JPH10142206A - 超音波検査装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 超音波伝播媒質の供給量を増大させることが
できる超音波検査装置を提供する。 【解決手段】 水を介して超音波を送受信し、超音波の
反射を捉えて被検体５の検査を行う超音波検査装置にお
いて、超音波の送受信を行う超音波探触子１と、超音波
探触子１と被検体５との間に形成され、水を保持する水
室２ａと、超音波探触子１の超音波送受信面の周囲に形
成され、超音波送受信面に向って水を噴射するように、
液室２ａに水を供給する複数の吹き出し口２ｄとを備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、被検体に向けて送
出した超音波の反射波に基づいて被検体の検査を行う超
音波検査装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】水等の超音波伝播媒質を介して超音波の
送受信を行うことにより被検体を検査する、いわゆる局
部水浸式による超音波検査装置が知られている。このよ
うな超音波検査装置は、超音波伝播媒質を溜める容器
と、容器内部に取付けられた超音波探触子とを備え、容
器内に超音波伝播媒質を供給しながら超音波探触子によ
り超音波の送受信を行う。超音波探触子から送出された
超音波の反射を捉えることにより、例えば被検体内部の
非破壊検査を行うことができる。超音波探触子を収納し
た容器を被検体に即して２次元的に移動させると、被検
体の所定部位について２次元的な探傷像を得ることがで
きる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の超音波
検査装置では、容器内への超音波伝播媒質の供給量を増
大させると、超音波伝播媒質の供給時に気泡を巻き込み
やいという問題がある。したがって、超音波伝播媒質の
供給量をあまり大きくすることができず、検査に時間が
かかったり、被検体の種類に幅広く対応できないといっ
た問題がある。

【０００４】本発明の目的は、超音波伝播媒質の供給量
を増大させることができる超音波検査装置を提供するこ
とにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】一実施の形態を示す図１
〜図４に対応づけて説明すると、請求項１に記載の発明
は、超音波伝播媒質を介して超音波を送受信し、超音波
の反射を捉えて被検体５の検査を行う超音波検査装置に
適用される。そして、超音波の送受信を行う超音波探触
子１と、超音波探触子１と被検体５との間に形成され、
超音波伝播媒質を保持する液室２ａと、超音波探触子１
の超音波送受信面の周囲に形成され、超音波送受信面に
向って超音波伝播媒質を噴射するように、液室２ａに超
音波伝播媒質を供給する複数の吹き出し口２ｄとを備え
ることにより上述の目的が達成される。請求項２に記載
の発明は、請求項１に記載の超音波検査装置において、
吹き出し口２ｄを液室２ａに向って断面積が増加する形
状に形成したものである。請求項３に記載の発明は、請
求項１または２に記載の超音波検査装置において、吹き
出し口２ｄよりも断面積の大きな液溜まり２ｃを吹き出
し口２ｄに連通して形成し、液溜まり２ｃを介して超音
波伝播媒質を吹き出し口２ｄに向けて供給するようにし
たものである。請求項４に記載の発明は、請求項１〜３
のいずれか１項に記載の超音波検査装置において、超音
波探触子として、超音波送受信面に超音波送受信素子列
１ａを備えるアレイ型超音波探触子１を用い、各吹き出
し口２ｄは超音波送受信素子列１ａに向けて開口されて
いるものである。

【０００６】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段の項では、本発明を分かり易くする
ために発明の実施の形態の図を用いたが、これにより本
発明が実施の形態に限定されるものではない。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、図１〜図４を用いて本発明
による超音波検査装置の一実施の形態について説明す
る。

【０００８】図１〜図２において、１は一列に配列した
超音波送受信素子１ａを備えるアレイ型超音波探触子、
２はアレイ型超音波探触子１と被検体との間を水で満た
すための局部水浸治具、３は局部水浸治具２に水を供給
するための給水ホースである。

