JP2860953B2 - ジルコニア製分散・粉砕機用部材 - Google Patents

ジルコニア製分散・粉砕機用部材

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JP2860953B2
JP2860953B2 JP7144621A JP14462195A JP2860953B2 JP 2860953 B2 JP2860953 B2 JP 2860953B2 JP 7144621 A JP7144621 A JP 7144621A JP 14462195 A JP14462195 A JP 14462195A JP 2860953 B2 JP2860953 B2 JP 2860953B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジルコニア製分散・粉
砕機用部材に関する。
【0002】本明細書において、「分散・粉砕機用部
材」とは、固体を乾式または湿式で粉砕、分散あるいは
解砕処理するために使用する器具、治具、機械装置など
における固体と接触する部材の総称であり、粉砕・分散
メディアも包含するものである。「分散・粉砕機」とし
ては、具体的には、粉砕機、分散機、解砕機、混合機、
造粒機、整粒機、攪拌機、乾燥機、運搬機などが含まれ
る。
【0003】
【従来の技術及びその課題】近年、電子材料は高機能
化、小型化へ急速に移行しつつあり、これらの高機能化
された電子材料の製造には、原料の微粉化と高純度化が
要求されている。また、インキ、顔料、塗料等において
も不純物の混入の低減と高分散化の要求がある。
【0004】従来、粉砕機としては、一般に、ボールミ
ル、アトリッションミル、サンドミル等が使用されてい
るが、上記したような要求を満足するためには、サンド
ミルのように高速で粉砕メディアを攪拌するタイプの媒
体攪拌ミルが多く用いられている。この様なミルの場
合、分散・粉砕機用部材にかかる負荷はかなり大きいこ
とから、耐摩耗性に優れたジルコニア製分散・粉砕機用
部材が使用されており、特に、Y23/ZrO2モル比
が2.7/97.3〜4.0/96.0の範囲にあるも
のが広く使用されている。
【0005】しかしながら、従来のジルコニア製分散・
粉砕機用部材は、水、特に熱水による腐食摩耗が大き
く、水による湿式粉砕ではミル内の温度上昇を避けるた
めに被砕物の濃度を低くすると共に冷却水を用いて細心
の注意を払って水温が40℃程度以下となる範囲内で粉
砕・分散を行っている。また、被砕物の濃度やスラリー
の粘性などから40℃以上で粉砕・分散処理が必要な場
合には、温水によるメディアや部材の腐食や耐摩耗性の
低下を防止するために、有機溶剤が使用されているが、
後工程の短略化、コスト低減等のために、水系での粉砕
処理へ移行しつつある。この様な現状において、サンド
ミル等のメディア等に加わる負荷が大きくなる場合に
は、腐食摩耗はかなり促進され、被砕物への摩耗粉の混
入や粉砕機用部材の寿命の低下が問題とされており、温
水中においても優れた耐摩耗性を有する材料が望まれて
いる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記の様な現
状に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、ジルコニア製分散・
粉砕機用部材において、Y23を特定の割合含有するジ
ルコニア質焼結体であって、結晶相、かさ密度及び平均
結晶粒径を適切な範囲に調整し、しかも一定の条件下で
測定した耐摩耗率が所定の量以下である焼結体は、温水
中においても極めて優れた耐摩耗性を有することを見い
だし、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、(a)主として、ZrO
2とY23とからなる焼結体であって、Y23/ZrO2
モル比が1.5/98.5〜2.6/97.4の範囲に
あり、(b)正方晶系ZrO2を60容積%以上含有
し、(c)かさ密度が5.85g/cm3以上であり、
(d)平均結晶粒径が0.30〜0.70μmであり、
(e)高強度ジルコニア製部材を用いた媒体攪拌ミルを
用いて、水温60±5℃の温水中で高強度ジルコニア製
ディスクの周速8±0.5m/秒で攪拌した際の摩耗率
が、分散・粉砕メディアの場合に40ppm/時間以下
であり、メディア以外の部材の場合に0.30ppm/
cm2・時間以下であることを特徴とするジルコニア製
分散・粉砕機用部材に係る。
【0008】以下、本発明のジルコニア製分散・粉砕機
用部材が充足すべき各要件について、詳細に説明する。
【0009】(a)主として、ZrO2とY23とから
なる焼結体であって、Y23/ZrO2モル比が1.5
/98.5〜2.6/97.4の範囲にあること。
【0010】本発明部材は、主として、ZrO2とY2
3とからなる焼結体である。本発明の部材では、ZrO2
とY23の合計量は、92重量%以上であることが好ま
しく、93重量%以上であることがより好ましい。尚、
本発明では、通常ZrO原料中に少量存在することの
あるHfOが混入していても良く、このHfO2量を
含めたZrO2とHfO2の合量をZrO2量とする。
【0011】本発明の部材では、耐摩耗性を十分に発揮
するために、Y23/ZrO2モル比が1.5/98.
