JP2653257B2 - 刺繍データ作成装置 - Google Patents

刺繍データ作成装置

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JP2653257B2
JP2653257B2 JP3039277A JP3927791A JP2653257B2 JP 2653257 B2 JP2653257 B2 JP 2653257B2 JP 3039277 A JP3039277 A JP 3039277A JP 3927791 A JP3927791 A JP 3927791A JP 2653257 B2 JP2653257 B2 JP 2653257B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は刺繍データ作成装置に関
するものであり、特に、一つの模様を複数の区切り模様
に分け、各区切り模様毎に個別に刺繍を施すための刺繍
データを作成する刺繍データ作成装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】刺繍を行う場合、一つの模様を複数の
切り模様に区切って行うことがある。一つの模様を前開
きの上着の左前身ごろと右前身ごろとにわたって刺繍す
る場合がその一例である。このような刺繍を行う場合、
模様の区切られた区切り模様毎に刺繍データを作成す
る。刺繍データは、例えば、模様に含まれる閉領域を三
角形あるいは四角形から成る多数のブロックに分割して
ブロック毎に刺繍を行う場合には、それらブロックを規
定するブロックデータであり、あるいは更にブロック毎
に設定された針落ち位置データである。また、閉領域
ブロックに分割しないで刺繍を行う場合には、刺繍デー
タとして針落ち位置データを作成する。いずれにして
も、模様に刺繍を施すための刺繍データを作成するに
は、模様に含まれるすべての閉領域をそれぞれ表す閉領
域輪郭データの集合である模様輪郭データが必要であ
り、模様を複数の区切り模様に区切って刺繍を行う場合
には、それら区切り模様各々について、それらに含まれ
るすべての閉領域の閉領域輪郭データの集合である区切
り模様輪郭データが必要である。従来、これら模様輪郭
データや区切り模様輪郭データはオペレータによって作
成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、複数の区切り
模様毎に区切り模様輪郭データを作成することは面倒で
あり、刺繍データの作成能率が低下する問題があった。
【0004】本発明は、一つの模様を複数の区切り模様
に分けて刺繍を施すための刺繍データを能率良く作成す
ることができる刺繍データ作成装置を提供することを
題として為されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題は、少なくとも
1つの閉領域を含む模様に刺繍を施すための刺繍データ
を作成する刺繍データ作成装置を、(a) 模様に含まれる
すべての閉領域の輪郭をそれぞれ表す閉領域輪郭データ
の集合である模様輪郭データを記憶する模様輪郭データ
記憶手段と、(b) 模様に区切り線を設定する区切り線設
定データを入力する区切り線設定データ入力装置と、
(c) その区切り線設定データ入力装置から入力された区
切り線設定データと、模様輪郭データ記憶手段に記憶さ
れた模様輪 郭データとに基づいて模様を複数の区切り模
様に区切るとともに、それら区切り模様各々に属するす
べての閉領域を表す閉領域輪郭データの各集合である複
数の区切り模様輪郭データを作成する区切り模様輪郭デ
ータ作成手段と、(d) その区切り模様輪郭データ作成手
段によって作成された各区切り模様輪郭データに基づい
て前記区切り模様各々に別個に刺繍を施すための刺繍デ
ータを自動的に作成する刺繍データ作成手段と、(e) そ
の刺繍データ作成手段によって作成された区切り模様毎
の刺繍データを、区切り模様毎に読み出し可能な状態で
記憶する刺繍データ記憶手段とを含むものとすることに
よって解決される。
【0006】ここで、模様は少なくとも1つの閉領域を
含むものであり、刺繍を施す領域を表す輪郭データは閉
領域輪郭データ,模様輪郭データ,区切り模様輪郭デー
タに分けられる。閉領域輪郭データは、1つの閉領域の
輪郭を表す座標等のデータ群であり、模様輪郭データ
は、模様に含まれるすべての閉領域の輪郭をそれぞれ表
す閉領域輪郭データの集合である。また、区切り模様輪
郭データは、模様が複数の区切り模様に区切られた場
合、各々の区切り模様に含まれるすべての閉領域の輪郭
