JP2614428B2 - 点滴容器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は点滴容器に関し、特に、
点滴容器内に薬剤を充填するための第１の接続部と、点
滴容器から薬剤を取り出すための第２の接続部とを備え
た点滴容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】周知となっている上述した種の点滴容器
は、２枚のシート状の材料を互いに溶着してパウチ状に
形成されている。２枚のシート材料を互いに溶着した
後、パウチ内に薬剤を充填する前に、２つの接続部が接
着または溶着される。然しながら、この接着または溶着
はコストを増加させる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、こうした従
来技術の問題点を解決することを技術課題としており、
従来の点滴容器よりも低コストで製造可能な２つの接続
部を備えた点滴容器を提供することである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、首部
と、栓と、第１と第２の接続部と、カバーとを具備する
点滴容器が提供される。栓は、首部を密封するように首
部に挿入されており、かつ、該栓を貫通する第１と第２
の通路を有している。首部と栓とに、栓を首部に連結す
る係止手段が設けられている。係止手段は、噛み合うよ
うに互いに同心に配設されている。容器に内容物を充填
するための第１の接続部と、容器から内容物を取り出す
ための第２の接続部とは、栓と一体的に形成されてい
る。第１と第２の接続部は、第１と第２の通路に連結さ
れた第１と第２の支持部を具備している。カバーが前記
栓において首部に挿入されていない部分を覆い、かつ、
支持部を取り囲んで保護するように設けられている。

【０００５】上記容器の首部への栓の挿入は、容器を吹
込成形する機械にて自動的に容易に実施することが可能
である。首部と栓とを噛み合わせることにより、栓によ
り首部を容易に密閉することが可能となり、かつ、形状
的に栓を首部に対して同心に係止することが可能とな
る。上記の２つの接続部を備えた栓が、従来技術による
接着や溶着と比較して著しく低コストで首部に挿入され
る。

【０００６】他の重要な利点は、栓を挿入した後に、コ
ストを付加することなく、前記接続部を覆うように首部
に設けられた少なくとも１つの保護カバーを形成するこ
とができる点である。保護カバーと首部との間に分断線
を設けることにより、補助工具を使用することなく、保
護カバーを首部からの取り外しが容易になる。つまり、
カバーは手操作で取り外すことが可能である。更に、２
つの接続部を栓と一体的に形成することにより栓と接続
部の製造コストが低減される。

【０００７】接続部が一体的に構成されていても、接続
部を種々の要求に適合させるように構成することが可能
である。例えば、第１と第２の接続部の各々の通路の長
手方向の軸線が、栓の中心軸線を中心とする直径上の等
距離にあり、かつ、上記３つの軸線により形成される平
面内で、栓３の中心軸線に対して反対方向に同じ角度を
以て傾斜しているように構成することができる。こうの
ように構成することにより、支持部への接近（アクセ
ス）が容易になる。然しながら、上記２つの通路の長手
軸が互いに平行な２つの平面内に存在するように構成し
てもよい。好ましくは、２つの平面が栓の中心軸線に対
して対称となるように構成する。更に、２つの通路の長
手軸を互いに平行となるように構成してもよい。このと
き２つの支持部は互いに接するか或いは離隔している。

【０００８】好ましくは、２つの通路の各々は、栓およ
び支持部と一体的に形成された薄膜により閉鎖される。
薄膜に穿孔が形成された後に、薄膜の材料が該穿孔を再
び閉鎖することができない材料である場合には、薄膜に
天然ゴムまた熱可塑性のエラストマから成る層が設けら
れる。こうした材料から成る層は、自動的かつ完全に穿
孔を緊密に閉鎖することが可能である。薄膜は各通路に
１つ設ければ充分である。薄膜を通路内に設けることも
支持部内に設けることも容易である。

【０００９】保護カバーにより支持部を覆うことに加え
て、支持部の先端を取り外し可能なキャップまたは閉蓋
により閉鎖することもできる。キャップまたは閉蓋は、
好ましくはラテックスまたは熱可塑性のエラストマから
形成される。好ましい実施例において、取り外し可能な
キャップまたは閉蓋は、支持部内に突出する突出部と、
捲り返して支持部に重なる部分とを有している。

【００１０】

【実施例】点滴容器１は、押し出された管状の材料また
は２枚のシート状の材料から吹込成形法により製造され
る。点滴容器１は首部２と、首部２に挿入された円筒状
の栓３とを具備している。栓３は密封状態で軸方向に係
止されている。つまり、栓３の外周面には半径方向外側
に開いた環状の溝４が形成されており、該環状溝４が首
部２の内周面に形成された環状の突起と嵌合することに
より栓３が首部２に係止される。上記環状突起は環状溝
４よりも小さな直径にて形成されている。

