JP2665681B2 - 1,5―アンヒドログルシトールデヒドロゲナーゼの製造法 - Google Patents

1,5―アンヒドログルシトールデヒドロゲナーゼの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は糖尿病の診断マーカーとして期待される,1,5
−アンヒドログルシトール(以下1,5AGという)の測定
に利用しうる1,5AGデヒドロゲナーゼの製造法に関す
る。1,5AGデヒドロゲナーゼは、1,5AGを基質としてNAD
を還元型NADに変換する反応を触媒する酵素である。
〔従来の技術〕
1,5AGはヒト髄液及び血漿中に存在しある種の疾患,
特に糖尿病において血漿中の量が低下することが報告さ
れている化合物である。この1,5AGを酵素による酸化反
応を用いて定量測定する事ができ,1,5AG酸化酵素の需要
が高まっている。従来の1,5AGデヒドロゲナーゼの製造
法としては例えばシュードモナス属に属する微生物を培
養し採取する方法(特開昭62−79780)等が知られてい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
NADを補酵素とし,1,5AGに高し特異性を示す1,5AGデヒ
ドロゲナーゼを効率良く生産する新規な製造法を提供す
る事である。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は下記の真菌類に属する1,5AGデヒドロゲナー
ゼ生産菌を培地に培養し,得られた菌体を破砕し菌体中
に蓄積した1,5AGデヒドロゲナーゼを採取することによ
る1,5AGデヒドロゲナーゼの製造法に関する。
本発明に使用される真菌類は1,5AGデヒドロゲナーゼ
を生産する能力を有するものであればいずれの菌株でも
良いが,モニリエラ属,プレオスポラ属,コクリオボラ
ス属,アルターナリア属,ペスタロチア属,スコピュラ
リオプシス属,ネクトリア属,カエトミウム属,ドレク
スレラ属,シリンドロセファラム属,コリネスポラ属,
クテノマイセス属,ペトリエラ属,ヒポマイセス属,タ
ラロマイセス属,オイペニシリウム属,ネオサルトリア
属,セファロスポリウム属,スポロルミエラ属,セラト
シスチス属,フィアロセファラ属,バイソクラミス属,
グロメレラ属,マイコゴネ属,カルバラリア属,シリン
ドロクラディウム属,ヒポクレア属,グリオクラディウ
ム属,ゴナトボトリウム属,エメリセロプシス属,バシ
ディオボラム属,フィアロマイセス属,ディヘテロスポ
ラ属,サブリスポラ属,ピチア属,ハンセヌラ属又はマ
イコスファエレア属に属する微生物であり,好ましくは
ペスタロチア・ディオスピリ(Pestalotia diospyri)I
FO−5282,ネクトリア・ディティッシマ(Nectria ditis
sima)IFO−5995,ドレクスレラ・ジザニエ(Drechslera
zizaniae)IFO−6632,アルターナリア・ソラニ(Alter
naria solani)IFO−7517,スポロルミエラ・インターメ
ディア(Sporormiella intermedia)IFO−8392,セラト
シスチス・コエルレッセンス(Ceratocystis coerulesc
ens)IFO−8668,マイコスファエレラ・メロニス(Mycos
phaerella melonis)IFO−8776,ネオサルトリア・オー
ラタ(Neosartorya aurata)IFO−8783,オイペニシリウ
ム・クルスタセウム(Eupenicillium crustacenm)IFO
−8938,フィアロマイセス・マクロポラス(Phialomyces
macrosporus)IFO−9323,サブリスポラ・レクチリネタ
(Subulispora rectilineata)IFO−30162,ハンセヌラ
・カリホニア(Hansenura carifonia)HUT−7321,デバ
リオマイセス・ミソ(Debaryomyces miso)HUT−7036,
ピチア・シュードポリモルア(Pichia pseudopolymorh
a)HUT−7330等があげられる。
上記微生物を培養する培地の栄養源としては微生物の
培養に通常用いられるものが広く使用され,例えば窒素
源としてペプトン,酵母エキス,肉エキス,麦芽エキ
ス,コーンスチープリカー等の窒素含有天然物及び塩化
アンモニウム,硫酸アンモニウム,リン酸アンモニウ
ム,グルタミン酸等のアミノ酸などの無機あるいは有機
の窒素化合物が使用できる。炭素源としては資化可能な
炭素化合物であれば良く,グルコース,シュークロー
ス,デキストリン,デンプン,糖蜜などが使用できる。
