JP2684625B2 - ジルコニア焼結体からなる粉末処理用部材 - Google Patents
ジルコニア焼結体からなる粉末処理用部材Info
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- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Description
耐摩耗性部材に関する。
クス、粉末冶金、電子材料、製紙、医薬品、窯業、汚泥
処理等多岐に亘る。これらの分野において使用される粉
末処理器具、治具、装置などの粉末が接触する部材に
は、通常金属、樹脂、ゴム、天然石、セラミックスなど
が使用されているが、これらの材料は一般に摩耗しやす
いので、被処理粉末に摩耗粉が混入したり、部材の損耗
が大きいなどの多くの問題がある。そのため、例えば特
公平2−20587号公報は、正方晶と立方晶からなる特定
のジルコニア焼結体を開示しており、大幅な特性の改善
が達成されている。しかしながら、最近の粉末処理技術
の大幅な進歩による高速度処理やサブミクロン粉砕の普
及と高精密化処理の要請によって、より一層の特性改善
が求められている。
し、高効率粉末処理装置などに低コストで対応でき、し
かも該部材から摩耗によって混入する摩耗量もさらに微
量とすることができる優れた粉末処理用耐摩耗性部材を
提供することを目的としたものである。
に使用する部材の摩耗機構と部材の材料特性の関係を詳
細に研究した結果、ジルコニア焼結体において特定の結
晶構造と微構造ならびに機械的性質を有する部材が優れ
た特性を発揮することを見出し、本発明を完成するに至
った。
供するものである。
含有せず、正方晶系単一相からなり、 (3)平均結晶粒径が1μm以下であり、 (4)ビッカース硬度が1150〜1450kg/mm2であり、 (5)かさ密度が6.0g/cm3以上である ジルコニア焼結体からなることを特徴とする粉末処理用
耐摩耗性部材。」 本発明の粉末処理用耐摩耗性部材には、以下に示す要
件を備えたジルコニア焼結体を使用することが必須であ
る。
からなり、しかもそのジルコニアの結晶構造が実質的に
単斜晶系および立方晶系を含まず、正方晶系のみからな
るものであることが必要である。
晶の三種がある。ジルコニア焼結体中に単斜晶が存在す
ると、その結晶の周辺に微細な亀裂が生じており、その
亀裂を起点として粉末と粉砕メディアまたは流体との摩
擦、衝撃、圧壊などの応力によって微小破壊が生じて、
摩耗を増大させるので、好ましくない。また立方晶が存
在すると、上記応力が靭性の低い立方晶に集中する結果
となり、この結晶が早期に破壊され且つそれを起点とし
て摩耗が加速度的に促進されるので、前者と同様に好ま
しくない。しかるに実質的に正方晶の単一相からなるジ
ルコニア焼結体は、靭性が高く、粉末の運動などによっ
て付与される繰り返し応力を受ける粉末処理用部材の用
途では、前記のような微小破壊がほとんど生じず、摩耗
も非常に小さくできることが見出だされた。
の様にして行なった。まず焼結体の表面を粒度140メッ
シュのダイヤモンド砥石を用いて深さ0.2mm以上研削
し、続いて粒度400メッシュのダイヤモンド砥石にて深
さ0.1mm以上研削し、次に同じく600〜1000メッシュのダ
イヤモンド砥石で深さ0.03mm以上研削した後、6〜10μ
mのダイヤモンド砥粒、更に2〜5μmのダイヤモンド
砥粒にてそれぞれ深さ5μm以上ラッピングし、最後に
1μm以下のダイヤモンド砥粒にてポリッシングを行っ
て、面粗さHmax<0.05μmに仕上げした。次いでこの仕
上げ表面をX線回折装置で分析し、立方晶ジルコニア40
0面、正方晶ジルコニア004面および400面の回折パター
ンの面積強度をそれぞれ求めた。次に、これの値をそれ
ぞれのローレンツ因子で除し、立方晶400面、正方晶004
面、正方晶400面の回折強度Ic400、It004、It400を求
め、これらから次式により立方晶ジルコニアのモル%
(Cc)を算出した。
コニア111面、単斜晶111面および11面の回折強度、It
111、Im111、Im11を求め、次式によって算出した。
00 このような方法によれば、ジルコニア焼結体中の正方
晶の応力誘起相変態の影響を殆ど受けずに結晶相を定量
測定することができる。但し、ジルコニア焼結体のX線
回折法による各ジルコニア結晶相の定量測定においては
1%以下を正確に測定することが現在確立されていない
ため、この分析において単斜晶系および立方晶系が実質
的に存在せず、正方晶系のみからなる焼結体とは、Ccお
