 写真材料の調整 準備した支持体上に先の乳剤層と表面保護層を同時押し
出し法により両面に塗布した。片面当りの塗布銀量は
1.65g/m2とした。膨潤率は乳剤層に添加するゼラ
チンと硬膜剤量とで調整し230%に設定した。こうし
て写真材料1を得た。
【0064】写真材料2〜9の調製 写真材料1の表面保護層に微細ハロゲン化銀粒子A〜F
を含有させた。含有させた量は片面あたりの銀量で0.
15g/m2とした。このとき、微粒子によってもちこま
れるゼラチン量は表面保護層中のゼラチンを減らすこと
で写真材料1と同じになるように調整した。得られた写
真材料2〜9について表2にまとめた。
【0065】写真性能の評価 写真材料1〜9の各試料を富士写真フイルム(株)社製
のXレイオルソスクリーンHR−4を使用して両側から
0.05秒の露光を与え、感度の評価をおこなった。露
光後、以下の処理をおこなった。感度は写真材料1の処
理Iの結果を100とし濃度1.0を与える露光量の比
の逆数で示した。平均階調Gはカブリ+濃度0.25の
点とカブリ+濃度2.0の点を結ぶ直線の傾きであらわ
した。
【0066】〔処理I〕自動現像機…KONICA
(株)社製SRX501の駆動モーターとギア部を改造
して搬送スピードを速めた。 <現像液濃縮液> 水酸化カリウム 56.6g 亜硫酸ナトリウム 200g ジエチレントリアミン五酢酸 6.7g 炭酸カリ 16.7g ホウ酸 10g ヒドロキノン 83.3g ジエチレングリコール 40g 4−ヒドロキシメチル−4−メチル−1−フェニル −3−ピラゾリドン 22.0g 5−メチルベンゾトリアゾール 2g 水で1リットルとする(pH10.60に調整)。 <定着液濃縮液> チオ硫酸アンモニウム 560g 亜硫酸ナトリウム 60g エチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム・二水塩 0.10g 水酸化ナトリウム 24g 水で1リットルとする(酢酸でpH5.10に調整する)。 現像処理をスタートするときには自動現像機の各タンク
に以下の如き処理液を満たした。 現像タンク:上記現像液濃縮液333ml、水667ml及
び臭化カリウム2gと酢酸1.8gとを含むスターター
10mlを加えてpHを10.25とした。この組成の液
を現像タンクに満たした。 定着タンク:上記定着液濃縮液200ml及び水800ml
の組成とした。 処理スピード…Dry to Dry 35秒 現像温度 …35℃ 定着温度 …32℃ 乾燥温度 …55℃ 補充量 …現像液 22ml/10×12インチ 定着液 30ml/10×12インチ
【0067】〔処理II〕処理Iの現像濃縮液に本発明の
一般式(I)の化合物例(I−1)を3×10-3モル/
リットル添加した。その他の点は処理Iと同様にした。
【0068】銀スラッヂ、銀汚れの評価 自現機を週に6日間稼働させ、稼働日には1日当たり、
濃度1.0となるように露光した4切サイズ(10イン
チ×12インチ)を100枚処理した。前記のようなラ
ンニング実験を計2週間続け、トータル処理枚数は12
00枚であった。表2、表3にランニング実験による写
真性、銀汚れの結果を示す。
【0069】以上の結果を表2、表3にまとめた。表2
では微細ハロゲン化銀粒子がAgI組成である写真材料
2のみがわずかに低感、軟調化を示したが写真材料3〜
9は微細ハロゲン化銀粒子を含有しない写真材料1と同
等ないしは5〜10%高感度という結果であった。しか
し現像液に銀汚れ防止剤を含有しないため銀汚れはいず
れの写真材料の評価でも多量に発生してしまい、ローラ
ーに付着した銀汚れが処理した感材にも転写してくるほ
ど汚れのひどいものであった。一方、銀汚れ防止剤を含
有した処理(II)での結果が表3である。銀汚れ防止剤の
効果は顕著であり銀汚れは著しく改善された。しかし、
本発明の微細ハロゲン化銀粒子を含有しない写真材料1
は処理(I)に対して非常に大きな減感を示した。しか
し、本発明の写真材料2〜9と処理(II)の組合せは、写
真材料1に対して著しく高感度である。写真材料4〜9
においては処理Iと処理IIの感度・階調の差がないとい
うおどろくべき結果であった。ここで塩化銀含有量の高
い微細ハロゲン化銀粒子D、Eを含有する写真材料5、
6では処理IIにおいても銀汚れが発生し写真材料6は許
容限界を下回った。しかし、微細ハロゲン化銀粒子D、
Eに安定化剤として一般式(III) の化合物例(11)を
1.5g/Ag−1モル吸着させたG、Iを含有させた
写真材料8、9では銀汚れが実用レベルに改良されてお
り本発明の効果が確認できた。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】実施例2 写真材料1及び4〜9を40℃相対湿度70%条件下に
5日間放置したのち、実施例1と同様な方法で処理(II)
における写真性を調べた。結果を表4にまとめた。本発
明の写真材料4〜9が苛酷な条件を経験したあとでも写
真材料1(比較)に対して著しく高感度であることがわ
かる。この時微細ハロゲン化銀粒子に安定化剤として一
般式(III) の化合物例(11)を吸着させたものは、と
りわけ高感度を維持した。
【0073】
【表4】
【0074】実施例3 写真材料8を用いて、以下の処理をおこなった。 処理III 処理Iの現像濃縮液に以下の化合物を3×10-3モル/
リットル添加した。その他の点は処理Iと同様にした。
【0075】
【化18】
【0076】処理IV 処理Iの現像濃縮液に以下の化合物を3×10-3モル/
リットル添加した。その他の点は処理Iと同様にした。
【0077】
【化19】
【0078】処理V 処理Iの現像濃縮液に以下の化合物を3×10-3モル/
リットル添加した。その他の点は処理Iと同様にした。
【0079】
【化20】
【0080】実施例1に従って処理II〜Vにて写真性能
を評価した。結果を表−5にまとめた。本発明の一般式
(I)の化合物は、本発明の写真材料との組み合わせで
とりわけ銀汚れ防止効果顕著であり、写真的にも高感
度、硬調であった。
【0081】
【表5】
【0082】
【発明の効果】表面保護層又はその他の層に平均粒子サ
イズ0.3μm未満の非感光性微細ハロゲン化銀粒子を
含有するハロゲン化銀感材を露光後、銀スラッヂ防止剤
を含有する現像液で処理することにより、感度、階調を
損なうことなく銀汚れを防止することができた。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の少なくとも一方の側に少なくと
    も1層の感光性ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化
    銀写真感光材料の現像処理方法において、該乳剤層の表
    面保護層および/またはその他の親水性コロイド層に、
    平均粒子サイズが0.3μm未満であって、沃化銀含有
    率が30モル%以下の沃臭化銀、または臭化銀、または
    塩化銀含有率が50モル%未満の塩臭化銀である非感光
    性微細ハロゲン化銀粒子を含有させ、該ハロゲン化銀写
    真感光材料を銀スラッヂ防止剤を含有する現像液にて処
    理することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の現
    像処理方法。
  2. 【請求項2】 銀スラッヂ防止剤が下記の一般式(I)
    で表されることを特徴とする請求項のハロゲン化銀写
    真感光材料の現像処理方法。 一般式(I) 【化1】 式中、Xは水素原子又はスルホン酸基を表わす。M
    水素原子又はアルカリ金属原子を表わし、Mは水素原
    子、アルカリ金属原子又はアンモニウム基を表わす。
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