JP2611633B2 - 窒化クロム膜被覆基体の製造方法 - Google Patents

窒化クロム膜被覆基体の製造方法

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JP2611633B2 JP5250662A JP25066293A JP2611633B2 JP 2611633 B2 JP2611633 B2 JP 2611633B2 JP 5250662 A JP5250662 A JP 5250662A JP 25066293 A JP25066293 A JP 25066293A JP 2611633 B2 JP2611633 B2 JP 2611633B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒化クロム膜被覆基体の
製造方法に関し、より詳しくは、基体の種類に限定され
ることなく硬質で耐食性に優れた窒化クロム膜を形成す
ることができる窒化クロム膜被覆基体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、各種基体の耐摩耗性、耐摺動
性あるいは耐食性を向上させるために、それら特性を向
上させる機能を有する膜を基体上に形成することが試み
られてきた。上記のような特性を有する膜の代表的なも
のには、各種窒化物があり、その例としては、窒化チタ
ン(TiN)、窒化ケイ素(Si34)、窒化ホウ素B
N)又は窒化クロム(CrN)等が挙げられる。中で
も、窒化クロム(CrN)は高硬度を有するとともに、
化学的安定性に優れているので、上記基体の特性向上の
ために被覆する膜種として良く利用されている。
【0003】近年、真空蒸着と窒素イオンの照射とを同
時に行うことによって、基体の上にCrN膜を形成する
方法が、例えば Ensinger,W. et al;Nuclear Instrumen
ts and Methods in Physics Research B59/60(1991),25
9-263 や、特開平5-112863号公報に述べられている。前
者の方法では、窒素イオンの入射角度を基体に対して垂
直(法線方向)とし、基体に到達するCrと窒素原子と
の組成比を調整することによって膜質が制御されてい
る。また、後者の方法においては、窒素イオンの入射角
度の時間的な平均値を基体の法線方向に対して30〜7
0°とし、イオンの加速エネルギーを0.5〜50Ke
Vとすることによって膜質が調整されている。これらの
方法によれば、窒素イオンを高い加速エネルギーで照射
することによって、基体と被覆膜との界面に、両者の構
成原子よりなる混合層が形成され、膜の密着性を向上さ
せることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特にイオン照射を利用
する方法では、照射イオンの影響により基体の温度が上
昇するため、基体に熱的な損傷が加えられやすく、用い
る基体の材質が限定されてしまうという欠点がある。従
って、この場合には、耐熱性が良好な金属等の基体しか
用いることができず、樹脂のような高分子からなる基体
を用いることができない。つまり、樹脂等による基体に
CrN膜を形成する場合には、例えば、100〜200
℃以下の温度で形成しなければならない。このために、
基体を冷却しながらイオン照射を行うことが考えられる
が、これまでに提案されてきた方法では、特に200℃
以下に基体を冷却させた場合は、膜の密着性が不十分で
実用に供せられない。
【0005】また、CrN膜は、成膜プロセスのパラメ
ーターによって、その結晶構造や密着性が大きく異なる
ことも知られている。例えば、上記に示した Ensinger,
W. et al;Nuclear Instruments and Methodsin Physics
