JPH08104976A - ハードコーティング膜及びその製造方法並びにハードコーティング膜の蒸着装置 - Google Patents

ハードコーティング膜及びその製造方法並びにハードコーティング膜の蒸着装置

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JPH08104976A
JPH08104976A JP24140494A JP24140494A JPH08104976A JP H08104976 A JPH08104976 A JP H08104976A JP 24140494 A JP24140494 A JP 24140494A JP 24140494 A JP24140494 A JP 24140494A JP H08104976 A JPH08104976 A JP H08104976A
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JP
Japan
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hard coating
coating film
gas
ions
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Application number
JP24140494A
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English (en)
Inventor
Hiromoto Ito
弘基 伊藤
Naoyuki Kajita
直幸 梶田
Masahiro Hanai
正博 花井
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 硬い材料を加工しても摩耗が少なく、基材と
の密着性が高く、さらに、硬度が高いために精度良く加
工ができるハードコーティング膜及びその製造方法、並
びにハードコーティング膜の蒸着装置を得ることを目的
とする。 【構成】 ガス導入系5によってガスイオン源10に少
なくとも1種類以上の窒素ガス、メタンガス、アンモニ
アガス等の窒素元素または炭素元素を含むガスをガスイ
オン源10に導入し、ガスイオンを基材1に照射する。
一方、金属イオン源9を稼働させ、チタン等の金属材料
のイオンを基材1に照射する。ガスイオンと金属イオン
は、基材1上で反応して、窒化チタン等が基材1上に形
成される。 【効果】 基材との密着性が高く、膜組成を連続的に変
えることができ、膜歪が小さく切削中の剥離が起こりに
くいハードコーティング膜が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ハードコーティング
膜及びその製造方法、並びにハードコーティング膜の蒸
着装置、特に、金型、切削工具もしくはベアリング等の
硬度と耐摩耗性が要求される機械部品の長寿命化を実現
するために、この機械部品表面に形成されるハードコー
ティング膜及びその製造方法、並びにハードコーティン
グ膜の蒸着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からTiN、Al23およびダイヤ
モンドライクカーボン膜が、ドリル等の切削工具、磁気
ディスク装置の記憶媒体の表面を保護するハードコーテ
ィング膜として使われている。図32は、薄膜作製技術
における諸問題およびトラブル対策(経営開発センター
出版部)に示されたイオンプレーティング装置の概略断
面図である。図において、1は基材、2は基材ホルダ
ー、3は真空槽、4は真空槽3の排気系、5はガス導入
系、6は蒸発源、7は基材1にバイアス電圧を印加する
直流電源である。
【0003】従来のイオンプレーティング装置は上述し
たように構成され、まず、真空槽3内を排気系4により
排気した後、蒸発源6を稼働させ、蒸発材料(チタン)
を加熱して蒸発させる。一方、ガス導入系5によって窒
素ガスを導入すると、窒素ガス雰囲気で蒸発材料が窒化
反応して、窒化チタンが基材1上に付着して、図33に
示すように、ハードコーティング膜である窒化チタン膜
8が形成される。このとき、直流電源7により基材ホル
ダー2に負のバイアス電圧を印加すると、イオン化され
た蒸発材料が加速されて基材1に入射するので、付着力
をやや向上させることが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したようなイオン
プレーティング装置で形成されたハードコーティング膜
では、切削中に工具表面から剥離したり、特に、硬い材
料を加工したりするときに摩耗が激しくなって、工具寿
命が極端に短くなったり、精度良く部品を加工すること
ができなくなるという問題点があった。また、金属蒸発
源を用いるので上向き蒸着しかできないため、基材が重
量物となっても真空槽の上側に固定する必要があるので
頑丈な基材ホルダーを製作する必要があった。この発明
はこのような問題点を解決するためになされたもので、
工具との密着性が高く、また硬度も高いハードコーティ
ング膜及びその製造方法を得ることを目的とする。さら
に、基材を下側に置いて下向き蒸着を可能にするハード
コーティング膜の蒸着装置を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項第1項
に係る発明は、基材表面にコーティングされたハードコ
ーティング膜であって、このハードコーティング膜は、
上記基材からハードコーティング膜の表面に向かって窒
素組成が変化するTiNx(0<x<1)からなる。
【0006】この発明の請求項第2項に係る発明は、ハ
ードコーティング膜がTi、TiとTi2Nとの混晶、
Ti2N、及びTi2NとTiNとの混晶の少なくとも1
種を含むものである。
【0007】この発明の請求項第3項に係る発明は、ハ
ードコーティング膜がTiCの混晶を含むものである。
【0008】この発明の請求項第4項に係る発明は、基
材表面の下地層が1μm以下のTi層である。
【0009】この発明の請求項第5項に係る発明は、ハ
ードコーティング膜の表面に1μm以下のTiN層から
なる表面保護層を設けたものである。
【0010】この発明の請求項第6項に係る発明は、ハ
ードコーティング膜がTiの代わりにAl、W、Cr、
Zr、B及びSiからなる群から選ばれた金属元素で置
き換えたAlN系、WN系、CrN系、ZrN系、BN
系及びSiN系の材料からなるものである。
【0011】この発明の請求項第7項に係る発明は、基
材表面にコーティングされたハードコーティング膜であ
って、このハードコーティング膜は、上記基材からハー
ドコーティング膜の表面に向かって炭素組成が変化する
TiCx(0<x<1)である。
【0012】この発明の請求項第8項に係る発明は、ハ
ードコーティング膜がTi、TiとTiCとの混晶、及
びTiCの少なくとも1種を含むものである。
【0013】この発明の請求項第9項に係る発明は、基
材表面の下地層が1μm以下のTi層である。
【0014】この発明の請求項第10項に係る発明は、
ハードコーティング膜の表面に1μm以下のTiN層か
らなる表面保護層を設けたものである。
【0015】この発明の請求項第11項に係る発明は、
所定の真空度の保持された真空槽と、この真空槽内に配
置された基材と、この基材を回転する回転機構と、上記
基材を加熱又は冷却する基材温度調節機構と、上記基材
の蒸着面に対向してして設けられ、少なくとも1種類以
上の金属元素を含むガス及び非金属元素の混合ガスを解
離又はイオン化して上記基材に照射する1個のガスイオ
ン源とを備えたものである。
【0016】この発明の請求項第12項に係る発明は、
所定の真空度の保持された真空槽と、この真空槽内に配
置された基材と、この基材を回転する回転機構と、上記
基材を加熱又は冷却する基材温度調節機構と、上記基材
の蒸着面に対向してして設けられ、少なくとも1種類以
上の金属元素を含むガスを解離又はイオン化して上記基
材に照射する金属イオン源と、上記基材の蒸着面に対向
して設けられ、非金属元素の混合ガスを解離又はイオン
化して上記基材に照射するガスイオン源とを備えたもの
である。
【0017】この発明の請求項第13項に係る発明は、
基材をその蒸着面を上向きにして配置したものである。
【0018】この発明の請求項第14項に係る発明は、
基材をその蒸着面を横向きにして配置したものである。
【0019】この発明の請求項第15項に係る発明は、
ガスイオン源又は金属イオン源を移動させながら蒸着を
行うものである。
【0020】この発明の請求項第16項に係る発明は、
基材を所定の電圧にバイアスする第1のバイアス手段を
設け、この第1のバイアス手段により基材をアース電位
又は負の電位にバイアスし、ガスイオン源を所定の電圧
にバイアスする第2のバイアス手段を設け、この第2の
バイアス手段によりガスイオン源を上記基材の電位より
高い電位にバイアスするものである。
【0021】この発明の請求項第17項に係る発明は、
第2のバイアス手段によりガスイオン源を基材の電位よ
り低い電位にバイアスするものである。
【0022】この発明の請求項第18項に係る発明は、
基材を所定の電圧にバイアスする第1のバイアス手段を
設け、この第1のバイアス手段により上記基材をアース
電位又は負の電位にバイアスし、金属イオン源を所定の
電圧にバイアスする第2のバイアス手段を設け、この第
2のバイアス手段により上記金属イオン源を上記基材の
電位より高く又は低くバイアスするものである。
【0023】この発明の請求項第19項に係る発明は、
ガスイオン源を所定の電位にバイアスする第3のバイア
ス手段を設け、この第3のバイアス手段により上記ガス
イオン源を基材の電位より高く又は低くバイアスするも
のである。
【0024】この発明の請求項第20項に係る発明は、
第1、第2及び第3のバイアス手段は、直流電圧又は半
波整流されたバイアス電圧を印加する直流電源であるも
のである。
【0025】この発明の請求項第21項に係る発明は、
第2及び第3のバイアス手段は、正又は負の電圧がステ
ップ状又は正弦波状に交互に印加される交流電源である
ものである。
【0026】この発明の請求項第22項に係る発明は、
ガスイオン源で発生したイオンを50〜10 keV程
度のイオンの加速エネルギーと10〜1000mA程度
のイオン量で基材表面に照射することにより、基材の加
熱を行うものである。
【0027】この発明の請求項第23項に係る発明は、
真空槽内で加速して輸送された金属又は金属イオンと、
加速して輸送された非金属元素のガスイオンとの割合を
変えてこれらを基材に照射することにより、ハードコー
ティング膜の組成を制御するものである。
【0028】
【作用】この発明の請求項第1項ないし第3項、第7項
及び第8項においては、窒化チタン系の硬化層の窒素組
成を連続的に変化させるようにしたので、基材表面では
Tiリッチの層となっているので、基材との密着力が向
上する。また、硬度が高いTi2NとTiN混合層や、
TiCとの混晶層が形成されているので、従来のTiN
より硬度を高くすることができる。さらに、組成を連続
的に変化させたので、膜歪が小さく、切削中の剥離が起
こりにくい。
【0029】この発明の請求項第4項及び第9項におい
ては、基材表面の下地層としてTi層を設けたので、付
着力の高いTi層の効果で硬化層との密着力を非常に高
くする。
【0030】この発明の請求項第5項及び第10項にお
いては、硬化層の表面保護層としてTiN層を設けたの
で、酸化反応等により経年劣化しやすいTi2NとTi
N混合層やTiCとの混晶層を保護するので、硬度の優
れた特性が長持ちする。
【0031】この発明の請求項第6項においては、Ti
を他の金属で置き換えたハードコーティング膜にも適用
できる。
【0032】この発明の請求項第11項においては、ガ
スイオンを基材表面に打ち込んでハードコーティング膜
を形成するようにしたので、剥離しにくいハードコーテ
ィング膜を蒸着することができる。また、金属イオン源
を使わないので、金属材料を補充する必要がなくなる。
【0033】この発明の請求項第12項においては、金
属イオン及びガスイオンの相互作用により結晶構造や材
料組成を自由にコントロールすることや、天然では得ら
れない材料を蒸着することも可能となる。
【0034】この発明の請求項第13項においては、ガ
スイオン源又は金属イオン源をどのような下向きに置い
ても蒸着が可能であるため、例えば大重量の基材を真空
槽の下側に置いて、下向きにイオンを照射して成膜する
ことも可能となる。
【0035】この発明の請求項第14項においては、ガ
スイオン源又は金属イオン源をどのような向きに置いて
も蒸着が可能であるため、例えば大重量の基材を真空槽
の側壁に置いて、横向きにイオンを照射して成膜するこ
とも可能となる。
【0036】この発明の請求項第15項においては、ガ
スイオン源又は金属イオン源を移動させながら蒸着を行
うので、基材を回転させずに均一な成膜を行うことが可
能となる。
【0037】この発明の請求項第16項においては、ガ
スイオンの加速エネルギーを大きくして、より剥離しに
くいハードコーティング膜を蒸着する。
【0038】この発明の請求項第17項においては、ガ
スイオン源を基材の電位より低くして、ガス元素の負イ
オンとガスイオン源から発生する電子を照射しながら成
膜するので、ガスイオンの加速エネルギーを大きくする
ことで、より剥離しにくいハードコーティング膜を蒸着
する。
【0039】この発明の請求項第18項及び第19項に
おいては、金属イオン及びガスイオンの加速エネルギー
を大きくすることで、より剥離しにくいハードコーティ
ング膜を蒸着する。
【0040】この発明の請求項第20項及び第21項に
おいては、バイアス電圧を印加する電源として特にリッ
プル率が低い電源を使わなくても、イオンを基材表面に
打ち込んで剥離しにくいハードコーティング膜を蒸着す
る。
【0041】この発明の請求項第22項においては、基
材の加熱をガスイオン源で発生したイオンを照射するこ
とにより行うので、基材を加熱するヒーターが不要とな
る。
【0042】この発明の請求項第23項においては、金
属イオンとガスイオンとの割合を変えてこれらを基材に
照射するので、ハードコーティング膜の組成を連続的に
変化させることができ、膜歪が小さく切削中の剥離が起
こりにくい。
【0043】
【実施例】以下、この発明の実施例を図に基づいて説明
する。 実施例1.図1は、この発明の実施例1によるハードコ
ーティング膜の蒸着装置を示す概略断面図である。図に
おいて、9は金属イオン源、10はガスイオン源であ
る。なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示し
ている。次に動作について説明する。まず真空槽3内を
排気系4により排気した後、ガス導入系5によってガス
イオン源10に少なくとも1種類以上の窒素ガス、メタ
ンガス、アンモニアガス等の窒素元素または炭素元素を
含む非金属元素のガスを導入して、ガスイオン源10を
稼働させる。ガスイオン源10では、放電等のイオン化
手段によりガスをイオン化および分解して、基材1に窒
素等のガスイオンを照射する一方、金属イオン源9を稼
働させ、チタン等の金属材料のイオンを基材1に照射す
る。ガスイオンと金属イオンは、基材1上で反応して、
窒化チタンが基材1上に形成される。
【0044】このとき、基材1に照射する窒素ガスイオ
ンと金属イオンの比を変えることで、形成される窒化チ
タン系の膜組成を、例えば、TiからTiとTi2Nの
混晶、TiとTi2Nの混晶からTi2N、Ti2Nから
Ti2NとTiNの混晶、Ti2NとTiNの混晶からT
iNへと連続的に変えることができる。図2は、照射す
る窒素ガスイオンと金属イオンの比(Ti/N)を1.
