JPH06248420A - 硬質膜被覆部材 - Google Patents

硬質膜被覆部材

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JPH06248420A
JPH06248420A JP3634993A JP3634993A JPH06248420A JP H06248420 A JPH06248420 A JP H06248420A JP 3634993 A JP3634993 A JP 3634993A JP 3634993 A JP3634993 A JP 3634993A JP H06248420 A JPH06248420 A JP H06248420A
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JP
Japan
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film
hard film
substrate
rare gas
hard
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Application number
JP3634993A
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English (en)
Inventor
Koichi Yamaguchi
浩一 山口
Shigeo Nagato
栄男 永戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】基体表面に形成される硬質膜中にHe、Ne、
Ar、Kr、Xeの中から少なくとも1種の希ガス元素
を0.01〜25原子%の割合で含有せしめ、膜の表面
を弾性圧縮応力を生成させる。 【効果】硬度を高めることができるとともに基体との密
着性をも向上することができ、硬質膜被覆切削工具や摺
動部材として優れた特性が発揮される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、切削工具、摺動部品な
どに使用される硬質膜被覆部材の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、所定の基体の表面に硬質物質を周
知の薄膜手法により被覆して表面特性を向上させること
が行われている。例えば、切削工具などでは耐摩耗性が
要求されるために、例えば、超硬合金などの母材表面に
窒化チタニウム(TiN)や炭化チタニウム(TiC)
などの硬質膜を形成し、切削工具の耐摩耗性を向上させ
て工具寿命の延長を図る試みが工業的に盛んに行われて
いる。また、上記切削工具の他に摺動部材などにおいて
も摺動面に硬質膜を形成して摺動特性を改善することも
行われている。
【0003】一般にこれらの硬質膜の被覆方法として知
られるCVD法は、基体を反応室に入れて加熱し、原料
ガスを反応させて基体表面に薄膜を形成するものであ
る。しかし、基体の材質によってはCVDの加熱温度ま
で昇温できないものもあるため、比較的低温で成膜が可
能な物理蒸着法(PVD法)が試みられている。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】上記のような硬質膜
は、それ自体が高硬度であることに加え、基体との密着
性が高いことが要求されるが、硬質膜と基体との親和性
が低いものや熱膨張差が大きいものでは、被膜の基体に
対する十分な密着強度が得られないため、その部分から
剥離が生じて満足のいく機能が得られないという問題が
あった。
【0005】
【問題点を解決するための手段】本発明は上記の問題点
に対して検討を重ねた結果、基体表面に形成される硬質
膜中にHe、Ne、Ar、Kr、Xeの中から少なくと
も1種の希ガス元素を0.01〜25原子%の割合で含
有せしめることにより、膜の表面に高い弾性圧縮応力が
発生し高硬度で且つ基体との密着性に優れた硬質膜被覆
部材を提供できることを知見した。
【0006】
【作用】本発明によれば、金属炭化物、窒化物、酸化物
などからなる硬質膜中にHe、Ne、Ar、Kr、Xe
の中から選ばれる少なくとも1種の希ガス元素を所定量
含有せしめると、希ガス元素が置換原子または格子間原
子または結晶粒界原子として入ることにより硬質膜に高
い圧縮応力が与えられ、基体と膜との密着強度の向上と
同時に膜硬度も高めることができる。特に、希ガスの含
有量を膜表面に多量に存在させるとさらにその効果は顕
著である。よって、表面被覆切削工具や摺動部材などへ
の適用した場合に膜の剥離が発生しにくく、傷が入り難
くなり耐久性を改善することができる。
【0007】
【実施例】本発明における硬質膜被覆部材において、基
体表面に形成される硬質膜は、金属炭化物、窒化物、酸
化物からなるもので、具体的には周期律表第4a、5
a、6a族金属元素やAl、Siの炭化物、窒化物、酸