5〜2.6/97.4の範囲内にあることが必要であ
り、1.5/98.5〜2.5/97.5の範囲内にあ
ることが好ましく、2.0/98.0〜2.4/97.
5の範囲にあることがより好ましい。Y23/ZrO2
モル比が1.5/98.5未満の場合には焼結体中の単
斜晶系ジルコニア量が増加し、転移による大きな容積変
化を伴うので焼結体中に亀裂を生じ易く、摩擦、衝撃、
圧壊等に対する抵抗性の低下、耐摩耗性の低下を招くの
で好ましくない。一方、Y23/ZrO2モル比が2.
6/97.4を超える場合には、正方晶系ジルコニアの
応力誘起相変態による効果が少なくなるので機械的特性
が低下し、更に、温水による腐食や耐摩耗性の低下が起
こるので好ましくない。
【0012】本発明の部材では、Y23の50モル%以
下を、Y23以外の希土類酸化物の一種又は二種以上で
置換したものも用いることができる。このような希土類
酸化物としては、CeO2、Nd23、Yb23、Dy2
3等が安価な点で好ましい。
【0013】(b)正方晶系ジルコニアを60容積%以
上含有すること。
【0014】正方晶系ジルコニアの含有量が60容積%
未満の場合には、正方晶から単斜晶への応力誘起相変態
効果が少なくなり、靱性の低下を生じ、負荷される応力
によってクラックが生成しやすくなるので好ましくな
い。また、正方晶系ジルコニア含有量が少ない場合に
は、相対的に立方晶系ジルコニア量が多くなり、結晶粒
径が大きくなることからも耐摩耗性が低下するので好ま
しくない。
【0015】尚、本発明では、ジルコニアの結晶相であ
る単斜晶系ジルコニア(M) の存在の有無及び含有
量、正方晶系ジルコニア(T)及び立方晶系ジルコニア
(C)の量については、以下の方法でX線回折により求
める。
【0016】即ち、焼結体及び加工した焼結体製品の表
面は応力誘起相変態により正方晶から単斜晶に変態して
おり、真の結晶相を同定することができないので、焼結
体表面を鏡面にまで研磨し、X線回折により、回折角2
7〜34度の範囲で測定し、単斜晶系ジルコニアの有無
及び含有量を次式から求める。
【0017】
【数1】
【0018】また、正方晶系ジルコニア及び立方晶系ジ
ルコニアは、単斜晶系ジルコニアの有無を確認した方法
と同様にして、X線回折により、回折角70〜77度の
範囲で測定し、次式により求める。
【0019】
【数2】
【0020】本発明では、部材表面の単斜晶及び/また
は立方晶は、焼肌面の凹部にこれらの結晶相が残存した
り、研削、研摩加工中に応力誘起相変態によって正方晶
から単斜晶に転移することにより存在するものであり、
この存在する深さが非常に浅い領域に限られるため、こ
れらの結晶相が存在しても良く、上記した条件で測定し
た焼結体中の正方晶系ジルコニア量が60容積%以上あ
ればよい。X線回折から求める表面立方晶系ジルコニア
量は35容積%以下であることが望ましく、また、単斜
晶系ジルコニア量は10容積%まで許容することがで
き、好ましくは5容積%以下とする。
【0021】(c)かさ密度が5.85g/cm3 以上
であること。
【0022】かさ密度は、5.85g/cm3 以上と
し、好ましくは5.90g/cm3 以上とし、より好ま
しくは6.00g/cm3 以上とする。かさ密度が5.