をそれぞれ表す閉領域輪郭データの集合である。したが
って、模様が1つの閉領域から成っている場合には、模
様輪郭データと閉領域輪郭データとは同じものになる
が、模様が複数の閉領域を含む場合には、模様輪郭デー
タは複数の閉領域輪郭データを含むものとなる。同様
に、区切り模様輪郭データは閉領域輪郭データと同じに
なる場合と、複数の閉領域輪郭データを含む場合とがあ
る。 そして、本刺繍データ作成装置において区切られる
のは模様である。そのため、模様が1つの閉領域から成
っている場合には、その閉領域が区切られることになる
が、複数の閉領域を含む場合には、それらのうちの1つ
以上の閉領域上で区切られる場合と閉領域外で区切られ
る場合とがある。
【0007】
【作用】以上のように構成された刺繍データ作成装置
おいては、区切り線設定データが区切り線設定データ入
力装置から入力されれば、その入力された区切り線設定
データと模様輪郭データ記憶手段に記憶された模様輪郭
データとに基づいて模様 が区切り模様に区切られ、それ
ら区切り模様各々について区切り模様輪郭データが区切
り模様輪郭データ作成手段によって作成される。
【0008】模様が区切り線設定データに基づいて複数
の区切り模様に区切られた場合、区切られる以前の模様
と区切られた後の区切り模様とは異なる模様であり、刺
繍を施すべき領域も異なる。そのため、区切り模様毎に
刺繍を施すためには、すなわち、区切り模様各々につい
て別個に刺繍データを作成するためには、区切り模様各
々についての区切り模様輪郭データが不可欠である。区
切られる以前の模様輪郭データに基づいて区切り模様に
ついての刺繍データを作成することはできないのであ
る。本刺繍データ作成装置においては、オペレータが区
切り模様毎に区切り模様輪郭データを作成しなくても、
区切り模様毎に区切り模様輪郭データが区切り模様輪郭
データ作成手段によって作成される。
【0009】そして、その区切り模様輪郭データに基づ
いて刺繍データが刺繍データ作成手段によって自動的に
作成される。上述のように、区切られる以前の模様の模
様輪郭データと区切られた後の区切り模様の区切り模様
輪郭データとは異なるデータであるため、本来ならば、
区切り模様各々についてもブロック化条件等刺繍データ
を作成するための条件をオペレータが設定しなければな
らないが、本刺繍データ作成手段によれば、区切り模様
毎にブロック化条件等を設定する必要がないのである。
これら刺繍データは区切り模様毎に個別に読み出し可能
な状態で刺繍データ記憶手段に記憶される。例えば、こ
れら各区切り模様に対応する刺繍データが、各々の区切
り模様を表す名称や種類(以下、名称等と略称する)と
対応付けて記憶されることになり、その名称等に基づい
てその区切り模様に対応する刺繍データが個別に読み出
されるのである。
【0010】また、区切り線設定データが区切り線設定
データ入力装置からオペレータによって入力される。そ
のため、模様をオペレータの意図する位置で区切ること
ができるという利点がある。1つの模様を複数の区切り
模様に区切って、これら複数 の区切り模様毎に生地を変
えて刺繍を行う必要がある場合があるが、模様を区切る
ための区切り線設定データの入力がオペレータによって
行われるのである。 このように、本刺繍データ作成装置
においては、模様が複数の区切り模様に区切られるので
あって、区切られる以前の模様がブロックに分割される
のではない。模様をブロックに分割する場合には、その
ブロックの区切りをオペレータが直接入力することも、
ブロック毎の刺繍データをブロック毎に読み出し可能な
状態で記憶させることもないのである。
【0011】
【発明の効果】このように本発明の刺繍データ作成装置
においては、模様輪郭データとオペレータによって入力
された区切り設定データとに基づいて模様が複数の区切
り模様に区切られ、それら区切り模様各々についての区
切り模様輪郭データが作成される。そして、その区切り
模様輪郭データに基づいて区切り模様毎に別個に刺繍を
施すための刺繍データが自動的に作成され、それら刺繍
データが区切り模様毎に読み出し可能な状態で記憶され
る。したがって、模様輪郭データがもともと記憶されて
いる場合には、各区切り模様毎に輪郭データを作成する
必要がなく、また、模様輪郭データが記憶されていない
場合にも一つの模様について模様輪郭データを作成すれ
ばよく、各区切り模様毎に作成する場合に比較して作成
は容易であり、刺繍データの作成能率を向上させること
ができる。また、刺繍データが区切り模様輪郭データに
基づいて区切り模様毎に自動的に作成されるため、区切