化物のそれぞれ単独あるいはこれら複数種の固溶体など
が挙げられ、例えばTiN、TiC、TiCN、TiO
2 、SiC、Al2 3 、Si3 4 およびTiAlN
などが用いられる。
【0008】本発明によれば、かかる硬質膜中にHe、
Ne、Ar、Kr、Xeの中から少なくとも1種の希ガ
ス元素を0.01〜25原子%の割合で含有せしめるこ
とが重要である。この希ガス元素の含有量を上記の範囲
に限定したのは、希ガス元素量が0.01原子%未満で
は本発明における作用効果が不十分となるためである。
また、希ガス元素の含有量を大きくするためには後述す
る製法から明らかなように成膜時の希ガス量を増加させ
る必要があるが、その場合反応ガス量が減少したり、成
膜時の真空度が低下するなどの弊害が生じることがあ
る。よって、希ガス元素の含有量は25原子%を上限と
することがよい。
【0009】本発明の硬質膜被覆部材は、周知のCVD
法やPVD法により成膜することができる。そこで、そ
の一例としてイオンプレーティング法と、イオンビーム
アシステッドデポジション法による成膜について説明す
る。
【0010】図1は、イオンプレーティング装置の概略
配置図である。図1のイオンプレーティング装置によれ
ば、所定の真空状態に制御された反応室1内には硬質膜
を形成する金属元素を含有する蒸着源2が設置され、蒸
着源2は所定の加熱手段により加熱されるか、または電
子ビームにより金属元素を蒸発させる。一方、反応室1
内にはガス導入口3より反応ガスが導入され、また反応
室1内にはRFコイル4によりRFプラズマを発生させ
る。これにより蒸発した金属元素が基体5の表面に蒸着
すると同時に反応ガスと反応し所定の硬質膜が形成され
る。
【0011】例えば、TiN膜を形成する場合には、蒸
着源2として金属Tiを設置し、反応ガスとしてN2
スを導入することにより基体表面にTiN膜を形成する
ことができる。この時、反応ガスとともに所定の希ガス
を導入すると、基体表面で硬質膜中に希ガス元素が導入
される。膜中の希ガス元素の含有量は希ガスの反応室へ
の導入量により容易に制御することができる。
【0012】また、図2は、イオンビームアシステッド
デポジション成膜装置の概略配置図である。図2によれ
ば、所定の真空状態に制御された反応室11内には硬質
膜を形成する金属元素、例えばTiを含有する蒸着源1
2が設置され、蒸着源12には電子ビームが照射される
ことにより金属元素を蒸発させ、基体13の表面に蒸着
する。一方、イオン源14から硬質膜形成元素、例えば
窒素原子を基体13に照射することにより基体13表面
でTiNなどの硬質膜を形成することができるが、本発
明によれば、イオン源14として窒素と希ガスとの混合
物を用いることにより硬質膜中に希ガス元素を含有せし
めることができる。
【0013】以下、本発明を具体的な実施例により説明
する。
【0014】実施例1 超硬合金チップ基体を図1のイオンプレーティング装置
の反応室1にセットし、真空ポンプにて10-6torr
まで真空引きした。金属チタニウムからなる蒸着源2を
設置し、これに電子ビームを照射し、Tiを真空蒸着す
ると同時にArガスを含むN2 ガス、あるいはArガス
を含むC2 2 ガスを表1および表2の比率で反応室1
に導入してRFコイル4でRFプラズマを発生させた。
基体5には−500eVのバイアスを印加させながらT
iN膜およびTiC膜を成膜した。
【0015】得られた膜の化学組成をマイクロオージェ
電子分光分析により測定した結果を表1および表2に示
した。また、表1、2中の硬質膜の圧縮応力はX線応力
測定装置により基体の超硬合金の応力状態から評価し
た。さらに、硬質膜のヌープ硬度を測定しその結果を表
1、2に示した。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】表1および表2から明らかなように、本発
明に基づき、希ガス元素を導入した本発明品は、全く含
まない場合に比較して表面に高い圧縮応力が生じている
とともに高いヌープ硬度を示した。
【0019】実施例2 基体13として超硬合金を用い、図2の反応室11の中
に配置し、反応室内を10-6torr以下に真空引きし
た。金属Tiからなる蒸着源12に電子ビームを照射し
て蒸発させ基体13に蒸着した。それと同時にN2 ガス
とともに希ガス(He,Ar,Kr,Xe)を表3のよ
うにイオン源14に導入してイオンビームを基体13表
面に照射し、TiN膜を形成した。ただし、希ガスの導
入はTiN膜1μm 成膜後に導入した。
【0020】得られた膜に対して化学組成をマイクロオ
ージェ電子分光分析により測定した。また、表3中の硬
質膜の圧縮応力はX線応力測定装置により基体のSiC
の応力状態から評価した。硬質膜のヌープ硬度も測定し
た。
【0021】
【表3】
【0022】表3から明らかなように、本発明の試料N
o.2〜6は、従来品である試料No.1に比較していずれ
も高い圧縮応力が生じており、硬度も向上した。