【００１１】図３に示すように、首部２は、成形プロセ
スにおいて栓３の外周面に押接され、栓３の大きな直径
を有する第１の部分の外周面と係合すると共に、環状溝
４に受承されるそのビード状の突起部において栓３と係
合している。ビード状の環状突起部は環状溝４に完全に
充填されている。首部２は、また、栓３の小さな直径を
有する第２の部分の外周面および端面と、栓３の第１と
第２の部分の間の環状面と緊密とに接触している。環状
溝４と、該環状溝に受承されているビード状の環状突起
が首部２の係止手段を構成しており、栓３による首部２
の緊密な閉止に寄与している。

【００１２】栓３には通路５、６が形成されている。上
記通路の各々の長手方向の中心軸線は、栓３の長手方向
の中心軸線を中心とする直径上の等距離にあり、かつ、
上記３つの軸線により形成される平面内で、栓３の中心
軸線に対して反対方向に同じ角度を以て傾斜している。
また、３つの軸線の交点は点滴容器１の内部に存在して
いる。

【００１３】栓３の第１の部分の前方端面に支持部７、
８が形成されている。支持部７、８は通路５、６と同一
の内径を有している。通路５、６および支持部７、８
は、図示する第１の実施例のように完全に同一の内径を
有する必要はない。その形状、寸法は必要に応じて適宜
に決定される。例えば、支持部または通路の内面は外側
に向かって、好ましくは支持部の先端方向に円錐状に拡
開していてもよい。通路５および支持部７は薬物を充填
するための第１の接続部を構成している。通路６および
支持部８は容器の内容物を取り出すための第２の接続部
を構成している。

【００１４】通路５は、支持部７の反対側の先端におい
て薄膜９により密封されている。薄膜９は栓３と一体的
に形成されている。支持部８は薄膜１０により密封され
ている。薄膜１０もまた同様に一体的に形成されてい
る。栓３および薄膜９、１０を形成する材料が、薄膜
９、１０に穿孔が形成された後に、該穿孔を完全に密封
することができない材料である場合には、薄膜１０に関
連して図示するように、薄膜の一方側または両側に、穿
孔を再び確実に密封することが可能なラテックスまたは
熱可塑性のエラストマより成る層１０′を設けてもよ
い。

【００１５】栓３と、支持部７、８および薄膜９、１０
はプラスチック材料から一体的に形成される。図示する
実施例では、上記部材は成形型により一体成形される。
上記部材にはポリプロピレン等の熱可塑性のエアストマ
または硬化した材料を使用することができる。

【００１６】先端領域を閉鎖された少なくとも１つの支
持部を形成するために、図１から３に示す支持部８に対
して示す、取り外し可能なキャップまたは閉蓋１１を設
けることができる。この実施例では、閉蓋１１はラテッ
クスから形成されているが、他の材料を使用することも
できる。取り外し可能なキャップまたは閉蓋１１は、中
心に盲孔を有する第１の部分を有している。第１の部分
が支持部８に挿入され、これを密封する。閉蓋の第２の
部分は中心に盲孔を有すると共に第１の部分に対して捲
り返すことが可能であり、図２、３に示すように、支持
部８の表面に捲り返される。

【００１７】製造プロセスにおいて、点滴容器１と栓３
は首部２が完全に形成される前に固定される。首部２は
栓３に対して緊密に固化したときのみに完全に形成され
る。首部２を形成する型または道具の分割面に２つの平
坦領域１２が形成される。平坦領域１２は首部２に取着
されており、互いに首部２の直径を挟んで両外側に配設
されている。

【００１８】図３に示すように、栓３は首部２の上に張
り出している。首部２の端部は、２つの支持部７、８か
ら等距離である該支持部の長さの概ね半分の距離にあ
る。首部２の端部の薄く形成された分断線に、取外し式
の密閉部１３、１４が取着されている。図示する実施例
では、２つの密閉部１３、１４の各々に、支持部７、８
の各々を覆う保護カバー１５、１６が形成されている。
取り外し可能なキャップまたは閉蓋１１支持部に対して
正しく配置されている。一体的なハンドルまたは同様の
手段１７、１８が保護カバー１５、１６に連結されてい
る。２つの密閉部１３、１４は、首部２から独立に分離
することが可能である。

【００１９】図４、５に図示する実施例では、点滴容器
１０１は首部１０２に挿入された栓１０３を具備してい
る。栓１０３は首部１０２を密封している。首部１０２
は、半径方向外側に突出し周方向に延びる２つの環状の
リブ１０３′はもとより、軸方向にも栓１０３の形状に
適合されている。環状リブ１０３′は互いに軸方向に離
隔して設けられており、栓１０３と首部１０２との間の
緊密な連結を容易にしている。栓１０３が挿入される首
部１０２は、環状リブ１０３′と相補形状に成形されて
おり、該リブの前方表面に緊密に固定されている。環状
リブ１０３′と首部１０２の形状とにより係止手段が構
成される。