よびCmが上記方法で測定して零または1モル%以下の範
囲であると見做した。
であることが必要である。
る。これは正方晶が1μm以上になると、繰り返し応力
が付加されることによって応力誘起相変態が生じやすく
なり、その結果として単斜晶が生成され、前記と同様の
影響によって摩耗が増大するからである。そのため粒径
は1μm以下でなければならない。また下限は特に限定
されないが、ほぼ0.2μm程度である。平均結晶粒径
は、望ましくは0.8μm以下、更に望ましくは0.5μm以
下である。このように小さい正方晶系のジルコニア結晶
相の集合体からなる焼結体では、前記の粉末処理工程で
掛かる応力に対して優れた耐摩耗性を発揮し且つ長期間
優れた耐摩耗性を維持できることが見出された。これは
粉末処理部材において正方晶系のみからなる結晶の集合
体においても、微小破壊摩耗は粒界に存在する微小欠陥
が起点となり、個々の表面の粒子が損耗して後、次の粒
子に影響を及ぼすためで、粒径が小さい場合には、その
疲労速度が著しく減速されることも寄与していると推測
されるが、更にまた大きな摩耗が生じる単斜晶への転移
が、粒径が小さい場合には、起こりにくいことにも起因
していると考えられる。しかしながら、結晶粒径があま
り小さくなり過ぎると、靭性が低下するため、0.2μm
程度にとどめておくことが望ましい。
ムで測定した値をもって表す。
いるが、ジルコニアからなる粉末処理用部材について詳
細に検討した結果、粉末処理用部材の硬度が1150kg/mm2
以下であると、被処理粉末の硬度に対する比率が、小さ
過ぎて、部材とこの粉末との間の摩耗が大きくなり、ま
た1450kg/mm2以上であると部材間の摩耗が増加し、共に
望ましくないとの結論を得た。これは、ジルコニアが熱
伝導率に低いことに起因しているとも推測されるが、粉
体や溶媒を介して相手部材に与える影響が大きいためで
あろう。例えば、容器転勤ミルなどにおいて、容器にジ
ルコニア以外の材料を使用し、媒体として本発明による
部材を用いた場合等では、この影響が大きく現われるの
で、硬度の上限を規定する必要がある。なお、硬度範囲
は、望ましくは1200〜1400kg/mm2である。
理工程に於て加わる応力に対する抵抗性が低下し、摩耗
が増大する。かさ密度が低い場合には、本発明部材間の
摩耗への影響は比較的軽微であるが、特に被処理粉末と
本発明部材間の摩耗が急激に促進される傾向があり、望
ましくない。
転の粉砕用メディア、内張部材などとして使用する場
合、これら部材の耐摩耗性向上および破壊防止という観
点から更に高品質の部材が必要であるとの実験結果を得
て、部材の物性値との関係を研究した。その結果、これ
らの改善策として、 (5)本発明部材が球型である場合には、その圧壊強度
が50kg/mm2以上であることが望ましい。
法で測定する。強度測定用材料試験機に上記試料1個を
2枚のWC製の超硬板の間にセットし、クロスヘッドスピ
ード0.5mm/minで荷重を加え、試料が破壊された時の荷
重(W)を測定する。試料は、事前にセットする時に印
加軸に対して水平方向になる球の直径を測定して断面積
(A,単位:mm2)を求めておき、次式で算出する。
もって表す。
kg/mm2以上であることが望ましい。
状に試料を切り出し、試料サイズを除いて上記JIS法に
従って測定し、その平均値を以て表す。
(4)を満たすことによって従来製品に比し大きく改善
されるが、なお一部の使用に対しては(5)、(6)の
要件を満足させることが望ましい。
が、その摩耗の起点となる個所は、前記(1)〜(4)
以外に、前者より局部的であるが、強度を支配する材料
に内在する欠陥の大小とその確率によって左右されるた
めである。
に高い衝撃が繰り返し加わる場合に、破壊が生じないた
めに必要な強度の限界値でもある。
ることがより好ましい。
末を乾式または湿式で処理するために使用する器具、治
具または機械装置などにおける粉末またはそのスラリー
と接触する部材の総称である。具体的には、粉砕機、解
砕機、分散機、分級機、混合機、造粒機、整粒機、撹拌
機、乾燥機、運搬機などの内張材、ボールやロールなど
の媒体、容器、撹拌棒、ピン、ローラーなどをあげるこ
とができる。
まで使用することもできるが、この焼成面は焼成過程中
の汚染などによって、単斜晶や立方晶系の結晶が析出し
ている場合があるので、事前に研磨、研削などによって
表面層を仕上げ、除去しておくことが、初期摩耗を低減
する上で望ましい。しかしながら本発明の条件で測定し
た焼結体自体の結晶相が規定範囲内である場合には、部
