JP2000344569A - 高強度アルミナ質焼結体及びその製造方法 - Google Patents
高強度アルミナ質焼結体及びその製造方法Info
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Abstract
える3点曲げ抗折強度を持ったアルミナ質焼結体を提供
する。 【解決手段】実質的に正方晶及び/又は立方晶からなる
ジルコニアを0.5〜20重量%、シリカを0.05重
量%以下含有し、残部がアルミナからなり、焼結体中の
ジルコニアの平均結晶粒子径を0.1〜1.0μm、ア
ルミナの平均結晶粒子径を0.5〜2.0μmとすると
ともに、前記焼結体表面の中心線平均粗さ(Ra)を
0.2μm以下とし、その表面の反射電子像を画像解析
した時のジルコニアの占有面積率と、前記焼結体中のジ
ルコニアの含有率との比を0.8以上としてアルミナ質
焼結体を構成する。
Description
した高強度アルミナ質焼結体とその製造方法に関するも
のである。
性、耐熱性、耐薬品性等の点で優れた特性を有するとと
もに、圧倒的に安価でかつ工業的に有用な材料としてア
ルミナ質焼結体が使用されており、例えば、ディスクバ
ルブ、ベアリングボール、ベーンポンプのベーン、プラ
ンジャーポンプのプランジャーロッド等の摺動部材や粉
砕部材、さらには切削、研磨工具など様々な用途で使用
されている。
ような優れた特性を有する反面、ジルコニア質焼結体や
窒化珪素質焼結体などの他のセラミック焼結体に比べて
抗折強度が低いことから、高い応力のかかる部分に安定
して使用することができなかった。
抗折強度を向上させるため、結晶構造が正方晶のジルコ
ニアを含有したアルミナ質焼結体が提案されている(特
公昭59−24751号公報、特公昭59−25748
号公報、特公昭60−46059号公報参照)。
アルミナ粉末に対し、ZrO2 粉末及びZrO2 の安定
化剤としてY2 O3 粉末やMgO粉末等を添加したもの
を、ボールミルやビーズミル等を用いて攪拌し、混練乾
燥することにより造粒体を作製し、この造粒体を所定形
状に成形したあと、1400〜1750℃の温度で焼成
することにより製造され、アルミナ質焼結体中の正方晶
ジルコニアは、粒界及びマトリックスと同程度まで粒成
長した状態で存在していた。
ることで強度が向上する理由としては、外部応力が加わ
ると焼結体の粒界やマトリックス状に存在するジルコニ
アが正方晶から単斜晶に相変態してマイクロクラックを
生じるため、このマイクロクラックにより外部からの破
壊エネルギーが吸収されるためであると考えられてい
る。
原料はアルミナ原料に比べて高価な原料であり、前述し
たアルミナ質焼結体のように、正方晶ジルコニアを焼結
体の粒界やマトリックス状にのみ介在させたものでは、
強度を高めるために添加するジルコニア量が多くなり、
高価な材料となってしまうといった課題があった。
加量を少なくしても高強度を有するアルミナ質焼結体を
得るために、Zrイオンと、Mg、Ca、Yおよび希土
類元素のうち1種以上のイオン、ならびにAlイオンを
均一に混合した溶液を作製し、この溶液にアルミナ粉末
を添加し、アンモニアで中和反応させることにより、ア
ルミナ粉末とZr−Al系水酸化物とからなる準原料粉
体を得たあと、この準原料粉体を仮焼きすることによ
り、アルミナ凝集体の表面に正方晶ジルコニアが付着し
た原料粉体を製作し、この原料粉体を所定形状に成形
後、焼成することにより、高強度でかつ高硬度を有する
アルミナ質焼結体が得られることを先に提案した(特願
平9−286660号公報参照)。
体でもその抗折強度は最大で70kgf/mm2 程度で
あり、十分な強度ではなかった。
重ね検討したところ、前述した準原料粉体の製法におい
て、アルミナ粉末が凝集体を作り易く、Zr−Al系水
酸化物がアルミナ凝集体の表面にのみ付着し、凝集体を
構成する微細なアルミナ粉体の表面にZr−Al系水酸
化物を付着させることができないため、焼結体中におけ
るジルコニアの分散状態が十分でなく、その結果、抗折
強度を高めることができなかった。
種々研究を繰り返したところ、中和反応後の準原料粉末
中におけるZr−Al系水酸化物の付着状態が、最終的
にアルミナ質焼結体中におけるジルコニアの分散状態に
