JPH078739B2 - アルミナ質焼結体の製造方法 - Google Patents

アルミナ質焼結体の製造方法

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JPH078739B2
JPH078739B2 JP60266862A JP26686285A JPH078739B2 JP H078739 B2 JPH078739 B2 JP H078739B2 JP 60266862 A JP60266862 A JP 60266862A JP 26686285 A JP26686285 A JP 26686285A JP H078739 B2 JPH078739 B2 JP H078739B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (発明の分野) 本発明はアルミナ質焼結体の製造方法に関し、より詳細
には、高強度、高靱性の特に切削工具に適したアルミナ
質焼結体の製造方法に関する。
(従来技術) 近時、セラミック材料は構造材料として注目され、その
高い強度を利用して各種の分野でその応用が進められて
いる。
それらセラミック材料の中でも、アルミナ質焼結体は薬
品に対する耐蝕性が高く、しかも他のセラミック材料と
比較しても安価であることから、さらに高強度化が求め
られている。
アルミナ質焼結体の高強度化としては添加剤として酸化
ジルコニウム(以下単にジルコニアと称す)を用いるこ
とが知られている。これはジルコニアの相転位を利用し
たものであって、ジルコニア周辺のマイクロクラックに
よって靱性を向上させたものである。これは、アルミナ
中のジルコニアが単斜晶型であり、破壊靱性値は向上す
るものの抗拆強度は改善されないという問題点がある。
これに対し、ジルコニア相転位によって破壊エネルギー
を吸収させるという強化方法が注目されている。これ
は、ジルコニアが正方晶型として存在するものである
が、焼結体中にジルコニアの結晶粒子を微細に且つ均一
に分散させる必要がある。
実験的には酢酸ジルコニウムと酢酸アルミニウムを混合
し、アンモニア等を加え、ジルコニウムとアルミニウム
の水酸化物を沈降させる、いわゆる、共沈法によって得
られた原料粉末が用いられているが製造条件が難しく原
料価格が高いため、実用化は困難であった。
また、添加剤の点からアルミナ−ジルコニアの系に他の
添加剤としてY2O3,CaO等を加え、高強度、高靱性を達成
しようとする試みもなされている。しかしながら、この
ような他の添加剤を加えた場合、切削工具として耐摩耗
性が低下するといった問題が生じる傾向にあった。
(発明の目的) 本発明は上記問題点に対し鋭意研究の結果、実質的にア
ルミナとジルコニアの2元系成分と成し、それぞれ超微
粉の原料粉末を用いて混合し、特定の熱処理工程を原料
粉末の混合粉砕後、もしくは成形後に施すことによって
正方晶が50%以上の含有率を占めるジルコニアを含むア
ルミナ質焼結体が得られることを知見した。
本発明によれば、(a)BET比表面積15m2/g以上の酸化
ジルコニウム微粉末とBET比表面積15m2/g以上の酸化ア
ルミニウム微粉末を配合した原料粉末を混合粉砕する工
程と、(b)得られた混合粉体を成形する工程と、
(a)の工程後、もしくは(a)(b)工程後に、
(c)500〜1300℃の範囲で熱処理を行う工程と、
(d)得られた成形体を1350乃至1600℃の温度で焼成す
る工程とを具備したアルミナ質焼結体の製造方法が提供
される。
以下、本発明を詳細に説明する。
アルミナ−ジルコニア系焼結体において、ジルコニアは
焼結体内に均一かつ微細化して分散するとアルミナに対
し、粒成長を抑制するとともに最終的に正方晶ジルコニ
アとして残存することが知られている。この均一−分散
化された正方晶ジルコニアは、外部から応力が加えられ
ると単斜晶に相変態する(いわゆるStress Induced Tra
nsformation)。この時クラック先端での破壊エネルギ
ーが吸収される。またこのような焼結体は、研磨などの
加工によって表面に残留圧縮応力が生成する。
このクラック先端でのエネルギー吸収と、残留応力のた
めに優れた高度を示すものである。
本発明によれば、原料粉末としてBET比表面積が共に15m
