JP4048017B2 - 耐久性および耐摩耗性にすぐれたジルコニア質焼結体からなる粉砕・分散用メディア - Google Patents

耐久性および耐摩耗性にすぐれたジルコニア質焼結体からなる粉砕・分散用メディア Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐久性および耐摩耗性にすぐれたジルコニア質焼結体からなる粉砕・分散用メディアに関する。本明細書において耐久性にすぐれるとは、60℃程度かそれ以上の温水または高湿度雰囲気中に長時間曝されても熱劣化や転移による強度低下や寸法変化がほとんど起こらず、また、200〜300℃の特定温度域において正方晶系ジルコニアから単斜晶系ジルコニアへの転移による熱劣化が少ないことを示す。
【0002】
【従来技術とその問題点】
近年、電子材料等の高機能材料の製造には微粉化と高純度化が要求され、使用される粉砕機は、従来のボールミルから高速で粉砕・分散用メディアを撹拌することにより高い粉砕・分散効率を有する媒体撹拌型粉砕機が主流となっている。このようなミルは、粉砕・分散用メディアに加わる負荷がかなり大きいことから、耐衝撃性、耐摩耗性にすぐれた主として正方晶系ジルコニアからなるY強化ジルコニア(Y−TZP)製粉砕・分散用メディアが用いられている。
【0003】
従来からの前記Y強化ジルコニア(Y−TZP)はすぐれた機械的性質を有しているが、200〜300℃の特定温度域において正方晶系ジルコニアから単斜晶系ジルコニアへ転移し、その際に生じる体積変化により微小なクラックが多数発生し、強度低下につながる熱劣化を起こす欠点が広く知られるようになり、多くの産業用途でこの劣化が問題視され、特公昭61−21184号公報などにその防止法が提案されている。
【0004】
しかしながら、粉砕・分散用メディアが使用される条件下において60℃程度かそれ以上の温水または高湿度雰囲気中に長時間負荷がかかった場合に、耐衝撃抵抗性や耐摩耗性などの機械的性質が低下する問題点が明らかになってきた。この60℃かそれ以上の温水または高湿度雰囲気中での機械的性質の低下は、前記の200〜300℃における熱劣化を防止した焼結体であっても起こるため、200〜300℃における熱劣化の防止法では改善できない。このようなことから温水中や高湿度雰囲気中でも長期間安定してすぐれた熱安定性、機械的特性および耐久性を有するジルコニア質焼結体の出現が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、200〜300℃における熱安定性、機械的性質に優れているだけでなく、60℃程度かそれ以上の温水または高湿度雰囲気中においてすらも、長期間安定してすぐれた耐摩耗性と耐久性を示すジルコニア質焼結体からなる粉砕・分散用メディアを提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記のような現状を鑑みて鋭意研究を重ねてきた結果、60℃程度かそれ以上の温水または高湿度雰囲気中における耐摩耗性などの機械的性質の低下は、200〜300℃における熱安定性によるものとは異なる原因であることを見出した。すなわち、200〜300℃における熱劣化は、準安定の正方晶系ジルコニアが安定な単斜晶系ジルコニアに転移することに起因するとされており、YやCeO等の安定化剤を増量することにより熱劣化が抑制されることが知られている。しかしながら、Y強化ジルコニア(Y−TZP)は正方晶系ジルコニアから単斜晶系ジルコニアへの応力誘起相変態により強化されているが、結晶粒径が小さくなるとこの変態強化が少なくなり、機械的特性の低下が起こる。一方、60℃程度またはそれ以上の温水または高湿度雰囲気中での機械的特性の低下は、粒界または粒界面に不均質に偏在するYやアルカリ金属化合物などが水によって応力腐食することに起因すると推考される。Y−TZP焼結体は正方晶系ジルコニアから単斜晶系ジルコニアへの応力誘起相変態を利用して高強度および高靭性を実現しているが、その反面、熱劣化だけでなく耐久性に欠けるという問題点を有している。