影響を与え、ひいてはアルミナ質焼結体の抗折強度に大
きな影響を与えることを知見し、前述したアルミナ質焼
結体について検討したところ、準原料粉体の製造段階に
おいて、ボールやビーズ等のメディアを用いてアルミナ
凝集体に剪断力を作用させることにより、アルミナ凝集
体を解砕させて微細なアルミナ粉体とし、この状態で中
和反応させることにより、微細なアルミナ粉体の表面に
Zr−Al系水酸化物が被着された準原料粉体を得るこ
とができるため、この準原料粉体を仮焼きして原料粉体
とし、これを成形、焼成することにより、ジルコニアの
含有量が少なくても極めて高い抗折強度を有するアルミ
ナ質焼結体が得られることを見出した。
正方晶及び/又は立方晶からなるジルコニアを0.5〜
20重量%、シリカを0.05重量%以下含有し、残部
がアルミナからなる焼結体であって、前記焼結体中のジ
ルコニアの平均結晶粒子径が0.1〜1.0μm、アル
ミナの平均結晶粒子径が0.5〜2.0μmであり、か
つ前記焼結体表面の中心線平均粗さ(Ra)を0.2μ
m以下とするとともに、表面の反射電子像を画像解析し
た時のジルコニアの占有面積率と、前記焼結体中のジル
コニアの含有率との比が0.8以上である高強度アルミ
ナ質焼結体を構成したものである。
強度アルミナ質焼結体を製造することを特徴とする。
希土類元素のうち1種以上のイオン、ならびにAlイオ
ンを原子レベルで均一に混合した溶液を作製する工程 2)前記溶液にアルミナ粉末を添加するとともに、メデ
ィアにて攪拌し、アルミナ粉末の表面にZr−Al系水
酸化物を被着させた準原料粉体を作製する工程 3)前記準原料粉体を300〜1000℃で仮焼きし、
表面に正方晶及び/又は立方晶からなるジルコニアが被
着された原料粉体を得る工程 4)前記原料粉体に溶媒とバインダーを添加して造粒体
を作製し、これを所定形状に成形したあと1450〜1
650℃で焼成する工程
詳述する。
的に正方晶及び/又は立方晶の結晶相を有する微細なジ
ルコニア、特に正方晶のジルコニアが、アルミナ質焼結
体中の粒界及びアルミナ結晶中に分散してなり、ジルコ
ニアの分散状態が極めて均一であることを特徴とする。
般的に粒内破壊であることから、アルミナ結晶中に、正
方晶及び/又は立方晶の結晶相を有するジルコニア、特
に正方晶からなるジルコニアを分散させておくことによ
り、外部応力に対して正方晶ジルコニアを単斜晶に相変
態させ、この時に生じるマイクロクラックにより外部の
破壊エネルギーを吸収して粒内破壊を抑制することがで
きる。しかも、ジルコニアをアルミナ結晶中にも分散さ
せたことにより、高価なジルコニアの含有量を少量とし
ても粒内破壊を充分に抑制することができるとともに、
ジルコニアには焼成時におけるアルミナの粒成長を抑制
する作用があることから、緻密でかつ高強度を有する安
価なアルミナ質焼結体とすることができる。
コニアが実質的に正方晶及び/又は立方晶の結晶相から
なるとは、焼結体中に含有する全ジルコニア量に対し、
正方晶及び/又は立方晶の結晶相を有するジルコニアの
占める割合が90mol%以上であることを言う。即
ち、焼結体中の全ジルコニア量に対し、正方晶及び/又
は立方晶の結晶相を有するジルコニアの占める割合が9
0mol%未満であると、正方晶ジルコニアが相変態し
たとしても外部応力を十分に吸収しきれず、アルミナ質
焼結体の抗折強度を向上させることができないからであ
る。
/立方晶の結晶相を有するジルコニアが占める割合は、
X線回折法にて測定することができる。
ピーク強度と正方晶ジルコニア及び/又は立方晶ジルコ
ニアのピーク強度を測定し、数1に示す式から算出すれ
ば良い。
て均一に分散するとは、アルミナ質焼結体の表面を、中
心線平均粗さ(Ra)で0.2μm以下の鏡面に仕上
げ、その表面の走査型電子顕微鏡(SEM)による反射
電子像を画像解析した時のジルコニアの占有面積率と、
焼結体中におけるジルコニアの含有率との比が0.8以
上であることを言う。
均一に分散していれば、一定のジルコニア量に対し、走
査型電子顕微鏡(SEM)による反射電子像を画像解析
した時のジルコニアの占有面積率が大きくなるため、ジ
ルコニアの占有面積率とジルコニアの含有率との比を見
ることでジルコニアの分散状態を確認することができ
る。そして、このジルコニアの占有面積率とジルコニア