無機塩類としてはリン酸第一カリウム,リン酸第二カリ
ウム,硫酸マグネシウム,硫酸第一鉄,塩化ナトリウム
などが使用できる。培養は振盪あるいは通気撹拌など好
気的条件が良く,pH4〜8好ましくは5〜7,温度20〜35℃
好ましくは25〜30℃で行われる。培養期間は2〜7日通
常は3〜5日で完了する。
上記の方法で培養することにより培養物中,主に菌体
中に1,5AGデヒドロゲナーゼが生成蓄積する。培養物中
からの1,5AGデヒドロゲナーゼの採取は例えば次のよう
に行う。
培養終了後培養液を濾過して菌体を得,適当な緩衝液
中で菌体を破砕し破砕液から遠心分離等によって上清液
を得る。上清液を通常酵素精製に用いられる方法,例え
ば塩析,有機溶媒沈澱,透析,イオン交換カラムクロマ
ト,ゲル濾過等の方法を用いて処理する。以上のように
して1,5AGデヒドロゲナーゼを採取することができる。
(実施例) 実施例−1. オイペニシウム・クルスタセウムIFO−8938による1,5AG
デヒドロゲナーゼの製造 グリコース0.2%,酵母エキス0.5%,麦芽エキス1.0
%,KH2PO40.2%,NaCl0.1%,MgSO47H2O0.05%,FeSO4・7H
2O0.001%,pH6からなる培地100mlを500ml容の三角フラ
スコに分注し,120℃,15分間殺菌後オイペニシリウム・
クルスタセウムIFO−8939を一白金耳植菌し27℃で5日
間振盪培養を行った。培養液を濾過し菌体を得た。この
菌体を0.85%の食塩水で洗浄後,2倍容のトリス−塩酸緩
衝液(0.1M,pH10,15%グリセロース含有)に懸濁した。
懸濁液を冷却下でフレンチプレスにより菌体を破砕し,
破砕液を遠心分離(10000xg,10分間)して菌体残滓を除
去し粗酵素溶液を得た。この粗酵素溶液に硫酸アンモニ
ウム粉末を加え撹拌溶解させる。この時析出するタンパ
ク質を遠心分離(10000xg,10分間)し,各硫酸アンモニ
ウム画分の1,5AGデヒドロゲナーゼ活性を測定すると活
性は主に50〜80%飽和画分に存在した。
さらに上記硫安画分をトリス−塩酸緩衝液(0.1M,pH1
0,15%グリセロース含有)に溶解し透析膜を用いて脱塩
する。脱塩液をDEAEトヨパール650カラムに通して酵素
を吸着させた後NaClを0〜0.3M含むトリス−塩酸緩衝液
(0.1M,pH10)により酵素を溶出した。各溶出画分の1,5
AGデヒドロゲナーゼ活性を測定し活性画分を得た。活性
画分をアミコン社のダイアフローUF膜を用いて濃縮し酵
素液を得た。この酵素液の活性は6単位/mlであり湿菌
体1g当たり0.6単位の酵素を得た。
実施例−2 第2表に示す微生物による1,5AGデヒドロゲナーゼの製
造 実施例−1と同様の方法で微生物を培養し,培養液を
濾過し菌体を得る。この菌体を0.85%の食塩水で洗浄後
2倍容のトリス−塩酸緩衝液(0.1M,pH10,15%グリセロ
ール含有)に懸濁した。懸濁液を冷却下でフレンチプレ
スにより菌体を破砕し破砕液を遠心分離(10000xg,10分
間)して菌体残滓を除去し粗酵素溶液を得た。
実施例−3 ハンセヌラ・カリホニアHUT−7321による1,5AGデヒドロ
ゲナーゼの製造 グリコース1%,酵母エキス0.3%,麦芽エキス0.3
%,ペプトン0.5%,KH2PO40.2%,MgSO4・7H2O0.05%,Fe
SO4・7H2O0.001%,pH6から成る培地100mlを500ml容の三
角フラスコに分注し,120℃,15分間殺菌後,ハンセヌラ
・カリホニアHUT−7321を一白金耳植菌し27℃で3日間
振盪培養した。培養液を遠心分離(10000xg,10分間)し
菌体を得た。この菌体を実施例−1と同様の方法で処理
し酵素溶液を得た。
実施例−4 ピチア・カルソニーHUT−7284,ピチア・シュードポリモ
ルファHUT−7330による1,5AGデヒドロゲナーゼの製造 実施例−3と同様の方法で微生物を培養し培養液を濾
過し菌体を得た。この菌体を0.85%の食塩水で洗浄後2
倍容のトリス−塩酸緩衝液(0.1M,pH10,15%グリセロー
ル含有)に懸濁した。懸濁液を冷却下でフレンチプレス
により菌体を破砕し破砕液を遠心分離(10000xg,10分
間)して菌体残滓を除去し粗酵素溶液を得た。
(作用) 本発明で得られた1,5AGデヒドロゲナーゼは下記の性
質を示す。
1.実施例−1で得られた1,5AGデヒドロゲナーゼは下記
の性質を示す。
酵素作用 1,5AGを基質としNADを還元型NADに変換する反応を触
媒する。
基質特異性 第1表に示すように1,5AGに対して高い特異性を示し
た。
至適pH 第1図に示すように至適pHはpH9〜11である。
至適温度 第2図に示すように至適温度は30〜50℃である。
