JP2909248B2 - 窒化硼素被覆部材 - Google Patents

窒化硼素被覆部材

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俊哉 渡辺
哲義 和田
信樹 山下
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、切削工具等に適用され
る立方晶窒化硼素皮膜あるいは、立方晶窒化硼素を含む
硬質窒化硼素皮膜を有する窒化硼素被覆部材に関する。
【0002】
【従来の技術】立方晶窒化硼素(Cubic Boron Nitride
;以下、CBNと記す)は、ダイヤモンドに次ぐ硬さ
を有すると共に、反応性が低いため、優れた耐摩耗性材
料として知られている。このCBNは、従来は高温・高
圧法でしか作製できず、且つ粒状のCBNしか合成でき
なかったため、その利用範囲は、焼結品や砥粒等に限ら
れていた。そこで、現在、利用範囲を拡大する目的で、
CBNを皮膜として合成する方法が研究されており、イ
オンを利用するPVD(物理的蒸着)法や、プラズマC
VD(化学的蒸着)法による合成が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述したPVD法やC
VD法により合成されるCBN皮膜は、いずれも基材上
あるいは基材上に形成された中間層上に直接形成された
ものであり、基材あるいは中間層と皮膜との間には明瞭
な境界が存在している。そのため、これらのCBN皮膜
はいずれも密着性が不良であり、未だ実用に耐え得る皮
膜は形成できていないのが現状である。CBN皮膜の密
着性が不良となる要因は、いずれの作製法も基本的には
非平衡反応を利用したものであり、合成されたCBN皮
膜が大きな内部応力を有し、基材あるいは中間層と皮膜
の境界部における密着力がこの内部応力に耐えきれずに
剥離するためである。また、CBN自身が反応性の低い
物質であるため、基材との密着力が他のセラミック皮膜
に比べて小さいことも原因である。本発明は上記状況に
鑑みなされたもので、密着性を向上させたCBN皮膜を
有する窒化硼素被覆部材を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明ではCB
N皮膜の密着性を向上させる手段として、基材あるいは
基材上に形成された中間層上に窒化硼素皮膜を形成して
なる窒化硼素被覆部材において、基材あるいは中間層と
窒化硼素皮膜との境界部に基材あるいは中間層材料と窒
化硼素との混合組成である境界層を形成すると共に当該
境界層の組成を基材あるいは中間層成分が基材側から被
覆側へと順次減少していく傾斜組成とし、且つ当該境界
層中に立方晶窒化硼素を存在させると共に当該境界層中
における当該立方晶窒化硼素の存在量を窒化硼素皮膜側
から基材あるいは中間層側へ順次減少させるようにした
のである。
【0005】
【作用】基材あるいは中間層とCBN皮膜間に傾斜組成
を有する境界層を形成させることにより密着性が向上す
る原因としては、以下のことが挙げられる。CBN皮膜
の密着性が不良である原因は、前述の通り、皮膜の内部
応力が大きいためである。そこで、傾斜組成を有する境
界層を形成させることにより、材料の組成及び構造が連
続的に変化することで、皮膜の内部応力を皮膜側から基
材側あるいは中間層側へと徐々に小さく移行していくこ
とが可能となる。つまり、基材あるいは中間層と皮膜と
の境界をなくすことにより、皮膜の内部応力を境界に集
中させず、境界層の厚さに分散させることで、内部応力
による皮膜の剥離を抑制することができる。また、境界
層中にCBNを含ませ、且つその存在量を皮膜側から基
材あるいは中間層へ順次減少させることで、境界層と皮
膜の構造的な結合が可能となり、これにより境界層自体
の機械的強度が向上し、両者の密着力が一層向上する。
【0006】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
本実施例の窒化硼素被覆部材は、図1に示すように、高
速度工具鋼(JIS規格:SKH51)からなる基材1
上に、窒化チタンからなる中間層2、傾斜組成を有する
境界層3、及びCBN層4を順次形成させたものであ
る。
【0007】ここで中間層2は、例えばHCD(ホロカ
ソード)法によるイオンプレーティングによって、厚さ
3μmの窒化チタン皮膜を形成した。具体的には、基材
1に有機溶剤(例えばフロン)による超音波洗浄で前処
理を施した後、例えば0.1TorrAr中で1kv×1Aで
10分間イオンボンバードを行ない、その後、HCDガ
ン出力:45V×400A、基材温度:500℃、反応
ガス:N2 分圧5×10-4Torrの条件でコーティングす
ることにより形成された。なお、中間層は必ずしも形成
させる必要はなく、基材1上に直に境界層3を形成させ
ても同様な効果を得ることができる。
【0008】次に、中間層2又は基材1上へ境界層3を
作製する方法を説明する。尚、境界層の作製方法には種
々の方法があるが、その中ではイオン注入法やイオンビ
ームミキシング法等が適している。まず、イオン注入法
での作製法について述べる。この方法においては、イオ
ンの加速電圧を200kv、イオン種を窒素及び硼素と
し、これらのイオン種をそれぞれ8×1017ions/cm2
の数で上記中間層2あるいは基材1に注入する。これに
より、中間層2又は基材1中に窒素及び硼素がめり込
み、これらのめり込み量は深さ方向に自然と減少する。
それに従い、CBNの組成も深さ方向に自然と減少し、
逆に中間層又は基材の成分は深さ方向に増加するという
傾斜組成を有する境界層3が形成された。
【0009】次に、イオンビームミキシングによる作製
法について述べる。この方法は、図2に示すような装置