3から38へ変えて形成したときの窒化チタン膜の結晶
性をX線回折分析装置で調べたもので、これを見ると、
結晶性はTiの照射割合が増加するにつれて、TiN>
TiN+Ti2N>Ti2Nへと変化していることがわか
る。このように、ガスイオンと金属イオンを同時照射す
る方法では、窒化チタン膜等のハードコーティング膜の
組成を自由に制御することができる。
【0045】図3は、窒化チタン膜硬度の組成比(N/
Ti)依存性を示したものである。これを見ると、窒化
チタンの膜硬度は、組成比(X=N/Ti)が増加する
と共に増加し、Xが0.7〜0.8付近で最大の硬度とな
っている。このときの結晶性は、TiNとTi2Nの混
晶となっている。さらに組成比(X=N/Ti)が増加
すると、今度は硬度がやや低下して結晶性がTiNとな
り、硬度が飽和している。このように、ガスイオンと金
属イオンを同時照射する方法では、従来のTiN膜より
さらに硬度が高い膜を形成することが可能である。
【0046】また、このときの窒化チタン系の膜の色合
いを見ると、Tiリッチのものは銀色、TiNとTi2
Nの混晶となっているものは金色がかった銀色、TiN
では鮮やかな金色となる。また、酸素を混入させると赤
みがかった金色、炭素を混入させるとこはく色に変化す
る。このように、ガスイオンと金属イオンを同時照射す
る方法では、表面の色調を自由に変えることも可能であ
る。一方、基材と窒化チタン系の膜との付着力は、Ti
リッチの状態が一番強く、窒素組成が増えてTiNに近
づくにつれて弱くなる。
【0047】実施例2.第4図の基材1上に形成された
ハードコーティング膜は、基材1から膜表面に向かって
窒素組成(X:0<X<1)が変化する窒化チタン(T
iNx)系の硬化層11を設けたものである。図1に示
した蒸着装置において、真空槽3内を排気系4により排
気した後、金属イオン源9を稼働させ、チタンのイオン
を基材1に照射して成膜を開始する。次に、ガス導入系
5によってガスイオン源10に窒素ガスまたはアンモニ
アガス等の窒素元素を含むガスを導入して、ガスイオン
源10を稼働させ、基材1に照射する窒素イオン量を徐
々に増やしていく。ガスイオンと金属イオンは、基材1
上で反応して、窒化チタンが基材1上に形成される。こ
のとき、基材1に照射するチタンイオンに対する窒素ガ
スイオンの比を増加させることで、形成される窒化チタ
ン系の膜組成を、TiからTiとTi2Nの混晶、Ti
とTi2Nの混晶からTi2N、Ti2NからTi2NとT
iNの混晶、Ti2NとTiNの混晶からTiNへと連
続的に変えることができる。
【0048】このように組成が連続的にTiからTiと
Ti2Nの混晶、TiとTi2Nの混晶からTi2N、T
2NからTi2NとTiNの混晶、Ti2NとTiNの
混晶からTiNへと窒素組成が増加している窒化チタン
系の硬化層では、基材表面ではTiリッチの層となって
いるので基材との密着力が向上する。また、表面層に硬
度が高いTi2NとTiN混合層が形成されているの
で、従来のTiNより硬度を高くすることができる。ま
た、組成を連続的に変化させたので膜歪が小さく切削中
の剥離がおこりにくい。なお、チタンの金属イオン源9
のかわりに、金属の蒸着材料(チタン)に直接電子ビー
ムを照射して加熱蒸発させる、電子ビーム加熱源を使っ
てもよい。
【0049】実施例3.第5図の基材1上に形成された
ハードコーティング膜は、基材1から膜表面に向かって
窒素組成(X:0.5<X<1)が変化する窒化チタン
(TiNx)系の硬化層12を設けたものである。この
ように組成が連続的にTi2NからTi2NとTiNの混
晶、Ti2NとTiNの混晶からTiNへと窒素組成が
増加している窒化チタン系の硬化層12では、硬化層1
2に硬度が最大となるTi2NとTiN混合層が厚く形
成されているので、従来のTiNより硬度を非常に高く
することができる。
【0050】実施例4.第6図の基材1上に形成された
ハードコーティング膜は、基材1から膜表面に向かって
窒素組成が変化する窒化チタン系の材料にTiCを混合
した硬化層13を設けたものである。図1に示した蒸着
装置において、真空層3内を排気系4により排気した
後、金属イオン源9を稼働させ、チタンのイオンを基材
1に照射して成膜を開始する。次に、ガス導入系5によ
ってガスイオン源10に窒素ガス等の窒素元素を含むガ
スと炭素ガス等の炭素元素を含むガスを導入して、ガス
イオン源10を稼働させ、基材1に照射する窒素イオン
と炭素イオン量を徐々に増やしていく。ガスイオンと金
属イオンは、基材1上で反応して、窒化炭化チタンが基
材1上に形成される。
【0051】このとき、基材1に照射するチタンイオン
に対するガスイオンの比を増加させることで、形成され
る窒化チタン系の膜組成を、TiからTiとTi2Nと
TiCの混晶、TiとTi2NとTiCの混晶からTi2
NとTiC、Ti2NとTiCからTi2NとTiNとT
iCの混晶、Ti2NとTiNとTiCの混晶からTi
NとTiCへと連続的に変えることができる。また、こ
のときガスイオン源を2台用いて、それぞれに窒素ガス
等の窒素元素を含むガスと炭素ガス等の炭素元素を含む
ガスを導入するようにすれば、膜中の炭素組成と窒素組
成の比率を独立に制御できる。このように組成が連続的
に窒素と炭素組成が増加している窒素チタンとTiCの
硬化層では、硬化層に硬度が最大となるTi2NとTi
N混合層と硬度が高いTiC層を混合したためさらに硬
度を高くすることができる。また組成を連続的に変化さ
せたので膜歪が小さく切削中の剥離が起こりにくい。
【0052】実施例5.第7図の基材1上に形成された
ハードコーティング膜は、基材1から膜表面に向かって
炭素組成(X:0<X<1)が変化する炭化チタン(T
iCx)系の硬化層14を設けたものである。図1に示
した蒸着装置において、真空槽3内を排気系4により排
気した後、金属イオン源9を稼働させ、チタンのイオン
を基材1に照射して成膜を開始する。次に、ガス導入系
5によってガスイオン源10に炭素ガス等の炭素元素を
含むガスを導入して、ガスイオン源10を稼働させ、基
材1に照射する炭素イオン量を徐々に増やしていく。ガ
スイオンと金属イオンは、基材1上で反応して炭化チタ
ンが基材1上に形成される。このとき、基材1に照射す
るチタンイオンに対するガスイオンの比を増加させるこ
とで、形成される炭化チタン系の膜組成を、TiからT
iとTiCの混晶、TiとTiCの混晶からTiCへと
連続的に変えることができる。
【0053】このように組成が連続的にTiからTiと
TiCの混晶、TiとTiCの混晶からTiCへと炭素
組成が増加している炭化チタン系の硬化層では、基材表
面ではTiリッチの層となっているので基材との密着力
が向上する。また、表面層に硬度が高いTiC層が形成
されているので、従来のTiNより硬度を高くすること
ができる。また、組成を連続的に変化させたので膜歪が
小さく切削中の剥離が起こりにくい。また、TiC系の
材料を使用したためTiN系の材料より耐熱性に優れて
いる。
【0054】実施例6.第8図の基材1上に形成された
ハードコーティング膜は、1μm以下のTi層からなる
下地層15と、窒化チタン系の硬化層16を設けたもの
で、この硬化層16は、Ti2N、Ti2NとTiNの混
晶、TiNまたはTiCのいずれかの層からなる二層構
造のハードコーティング膜である。図1に示した蒸着装
置において、真空槽3内を排気系4により排気した後、
金属イオン源9を稼働させ、チタンのイオンを基材1に
照射して成膜を開始する。このようにして1μm程度の
Ti層からなる下地層15を形成してから、次に、ガス
導入系5によってガスイオン源10に窒素ガスイオンま
たはアンモニアガス等の窒素元素を含むガスを導入して
ガスイオン源10を稼働させ、基材1に窒素イオンを照
射する。ガスイオンと金属イオンは基材1上で反応し
て、TiNの硬化層16が基材1上に形成される。この
とき、基材1に照射するチタンイオンに対する窒素ガス
イオンの比を変えることで、形成される窒化チタン系の
硬化層16の組成を、Ti2NまたはTi2NとTiNの
混晶またはTiNにすることができる。
【0055】実施例7.第9図の基材1上に形成された
ハードコーティング膜は、1μm以下のTi層からなる
下地層15と、炭化窒化チタン系の硬化層17を設けた
もので、この硬化層17は、硬度が高いTi2NとTi
Cの混晶、Ti2NとTiNとTiCの混晶、TiNと
TiCのいずれかの層からなる二層構造のハードコーテ
ィング膜である。図1に示した蒸着装置において、真空
槽3内を排気系4により排気した後、金属イオン源9を
稼働させ、チタンのイオンを基材1に照射して成膜を開
始する。このようにして1μm程度のTi層からなる下
地層15を形成してから、次に、ガス導入系5によって
ガスイオン源10に窒素ガス等の窒素元素を含むガスと
炭素ガス等の炭素元素を含むガスを導入してガスイオン
源10を稼働させ、基材1に窒素イオンと炭素イオンを
照射する。ガスイオンと金属イオンは、基材1上で反応
して、TiNとTiCの混晶の硬化層17が基材1上に
形成される。このとき、基材1に照射するチタンイオン
に対する窒素ガスイオンの比を変えることで、形成され
る窒化チタン系の硬化層17の組成を、Ti2NとTi
Cの混晶またはTi2NとTiNとTiCの混晶または
TiNとTiCの混晶にすることができる。以上のよう
にして形成したハードコーティング膜は、硬化層と基材
の間に、付着力の強いTiの下地層を設けたので、硬化
層と基材の密着力が高く加工中の剥離が起こりにくい。
【0056】実施例8.第10図の基材1上に形成され
たハードコーティング膜は、1μm以下のTi層からな
る下地層15と、基材1から膜表面に向かって窒素組成
が変化する窒化チタン系の硬化層11を設けたものであ
る。図1に示した蒸着装置において、真空槽3内を排気
系4により排気した後、金属イオン源9を稼働させ、チ
タンのイオンを基材1に照射して成膜を開始する。この
ようにして1μm程度のTi層からなる下地層15を形
成してから、次に、ガス導入系5によってガスイオン源
10に窒素ガスまたはアンモニアガス等の窒素元素を含
むガスを導入してガスイオン源10を稼働させ、基材1
に照射する窒素イオン量を徐々に増やしていく。ガスイ
オンと金属イオンは、基材1上で反応して、窒化チタン
系の硬化層11が基材1上に形成される。このとき、基
材1に照射するチタンイオンに対する窒素ガスイオンの
比を増加させることで、形成される窒化チタン系の膜組
成を、TiからTiとTi2Nの混晶、TiとTi2Nの
混晶からTi2N、Ti2NからTi2NとTiNの混
晶、Ti2NとTiNの混晶からTiNへと連続的に変
えることができる。
【0057】実施例9.第11図の基材1上に形成され
たハードコーティング膜は、1μm以下のTi層からな
る下地層15と、基材1から膜表面に向かって窒素組成
と炭素組成が変化する炭化窒化チタン系の硬化層13を