【０００９】アレイ型超音波探触子１の各送受信素子１
ａは、引出し線１ｂを介してパルス送受信装置（不図
示）と接続されている。送受信素子１ａはパルス送受信
装置からのパルス信号に応じて被検体に向けて超音波パ
ルスを送出するとともに、例えば被検体内部で反射され
た超音波を電気パルスに変換してパルス送受信装置に出
力する。各送受信素子１ａによる超音波の送出タイミン
グを適宜制御することにより、超音波の送出部位を送受
信素子１ａの配列方向に走査することができる。

【００１０】図１および図２に示すように、局部水浸治
具２には送受信素子１ａの超音波送出方向に向けて開口
する水室２ａが形成されている。また、図１において局
部水浸治具２の略矩形形状の上面には給水ホース３が差
込まれる２つの給水口２ｂが同一対角線上に互いに離れ
て形成され、給水口２ｂは局部水浸治具２の内部に形成
された水溜まり部２ｃに連通されている。水溜まり部２
ｃは水室２ａを取り囲むリング状に形成され、水溜まり
部２ｃと水室２ａとの間には、水溜まり部２ｃから水室
２ａに向けて断面積が連続的に増大する形状の１０個の
吹き出し口２ｄが形成されている。

【００１１】以上のように構成された本実施の形態の超
音波検査装置を用いて被検体の検査を行う場合の動作に
ついて、図３および図４を用いて説明する。

【００１２】図３において、５は被検体を示している。
また、図３および図４の矢印は水流の向きを表現してい
る。本実施の形態の超音波検査装置を用いて被検体５の
検査を行う場合には、水室２ａの開口端２１を被検体５
に接近させた状態で、治具２に水を供給し続ける。給水
ホース３を経由して供給された水は、給水口２ｂを介し
て水溜まり部２ｃに一旦溜められ、水溜まり部２ｃから
吹き出し口２ｄを通って水室２ａ内に供給される。水室
２ａを満たした水は、開口端２１と被検体５との間の間
隙から洩れ出すが、水室２ａ内は新たに供給される水に
より常に満たされた状態を維持する。

【００１３】水室２ａに水が満たされた状態において超
音波探触子１から超音波を送出すると、超音波は水室２
ａ内の水を伝播して被検体５に到達する。被検体５の表
面や内部で反射された超音波は被検体５から再度水室２
ａ内に入り、水室２ａに充填された水を送出方向とは逆
向きに伝播して超音波探触子１で受信される。治具２は
不図示のスキャナにより走査可能とされており、超音波
の送受信を行う間、スキャナにより治具２を被検体５の
表面に即して、例えば送受信素子１ａの配列と直角方向
に移動させる。これにより送受信素子１ａによる電子的
な走査およびスキャナによる機構的な走査により被検体
５の内部を２次元的に走査することができ、被検体５の
探傷像が得られる。

【００１４】図１〜図４に示すように、本実施の形態の
超音波検査装置では、アレイ型探触子１の送受信素子１
ａの全体に水流が当たるように、送受信素子１ａの配置
に合せた位置および向きに多数（１０個）の吹き出し口
２ｄを設けている。また、水溜まり部２ｃの断面積を吹
き出し口２ｄの各々の断面積に比べて充分大きくしてい
るので、水溜まり部２ｃ内の水圧がほぼ均一となる。こ
のため、各吹き出し口２ｄにほぼ同一の水圧が加えら
れ、水溜まり部２ｃに供給された水は、各吹き出し口２
ｄからほぼ同一の勢いで水室２ａ内に吹き出される。吹
き出し口２ｄは、水溜まり部２ｃから水室２ａに向けて
断面積が連続的に増大するように形成されているので、
吹き出し口２ｄを経由した水は水室２ａ内にスムーズに
広がる。

【００１５】このように、本実施の形態の超音波検査装
置では、水溜まり部２ｃを設けることで、多数の吹き出
し口２ｄからほぼ同一の強さの水流により水室２ａに給
水を行うようにしたので、アレイ型探触子のように超音
波送受信面積が大きく、水室２ａの容積を大きくしなく
てはならない場合でも水室２ａへの安定した給水が可能
となる。また、送受信素子１ａの全体に満遍なく水が噴
射されるので、送受信素子１ａの表面への気泡の付着を
効果的に防止できる。

