JP2743488B2 - エンジンの動弁機構用カムフォロア装置 - Google Patents

エンジンの動弁機構用カムフォロア装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明に係るエンジンの動弁機構用カムフォロア装
置は、自動車の走行用等として使用されるエンジンの動
弁機構中に組み込み、動弁機構部分の摩擦を少なくし
て、エンジン運転時に於ける出力ロスの低減を図るもの
で、本発明は更に、この様なカムフォロア装置を組み込
んだエンジンの性能向上、特に高回転化を目的として成
されたものである。
(従来の技術) 自動車の走行用等として使用されるエンジンには、各
種の構造のものがあるが、往復ストン型エンジンの場合
は、一部の2サイクルエンジンを除き、総てクランクシ
ャフトの回転と同期して開閉する吸気弁及び排気弁を設
けている。
これら吸気弁及び排気弁を駆動する為の動弁機構とし
ては各種の構造のものが存在するが、例えば第12図に示
したSOHC型のものに就いて説明すると、クランクシャフ
ト1の1/2の速度で回転する(4サイクルエンジンの場
合)1本のカムシャフト2により、ロッカーアーム3、
3を介して吸気弁4及び排気弁5を往復駆動する様にし
ている。クランクシャフト1と同期して回転するカムシ
ャフト2に固設したカム6、6は、ロッカーアーム3、
3の端部と摺接しつつ吸気弁4及び排気弁5を往復駆動
する。
ところで、近年、エンジン運転時に於けるカム6、6
の周面とロッカーアーム3、3等の相手側部材の対向部
分との摩擦力を低減し、エンジン運転時に於ける出力ロ
スの低減を図り、エンジンの効率を向上させる為、例え
ば実開昭64−34406号公報に開示されている様に、上記
対向部分に、カム6、6の回転に伴なって回転するカム
フォロア装置を設ける事が行なわれる様になっている。
即ち、この様な目的でエンジンに組み込まれるカムフ
ォロア装置は、第13〜14図に示す様に、カム6と対向す
るロッカーアーム3の端部に1対の支持壁部7、7を、
互いに間隔を開けて設けられると共に、各支持壁部7、
7に形成した通孔11、11に、軸8の両端部を内嵌する事
により、上記1対の支持壁部7、7の間に軸8を固定
し、この軸8の周囲に、ニードル9、9を介して短円筒
状の外輪10を設け、この外輪10の外周面とカム6の外周
面とを互いに当接させて、カム6の回転に伴ない外輪10
が、軸8を中心として回転する様にしている。
この様な回転自在な外輪10を設け、カム6とこれに対
向する部材との間の摩擦を、滑り摩擦から転がり摩擦に
変える事で、エンジン運転時に於ける出力ロスが低減
し、燃料消費率が減少する等、エンジンの効率が向上す
る。
又、近年のエンジンの高回転化に対応すべく、上記カ
ムフォロア装置部分の軽量化を図って、このカムフォロ
ア装置部分の高速追従性を良くする為、カムフォロア装
置の一部をセラミック化する技術も、特開昭63−113108
号公報、実開昭60−159805号公報、同62−203911号公
報、同63−42805号公報に開示されている様に、従来か
ら考えられている。
この内、特開昭63−113108号公報に開示されたカムフ
ォロア装置は、第15〜16図に示す様に構成されている。
即ち、ロッカーアーム3の端部に形成した支持壁部
7、7の間に設けた軸8に、セラミック製のブッシュ12
を回転自在に外嵌すると共に、このブッシュ12の更に外
側に、同じくセラミック製の外輪13を、上記ブッシュ12
に対する回転を自在として、外嵌している。
この様な、特開昭63−113108号公報に開示されたカム
フォロア装置の場合、セラミック製の外輪13の内周面と
鋼製の軸8の外周面との間に、セラミック製のブッシュ
12を設ける事で、(外輪13を直線軸8に外嵌する場合に
比べ)鋼製の軸8の外周面とセラミック製のブッシュ12
の内周面との摺接速度を低くし、出力ロスを低減させる
と共に、鋼製の軸8の外周面の摩耗を防止している。
(発明が解決しようとする課題) ところが、上述の特開昭63−113108号公報に開示され
た様な従来から知られたエンジンの動弁機構用カムフォ
ロア装置の場合、必ずしも十分に満足出来る性能を発揮