発明者らは前述のY−TZPと同じジルコニア質焼結体において、Y/ZrOモル比、AlおよびSiOの第3成分量、結晶粒径、気孔率、さらには破断による変態量をある範囲内に制御することにより、応力誘起相変態を抑制し、微細結晶、均質組織とし、粒界腐食を抑制することにより摩耗特性だけでなく、耐久性にすぐれた粉砕・分散用メディアを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、(イ)成形粉体粒度が平均粒子径0.5μm以下、クリスタリット径(D)が250〜450Åであり、比表面積から求まる粒子径(DBET)とクリスタリット径(D)との比(DBET/D)が3.0以下である成形粉体を使用して得られた「ZrO結晶相が正方晶系ジルコニアからなるZrO−Y系ジルコニア質焼結体」であって、(ロ)Y/ZrOモル比が1.5/98.5〜2.3/97.7の範囲にあり(Y は、その30モル%までを他の希土類酸化物の1種または2種以上で置換したものも包含する)、(ハ)Al 0.01〜3.0重量%、SiO 0.3重量%以下含有させ、アルカリおよびアルカリ金属酸化物の含有量は0.03重量%以下とし、(ニ)前記ジルコニア質焼結体の平均結晶粒径が0.3μm以下、気孔率が5%以下、破断による変態量が15容積%以下、である耐久性および耐摩耗性にすぐれたジルコニア質焼結体からなることを特徴とする粉砕・分散用メディアに関する。
【0008】
以下に本発明の耐久性および耐摩耗性にすぐれたジルコニア質焼結体からなる粉砕・分散用メディアが充足すべき各要件について詳細に説明する。
【0009】
本発明においては、(イ)の成形粉体粒度が平均粒子径0.5μm以下、クリスタリット径(D)が250〜450Åであり、比表面積から求まる粒子径(DBET)とクリスタリット径(D)との比(DBET/D)が3.0以下である成形粉体を使用して得られた「ZrO結晶相が正方晶系ジルコニアからなるZrO−Y系ジルコニア質焼結体」であることが必要である。ジルコニア質焼結体に単斜晶系ジルコニアが多く含有しているとその結晶周辺に微細なクラックが生じ、応力が負荷されるとこの微細なクラックを起点として微小破壊が起こり、摩擦、衝撃、圧壊等に対する抵抗性が低下するので好ましくない。また、同時に60℃程度またはそれ以上の温水または高湿度雰囲気中での耐久性が低下するので好ましくない。一方、立方晶系ジルコニアを多く含有していると結晶粒径が大きくなり、機械的特性の低下が起こるだけでなく、結晶粒界付近にYが偏在しやすくなって耐久性および耐摩耗性の低下をきたすので好ましくない。
【0010】
なお、本発明では、ジルコニアの結晶相である単斜晶系ジルコニア(M)の存在の有無及び含有量、正方晶系ジルコニア(T)及び立方晶系ジルコニア(C)の量については以下の方法でX線回折により求める。即ち、焼結体及び加工した焼結体製品の表面は応力誘起相変態により正方晶系ジルコニアから単斜晶系ジルコニアに変態しており、真の結晶相を同定することができないので、メディア断面を鏡面にまで表面変態層が残らないように研磨する。すなわち、200メッシュ以下の細かいダイヤモンド砥石で50μm以上研磨除去し、つぎに6μmのダイヤモンドペーストを用いて20μm以上研磨除去し、その後、3μmのダイヤモンドペーストで10μm以上研磨仕上げする。得られた鏡面をX線回折により、回折角27〜34度の範囲で測定し、単斜晶系ジルコニアの有無及び含有量を次式から求める。なお、X線回折は、ターゲット:Cu、フィルター:モノクロメーター、管電圧:40kV、管電流:30mA、発散スリット:1°、受光スリット:0.15mm、スキャンスピード:1/8°/minの条件で行った。
【0011】
【数1】
Figure 0004048017
【0012】
また、正方晶系ジルコニア及び立方晶系ジルコニアは、単斜晶系ジルコニアの有無を確認した方法と同様にして、X線回折により、回折角70〜77度の範囲で測定し、次式により求める。
【0013】
【数2】
Figure 0004048017
【0014】
なお、本発明においては上記X線回折から求める立方晶系ジルコニア及び単斜晶系ジルコニアをそれぞれ3容積%以下、好ましくは2容積%以下まで許容することができる。
【0015】