の含有率との比が0.8未満であると、ジルコニアの分
散状態が十分ではないため、70kgf/mm2を越え
る抗折強度を得ることができないからである。
よる反射電子像を画像解析すると、アルミナ質焼結体中
のジルコニア粒子は白色に見え、アルミナ粒子は黒色又
は灰色に見える。その為、ジルコニアの占有面積率を求
めるには、これらのコントラストの差を利用すれば良
く、ニレコ製のLUZEX−FSと呼ばれる画像解析装
置を用い、3.32409×102 μm2 の画像測定範
囲内に見られる白色のコントラストが明瞭な表層部にあ
るジルコニア粒子が占める面積率を求め、この作業を任
意の10箇所で測定した面積率の平均値として算出す
る。なお、画像解析において、白色に見える粒子がジル
コニアであるかどうかは、波長分散型X線マイクロアナ
ライザー分析(EPMA)により定性分析し、その元素
を同定すれば良い。
ナ結晶中に分散するジルコニアの平均結晶粒子径は0.
1〜1.0μmとし、かつアルミナの平均結晶粒子径は
0.5〜2.0μmとすることが重要である。
1.0μmより大きくなると、アルミナの結晶粒子径に
対して大きくなり過ぎるため、アルミナ質焼結体そのも
のの特性を劣化させ、70kgf/mm2 を越える抗折
強度を実現することができないからであり、逆に、平均
結晶粒子径が0.1μm未満のジルコニアを得ることは
製造上難しいからである。
μmより大きくなると、強度低下を招き、70kgf/
mm2 を越える抗折強度を得ることができず、逆に、ジ
ルコニアが分散したアルミナの平均結晶粒子径を0.5
μm未満とすると、焼結体の緻密化が阻害されるからで
ある。
上させるには、焼結体中におけるジルコニアの含有量も
重要な要件となる。
は、焼結時におけるアルミナ結晶の粒成長を充分に抑制
することができないため、70kgf/mm2 を越える
抗折強度を得ることができず、ジルコニアの含有量が2
0重量%より多くなるとジルコニアの含有量が多くなり
過ぎるために高価なものとなってしまうとともに、アル
ミナ結晶中に多量のジルコニアが分散することになるた
め、アルミナ質焼結体そのものの特性を劣化させ、抗折
強度を低下させてしまうからである。
コニアの含有率は、0.5〜20重量%の範囲で含有す
ることが良い。
としてシリカが含まれることがあるが、シリカ(SiO
2 ) はアルミナの粒成長促進剤として働き、アルミナの
結晶粒子径が大きくなるとともに、結晶粒子の形状が不
揃いなものとなり、微結晶で結晶粒子の揃ったアルミナ
質焼結体を得ることができなくなる。そして、シリカの
含有率が0.05重量%を越えると、70kgf/mm
2 を越える抗折強度を実現することができない。その
為、シリカの含有量は0.05重量%以下とすることが
重要である。
を若干含有させることもできるが、これらの焼結助剤は
多くとも1重量%以下とし、残部が実質的にアルミナか
らなるものであれば良い。
体の製造方法について図1に示すフローチャートをもと
に説明する。
るには、まず、ジルコニアを構成するためにZrイオン
を、ジルコニアを部分安定化させるためにMg、Ca、
Y、希土類元素のうち1種以上のイオンを、アルミナ結
晶中にジルコニアを微細な粒径で分散させるためにAl
イオンをそれぞれ添加し、均一に混合された溶液を作製
する。具体的には水溶性のジルコニウム塩と、Mg、C
a、Y、希土類元素等の安定化成分のうち1種以上から
なる塩、ならびにアルミニウム塩を水に溶解させて溶液
とする。
オンと安定化成分のイオンとの合計と、Alイオンとの
比が、酸化物の重量換算で95:5〜60:40となる
ように添加することが好ましく、さらに安定化成分のイ
オンは、Zrイオンに対する酸化物換算で0.5mol
%以上となるように添加することが必要がある。特に、
前記安定化成分が、Zrイオンに対する酸化物換算で
0.5mol%未満であると、アルミナ質焼結体中にお
ける全ジルコニア量に対し、正方晶及び/又は立方晶の
ジルコニアが占める割合を90mol%以上とできない
からである。
さらにアンモニアを添加して中和反応させることによ
り、アルミナ粉体の表面にZr−Al系水酸化物が被着
した準原料粉末を作製するのであるが、この中和反応と
同時にボールミルやビーズミルにてアルミナの凝集体を
解砕することが重要である。