pH安定性 1単位/ml(1Mトリス−塩酸緩衝液)の酵素溶液を各p
Hで40℃,30分間処理し残存活性を本文記載の方法で測定
した。第3図に示すようにpH9〜12で安定である。
2.実施例−2で得られた1,5AGデヒドロゲナーゼは第2
表に示す基質特異性を示す。
3.実施例−3で得られた1,5AGデヒドロゲナーゼは下記
の性質を示す。
酵素作用 1,5AGを基質としNADを還元型NADに変換する反応を触
媒する。
基質特異性 第3表に示すように1,5AGに対して高い特異性を示し
た。
至適pH 第4図に示すように至適pHは9〜11である。
至適温度 第5図に示すように至適温度は30〜50℃である。
pH安定性 1単位/ml(1Mトリス−塩酸緩衝液)の酵素溶液を各p
Hで40℃,30分間処理し残存活性を本文記載の方法で測定
した。第6図に示すようにpH8〜12で安定である。
4.実施例−4で得られた1,5AGデヒドロゲナーゼは第4
表に示す基質特異性を示す。
(1,5AGデヒドロゲナーゼ活性測定法) 本発明において得られた1,5AGデヒドロゲナーゼの活
性は下記のようにして測定した。
1Mトリス−塩酸緩衝液(pH10)0.6ml,0.01M NAD0.1m
l,0.0001M MnSO40.1ml,0.5M 1,5AG0.1ml,酵素溶液0.1
mlより成る全量1.0mlの酵素含有液を35℃で30分間反応
させ340nmの吸光度の増加量を測定する。酵素一単位は
一分間に1μmolの還元型NADを生成する活性とした。
(発明の効果) 本発明は1,5AGデヒドロゲナーゼの新しい製造法を提
供するものである。本発明で得られる1,5AGデヒドロゲ
ナーゼは第1表,第3表に示される如く1,5AGに対して
高い特異性を示す。
【図面の簡単な説明】
第1図,第2図及び第3図はそれぞれ,オイペニシリウ
ム・クルスタセウムIFO−8938により製造した1,5AGデヒ
ドロゲナーゼの至適pH,至適温度,pH安定性を表すグラフ
である。第4図,第5図及び第6図はそれぞれ,ハンセ
ヌラ・カリホニアHUT−7321により製造した1,5AGデヒド
ロゲナーゼの至適pH,至適温度,pH安定性を表すグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:745) (C12N 9/04 C12R 1:84)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】モニリエラ属、プレオスポラ属、コクリオ
    ボラス属、アルターナリア属、ペスタロチア属、スコピ
    ュラリオプシス属、ネクトリア属、カエトミウム属、ド
    レクスレラ属、シリンドロセファラム属、コリネスポラ
    属、クテノマイセス属、ペトリエラ属、ヒポマイセス
    属、タラロマイセス属、オイペニシリウム属、ネオサル
    トリア属、セファロスポリウム属、スポロルミエラ属、
    セラトシスチス属、フィアロセファラ属、バイソクラミ
    ス属、グロメレラ属、マイコゴネ属、カルバラリア属、
    シリンドロクラディウム属、ヒポクレア属、グリオクラ
    ディウム属、ゴナトボトリウム属、エメリセロプシス
    属、バシディオボラム属、フィアロマイセス属、ディヘ
    テロスポラ属、サブリスポラ属、ピチア属、ハンセヌラ
    属、又はマイコスファエレラ属に属し1,5−アンヒドロ
    グルシトールデヒドロゲナーゼ生産能を有する微生物を
    栄養培地に培養し培養菌体中に、1,5−アンヒドログル
    シトールデヒドロゲナーゼを生成蓄積させこれを採取す
    る事を特徴とする1,5−アンヒドログルシトールデヒド
    ロゲナーゼの製造法。
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CN101558296B (zh) 2006-12-14 2013-12-11 日本化药株式会社 用于测定全血中的1,5-脱水葡萄糖醇的方法以及用于所述方法的传感器芯片和测定试剂盒
US8574882B2 (en) 2008-06-19 2013-11-05 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha Thermostable 1,5-anhydroglucitol dehydrogenase, and method for measurement of 1,5-anhydroglucitol by using the same
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