【００２０】円筒の通路１０５、１０６が栓１０３を貫
通している。通路１０５、１０６の各々の長手の中心軸
線は２つの平行な平面に延びており、かつ、図５に示す
ように、栓１０３に関して互いに対称となっている。第
１の実施例と同様に、２つの通路１０５、１０６の長手
の軸線は、栓１０３の前方表面を垂直に延びる直線に対
して同じ角度で傾斜している。２つの支持部１０７、１
０８が、各々の通路１０５、１０６の中心軸線と同心に
栓１０３の正面または端面に形成されている。栓１０３
の正面または端面は単一の平面であり、図１から図３に
示す実施例と同様に、首部１０２の上方に向かって外側
にテーパ状に形成されている。

【００２１】支持部１０７、１０８の内径は、関連する
通路の直径と同一となるように決定される。２つの支持
部１０７、１０８の各々は薄膜１０９、１１０により密
閉される。薄膜１０９、１１０の各々は、支持部の先端
から所定の距離の位置において支持部と一体的に形成さ
れている。第１の実施例と同様に、上記薄膜の一方側ま
たは両側にラテックスまたは穿孔を再び閉鎖することの
可能な他の材料から成る層が設けられる。

【００２２】首部１０２の端部において、栓１０３を覆
うように保護カバー１１５が設けられている。図４に示
すように、保護カバー１１５は支持部１０７、１０８を
覆うように設けられている。保護カバー１１５は、最終
リブ１０３′と栓１０３のテーパ状の外側前端との間領
域の壁の厚さが薄く形成された分断線１２０に連結され
ている。一例として示す実施例では、保護カバー１１５
は、該カバーの直径を挟んで両端に外方に突出する平坦
領域１１５′を有している。平坦領域１１５′は保護カ
バー１１５の取り付けを容易にすると共に、保護カバー
１１５を首部１０２に対して傾ける或いは捩じることに
よる、保護カバーの首部からの取り外しを容易にする。

【００２３】図６から図８に示す実施例は、既述した実
施例と同様に吹込成形法または真空成形法により製造さ
れる。栓２０３が、点滴容器２０１の首部２０２に挿入
される。栓２０３は２つの円筒部２０３′を有してい
る。２つの円筒部２０３′は軸線方向に平行に互いに離
隔して設けられている。円筒部２０３′は、板状に形成
された連結部２０３″により互いに連結されている。図
６に示すように、首部２０２により２つの円筒部２０
３′は囲繞されている。首部２０２は、軸方向の係止手
段を構成する環状溝２０４に受承されている。栓２０３
と首部２０２との間を密封状態に連結することにより両
者の連結が補助される。首部２０２は、また、板状の連
結部２０３″はもとより、円筒部２０３′のテーパ状の
前方端面と係合している。

【００２４】円筒部２０３′の各々の中心を通路２０
５、２０６が貫通している。円筒支持部２０７、２０８
が、通路２０５、２０６の各々に取着されている。支持
部２０７、２０８の各々の栓２０３へ取り付けられてい
る部分に、直径が大きく形成された取付部２０７′、２
０８′が設けられている。上記通路および支持部により
形成される２つの接続部を閉鎖する各薄膜は、上記の取
付部または支持部に配設することが可能である。

【００２５】取付部２０７′、２０８′は首部２０２の
端部に設けられている。首部２０２の端部に取着された
支持部２０７、２０８の各々は、保護カバー２１５、２
１６により覆われている。保護カバーは、壁の厚さが薄
く形成されている分断線２２０において首部２０２に連
結されている。２つの保護カバー２１５、２１６の各々
は、直径を挟んで両側に外方に突出する平坦領域２１２
を有している。平坦領域２１２は、保護カバー２１５、
２１６の取り付けを容易にすると共に、保護カバーを首
部２０２から取り外すとき、その取り外しを容易にす
る。この実施例では、保護カバー２１６において首部か
ら離反する端部に平坦なハンドル部材２１８が設けられ
ている。該ハンドル部材は保護カバー２１５の上方に張
り出している。

【００２６】図９から図１１に第４の実施例を示す。こ
の実施例は、支持部２０７、２０８用の保護手段の構成
において図６から図８の実施例と異なっている。従っ
て、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
支持部２０７、２０８は、単一の保護カバー３１５によ
り覆われている。保護カバー３１５は取付部２０７′、
２０８′の領域において壁が薄く形成されてた分断線に
て取着されている。図示するように、保護カバー３１５
は半円筒形の両端と平坦な側面とを有している。他の実
施例と同様に、保護カバー３１５は道具を使用すること
なく、手操作にて取り外すことが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の実施例による栓の中心軸線に沿う断面図
であり、取り外し可能なキャップまたは閉蓋と共に示す
図である。

