JP2532024B2 - 耐摩耗性ジルコニア質焼結体 - Google Patents

耐摩耗性ジルコニア質焼結体

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JP2532024B2
JP2532024B2 JP5170100A JP17010093A JP2532024B2 JP 2532024 B2 JP2532024 B2 JP 2532024B2 JP 5170100 A JP5170100 A JP 5170100A JP 17010093 A JP17010093 A JP 17010093A JP 2532024 B2 JP2532024 B2 JP 2532024B2
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利夫 河波
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性に優れたジル
コニア質焼結体に関する。本発明によるジルコニア質焼
結体は、適度な硬度、美麗な研磨面などのジルコニア質
焼結体の一般的な性質を具備しているのみならず、耐摩
耗性、耐衝撃圧壊性などにも著るしく優れているので、
粉砕機用部材、産業用耐摩耗構造材等として広い分野で
利用できる。
【0002】
【従来技術とその問題点】現在粉砕機としては、転動ボ
ールミル、サンドミル、アトライター、振動ミル、ハン
マーミル、ジェットミル、ロッドミル、ローラミル、乳
鉢と乳棒との組合わせなどの各種のものが広く使用され
ている。これらの粉砕機は、ボール、ロールなどの粉砕
媒体(メディア)を使用して主として摩擦および衝撃圧
壊力により粉砕を行なう装置、並びに粒子を高速運動さ
せて、その衝撃および圧壊力により粉砕を行なう装置に
大別される。
【0003】従来これらの粉砕機の内張材、メディアな
どの摩耗しやすい部材には、粉砕すべき対象物の種類に
応じて、天然石、磁器、アルミナ、ガラス、ゴム、プラ
スチックス、スチール、めのうなどが使用されている。
しかしながら、これらの材料は、一般に摩耗し易かった
り、或いはそれ自身の硬度が高すぎるために、互いに接
触する相手部材(例えば、内張材に対するメディア、メ
ディアとメディアなど)を損耗させて、被粉砕物中に摩
耗粉が混入することが多い。しかるに、この混入摩耗粉
の分離は、困難であるため、工程の簡略化および製品純
度の点で、大きな障害となっている。従って、例えば、
スチール製部材を使用する場合には、脱鉄工程を付設し
たり、或いはアルミナの粉砕を行なうに際しては同質の
アルミナ製部材を使用したり、若干量の摩耗粉の混入が
許容される材料(ゴム、プラスチックスなど)製の部材
を使用するなどの工夫がなされている。しかしながら、
最新の技術分野、例えばセラミックス、電子材料、コー
ティング材料、粉体材料などの各分野においては、微粉
砕工程で混入する被粉砕物中の微量成分およびその微構
造が、被粉砕物の物性、品質管理、信頼性などに大きな
影響を及ぼすことが明かとなってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐摩耗性お
よび耐衝撃圧壊性に優れており且つ適度の硬度を有して
いるため、粉砕機用部材として損耗率の低いジルコニア
質焼結体を得ることを目的とする。
【0005】本発明は、更に、耐摩耗性、耐衝撃圧壊性
等にも優れた一般的な産業用耐摩耗構造材として有用な
ジルコニア質焼結体を得ることも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の如き
技術の現状に鑑みて鋭意研究を進めた結果、Y23を含
むジルコニア質焼結体において、特定量のAl23及び
SiO2を含有させ、且つY23の含有量、結晶系の構
成、平均結晶粒径を適切に制御するとともに、従来のジ
ルコニア質焼結体に比して気孔率を低下させる(換言す
れば、従来のジルコニア質焼結体に比して大きなかさ密
度を付与する)場合には、損耗率の極めて低いジルコニ
ア質焼結体が得られることを見出した。
【0007】すなわち、本発明は、下記の耐摩耗性ジル
コニア質焼結体を提供するものである: (a)Yを2.0モル%以上4.0モル%以下、
Al0.2重量%以上1.0重量%以下及びS
iO0.04重量%以上1.0重量%以下含有し、 (b)該焼結体の結晶構造が鏡面仕上げした焼結体表面