を用いて行なう。同図に示す装置は、真空容器11内の
上部の基板ホルダー12に取り付けられた基材13に対
して、イオン源14から窒素イオン照射を行なうと同時
に、真空容器11内の下部に設置された蒸発源15内の
金属硼素16を電子ビーム17により蒸発させて、この
硼素蒸気18を基材13に蒸着させるものである。ここ
で、19は硼素蒸気18の基材への蒸着量を測定するモ
ニタである。
【0010】作製手順としては、まず、基材13のとこ
ろへ中間層2を有する基材1あるいは基材1のみを設置
し、真空容器11内を2×10-6Torr以下に予備排気す
る。次に、イオン源14に供給した窒素と希ガス(例え
ばアルゴン)を、イオン源14内でイオン化して、その
混合イオン20を基材13へ照射すると共に、蒸発源1
5より金属硼素16を蒸発させた硼素蒸気18を基材1
3上に蒸着させる。このとき、混合イオン20のエネル
ギーを70keV ,2keV ,1keV と段階的に減少させ、
そのときの硼素蒸気18の蒸発速度を、それぞれ加速電
70keV のとき3Å/sec 、2keV のとき2Å/sec
、1keV のとき1Å/sec とし、処理時間を各5分と
することにより、図1に示すような、CBNを含み且つ
傾斜組成を有する境界層3が形成された。ここで、境界
層3中にCBNを含ませるためには、加速電圧を段階的
に変化させることが必要であり、特に2keV ,1keV の
低い加速電圧が重要となる。また、このときの真空度は
およそ1×10-4Torrである。
【0011】また、境界層3上にCBN層4を形成させ
る方法は、基本的には境界層3を形成する手順と同様で
ある。具体的には、混合イオン20の照射エネルギーを
0.5keV 、硼素蒸気18の蒸発速度を0.4Å/sec
とすることで、CBN層4を形成することができた。ま
た、イオン注入法で得られた境界層上にも同様な方法で
CBN層4を形成することができる。
【0012】以上の実施例により製作した窒化チタンを
中間層に持つ窒化硼素被覆部材をオージュ電子分光分析
にて深さ方向の組成分析を行なった結果、境界層3中の
組成は皮膜側から中間層側へ硼素の原子比が連続的に減
少し、同時にチタンの原子比が連続的に増加しており、
境界層3は傾斜組成をとることが確認された。さらに光
電子分光分析により窒化硼素の構造分析を行なったとこ
ろ、境界層3中にCBNが存在することが確認された。
また、図3に、得られた窒化硼素被覆部材の密着力をス
クラッチ試験により評価した結果を示すが、境界層3を
形成させると、境界層3がないときと比べて8〜10
倍、密着力(スクラッチ試験で皮膜が剥離するときの荷
重)が増大しており、優れた密着性を有することが示さ
れた。また、比較のために、混合イオンの照射エネルギ
ーを70keV のみとして境界層を形成し、その後CBN
膜を合成したとき、オージェ電子分光分析により境界層
中は傾斜組成を有していることが確認されたが、光電子
分光分析によると、境界層中にはCBNが存在していな
かった。さらに、これをスクラッチ試験により密着力を
評価した結果、図3に示すように、その密着力は境界層
がないときよりは大幅に向上しているが、境界層中にC
BNが存在しているときと比べると劣っている。これよ
り、境界層中にCBNを存在させる効果が示された。
【0013】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明による窒
化硼素被覆部材は、従来のものと比較して優れた密着性
を有しており、切削工具のみならず、各種回転機器の軸
受やスライド等の摺動部材など、他の耐摩耗部材として
実用に耐え得るものであり、工業的に利用価値の大きい
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る窒化硼素被覆部材の断
面模式図。
【図2】本発明の一実施例に係る窒化硼素被覆部材形成
装置の概略図。
【図3】本発明に係る窒化硼素被覆部材に対して被覆の
スクラッチ試験を行って得た臨界荷重を示す図。
【符号の説明】
1 基材 2 中間層 3 境界層 4 CBN層 11 真空容器 12 基材ホルダ 13 基材 14 イオン源 15 蒸発源 16 金属硼素 17 電子ビーム 18 硼素蒸気 19 モニタ 20 窒素+希ガス混合イオン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 信樹 神奈川県横浜市金沢区幸浦一町目8番地 1 三菱重工業株式会社 基盤技術研究 所内 (72)発明者 小川 真 神奈川県横浜市金沢区幸浦一町目8番地 1 三菱重工業株式会社 基盤技術研究 所内 (56)参考文献 特開 平2−236268(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 14/00 - 14/58 C23C 16/30 C23C 28/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材あるいは基材上に形成された中間層
    上に窒化硼素皮膜を形成してなる窒化硼素被覆部材にお
    いて、基材あるいは中間層と窒化硼素皮膜との境界部に
    基材あるいは中間層材料と窒化硼素との混合組成である
    境界層を形成すると共に当該境界層の組成を基材あるい
    は中間層成分が基材側から被覆側へと順次減少していく
    傾斜組成とし、且つ当該境界層中に立方晶窒化硼素を存
    在させると共に当該境界層中における当該立方晶窒化硼
    素の存在量を窒化硼素皮膜側から基材あるいは中間層側
    へ順次減少させたことを特徴とする窒化硼素被覆部材。
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