する事が出来ない。
即ち、ブッシュ12の内周面と軸8の外周面とは、外輪
13は直接軸8に外嵌する場合に比べて相対速度が低いと
は言え、互いに摩擦する事が避けられない為、十分な出
力ロスの低減を図れないだけでなく、セラミックに比べ
て硬度が低い、鋼製の軸8が摩耗するのを防止する為に
は、上記両周面間に存在する微小隙間部分への潤滑油供
給を十分に行なう必要があり、潤滑の為の機構が複雑
化、或は大型化する。
一方、前記実開昭64−34406号公報や特開昭62−7908
号公報に開示された、第17〜18図に示した構造の様に、
外輪14の内周面と軸15の外周面との間に、複数のニード
ル16、16を設ける事により、外輪14と軸15との係合を、
滑り摩擦から転がり摩擦に変えれば、エンジン運転時に
於ける出力ロスの低減を図ると共に、隣り合うニードル
16、16同士の間に十分な潤滑油を保持出来る為、外輪14
の内周面と軸15の外周面との間で、ニードル16、16を設
けた部分の潤滑を良好に行なう事が出来るが、この様な
構造の場合、外輪14が鋼により造られている為、カムフ
ォロア装置部分の慣性質量が嵩み、エンジンの高回転化
に十分に対応する事が難しい。
第17〜18図の構造に於いて、軸15と外輪14とニードル
16、16との1乃至全部の部品をセラミック製とすれば、
セラミック製とした部品の数と質量とに応じ、カムフォ
ロア装置部分の慣性質量を小さくして、エンジンの高回
転化に対応する事が出来るが、単に各部品15、14、16を
セラミック製とする事に就いては、次の様な問題があ
る。
先ず、軸15をセラミック製とした場合、塑性変形不能
なセラミックと、軟質なアルミニウム製或は鋼製の支持
壁部7、7とを固定しようとしても、支持壁部7、7の
かしめ部の肉が逃げてしまう等、上記軸15を支持壁部
7、7に対して、しっかりと固定する事が難しい。
又、ニードル16、16をセラミック製とする場合、ニー
ドル16、16の製造が難しく、カムフォロア装置部分の製
作費が極端に高くなってしまう。又、ニードル16、16は
細く、その体積は合計でもあまり大きくはない為、ニー
ドル16、16を鋼製からセラミック製に変えても、それに
よる重量低減はあまり大きくなく、カムフォロア装置の
高速追従性の向上効果も低い事等から、ニードル16、16
は鋼製とする事が好ましい。
そこで、外輪14のみをセラミック製にする事が必要に
なるが、熱膨張率の小さなセラミック製の外輪14と、熱
膨張率の大きな鋼製の軸15及びニードル16、16との熱膨
張量の差に基づき、新たに次の様な問題が生じる。
即ち、エンジンのカムフォロア装置部分の温度は、エ
ンジンの停止時には常温(例えば20℃)であるのに対
し、エンジンの運転時には120℃前後に上昇するが、こ
の温度上昇に伴なう軸15及びニードル16、16の熱膨張量
は、外輪14の熱膨張量よりも大きくなる。
この為、エンジンの運転を伴なうカムフォロア装置部
分の温度上昇時には、上記鋼製ニードル16、16を装着し
た部分に存在する隙間の大きさ、即ち、外輪14の内径R
から、軸15の外径Dとニードル16の外径dの2倍とを引
いた寸法h(=R−(D+2d))が小さくなるが、この
際に上記隙間が小さくなり過ぎると、ニードル16、16が
焼き付いたり、更に著しい場合には、セラミック製の外
輪14が内側から押し広げられて割れる等の問題が生じ
る。
この様なニードル16、16の焼き付きや外輪14の割れを
防止する為、常温時に於ける上記隙間寸法hをむやみに
大きくした場合、自動車の運転開始直後でカムフォロア
装置部分の温度が低い場合や、著しい場合にはエンジン
の温度上昇後に於いても、カムフォロア装置部分で発生
する騒音が大きくなってしまう。
本発明のエンジンの動弁機構用カムフォロア装置は、
上述の様な問題を何れも解消し、摩擦が少なくて良好な
潤滑を行ない易く、軸の固定を容易且つ確実に行なう事
が出来、音が小さく、焼き付きや割れが発生する恐れが
なく、しかも高速追従性の良好なカムフォロア装置を提
供するものである。
(課題を解決する為の手段) 本発明のエンジンの動弁機構用カムフォロア装置は、
エンジンのクランクシャフトと同期して回転するカムシ
