JP2629627B2 - 化粧パネル取付構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、家具の背面に化粧パネ
ルを取付ける化粧パネル取付構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】家具は、その背面を壁に当接したり、背
面同士を当接させて配置しているが、間仕切として背面
を露出した状態で配置することがある。そこで、このよ
うに家具本体の背面が露出している場合、美観上の理由
から、家具本体の背面に布を貼設した合板製の化粧パネ
ルを添接させて家具の背面を被覆する場合がある。この
ような化粧パネルは、垂直部と水平部とからなるＬ字形
ブラケットを用いて家具本体の背面に取着してなるもの
が一般的である。すなわち、化粧パネルの取付構造は、
Ｌ字形ブラケットの垂直部を化粧パネルの添接面の上端
にビスにて取着し、そのブラケットの水平部を家具本体
の上面に載置し、水平部と家具本体の上面と天板とに穿
設された孔が一直線上になるようにブラケット及び天板
を位置合わせをして、ビスにて化粧パネルの上側部分を
固定している。化粧パネルの下側部分は、家具本体の背
面板の下側に現場にて孔を穿設し、ビスにて固定するよ
うにしている。

【０００３】また、化粧パネル取付構造は、家具本体背
面の所定位置にスリットを形成しておき、板金製の化粧
パネルの添接面の四隅に前記スリットに係合し得る下向
きの爪を設けて、その爪をスリットに係合させるように
しているものもある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た前者の取付構造の場合は、現場での孔あけ作業や、家
具本体の上面と、Ｌ字形ブラケットと、天板とにそれぞ
れ穿設した孔同士を一直線上に並べるための位置合わせ
作業が必要であるため、現場での作業が繁雑になり、組
み立てに手間や時間を要する。また、このような化粧パ
ネルを用いた化粧パネルの取付構造であると、化粧パネ
ルは合板製であるのでかなりの厚みがあり、家具本体の
背面の後方に化粧パネルを取着するには、化粧パネルの
厚み分の奥行きがさらに必要となる。したがって、スペ
ースの有効活用を図ることができない。

【０００５】後者の取付構造の場合は、家具本体に前も
ってスリット孔を加工する必要があり、製造が複雑にな
る。また、このような化粧パネルの取付構造において
も、前者の取付構造と同様に、板金製であるにもかかわ
らず爪を覆い隠すためにかなりの厚みを有することにな
り、スペースの有効活用を図ることができない。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、このような目
的を達成するために、次のような構成を採用したもので
ある。すなわち、本発明に係る化粧パネル取付構造は、
背面と上面と下面とを有し内部に物品を収納する空間を
有してなる家具本体と、家具本体の背面を包囲する化粧
パネルと、家具本体の上面に着脱可能に載置される天板
とを備える家具の化粧パネル取付構造であって、家具本
体が、その下面の後端近傍に本体係合部を備え、化粧パ
ネルが、その上縁部に上向きの起立片を有する上折曲部
を備え、かつその下縁部に前記本体係合部に係合する係
合片を有する下折曲部を備え、天板が、家具本体の上面
に載置された際に、前記起立片が係合する係合部をその
後縁近傍に備え、前記下折曲部の係合片を本体係合部に
係合した状態で上折曲部を家具本体の上面後縁部に係止
し、前記起立片を係合部内に挿嵌した状態で天板を家具
本体に固定する。

【０００７】家具本体の好適な形態として、その側面後
端に化粧パネルの厚さよりも深い入隅凹部を備えてなる
ものを挙げることができる。その場合、化粧パネルは、
前記入隅凹部を被覆する側面を備えてなるものが望まし
い。

【０００８】化粧パネルは、板金の片面に布地を貼設し
たものが望ましい。

【０００９】

【作用】このような構成のものであれば、化粧パネル
は、家具本体の下面の後端近傍に備えてなる本体係合部
に係合片を係合させて、上折曲部を家具本体後縁に載置
すると、化粧パネルは、上下方向への移動が禁止された
状態で家具本体の背面を包囲する。そこで、家具本体に
天板を載置すると、化粧パネルの起立片が天板の係合部
に係合する。その後、ビスにて天板を家具本体に固定す
ると、化粧パネルは家具本体の背面を包囲した状態で前
後方向への移動も不可能になる。したがって、化粧パネ
ルにて家具本体の背面を包囲させて家具本体に天板を固
定するだけで、化粧パネルは家具本体に取着されること
になり、化粧パネルを取り付けるための専用の止着具を
必要としない。