Research B59/60(1991),259-263 の方法によりCrN
膜を成膜した場合には、柱状の結晶が基体の法線方向に
成長しやすく、緻密で硬質な膜が形成されないという欠
点を有する。
【0006】特開平5-112863号公報の方法において、実
用上充分な耐摩耗性を有するCrN膜を成膜するために
は、膜の厚みが0.5〜10μm必要とするとされ、成
膜工程における生産性が悪くなり、生産コストが増加す
るという欠点があった。一般に、基体上に形成する膜の
厚みは薄いほど、生産性の向上や生産コストの低減に有
利である。特にイオンの照射を利用する製造工程は、他
の方法に比べて工業化のための製造設備のコストが高く
なる傾向にある。従って、イオンの加速エネルギーが小
さいほど、それに要するイオン源や電源等の設備費が安
価になり、また、膜厚が薄いほど生産性が向上するが、
そのための方法はまだ提案されていないのが実状であ
る。
【0007】この発明は上記記載の課題に鑑みなされた
ものであり、イオンの加速エネルギー、イオンの入射角
度、さらにCr/N組成比の3つのパラメーターを同時
に調整することにより、低温下の成膜プロセスにおいて
も、基体に十分な密着性を有するCrN膜を被覆させる
方法を提案する。さらに、膜の生産性を向上させること
を考慮し、膜厚が薄い場合でも、実用上十分な硬度と密
着性とを有する窒化クロム膜を形成することができる窒
化クロム膜被覆基体の製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、基体上
に、クロム原子の真空蒸着と窒素イオンの照射とを行っ
て窒化クロム膜を成膜するに際して、前記基体を水冷ホ
ルダー上に設置して冷却し、窒素イオンの加速エネルギ
ーを0.1〜10KeVにすることで、前記基体の温度
を60〜200℃に保持し、少なくとも表面においてク
ロム原子と窒素原子との組成比が1.0〜3.5となる
膜を、窒素イオンを前記基体の法線方向に対して0〜3
0°の入射角度で照射しながら成膜する窒化クロム膜被
覆基体の製造方法が提供される。
【0009】本発明における製造方法は、真空蒸着とイ
オン照射とを行う方法であり、真空蒸着とイオン照射と
を同時又は交互に、あるいは真空蒸着後にイオン照射を
行ってもよく、この製造方法を実施するために用いる装
置は、真空蒸着とイオン照射とを同時に行えるものであ
れば特に限定されるものではなく、例えば、図1に示す
ような装置を用いることができる。図1において、1は
基体であり、基体1は基体ホルダー2上に載置される。
また、基体1に対向する位置に蒸発源3、イオン源4が
それぞれ配設されており、これらはすべて真空容器5内
に納められている。真空容器5には排気装置11が並設
されている。さらに、基体ホルダー2近傍には基体1へ
の蒸着原子の蒸着量をモニターすることができる膜厚モ
ニター6が、基体1へのイオンの照射量をモニターする
ことができるイオン電流測定器7がそれぞれ配設されて
いる。また、基体ホルダー2には、基体1を冷却するた
めの冷却管(図示せず)が内設されている。
【0010】このように構成される装置においては、真
空容器5は排気装置11によって、所定の真空度に排気
され、保持される。蒸発源3は電子ビーム、抵抗や高周
波によってクロム元素含有物質を加熱し、蒸気化させる
ものである。但し、クロム元素含有物質として昇華性の
物質を加熱気化させる場合には、蒸発速度が安定しない
ことがあるため、スパッタリング法を用いてもよい。ま
た、イオン源4の方式も特に限定されず、カウフマン型
やバケット型等を適宜用いることができる。これら膜厚
モニター6及びイオン電流測定器7の方式は特に限定さ
れるものではなく、例えば、膜厚モニター6としては水