設けたものである。図1に示した蒸着装置において、真
空槽3内を排気系4により排気した後、金属イオン源9
を稼働させ、チタンのイオンを基材1に照射して成膜を
開始する。このようにして1μm程度のTi層からなる
下地層15を形成してから、次に、ガス導入系5によっ
てガスイオン源10に窒素ガス等の窒素元素を含むガス
と炭素ガス等の炭素元素を含むガスを導入して、ガスイ
オン源10を稼働させ、基材1に照射する窒素イオンと
炭素イオン量を徐々に増やしていく。ガスイオンと金属
イオンは、基材1上で反応して、窒化炭化チタン13が
基材1上に形成される。このとき、基材1に照射するチ
タンイオンに対するガスイオンの比を増加させること
で、形成される窒化チタン系の膜組成を、TiからTi
とTi2NとTiCの混晶、TiとTi2NとTiCの混
晶からTi2NとTiC、Ti2NとTiCからTi2
とTiNとTiCの混晶、Ti2NとTiNとTiCの
混晶からTiNとTiCへと連続的に変えることができ
る。また、このときガスイオン源を2台用いて、それぞ
れに窒素ガス等の窒素元素を含むガスと炭素ガス等の炭
素元素を含むガスを導入するようにすれば、膜中の炭素
組成と窒素組成の比率を独立に制御できる。
【0058】実施例10.第12図の基材1上に形成さ
れたハードコーティング膜は、1μm以下のTi層から
なる下地層15と、基材1から膜表面に向かって炭素組
成が変化する炭化チタン系の硬化層14を設けたもので
ある。図1に示した蒸着装置において、真空槽3内を排
気系4により排気した後、金属イオン源9を稼働させ、
チタンのイオンを基材1に照射して成膜を開始する。こ
のようにして1μm程度のTi層からなる下地層15を
形成してから、次に、ガス導入系5によってガスイオン
源10に炭素ガス等の炭素元素を含むガスを導入して、
ガスイオン源10を稼働させ、基材1に照射する炭素イ
オン量を徐々に増やしていく。ガスイオンと金属イオン
は、基材1上で反応して、炭化チタンが基材1上に形成
される。このとき、基材1に照射するチタンイオンに対
するガスイオンの比を増加させることで、形成される炭
化チタン系の膜組成を、TiからTiとTiCの混晶、
TiとTiCの混晶からTiCへと連続的に変えること
ができる。以上のようにして形成したハードコーティン
グ膜は、硬化層と基材の間に、付着力の強いTiの下地
層を設けたので、硬化層と基材の密着力が高く加工中の
剥離が起こりにくいばかりではなく、組成を連続的に変
化させたので膜歪が小さく切削中の剥離がおこりにく
い。
【0059】実施例11.第13図の基材1上に形成さ
れたハードコーティング膜は、1μm以下のTiN層か
らなる表面保護層18と、基材1から膜表面に向かって
窒素組成が変化する窒化チタン系の硬化層11を設けた
ものである。図1に示した蒸着装置において、真空槽3
内を排気系4により排気した後、金属イオン源9を稼働
させ、チタンのイオンを基材1に照射する。次に、ガス
導入系5によってガスイオン源10に窒素ガスまたはア
ンモニアガス等の窒素元素を含むガスを導入してガスイ
オン源10を稼働させ、基材1に照射する窒素イオン量
を徐々に増やしていく。ガスイオンと金属イオンは、基
材1上で反応して、窒化チタン系の硬化層11が基材1
上に形成される。このとき、基材1に照射するチタンイ
オンに対する窒素ガスイオンの比を増加させることで、
形成される窒化チタン系の膜組成を、TiからTiとT
2Nの混晶、TiとTi2Nの混晶からTi2N、Ti2
NからTi2NとTiNの混晶、Ti2NとTiNの混晶
からTiNへと連続的に変えることができる。次に、基
材1に照射するチタンイオンに対する窒素ガスイオンの
比をほぼ等しくすることで、1μm程度のTiN層から
なる表面保護層18を形成する。
【0060】実施例12.第14図の基材1上に形成さ
れたハードコーティング膜は、1μm以下のTiN層か
らなる表面保護層18と、基材1から膜表面に向かって
窒素組成と炭素組成が変化する炭化窒化チタン系の硬化
層13を設けたものである。図1に示した蒸着装置にお
いて、真空槽3内を排気系4により排気した後、金属イ
オン源9を稼働させ、チタンのイオンを基材1に照射す
る。次に、ガス導入系5によってガスイオン源10に窒
素ガス等の窒素元素を含むガスと炭素ガス等の炭素元素
を含むガスを導入してガスイオン源10を稼働させ、基
材1に照射する窒素イオンと炭素イオン量を徐々に増や
していく。ガスイオンと金属イオンは基材1上で反応し
て、窒化炭化チタン13が基材1上に形成される。この
とき、基材1に照射するチタンイオンに対するガスイオ
ンの比を増加させることで、形成される窒化チタン系の
膜組成を、TiからTiとTi2NとTiCの混晶、T
iとTi2NとTiCの混晶からTi2NとTiC、Ti
2NとTiCからTi2NとTiNとTiCの混晶、Ti
2NとTiNとTiCの混晶からTiNとTiCへと連
続的に変えることができる。次に、基材1に照射するチ
タンイオンに対する窒素ガスイオンの比をほぼ等しくす
ることで、1μm程度のTiN層からなる表面保護層1
8を形成する。
【0061】実施例13.第15図の基材1上に形成さ
れたハードコーティング膜は、1μm以下のTiN層か
らなる表面保護層18と、基材1から膜表面に向かって
窒素組成が変化する炭化チタン系の硬化層14を設けた
ものである。図1に示した蒸着装置において、真空槽3
内を排気系4により排気した後、金属イオン源9を稼働
させ、チタンのイオンを基材1に照射する。次に、ガス
導入系5によってガスイオン源10に炭素ガス等の炭素
元素を含むガスを導入してガスイオン源10を稼働さ
せ、基材1に照射する炭素イオン量を徐々に増やしてい
く。ガスイオンと金属イオンは、基材1上で反応して炭
化チタンが基材1上に形成される。このとき、基材1に
照射するチタンイオンに対するガスイオンの比を増加さ
せることで、形成される炭化チタン系の膜組成を、Ti
からTiとTiCの混晶、TiとTiCの混晶からTi
Cへと連続的に変えることができる。次に、基材1に照
射するチタンイオンに対する窒素ガスイオンの比をほぼ
等しくすることで、1μm程度TiN層からなる表面保
護層18を形成する。
【0062】以上のようにして形成したハードコーティ
ング膜は、硬化層と基材の間に、窒化チタン系の硬化層
の表面保護層として1μm以下のTiN層を設けたの
で、酸化反応等により経年劣化しやすいTi2NとTi
Nとの混晶層や、TiCとの混晶層を保護するので、硬
度等の優れた特性が長持ちするという効果があるばかり
ではなく、組成を連続的に変化させたので膜歪が小さく
切削中の剥離がおこりにくい。TiN表面保護層は鮮や
かな金色であるが、酸素や混入させると赤みがかった金
色、炭素を混入させるとこはく色に変化させることがで
き装飾感を与えることもできる。
【0063】実施例14.第16図の基材1上に形成さ
れたハードコーティング膜は、1μm以下のTi層から
なる下地層15と、1μm以下のTiN層からなる表面
保護層18と、硬化層16とからなり、この硬化層16
は、Ti2N、Ti2NとTiNの混晶、TiNまたはT
iCのいずれかの層を設けたものである。図1に示した
蒸着装置において、真空槽3内を排気系4により排気し
た後、金属イオン源9を稼働させ、チタンのイオンを基
材1に照射して成膜を開始する。このようにして1μm
程度以下のTi層からなる下地層15を形成してから、
次に、ガス導入系5によってガスイオン源10に窒素ガ
スまたはアンモニアガス等の窒素元素を含むガスを導入
してガスイオン源10を稼働させ、基材1に窒素イオン
を照射する。ガスイオンと金属イオンは、基材1上で反
応してTiNの硬化層16が基材1上に形成される。こ
のとき、基材1に照射するチタンイオンに対する窒素ガ
スイオンの比を変えることで、形成される窒化チタン系
の硬化層16の組成をTi2NまたはTi2NとTiNの
混晶またはTiNにすることができる。次に、基材1に
照射するチタンイオンに対する窒素ガスイオンの比をほ
ぼ等しくすることで、1μm程度以下のTiN層からな
る表面保護層18を形成する。
【0064】実施例15.第17図の基材1上に形成さ
れたハードコーティング膜は、1μm以下のTi層から
なる下地層15と、1μm以下のTiN層からなる表面
保護層18と、硬化層17とからなり、この硬化層17
は、Ti2NとTiCの混晶、Ti2NとTiNとTiC
の混晶、TiNとTiCの混晶のいずれかの層を設けた
ものである。図1に示した蒸着装置において、真空槽3
内を排気系4により排気した後、金属イオン源9を稼働
させ、チタンのイオンを基材1に照射して成膜を開始す
る。このようにして1μm程度のTi層からなる下地層
15を形成してから、次に、ガス導入系5によってガス
イオン源10に窒素ガス等の窒素元素を含むガスと炭素
ガス等の炭素元素を含むガスを導入してガスイオン源1
0を稼働させ、基材1に窒素イオンと炭素イオンを照射
する。ガスイオンと金属イオンは、基材1上で反応し
て、TiNとTiCの混晶の硬化層17が基材1上に形
成される。このとき、基材1に照射するチタンイオンに
対する窒素ガスイオンの比を変えることで、形成される
窒化チタン系の硬化層17の組成を、Ti2NとTiC
の混晶またはTi2NとTiNとTiCの混晶またはT
iNとTiCの混晶にすることができる。次に、基材1
に照射するチタンイオンに対する窒素ガスイオンの比を
ほぼ等しくすることで、1μm程度以下のTiN層から
なる表面保護層18を形成する。
【0065】実施例16.第18図の基材1上に形成さ
れたハードコーティング膜は、1μm以下のTi層から
なる下地層15と、1μm以下のTiN層からなる表面
保護層18と、基材1から膜表面に向かって窒素組成が
変化する窒化チタン系の硬化層11を設けたものであ
る。図1に示した蒸着装置において、真空槽3内を排気
系4により排気した後、金属イオン源9を稼働させ、チ
タンのイオンを基材1に照射して成膜を開始する。この
ようにして1μm程度のTi層からなる下地層15を形
成してから、次に、ガス導入系5によってガスイオン源
10に窒素ガスまたはアンモニアガス等の窒素元素を含
むガスを導入してガスイオン源10を稼働させ、基材1
に照射する窒素イオン量を徐々に増やしていく。ガスイ
オンと金属イオンは、基材1上で反応して窒化チタン系
の硬化層11が基材1上に形成される。このとき、基材
1に照射するチタンイオンに対する窒素ガスイオンの比
を増加させることで、形成される窒化チタン系の膜組成
を、TiからTiとTi2Nの混晶、TiとTi2Nの混
晶からTi2N、Ti2NからTi2NとTiNの混晶、
Ti2NとTiNの混晶からTiNへと連続的に変える
ことができる。次に、基材1に照射するチタンイオンに
対する窒素ガスイオンの比をほぼ等しくすることで、1
μm程度以下のTiN層からなる表面保護層18を形成
する。