【図２】図１の栓に取り外し可能なキャップまたは閉蓋
を取り付けた状態を示す断面図である。

【図３】図２の栓を点滴容器の首部に挿入した状態を取
外式の保護カバーと共に示す断面図である。

【図４】第２の実施例による栓を点滴容器の首部にに挿
入した状態を取外式の保護カバーと共に示す断面図であ
る。

【図５】図４において矢視線Ｖ−Ｖに沿う断面図であ
る。

【図６】第３の実施例による栓を点滴容器の首部にに挿
入した状態を取外式の保護カバーと共に示す断面図であ
る。

【図７】図６の点滴容器の部分側面図である。

【図８】図６において矢視線 VIII-VIIIに沿う断面図で
ある。

【図９】第４の実施例による栓を点滴容器の首部にに挿
入した状態を取外式の保護カバーと共に示す断面図であ
る。

【図１０】図８の点滴容器の部分側面図である。

【図１１】図９、１０の栓の平面図である。

【符号の説明】

１…点滴容器 ２…首部 ３…栓 ４…環状溝（係止手段） ５…通路 ６…通路 ７…支持部 ８…支持部 ９…薄膜 １０…ラテックス層 １１…キャップまたは閉蓋

Claims (10)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 点滴容器において、 首部と、 首部に挿入され該首部を密封する栓であって、該栓を貫
   通する第１と第２の通路を有する栓と、 係止手段、すなわち、首部と栓とを連結するために噛み
   合うように首部および栓に同心に配設された係止手段
   と、 第１の通路に接続された第１の支持部を有し、前記栓と
   一体的に設けられた、点滴容器に薬剤を充填するための
   第１の接続部と、 第２の通路に接続された第２の支持部を有し、前記栓と
   一体的に設けられた、点滴容器から薬剤を取り出すため
   の第２の接続部と、 前記栓において前記首部に挿入されていない部分を覆う
   ように設けられ、第１と第２の支持部を取り囲み保護す
   るカバーとを具備し、 第１と第２の支持部の第１と第２の長手方向中心軸線
   が、前記栓の長手方向の中心軸線を中心とする直径上の
   等距離にあり、かつ、上記３つの軸線により形成される
   平面内で栓の中心軸線に対して反対方向に同じ角度を以
   て傾斜している天敵容器。
2. 【請求項２】 第１と第２の長手方向の軸線は容器内で
   栓の中心軸線と交差している請求項１に記載の容器。
3. 【請求項３】 点滴容器において、 首部と、 首部に挿入され該首部を密封する栓であって、該栓を貫
   通する第１と第２の通路を有する栓と、 係止手段、すなわち、首部と栓とを連結するために噛み
   合うように首部および栓に同心に配設された係止手段
   と、 第１の通路に接続された第１の支持部を有し、前記栓と
   一体的に設けられた、点滴容器に薬剤を充填するための
   第１の接続部と、 第２の通路に接続された第２の支持部を有し、前記栓と
   一体的に設けられた、点滴容器から薬剤を取り出すため
   の第２の接続部と、 前記栓において前記首部に挿入されていない部分を覆う
   ように設けられ、第１と第２の支持部を取り囲み保護す
   るカバーとを具備し、 前記第１と第２の通路の長手方向の第１と第２の中心軸
   線が平行な２つの平面内で延び、かつ、反対方向に傾斜
   している点滴容器。
4. 【請求項４】 前記互いに平行な平面は、前記栓の中心
   軸線に関して対称となっており、 第１と第２の軸線が前記栓の中心軸線に関して等角度を
   以て傾斜している請求項３に記載の容器。
5. 【請求項５】 前記容器が、更に、第１と第２の接続部
   を閉鎖する第１と第２の薄膜を具備しており、該薄膜が
   前記栓および支持部と一体的に形成されている請求項１
   または３に記載の容器。
6. 【請求項６】 第１の薄膜が第１の通路の両端から所定
   の距離を以て離反している請求項５に記載の容器。
7. 【請求項７】 第１の薄膜が点滴容器内で第１の通路の
   端部に設けられている請求項５に記載の容器。
8. 【請求項８】 第１の薄膜の一方の面に天然ゴムまたは
   熱可塑性のエラストマから成る層が設けられている請求
   項５に記載の容器。
9. 【請求項９】 前記係止手段が、環状の溝と、該環状溝
   に受承され該環状溝に嵌合する環状ビードとを具備する
   請求項１または３に記載の容器。
10. 【請求項１０】 前記栓が前方端面を具備しており、前
    方端面が支持部を支持すると共に単一の半径方向の平面
    内に存在している請求項１または３に記載の容器。