ャフトに固定のカムの外周面と当接し、このカムの動き
をエンジンの吸気口或は排気口を開閉する弁に伝えるエ
ンジンの動弁機構中に組み込まれる。
この様に使用される本発明のカムフォロア装置は、上
記カムに対向して設けられ、このカムの動きを受ける部
材に間隔を開けて形成した1対の支持壁部と、この1対
の支持壁部の互いに整合する位置に形成した通孔と、こ
の通孔にその両端部を内嵌すると共に、焼き入れされて
いないその両端部を、それぞれの端部が位置する通孔の
内周面に向けかしめ付ける事で、上記1対の支持壁部の
間に固定した、中間部が焼き入れされている鋼製の軸
と、この軸の中間部で、上記1対の支持壁部の間に位置
する部分に、複数の鋼製で焼き入れされたニードルを介
して回転自在に支持され、その外周面を上記カムの外周
面に当接させるセラミック製の外輪とから構成されてい
る。
そして、常温時に於いて上記鋼製ニードル装着部分に
存在する隙間の大きさを、上記外輪の内径をDiとした場
合に、(5μm+9.5×10-4Di)〜(18μm+9.5×10-4
Di)の範囲に設定している。
(作用) 上述の様に構成される本発明のエンジンの動弁機構用
カムフォロア装置に於ける、カムとカムフォロアとの間
の動力伝達作用自体は、前述した実開昭64−34406号公
報等に記載された、従来のカムフォロア装置の場合と同
様であり、エンジンの運転時には、外輪が軸の周囲で回
転しつつ、カムの動きを、カムに対向して設けられた部
材に伝達する。この伝達は、外輪と軸との間に設けられ
たニードルの転がりに基づいて行なわれる為、摩擦によ
る出力ロスは小さく、エンジンの効率が向上する。
この際外輪は、複数のニードルの転動に伴ない、軸の
周囲で回転する。この複数のニードルの潤滑は、隣り合
うニードルの間に保持される潤滑油により、容易且つ確
実に行なえる。
但し、本発明のカムフォロア装置の場合、外輪のみを
セラミック製とすると共に、軸を両端部が焼き入れして
いない鋼製としている為、鋼製の軸の端部をかしめ変形
させ、支持壁部を変形させつつ、軸の端部を支持壁部に
食い込ませる事で、この軸の固定を確実に行なえると同
時に、体積の大きな外輪をセラミック製とした事に伴な
うカムフォロア装置部分の慣性質量の低減により、カム
フォロア装置部分の高速追従性を向上させて、エンジン
の高回転化に対応する事が容易となるだけでなく、高速
の往復運動に伴なって外輪がニードルを押圧する力も小
さくなる為、ニードルの寿命が増す。
又、常温時に於いて鋼製ニードル装着部分に存在する
隙間の大きさを(5μm+9.5×10-4Di)〜(18μm+
9.5×10-4Di)の範囲に設定している為、ニードルの焼
き付きや外輪の割れを確実に防止しつつ、エンジンの始
動直後から温度上昇後に亙り、カムフォロア装置部分で
発生する騒音を低く抑える事が出来る。
(実施例) 次に、図示の実施例に就いて説明しつつ、本発明を更
に詳しく説明する。
第1〜2図は本発明のカムフォロア装置の実施例を示
しており、第1図は前記第14図のA−A断面に相当する
図、第2図は第1図のB−B断面図、第3図は常温時に
於いて上記鋼製ニードル装着部分に存在する隙間の大き
さとカムフォロア装置部分で発生する騒音との関係を、
外輪の内径Diが18mmの場合を例にして示す線図、第4〜
7図は、軸端部のかしめ形状の4例を示す側面図、第8
〜11図は軸端部のかしめの別例を示しており、第8図は
かしめに使用する治具の端面図、第9図は第8図のC−
C断面図、第10図は軸端のかしめ形状を示す側面図、第
11図は第10図のD−D断面図である。
エンジンのクランクシャフトと同期して回転するカム
シャフト2に固定のカム6(前記第12〜13図参照)に対
向して設けられ、このカム6の動きを受けるアルミニウ
ム製、或は鋼製のロッカーアーム3の端部に、間隔を開
けて形成した1対の支持壁部17、17の中央部で、互いに
整合する位置には、それぞれ円形の通孔18、18を形成し
ている。
この通孔18、18には、軸受鋼製で中空管状の軸19の両
端部を内嵌すると共に、この軸19の両端部を、それぞれ
の端部が位置する通孔18、18の内周面に向けかしめ付