2/g以上の超微粉の酸化アルミニウムおよび酸化ジルコ
ニウムを用いることが重要である。
即ち、比表面積が15m2/g以下の粉末では、調合後、混合
粉砕を行う際、原料中の凝集粒子が粉砕されにくく不均
一となり易く、強度の劣化バラツキ等が生じ易くなる。
しかも正方晶ジルコニアの残存率も低下する。この比表
面積は、15m2/g以上で均一な分散は可能であるが100m2/
g以上では原料のかさ密度が低下し、取扱が難しくなる
が、特性上は問題はない。なお、アルミナはα−アルミ
ナ、γ−アルミナ等のいずれでも使用できる。好ましい
比表面積は30乃至50m2/gである。
上述の原料粉末は調合後、公知の手段によって混合粉砕
される。例えば、原料と、水、油等の液体およびジルコ
ニアまたはアルミナから成る混合用ホールを所定量にポ
ットに入れて混合粉砕を行う。次に均一に分散混合され
た原料粉末は、所望によりバインダを加え、公知の成形
手段、例えば金型成形法、泥しょう鋳込法、ラバープレ
ス法、射出成形法などによって任意の形に成形される。
本発明によれば、混合粉砕工程後、もしくは混合粉砕工
程、成形工程終了後、に500〜1300℃特に、700乃至1100
℃の範囲で熱処理を行うことが極めて重要である。即
ち、本発明によれば、用いられる原料粉末が超微粉であ
ることから、粉末の製造工程上、各種ガスやアンモニア
等の吸着物質が含まれ、また、水酸化物等の未反応物質
が含まれており、焼成した場合、特性を劣化させる要因
となる。上記の熱処理によれば、このような吸着物質、
未反応物質等を除去することができる。
また、混合粉砕工程後であれば、粉体の流動性が改善さ
れプレス成形等を行う場合の粉体の充填性を向上させる
ことができる。さらにもう1つの利点は、粉体の粒度分
布をシャープにすることができる。
これは、広い粒度分布を有する粉体のうち、微粉側の粒
子が熱によって凝集体となるためと考えられる。それに
よって焼結体としての各粒子を均一分散化することが可
能となる。
本発明における熱処理工程は大気雰囲気、酸素雰囲気等
の酸化雰囲気で行うことができる。なお、処理温度は50
0℃より低いと、未反応物質や吸着物質等の除去が困難
となり、1300℃より高いと粒成長が起こり強度が低下す
る。
上述したようにして得られた成形体は焼成工程に移され
る。焼成は公知の方法によって行うことができ、たとえ
ば、大気あるいは水素雰囲気焼成法、真空焼成法、ホッ
トプレス及び静間静水圧法等が挙げられ焼成温度は1350
乃至1600℃が適当である。
本発明の製造方法において、ジルコニアと、アルミナ組
成比は、焼結体の物性を決定する大きな要因である。
本発明によれば、ジルコニアを5乃至30重量%より好ま
しくは15乃至20重量%とし、残部を実質的にアルミナか
ら成る組成が望ましい。ジルコニアの量が5重量%より
小さいと耐摩耗性は向上するが焼結体の靱性、強度が低
下し、30重量%を超えると耐摩耗性が低下するとともに
強度も低下する。
なお、切削工具として耐摩耗性を重視すれば5乃至15重
量%に設定するのが望ましい。
本発明の製造方法によって得られる焼結体は、0.5乃至
1.0μのアルミナ粒子の粒界に0.2乃至0.5μのジルコニ
ア粒子が分散した焼結体で、ジルコニア粒子の50%以上
が正方晶型である。なお抗拆強度800MPa以上、破壊靱性
5.5.5MN/m3/2以上の強度が得られる。
本発明を次の例で説明する。
実施例1 第1表に示す比表面積のアルミナおよびジルコニアをAl
2O3 82wt% ZrO2 18wt%の組成にて調合しポリエチレ
ン製の容器にアルミナボール、アルコールとともに原料
を密封する。振動ミルにて48時間粉砕混合を行った後、
原料を取り出し乾燥後、40meshのふるいにかけ、アルミ
ナ製るつぼに入れ、空気雰囲気で1000℃2時間熱処理を
行った。熱処理後の原料をカーボン型に入れ、1550℃で
1時間ホットプレス焼成を行った。ホットプレス終了
後、焼結体を取出し、所定の形状に研磨し試料とした。
なお研磨は加工による変質層が消えるまで行った。
得られた試料に対し、次の物性測地を行った。
(抗拆強度) JISR1601による4点曲げを試験を行う。(破壊靱性)=
K1c ビッカース硬度測定用ダイヤモンド圧子を荷重20kgで試
