JP2744442B2 - トランス - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、電子機器等に使用されるトランスに関す
るものである。

〔従来の技術〕 従来のトランスは、第６図に示すように、コイルボビ
ン51と巻線52と温度ヒューズ53と絶縁ケース54とを備え
ている。

巻線52は、コイルボビン51に巻回されている。絶縁ケ
ース54は、コイルボビン51を収納する。

また、コイルボビン51には、端子58が設けられてお
り、端子58に隣接した位置に巻線52の引き出し溝59が設
けられている。コイルボビン51および絶縁ケース54に
は、Ｅ型鉄心56を組み込むための鉄心挿通孔51aおよび5
4aがそれぞれ設けられている。Ｅ型鉄心56およびＩ型鉄
心57はケイ素鋼板からなる。60は外装テープを示してい
る。

温度ヒューズ53は、巻線52の発熱を感知して巻線52の
温度が異常温度となったときに溶断し、巻線52に流れる
電流を遮断する。

以下、このトランスの組立手順を説明する。

まず、コイルボビン51に巻線52を巻回し、巻線52の外
周に温度ヒューズ53を配設する。そして、巻線52の引き
出し線（図示せず）の一端および温度ヒューズ53のリー
ド線53aの一端をそれぞれの端子58に接続する。さら
に、温度ヒューズ53を巻線52の外周に固定するために外
装テープ60を巻回する。

つぎに、このコイルボビン51を絶縁ケース54に収納す
る。そして、コイルボビン51の鉄心挿通孔51aおよび絶
縁ケース54の鉄心挿通孔54aに、Ｅ型鉄心56およびＩ型
鉄心57を各々→図示の矢印の方向から組み込む。

このようにして、トランスの組立を行っていた。

〔発明が解決しようとする課題〕

このトランスは、温度ヒューズ53の固定を外装テープ
60を用いて行っているため、製造工数が多いという問題
があった。

また、温度ヒューズ53の固定位置を一定にすることが
難しく、取り付け位置にばらつきがあるため、温度ヒュ
ーズ53の動作にばらつきが発生するという問題があっ
た。

したがって、この発明の目的は、温度ヒューズの動作
のばらつきをなくし、しかも製造工数の低減を図ること
のできるトランスを提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

この発明のトランスは、巻線の外周面に対応する絶縁
ケースの内周面に先端に爪を有する突起からなり温度ヒ
ューズを保持する温度ヒューズ保持部と温度ヒューズか
ら引出されたリード線を保持するリード線保持部とを設
けたことを特徴としている。

〔作 用〕

この発明の構成によれば、先端に爪を有する突起から
なる温度ヒューズ保持部を巻線の外周面に対応する絶縁
ケースの内周面に設けているため、温度ヒューズを温度
ヒューズ保持部に挿入するだけで絶縁ケースの一定位置
に固定することができる。したがって、外装テープを使
用せずに温度ヒューズを固定することができ、しかも巻
線に対して一定位置に配置することができる。また、先
端に爪を有する突起からなるリード線保持部を巻線の外
周面に対応する絶縁ケースの内周面に設けているため、
リード線保持部に温度ヒューズから引き出されたリード
線を挿入して固定することにより、リード線を粘着テー
プ等で固定する必要もなくリード線の処理が煩雑になら
ない。

〔実施例〕

この発明の第１の実施例を第１図ないし第４図に基づ
いて説明する。

このトランスは、第１図に示すように、コイルボビン
１と巻線２と温度ヒューズ３と絶縁ケース４から構成し
ている。そして、巻線２の外周面に対応する絶縁ケース
４の内周面に温度ヒューズ３を保持する保持部５および
温度ヒューズ３のリード線3aを保持するリード線保持部
12を設けている。

巻線２は、コイルボビン１に巻回されている。

絶縁ケース４は、コイルボビン１を収納する。

また、コイルボビン１には、端子８が設けられてお
り、端子８に隣接した位置に巻線２の引き出し溝９が設
けられている。コイルボビン１および絶縁ケース４に
は、Ｅ型鉄心６を組み込むための鉄心挿通孔1aおよび4a
がそれぞれ設けられている。

絶縁ケース４の保持部５は、この場合、絶縁ケース４
の底面に設けられており、第２図（ａ）に示すように、
温度ヒューズ３を収納できる幅のＵ字形の溝を形成する
一対の突起からなる。そして、突起の先端に爪5aが設け
られている。また、リード線保持部12は、保持部５から
連続して絶縁ケース４の側面に設けられており、第２図
（ｂ）に示すように、温度ヒューズ３のリード線3aが収
納できる幅のＵ字形の溝を形成する一対の突起からな
り、突起の先端に爪12aが設けられている。

第１図に示すＥ型鉄心６およびＩ型鉄心７はケイ素鋼
板からなる。

温度ヒューズ３は、巻線２の発熱を感知して巻線２の
温度が異常温度となったときに溶断し、巻線２に流れる
電流を遮断する。

以下、このトランスの組立手順を説明する。

まず、温度ヒューズ３を絶縁ケース４の保持部５に挿
入する。このとき、保持部５には爪5aが設けられている
ため、温度ヒューズ３が保持部５に挿入されると、爪5a
により温度ヒューズ３が保持部５の位置で固定されるこ
とになる。また、温度ヒューズ３のリード線3aも、同様
に、リード線保持部12に挿入し、リード線保持部12の爪
12aにより固定される。