本発明においては、前記(ロ)の要件の1つとして、Y/ZrOモル比が1.5/98.5〜2.3/97.7の範囲内にあり、好ましくは1.6/98.4〜2.1/97.9の範囲であることが必要である。通常ZrO原料中に少量含有することのあるHfOが混入していても良く、このHfO量を含めたZrOとHfOの合量をZrO量とする。Y/ZrOモル比が1.5/98.5未満の場合には焼結体中の単斜晶系ジルコニア量が増加し、焼結体内部にクラックが発生して、負荷が加わったり、長時間使用するとクラックが進展し、割れや欠けが発生し、結果的に耐久性および耐摩耗性の低下をきたすので好ましくない。一方、Y/ZrOモル比が2.3/97.7を越えると正方晶系ジルコニア量が低下し、機械的特性が低下するので好ましくない。また、Y/ZrOモル比が2.3/97.7を越えると200〜300℃における熱劣化は少なくなる傾向にあるが、逆に本発明においては60℃程度かそれ以上の温水または高湿度雰囲気中での耐久性および耐摩耗性の低下が起こるので好ましくない。なお、Y添加量の30モル%まで他の稀土類酸化物の1種または2種以上で置換したものも用いることができる。このような稀土類酸化物としては、CeO、Nd、Yb、Dy等が安価な点で好ましい。
【0016】
本発明においては、前記(ハ)の要件の1つとして、Alが0.01〜3.0重量%含有すること、より好ましくは0.015〜2.5重量%含有することが必要である。AlはZrO結晶粒界にAl結晶粒子として存在するだけでなく、ZrO結晶粒界及び粒界極近傍に偏析している。Alの添加は焼結性の向上、微構造の均一化に効果があるだけでなく、60℃程度またはそれ以上の温水または高湿度雰囲気中における特性低下を抑制する効果がある。さらに、ZrO結晶粒界の強化効果があるので耐衝撃性等の機械的特性をすぐれたものとする。Al含有量が0.01重量%未満の場合は、Al添加の効果がなく、3.0重量%を越える場合は、ZrO結晶粒界にAl結晶粒子が多く存在することになり耐久性および耐摩耗性の低下が起こるので好ましくない。
【0017】
本発明においては、前記(ハ)の要件のもう1つとして、SiO量が0.3重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下、さらにより好ましくは0.15重量%以下含有することが必要である。SiO量が0.3重量%を越える場合は、ZrO結晶粒界に非晶質相もしくはガラス相が多く形成されたり、正方晶系ジルコニア量が低下するので耐衝撃抵抗性、耐久性および耐摩耗性の低下を招くので好ましくない。なお、SiOとガラス相を形成しやすいアルカリおよびアルカリ金属酸化物量は、0.03重量%以下、より好ましくは0.02重量%以下であることが必要で、0.03重量%を越える場合にはZrO結晶粒界にガラス相を形成しやすいので耐久性に劣り、好ましくない。
【0018】
本発明においては、前記(ニ)の要件の1つとして、前記ジルコニア質焼結体の平均結晶粒径が0.3μm以下であることが必要である。平均結晶粒径が0.3μmを越える場合には耐久性が低下するだけでなく、耐摩耗性も低下するので好ましくない。より好ましくは0.25μm以下とする。なお、平均結晶粒径は焼結体表面を鏡面まで研磨し、次いで熱エッチングもしくは化学エッチングを施した後、走査電子顕微鏡で観察してインターセプト法により10点測定した平均値とする。算出式は下記の通りである。
【数3】
Figure 0004048017
【0019】
本発明においては、前記(ニ)の要件の他の1つとして、前記ジルコニア質焼結体の気孔率が5%以下であることが必要である。気孔率が5%を越える場合には気孔から侵入した水もしくは蒸気により応力腐食が促進され、耐久性および耐摩耗性の低下を招くので好ましくない。より好ましくは3%以下とする。
【0020】
本発明においては、前記(ニ)の要件のもう1つとして、前記ジルコニア質焼結体の破断による変態量が15容積%以下、好ましくは13容積%以下、より好ましくは10容積%以下であることが必要である。破断による変態量が15容積%を越える場合は正方晶系ジルコニアから単斜晶系ジルコニアへの変態がしやすくなり、耐久性が低下するので好ましくない。破断による変態量の測定はメディア1個を2枚の超硬合金板の間に挟み、クロスヘッドスピードを0.5mm/minで圧壊強さを測定したメディア10個の破断面を前記(イ)と同様にX線回折により測定される単斜晶系ジルコニア量の平均値と前記(イ)で求めた焼結体を鏡面にして測定した単斜晶系ジルコニア量から下式により求める。
【数4】
〔破断による変態量(容積%)〕=(破断面より求めた単斜晶系ジルコニア量の平均値)−(焼結体を鏡面にして求めた単斜晶系ジルコニア量)
【0021】
本発明の耐久性および耐摩耗性にすぐれるジルコニア質焼結体からなる粉砕・分散用メディアは種々の方法で作製できるが、下記にその一例を示す。