集体を作り易いため、中和反応させると、凝集体の表面
にのみZr−Al系水酸化物が被着されたものとなり、
ジルコニアの分散性が不十分となるのであるが、中和反
応と同時にアルミナ凝集体を解砕することで、一つ一つ
の微細なアルミナ粉体の表面にZr−Al系水酸化物が
被着した準原料粉体を得ることができる。
ボールやビーズ等のメディアとしては、アルミナ純度が
99.5%以上の高純度アルミナやジルコニア純度が9
9.5%以上の高純度ジルコニアを用いる必要がある。
これはメディアの摩耗粉が不純物として混入しても組成
に悪影響を与えないようにするためで、ボールミルやピ
ンミル等の内張りライナーについてもシリカの混入が少
ない材質を選択することが好ましく、この準原料粉体中
におけるシリカの全含有量が0.05重量%以下となる
ように調合する。
〜1000℃で仮焼きすることにより、アルミナ粉体の
表面に正方晶及び/又は立方晶のジルコニアが被着され
た原料粉体を得ることができ、この原料粉体は、ジルコ
ニアが微細なアルミナ粉体の表面に付着していることか
ら、後述する焼成時におけるアルミナの粒成長を効果的
に抑制することができる。
ンダーを添加して混練乾燥することにより造粒体を作製
し、この造粒体を一軸加圧成形法、泥しょう鋳込み法、
等軸加圧成形法、射出成形法など通常のセラミック成形
法により所定形状に成形したあと大気雰囲気あるいは水
素雰囲気中や窒素雰囲気中にて焼成する。この時、焼成
温度が1450℃未満では、焼結性が不十分であるため
に緻密化することができず、1650℃より高くなる
と、アルミナの粒成長を促進させてしまうため、いずれ
も得られたアルミナ質焼結体の抗折強度を70kgf/
mm2 より高くすることができないため、焼成温度は1
450℃〜1650℃の温度範囲で焼成する。
Y、希土類のうち1種以上のイオン、ならびにAlイオ
ンを均一に混合した溶液にアルミナ粉末を添加し、メデ
ィアによりアルミナ凝集体を解砕しつつ中和反応させた
ものを仮焼きし、微細なアルミナ粉体の表面にZr−A
l系水酸化物が被着した原料粉体を作製し、これを成
形、焼成するようにしたことから、少ないジルコニア含
有量にもかかわらず、優れた抗折強度を有するアルミナ
質焼結体を得ることができる。
明する。
量%、YCl3 ・6H2 Oを0.167重量%、AlC
l3 ・6H2 Oを1.346重量%の割合で水に混合し
て溶液を作製し、この溶液中にアルミナ粉末を86.7
89重量%添加混合してスラリーを製作した。そして、
このスラリーを、平均粒子径が0.3mm程度の高純度
ジルコニアビーズとともに、ビーズミルのベッセル内に
入れ、周速19000mm/secの速度で回転させ、
アルミナ凝集体を解砕しながら、アンモニア(28%)
を加えて中和反応させることにより、アルミナ粉体の表
面にZr(Y)−Al系水酸化物が被着した準原料粉体
を得た。
500℃程度の温度で仮焼きして粗粉砕することによ
り、アルミナ粉体の表面にZr(Y)−Al系水酸化物
が被着された原料粉体を作製した。
しての水を添加して混練乾燥することにより造粒体を作
製し、該造粒体を型内に充填して冷間静水圧成形法によ
り円柱状に成形したあと、この成形体を1550℃の大
気雰囲気中にて焼成することにより、ジルコニアを含有
してなるアルミナ質焼結体を得た。
特性について調べた。
CP発光分光分析により測定したところ、ジルコニアが
5重量%、シリカが0.03重量%、残部がアルミナか
らなるものであった。
ルミナ質焼結体の表面に研磨加工を施して中心線平均粗
さ(Ra)0.2μmの鏡面に仕上げ、その表面の反射
電子像を走査型電子顕微鏡にて撮影したところ、図2に
見られるように、ジルコニア(白色部分)が極めて均一
に分散しており、さらに反射電子像(以下、SEM像と
言う)をニレコ製のLUZEX−FSと呼ばれる画像解
析装置を用いて、3.32409×102 μm2 の画像
測定範囲内に見られるジルコニアの占有面積率を求め、
ジルコニアの含有率との比を算出したところ1.6と、
ジルコニアが極めて均一に分散していることが確認でき
た。なお、ジルコニアの占有面積率とジルコニアの含有
率との比は、任意の10箇所で測定した値の平均であ
る。
粒子径を測定したところ、アルミナの平均結晶粒子径は