で単斜晶系ジルコニアを実質的に含まず、且つ焼結体を
熱処理し徐冷した後、粉砕処理で単斜晶系に変化する正
方晶系ジルコニアを30%以上含み、残余が等軸晶系ジ
ルコニアからなり、 (c)該焼結体の平均結晶粒径が2.5μm以下であ
り、 (d)該焼結体のかさ密度が5.98g/cm以上で
あり、 (e)粉砕用メディアとしての形態の上記焼結体のボー
ルミルによる損耗率が0.1%以下であることを特徴と
する耐摩耗性ジルコニア質焼結体。
【0008】本発明のジルコニア質焼結体は、以下に説
明する各要件を備えていることを必須とする。
【0009】(1)Y23を2.0 モル%以上4.0 モル%
以下含有している。Y23の含有量が2.0 モル%未満で
ある場合には、焼結体製造時にすでに単斜晶系ZrO2
を生成しやすい。この単斜晶系ZrO2が生成する場合
には、転移による大きな容積変化を伴うので、焼結体中
に亀裂を生じる。したがって、この様な焼結体を粉砕機
用部材として使用する場合には、摩擦、衝撃、圧壊など
に対する抵抗力が不十分となるため、耐摩耗性が低く、
損耗量が大きくなるので、好ましくない。一方、Y23
の含有量が4.0 モル%を上回ると、等軸晶系ZrO2
過剰となり、靭性の低下に伴って焼結部材自体の摩耗量
が大となり且つ摩砕粉の粉径も粗大となるので、粉砕機
用部材としては不適である。また、この様な靭性の低い
材料は、産業用耐摩耗構造材としても不適である。
【0010】 更に、Al0.2重量%以上
1.0重量%以下及びSiO0.04重量%以上
1.0重量%以下含有している。この範囲のAl
及びSiOは、焼結剤としての効果が大きく、焼結温
度の低下を可能にし、かさ密度を高くすることができる
効果がある。
【0011】(2)鏡面仕上面に単斜晶系ZrO2を実
質的に含まず、且つ焼結体を熱処理し徐冷した後、粉砕
処理で単斜晶系に変化する正方晶系ZrO2を30%以上
含んでいる。正方晶系ZrO2の含有量は、40%以上で
あることが好ましく、さらに50〜80%の範囲にあること
がより好ましいが、この範囲を超えても実用上は差支え
ない。正方晶系ZrO2の含有量が30%未満である場合
には、等軸晶系ZrO2が過剰となるか或いは焼結体の
物性を損なう程度の単斜晶系ZrO2が生成するので、
上記(1)に示したような難点を生ずる。
【0012】なお、一般に正方晶と等軸晶との正確な分
離は困難であるため、本発明における正方晶系ZrO2
の含有量は、以下の方法により測定した。
【0013】(イ)焼結体の表面を600 メッシュのダイ
ヤモンド砥石で研削した後、1 〜5μmのダイヤモンド
砥石により鏡面に仕上げ、その表面のX線回折法による
強度比(面積比)から単斜晶系ZrO2の含有量を測定
する。単斜晶系ZrO2の含有量は、ガーヴィーら(R.
C.Garvie et al)がジャーナル オブ アメリカン セ
ラミックス ソサエティー(J.Am.Ceram.Soc.)、55[6
]1972, 第303 〜305 頁に報じている下式で示される
Xm(%)により定めた。
【0014】
【数1】
【0015】 上記式において、Im(111)は、単
晶系ジルコニアの(111)面のX線回折線の強度を
示し、
【0016】
【数2】
【0017】 は、単晶系ジルコニアの
【0018】
【数3】
【0019】面のX線回折線の強度を示し、Ict(1
11)は、等軸晶系と正方晶系ジルコニア(111)の
X線回折線の強度を示す。
【0020】(ロ)次いで、上記試料を電気炉中で1500
℃で300 時間保持した後、徐冷し、乳鉢で粉砕して10μ
m以下の粒とし、上記(イ)と同様のX線回折法で単斜
晶系ZrO2の含有量を測定する。
【0021】(ハ)次いで、上記10μm以下の粒を電気
炉中500 ℃で1000時間保持した後、徐冷し、乳鉢で5 μ
m以下に粉砕し、上記(イ)と同様のX線回折法で単斜
晶系ZrO2の含有量を測定する。
【0022】(ニ)次いで、(ロ)および(ハ)で得ら
れた単斜晶系ZrO2含有量のうちの大きい方の値から
(イ)の値を差し引き、得られた値をもって正方晶系Z
rO2の含有量とする。これは、(ロ)および(ハ)の
加熱粉砕処理によって増加した単斜晶系ZrO2は、処
理前の焼結体に含まれていた正方晶系ZrO2の大部分
が転移して生成したものであるとの推定に基くものであ
る。
【0023】(3)焼結体を構成するZrO2系結晶の
平均粒径は、2.5 μm以下とする。結晶の平均粒径が2.