晶振動子を用いたもの、イオン電流測定器7としてはフ
ァラデーカップ等を適宜用いることができる。
【0011】本発明において用いられる基体は、通常窒
化クロム膜を形成できる基体であれば特に限定されるも
のではなく、低温下で成膜できることにより、例えば、
従来より使用されてきた高速度工具鋼、超硬合金、炭素
鋼等の金属や、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素等のセラ
ミックよりなる材料を用いることができるのはもちろん
のこと、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレー
ト等のポリエチレン類、ポリイミド等の高分子よりなる
基体が用いられる。
【0012】本発明を実施するにあたっては、基体を基
体ホルダーに設置することによって真空容器内に納め、
例えば、1×10-6torr以下の真空度に排気した後、蒸
発源よりクロム含有物質を加熱し、蒸気化させることに
よって基体上に蒸着する。蒸発源より蒸気化させるクロ
ム元素含有物質としては、クロムの単体、酸化物、窒化
物、あるいは炭化物等を用いることができる。そして、
該物質の蒸着と同時または蒸着後に、イオン源より少な
くとも窒素元素を含有するイオンを照射する。この際、
照射するイオンとしては、窒素イオンを用いるのが効果
的であるが、窒素イオンと、不活性ガスイオンや水素イ
オンとを含有するもの等を用いることができる。これら
は、例えば、イオン源に窒素ガスのみ、あるいは窒素ガ
スと不活性ガスあるいは水素ガス等とを導入することに
よって得ることができる。この場合には、不活性ガスイ
オンや水素イオンによって、蒸着クロム原子が、より一
層高励化状態になるので、膜の結晶化度が向上するとい
う利点がある。
【0013】また、窒素イオンの加速エネルギーは約
0.1〜約20KeVの範囲内であり、約0.1〜約1
0KeVがより好ましい。加速エネルギーが約20Ke
Vを超えると、基体に多大な熱的な損傷が加わり、基体
種が限定されてしまったり、膜中に過大な欠陥が生成さ
れることとなる。また、約0.1KeV未満では、基体
と膜との界面に形成される混合層の形成が不十分にな
り、密着性が劣るので好ましくない。
【0014】本発明においてはさらに基体を設置する基
体ホルダーを冷却することにより、、膜を形成する際の
基体の温度を、約60〜約200℃、より好ましくは約
60〜約150℃に保持する。これによって、基体の材
質が限定されなくなる。
【0015】本発明では、低温下で膜を形成しても膜の
密着性が劣らない様にするため、イオンの入射角度を調
整する。本発明におけるイオンの入射角度は、基体上に
立てた法線に対して照射されるイオンの入射角度を意味
する。このイオン入射角度は、約0〜約30°の範囲内
であり、約0〜約20°がより好ましい。これは、イオ
ンの入射角度が、膜中に侵入するイオンの深さと相関が
あり、イオンの入射角度が約30°を超えると、膜中に
侵入するイオンの深さが浅くなり過ぎ、照射イオンが基
体原子をはじき出したり、イオンとの衝突によって蒸発
原子が基体の中に押し込まれることによって形成され
る、膜と基体との界面に形成される基体と膜の構成原子
よりなる混合層の厚みが不十分になり、膜の密着性を著
しく劣化させるからである。
【0016】本発明の製造方法においては、基体上に形
成される窒化クロム膜は、少なくとも表面において、約
1.0〜3.5となるクロム原子と窒素原子との組成比
(Cr/N組成比)を有するように、好ましくは約1.
0〜3.0となるクロム原子と窒素原子との組成比を有
するように調整することも必要である。これは、化学的
に活性なCrの性質を利用して膜の密着性を向上させる
ためである。クロム原子と窒素原子との組成比が約1.