【0066】実施例17.図19図の基材1上に形成さ
れたハードコーティング膜は、1μm以下のTi層から
なる下地層15と、1μm以下のTiN層からなる表面
保護層18と、基材1から膜表面に向かって窒素組成と
炭素組成が変化する炭化窒化チタン系の硬化層13を設
けたものである。図1に示した蒸着装置において、真空
槽3内を排気系4により排気した後、金属イオン源9を
稼働させ、チタンのイオンを基材1に照射して成膜を開
始する。このようにして1μm程度のTi層からなる下
地層15を形成してから、次に、ガス導入系5によって
ガスイオン源10に窒素ガス等の窒素元素を含むガスと
炭素ガス等の炭素元素を含むガスを導入してガスイオン
源10を稼働させ、基材1に窒素イオンと炭素イオンを
照射する。ガスイオンと金属イオンは、基材1上で反応
してTiNとTiCの混晶の硬化層17が基材1上に形
成される。このとき、基材1に照射するチタンイオンに
対する窒素ガスイオンの比を変えることで、形成される
窒化チタン系の硬化層17の組成を、Ti2NとTiC
の混晶またはTi2NとTiNとTiCの混晶またはT
iNとTiCの混晶にすることができる。次に基材1に
照射するチタンイオンに対する窒素ガスイオンの比をほ
ぼ等しくすることで、1μm程度以下のTiN層からな
る表面保護層18を形成する。
【0067】実施例18.第20図の基材1上に形成さ
れたハードコーティング膜は、1μm以下のTi層から
なる下地層15と、1μm以下のTiN層からなる表面
保護層18と、基材1から膜表面に向かって炭素組成が
変化する炭化チタン系の硬化層14を設けたものであ
る。図1に示した蒸着装置において、真空槽3内を排気
系4により排気した後、金属イオン源9を稼働させ、チ
タンのイオンを基材1に照射して成膜を開始する。この
ようにして1μm程度のTi層からなる下地層15を形
成してから、次に、ガス導入系5によってガスイオン源
10に炭素ガス等の炭素元素を含むガスを導入して、ガ
スイオン源10を稼働させ、基材1に照射する炭素イオ
ン量を徐々に増やしていく。ガスイオンと金属イオン
は、基材1上で反応して、炭化チタンが基材1上に形成
される。このとき、基材1に照射するチタンイオンに対
するガスイオンの比を増加させることで、形成される炭
化チタン系の膜組成を、TiからTiとTiCの混晶、
TiとTiCの混晶からTiCへと連続的に変えること
ができる。次に、基材1に照射するチタンイオンに対す
る窒素ガスイオンの比をほぼ等しくすることで、1μm
程度以下のTiN層からなる表面保護層18を形成す
る。
【0068】以上のハードコーティング膜によれば、窒
化チタン系の硬化層の下地として1μm以下のTi層
と、硬化層の表面保護層として1μm以下のTiN層を
設けたので、基材と硬化層との密着力を非常に高く、ま
た硬度等の優れた特性が長持ちさせることができる。も
ちろん、組成を連続的に変化させたので膜歪が小さく切
削中の剥離が起こりにくい。上述した図4〜図20の窒
化チタン系のハードコーティング膜において、チタン
(Ti)元素の代わりに、アルミニウム(Al)、タン
グステン(W)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Z
r)、ほう素(B)、シリコン(Si)の金属元素で置
き換えて、窒化アルミニウム系、窒化タングステン系、
窒化ジルコニウム系、窒化ほう素系もしくは窒化シリコ
ン系の材料からなるハードコーティング膜、および少な
くとも二種類以上の窒化アルミニウム系、窒化タングス
テン系、窒化クロム系、窒化ジルコニウム系、窒化ほう
素系もしくは窒化シリコン系の材料の混合物からなるハ
ードコーティング膜としてもよい。
【0069】また、図4〜図20の窒化チタン系のハー
ドコーティング膜において、窒素(N)元素の代わり
に、酸素元素(O)もしくは、炭素元素(C)で置き換
えて、酸化もしくは炭化チタン系、酸化もしくは炭化ア
ルミニウム系、酸化もしくは炭化タングステン系、酸化
もしくは炭化ジルコニウム系、酸化もしくは炭化ほう素
系もしくは酸化もしくは炭化シリコン系の材料からなる
ハードコーティング膜、および少なくとも二種類以上の
酸化もしくは炭化チタン系、酸化もしくは炭化アルミニ
ウム系、酸化もしくは炭化タングステン系、酸化もしく
は炭化クロム系、酸化もしくは炭化ジルコニウム系、酸
化もしくは炭化ほう素系もしくは酸化もしくは炭化シリ
コン系の材料の混合物からなるハードコーティング膜と
してもよい。
【0070】実施例19.図21は、この発明の実施例
19によるハードコーティング膜製造装置である蒸着装
置を示す概略断面図である。図において、20は基材ホ
ルダー2の回転軸、21は基材1の加熱手段、22は冷
却配管、23は基材ホルダー機構にバイアス電圧を印加
するための絶縁手段、24は基材ホルダー機構の回転駆
動系、25はガスイオン源10にバイアス電圧を印加す
るための絶縁手段、26は基材ホルダー機構にバイアス
電圧を印加する電源、27はガスイオン源にバイアス電
圧を印加する電源である。
【0071】まず真空槽3内を排気系4により排気した
後、基材ホルダー機構の回転駆動系24により基材ホル
ダー2の回転軸20を回転させて基材1および基材ホル
ダー2を回転させる。このとき、基材1の加熱手段21
により、基材1表面を予備加熱することや、蒸着中の温
度上昇を防ぐため冷却配管22に冷却水、冷却ガス、液
体窒素等を流して基材1を冷却することも可能である。
次に、ガス導入系5によってガスイオン源10に少なく
とも1種類以上のチタン(Ti)、アルミニウム(A
l)、タングステン(W)、ほう素(B)、シリコン
(Si)等の金属元素を含むガス、例えばTiCl4
AlCl3、SiH4、WF6ガスと、少なくとも1種類
以上の窒素ガス、酸素ガスもしくは炭化水素系のガス、
もしくは窒素(N)元素、酸素(O)元素もしくは炭素
(C)元素を含む混合ガスを導入して、ガスイオン源1
0を稼働させる。ガスイオン源10では、放電等のイオ
ン化手段によりガスをイオン化および分解して、基材1
にチタン、アルミニウム、タングステン、ほう素、シリ
コン等の金属元素イオンと窒素元素、酸素元素もしくは
炭素元素イオンを照射する。このとき、バイアス電圧を
印加する電源27により、真空槽3から絶縁手段25に
よって電気的に絶縁されているガスイオン源10にバイ
アス電圧を印加すると、ガスイオンをさらに加速して基
材1に照射することができる。
【0072】金属元素イオン、および窒素元素、酸素元
素もしくは炭素元素イオンは、基材1上で反応して、セ
ラミック系のハードコーティング膜が基材1上に形成さ
れる。さらに、基材1および基材ホルダー機構は、絶縁
手段23により電気的に絶縁されているので、電源26
によりバイアス電圧を印加すると、イオンをさらに加速
して基材1に照射注入することが可能となる。また、こ
のときのガスイオン源10に導入するガス流量比を変え
ることで、形成されるセラミック系の膜組成を連続的に
変えることができる。
【0073】以上説明したように、この発明により、ガ
スイオンを基材表面に打ち込んで(注入して)ハードコ
ーティング膜を形成するようにしたので、剥離しにくい
ハードコーティング膜を蒸着することができる。またイ
オンの加速エネルギーを大きくすることで、バルク結晶
材料より天然では得られない高密度もしくは高硬度のハ
ードコーティング膜を形成することも可能となる。ま
た、ガスの種類および混合比を変えることにより結晶構
造や材料組成を変えることも可能となる。
【0074】実施例20.図22は、この発明の実施例
20によるハードコーティング膜の蒸着装置を示す概略
断面図である。図において、28はガス導入系である。
まず真空槽3内を排気系4により排気した後、基材ホル
ダー機構の回転駆動系24により基材ホルダー2の回転
軸20を回転させて基材1および基材ホルダー2を回転
させる。このとき、基材1の加熱手段21により基材1
の表面を予備加熱することや、蒸着中の温度上昇を防ぐ
ため冷却配管22に冷却水、冷却ガス、液体窒素等を流
して基材1を冷却することも可能である。
【0075】次に、ガス導入系5によってガスイオン源
10に少なくとも1種類以上の窒素ガス、酸素ガスもし
くは炭化水素系のガス、もしくは窒素(N)元素、酸素
(O)元素もしくは炭素(C)元素を含む混合ガスを導
入して、ガスイオン源10を稼働させる。ガスイオン源
10では、放電等のイオン化手段によりガスをイオン化
および分解して、基材1に窒素元素、酸素元素もしくは
炭素元素イオンを照射する。このとき、バイアス電圧を
印加する電源27により、真空槽3から絶縁手段25に
よって電気的に絶縁されているガスイオン源25にバイ
アス電圧を印加すると、ガスイオンをさらに加速して基
材1に照射することができる。
【0076】一方、ガス導入系5によってガスイオン源
6に少なくとも1種類以上のチタン(Ti)、アルミニ
ウム(Al)、タングステン(W)、ほう素(B)、シ
リコン(Si)等の金属元素を含むガス、例えばTiC
4、AlCl3、SiH4、WF6ガスを導入して、ガス
イオン源(蒸発源)6を稼働させる。ガスイオン源(蒸
発源)6では、放電等のイオン化手段によりガスをイオ
ン化および分解して、基材1にチタン、アルミニウム、
タングステン、ほう素、シリコン等の金属元素イオンを
照射する。このとき、バイアス電圧を印加する電源29
により、真空槽3から絶縁手段25によって電気的に絶
縁されているガスイオン源6にバイアス電圧を印加する
と、ガスイオンをさらに加速して基材1に照射すること
ができる。
【0077】金属元素イオン、および窒素元素、酸素元
素もしくは炭素元素イオンは、基材1上で反応して、セ
ラミック系のハードコーティング膜が基材1上に形成さ
れる。さらに基材1および基材ホルダー機構は、絶縁手
段23により電気的に絶縁されているので電源26によ
りバイアス電圧を印加すると、イオンをさらに加速して
基材1に照射注入することが可能となる。また、このと
きの基材1に照射するガス元素イオンと金属元素イオン
の比を変えることで、形成されるセラミック系の膜組成
を連続的に変えることができる。以上説明したように、
この発明により、上記作用に加えてさらに、複数のガス
イオン種を自由に変えることができるので、各ガスイオ
ン種の相互作用により結晶構造や材料組成をさらに自由
にコントロールすることや、天然では得られない材料を
蒸着するも可能となる。
【0078】以上の実施例で形成されるハードコーティ
ング膜は、窒化、酸化もしくは炭化チタン系、窒化、酸
化もしくは炭化クロム系、窒化、酸化もしくは炭化アル
ミニウム系、窒化、酸化もしくは炭化タングステン系、
窒化、酸化もしくは炭化ジルコニウム系、窒化、酸化も
しくは炭化ほう素系もしくは窒化、酸化もしくは炭化シ
リコン系の材料からなるハードコーティング膜、および
少なくとも二種類以上の窒化、酸化もしくは炭化チタン
系、窒化、酸化もしくは炭化クロム系、窒化、酸化もし