料に加圧した場合の圧痕周辺のクラックの粗さを測定し
て求める(VI法)。なお、試料表面は、ダイヤモンド砥
粉で仕上げを行った。
(正方晶ジルコニアの量) X線回折装置により、単斜晶ジルコニアとしてm−ZrO2
(111)、m−ZrO2(111)正方ジルコニア、t−ZrO
2(111)のピークの高さをそれぞれHm,Hm,Htとし、Ht/
(Hm+Hm+Ht)によって求めた。
結果は第1表に示す。
第1表のNo.1〜No.8はアルミナの比表面積を変えたもの
であるがアルミナ比表面積が15m2/gより小さいNo.1、2
は抗拆強度が低く、しかもバラツキが大であった。比表
面積が15m2/g以上では抗拆強度、K1cともに高く、t−Z
rO2の量も増加する。
比表面積が100m2/g、200m2/gでは、Al2O3がγ−Al2O3
なっており、抗拆強度、K1cともに高い値を示したが、
かさ密度が低く原料の取扱が難しかった。
No.9〜No.12はジルコニアの比表面積を変えたものであ
るが5m2/gのNo.9は抗拆強度が低く、t−ZrO2も少な
い。10m2/gのNo.10は抗拆強度t−ZrO2も量も増加する
がバラツキが大きい。
No.11、12の本発明のサンプルはいずれも高い抗拆強
度、靱性、t−ZrO2含有量を示した。
実施例2 比表面積40m2/gのアルミナと、比表面積30m2/gのジルコ
ニアを実施例1と同一組成にて調合し、同様の方法で混
合粉砕してその後第2表に示す条件で熱処理を行った。
その後、実施例1と同様にホットプレス焼成を行い、各
種物性を測定した。
結果は第2表に示す。
なお、No.21は、成形後に熱処理を行ったものである。
第2表から明らかなように従来の熱処理を施さなかった
No.20は強度、靱性ともに低いものであった。これに対
し、本発明の焼結体No.14乃至18はいずれも高い強度、
靱性を示した。しかしながら処理温度が低くすぎるNo.1
3では特に靱性が低く、温度が高いNo.19では粒子が凝集
し、測定不可能であった。
なお、この熱処理を成形後に行ったNo.21でも優れた強
度、靱性が得られた。
実施例3 前述したサンプルのうち、No.1、5、9、12、13、15、
17、21に関して、同様な条件で成形した後、ホットプレ
ス法によって1500℃で1時間焼成を行い、形状SNGN454
の切削用チップ各々5個ずつ作成した。
得られたチップを用いて下記条件で1分間の切削テスト
を行った。
被削材 S45C 切削速度 150(m/min) 切り込み 5(mm) 送り 1.1(m/sec) テストの結果、Al2O3の比表面積が小さいNo.1熱処理温
度が低いNo.13は作製した5個のサンプル中、全て欠損
した。また、ZrO2の比表面積が小さいNo.9の場合は、4
個の欠損が生じた。これら以外のNo.5、12、15、17、21
はいずれも欠損は生じることなく優れた切削性能を示し
た。
(発明の効果) 本発明のアルミナ質焼結体の製造方法は、共沈法の原料
を用いることなく、特定の比表面積を有する原料を用い
て熱処理工程を含めることによってt−ZrO2が多量に析
出した高靱性、高強度の焼結体を得ることができること
から量産性に優れ、しかも切削工具用として特に有用で
ある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) BET比表面積15m2/g以上の酸化ジ
    ルコニウム微粉末とBET比表面積15m2/g以上の酸化アル
    ミニウム微粉末を配合した原料粉末を混合粉砕する工程
    と、 (b) 得られた混合粉体を成形する工程と、(a)の
    工程後、もしくは(a)(b)工程後に、 (c) 500〜1300℃で熱処理を行う工程と、 (d) 得られた成形体を1350乃至1600℃の温度で焼成
    する工程と、 からなるアルミナ質焼結体の製造方法。
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JPH01188461A (ja) * 1988-01-20 1989-07-27 Noboru Aiko Al↓2O↓3−ZrO↓2系セラミック

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