0未満では、膜中の窒素原子の数が多くなり過ぎ、密着
性が向上しない。また、Cr/N組成比が約3.5を超
えると、膜の化学的安定性(耐食性)が劣るので好まし
くない。本発明の範囲にCr/N組成比を調整すれば、
低温下で膜を形成しても膜の密着性が劣ることはない。
なお、Cr/N組成比は、図1における膜厚モニター6
によって、基体に到達するCr原子の数を測定し、電流
測定器7によって、基体に照射されるイオンの個数を計
測することによって調整することができる。
【0017】本発明の窒化クロム膜被覆基体の製造方法
においては、上記のようなCr/N組成比を有する窒化
クロム膜を形成する前に、クロム膜を形成してもよい。
この場合のクロム膜は、膜厚約0.01〜約0.5μ
m、好ましくは約0.01〜約0.3μmである。クロ
ム膜は、単なる真空蒸着によって形成してもよいが、基
体との密着性を考慮して、クロム原子の真空蒸着による
クロム膜の形成後、あるいはクロム原子の真空蒸着と同
時に、窒素又は不活性ガスのイオンを照射しながら形成
することが好ましい。窒素イオンを照射する場合には、
Cr/N組成比が3.5以上になる様にする。基体上に
クロム膜を形成した後、窒化クロム膜を被覆する場合に
は、特にクロム膜と窒化クロム膜との界面に、両者を構
成する原子の混合層が形成されることとなるので、窒化
クロム膜の厚さ方向において、Cr/N組成比が異なる
とともに、約1.0〜3.5からはずれる窒化クロム膜
が形成される場合があるが、少なくとも窒化クロム膜の
表面において、約1.0〜3.5のCr/N組成比を有
するものであればよい。
【0018】本発明においては、Cr/N組成比が約
1.0〜3.5となる窒化クロム膜の膜厚を0.5μm
以下にすることが好ましい。本発明のような蒸着とイオ
ン照射とを併用する方法においては、膜厚が0.5μm
以上の膜にて耐摩耗性、耐食性等を発揮させることも可
能であるが、製造コストや生産効率を考慮すれば、膜厚
が薄いもので、かつ膜厚の厚いものと同等の効果を生み
出せれば、膜厚が薄くなるほど工業的に有利である。こ
の場合、膜表面におけるCr/N組成比を1.0〜3.
5にしておけば、膜の耐摩耗性、耐食性が劣化すること
は無い。
【0019】
【作用】本発明の窒化クロム膜被覆基体の製造方法によ
れば、基体上に、クロム原子の真空蒸着と窒素イオンの
照射とを行って窒化クロム膜を成膜するに際して、前記
基体を水冷ホルダー上に設置して冷却し、窒素イオンの
加速エネルギーを0.1〜10KeVにすることで、前
記基体の温度を60〜200℃に保持するために基体種
が限定されなくなる。さらに、窒素イオンを前記基体の
法線方向に対して0〜30°の入射角度で照射しながら
成膜するので、このような低温で窒化クロム膜を成膜し
た場合でも、優れた密着性が発揮されることとなる。ま
た、Cr/N組成比を1.0〜3.5とすることで、膜
の耐食性、耐摩耗性を劣化させることなく、Crの化学
的な活性を利用して、膜の密着性を向上させることがで
きる。さらに、膜表面のCr/N組成比を1.0〜3.
5にすることにより、薄い膜厚の窒化クロム膜で基体を
被覆した場合においても、1μm以上の膜厚が厚いもの
で被覆した基体と同等の耐摩耗性、耐食性が発揮される
こととなる。
【0020】
【実施例】実施例1 高速度工具鋼(SKH51:30×30×5tの平板)
からなる基体を、真空容器内に載置し、純度3NのCr
を蒸着させると共に、窒素イオンを1KeVの加速エネ
ルギーで照射した。この時、蒸発源は電子ビームを用い
たもの、イオン源はバケット型イオン源を使用し、真空
容器内は5×10-7torrに真空排気した後、イオン源に
純度5Nの窒素ガスを導入することによって、5×10
-6torrの真空度に維持した。
【0021】また、形成されたCrN膜のCr/N組成
比が2.5になるように、Crの蒸発量と照射される窒
素イオンの量を調整し、膜厚は0.2μmとなるように
成膜した。さらに、成膜中、基体が150℃に保持され
るように、基体ホルダーを水冷した。また、イオンの入
射角度は、基体表面に立てた法線より0〜20°の範囲
内になるように設定した。
【0022】比較例1 実施例1と同じ基体を用いて、窒素イオンを30KeV
の加速エネルギーで照射しながら、0.2μmの膜を形
成した。それ以外の成膜条件はすべて実施例1と同じで
あった。