くは炭化アルミニウム系、窒化、酸化もしくは炭化タン
グステン系、窒化、酸化もしくは炭化ジルコニウム系、
窒化、酸化もしくは炭化ほう素系もしくは窒化、酸化も
しくは炭化シリコン系の材料の混合物、もしくはこれら
の組成が連続的に変化するハードコーティング膜として
もよい。
【0079】実施例21.図23は、この発明の実施例
21によるハードコーティング膜の製造装置を示す概略
断面図である。まず真空槽3内を排気系4により排気し
た後、基材ホルダー機構の回転駆動系24により上向き
の基材ホルダー2の回転軸20を回転させて蒸着面が上
向きの基材1および基材ホルダー2を回転させる。この
とき、基材の加熱手段21により、基材1表面を予備加
熱することや、蒸着中の温度上昇を防ぐため冷却配管2
2に冷却水、冷却ガス、液体窒素等を流して基材1を冷
却することも可能である。
【0080】次に、ガス導入系5によってガスイオンを
下向き、もしくは斜め下向きに照射するガスイオン源1
0に少なくとも1種類以上の窒素ガス、酸素ガスもしく
は炭化水素系のガス、もしくは窒素(N)元素、酸素
(O)元素もしくは炭素(C)元素を含む混合ガスを導
入して、ガスイオン源10を稼働させる。下向きのガス
イオン源10では、放電等のイオン化手段によりガスを
イオン化および分解して、基材1に窒素元素、酸素元素
もしくは炭素元素イオンを照射する。このとき、バイア
ス電圧を印加する電源27により、真空槽3から絶縁手
段25によって電気的に絶縁されているガスイオン源1
0にバイアス電圧を印加すると、ガスイオンをさらに加
速して基材1に照射することができる。
【0081】一方、ガス導入系5によってイオンを下向
き、もしくは斜め下向きに照射するガスイオン源6に少
なくとも1種類以上のチタン(Ti)、アルミニウム
(Al)、タングステン(W)、ほう素(B)、シリコ
ン(Si)等の金属元素を含むガス、例えばTiC
4、AlCl3、SiH4、WF6ガスを導入して、ガス
イオン源6を稼働させる。下向きのガスイオン源6で
は、放電等のイオン化手段によりガスをイオン化および
分解して、基材1にチタン、アルミニウム、タングステ
ン、ほう素、シリコン等の金属元素イオンを照射する。
このとき、バイアス電圧を印加する電源29により、真
空槽3から絶縁手段25によって電気的に絶縁されてい
るガスイオン源6にバイアス電圧を印加すると、ガスイ
オンをさらに加速して基材1に照射することができる。
金属元素イオン、および窒素元素、酸素元素もしくは炭
素元素イオンは、基材1上で反応して、セラミック系の
ハードコーティング膜が基材1上に形成される。さらに
基材1および基材ホルダー機構は、絶縁手段23により
電気的に絶縁されているので、電源26によりバイアス
電圧を印加すると、イオンをさらに加速して基材1に照
射注入することが可能となる。
【0082】以上説明したように、この発明では、金属
イオン源を使わないで成膜するため、金属材料を補充す
る必要がなく、また、このガスイオン源ではどのような
向きにも蒸着が可能であるため、例えば大重量の基材を
真空槽の下側もしくは横側において、下向きもしくは横
向きにイオンを照射して成膜することが可能となる。さ
らに、ガスイオン源を移動させて成膜することも可能な
ため、基材を回転させなくてもガスイオン源の移動させ
ることにより、基材の凹凸面や垂直面にも蒸着が可能と
なる。上記実施例において、電源26のバイアス電圧を
0、すなわち基材1および基材ホルダー2をアース電位
に保って、電源27によりガスイオン源10の正のバイ
アス電圧を印加して基材1にガス元素の正イオンを照射
しながら成膜すれば、ガスイオンの加速エネルギーを大
きくすることで、イオンを基材1の表面に打ち込んで
(注入して)ハードコーティング膜を形成できるのはも
ちろんのこと、基材電位がアース電位であるため、基材
ホルダー2、その回転手段および水冷手段を絶縁する必
要がなくなる。
【0083】また上記実施例において、電源26により
基材1および基材ホルダー2に負のバイアス電圧を印加
する一方、電源27によりガスイオン源10をアースす
るか、または正のバイアス電圧を印加して基材1にガス
元素の正イオンを照射しながら成膜すれば、イオンを基
材1の表面に打ち込んで(注入して)ハードコーティン
グ膜を形成できる。また、ガスイオン源10の電位がア
ース電位または低いバイアス電位であるため、ガスイオ
ン源10の電源26の小型化が可能となる。また上記実
施例において、電源26のバイアス電圧を0、すなわち
基材1および基材ホルダー2をアース電位に保って、電
源27により少なくとも1種類以上の窒素ガス、酸素ガ
スもしくは炭化水素系のガス、もしくは窒素元素、酸素
元素もしくは炭素元素を含むガスの解離種とイオンを照
射するガスイオン源10の正のバイアス電圧を印加して
基材1にガス元素の正イオンを照射すると共に、電源2
9により少なくとも1種類以上のチタン(Ti)、アル
ミニウム(Al)、タングステン(W)、ほう素
(B)、シリコン(Si)等の金属元素を含むガスの解
離種とイオンを照射するガスイオン源6に正のバイアス
電圧を印加して基材1にガス元素の正イオンを照射しな
がら成膜すれば、イオンを基材1の表面に打ち込んで
(注入して)ハードコーティング膜を形成できるのはも
ちろんのこと、基材電位がアース電位であるため、基材
ホルダー2、その回転手段および水冷手段を絶縁する必
要がなくなる。
【0084】また上記実施例において、電源26のバイ
アス電圧を0、すなわち基材1および基材ホルダー2を
アース電位に保って、電源27により少なくとも1種類
以上の窒素ガス、酸素ガスもしくは炭化水素系のガス、
もしくは窒素元素、酸素元素もしくは炭素元素を含むガ
スの解離種とイオンを照射するガスイオン源10に負の
バイアス電圧を印加して基材1にガス元素の負イオンお
よび電子を照射すると共に、電源29により少なくとも
1種類以上のチタン(Ti)、アルミニウム(Al)、
タングステン(W)、ほう素(B)、シリコン(Si)
等の金属元素を含むガスの解離種とイオンを照射するガ
スイオン源6に正のバイアス電圧を印加して基材1にガ
ス元素の正イオンを照射しながら成膜すれば、イオンを
基材表面に打ち込んで(注入して)ハードコーティング
膜を形成できるのはもちろんのこと、基材電位がアース
電位であるため、基材ホルダー2、その回転手段および
水冷手段を絶縁する必要がない。また負電荷であるガス
イオンと正電荷であるガスイオンおよび電子を基材表面
に照射するようにしたので、荷電粒子の電荷量を中和し
て成膜が行うことができる。
【0085】また上記実施例において、電源26のバイ
アス電圧を0、すなわち基材1および基材ホルダー2を
アース電位に保って、電源27により少なくとも1種類
以上の窒素ガス、酸素ガスもしくは炭化水素系のガス、
もしくは窒素元素、酸素元素もしくは炭素元素を含むガ
スの解離種とイオンを照射するガスイオン源10の正の
バイアス電圧を印加して基材1にガス元素の正イオンを
照射すると共に、電源29により少なくとも1種類以上
のチタン(Ti)、アルミニウム(Al)、タングステ
ン(W)、ほう素(B)、シリコン(Si)等の金属元
素を含むガスの解離種と負イオンおよび電子を照射する
ガスイオン源6に正のバイアス電圧を印加して基材1に
ガス元素の正イオンを照射しながら成膜すれば、イオン
を基材表面に打ち込んで(注入して)ハードコーティン
グ膜を形成できるのはもちろんのこと、基材電位がアー
ス電位であるため、基材のホルダー、この回転手段およ
び水冷手段を絶縁する必要がない。また負電荷であるガ
スイオンと正電荷であるガスイオンおよび電子を基材表
面に照射するようにしたので荷電粒子の電荷量を中和し
て成膜が行うことができる。
【0086】また上記実施例において、電源26により
基材1および基材ホルダー2に負のバイアス電圧を印加
する一方、電源27により少なくとも1種類以上の窒素
ガス、酸素ガスもしくは炭化水素系のガス、もしくは窒
素元素、酸素元素もしくは炭素元素を含むガスの解離種
とイオンを照射するガスイオン源10をアース電位また
は正のバイアス電圧を印加して基材1にガス元素の正イ
オンを照射すると共に、電源29により少なくとも1種
類以上のチタン(Ti)、アルミニウム(Al)、タン
グステン(W)、ほう素(B)、シリコン(Si)等の
金属元素を含むガスの解離種と負イオンおよび電子を照
射するガスイオン源6をアース電位または正のバイアス
電圧を印加して基材1にガス元素の正イオンを照射しな
がら成膜すれば、イオンを基材表面に打ち込んで(注入
して)ハードコーティング膜を形成できるのはもちろん
のこと、またガスイオン源6の電位がアース電位または
低いバイアス電圧であるため、ガスイオン源6の電源の
小型化が可能となる。
【0087】また上記実施例において、電源26により
基材1および基材ホルダー2に負のバイアス電圧を印加
する一方、電源27により少なくとも1種類以上の窒素
ガス、酸素ガスもしくは炭化水素系のガス、もしくは窒
素元素、酸素元素もしくは炭素元素を含むガスの解離種
とイオンを照射するガスイオン源10を基材1の電位よ
り大きな負の電位に保って基材1に金属元素の負イオン
とガスイオン源から発生する電子を照射すると共に、電
源29により少なくとも1種類以上のチタン(Ti)、
アルミニウム(Al)、タングステン(W)、ほう素
(B)、シリコン(Si)等の金属元素を含むガスの解
離種と負イオンおよび電子を照射するガスイオン源6を
アース電位または正のバイアス電圧を印加して基材1に
ガス元素の正イオンを照射しながら成膜すれば、イオン
を基材表面に打ち込んで(注入して)ハードコーティン
グ膜を形成できるのはもちろんのこと、負電荷であるガ
スイオンと正電荷であるガスイオンおよび電子を金属表
面に照射するようにしたので荷電粒子の電荷量を中和し
て成膜が行うことができる。
【0088】また上記実施例において、電源26により
基材1および基材ホルダー2に負のバイアス電圧を印加
する一方、電源27により少なくとも1種類以上の窒素
ガス、酸素ガスもしくは炭化水素系のガス、もしくは窒
素元素、酸素元素もしくは炭素元素を含むガスの解離種
とイオンを照射するガスイオン源10をアース電位また
は正のバイアス電圧を印加して基材1にガス元素の正イ
オンを照射すると共に、電源29により少なくとも1種
類以上のチタン(Ti)、アルミニウム(Al)、タン
グステン(W)、ほう素(B)、シリコン(Si)等の
金属元素を含むガスの解離種と負イオンおよび電子を照
射するガスイオン源6を基材1の電位より大きな負の電
位に保って基材1に金属元素の負イオンとイオン源から
発生する電子を照射しながら成膜すれば、イオンを基材
表面に打ち込んで(注入して)ハードコーティング膜を
形成できるのはもちろんのこと、負電荷であるガスイオ
ンと正電荷であるガスイオンおよび電子を基材表面に照
射するようにしたので荷電粒子の電荷量を中和して成膜