1.2μm、ジルコニアの平均結晶粒子径は0.28μ
mであった。なお、平均結晶粒子径の測定は、3500
倍に拡大したSEM写真に、長さ70mmの線を任意に
10本引き、ジルコニアの平均結晶粒子径は、線上にあ
るジルコニア(白色部分)の総長さを、線上にあるジル
コニアの総個数で割り、アルミナの平均結晶粒子径は、
線上にあるアルミナ(黒色又は灰色部分)の総長さを、
線上にあるアルミナの総個数で割ることにより算出し
た。
るジルコニアの結晶状態について確認するため、X線回
折により正方晶及び/又は立方晶ジルコニアのピーク強
度と単斜晶ジルコニアのピーク強度をそれぞれ測定し、
数1により全ジルコニア量に対する正方晶及び/又は立
方晶のジルコニアが占める割合を測定したところ、9
4.2mol%と、焼結体中におけるジルコニアの大部
分が正方晶及び/又は立方晶のジルコニアであった。
のアルキメデス法に準拠して測定したところ、4.03
g/cm3 であった。
して3mm×4mm×40mmの角柱体を製作し、JI
S R 1601に準拠して、スパン幅30mm、クロ
スヘッドスピード0.5mm/minの条件にて3点曲
げ抗折強度を測定したところ、89.1kgf/mm2
を有していた。
不純物としてシリカを比較的多く含む原料を用いるとと
もに、ビーズミルによるアルミナ凝集体の解砕を行わな
い以外は実施例と同様の条件にて、アルミナ凝集体の表
面にZr(Y)−Al系水酸化物が被着された原料粉体
を作製し、この原料粉体にバインダーと溶媒としての水
を添加して混練乾燥することにより造粒体を作製し、該
造粒体を型内に充填して冷間静水圧成形法により円柱状
に成形したあと、この成形体を1600℃の大気雰囲気
中にて焼成することにより、ジルコニアを含有してなる
従来のアルミナ質焼結体を得た。
特性について調べたところ、ジルコニアが5重量%、シ
リカが0.12重量%、残部がアルミナからなる組成を
有し、全ジルコニア量に対する正方晶及び/又は立方晶
のジルコニアが占める割合が94.1%と、焼結体中に
おけるジルコニアの大部分が正方晶及び/又は立方晶の
ジルコニアであった。なお、従来のアルミナ質焼結体の
SEM写真は図3に示す通りであった。
アの含有率との比は0.74、アルミナの平均結晶粒子
径は2.6μm、ジルコニアの平均結晶粒子径は0.8
2μm、見掛け密度は4.03g/cm3 、3点曲げ抗
折強度は62.0kgf/mm2 であった。
に、本発明のアルミナ質焼結体は、従来のアルミナ質焼
結体と同じ組成を有するものの、図2のSEM写真に見
られるように、アルミナ及びジルコニアの平均結晶粒子
径がさらに小さく、また、ジルコニアの分散状態は本発
明のアルミナ質焼結体の方が明らかに均一であった。こ
のことはジルコニアの占有面積率とジルコニアの含有率
との比からも明らかである。その為、実施例のアルミナ
質焼結体は抗折強度が89.1kgf/mm2と70k
gf/mm2 を越える強度を実現することができ、優
れていた。
粉体の作製方法を用いて、アルミナ粉体の表面にZr
(Y)−Al系水酸化物が被着された原料粉体を作製
し、この原料粉体にバインダーと溶媒としての水を添加
して混練乾燥することにより造粒体を作製し、該造粒体
を型内に充填して冷間静水圧成形法により円柱状に成形
したあと、この成形体を1450℃〜1650℃の大気
雰囲気中にて焼成することにより、組成比率、ジルコニ
アの占有面積率とジルコニアの含有率との比、アルミナ
及びジルコニアの平均結晶粒子径の異なるアルミナ質焼
結体を製作し、その3点曲げ抗折強度と見掛け比重につ
いて調べる実験を行った。
正方晶及び/又は立方晶からなるジルコニアを0.5〜
20重量%、シリカを0.05重量%以下の範囲で含有
してなり、前記焼結体中のジルコニアの平均結晶粒子径
が0.1〜1.0μm、アルミナの平均結晶粒子径が
0.5〜2.0μmで、かつ前記焼結体表面の中心線平
均粗さ(Ra)を0.2μm以下とし、その表面の反射
電子像を画像解析した時のジルコニアの占有面積率と、
焼結体中のジルコニアの含有率との比が0.8以上であ
るものは、いずれも70kgf/mm2 を越える3点曲
げ抗折強度を得ることができた。
質焼結体によれば、実質的に正方晶及び/又は立方晶か
らなるジルコニアを0.5〜20重量%、シリカを0.