85g/cm3 未満の場合には、摩擦、衝撃などの外部
応力に対する抵抗性が劣ると同時に温水による腐食に対
する抵抗性が低下するので好ましくない。
【0023】(d)平均結晶粒径が0.30〜0.70
μm であること。
【0024】ジルコニア製分散・粉砕機用部材を構成す
る平均結晶粒径は、0.30〜0.70μm であること
が必要であり、0.40〜0.70μm であることが好
ましく、0.40〜0.60μmであることがより好ま
しい。平均結晶粒径が0.70μmを超えると耐摩耗性
の低下をきたすので好ましくない。一方、平均結晶粒径
が0.30μm 未満の場合には、結晶粒界面積が大きく
なるので温水中での腐食の影響を受けやすくなり、これ
も耐摩耗性の低下の原因となるので好ましくない。
【0025】尚、本発明において、平均結晶粒径は、得
られた焼結体表面を鏡面にまで研磨し、次いで熱エッチ
ングもしくは化学エッチングを施した後、走査電子顕微
鏡で観察してインターセプト法により10点測定した平
均値とする。算出式は下記の通りである。
【0026】D=1.5×n/L(D:平均結晶粒径、
n:長さL当たりの結晶の数、L:測定長さ) (e)高強度ジルコニア製部材を用いた媒体攪拌ミルを
用いて、水温60±5℃の温水中で高強度ジルコニア製
ディスクの周速8±0.5m/秒で攪拌した際の摩耗率
が、分散・粉砕メディアの場合に40ppm/時間以下
であり、メディア以外の部材の場合に0.30ppm/
cm2・時間以下であること。
【0027】本発明の部材は、温水中での摩耗が著しく
少ないものであり、具体的には、ジルコニア製部材を用
いた媒体攪拌ミルを用いて、水温60±5℃の温水中で
ジルコニア製ディスクの周速8±0.5m/秒で攪拌し
た際の摩耗率が、分散・粉砕メディアの場合に40pp
m/時間以下、好ましくは30ppm/時間以下であ
り、メディア以外の部材の場合に0.30ppm/cm
2・時間以下、好ましくは0.20ppm/cm2・時間
以下である。摩耗率が、この範囲を上回ると、水系での
粉砕において腐食摩耗が大きくなり、被砕物への摩耗粉
の混入量が増加するので好ましくない。
【0028】本願明細書における、摩耗率の測定方法に
ついて以下により具体的に説明する。測定対象が、分散
・粉砕用メディアの場合には、内容積1400mlのダ
イノーミル〔シンマルエンタープライゼス社製:タイプ
KDL−PILOT、ベッセル(φ106.2×φ98
×213.6mm)及びディスク(5枚、φ80×4m
m) は株式会社ニッカトー製高強度ジルコニア:YT
Z〕に、メデイア1200mlを入れ、60±5℃に保
持した10リットルの温水を600mlで循環させなが
ら、ディスク周速8±0.5m/秒で6時間を1 サイク
ルとして10サイクル、60時間運転するテストを行
い、1 サイクル、6時間毎にメディアの摩耗率を測定す
る。メディア摩耗率はテスト前後の重量変化の差をテス
ト前のメディア重量で割り、さらに単位時間当たりの重
量変化率として算出する。この摩耗率が、各サイクル
共、上記規定値であることが必要である。
【0029】測定対象が、メディア以外の部材の場合に
は、上記のテストで摩耗率が30ppm/時間以下の分
散・粉砕用メディアを用いて、ベッセル及びディスク5
枚をダイノーミルにセットし、上記と同条件のテストを
行い、1サイクル、6時間毎のベッセル及びディスクの
テスト前後のメディアと接触する部分の単位表面積当た
りの重量変化の差をテスト前のベッセル及びディスク重
量で割り、摩耗率を単位時間当たりのメディアと接触す
る部分の単位面積当たりの重量変化率として算出する。
本発明では、特に、ディスクの場合に、摩耗率0.30
ppm/cm2・時間以下とし、好ましくは0.20p
pm/cm2・時間以下とすればよく、ベッセルの場合
は摩耗率1.5×10-2ppm/cm2・時間以下と
し、好ましくは7.5×10-3ppm/ cm2・時間以
下とする。
【0030】本発明の分散・粉砕機用部材は、上記した
(a)〜(e)の条件を満足するものであり、温水中に
おいても優れた耐摩耗性を有するものであるが、更に、
必要に応じて、下記の条件を満足することによって、よ
り優れた耐摩耗性を有するものとなる。
【0031】(1)CaO及びMgOの少なくとも一種
を1 重量% 以下含有すること。
【0032】CaO及びMgOの添加は、靱性の向上と
焼結性の向上に効果がある。CaO及びMgOの少なく
とも一種の成分の添加量は、1重量%以下とすることが
でき、0.01〜1重量%とすることが好ましい。これ
らの添加量が1重量%を上回ると、下記に示す不純物と
ガラス相を多く粒界に生成し、温水中での腐食摩耗の低
下を招くので好ましくない。CaO及びMgOは、いず
れか一種を単独で配合しても良く、或いは両者を混合し
て配合してもよい。
【0033】(2)Al23を0.005〜4.5重量
%以下含有すること。
【0034】Al23の添加は、焼結性の向上に寄与す
るだけでなく、下記に示す不純物で形成される粒界に存
在するガラス相を分散させる効果があり、腐食摩耗に対
する抵抗性を高めることに役立つ。Al23含有量は
0.005〜4.5重量%とし、より好ましくは、0.