が行うことができる。
【0089】また上記実施例において、基材1および基
材ホルダー2にバイアス電圧を印加する電源26からの
出力電圧は、図24に示すような直流電圧、図25に示
すような半波整流された負のバイアス電圧を印加する直
流電圧、または図26に示すようなステップ状の負の電
圧、または図27および図28に示すような負の電圧が
印加される時間が正の電圧に印加される時間より長い交
流電圧とするようにしたので、特にリップル率が低い電
源を使わなくても、イオン源から発生する正イオンを基
材表面に打ち込んで(注入して)剥離しにくいハードコ
ーティング膜を蒸着することができ、また電源のコスト
低減が容易で、小型化が可能である。
【0090】また上記実施例において、基材1および基
材ホルダー2にバイアス電圧を印加する電源26からの
出力電圧は、図29に示すような正弦波状の交流電源、
図30に示すようなステップ状の交流電源としたので、
基材1に対して正電荷のイオンと負電荷のイオンおよび
電子を基材表面に交互に照射し荷電粒子の電荷量を中和
して成膜が行われる。また、イオンの加速エネルギーを
大きくすることで、イオンを基材表面に打ち込んで(注
入して)ハードコーティング膜を形成するようにしたの
で、剥離しにくいハードコーティング膜を蒸着すること
ができる。また上記実施例において、金属蒸発源もしく
は金属イオン源9およびガスイオン源10および6にバ
イアス電圧を印加する電源27および29からの出力電
圧は、図29に示すような正弦波状の交流電源、図30
に示すようなステップ状の交流電源としたので、基材1
に対して正電荷のイオンと負電荷のイオンおよび電子を
基材表面に交互に照射し荷電粒子の電荷量を中和して成
膜が行われる。
【0091】実施例22.図31は、この発明の実施例
22によるハードコーティング膜の蒸着装置を示す概略
断面図である。まず真空槽3内を排気系4により排気し
た後基材ホルダー機構の回転駆動系24により基材ホル
ダー2の回転軸20を回転させて基材1および基材ホル
ダー2を回転させる。このとき、基材1の加熱手段21
により、基材1表面を予備加熱することや、蒸着中の温
度上昇を防ぐため冷却配管22に冷却水、冷却ガス、液
体窒素等を流して基材1を冷却することも可能である。
次に、ガス導入系5によってガスイオン源10に少なく
とも1種類以上の窒素ガス、メタンガス、アンモニアガ
ス等の窒素元素または炭素元素を含むガスを導入して、
ガスイオン源10を稼働させる。ガスイオン源10で
は、放電等のイオン化手段によりガスをイオン化および
分解して、基材1に窒素等のガスイオンを照射する。こ
のとき、バイアス電圧を印加する電源27により、真空
槽3から絶縁手段25によって電気的に絶縁されている
ガスイオン源10にバイアス電圧を印加すると、ガスイ
オンをさらに加速して基材1に照射することができる。
【0092】一方、金属イオン源9を稼働させ、チタン
等の金属材料のイオンを基材1に照射する。このとき
も、バイアス電圧を印加する電源29により、真空槽3
から絶縁手段25によって電気的に絶縁されている金属
イオン源9にバイアス電圧を印加すると、金属イオンを
さらに加速して基材1に照射することができる。ガスイ
オンと金属イオンは、基材1上で反応して、窒化チタン
が基材1上に形成される。さらに基材1および基材ホル
ダー機構は、絶縁手段23により電気的に絶縁されてい
るので電源26によりバイアス電圧を印加すると、イオ
ンをさらに加速して基材1に照射することが可能とな
る。また、このときの基材1に照射する窒素ガスイオン
と金属イオンの比を変えることで、形成される窒化チタ
ン系の膜組成を、例えば、TiからTiとTi2Nの混
晶、TiとTi2Nの混晶からTi2N、Ti2NからT
2NとTiNの混晶、Ti2NとTiNの混晶からTi
Nへと連続的に変えることができる。
【0093】以上説明したように、この発明により、イ
オンを基材表面に打ち込んで(注入して)ハードコーテ
ィング膜を形成するようにしたので、剥離しにくいハー
ドコーティング膜を蒸着することができる。また金属イ
オンおよびガスイオンの加速エネルギーを大きくするこ
とで、バルク結晶材料より天然では得られない高密度も
しくは高硬度のハードコーティング膜を形成することも
可能となる。また、金属イオンおよびガスイオンの相互
作用により結晶構造や材料組成を自由にコントロールす
ることや、天然では得られない材料を蒸着するも可能と
なる。さらに、基材に照射する金属イオンとガスイオン
の割合を変えることにより、ハードコーティング膜の組
成を自由に制御できるようにしたので、例えば窒化チタ
ン系の硬化層の窒素組成を連続的に変化させることが可
能となり、このため、基材表面ではTiリッチの層とす
ることができるので基材との密着力を高めることができ
る。また硬度が高いTi2NとTiN混合層や、TiC
との混晶層とすることができるので、従来のTiNより
硬度を高くすることができる。また、組成を連続的に変
化させたので膜歪が小さく切削中の剥離がおこりにくい
効果がある。
【0094】また図31において、電源26のバイアス
電圧を0、すなわち基材1および基材ホルダー2をアー
ス電位に保って、電源27によりガスイオン源10に正
のバイアス電圧を印加して基材1にガス元素の正イオン
を照射すると共に、電源29により金属蒸発源9もしく
は金属イオン源9に正のバイアス電圧を印加して基材1
に金属元素の正イオンを照射しながら成膜すれば、金属
イオンおよびガスイオンの加速エネルギーを大きくする
ことで、イオンを基材表面に打ち込んで(注入して)ハ
ードコーティング膜を形成できるのはもちろんのこと、
基材電位がアース電位であるため、基材ホルダー2、そ
の回転手段および水冷手段を絶縁する必要がなくなる。
また図31において、電源26のバイアス電圧を0、す
なわち基材1および基材ホルダー2をアース電位に保っ
て、電源27によりガスイオン源10に負のバイアス電
圧を印加して基材1にガス元素の負イオンおよびガスイ
オン源から発生する電子を照射すると共に、電源29に
より金属蒸発源9もしくは金属イオン源9に正のバイア
ス電圧を印加して基材1に金属元素の正イオンを照射し
ながら成膜すれば、正電荷である金属イオンと負電荷で
あるガスイオンおよび電子を基材表面に照射されるので
荷電粒子の電荷量を中和して成膜が行われる。また基材
電位がアース電位であるため、基材ホルダー機構を絶縁
する必要がなくなる。
【0095】また図31において、電源26のバイアス
電圧を0、すなわち基材1および基材ホルダー2をアー
ス電位に保って、電源27によりガスイオン源10に正
のバイアス電圧を印加して基材1にガス元素の正イオン
を照射すると共に、電源29により金属蒸発源9もしく
は金属イオン源9に負のバイアス電圧を印加して基材1
に金属元素の負イオンおよび金属イオン源から発生する
電子を照射しながら成膜すれば、負電荷である金属イオ
ンと正電荷であるガスイオンおよび電子を基材表面に照
射されるので荷電粒子の電荷量を中和して成膜ができ
る。また基材電位がアース電位であるため、基材ホルダ
ー機構を絶縁する必要がなくなる。また図31におい
て、電源26により基材1および基材ホルダー2に負の
バイアス電圧を印加する一方、電源27によりガスイオ
ン源10をアースするか、または正のバイアス電圧を印
加して基材1にガス元素の正イオンを照射すると共に、
電源29により金属蒸発源9もしくは金属イオン源9を
アースするか、または正のバイアス電圧を印加して基材
1に金属元素の正イオンを照射しながら成膜すれば、金
属イオン源およびガスイオン源がアース電位であって
も、イオンを基材表面に打ち込んで(注入して)ハード
コーティング膜を形成できるばかりではなく、ガスイオ
ン源の電位がアース電位または低いバイアス電圧である
ためガスイオン源の電源の小型化が可能となる。
【0096】また図31において、電源26により基材
1および基材ホルダー2に負のバイアス電圧を印加する
一方、電源27によりガスイオン源10をアースする
か、または正のバイアス電圧を印加して基材1にガス元
素の正イオンを照射すると共に、電源29により金属蒸
発源9もしくは金属イオン源9を基材1の電位より大き
な負の電位に保って基材1に金属元素の負イオンおよび
金属イオン源から発生する電子を照射しながら成膜すれ
ば、イオンを基材表面に打ち込んで(注入して)ハード
コーティング膜を形成できる。また、正電荷である金属
イオンと負電荷であるガスイオンおよび電子を基材表面
に照射するようにしたので荷電粒子の電荷量を中和する
ことができる。また図1において、電源26により基材
1および基材ホルダー2に負のバイアス電圧を印加する
一方、電源27によりガスイオン源10を基材1の電位
より大きな負の電位に保って基材1にガス元素の負イオ
ンおよびガスイオン源から発生する電子を照射すると共
に、電源29により金属蒸発源9もしくは金属イオン源
9をアースするか、または正のバイアス電圧を印加して
基材1に金属元素の正イオンを照射しながら成膜すれ
ば、イオンを基材表面に打ち込んで(注入して)ハード
コーティング膜を形成できる。また、正電荷である金属
イオンと負電荷であるガスイオンおよび電子を基材表面
に照射するようにしたので荷電粒子の電荷量を中和する
ことができる。
【0097】また図31において、電源26により基材
1および基材ホルダー2に負のバイアス電圧を印加する
一方、電源27によりガスイオン源10を基材の電位よ
り大きな負の電位に保って基材1にガス元素の負イオン
およびガスイオン源から発生する電子をを照射すると共
に、電源29により金属蒸発源9もしくは金属イオン源
9をアースするか、または正のバイアス電圧を印加して
基材1に金属元素の正イオンを照射しながら成膜すれ
ば、イオンを基材表面に打ち込んで(注入して)ハード
コーティング膜を形成できる。また、正電荷である金属
イオンと負電荷であるガスイオンおよび電子を基材表面
に照射するようにしたので荷電粒子の電荷量を中和する
ことができる。
【0098】また図31において、基材1および基材ホ
ルダー2にバイアス電圧を印加する電源26からの出力
電圧は、図24に示すような直流電圧、図25に示すよ
うな半波整流された負のバイアス電圧を印加する直流電
圧、または図26に示すようなステップ状の負の電圧、
または図27および図28に示すような負の電圧が印加
される時間が正の電圧に印加される時間より長い交流電
圧とするようにしたので、特にリップル率が低い電源を
使わなくても、イオン源から発生する正イオンを基材表
面に打ち込んで(注入して)剥離しにくいハードコーテ
ィング膜を蒸着することができる。また電源のコスト低
減が容易で、小型化が可能である。また図31におい
て、基材1および基材ホルダー2にバイアス電圧を印加
する電源26からの出力電圧は、図29に示すような正
弦波状の交流電源、図30に示すようなステップ状の交