り模様について、オペレータが刺繍データを作成するた
めの条件等を設定する必要がなくなる。そのため、オペ
レータの刺繍データ作成能率の向上を図ることが可能と
なる。 さらに、区切り設定データをオペレータが設定す
ることができるため、模様をオペレータの意図する位置
で区切ることができる。 また、刺繍データを区切り模様
毎に読み出すことができるため、本刺繍データ作成装置
によって作成された刺繍データに基づいて刺繍を行え
ば、区切り模様毎に生地を変えること等が可能となる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。図2において10はミシンテーブルであ
り、このミシンテーブル10上にはベッド12およびミ
シン機枠14が設けられている。ミシン機枠14は、ベ
ッド12から立ち上がった脚柱部16と、その脚柱部1
6の上端から片持ち状にかつベッド12にほぼ平行に延
びる上方アーム18とから成る。このミシン機枠14に
は、針棒22が針棒台(図示省略)により上下方向に移
動可能に取り付けられ、その下端部に縫針24が固定さ
れている。針棒22は針棒抱き等を介してミシンモータ
26(図3参照)に接続されており、ミシンモータ26
の駆動によって針棒22および縫針24が上下往復運動
させられる。ベッド12の上面には開口が形成されてい
る。この開口は針板30によって塞がれているが、針板
30には針孔38が形成されており、針24はこの針孔
38から針板30の下方へ突入し、図示しない釜と協力
して縫目を形成する。
【0013】また、ミシンテーブル10,ベッド12上
には、刺繍枠42がミシンの左右方向であるX軸方向
と、前後方向であるY軸方向とに移動可能に取り付けら
れている。刺繍枠42は円環状の外枠44と、外枠44
の内側に嵌められる内枠46とを有し、それら枠44,
46により加工布を保持する。外枠44にはX軸方向に
延び出すスライド部48が形成され、ミシンテーブル1
0上にY軸方向に設けられた一対のガイドパイプ50に
摺動可能に嵌合されている。これらガイドパイプ50の
両端部は支持台52,54によって支持されている。一
方の支持台52は、送りねじ56,X軸送りモータ58
によってX軸方向に移動させられるようになっており、
他方の支持台54はミシンテーブル10の上面から離間
させられている。これらスライド部48,支持台52,
54には一対の無端のワイヤ60が係合せられており、
ワイヤ60が回転伝達軸62,Y軸送りモータ64によ
って移動させられることによりスライド部48がY軸方
向に移動させられる。刺繍枠42は、支持台52のX軸
方向の移動とスライド部48のY軸方向の移動とによっ
て水平面内の任意の位置に移動させられるのであり、こ
の移動と縫針24の上下動とによって加工布に刺繍が施
される。
【0014】本ミシンは、制御装置70によって制御さ
れる。制御装置70は、図3に示すように、CPU7
2,ROM74,RAM76およびバス78等を含むコ
ンピュータを主体とするものである。バス78には入力
インタフェース80が接続され、入力インタフェース8
0にはキーボード82,外部記憶装置84が接続されて
いる。キーボード82は、刺繍を施す模様,模様をブロ
ックに分割するためのブロック化条件,糸密度等を入力
するものであり、アルファベット,数字,記号,カナ等
刺繍模様を指示するキーを始めとし、データの入力に必
要な種々のキーが設けられている。また、外部記憶装置
84には刺繍を施す模様に含まれるすべての閉領域の輪
郭をそれぞれ表す閉領域輪郭データの集合である模様輪
郭データが記憶されている。閉領域輪郭データは、座標
群,ベクトル,式等により規定される。
【0015】バス78にはまた出力インタフェース10
0が接続され、出力インタフェース100にはモータ駆
動回路104,106,108および表示駆動回路11
0を介してミシンモータ26,X軸送りモータ58,Y
軸送りモータ64および表示装置112が接続されてい
る。表示装置112はデータ入力を支援するコメントや
入力されたデータ,刺繍が施される模様の形状等を画面
に表示するものである。また、RAM76には図4に示
すように、模様データエリア114,ブロック化条件デ
ータエリア116,区切りデータエリア118,ブロッ
クデータエリア120,針落ち位置データエリア12
2,第一カウンタ124および第二カウンタ126等が
ワーキングエリア128と共に設けられている。さら
に、ROM74には、図1にフローチャートで示す区切
模様設定ルーチンおよび図5にフローチャートで示す