【0023】比較例2 実施例1と同じ基体を用いて、Cr/N組成比が4.0
になるように0.2μmの膜を形成した。それ以外の成
膜条件はすべて実施例1と同じであった。
【0024】比較例3 実施例1と同じ基体を用いて、基体の法線に対するイオ
ンの入射角度が45度になるように0.2μmの膜を形
成した。それ以外の成膜条件はすべて実施例1と同じで
あった。
【0025】比較例4 実施例1と同じ基体を用いて、実施例1と同じ方法を用
いて5μmの膜を形成した。それ以外の成膜条件はすべ
て実施例1と同じであった。
【0026】上記実施例1及び比較例1〜4において形
成された膜の硬度を、5g荷重のマイクロビッカース硬
度計で測定し、マイクロスクラッチテスタにて密着性を
測定したところ、表1の結果を得た。
【0027】
【表1】
【0028】上記結果より、比較例1のものは加速エネ
ルギーが大きすぎ、膜の結晶成長を充分に促進させなか
ったことより、硬度が劣化し、比較例2のものは、Cr
/N組成比が大きすぎ、膜中のCrNの含有量が少なす
ぎ、同じく硬度が劣化し、また、比較例3のものは、イ
オンの入射角度が浅すぎ、入射イオンが基体表面に充分
に到達せず、その結果、膜の密着性が劣る結果になっ
た。
【0029】また、実施例1と比較例4を比べると、形
成された膜の密着性が同じことより、150℃という低
温で形成しても、膜の密着性は劣らないことが判った。
また、実施例1のものは0.2μmと薄い膜において
も、5μmと同様、充分にCrNの結晶成長を促進さ
せ、同等の膜特性を生じさせることがわかった。
【0030】
【発明の効果】本発明の窒化クロム膜被覆基体の製造方
法によれば、基体を水冷ホルダー上に設置して冷却し、
窒素イオンの加速エネルギーを0.1〜10KeVにす
ることにより、基体の温度を60〜200℃と低温に保
持することができ、よって基体種が限定されることな
く、あらゆる基体種に対して窒化クロム膜を成膜するこ
とができる。特に基体種として、高分子や樹脂の場合に
は高温下で成膜することができないので、この効果は大
きい。しかも、本発明においては、窒素イオンの入射角
度を調整することにより、低温下のプロセスで窒化クロ
ム膜を成膜した場合でも、密着性を確保することができ
る。さらに、形成される窒化クロム膜のクロム原子と窒
素原子との組成比を調整することにより耐摩耗性、耐食
性に優れたCrN膜を形成することができる。このよう
に、本発明によれば、膜厚を薄くした場合でも、高硬
度、優れた化学的安定性を有するCrN膜を基体に被覆
させることができるとともに、あらゆる基体種に、生産
性良く、安価な製造コストで、耐摩耗性、耐食性に優れ
たCrN膜を形成することができる。従って、生産性の
向上、利用できる基体材質の自由度の増大および生産コ
ストの低減化と通じて工業上大きく貢献することが可能
となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る窒化クロム膜被覆基体の製造方法
に用いる膜形成装置の要部の概略断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 基体ホルダー 3 蒸発源 4 イオン源 5 真空容器 6 膜厚モニタ 7 イオン電流モニタ 11 真空排気装置

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に、クロム原子の真空蒸着と窒素
    イオンの照射とを行って窒化クロム膜を成膜するに際し
    て、 前記基体を水冷ホルダー上に設置して冷却し、窒素イオ
    ンの加速エネルギーを0.1〜10KeVにすること
    で、前記基体の温度を60〜200℃に保持し、少なく
    とも表面においてクロム原子と窒素原子との組成比が
    1.0〜3.5となる膜を、窒素イオンを前記基体の法
    線方向に対して0〜30°の入射角度で照射しながら成
    膜することを特徴とする窒化クロム膜被覆基体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 窒化クロム膜を0.01〜0.5μm厚
    に成膜する請求項1記載の窒化クロム膜被覆基体の製造
    方法。
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