5 μmを上回ると、焼結後の冷却過程において正方晶か
ら単斜晶に転移する駆動力が大きくなって、単斜晶系Z
rO2の量が多くなり、それに応じて正方晶系ZrO2
量が減少するとともに、正方晶の安定性が低下して、僅
かな衝撃によっても正方晶から単斜晶に転移し、摩擦、
衝撃、圧壊等に対する抵抗力が低下するので、粉砕機用
部材、産業用耐摩耗構造材等としての使用に適さなくな
る。同一組成の材料においては、結晶粒径が小なる程強
度は大となるというセラミックにおける一般原理をさら
に考え合わせると、ZrO2系結晶の平均粒径は、2 μ
m以下であることがより好ましい。
【0024】(4)焼結体のかさ密度は、5.98g/cm
3以上とする。かさ密度が5.98g/cm3未満の場合に
は、摩擦、衝撃などの外部応力に対する焼結体の破壊エ
ネルギーが小さくなり、且つ正方晶系ZrO2の安定性
を低下させる傾向が大きくなる。
【0025】(5)焼結体の損耗率は、0.1 %以下とす
る。損耗率が、0.1 %を上回る場合には、耐摩耗性が劣
り、特に焼結体を粉砕機用部材として使用する場合に
は、被粉砕物中に混入するジルコニア焼結体の摩耗粉の
量が多くなり、好ましくない。焼結体の損耗率は、より
好ましくは、0.03%以下である。なお、本願明細書にお
いて、“ボールミルによる損耗率”とは、粉砕機用メデ
ィアの形態の焼結体520gを容量400ml のアルミナ製ミル
(例えば、日本化学陶業株式会社製、材質=HD,形状
=A−3型)に入れ、水160ml を加え、室温において転
動ボールミルで100rpmで空ずり試験を行ない、48時間運
転後、メディアを取り出し、洗浄および乾燥した後、重
量を測定し、その損耗減量から算出される数値をいう。
メディアとしては、通常粒径15mmのボールを使用して測
定を行なうが、粒径、形状などが異なっても損耗率の結
果にはあまり大きな影響はない。
【0026】本発明の耐摩耗ジルコニア質焼結体は、通
常次の様にして製造される。
【0027】 ZrO中にYとして2.0モル
%以上4.0モル%以下含まれる様な割合に、Zr化合
物溶液とY化合物溶液とを均一に混合し、脱水および乾
燥した後、400〜1200℃で焙焼して平均粒径0.