け、この通孔18、18の内周面にも塑性変形を起こさせる
事で、上記1対の支持壁部17、17の間に、両支持壁部1
7、17に掛け渡す様にして固定している。
尚、上記軸19の中間部分で、1対の支持壁部17、17の
間に位置する部分は高周波焼き入れ、侵炭焼き入れ等、
従来から知られた焼き入れ方法によって硬化させる事に
より、表面の硬度をHv640〜840として、この軸19の中間
部外周面で、後述するニードル20、20と当接する部分に
摩耗や傷が発生しない様にしている。又、軸19の両端部
は焼き入れせずに、硬度がHv200〜336として、軸19を支
持壁部17、17に固定する際に、この軸19の端部をかしめ
付けられる様にしている。
又、この様に軸19の両端部をかしめる場合、第4〜7
図に示す様に、かしめ付け部分の形状を非同心円状とし
たり(前記実開昭64−34406号公報参照)、或は第8〜
9図に示す様な治具22を軸19の端面に押し付ける事によ
り、この軸19の端部を第10〜11図に示す様にかしめる事
で、軸19が支持壁部17、17に形成した通孔18、18の内側
で回転しない様にする。
上述の様に、1対の支持壁部17、17の間に掛け渡す様
にして固定された軸19の中間部で、上記1対の支持壁部
17、17の間に位置する部分には、軸受鋼により造られ、
表面の硬度をHv900程度とした複数の鋼製ニードル20、2
0を介して、窒化珪素(Si3N4)等のセラミックにより造
られ、硬度がHv1000以上、比重が4以下としたセラミッ
ク製の外輪21を、回転自在に支承している。
そして、上記外輪21の内径をDiとした場合に、常時時
に於いて上記鋼製ニードル20、20を装着した部分に存在
する隙間の寸法hを、(5μm+9.5×10-4Di)〜(18
μm+9.5×10-4Di)の範囲に規制している。
この様に、常温時に於いて上記鋼製ニードル20、20を
装着した部分に存在する隙間の大きさを、(5μm+9.
5×10-4Di)〜(18μm+9.5×10-4Di)の範囲に設定す
る理由は、次の通りである。
即ち、本発明者の行なった実験によると、外輪21の内
径Diを18.0mmとした場合、常温時に於ける上記隙間寸法
hと、カムフォロア装置部分で発生する騒音との関係
が、第3図に示す様になり、隙間寸法hが35μm以上の
試料の場合、外輪14の回転に伴なって発生する騒音が大
きくなる事が確認された。そして、同図に△印で表した
様な、隙間寸法が17μm以下の試料に於いては、回転に
伴なってニードル20、20(第1〜2図)が焼き付くもの
があった。又、×印で表した様な隙間寸法が10μm以下
の試料に於いては、カムフォロア装置の温度上昇に伴な
って、セラミック製の外輪21(第1〜2図)に割れが生
じるものがあった。
実際にエンジンに組み込むカムフォロア装置の場合、
ニードル20、20が焼き付いたり、或は外輪14が割れたり
する事は確実に防止しなければならず、上記隙間寸法h
の下限値には、加工精度等を考慮して5μm程度の余裕
を持たせる必要がある為、第3図に示した実験結果か
ら、常温時に於ける上記隙間寸法hの範囲は、22〜35μ
mが適正範囲となる事が解る。
第3図に示した実験結果は、外輪21の内径Diが18mmの
場合に就いて示しているが、上記適正隙間寸法hの範囲
(22〜35μm)が、通常の自動車用エンジンに使用す
る、内径Diが10〜18μmのカムフォロア用外輪にも適用
出来る様にする為に、上記実験結果に、軸19及びニード
ル20、20を構成する軸受鋼の線膨張率αと外輪21を構
成する線膨張率αとの差、並びにエンジンの運転に伴
なうカムフォロア装置部分の温度上昇△tを勘案した式
(5+(α−α)・△t・Di)〜(18+(α−α
)・△t・Di)から、常温時に於いて上記鋼製ニード
ル20、20を装着した部分に存在する隙間の寸法hを上記
の範囲、即ち、(5μm+9.5×10-4Di)〜(18μm+
9.5×10-4Di)に定めた。
上述の様に構成される本発明のエンジンの動弁機構用
カムフォロア装置に於ける、カムとカムフォロアとの間
の動力伝達作用自体は、前述した従来のカムフォロア装
置の場合と同様である。
即ち、ロッカーアーム3の先端部に固定した軸19の周