【００１０】家具本体を、その側面後端に化粧パネルの
厚さよりも深い入隅凹部を設けてなるものにし、化粧パ
ネルを、入隅凹部を被覆するように側面を形成してなる
ものにすれば、化粧パネルを家具本体に取り付けた際
に、化粧パネルの側面と家具本体の側面とを面一にする
ことができる。

【００１１】化粧パネルを、板金の片面に布地を貼設し
たものにすれば、合板製の化粧パネルの厚みに比較し
て、薄いものとなる。したがって、化粧パネルを家具本
体の背面を包囲するように取着しても、家具本体が専有
する設置面積が大幅に増えることがなく、スペースの有
効活用を図りやすくなる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。

【００１３】この保管庫１は、図１に背面からの斜視図
を示すように、ベース２上に載置された家具本体３に、
本実施例の化粧パネル取付構造によって化粧パネル４を
着脱可能に取り付けてなるもので、図示しない前面には
引き出しが引き出し可能に設けてある。すなわち、この
化粧パネル取付構造が適用される家具たる保管庫１は、
背面板５と上面板６と側面板７と底板８とを有して、底
板８の後端近傍に本体係合部９を備える家具本体３と、
家具本体３の背面板５を包囲し、上縁部に上向きの起立
片１０を有する上折曲部１１を備え、かつその下縁部に
前記本体係合部９に係合する係合片１２を有する下折曲
部１３を備える化粧パネル４と、家具本体３の上面に着
脱可能に載置され、家具本体３の上面板６に載置された
際に、化粧パネル４の起立片１０が係合する係合部であ
る係合溝１４をその後縁近傍に備えてなる天板１５とを
具備してなる。

【００１４】詳しくは、ベース２は、アジャスタ１６を
介して床面に載置され、その上に家具本体３が載置され
る。図２に背面下方からの斜視図を示すように、家具本
体３を載置した際に家具本体３の背面側がベース２の後
縁よりも所定長さだけ後方に位置するように、すなわち
家具本体３の本体係合部９が露出するように奥行きを家
具本体３よりも小さく設定してある。

【００１５】家具本体３は、図１及び図３に示すよう
に、板金製の背面板５と、上面板６と、側面板７と、底
板８とを溶接して前面に開口を有する筐体で、その底板
８の後端近傍に本体係合部９を形成している。家具本体
３の側面後端には、図４に示すように、化粧パネル４が
背面板５を包囲した際に、化粧パネル４の後述する側面
部１７の外面が側面板７の外面と面一になるように深さ
が化粧パネル４の厚さよりも深い、例えば化粧パネル４
の厚さの５倍である入隅凹部１８が設けてある。すなわ
ち、背面板５の両縁及び側面板７の後縁が、例えば化粧
パネル４の厚さの約５倍の長さずつ後退して形成されて
いる。また、上面板６には、例えば２カ所に天板１５を
固定するボルト用のボルト孔１９が穿設されている。

【００１６】本体係合部９は、図２及び図３に示すよう
に、底板８の後縁部とベース２との間に家具本体３の全
幅にわたって形成される。底板８は、その後縁近傍を下
方に折曲して第１垂直部２０を形成し、その第１垂直部
２０の解放端をさらに前方に折曲して水平部２１を形成
し、その水平部２１の解放端をさらに上方に折曲して第
２垂直部２２を形成してある。このように底板８を折曲
することにより、底板８の素材端面を露出することな
く、また孔を穿設することなく、下方へ開口する本体係
合部９を形成している。

【００１７】化粧パネル４は、板金製の平板２３の背面
に布地２４を貼設したものである。化粧パネル４は、図
１に示すように、家具本体３の幅及び高さと略同一の幅
及び高さを有するパネル本体２５と、パネル本体２５の
上縁から所定長さ、すなわち天板１５の後縁から係合溝
１４までの距離と略等しい長さだけ前方に延出した上折
曲部１１と、上折曲部の解放端に設けた上向きの起立片
１０と、パネル本体２５の下縁から所定長さ、すなわち
家具本体３の背面板５から本体係合部９までの距離と略
等しい長さだけ前方に延出した下折曲部１３と、この下
折曲部１３の解放端に設けた上向きの係合片１２と、パ
ネル本体２５の両側縁を前方に緩やかに湾曲させつつ折
曲した側面部１７と、側面部１７の解放端をさらに内方
に折曲した折曲片２６とを具備してなる。