針落ち位置データ作成ルーチン等、刺繍を行うために必
要な種々のルーチンが格納されている。
【0016】本実施例において刺繍は、四角形あるいは
三角形を画定する4本あるいは3本の輪郭線素のうちの
2本を交互に縫目でつなぎ、輪郭線素内を縫目で埋める
ことにより行われ、模様は四角形あるいは三角形のブロ
ックに分割されて各ブロック毎に刺繍が行われる。その
ためブロック毎にブロックデータが設定される。ブロッ
クデータは、ブロックの頂点の座標データおよび頂点に
付された番号データを含む。図6に示す四角形のブロッ
ク132の場合には、縫目で互につながれる2本の輪郭
線素134のうちの一方を規定する2個の頂点に1番,
3番の符号が付され、他方の輪郭線素134を規定する
2個の頂点に2番,4番の符号が付される。この際、1
番および2番が刺繍進行方向(模様が縫目で埋められて
いく方向であり、図中矢印で示される)の一方の側に位
置し、3番および4番が他方の側に位置するように番号
データが付される。このようにブロックデータが作成さ
れたブロック132の場合、図7に示すように縫目が形
成される。また、図8に示すブロック136のように三
角形を成す場合には、3個の頂点の1個は2個の頂点が
重なり合ったものであると考えられ、四角形と同様に4
個の頂点があるものとして扱われ、縫目で互につながれ
る2本の輪郭線素138の各頂点に番号データが付され
る。ブロック136には、図9に示すように縫目が形成
される。
【0017】なお、図示は省略するが、複数のブロック
が並んで模様を形成する際、先頭のブロックを規定する
ために4個の点が必要であるが、それに続くブロックの
場合は前のブロックと2点が共通であり、2点を設定す
ればブロックを規定することができる。したがって、先
頭のブロックについて作成されたブロックデータの座標
データには4個の座標が含まれ、それら座標に1番〜4
番の番号データが付されるのに対し、続くブロックにつ
いて作成されたブロックデータの座標データには2個の
座標が含まれ、それら座標には3番,4番の番号データ
が付される。
【0018】模様は、文字や図形等、1個の閉領域から
成ることもあり、複数の閉領域から成ることもある。図
10に示す模様140は7個の閉領域142〜154が
集まって成る。以下、このような模様140を、図12
に示すように前開きの上着156の左身ごろ158と右
身ごろ160とに分ける(一つの模様を右身ごろ160
に形成されるべき第一区切り模様162と、左身ごろ1
58に形成されるべき第二区切り模様164とに分類す
る)とともに、各閉領域をそれぞれブロックに分割して
刺繍を施す場合の針落ち位置データの作成について図5
および図1に示すフローチャートに基づいて詳細に説明
する。
【0019】まず、ステップS1(以下、S1と略記す
る。他のステップについても同じ。)において模様輪郭
データが外部記憶装置84から読み込まれて模様データ
エリア114に格納される。模様140を構成する7個
の閉領域142〜154の輪郭はそれぞれ、基準座標面
上における座標値により規定され、それら座標値が構成
順序に従った値に変換され、各閉領域142〜154を
表す閉領域輪郭データとして外部記憶装置84に格納さ
れており、それら閉領域輪郭データが読み込まれるので
ある。次いでS2が実行され、各閉領域142〜154
をブロックに分割する際のブロック化条件が入力されて
ブロック化条件データエリア116に格納される。ブロ
ック化条件とは、縫いの種類(相対向する2本の輪郭線
素を複数の縫目から成る縫目線で交互につなぐたたみ縫
を行うか、1個の縫目から成る縫目線で交互につなぐサ
テン縫を行うか),閉領域毎の刺繍の始点および終点,
複数の閉領域の縫い順等、模様をブロックに分割するた
めに必要な条件等である。表示装置112にブロック化
条件を入力すべき旨のコメントが表示され、それに従っ
てオペレータが入力する。
【0020】次いでS3が実行され、模様140全体に
ついて区切りが設定される。表示装置112に区切りを
設定すべき旨のコメントと共に模様140の外形が表示
され、これを見ながらオペレータがキーボード82を操
作して設定するのであり、模様140の場合、図10に
区切り線ABで示す区切りが設定されることとする。こ
の区切りは模様140を形成する7個の閉領域142〜
154の各輪郭線を規定する基準座標面上において設定
され、区切りデータエリア118に格納される。区切り
線ABはY軸に平行な直線であり、区切り線ABを規定
するX座標が区切りデータエリア118に格納される。
続いてS4が実行され、模様140を区切ることにより