05〜3.0重量%とする。Al23の含有量が4.5
重量%を超える場合には、粒界にAl23結晶が多く存
在し、ZrO2結晶粒子とAl23結晶粒子との熱膨張
差により生じる残留応力により耐摩耗性が低下し、更
に、硬度の高いAl23粒子が相手材の摩耗を促進させ
るので好ましくない。 (3)SiO2、Na2O及びK2Oの合計量が0.3重
量%以下であること。
【0035】SiO2、Na2O及びK2Oが多く存在す
ると、焼結体中で粒界に形成するガラス相が多くなり、
特に温水における腐食が起こりやすくなる。特に、この
現象は、水温が高温になるほど顕著に現れ、結果的に耐
摩耗性の低下につながるので好ましくない。このためS
iO2、Na2O及びK2Oの合計量は、0.3重量%以
下とし、好ましくは0.1重量%以下とする。尚、Si
2は、0.2重量%以下とすることが必要であり、
0.1重量%以下とすることが好ましい。Na2Oは
0.05重量%以下とすることが好ましく、0.02重
量%以下とすることがより好ましい。K2Oは0.05
重量%以下とすることが好ましく、0.02重量%以下
とすることがより好ましい。
【0036】本発明のジルコニア製分散・粉砕機用部材
は、種々の方法によって製造することができる。その一
例を挙げると、ZrO2とY23の含有量が所定のモル
比となるように、ジルコニア化合物(例えばオキシ塩化
ジルコニル)の水溶液とイットリア化合物(例えば、塩
化イットリウム) の水溶液を均一に混合し、脱水、乾燥
させた後、400〜1300℃で仮焼し、粉砕して平均
粒径0.5μm 以下のZrO2一次結晶粉体を得る。Y2
3以外の希土類酸化物及びAl23を添加する場合に
は、ジルコニア化合物とイットリア化合物の水溶液また
は酸化物を混合する際に塩の水溶液として所定量添加し
てもよいし、後記する分散工程で酸化物の形態で添加混
合してもよい。また、CaO及びMaOを添加する場合
には、ジルコニア化合物とイットリア化合物の水溶液を
混合する際に塩の水溶液として所定量添加してもよい
し、水酸化物、炭酸塩等の形態で仮焼前もしくは後記す
る分散工程で添加しても良く、あるいは酸化物の形態で
分散工程で添加混合してもよい。次いで、該ZrO2
次結晶粉体を湿式により分散させた後、必要により公知
の成形助剤( ワックスエマルジョン、PVA 、アクリ
ル系樹脂等) を加え、スプレードライヤー等の公知の方
法で乾燥させて成形粉体を得る。得られた成形粉体は、
公知の成形方法、例えばプレス成形、ラバープレス成形
等の方法、または有機溶媒、水、可溶性高分子などを成
形助剤として湿式または液中にて造粒成形する方法等で
成形する。次いで得られた成形体を1250〜1550
℃程度で焼成することによって、焼結体とする。
【0037】尚、本発明の分散・粉砕機用部材では、製
造時に、必要に応じて、HIP処理を施すことにより、
焼結体内部に欠陥がある場合に、これらの欠陥を低減も
しくは小さくすることができ、摩擦、衝撃、圧壊等に対
する抵抗性を高くして、耐摩耗性を向上させることがで
きる。HIP処理は、常圧焼結後、Arなどの不活性雰
囲気、又はN2若しくはO2雰囲気下で1250〜150
0℃、500〜1500気圧の圧力下で行うことが好ま
しい。
【0038】この様にして得られた焼結体に対して、必
要に応じて、加工、研削、研摩等を施すことによって、
本発明の分散・粉砕機用部材が得られる。
【0039】本発明の分散・粉砕機用部材において、ジ
ルコニア焼結体は焼肌のままで使用することもできる
が、この焼成面は焼成過程中の汚染などによって、単斜
晶や立方晶の結晶が析出している場合があるので、事前
に研削、研摩などによって表面層を仕上げ、除去してお
くことが、初期摩耗を低減する上で望ましい。
【0040】
【発明の効果】本発明のジルコニア製分散・粉砕機用部
材は、良好な耐摩耗性を有し、特に温水または水蒸気雰
囲気において、優れた耐摩耗性を示すものであり、各種
の公知の分散・粉砕機用部材としての用途に有効に用い