流電源としたので、基材1に対して正電荷のイオンと負
電荷のイオンおよび電子を基材表面に交互に照射するよ
うにしたので荷電粒子の電荷量を中和して成膜ができ
る。また、イオンの加速エネルギーを大きくすること
で、イオンを基材表面に打ち込んで(注入して)ハード
コーティング膜を形成するようにしたので、剥離しにく
いハードコーティング膜を蒸着することができる。
【0099】また図31において、金属蒸発源もしくは
金属イオン源9およびガスイオン源10および6にバイ
アス電圧を印加する電源27および29からの出力電圧
は、図29に示すような正弦波状の交流電源、図30に
示すようなステップ状の交流電源としたので、基材1に
対して正電荷のイオンと負電荷のイオンおよび電子を基
材表面に交互に照射するようにしたので荷電粒子の電荷
量を中和して成膜ができる。また図31において、アル
ゴン(Ar)等の不活性ガス、または窒素ガス、水素ガ
ス等のイオンをガスイオン源により発生させ、50〜1
0keV程度のイオンの加速エネルギーと10〜100
0mA程度のイオン量で基材表面に照射して、基材を加
熱するようにすれば、基材を加熱するヒーターが不要と
なる。
【0100】
【発明の効果】以上説明したとおり、この発明の請求項
第1項は、基材表面にコーティングされたハードコーテ
ィング膜であって、このハードコーティング膜は、上記
基材からハードコーティング膜の表面に向かって窒素組
成が変化するTiNx(0<x<1)であるので、基材
表面ではTiリッチの層となっており、基材との密着力
が向上するという効果を奏する。
【0101】この発明の請求項第2項は、ハードコーテ
ィング膜は、Ti、TiとTi2Nとの混晶、Ti2N、
及びTi2NとTiNとの混晶の少なくとも1種を含む
ので、硬度が高いTi2NとTiN混合層が形成され、
従来のTiNより硬度を高くすることができるという効
果を奏する。
【0102】この発明の請求項第3項は、ハードコーテ
ィング膜は、TiCの混晶を含むので、従来のTiNよ
り硬度を高くすることができるという効果を奏する。
【0103】この発明の請求項第4項は、基材表面の下
地層は、1μm以下のTi層であるので、付着力の高い
Ti層のために硬化層との密着力を非常に高くすること
ができるという効果を奏する。
【0104】この発明の請求項第5項は、ハードコーテ
ィング膜の表面に、1μm以下のTiN層からなる表面
保護層を設けたので、酸化反応等により経年劣化しやす
いTi2NとTiN混合層を保護し、硬度等の優れた特
性が長持ちするという効果を奏する。
【0105】この発明の請求項第6項は、ハードコーテ
ィング膜は、Tiの代わりにAl、W、Cr、Zr、B
及びSiからなる群から選ばれた金属元素で置き換えた
AlN系、WN系、CrN系、ZrN系、BN系及びS
iN系の材料からなるので、Tiを他の金属で置き換え
たハードコーティング膜に対しても同様に適用できると
いう効果を奏する。
【0106】この発明の請求項第7項は、基材表面にコ
ーティングされたハードコーティング膜であって、この
ハードコーティング膜は、上記基材からハードコーティ
ング膜の表面に向かって炭素組成が変化するTiCx
(0<x<1)であるので、基材表面ではTiリッチの
層となっており、基材との密着力が向上するという効果
を奏する。
【0107】この発明の請求項第8項は、ハードコーテ
ィング膜は、Ti、TiとTiCとの混晶、及びTiC
の少なくとも1種を含むので、硬度が高いTiCとの混
晶層が形成され、従来のTiNより硬度を高くすること
ができるという効果を奏する。
【0108】この発明の請求項第9項は、基材表面の下
地層は、1μm以下のTi層であるので、付着力の高い
Ti層のために硬化層との密着力を非常に高くすること
ができるという効果を奏する。
【0109】この発明の請求項第10項は、ハードコー
ティング膜の表面に、1μm以下のTiN層からなる表
面保護層を設けたので、酸化反応等により経年劣化しや
すいTiCとの混晶層を保護し、硬度等の優れた特性が
長持ちするという効果を奏する。
【0110】この発明の請求項第11項は、所定の真空
度の保持された真空槽と、この真空槽内に配置された基
材と、この基材を回転する回転機構と、上記基材を加熱
又は冷却する基材温度調節機構と、上記基材の蒸着面に
対向してして設けられ、少なくとも1種類以上の金属元
素を含むガス及び非金属元素の混合ガスを解離又はイオ
ン化して上記基材に照射する1個のガスイオン源とを備
えたので、剥離しにくいハードコーティング膜を蒸着す
ることができるという効果を奏する。また、金属イオン
源を使わないので、金属材料を補充する必要がなくなる
という効果を奏する。
【0111】この発明の請求項第12項は、所定の真空
度の保持された真空槽と、この真空槽内に配置された基
材と、この基材を回転する回転機構と、上記基材を加熱
又は冷却する基材温度調節機構と、上記基材の蒸着面に
対向してして設けられ、少なくとも1種類以上の金属元
素を含むガスを解離又はイオン化して上記基材に照射す
る金属イオン源と、上記基材の蒸着面に対向して設けら
れ、非金属元素の混合ガスを解離又はイオン化して上記
基材に照射するガスイオン源とを備えたので、金属イオ
ンやガスイオンの相互作用により結晶構造や材料組成を
自由にコンントロールすることができ、天然では得られ
ない材料を蒸着することも可能となるという効果を奏す
る。
【0112】この発明の請求項第13項は、基材はその
蒸着面を上向きにして配置したので、ガスイオン源又は
金属イオン源をどのような下向きに置いても蒸着が可能
であるため、例えば大重量の基材を真空槽の下側に置い
て、下向きにイオンを照射して成膜することも可能とな
るという効果を奏する。
【0113】この発明の請求項第14項は、基材はその
蒸着面を横向きにして配置したので、ガスイオン源又は
金属イオン源をどのような向きにおいても蒸着が可能で
あるため、例えば大重量の基材を真空槽の側壁に置い
て、横向きにイオンを照射して成膜することも可能とな
るという効果を奏する。
【0114】この発明の請求項第15項は、ガスイオン
源又は金属イオン源を移動させながら蒸着を行うので、
基材を回転させずに均一な成膜を行うことが可能となる
という効果を奏する。
【0115】この発明の請求項第16項は、基材を所定
の電圧にバイアスする第1のバイアス手段を設け、この
第1のバイアス手段により基材をアース電位又は負の電
位にバイアスし、ガスイオン源を所定の電圧にバイアス
する第2のバイアス手段を設け、この第2のバイアス手
段によりガスイオン源を上記基材の電位より高い電位に
バイアスするので、ガスイオンの加速エネルギーを大き
くして、より剥離しにくいハードコーティング膜を蒸着
することができるという効果を奏する。
【0116】この発明の請求項第17項は、第2のバイ
アス手段によりガスイオン源を基材の電位より低い電位
にバイアスするので、ガスイオンの加速エネルギーを大
きくして、より剥離しにくいハードコーティング膜を蒸
着することができるという効果を奏する。
【0117】この発明の請求項第18項は、基材を所定
の電圧にバイアスする第1のバイアス手段を設け、この
第1のバイアス手段により上記基材をアース電位又は負
の電位にバイアスし、金属イオン源を所定の電圧にバイ
アスする第2のバイアス手段を設け、この第2のバイア
ス手段により上記金属イオン源を上記基材の電位より高
く又は低くバイアスするので、金属イオン及びガスイオ
ンの加速エネルギーを大きくすることで、より剥離しに
くいハードコーティング膜を蒸着することができるとい
う効果を奏する。
【0118】この発明の請求項第19項は、ガスイオン
源を所定の電位にバイアスする第3のバイアス手段を設
け、この第3のバイアス手段により上記ガスイオン源を
基材の電位より高く又は低くバイアスするので、金属イ
オン及びガスイオンの加速エネルギーを大きくすること
で、より剥離しにくいハードコーティング膜を蒸着する
ことができるという効果を奏する。
【0119】この発明の請求項第20項は、第1、第2
及び第3のバイアス手段は、直流電圧又は半波整流され
たバイアス電圧を印加する直流電源であるので、バイア
ス電圧を印加する電源として特にリップル率が低い電源
を使わなくても、イオンを基材表面に打ち込んで剥離し
にくいハードコーティング膜を蒸着することができると
いう効果を奏する。
【0120】この発明の請求項第21項は、第2及び第
3のバイアス手段は、正又は負の電圧がステップ状又は
正弦波状に交互に印加される交流電源であるので、バイ
アス電圧を印加する電源として特にリップル率が低い電
源を使わなくても、イオンを基材表面に打ち込んで剥離
しにくいハードコーティング膜を蒸着することができる
という効果を奏する。
【0121】この発明の請求項第22項は、ガスイオン
源で発生したイオンを50〜10keV程度のイオンの
加速エネルギーと10〜1000mA程度のイオン量で
基材表面に照射することにより基材の加熱を行うので、
基材を加熱するヒーターが不要となるという効果を奏す
る。
【0122】この発明の請求項第23項は、真空槽内で
加速して輸送された金属又は金属イオンと、加速して輸
送された非金属元素のガスイオンとの割合を変えてこれ
らを基材に照射することにより、ハードコーティング膜
の組成を制御するので、ハードコーティング膜の組成を
連続的に変化させることができ、膜歪が小さく切削中の
剥離が起こりにくいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1によるハードコーティン
グ膜の蒸着装置を示す概略断面図である。
【図2】 この発明の実施例1により窒化チタン膜のX
線回折による測定結果を示す線図である。
【図3】 この発明の実施例1により窒化チタン膜硬度
の組成比依存性を示す図である。
【図4】 この発明の実施例2によるハードコーティン
グ膜を示す側断面図である。
【図5】 この発明の実施例3によるハードコーティン
グ膜を示す側断面図である。
【図6】 この発明の実施例4によるハードコーティン
グ膜を示す側断面図である。
【図7】 この発明の実施例5によるハードコーティン
グ膜を示す側断面図である。
【図8】 この発明の実施例6によるハードコーティン
グ膜を示す側断面図である。
【図9】 この発明の実施例7によるハードコーティン
グ膜を示す側断面図である。
【図10】 この発明の実施例8によるハードコーティ
ング膜を示す側断面図である。
【図11】 この発明の実施例9によるハードコーティ
ング膜を示す側断面図である。
【図12】 この発明の実施例10によるハードコーテ
ィング膜を示す側断面図である。
【図13】 この発明の実施例11によるハードコーテ
ィング膜を示す側断面図である。
【図14】 この発明の実施例12によるハードコーテ
ィング膜を示す側断面図である。
【図15】 この発明の実施例13によるハードコーテ