生ずる区切り模様の数Nが設定される。この区切り模様
数Nは区切り線の数,区切り線が複数の場合にはそれら
が交差しているか否かにより求められる。区切りの直線
が1本の場合には区切り模様数Nは2であり、2本であ
って交差する場合には4であり、交差しない場合には3
である。ここでは区切り線は1本であるためNは2とな
る。
【0021】区切り模様数Nの設定後、S5が実行さ
れ、模様140を構成する7個の閉領域142〜154
が区切り線ABにより2つの第一,第二区切り模様16
2,164に分けられる。この分割は図1に示す区切り
模様設定ルーチンに従って行われる。まず、S101に
おいて区切り模様数N個分の記憶エリアがワーキングエ
リア120に確保される。この記憶エリアは、区切り
毎に属する閉領域の輪郭データおよびブロック化条件
データを格納するエリアである。模様140はY軸に平
行な区切り線ABにより、X座標が区切り線ABより小
さい第一区切り模様162と大きい第二区切り模様16
との2個の区切り模様に区切られるため、ワーキング
エリア128には、いずれの区切り模様162,164
かの区別を付けて第一および第二の区切り模様用記憶エ
リア170,172が確保される。次いでS102が実
行され、閉領域数M1 が設定される。模様140は7個
の閉領域から成るためM1 =7であり、続いてS103
において第一カウンタ124のカウント値C1 が1にセ
ットされる。
【0022】次いで、S104においてC番目の閉領域
と区切り線ABとの交点算出が行われる。閉領域は座標
により規定されており、それら座標から得られる直線の
式と区切り線ABを表す式とから交点の算出が行われる
のである。そして、S105において交点があるか否か
の判定が行われる。模様140の1番目の閉領域142
は交点がないため判定はNOとなり、S106において
閉領域142が属する区切り模様が求められる。区切り
線ABを規定する座標と閉領域142を規定する座標と
に基づいて、閉領域142が第一区切り模様162と、
第二区切り模様164とのいずれに属するかが求められ
るのであり、S107においてその閉領域を規定する
領域輪郭データおよびブロック化条件データが属する区
切り模様について確保されたエリアに格納される。閉領
域142は第一区切り模様162に属するため、第一区
切り模様162について確保された記憶エリアにデータ
が格納される。そして、S108においてカウント値C
1 が1増加させられた後、S109においてC1 がM1
より大きいか否かにより、全部の閉領域について処理が
行われたか否かが判定されるが、この判定はNOであ
り、ルーチンの実行はS104に戻る。
【0023】次にS104が実行されるとき、2番目の
閉領域144について区切り線ABとの交点算出が行わ
れるが交点はなく、S105の判定はNOとなる。ま
た、第一区切り模様162に属するため、閉領域144
の輪郭データおよびブロック化条件データが第一区切り
模様用記憶エリア170に格納される。閉領域146も
区切り線ABとの交点はなく、第一区切り模様162
属するが、閉領域148は区切り線ABとの交点がある
ためS105の判定がYESとなり、S110が実行さ
れて閉領域148が区切り線ABで分割される。閉領域
148と区切り線ABとの交点の座標と、閉領域148
を規定する座標とに基づいて、閉領域148を区切り線
ABで区切って成る分割閉領域が求められるのである。
閉領域148は、図11に示すように3個の分割閉領域
148a,b,cに分割され、それらを規定する座標
は、分割閉領域毎にワーキングエリア128に格納され
る。この格納は、分割閉領域をそれぞれ規定するY座標
のうちの最大値の大きい順に行われ、最大Y座標が同じ
場合にはX座標が小さい方の分割閉領域が先に格納され
る。閉領域148の場合、分割閉領域148a,148
b,148cの順に格納される。この格納後、S111
において分割閉領域数M2 が3にセットされる。
【0024】次いでS112において第二カウンタ12
6のカウント値C2 が1にセットされた後、S113に
おいてC2 番目の分割閉領域の属する区切り模様が求め
られる。3個の分割閉領域はワーキングエリアに格納さ
れた順に読み出され、まず、分割閉領域148aについ
ていずれの区切り模様に属するかが求められる。分割閉
領域148aは第一区切り模様162に属するため、S
114において第一区切り模様用記憶エリア170に分
割閉領域148aを規定する閉領域輪郭データが格納さ
れる。そして、S115においてカウント値C2 が1増