ることができ、さらには大気中もしくは湿潤雰囲気で耐
摩耗特性の要求される分野にも有効に用いることができ
る。
【0041】本発明のジルコニア製分散・粉砕機用部材
の具体的な用途の一例として、分散・粉砕メディア、内
張材、ローラ、粉砕機用容器、ディスク、セパレーター
等の各種の用途を挙げることができ、更に、攪拌乾燥機
と称される装置も実質的に分散・粉砕機としての機能を
有するものであり、攪拌乾燥機用媒体等も本発明の分散
・粉砕機用部材に包含される。
【0042】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明の特徴とすると
ころをより一層明らかにする。
【0043】実施例1 純度99.6%のオキシ塩化ジルコニルと純度99.9
%の硝酸イットリウムを表1の組成となるように水溶液
にして混合した。次に、この水溶液を加熱環流下で加水
分解し、Y23が固溶した水和ジルコニアの沈殿物を生
成させ、脱水、乾燥し、1200℃で1 時間仮焼し、得
られた平均粒径が0.5μm のZrO2一次結晶粉末を
水洗した後、湿式にて粉砕、分散させた。尚、Y23
外の成分については、酸化物もしくは塩の形態で分散時
に所定量添加混合した。次いで、得られたスラリーを乾
燥、整粒し、成形用粉体とした。
【0044】この粉体を用いて転動造粒成形し、130
0〜1600℃で焼成し、放冷して、直径1mmの球状
の焼結体からなる分散・粉砕機用メディアを得た。試料
No.2、5、10、19及び25の焼結体について
は、焼成後、Ar中で1350〜1380℃、1000
気圧の条件下でHIP処理を行った。これらメディアを
バレル研磨によって仕上げ、評価用試料とした。
【0045】これらのメディアの化学組成を表1、特性
を表2に示す。表1及び表2において、試料No.1〜
14は本発明の分散・粉砕機用メディアであり、試料N
o.13〜25は本発明の要件の少なくとも1つを満た
していない比較品である。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】次いで上記で得た試料メディア1200m
lを内容積1400mlのダイノーミル( シンマルエン
タープライゼス社製:タイプKDL−PILOT 、ベ
ッセル及びディスク は株式会社ニッカトー製高強度ジ
ルコニア:YTZ) に入れ、60℃に保持した10リッ
トルの温水を600mlで60℃以上にならないように
冷却しながら循環させ、ディスク周速8m/秒で6時間
を1 サイクルとして12サイクル、72時間運転するテ
ストを行い、 サイクル毎の時間当たりのにメディアの
摩耗率を測定した。メディア摩耗率はテスト前後の重量
変化の差をテスト前のメディア重量で割り、さらに単位
時間当たりの重量変化率として算出した。サイクル毎の
摩耗率の最大値を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】表3に示す結果から、本発明によるメディ
ア( 試料1〜14) は、摩耗率が40ppm/時間以下
であり、温水中でも極めて優れた耐摩耗性を示すことが
明らかである。
【0051】実施例2 実施例1と同様に作製した粉体のスラリーに、バインダ
ーとして水溶性アクリル樹脂を、粉体に対して5%添加
し、スプレードライアーにて乾燥、整粒し、成形用粉体
とした。この粉体を用いて焼成、研削加工後の寸法がφ
106.2×φ98×213.6mm のベッセル及び
φ80×4mmのディスクとなるようにCIP成形し、
旋盤加工の後、1300〜1600℃で焼成し、放冷し
て、焼結体を得た。試料No.4の焼結体については、
焼成後、Ar中で1350℃、1000気圧の条件下で
HIP処理を行った。得られた焼結体を研削加工し、評
価用試料とした。
【0052】これらのベッセル及びディスクの化学組成
を表4に示し、特性を表5に示す。表4及び5におい
て、試料No.1〜4は本発明の部材であり、試料N
o.5〜7は本発明の要件の少なくとも1つを満たして