【００１６】さらに、本実施の形態の装置では、水室２
ａに向けて断面積が拡大するような形状に吹き出し口２
ｄを形成したので、給水量を増加させときに水の吹き出
し部分の近傍にできる渦の発生が抑えられ、渦の中に気
泡がとじ込められる現象を抑制することができる。その
うえ、水室２ａに通じる吹き出し口２ｄの出口付近の断
面積を大きくすることにより水室２ａに流入する水の速
度を低下させることができるので、吹き出し口２ｄの形
状は水室２ａへの給水の安定化に効果的に寄与する。

【００１７】本実施の形態の超音波検査装置では、水流
を大きくしても気泡の巻き込みが抑制されるので、被検
体５と治具２との間のギャップを大きくとりたい場合
や、例えば検査開始時に治具２内に水を満たしたい場合
（準備作業時）等に、水流を大きくすることが可能とな
る。したがって、被検体の種類や検査条件に柔軟に対応
できるとともに、検査時間を短縮することができる。

【００１８】

【発明の効果】請求項１に記載の発明によれば、超音波
送受信面に向って超音波伝播媒質を噴射するような複数
の吹き出し口を超音波探触子の超音波送受信面の周囲に
形成したので、超音波伝播媒質の供給量を高めても気泡
の発生を抑制することができる。請求項２に記載の発明
によれば、吹き出し口を液室に向って断面積が増加する
形状に形成したので、超音波伝播媒質の流れをスムーズ
にできる。請求項３に記載の発明によれば、吹き出し口
よりも断面積の大きな液溜まりを吹き出し口に連通して
形成したので、各吹き出し口に対してほぼ均一な圧力を
加えることができる。請求項４に記載の発明によれば、
各吹き出し口が超音波送受信素子に対応した位置で液室
に向けて開口されているので、超音波送受信素子への気
泡の付着を排除することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による超音波検査装置の一実施の形態を
示す断面図。

【図２】図１のII−II線方向から見た図。

【図３】一実施の形態の超音波検査装置の動作を示す断
面図。

【図４】図３のIV−IV線方向から見た図。

【符号の説明】

１ 超音波探触子 １ａ 超音波送受信素子 ２ 局部水浸治具 ２ａ 水室 ２ｃ 水溜まり ２ｄ 吹き出し口 ５ 被検体

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 超音波伝播媒質を介して超音波を送受信
   し、超音波の反射を捉えて被検体の検査を行う超音波検
   査装置において、 超音波の送受信を行う超音波探触子と、 前記超音波探触子と前記被検体との間に形成され、前記
   超音波伝播媒質を保持する液室と、 前記超音波探触子の超音波送受信面の周囲に形成され、
   前記超音波送受信面に向って前記超音波伝播媒質を噴射
   するように前記液室に前記超音波伝播媒質を供給する複
   数の吹き出し口とを備えることを特徴とする超音波検査
   装置。
2. 【請求項２】 前記吹き出し口は、前記液室に向って断
   面積が増加する形状に形成されていることを特徴とする
   請求項１に記載の超音波検査装置。
3. 【請求項３】 前記吹き出し口よりも断面積の大きな液
   溜まりを前記吹き出し口に連通して形成し、前記液溜ま
   りを介して前記超音波伝播媒質を前記吹き出し口に向け
   て供給するようにしたことを特徴とする請求項１または
   ２に記載の超音波検査装置。
4. 【請求項４】 前記超音波探触子として、前記超音波送
   受信面に超音波送受信素子列を備えるアレイ型超音波探
   触子を用い、前記各吹き出し口は前記超音波送受信素子
   列に向けて開口されていることを特徴とする請求項１〜
   ３のいずれか１項に記載の超音波検査装置。