加させられ、S116においてC2 がM2 より大きいか
否かにより、全部の分割閉領域について属する区切り
が設定されたか否かの判定が行われるが、この判定は
NOであり、ルーチンの実行はS113に戻る。次に、
分割閉領域148bについていずれの区切り模様に属す
るかが求められる。分割閉領域148bは第二区切り
様164に属するため、閉領域輪郭データが第二区切り
模様用記憶エリア172に格納される。また、分割閉領
域148cも第二区切り模様164に属し、その閉領域
輪郭データが第二区切り模様用記憶エリア172に格納
される。
【0025】分割閉領域148cの閉領域輪郭データが
第二区切り模様用記憶エリア172に格納されたならば
S116の判定がYESとなり、S117において分割
閉領域148a,b,cについてブロック化条件データ
が設定される。分割前の閉領域148について設定され
たブロック化条件データは使用できないからであり、各
閉領域毎の始点および終点ならびに閉領域間の縫い順が
設定される。分割閉領域を規定する座標のうち、Y座標
が最も大きい座標が始点とされ、最も小さい座標が終点
とされる。このような座標が2個以上ある場合には、X
座標の小さい方の座標が始点および終点とされる。ま
た、縫い順は、分割閉領域148b,cのように同じ区
切り模様に複数の分割閉領域が属する場合には、最大の
Y座標が大きい分割閉領域から順に刺繍が行われるよう
に設定される。これらブロック化条件データは、各分割
閉領域を規定する閉領域輪郭データと共に各区切り模様
用記憶エリア170,172に格納される。このよう
に、本実施例においては、これらブロック化条件データ
がオペレータによって第一区切り模様162,第二区切
り模様164各々について入力されなくても設定される
のである。
【0026】次にS104が実行されるとき、閉領域1
50について区切り線ABとの交点算出が行われるが、
交点はなく、また、閉領域150は第二区切り模様16
に属するため、その閉領域輪郭データおよびブロック
化条件データが第二区切り模様用記憶エリア172に格
納される。閉領域152,154についても同様であ
り、閉領域154について処理が行われればS109の
判定がYESとなり、区切り模様設定ルーチンの実行が
終了する。第一区切り模様用記憶エリア170には、2
つの区切り模様のうちX座標の小さい方の第一区切り模
様162の第一区切り模様輪郭データが閉領域140〜
146,分割閉領域148aの各々の閉領域輪郭データ
の集合として記憶されるとともに、これらに対応するブ
ロック化条 件データが記憶され、第二区切り模様用記憶
エリア172には、X座標の大きい方の第二区切り模様
164の第二区切り模様輪郭データが閉領域150〜1
54,分割閉領域148b,cの各々の閉領域輪郭デー
タの集合として記憶されるとともに、これらに対応する
ブロックが条件データが記憶されるのである。その後、
針落ち位置データ作成ルーチンのS6が実行される。
【0027】S6ではカウント値C1 が1にセットさ
れ、S7においてC番目の区切り模様の名称入力が行わ
れる。表示装置112に名称を付けるべき区切り模様
種類および名称を入力すべきコメントが表示され、オペ
レータが入力するのであり、X座標が小さい方の区切り
模様から順に名称が付され、その区切り模様について確
保された記憶エリアの先頭アドレスと対応付けてワーキ
ングエリアに格納される。区切り線ABよりX座標の小
さい第一区切り模様162について名称が入力されれば
S8が実行され、カウント値C1 が1増加させられた
後、S9において全部の区切り模様に名称が入力された
か否かの判定が行われるが、この判定はNOであり、ル
ーチンの実行はS7に戻る。
【0028】区切り線ABよりX座標が大きい第二区切
模様164についても名称が入力されればS9の判定
がYESとなり、S10において区切り模様毎に、その
区切り模様に含まれる閉領域の各々が閉領域輪郭データ
およびブロック化条件データに基づいてブロックに分割
され、ブロックデータが作成されてブロックデータエリ
ア120に格納される。これら区切り模様毎に作成され
たブロックデータが、それぞれ異なるエリアに記憶され
るのである。第一区切り模様162に対応するブロック
データは、第一ブロックデータエリア180に前述のS
7〜9において入力された第一区切り模様162を表す
名称等第一区切り模様162を表す名称等とともに記憶
され、第二区切り模様164に対応するブロックデータ
は、第二ブロックデータエリア182に上述と同様に第
二区切り模様164の名称等とともに記憶される。この