材表面に単斜晶および/または立方晶が存在していても
よい。これは、焼肌面の凹部にこれらの結晶相が残存し
たり、研摩、研削加工中に応力誘起相変態によって正方
晶から転移した単斜晶が存在するためで、この存在する
深さが非常に浅い領域に限られるためである。X線回折
から求める表面単斜晶量は、上限量として15モル%程度
まで許容できる。
って製造することができる。この好ましい方法の一例を
説明する。ジルコニア中にY2O3が1.8〜3.5モル%含有さ
れる様に、高純度のオキシ塩化ジルコニルと塩化イット
リウムの溶液を均一に混合した後、加熱還流下で加水分
解し、イットリアが固溶した水和ジルコニアの沈殿を作
成し、脱水、乾燥した後、仮焼し、得られた粉末を粉砕
する。次いで、公知のセラミックスの成形方法により、
成形体を得る。更にアルコキシド法、液中加水分解造粒
法などによって、小球を生産することもできる。
して焼結体を得る。焼成は常圧下で行なうことができる
が、更に加圧下で焼結(HIP)させることがより望まし
い。なお、これらの焼成温度はY2O3が3モル%以上の場
合は1420℃程度以下、2.5〜3.0モル%では1480℃程度以
下の立方晶が生成しない温度で行なうことが必要であ
り、これらの温度は、粉体の製造条件によって変動する
ので、適宜選定を行うとよい。
研削、研磨などを施して製品とする。
部材は、例えば特公平2−20587号に記載の方法によっ
ても達成することができなかった粉末または本発明部材
との優れた耐摩耗性、耐衝撃抵抗性、耐久性を兼ね備え
た特性を有し、高精密粉末処理用部材として有用であ
る。
ットリウムを表−1の比率になるよう水溶液にして混合
した。次に、この溶液を加熱還流下で加水分解し、イッ
トリアが固溶した水和ジルコニアの沈殿を生成させ、脱
水・乾燥し、900℃で30分間仮焼し、得られた粉末を水
洗いした後、湿式で比表面積が16m2/gになるよう粉砕し
た。次いでアクリル系の成形助材を2.5%添加し、乾燥
・造粒して平均粒度60μmの成形用粉体を得た。
1の焼成条件で焼結した後、放冷し、直径5mmのボール
の焼結体を得、バレル研磨によって仕上げを行い、評価
用の試料とした。
試料1、5、6、8、9は本発明の範囲内の条件の少な
くとも1つを満たしていない比較品である。
8加えて回転数100rpmで、からずり摩耗試験を48時間
行い、ボールの平均1時間当りの摩耗率を測定(第1回
目)した後、引き続いて更に96時間同様に試験を行っ
て、摩耗率を測定(第2回目)した。
ml、水300mlを入れ、アーム回転数400rpmで24時間運転
し、ボール摩耗率を測定した結果をも併せて表−2に示
す。
ルは、全て摩耗率が3ppm/h以下と少なく且つ長時間使用
しても殆ど変化がなかったのに対し、比較例の内、単斜
晶量が多いNo.1は摩耗率が極端に高く、また立方晶を含
有したNo.5、6、9と密度・硬度が低い試料は、摩耗率
が高いだけでなく、長時間使用や高負荷に対して急激に
摩耗が促進された。
No.4の条件で同様にして1mmのボールを製作した。試料N
o.10は成形速度を1kg/h、試料No.11は4kg/hとした以外
は同様にした。また、試料No.12は実施例の試料No.5の
条件で成形を試料No.10と同様にして試料を作製した。
かさ密度、圧壊強度を除いて同様であったので、これら
の数値のみを表−3に示す。
更に濃度20%になるようチタン酸バリウム粉末を入れた
水性スラリーを230ml加え、回転数1500rpmで8時間粉砕
を行った。
する。
壊強度・密度が低く、摩耗率も大きくなるとともに、使
用後にかなり多くのボールに割れが生じ、粉砕用ボール
として致命的な欠陥があった。
器に入れ、120℃に加熱した状態で、濃度65%のジルコ
ニアスラリーを振り掛けながらボールを流動させてジル
コニアの乾燥を行った。
できなかったのに対し、後者は0.1%であった。
ルの容器を作製した。得られた焼結体の特性は表−1の
結果と同一であった。また、その曲げ強度は前者が105k
g/mm2であったのに対し、後者は77kg/mm2であった。そ
の中に実施例2と同一条件でアルミナボールとけい石を
入れて1日粉砕した後、けい石中のジルコニア量を分析
して容器壁からの摩耗量を測定した。
たのに対し、後者の比較例は45ppmであった。
ルのハンマーの先端部に取り付ける部材(幅45mm、長さ
26mm、厚さ5mm)を製作し、エポキシ樹脂で接着し、ム
ライト塊の解砕に延べ400時間使用した。
が、後者はコーナー部分に少し丸味が生じており、磨耗
していることが観察された。