05重量%以下含有し、残部がアルミナからなり、焼結
体中のジルコニアの平均結晶粒子径を0.1〜1.0μ
m、アルミナの平均結晶粒子径を0.5〜2.0μmと
するとともに、前記焼結体表面の中心線平均粗さ(R
a)を0.2μm以下とし、その表面の反射電子像を画
像解析した時のジルコニアの占有面積率と、前記焼結体
中のジルコニアの含有率との比を0.8以上としたこと
から、アルミナ質焼結体でありながら70kgf/mm
2 を越える3点曲げ抗折強度を実現することができる。
a、Yおよび希土類元素のうち1種以上のイオン、なら
びにAlイオンを原子レベルで均一に混合した溶液を作
製する工程と、前記溶液にアルミナ粉末を添加するとと
もに、メディアにて攪拌し、アルミナ粉末の表面にZr
−Al系水酸化物を被着させた準原料粉体を作製する工
程と、前記準原料粉体を300〜1000℃で仮焼き
し、表面に正方晶及び/又は立方晶からなるジルコニア
が被着された原料粉体を得る工程と、前記原料粉体に溶
媒とバインダーを添加して造粒体を作製し、これを所定
形状に成形したあと1450〜1650℃で焼成する工
程とから高強度アルミナ質焼結体を製造するようにした
ことから、ジルコニアを極めて均一に分散させることが
でき、また、少ないジルコニア量でも優れた抗折強度を
有するアルミナ質焼結体を安価に製造することができ
る。
ロセスを示すフローチャート図である。
写真である。
Claims (2)
- 【請求項1】実質的に正方晶及び/又は立方晶からなる
ジルコニアを0.5〜20重量%、シリカを0.05重
量%以下含有し、残部がアルミナからなる高強度アルミ
ナ質焼結体であって、前記焼結体中のジルコニアの平均
結晶粒子径が0.1〜1.0μm、アルミナの平均結晶
粒子径が0.5〜2.0μmであり、かつ前記焼結体表
面の中心線平均粗さ(Ra)を0.2μm以下とすると
ともに、表面の反射電子像を画像解析した時のジルコニ
アの占有面積率と、前記焼結体中のジルコニアの含有率
との比が0.8以上であることを特徴とする高強度アル
ミナ質焼結体。 - 【請求項2】下記1〜4の工程からなる高強度アルミナ
質焼結体の製造方法。 1)Zrイオンと、Mg、Ca、Yおよび希土類元素の
うち1種以上のイオン、ならびにAlイオンを原子レベ
ルで均一に混合した溶液を作製する工程 2)前記溶液にアルミナ粉末を添加するとともに、メデ
ィアにて攪拌し、アルミナ粉末の表面にZr−Al系水
酸化物を被着させた準原料粉体を作製する工程 3)前記準原料粉体を300〜1000℃で仮焼きし、
表面に正方晶及び/又は立方晶からなるジルコニアが被
着された原料粉体を得る工程 4)前記原料粉体に溶媒とバインダーを添加して造粒体
を作製し、これを所定形状に成形したあと1450〜1
650℃で焼成する工程
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15299899A JP4331825B2 (ja) | 1999-05-31 | 1999-05-31 | 高強度アルミナ質焼結体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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