囲に、回転自在な外輪21を設け、エンジンのクランクシ
ャフト2と同期して回転するカム6(第12〜13図)とロ
ッカーアーム3との間の摩擦を、滑り摩擦から転がり摩
擦に変える事で、動力ロスの減少を図りエンジンの効率
を向上させる事が出来る。
尚、この場合に於いて、外輪21の外周面にクラウニン
グ加工を施せば(外輪21の外周面の両端部を、端縁部に
向かうに従って次第に直径が小さくなる曲面とすれ
ば)、カム6の外周面と外輪21の外周面との当たりを均
一化して、鋼製のカム6の摩耗をより一層減少させる事
が出来る。
上述の様にして、動力ロスの減少により、エンジンの
効率の向上を図る、本発明のカムフォロア装置の場合、
外輪21を比重が小さいセラミック製としている(軸受鋼
の比重が7.83程度であるのに対し、前記窒化珪素製セラ
ミックの比重は4.0以下)為、カムフォロア装置部分の
慣性質量の低減により、カムフォロア装置部分の高速追
従性が良くなって、エンジンの高回転化に対応する事が
容易となるだけでなく、外輪21に加わる加速度に基づ
き、ニードル20、20に加わる荷重を小さく出来る為、ニ
ードル20、20の寿命を延ばす事も出来る。
又、鋼製の軸15を、鋼製或はアルミニウム製の支持壁
部17、17に固定する様に構成している為、軸15の両端部
と支持壁部17、17とを互いに深く噛合させ、軸15の回り
止めを確実に図る事が出来る。
更に、常温時に於いて鋼製ニードル装着部分に存在す
る隙間の寸法hを設定している為、エンジンの運転に伴
なう温度上昇を拘らず、ニードル20、20の焼き付きや外
輪21が割れる事を確実に防止する事が出来、しかもエン
ジンの運転、停止に伴なう温度変化に拘らず、カムフォ
ロア装置部分で発生する騒音を常に低く抑える事が出来
る。
尚、上述の実施例の場合、カムフォロア装置をロッカ
ーアーム3の端部に設けているが、DOHC型エンジンの場
合、前記実開昭64−34406号公報に開示されている様
に、カムフォロア装置を弁の基端部に設けたり、或はカ
ムフォロア装置をロッカーアーム3の中間部に設ける事
も出来る。
更に、カムフォロア装置をアルミニウム製ロッカーア
ームに装着する場合、軸受鋼製のニードル20、20がアル
ミニウム製の支持壁部17、17の内側面に直接ぶつかり、
この内側面を摩耗する事を防止する為、ニードル20、20
の両端と、アルミニウム製のロッカーアームの一部に設
けられた1対の支持壁部17、17の内側面との間に、円輪
状の板材を設ける事も出来る。
この様な板材は、円輪状に形成されたものを上記支持
壁部17、17の内側面に添着したり、或は内周縁を軸19の
外周面に支持したりする事も出来るが、単に軸19の一部
で、ニードル20、20の両端と1対の支持壁部17、17の内
側面との間に外嵌したのみでもよい。
但し、鋼製のロッカーアーム(アルミニウムに比べて
薄肉に造る事が出来、必ずしも慣性質量の増大につなが
らない為、高回転型のエンジンにも使用される。)の場
合、この様な配慮は必ずしも必要ではない。
(発明の効果) 本発明のエンジンの動弁機構用カムフォロア装置は、
以上に述べた通り構成され作用する為、潤滑性が良好
で、軸の固定を確実に行なえ、ニードルに加わる荷重の
低減を図れる等、耐久性、信頼性が十分であり、騒音が
小さく、しかも高速追従性が向上して、エンジンの高回
転化に十分に対応可能なカムフォロア装置を、比較的安
価に提供する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
第1〜2図は本発明のカムフォロア装置の実施例を示し
ており、第1図は前記第14図のA−A断面に相当する
図、第2図は第1図のB−B断面図、第3図は常温時に
於いて上記鋼製ニードル装着部分に存在する隙間の大き
さとカムフォロア装置部分で発生する騒音との関係を、
外輪の内径が18mmの場合を例にして示す線図、第4〜7
図は、軸端部のかしめ形状の4例を示す側面図、第8〜
11図は軸端部のかしめの別例を示しており、第8図はか
しめに使用する治具の端面図、第9図は第8図のC−C
断面図、第10図は軸端のかしめ形状を示す側面図、第11
図は第10図のD−D断面図、第12図は本発明のカムフォ