5μm以下のZrO一次結晶粉体を得る。次いで、該
一次結晶粉体に所定量のAl及びSiOを添加
して湿式粉砕により分散させた後、ワックスエマルジョ
ン、PVA、CMCなどの成形助剤を加え、メカニカル
プレス、アイソスタティックプレス、鋳込み成形、押出
し成形、射出成形、造粒成形などの公知の窯業製品の成
形法により、所定の形状に成形し、必要ならば加工す
る。尚、Al供給源としては、酸化アルミニウム
はもちろんのこと水酸化アルミニウム等のアルミニウム
塩が使用できる。また、SiO供給源としては、けい
石やエチルシリケート等が使用でき、場合によってはカ
オリン等を用いることによって、AlとSiO
6の化合物の形で添加することもできる。成形体の密度
2.5g/cm程度以上とする。成形体の焼成
は、1350〜1800℃程度、より好ましくは140
0〜1750℃程度で常圧または加圧下に行ない、かさ
密度5.98g/cm 以上の焼結体とする。
【0028】本発明の耐摩耗性ジルコニア質焼結体は、
前記(1)〜(5)の要件を充足する場合には、通常Z
r含有鉱石中に随伴されており、特に規定しない限りZ
rO2の一部として取り扱われるHfO2を含有していて
も良く、さらに製造工程中に焼結助剤その他の形態で添
加または混入されることがある各種の成分 (Ti
2、Fe23、MgO、CaO、Na2Oなど)をそれ
ぞれ最高1 %程度まで含有していても良い。
【0029】また、本発明のジルコニア質焼結体の硬度
は、ロックウェルスケールA(HRA)89以上で92未
満であることが好ましい。この様な硬度を有する場合に
は、特に互いに接する相手部材をあまり傷付けず、損耗
も少なく、効率良く粉砕を行なうことができる。
【0030】
【発明の効果】本発明の耐摩耗性ジルコニア質焼結体
が、耐摩耗性、耐衝撃圧壊力などに優れている理由は、
詳らかではないが、一応次の様なものと推定される。
【0031】イ 従来公知のジルコニア質焼結体よりも
気孔率の小さい、換言すればかさ密度の高い焼結体を使
用するので、その機械的強度が大きい。
【0032】ロ 正方晶系ZrO2が均一に分散されて
いるため、破壊靭性が高い。
【0033】ハ 硬度が比較的低く(HRA89〜91程
度)、弾性率も低いので、互いに接触する相手部材(例
えば、内張材に対するメディア、メディアとメディアな
ど)をあまり傷付けず、摩耗させない。
【0034】ニ 比重が大きいので、メディアとして使
用する場合、高運動エネルギーにより高い粉砕能力を発
揮する。
【0035】ホ 化学的安定性に優れているので、粉体
および溶剤と接触した状態で応力が加わっても腐蝕、疲
労は少ない。
【0036】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明の特徴とすると
ころをより一層明確にする。
【0037】実施例1 下記第1表に示す 含有量となる様に、Zr化合
物含有溶液であるオキシ塩化ジルコニウム溶液と、Y化
合物溶液である塩化イットリウム溶液を均一に混合し
て、脱水、乾燥し、950℃で焙焼して、一次結晶の平
均粒径0.03μm以下のZrO粉末を得た。次い
で、この粉末に、下記第1表に示すAl 含有量及
びSiO 含有量となる割合で、酸化アルミニウム粉体
とエチルシリケートを添加し、湿式にて分散粉砕した
後、成形助剤としてワックスエマルジョン3重量%を加
え、アイソスタティックプレス法により、2ton/c
の圧力で成形した。成形体を第1表に示す条件で焼
結させて得た直径15mmのメディアの物性は、第2表
および後記第3表に示す通りである。試料No.1〜4
は、前記(1)〜(5)の条件をすべて満足する本発明
による焼結体であり、試料No.5〜7は、これら条件
の少なくとも1つを満たしていない比較品である。な
お、試料No.5のみは、上記一次結晶粒子に代えて、
酸化ジルコニウム粉体と酸化イットリウム粉体を所定の
含有量となる様に湿式混合し、1100℃で仮
焼して得た平均粒径0.8μmの一次結晶粒子を使用し
た。