ィング膜を示す側断面図である。
【図16】 この発明の実施例14によるハードコーテ
ィング膜を示す側断面図である。
【図17】 この発明の実施例15によるハードコーテ
ィング膜を示す側断面図である。
【図18】 この発明の実施例16によるハードコーテ
ィング膜を示す側断面図である。
【図19】 この発明の実施例17によるハードコーテ
ィング膜を示す側断面図である。
【図20】 この発明の実施例18によるハードコーテ
ィング膜を示す側断面図である。
【図21】 この発明の実施例19によるハードコーテ
ィング膜の蒸着装置を示す概略断面図である。
【図22】 この発明の実施例20によるハードコーテ
ィング膜の蒸着装置を示す概略断面図である。
【図23】 この発明の実施例21によるハードコーテ
ィング膜の蒸着装置を示す概略断面図である。
【図24】 この発明の実施例19〜22により印加さ
れるバイアス電圧の波形を示す線図である。
【図25】 この発明の実施例19〜22により印加さ
れるバイアス電圧の波形を示す線図である。
【図26】 この発明の実施例19〜22により印加さ
れるバイアス電圧の波形を示す線図である。
【図27】 この発明の実施例19〜22により印加さ
れるバイアス電圧の波形を示す線図である。
【図28】 この発明の実施例19〜22により印加さ
れるバイアス電圧の波形を示す線図である。
【図29】 この発明の実施例19〜22により印加さ
れるバイアス電圧の波形を示す線図である。
【図30】 この発明の実施例19〜22により印加さ
れるバイアス電圧の波形を示す線図である。
【図31】 この発明の実施例22によるハードコーテ
ィング膜の蒸着装置を示す概略断面図である。
【図32】 従来のハードコーティング膜の蒸着装置を
示す概略断面図である。
【図33】 従来の蒸着装置で蒸着されたハードコーテ
ィング膜を示す側断面図である。
【符号の説明】
1 基材、2 基材ホルダー、3 真空槽、4 排気
系、5 ガス導入系、6蒸発源、7 直流電源、8 窒
化チタン膜、9 金属イオン源、10 ガスイオン源、
11〜14、16、17 硬化層、15 下地層、18
表面保護層、20 回転軸、21 加熱手段、22
冷却配管、23、25 絶縁手段、24回転駆動系、2
6、27、29 電源、28 ガス導入系。

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面にコーティングされたハードコ
    ーティング膜であって、このハードコーティング膜は、
    上記基材からハードコーティング膜の表面に向かって窒
    素組成が変化するTiNx(0<x<1)であることを
    特徴とするハードコーティング膜。
  2. 【請求項2】 ハードコーティング膜は、Ti、Tiと
    Ti2Nとの混晶、Ti2N、及びTi2NとTiNとの
    混晶の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項第
    1項記載のハードコーティング膜。
  3. 【請求項3】 ハードコーティング膜は、TiCの混晶
    を含むことを特徴とする請求項第1項又は第2項記載の
    ハードコーティング膜。
  4. 【請求項4】 基材表面の下地層は、1μm以下のTi
    層であることを特徴とする請求項第1項ないし第3項の
    いずれか記載のハードコーティング膜。
  5. 【請求項5】 ハードコーティング膜の表面に、1μm
    以下のTiN層からなる表面保護層を設けたことを特徴
    とする請求項第1項記載のハードコーティング膜。
  6. 【請求項6】 ハードコーティング膜は、Tiの代わり
    にAl、W、Cr、Zr、B及びSiからなる群から選
    ばれた金属元素で置き換えたAlN系、WN系、CrN
    系、ZrN系、BN系及びSiN系の材料からなること
    を特徴とする請求項第1項記載のハードコーティング
    膜。
  7. 【請求項7】 基材表面にコーティングされたハードコ
    ーティング膜であって、このハードコーティング膜は、
    上記基材からハードコーティング膜の表面に向かって炭
    素組成が変化するTiCx(0<x<1)であることを
    特徴とするハードコーティング膜。
  8. 【請求項8】 ハードコーティング膜は、Ti、Tiと
    TiCとの混晶、及びTiCの少なくとも1種を含むこ
    とを特徴とする請求項第7項記載のハードコーティング
    膜。
  9. 【請求項9】 基材表面の下地層は、1μm以下のTi
    層であることを特徴とする請求項第7項又は第8項記載
    のハードコーティング膜。
  10. 【請求項10】 ハードコーティング膜の表面に、1μ
    m以下のTiN層からなる表面保護層を設けたことを特
    徴とする請求項第7項ないし第9項のいずれか記載のハ
    ードコーティング膜。
  11. 【請求項11】 所定の真空度の保持された真空槽と、
    この真空槽内に配置された基材と、この基材を回転する
    回転機構と、上記基材を加熱又は冷却する基材温度調節
    機構と、上記基材の蒸着面に対向してして設けられ、少
    なくとも1種類以上の金属元素を含むガス及び非金属元
    素の混合ガスを解離又はイオン化して上記基材に照射す
    る1個のガスイオン源とを備えたことを特徴とするハー
    ドコーティング膜の蒸着装置。
  12. 【請求項12】 所定の真空度の保持された真空槽と、
    この真空槽内に配置された基材と、この基材を回転する
    回転機構と、上記基材を加熱又は冷却する基材温度調節
    機構と、上記基材の蒸着面に対向してして設けられ、少
    なくとも1種類以上の金属元素を含むガスを解離又はイ
    オン化して上記基材に照射する金属イオン源と、上記基
    材の蒸着面に対向して設けられ、非金属元素の混合ガス
    を解離又はイオン化して上記基材に照射するガスイオン
    源とを備えたことを特徴とするハードコーティング膜の
    蒸着装置。
  13. 【請求項13】 基材はその蒸着面を上向きにして配置
    したことを特徴とする請求項第11項又は第12項記載
    のハードコーティング膜の蒸着装置。
  14. 【請求項14】 基材はその蒸着面を横向きにして配置
    したことを特徴とする請求項第11項又は第12項記載
    のハードコーティング膜の蒸着装置。
  15. 【請求項15】 ガスイオン源又は金属イオン源を移動
    させながら蒸着を行うことを特徴とする請求項第11項
    又は第12項記載のハードコーティング膜の蒸着装置。
  16. 【請求項16】 基材を所定の電圧にバイアスする第1
    のバイアス手段を設け、この第1のバイアス手段により
    基材をアース電位又は負の電位にバイアスし、ガスイオ
    ン源を所定の電圧にバイアスする第2のバイアス手段を
    設け、この第2のバイアス手段によりガスイオン源を上
    記基材の電位より高い電位にバイアスすることを特徴と
    する請求項第11項記載のハードコーティング膜の蒸着
    装置。
  17. 【請求項17】 第2のバイアス手段によりガスイオン
    源を基材の電位より低い電位にバイアスすることを特徴
    とする請求項第16項記載のハードコーティング膜の蒸
    着装置。
  18. 【請求項18】 基材を所定の電圧にバイアスする第1
    のバイアス手段を設け、この第1のバイアス手段により
    上記基材をアース電位又は負の電位にバイアスし、金属
    イオン源を所定の電圧にバイアスする第2のバイアス手
    段を設け、この第2のバイアス手段により上記金属イオ
    ン源を上記基材の電位より高く又は低くバイアスするこ
    とを特徴とする請求項第12項記載のハードコーティン
    グ膜の蒸着装置。
  19. 【請求項19】 ガスイオン源を所定の電位にバイアス
    する第3のバイアス手段を設け、この第3のバイアス手
    段により上記ガスイオン源を基材の電位より高く又は低
    くバイアスすることを特徴とする請求項第18項記載の
    ハードコーティング膜の蒸着装置。
  20. 【請求項20】 第1、第2及び第3のバイアス手段
    は、直流電圧又は半波整流されたバイアス電圧を印加す
    る直流電源であることを特徴とする請求項第19項記載
    のハードコーティング膜の蒸着装置。
  21. 【請求項21】 第2及び第3のバイアス手段は、正又
    は負の電圧がステップ状又は正弦波状に交互に印加され
    る交流電源であることを特徴とする請求項第19項記載
    のハードコーティング膜の蒸着装置。
  22. 【請求項22】 ガスイオン源で発生したイオンを50
    〜10 keV程度のイオンの加速エネルギーと10〜
    1000mA程度のイオン量で基材表面に照射すること
    により、基材の加熱を行うことを特徴とする請求項第1
    1項又は第12項記載のハードコーティング膜の蒸着装
    置。
  23. 【請求項23】 真空槽内で加速して輸送された金属又
    は金属イオンと、加速して輸送された非金属元素のガス
    イオンとの割合を変えてこれらを基材に照射することに
    より、ハードコーティング膜の組成を制御することを特
    徴とするハードコーティング膜の製造方法。
JP24140494A 1994-10-05 1994-10-05 ハードコーティング膜及びその製造方法並びにハードコーティング膜の蒸着装置 Pending JPH08104976A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7008688B2 (en) 2001-03-13 2006-03-07 Osg Corporation Hard multilayer coating, hard multilayer coated tool including the hard multilayer coating, and method of forming the hard multilayer coating
JP2010265531A (ja) * 2009-05-18 2010-11-25 Nippon Steel Corp 耐変色性に優れた酸性雨大気環境用チタンまたはチタン合金
JP2020127998A (ja) * 2019-02-12 2020-08-27 三菱マテリアル株式会社 硬質皮膜切削工具
CN115584470A (zh) * 2022-10-24 2023-01-10 安徽工业大学 一种通过Zr/Zr2N/ZrN多层涂层提高钛合金表面耐腐蚀磨损性能的方法

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