分割は本出願に係る特願平1−279381号に記載の
手段により行われるため、詳細な説明は省略する。分割
後、S11において糸密度データに基づいて針落ち位置
が設定されて針落ち位置データエリア122に格納され
る。同様に、第一区切り模様162に対応する針落ち位
置データは、第一針落ち位置データエリア184に第一
区切り模様162の名称等とともに記憶され、第二区切
り模様164に対応する針落ち位置データは、第二針落
ち位置データエリア186にそれの名称等とともに記憶
されるのである。このように、区切り模様輪郭データお
よびブロック化条件データ等に基づいて第一,第二区切
り模様162,164各々について別個に刺繍を施すた
めの刺繍データが作成され、個別に読み出し可能な状態
で記憶されるのである。なお、糸密度は、単位距離内の
針落ち数あるいは針落ち間隔で表され、縫目線によりつ
ながれる2本の輪郭線素のいずれか、あるいは閉領域の
幅方向の中心線について設定される。針落ち位置を設定
する場合、糸密度が設定された線上の針落ち数が求めら
れ、その針落ち数で輪郭線素が除されて針落ち位置が設
定される。この糸密度のデータは模様140の指定と共
にオペレータにより入力され、模様データエリア114
に格納されている。
【0029】このように針落ち位置データが設定されれ
ば、オペレータによって、前述のS7〜9において入力
された第一,第二区切り模様162,164を表す名称
等が入力されるとともに、刺繍開始指令が入力されれ
ば、それに基づいてその区切り模様に対応する針落ち位
置データが順次読み出され、刺繍ミシンに送られて刺繍
が行われる。なお、針落ち位置データは針落ち位置デー
タエリア122に格納されるとともにフロッピィディス
ク等の記憶手段に記憶され、電源OFF後も残されて必
要に応じて刺繍に使用されるようにされる。
【0030】それに対して、図10に示す模様140に
おいて、区切り線が閉領域146(o)と閉領域148
(t)との間に設定された場合には、区切り線と交差す
る閉領域142〜154がないため、すべての閉領域1
42〜154についてのS105における判定がNOと
なる。すべての閉領域142〜154は分割されること
なく、模様140は、閉領域142〜146(b,r,
o)から成る第一区切り模様と、閉領域148〜154
(t,h,e,r)から成る第二区切り模様とに区切ら
れることになる。
【0031】このように本実施例の刺繍データ作成装置
によれば、複数の閉領域142〜154を含む模様14
0について設定された模様輪郭データに基づいて刺繍デ
ータとして針落ち位置データが作成される。模様140
模様輪郭データは予め作成されて外部記憶装置84に
格納されており、オペレータは模様140の区切り模様
毎に区切り模様輪郭データを作成する必要がなく、針落
ち位置データが能率良く作成される。また、本実施例で
は模様140を構成する閉領域142〜154はそれぞ
れ複数のブロックに分割されて刺繍データが作成される
が、このブロック化のための条件は、区切り前の閉領域
142〜154について設定されたブロック化条件デー
タが区切りに伴って自動的に区切られ、使用されるとと
もに、分割閉領域については自動的に作成されるように
なっており、オペレータは区切り模様に属する閉領域毎
にブロック化条件データを作成し直す必要がなく、この
点においても刺繍データの作成能率が向上する効果が得
られる。また、区切り線ABがキーボード82から入力
されるようになっているため、オペレータは区切り線を
意図する位置に設定することができる。 さらに、刺繍デ
ータが第一,第二区切り模様162,164毎に、それ
ら区切り模様を表す名称等とともに記憶されるため、刺
繍データを区切り模様162,164毎に読み出すこと
が可能である。そのため、本刺繍データ作成装置によっ
て作成された刺繍データに基づいて刺繍を行えば、模様
140を前開きの上着156の左見ごろ158と右身ご
ろ160とに分けて縫うことができる。
【0032】以上のように、本実施例においては、外部
記憶装置84および制御装置70の模様データエリア1
14等によって模様輪郭データ記憶手段が構成され、キ
ーボード82によって区切り線設定データ入力装置が構
成される。また、制御装置70のS101〜116を実
行する部分等によって区切り模様輪郭データ作成手段が
構成されるとともに、制御装置70のS117,S6〜
11を実行する部分等によって刺繍データ作成手段が構
成され、制御装置70のRAM76の第一針落ち位置デ
ータエリア184,第二針落ち位置データエリア186