【0038】 第 1 表 試料No. Y23 Al23 SiO2 焼成温度−焼成時間 含有量 含有量 含有量 (モル%) (重量%) (重量%) (℃) (hr) 1 2.5 0.2 0.04 1400 2 2 3.0 0.4 0.20 1420 3 3 4.0 0.8 0.02 1600 2 4 2.8 0.3 0.52 1380 3 5 3.0 1.5 0.15 1650 2 6 2.0 − 0.50 1500 3 7 2.5 0.5 1.20 1500 2 第 2 表 試料 結晶粒径 かさ密度 正方晶 等軸晶 単斜晶 HRA No. (μm) (g/cm 3 (%) (%) (%) 1 0.4 6.05 86 14 0 91.5 2 0.5 6.03 70 30 0 91.5 3 1.5 5.99 54 46 0 90.8 4 0.3 6.02 82 18 0 91.0 5 2.0 5.96 65 30 5 88.0 6 0.6 5.75 65 0 35 85.0 7 0.5 5.90 79 16 5 86.5 上記で得られた各メディア520gを容量400ml のアルミナ
製ボール(日本化学陶業株式会社製、材質=HD,形状=
A-3 型)に入れ、水160ml を加えて、100rpmで空ずり試
験を行なった。48時間運転後、メディアを取り出し、洗
浄および乾燥した後、重量を測定し、その損耗減量から
損耗率を算出した結果は、第3表に示す通りである。
【0039】 注 No.6は、焼結体に無数のクラックが発生し破壊
されていたため測定できなかった。
【0040】第3表に示す結果から、本発明によるジル
コニア焼結体からなるメディア(試料No.1〜4 )の優れ
た耐摩耗性が明らかである。
【0041】又、試料No.3から発生した摩耗粉の粒径
は、0.1 μm以下に過ぎなかった。
【0042】比較例1〜2 92%Al23からなるかさ密度3.6 g/cm3 、直径15mm
の市販メディアを実施例1と同様の空ずり試験に供した
ところ、その損耗率は、0.35%であった。
【0043】また、市販の99.5%Al23からなる
かさ密度3.92g/cm3 、直径15mmのメディアを使用して、
上記と同様のからずり試験を行なったところ、その損耗
率は、1.2 %にも達した。
【0044】なお、これらのAl23製メディアから発
生する摩耗粉の粒径は、0.2 〜0.7 μmであった。
【0045】実施例2 焼結体の直径を20mmとする以外は実施例1の試料No.3と
同様にしてメディアを得た。
【0046】得られたメディア3 kgを容量2 lのアルミ
ナ製ボールミルに入れ、けい石(20〜80メッシュ)1 kg
と水700ml とを加えて、95rpm で24時間湿式粉砕を行な
った。 粉砕されたけい石の粒径3 μmの粒子の重量
は、45%にも達する。
【0047】比較例3 92%Al23からなるかさ密度3.6 g/cm3 、直径20mm
の市販メディアを使用する以外は実施例2と同様にして
けい石の粉砕を行なった。
【0048】粉砕されたけい石の粒径8 μmの粒子の重
量は、27%に過ぎなかった。
【0049】比較例4 Y23の含有量を1.9 モル%とする以外は実施例2と同
様にしてメディアを得た。
【0050】焼成完了時にすでにメディア表面に多数の
クラックが発生しており、これをけい石の湿式粉砕に使
用したところ、脱落した多数のジルコニア質破片がけい
石中に混入していた。
【0051】実施例3 実施例1のNo.2と同様の一次結晶粉体を使用して成形原
料を調製し、アイソスタティックプレス法により1.5ton
/cm2 の圧力で成形を行なって、外径120mm、内径91m
mの乳鉢およびこれに見合う乳棒を製造した。乳鉢およ
び乳棒と被砕物とが接する面はGC砥石で研磨しておい
た。成形体の焼成時間および温度、並びに焼成後の結晶
粒径、かさ密度および正方晶含有量は、第1表の試料N
o.2のそれらと同様である。
【0052】 上記で得られた乳鉢および乳棒を用い
て、100〜150メッシの電融アルミナ(SiO
有量0.02%)10gを手で擂潰させ、指頭に粒子を
感じない程度で粉砕した。
【0053】化学分析により被砕物中のZrO2含有量
を定量したところ、0.008 %以下であった。
【0054】比較例5 市販のめのう製乳鉢および乳棒(寸法はいずれも実施例
3のものと同じ)を用いて実施例3と同様の粉砕操作を
行なったところ、被砕物中にはめのうの主成分であるS
iO2が0.05%含まれていた。
【0055】実施例4 実施例1のNo.2と同様の一次結晶粉体を使用して成
形原料を調製し、回転式造粒機により直径6mmの球に
成形した後、1500℃で2時間焼成して、メディアを
得た。得られたメディアの結晶粒径は0.6μm、かさ