【0022】
本発明では、液相法により精製したジルコニア粉体を使用することが必要である。即ち、ZrOとYの含有量が所定のモル比となるようにジルコニウム化合物(例えばオキシ塩化ジルコニウム)の水溶液とイットリウム化合物(例えば塩化イットリウム)の水溶液を均一に混合し、加水分解し、水和物を得、脱水、乾燥させた後、500〜1000℃で仮焼し、Y、Al、SiO以外の不純物が少なく、Yの分布に関する均一性にすぐれたジルコニア粉体を得る方法が採用される。Y以外の成分の添加はジルコニウム化合物とイットリウム化合物の水溶液または酸化物を混合する際に塩の水溶液として所定量添加しても良いし、後記する仮焼粉体の粉砕・分散時に水酸化物、炭酸化物、酸化物等の形態で添加しても良い。得られた仮焼粉体を湿式により粉砕、分散し、必要により公知の成形助剤(ワックスエマルジョン、PVA、アクリル系樹脂等)を加え、スプレードライヤー等の公知の方法で乾燥させて成形粉体を得る。
【0023】
得られた成形粉体粒度は平均粒子径0.5μm以下、より好ましくは0.4μm以下であることが必要であり、クリスタリット径が250〜450Å、より好ましくは300〜400Åであることが必要である。また、比表面積から求まる粒子径(DBET)とクリスタリット径(D)の比(DBET/D)が3.0以下、好ましくは2.5以下であることが必要である。成形粉体の平均粒子径がこれらの範囲外の場合は、十分に焼結しても欠陥が多く含有するため耐摩耗性及び耐久性に劣るので好ましくない。また、クリスタリット径が250Å未満の場合は、成形性の低下が起こり、結晶粒径分布が広くなったり、焼結体に多くの欠陥を含有するので好ましくなく、450Åを越える場合には焼結性の低下が起こるので好ましくない。さらに、比表面積から求まる粒子径とクリスタリット径の比が3.0を越える場合には、焼結性の低下や焼結体に多くの欠陥を含有するので好ましくない。
【0024】
得られた成形粉体は、公知の成形方法、例えばプレス成形、ラバープレス成形等の方法による成形方法でも十分に本発明の焼結体を得ることができるが、水を含有させた有機溶媒、可溶性高分子または水などを成形助剤として湿式または液中にて成形する方法が好ましい。
【0025】
前記の方法で成形した焼結体はスプレードライヤー等で乾燥した粉体を用いてCIP成形(静水圧プレス成形)した焼結体より焼結体内部の欠陥量が非常に少なくできるので、すぐれた耐久性および耐摩耗性を有するメディアとすることができる。成形助剤に水を含有していると、結晶粒界または近傍に適度な第2相を形成し、結晶粒界強度が高くなって耐摩耗性が向上するだけでなく、すぐれた耐久性および耐摩耗性を示す。
【0026】
次いで得られた成形体を1200〜1350℃、好ましくは1200〜1320℃、より好ましくは1200〜1280℃で焼成することによって焼結体を得る。焼成温度は、Y量を少なくするほど下げることが望ましい。さらに、必要に応じてHIP(Hot isostatic press)処理を施すことにより摩擦、衝撃、圧壊等に対する抵抗性を高くすることができ、機械的性質の向上、さらには耐久性の向上ができる。HIP処理は常圧焼結後、ArやNなどの不活性雰囲気またはO雰囲気下で1350℃以下で行うことが好ましい。O雰囲気下でのHIPはArなどの不活性ガス中にO濃度が20体積%以下、より好ましくは15体積%以下にして行うことが好ましい。
【0027】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものでない。
【0028】
実施例1〜9および比較例1〜11
純度99.6%のオキシ塩化ジルコニウムと純度99.9%の硝酸イットリウムを表1の組成となるように水溶液にして混合した。次に、この水溶液を加熱環流下で加水分解し、Yが固溶した水和ジルコニウムの沈殿物を生成させ、脱水、乾燥し、400〜1000℃で1時間仮焼し、得られたジルコニア粉体を湿式にて粉砕した。なお、Y以外の成分については、酸化物もしくは塩の形態で粉砕時に所定量添加混合した。次いで、得られたスラリーを乾燥、整粒し、成形用粉体とした。この成形用粉体を用いて水を使用して転動造粒成形した。得られた成形体を1200〜1400℃で焼成して、一部の焼結体はHIP処理してφ1mmの粉砕・分散用メディアを得た。これらのメディアをバレル研磨によって仕上げ、評価用試料とした。なお、比較例6は市販のY−TZP原料粉末を用いて作製したメディアである。