等によって刺繍データ記憶手段が構成されることにな
る。
【0033】なお、上記実施例において模様140はY
軸に平行な1本の区切り線ABで区切られていたが、Y
軸に平行な複数の直線、X軸に平行な直線、X軸に平行
な複数の直線、X軸およびY軸にそれぞれ平行な複数の
直線、X軸,Y軸に対して傾きを有する少なくとも1本
の直線の他、曲線によっても区切ることができる。
【0034】また、上記実施例において模様は、2個の
区切り模様が互に重ならないように区切られていたが、
複数の区切り模様の一部が重なるように区切ってもよ
い。
【0035】さらに、上記実施例においては閉領域14
2〜154をブロックに分割するとともに針落ち位置デ
ータまで作成されるようになっていたが、ブロックデー
タの作成に留め、刺繍時に針落ち位置データを作成する
ようにしてもよい。この場合にはブロックデータが刺繍
データであることとなり、刺繍データ記憶手段が、第一
ブロックデータエリア180,第二ブロックデータエリ
ア182等によって構成されることになる。
【0036】その他、特許請求の範囲を逸脱することな
く、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した
態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である刺繍データ作成装置
を備えた刺繍ミシンの制御装置の主体を成すコンピュー
タのROMに格納された区切り模様設定ルーチンを示す
フローチャートである。
【図2】 上記刺繍ミシンを上記刺繍データ作成装置と
共に示す斜視図である。
【図3】 上記制御装置の構成を示すブロック図であ
る。
【図4】 上記コンピュータのRAMの構成を示す概念
図である。
【図5】 上記コンピュータのROMに格納された針落
ち位置データ作成ルーチンを示すフローチャートであ
る。
【図6】 上記刺繍データ作成装置により刺繍データが
作成される模様を分割して成る四角形のブロックを示す
図である。
【図7】 図6に示すブロックについて形成される縫目
を示す図である。
【図8】 上記刺繍データ作成装置により刺繍データが
作成される模様を分割して成る三角形のブロックを示す
図である。
【図9】 図8に示すブロックについて形成される縫目
を示す図である。
【図10】 上記刺繍データ作成装置により刺繍データ
が作成される模様を示す図である。
【図11】 図10に示す模様が2つに区切られた状態
を示す図である。
【図12】 図10に示す模様が刺繍される上着を模様
と共に示す図である。
【符号の説明】
70 制御装置 114 模様データエリア 116 ブロック化条件データエリア 118 区切りデータエリア 120 ブロックデータエリア 122 針落ち位置データエリア 140 模様170 第一区切り模様用記憶エリア 172 第二区切り模様用記憶エリア 180 第一ブロックデータエリア 182 第二ブロックデータエリア 184 第一針落ち位置データエリア 186 第二針落ち位置データエリア

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1つの閉領域を含む模様に刺
    繍を施すための刺繍データを作成する刺繍データ作成装
    置であって、 前記模様に含まれるすべての閉領域の輪郭をそれぞれ表
    す閉領域輪郭データの集合である模様輪郭データを記憶
    する模様輪郭データ記憶手段と、 前記模様に区切り線を設定する区切り線設定データを入
    力する区切り線設定データ入力装置と、 その区切り線設定データ入力装置から入力された区切り
    線設定データと、前記模様輪郭データ記憶手段に記憶さ
    れた模様輪郭データとに基づいて前記模様を複数の区切
    り模様に区切るとともに、それら区切り模様各々に属す
    るすべての閉領域を表す閉領域輪郭データの各集合であ
    る複数の区切り模様輪郭データを作成する区切り模様輪
    郭データ作成手段と、 その区切り模様輪郭データ作成手段によって作成された
    各区切り模様輪郭データに基づいて前記区切り模様各々
    に別個に刺繍を施すための刺繍データを自動的に作成す
    刺繍データ作成手段とその刺繍データ作成手段によって作成された区切り模様
    毎の刺繍データを、区切り模様毎に読み出し可能な状態
    で記憶する刺繍データ記憶手段と を含むことを特徴とす
    る刺繍データ作成装置。
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