【００１８】天板１５は、家具本体３の上面板６に着脱
可能に設けられ、図３に示すように、平板状のパーチク
ルボード２７にメラミン樹脂のシート２８を貼設しその
前縁及び後縁にウレタン樹脂２９を配設したもので、後
縁に配設されたウレタン樹脂２９の後縁近傍の下面に
は、化粧パネル４の起立片１０が係合する係合溝１４を
備えてなる。係合溝１４は、起立片１０と略等しい長さ
で、化粧パネル４の厚さと略等しい幅を有する下方に開
口する溝状のものである。天板１５の下面には、天板１
５が家具本体３に載置された際に上面板６のボルト孔１
９と重合する位置にボルト３０と螺着し得るナット３１
が埋設されている。さらには、天板１５の下面の後縁か
ら係合溝１４までの間は、化粧パネル４の厚みと略等し
い厚さだけ切り欠いてある。

【００１９】次に、本実施例の化粧パネル取付構造によ
って化粧パネル４を家具本体３に取り付ける手順につい
て説明する。

【００２０】先ず、図５に模式的に示すように、化粧パ
ネル４の係合片１２を家具本体３の本体係合部９に下方
から挿入して本体係合部９に係合させる。すると、図３
に示すように、水平部２１の下面に下折曲部１３が添接
し、第２垂直部２２の前面に化粧パネル４の係合片１２
の後面が添接して、化粧パネル４は上方向への移動が禁
止される。この状態で、入隅凹部１８に側面部１７を入
れ込み、側面部１７と家具本体３の側面板７とを面一に
しておく。

【００２１】次に、図６に示すように、化粧パネル４を
回動して上折曲部１１を家具本体３の後縁に載置する。
すると、図３に示すように、化粧パネル４は下方向への
移動が禁止される。

【００２２】その後、図７に示すように、天板１５を家
具本体３の上方から上面板６に載置する。この時、天板
１５を、化粧パネル４の起立片１０が天板１５の係合溝
１４に係合するように載置し、天板１５の下面に埋設し
たナット３１が上面板６のボルト孔１９と重合するよう
に位置決めする。そして、ボルト孔１９に下方からボル
ト３０を挿入してボルト３０を天板１５の下面に埋設し
たナット３１に螺着させて、天板１５を家具本体３に固
定する。このように、天板１５が家具本体３に固定され
ることによって、化粧パネル４の起立片１０と天板１５
の係合溝１４との係合は離脱不可能になり、したがって
化粧パネル４は前後方向への移動が禁止され、化粧パネ
ル４が家具本体３に取着される。

【００２３】以上のような化粧パネルの取付構造である
と、化粧パネル４にて家具本体３の背面板５を包囲さ
せ、かつ略密着させて家具本体３に天板１５を固定する
だけで、化粧パネル４は家具本体３に取着されることに
なり、化粧パネル４を取り付けるための専用の止着具を
必要としない。したがって、部品点数を削減することが
できる。

【００２４】また、家具本体３の側面後端に化粧パネル
４の厚さよりも深い入隅凹部１８を設けて、化粧パネル
４には入隅凹部１８を被覆するように側面部１７を形成
しているので、化粧パネル４を家具本体３に取り付けた
際に、化粧パネル４の側面部１７と家具本体３の側面板
７とを面一にすることができる。

【００２５】さらに、化粧パネル４は、板金製の平板２
３の片面に布地２４を貼設したものであるので薄い。し
たがって、家具本体３の奥行きに化粧パネル４の厚みを
加えた奥行き方向の長さがあれば、化粧パネル４を取り
付けることができる。

【００２６】加えて、家具本体３をベース２に載置し、
本体係合部９をベース２の上面と家具本体３の下面の後
端近傍に形成しているので、本体係合部９は家具本体３
の下方に露出している。したがって、家具本体３を動か
すことなく、本体係合部９に係合片１２を係合すること
ができ、すなわち、化粧パネル４を取り付けることがで
きる。さらに、化粧パネル４を取り付けるにあたって、
家具本体３に化粧パネル４を取付けるための孔あけ加工
を現場にて施す必要がないので、家具本体３を設置した
後にでも、必要に応じて化粧パネル４の取り付けを容易
に行うことができる。