密度は6.04g/cm、正方晶含有量は60%であ
り、HRAは、91.3であった。
【0056】該メディア5kg を容量4.9 lのアトライタ
(三井三池製作所製)にチャージし、さらに水1.3 lお
よびけい砂1.3kg を投入して、アジテータの回転数200r
pmで4時間粉砕を行なった。
【0057】この場合のメディアの損耗率は、0.005%/h
r であり、被砕物の平均粒径は、1.5 μmであった。ま
た、被砕物中にはスチール製タンクからの鉄分混入は認
められなかった。
【0058】比較例6 直径6mm の市販ムライト製メディアを使用する以外は実
施例4と同様にしてけい石の粉砕を行なった。
【0059】メディアの損耗率は、0.58%/hrであり、被
砕物の平均粒径は、2.3 μmであった。
【0060】比較例7 直径6mm の市販アルミナ製メディア(Al23純度92
%)を使用する以外は実施例4と同様にしてけい石の粉
砕を行なった。
【0061】メディアの損耗率は、0.11%/hrであり、被
砕物の平均粒径は、1.8 μmであった。また、被砕物中
にはスチール製タンクからの鉄分混入が肉眼で認められ
た。 実施例5 実施例1のNo.2と同様の一次結晶粉体を使用して、外径
15.5mm、長さ45mm、円周部肉厚4mm 、先端部厚さ10mmの
一端を封じた管状の内張材を製造した。得られた管状体
を実施例4と同様のアトライタのアジテータアーム部に
はめこみ、エポキシ樹脂で固定し、実施例4と同様にし
てけい砂の粉砕を行なった。
【0062】延べ100 時間使用後においても、ジルコニ
ア製アーム内張材の表面は滑らかで光沢を有しており、
ノギスによる外径測定では寸法変化は認められなかっ
た。
【0063】比較例8 純度92%のAl23を使用する以外は実施例5と同様
にして管状の内張材を製造し、比較例7と同様にしてけ
い砂の粉砕を行なった。
【0064】延べ100 時間使用後には、円周部において
0.6mm の肉厚減少が認められた。
【0065】実施例6 ブレイド状スイングハンマーを有する中心軸を円筒体内
で高速回転させ、被砕物をその円筒体上方から供給し、
円筒体下方に配置したスクリーンから被砕物を排出する
形式のハンマーミルにおいて、12枚のハンマー先端部
の外面に厚さ8mm、巾45mm、長さ26mmのジル
コニア質焼結体内張材をそれぞれエポキシ樹脂で接合
し、8000rpmでガラス粉を粉砕する。焼結体は、
実施例1のNo.1と同様のジルコニア一次結晶粉体を
使用して、メカニカルプレス法により1ton/cm
の圧力で成形し、所定の形状に加工後、1400℃で2
時間焼成したものであり、第1表の試料No.1と同様
の各種物性を有している。
【0066】延べ400 時間の使用後においても、本発明
による内張材の損耗は極めて少なく、さらに長期の使用
が可能であると推定される。
【0067】比較例9 純度92%のAl23を使用する以外は実施例6と同様
にして内張材を製造し、ハンマーミルのハンマーに接合
した。
【0068】延べ300 時間の使用後には、損耗が著るし
く、破損、重力中心のずれによる振動発生の危険が大き
いため、それ以上の使用は不可能と判断された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B02C 17/22 B02C 17/22

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)Yを2.0モル%以上4.0
    モル%以下、Al0.2重量%以上1.0重量
    %以下及びSiO0.04重量%以上1.0重量%
    以下含有し、 (b)該焼結体の結晶構造が鏡面仕上げした焼結体表面
    で単斜晶系ジルコニアを実質的に含まず、且つ焼結体を
    熱処理し徐冷した後、粉砕処理で単斜晶系に変化する正
    方晶系ジルコニアを30%以上含み、残余が等軸晶系ジ
    ルコニアからなり、 (c)該焼結体の平均結晶粒径が2.5μm以下であ
    り、 (d)該焼結体のかさ密度が5.98g/cm以上で
    あり、 (e)粉砕用メディアとしての形態の上記焼結体のボー
    ルミルによる損耗率が0.1%以下であることを特徴と
    する耐摩耗性ジルコニア質焼結体。
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