いない比較品である。
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】次いで上記で得た試料ベッセル及びディス
クについて、実施例1と同様の方法にて摩耗特性を評価
した。この摩耗特性試験では、メディアとしては、実施
例1で得た試料No.5の焼結体を用いた。ベッセル及
びディスク(5枚分)の摩耗率は、テスト前後の重量変
化の差をテスト前のベッセル及びディスク重量で割り、
更に単位時間当たりのメディアと接触する部分の単位面
積当たりの重量変化率として算出した。サイクル毎の摩
耗率の最大値を表6に示す。
【0056】
【表6】
【0057】表6に示す結果から、本発明によるベッセ
ルは摩耗率が1.5×10-2ppm/cm2・時間以下
であり、ディスクは摩耗率が0.30ppm/cm2
時間以下であり、いずれも温水中でも極めて優れた耐摩
耗性を示すことが判る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−15191(JP,A) 特開 平4−104953(JP,A) 特開 昭58−15079(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/48

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)主として、ZrO2とY23とからなるジルコニ
    ア質焼結体であって、 Y23/ZrO2モル比が1.5/98.5〜2.6/
    97.4の範囲にあり、 (b)Al23を0.005〜4.5重量%含有し、 (c)CaO及びMgOの少なくとも一種を1重量%以
    下含有し、 (d)SiO2、Na2O及びK2Oの合計量が0.3重
    量%以下、かつSiO2が0.2重量%以下、Na2Oが
    0.05重量%以下、K2Oが0.05重量%以下であ
    り、 (e)正方晶系ZrO2を60容積%以上含有し、 (f)かさ密度が5.85g/cm3以上であり、 (g)平均結晶粒径が0.30〜0.70μmであり、 (h)高強度ジルコニア製部材を用いた媒体撹拌ミルを
    用いて、水温60±5℃の温水中で高強度ジルコニア製
    ディスクの周速8±0.5m/秒で撹拌した際の摩耗率
    が、分散・粉砕メディアの場合に40ppm/時間以下
    であり、メディア以外の部材の場合に0.30ppm/
    cm2・時間以下である、 ことを特徴とするジルコニア製分散・粉砕機用部材。
  2. 【請求項2】 Y23の50モル%以下をY23以外の
    希土類酸化物の1種又は2種以上で置換したことを特徴
    とする請求項1記載のジルコニア製分散・粉砕機用部
    材。
  3. 【請求項3】 立方晶系ジルコニア量が35容積%以下
    であり、単斜晶系ジルコニア量が10容積%以下である
    ことを特徴とする請求項1〜2いずれか記載のジルコニ
    ア製分散・粉砕機用部材。
  4. 【請求項4】 かさ密度が5.90g/cm3以上であ
    ることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のジルコ
    ニア製分散・粉砕機用部材。
  5. 【請求項5】 HIP処理して得られる請求項1〜4い
    ずれか記載のジルコニア製分散・粉砕機用部材。
  6. 【請求項6】 分散・粉砕メディア、内張材、ローラ、
    粉砕機用容器、ディスク、セパレーター、又は撹拌乾燥
    機用媒体であることを特徴とする請求項1〜5いずれか
    記載のジルコニア製分散・粉砕機用部材。
  7. 【請求項7】 直径0.4〜3.5mmの球状の分散・
    粉砕メディアであることを特徴とする請求項6に記載の
    ジルコニア製分散・粉砕機用部材。
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