【0029】
変態量は得られたメディアの圧壊強さをクロスヘッドスピード0.5mm/minで測定し、テスト後の10個のメディア破断面の単斜晶系ジルコニア量により求めた。また、60℃程度かそれ以上の温水または高湿度雰囲気中での耐久性と200〜300℃での熱劣化との違いを明確にするためメディアを250℃で1500時間保持するテストを行い、テスト後のクラックの有無の確認を行った。
【0030】
次いで前記で得たメディア1200ccを内容積1400ccのダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製:タイプKDL−PILOT、ベッセルおよびディスクは株式会社ニッカトー製高強度ジルコニアYTZ)に入れ、80℃に保持した20wt%濃度のBaTiOスラリー(粉砕テストの供したBaTiO粉体の比表面積は2.0m/g)を600cc/minで80〜85℃の範囲内に温度調整しながら循環させ、ディスク周速8m/secで10時間を1サイクルとして10サイクル粉砕するテストを行い、各サイクル毎の時間当たりのメディアの摩耗率を測定した。メディア摩耗率はテスト前後の時間当たりの重量変化率として算出し、メディア摩耗率はサイクル毎のメディア摩耗率の最大値で示している。
【0031】
これらの試料の化学組成、特性を表1および表2に示す。実施例1〜9は本発明の耐久性および耐摩耗性にすぐれたジルコニア質焼結体からなる粉砕・分散用メディアであり、比較例1〜11は本発明の要件の少なくとも1つを満たしていない比較品である。
【0032】
【表1】
Figure 0004048017
【0033】
【表2】
Figure 0004048017
【0034】
表1および表2に示す結果から、60℃程度かそれ以上の温水または高湿度雰囲気での耐久性と200〜300℃での熱劣化とは全く異なることが明らかであり、本発明の耐久性および耐摩耗性にすぐれたジルコニア質焼結体からなる粉砕・分散用メディアは、200〜300℃での熱劣化にすぐれるだけでなく、60℃程度かそれ以上の温水または高湿度雰囲気でのすぐれた耐久性および耐摩耗性を示すことが明らかであり、本発明の要件を一つでも満たさない場合は耐久性および耐摩耗性に欠けるものとなる。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、従来より指摘されていた200〜300℃における正方晶系ジルコニアから単斜晶系ジルコニアへの転移による熱劣化が起こる原因と60℃程度かそれ以上の温水または高湿度雰囲気中における劣化の原因とは全く異なることを見出し、本発明の耐久性および耐摩耗性にすぐれたジルコニア質焼結体からなる粉砕・分散用メディアを完成したものである。本発明の粉砕・分散用メディアは、60℃程度かそれ以上の温水または高湿度雰囲気中でもすぐれた耐久性および耐摩耗性を有するため、粉砕機用部材だけでなく、ベアリング等の産業用耐摩耗構造材として広い分野に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例5と比較例5および6の各サイクルにおけるメディア摩耗率とサイクル数との関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. (イ)成形粉体粒度が平均粒子径0.5μm以下、クリスタリット径(D)が250〜450Åであり、比表面積から求まる粒子径(DBET)とクリスタリット径(D)との比(DBET/D)が3.0以下である成形粉体を使用して得られた「ZrO結晶相が正方晶系ジルコニアからなるZrO−Y系ジルコニア質焼結体」であって、(ロ)Y/ZrOモル比が1.5/98.5〜2.3/97.7の範囲にあり(Y は、その30モル%までを他の希土類酸化物の1種または2種以上で置換したものも包含する)、(ハ)Al 0.01〜3.0重量%、SiO 0.3重量%以下含有させ、アルカリおよびアルカリ金属酸化物の含有量は0.03重量%以下とし、(ニ)前記ジルコニア質焼結体の平均結晶粒径が0.3μm以下、気孔率が5%以下、破断による変態量が15容積%以下、である耐久性および耐摩耗性にすぐれたジルコニア質焼結体からなることを特徴とする粉砕・分散用メディア。
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