00kg/cm2(No.13)、後者は1280℃〜1200kg/cm2(No.1
4)の条件でHIPで再焼結した。結晶構造は、粒径は表−
1と変わらなかったが、硬度、かさ密度は表−4の通り
となった。
使用した。なおこのミルの撹拌用アームならびに容器は
No.3の条件で製作した部材を用いた。ボール摩耗率とボ
ールおよび容器、アームから摩耗し水中に混入したジル
コニア量を分析して比較した。この結果も表−4に併記
する。
のNo.13に比し、ボール摩耗量ならびに容器などから摩
耗する量も少なく、良好であった。
Claims (2)
- 【請求項1】ジルコニア焼結体からなり、 (1)Y2O3を1.8〜3.5モル%含有し、 (2)その結晶相が実質的に単斜晶系および立方晶系を
含有せず、正方晶系単一相からなり、 (3)平均結晶粒径が1μm以下であり、 (4)ビッカース硬度が1150〜1450kg/mm2であり、 (5)かさ密度が6.0g/cm3以上である ジルコニア焼結体からなることを特徴とする粉末処理用
耐摩耗性部材。 - 【請求項2】粉末処理用部材が球型である場合には、そ
の圧壊強度が50kg/mm2以上あり、その他の形状である場
合には、曲げ強度が80kg/mm2以上であることを特徴とす
る請求項1に記載の粉末処理用耐摩耗性部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2223189A JP2684625B2 (ja) | 1990-08-23 | 1990-08-23 | ジルコニア焼結体からなる粉末処理用部材 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2223189A JP2684625B2 (ja) | 1990-08-23 | 1990-08-23 | ジルコニア焼結体からなる粉末処理用部材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH04104953A JPH04104953A (ja) | 1992-04-07 |
JP2684625B2 true JP2684625B2 (ja) | 1997-12-03 |
Family
ID=16794198
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2223189A Expired - Lifetime JP2684625B2 (ja) | 1990-08-23 | 1990-08-23 | ジルコニア焼結体からなる粉末処理用部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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Families Citing this family (1)
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Family Cites Families (5)
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---|---|---|---|---|
JPS58156577A (ja) * | 1982-03-11 | 1983-09-17 | 日本化学陶業株式会社 | 強度及び耐久性に優れたジルコニア焼結体 |
JPS6172681A (ja) * | 1984-09-13 | 1986-04-14 | 日立金属株式会社 | ZrO2焼結体 |
JPS61205663A (ja) * | 1985-03-07 | 1986-09-11 | 日本曹達株式会社 | 高強度、高靭性部分安定化ジルコニア焼結体 |
JPS62246862A (ja) * | 1987-03-23 | 1987-10-28 | 日本碍子株式会社 | ジルコニア固体電解質磁器 |
JPH01290558A (ja) * | 1988-05-16 | 1989-11-22 | Toray Ind Inc | ジルコニア焼結体 |
-
1990
- 1990-08-23 JP JP2223189A patent/JP2684625B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04104953A (ja) | 1992-04-07 |
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