ロア装置を組み込むエンジンの1例を示す斜視図、第13
図はロッカーアームにカムフォロア装置を組み付けた状
態を示す側面図、第14図は第13図のE−E断面図、第15
〜16図は従来のカムフォロア装置の第1例を、第17〜18
図は同第2例を、それぞれ示す第1〜2図同様の図であ
る。 1:クランクシャフト、2:カムシャフト、3:ロッカーアー
ム、4:吸気弁、5:排気弁、6:カム、7:支持壁部、8:軸、
9:ニードル、10:外輪、11:通孔、12:ブッシュ、13、14:
外輪、15:軸、16:ニードル、17:支持壁部、18:通孔、1
9:軸、20:ニードル、21:外輪、22:治具。

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンのクランクシャフトと同期して回
    転するカムシャフトに固定のカムの外周面と当接し、こ
    のカムの動きをエンジンの吸気口或は排気口を開閉する
    弁に伝えるエンジンの動弁機構中に組み込まれるカムフ
    ォロア装置であって、上記カムに対向して設けられ、こ
    のカムの動きを受ける部材に間隔を開けて形成した1対
    の支持壁部と、この1対の支持壁部の互いに整合する位
    置に形成した通孔と、この通孔にその両端部を内嵌する
    と共に、焼き入れされていないその両端部を、それぞれ
    の端部が位置する通孔の内周面に向けかしめ付ける事
    で、上記1対の支持壁部の間に固定した、中間部が焼き
    入れされている鋼製の軸と、この軸の中間部で、上記1
    対の支持壁部の間に位置する部分に、複数の鋼製で焼き
    入れされたニードルを介して回転自在に支持され、その
    外周面を上記カムの外周面に当接させるセラミック製の
    外輪とから成り、常温時に於いて上記鋼製ニードル装着
    部分に存在する隙間の大きさを、上記外輪の内径をDi
    した場合に、(5μm+9.5×10-4Di)〜(18μm+9.5
    ×10-4Di)の範囲に設定したエンジンの動弁機構用カム
    フォロア装置。
  2. 【請求項2】軸の中間部の硬度がHv640〜840の範囲であ
    り、軸の両端部の硬度がHv200〜336の範囲であり、ニー
    ドルが硬度がHv650以上の軸受鋼により造られており、
    外輪を構成するセラミックが、硬度がHv1000以上で比重
    4以下の、窒化珪素系のセラミックである、請求項1に
    記載のエンジンの動弁機構用カムフォロア装置。
  3. 【請求項3】軸が中空管状である、請求項1又は請求項
    2に記載のエンジンの動弁機構用カムフォロア装置。
  4. 【請求項4】支持壁部がロッカーアームの端部に形成さ
    れている、請求項1〜3の何れかに記載のエンジンの動
    弁機構用カムフォロア装置。
  5. 【請求項5】支持壁部がロッカーアームの中間部に形成
    されている、請求項1〜3の何れかに記載のエンジンの
    動弁機構用カムフォロア装置。
  6. 【請求項6】支持壁部が弁の基端部に形成されている、
    請求項1〜3の何れかに記載のエンジンの動弁機構用カ
    ムフォロア装置。
  7. 【請求項7】軸の端部が通孔の開口端に向けて、非同心
    円状にかしめ付けられている、請求項1〜6の何れかに
    記載のエンジンの動弁機構用カムフォロア装置。
  8. 【請求項8】外輪の外周面にクラウニング加工が施され
    ている、請求項1〜7の何れかに記載のエンジンの動弁
    機構用カムフォロア装置。
  9. 【請求項9】ニードルの両端と、アルミニウム製のロッ
    カーアームの一部に設けられた1対の支持壁部の内側面
    との間に、円輪状の板材を設けた、請求項4、5、7、
    8の何れかに記載のエンジンの動弁機構用カムフォロア
    装置。
  10. 【請求項10】ロッカーアームが鋼製である、請求項4
    又は請求項5に記載のエンジンの動弁機構用カムフォロ
    ア装置。
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