JPH07102359A - 窒化クロム膜被覆基体の製造方法 - Google Patents

窒化クロム膜被覆基体の製造方法

Info

Publication number
JPH07102359A
JPH07102359A JP25066293A JP25066293A JPH07102359A JP H07102359 A JPH07102359 A JP H07102359A JP 25066293 A JP25066293 A JP 25066293A JP 25066293 A JP25066293 A JP 25066293A JP H07102359 A JPH07102359 A JP H07102359A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
substrate
chromium
atoms
ions
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP25066293A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2611633B2 (ja
Inventor
Satoru Nishiyama
哲 西山
Kiyoshi Ogata
潔 緒方
Akinori Ebe
明憲 江部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissin Electric Co Ltd
Original Assignee
Nissin Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissin Electric Co Ltd filed Critical Nissin Electric Co Ltd
Priority to JP5250662A priority Critical patent/JP2611633B2/ja
Publication of JPH07102359A publication Critical patent/JPH07102359A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2611633B2 publication Critical patent/JP2611633B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 基体上に、i)Cr原子の真空蒸着によりC
r膜を形成した後、ii)Cr原子の真空蒸着によりCr
膜を形成した後、さらにCr原子の真空蒸着と同時に、
又はiii)Cr原子の真空蒸着と同時に、Nイオンの照射
を行う工程のいずれか1つを行い、その際基体温度約6
0〜200℃に保持し、Nイオンを約0.1〜20Ke
Vの加速エネルギー、約0〜30°のイオン入射角度で
照射し、基体上に形成されるCrN膜が、表面におい
て、約1.0〜3.5のCr/N組成比を有するCrN
膜を形成するCrN膜被覆基体の製造方法。 【効果】 膜厚を薄くした場合でも、高硬度、優れた化
学的安定性を有するCrN膜を基体に被覆させられ、低
温下のプロセスで成膜した場合でも、高硬度・密着性を
確保でき、あらゆる基体種に、生産性良く、安価な製造
コストで、耐摩耗性、耐食性に優れたCrN膜を形成す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒化クロム膜被覆基体の
製造方法に関し、より詳しくは、硬質で耐食性に優れた
窒化クロム膜を形成する窒化クロム膜被覆基体の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、各種基体の耐摩耗性、耐摺動
性あるいは耐食性を向上させるために、それら特性を向
上させる機能を有する膜を基体上に形成させることが試
みられてきた。上記のような特性を有する膜の代表的な
ものには、各種窒化物があり、窒化物の例としては、窒
化チタン(TiN)、窒化ケイ素(Si34)、窒化ホ
ウ素(BN)又は窒化クロム(CrN)等が挙げられ
る。中でも、窒化クロム(CrN)は高硬度を有すると
ともに、化学的安定性に優れているので、上記基体の特
性向上のために被覆させる膜種として良く利用されてい
る。
【0003】近年、真空蒸着と窒素イオンの照射とを同
時に行うことによって、基体の上にCrN膜を形成させ
る方法が、例えば Ensinger,W. et al;Nuclear Instrum
entsand Methods in Physics Research B59/60(1991),2
59-263 や、特開平5-112863号公報に述べられている。
前者の方法では、窒素イオンの入射角度を基体に対して
垂直(法線方向)とし、基体に到達するCrと窒素原子
との組成比を調整することによって膜質が制御されてい