【0023】実施例3 TaC2重量%、TiC1重量%、Co9重量%含有の
WC基超硬合金製チップを基体13として図2の成膜装
置の反応室11内の上方に装着し、一方、上記の成膜装
置内の下方の蒸着源12(ルツボ)内にはTi金属を充
填した。反応室11内を1×10-4torrを保持しつ
つ、超硬合金製チップを700℃に加熱した。Ti金属
を電子ビームにより4A/secの蒸着速度で基体表面
に真空蒸着させた。また、冷陰極型のイオン源14に窒
素ガスを供給し窒素イオンを基体13に照射した。そし
て成膜直後は窒素ガスのみとしてTiN膜を1μm程度
形成した後、イオン源にArガスを窒素ガスに対する割
合が徐々に多くなるように導入し窒素イオンとArイオ
ンとを照射した。
【0024】成膜終了時での導入ガス中のArガスの比
率を表4のように0%〜40%まで変化させた。成膜時
間は2時間で膜厚は3μmにした。得られた膜に対して
スクラッチ試験により被膜の密着強度を測定した。ま
た、従来のTiN膜被覆超硬合金製チップ(実験番号1
2)と切削試験を行い切削特性の比較を行った。切削試
験は被削材SNCM439、切削速度150m/mi
n、送り0.3mm/rev、切り込み1.5mmで行
い、逃げ面摩耗が0.3mmになるまでの時間(分)で
評価した。また、膜表面の希ガス含有量と膜の残留応力
を実施例1と同様に測定した。
【0025】
【表4】
【0026】表4からわかるように、被膜中に希ガスの
Arの含有量が増加するに従って、特性が向上するのが
わかる。
【0027】実施例4 実施例1において、基体5として超硬合金チップを用
い、これに蒸着源2として金属チタンや金属アルミニウ
ムを用い、さらに反応ガスとしてメタンガスと希ガス
(TiC形成)、または窒素ガスと希ガス(TiAlN
形成)、または酸素ガスと希ガス(Al2 3 形成)と
の組み合わせにより基体表面にTiC膜、TiAlN膜
およびAl2 3 膜をおよそ3μmの厚みで成膜した。
得られた膜に対して実施例3と同様にスクラッチ試験、
膜組成、ヌープ硬度および圧縮応力を測定し、結果を表
5に示した。また、比較のために希ガスを全く含まない
膜も作成し特性の比較を行った。
【0028】
【表5】
【0029】表5の結果からも明らかなように、いずれ
の膜においても希ガスを所定量含有させることにより、
希ガスを含まない場合に比較して基体との密着性が向上
するとともに膜の硬度も向上し、切削性能も向上するこ
とがわかった。
【0030】
【発明の効果】このように本発明によれば、硬質膜中に
希ガス元素を所定量含有させることにより、硬質膜の基
体との密着性及び膜の硬度を向上させることができ、切
削工具や摺動部材などの用途において耐久性を高めるこ
とができ、その硬質膜の利用分野をさらに拡大すること
もできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるイオンプレーティング
成膜装置の概略図である。
【図2】本発明の実施例におけるイオンビームアシステ
ッドデポジション成膜装置の概略図である。
【符号の説明】
1,11 反応室 2,12 蒸着源 5,13 基体

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体表面に金属炭化物、窒化物、酸化物か
    ら選ばれる少なくとも1種からなる硬質膜を被覆してな
    る硬質膜被覆部材において、前記硬質膜中にHe、N
    e、Ar、KrおよびXeから選ばれる少なくとも1種
    以上の希ガス元素を0.01〜25原子%含有したこと
    を特徴とする硬質膜被覆部材。
  2. 【請求項2】前記硬質膜表面に弾性圧縮応力が付与され
    る請求項1記載の硬質膜被覆部材。
JP3634993A 1993-02-25 1993-02-25 硬質膜被覆部材 Pending JPH06248420A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005344148A (ja) * 2004-06-01 2005-12-15 Sumitomo Electric Ind Ltd 耐摩耗性被膜およびこれを用いた表面被覆切削工具
JP2006150583A (ja) * 2004-10-26 2006-06-15 Kyocera Corp 表面被覆体
JP2007307652A (ja) * 2006-05-18 2007-11-29 Hitachi Tool Engineering Ltd 被覆工具及びその製造方法
US7897272B2 (en) 2005-10-26 2011-03-01 Kyocera Corporation Wear-resistant structure
JP2017226887A (ja) * 2016-06-23 2017-12-28 株式会社アルバック 成膜方法

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