そして、温度ヒューズ３を内周面の保持部５に保持し
た絶縁ケース４に、巻線２を巻回したコイルボビン１を
収納する（第３図）。つぎに、コイルボビン１の鉄心挿
通孔1aおよび絶縁ケースの鉄心挿通孔4aに、絶縁ケース
４に収納されていないコイルボビン１側からＥ型鉄心６
を嵌合して、Ｅ型鉄心６およびＩ型鉄心７を組み込む。
これにより、トランスの組立が完了する（第４図）。

このように、このトランスは、温度ヒューズ３を保持
する保持部５を巻線２の外周面に対応する絶縁ケース４
の底面に設けたので、温度ヒューズ３を保持部５に挿入
するだけで絶縁ケース４の一定位置に固定することがで
きる。したがって、第６図に示す従来のトランスのよう
に、外装テープ60を使用せずに温度ヒューズ３を容易に
固定することができ、しかも巻線２に対して一定位置に
配置することができる。この結果、温度ヒューズ３の動
作のばらつきをなくすことができ、しかも製造工数の低
減を図ることができる。また、リード線保持部12を巻線
２の外周面に対応する絶縁ケース４の内周面に設けたの
で、リード線保持部12に温度ヒューズ３のリード線3aを
挿入して固定することにより、リード線3aを粘着テープ
等で固定する必要もなくリード線3aの処理が煩雑になら
ない。

なお、この実施例においては、保持部５を絶縁ケース
４の底面に形成することにより、温度ヒューズ３の自動
組み込みをより行いやすくしているが、保持部５は底面
に限らない。

この発明の第２の実施例を第５図に基づいて説明す
る。

このトランスは、第５図に示すように、巻線（図示せ
ず）の外周面に対応する絶縁ケース４の内周面に、温度
ヒューズ３のみを保持する保持部５′と、温度ヒューズ
３のリード線3aを部分的に保持するリード線保持部1
2′,13とを設けている。さらに、リード線3aの引き出し
方向にリード線保持部14を設けている。

保持部５′およびリード線保持部12′,13,14の断面形
状は、第１の実施例の保持部５およびリード線保持部12
と同様である。そして、リード線保持部13,14のＵ字形
の溝を形成した突起の方向を変えて、リード線3aの引き
出し方向に対しリード線3aを保持しやすくしている。そ
の他の構成は第１の実施例の構成と同様である。

このトランスは、絶縁ケース４に温度ヒューズ３のリ
ード線3aの引き出し方向にリード線保持部14を設けたの
で、温度ヒューズ３のリード線3aの引き出し方向の位置
固定を行うことができる。これにより、トランスの組み
込み作業をより容易にすることができる。

また、温度ヒューズ３の保持部５′を温度ヒューズ３
のみを保持するようにしたので、温度ヒューズ３の保持
部５′への自動組み込みをより簡単に行うことができ
る。

このように、この第２の実施例のトランスは、第１の
実施例のトランスの効果に加え、トランスの組み込み作
業をより容易にし、さらにトランス組立の自動化を簡単
に行なえるという効果を得ることができる。

なお、第１および第２の実施例のトランスにおいて
は、絶縁ケース４の温度ヒューズ３の保持部5,5′をＵ
字形の溝を形成する一対の突起とし、突起の先端に爪5a
を設けた形状としたが、温度ヒューズ３を挿入後保持，
固定できる形状であれば、図示した形状に限ることはな
い。また同様に、リード線保持部12,12′,13,14につい
てもリード線3aを挿入後保持，固定できる形状であれ
ば、図示した形状に限ることはない。

〔発明の効果〕

この発明のトランスは、巻線の外周面に対応する絶縁
ケースの内周面に先端に爪を有する突起からなる温度ヒ
ューズ保持部を設けているため、温度ヒューズを温度ヒ
ューズ保持部に挿入するだけで絶縁ケースの一定位置に
固定することができ、しかも巻線に対して一定の位置に
配置することができるため、温度ヒューズの動作のばら
つきをなくし、また、温度ヒューズの自動組み込みおよ
びその後の工程を容易にすることが可能となり製造工数
の低減を図ることができる。また、巻線の外周面に対応
する絶縁ケースの内周面に先端に爪を有する突起からな
るリード線保持部を設けているため、このリード線保持
部に温度ヒューズから引き出されたリード線を挿入して
固定することにより、リード線を粘着テープ等で固定す
る必要もなくリード線の処理が煩雑にならない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の第１の実施例の分解斜視図、第２図
（ａ）は絶縁ケースの温度ヒューズの保持部の形状を示
す断面図、同図（ｂ）は絶縁ケースの温度ヒューズのリ
ード線保持部の形状を示す断面図、第３図は第１図の鉄
心の組み込み前の斜視図、第４図は第１図の完成斜視
図、第５図はこの発明の第２の実施例の要部を示す斜視
図、第６図は従来のトランスの分解斜視図である。 １……コイルボビン、２……巻線、３……温度ヒュー
ズ、４……絶縁ケース、5,5′……保持部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】コイルボビンと、このコイルボビンに巻回
   された巻線と、この巻線の異常発熱を感知して溶断する
   温度ヒューズと、この温度ヒューズから引き出されたリ
   ード線と、前記巻線を巻回した前記コイルボビンを収納
   する絶縁ケースとを備えたトランスにおいて、前記巻線
   の外周面に対応する前記絶縁ケースの内周面に先端に爪
   を有する突起からなり前記温度ヒューズを保持する温度
   ヒューズ保持部と前記リード線を保持するリード線保持
   部とを設けたことを特徴とするトランス。