【００２７】なお、本発明は以上説明した実施例に限定
されるものではなく、例えば、家具本体は、フレームを
備え、該フレームに側面板と上面板と背面板とを取着し
てなるものでもよい。このような家具本体の場合、化粧
パネル４の係合片１２を係合させる係合部は、背面板と
フレームとの間に形成するものであってよい。また入隅
凹部は、背面板の側面と側面板の後面とにより形成する
ようにすればよい。

【００２８】天板としては、例えばその中央部が空洞
で、後縁が係合部となる内面を有するものであってもよ
い。このような天板の場合、化粧板の起立片は天板が家
具本体の上面に載置された際に後縁の内面に密着し、化
粧板が家具本体から離脱することを禁止する。

【００２９】その他、各部の構成は図示実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種
々変形が可能である。

【００３０】

【発明の効果】以上に詳述したように、化粧パネルにて
家具本体の背面を包囲させて家具本体に天板を固定する
だけで、化粧パネルは家具本体に取着されることにな
る。したがって、化粧パネルを取り付けるための専用の
止着具が必要なく、部品点数を削減することができる。
また、取付工程も削減できるので、取付作業を簡単かつ
迅速に行うことができる。

【００３１】また、家具本体を、その側面後端に化粧パ
ネルの厚さよりも深い入隅凹部を設けてなるものにし、
化粧パネルを、入隅凹部を被覆するように側面を形成し
てなるものにすれば、化粧パネルを家具本体に取り付た
際に、化粧パネルの側面と家具本体の側面とを面一にす
ることができる。

【００３２】さらに、化粧パネルを、板金の片面に布地
を貼設したものにすれば、合板製の化粧パネルの厚みに
比較して、薄いものとなる。したがって、化粧パネルを
家具本体の背面を包囲するように取着しても、家具本体
が専有する設置面積が大幅に増えることがなく、スペー
スの有効活用を図りやすくなる。

【００３３】化粧パネルを取り付けるにあたって、家具
本体に化粧パネルを取付けるための孔あけ加工を現場に
て施す必要がないので、家具本体を設置した後にでも、
必要に応じて容易に化粧パネルの取り付けや取り替えを
行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す背面からの分解斜視
図。

【図２】同実施例の要部を示す背面下方からの斜視図。

【図３】同実施例の縦断面図。

【図４】同実施例の横断面図。

【図５】同実施例の組立て工程図。

【図６】同実施例の組立て工程図。

【図７】同実施例の組立て工程図。

【符号の説明】

３…家具本体 ４…化粧パネル ５…背面板 ６…上面板 ７…側面板 ８…底板 ９…本体係合部 １０…起立片 １１…上折曲部 １３…下折曲部 １４…係合溝 １５…天板 １７…側面部 １８…入隅凹部 ２３…平板 ２４…布地

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】背面と上面と下面とを有し内部に物品を収
   納する空間を有してなる家具本体と、家具本体の背面を
   包囲する化粧パネルと、家具本体の上面に着脱可能に載
   置される天板とを備える家具の化粧パネル取付構造であ
   って、 家具本体が、その下面の後端近傍に本体係合部を備え、 化粧パネルが、その上縁部に上向きの起立片を有する上
   折曲部を備え、かつその下縁部に前記本体係合部に係合
   する係合片を有する下折曲部を備え、 天板が、家具本体の上面に載置された際に、前記起立片
   が係合する係合部をその後縁近傍に備え、 前記下折曲部の係合片を本体係合部に係合した状態で上
   折曲部を家具本体の上面後縁部に係止し、前記起立片を
   係合部内に挿嵌した状態で天板を家具本体に固定するこ
   とを特徴とする化粧パネル取付構造。
2. 【請求項２】家具本体が、その側面後端に化粧パネルの
   厚さよりも深い入隅凹部を備え、化粧パネルが、入隅凹
   部を被覆する側面を備えてなることを特徴とする請求項
   １記載の化粧パネル取付構造。
3. 【請求項３】化粧パネルが、板金の片面に布地を貼設し
   たものであることを特徴とする請求項２記載の化粧パネ
   ル取付構造。