る。また、後者の方法においては、窒素イオンの入射角
度の時間的な平均値を基体の法線方向に対して30〜7
0°とし、イオンの加速エネルギーを0.5〜50Ke
Vとすることによって膜質が調整されている。これらの
方法によれば、窒素イオンを高い加速エネルギーで照射
することによって、基体と被覆膜との界面に、両者の構
成原子よりなる混合層が形成され、膜の密着性を向上さ
せることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これまで使用
されているCrN膜においては、低温下で成膜された場
合、膜の密着性が劣る傾向にある。例えば、イオンプレ
ーティングなどの方法によってCrN膜を形成する場合
には、基体を300℃以上の高温にしなければ、使用上
充分な密着性は得られない。従って、この場合には、耐
熱性が良好な金属等の基体しか用いることができず、樹
脂のような高分子からなる基体を用いることができな
い。つまり、樹脂等による基体にCrN膜を形成する場
合には、例えば、100℃以下の温度で形成しなければ
ならないため、使用上充分な密着性が得られていない。
【0005】さらに、基体に加えられる熱、特にイオン
照射を利用する方法では、基体に熱的な損傷が加えられ
やすいので、基体の温度が上昇してしまう傾向にあり、
用いる基体の材質が限定されてしまうという欠点があ
る。これを改善するために、基体を冷却しながらイオン
照射を行うことが考えられるが、これまでに提案されて
きた方法では、特に200℃以下に基体を冷却させた場
合は、膜の密着性が不十分で実用に供せられない。
【0006】また、CrN膜は、成膜プロセスのパラメ
ーターによって、その結晶構造や密着性が大きく異なる
ことも知られている。例えば、上記に示した Ensinger,
W. et al;Nuclear Instruments and Methodsin Physics
Research B59/60(1991),259-263 の方法によりCrN
膜を成膜した場合には、柱状の結晶が基体の法線方向に
成長しやすく、緻密で硬質な膜が形成されないという欠
点を有する。
【0007】特開平5-112863号公報の方法において、実
用上充分な耐摩耗性を有するCrN膜を成膜するために
は、膜の厚みが0.5〜10μm必要とするとされ、成
膜工程における生産性が悪くなり、生産コストが増加す
るという欠点があった。一般に、基体上に形成する膜の
厚みは薄いほど、生産性の向上や生産コストの低減に有
利である。特にイオンの照射を利用する製造工程は、他
の方法に比べて工業化のための製造設備のコストが高く
なる傾向にある。従って、イオンの加速エネルギーが小
さいほど、それに要するイオン源や電源等の設備費が安
価になり、また、膜厚が薄いほど生産性が向上するので
あるが、そのための方法はまだ提案されていないのが実
状である。
【0008】この発明は上記記載の課題に鑑みなされた
ものであり、イオンの加速エネルギー、イオンの入射角
度、さらにCr/N組成比の3つのパラメーターを同時
に調整することにより、低温下の成膜プロセスにおいて
も、基体に十分な密着性を有するCrN膜を被覆させる
と同時に、膜厚が薄い場合でも、実用上十分な硬度と密
着性とを有する窒化クロム膜を形成することができる窒
化クロム膜被覆基体の製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の窒化クロム膜被
覆基体によれば、i)基体上に、クロム原子の真空蒸着
によりクロム膜を形成した後、窒素イオンの照射を行う
工程、ii)基体上に、クロム原子の真空蒸着によりクロ
ム膜を形成した後、さらにクロム原子の真空蒸着と同時
に、窒素イオンの照射を行う工程、iii)基体上に、クロ
ム原子の真空蒸着と同時に窒素イオンの照射を行う工
程、のいずれか1つを行い、その際、基体の温度を約6
0〜200℃に保持し、窒素イオンを約0.1〜20K
eVの加速エネルギー、約0〜30°のイオン入射角度
で照射し、基体上に形成される窒化クロム膜が、少なく
とも表面において、約1.0〜3.5となるクロム原子
と窒素原子との組成比を有する窒化クロム膜を形成する
窒化クロム膜被覆基体の製造方法が提供される。
【0010】本発明における製造方法は、真空蒸着と同
時、交互、又は真空蒸着後にイオン照射を行う方法であ
り、この製造方法を実施するために用いる装置は、真空
蒸着とイオン照射とを同時に行えるものであれば特に限
定されるものではなく、例えば、図1に示すような装置
を用いることができる。図1において、1は基体であ
り、基体1は基体ホルダー2上に載置されるように構成
されている。また、基体1に対向する位置に蒸発源3、
イオン源4がそれぞれ配設されており、これらはすべて
真空容器5内に納められている。真空容器5には排気装
置11が並設されている。さらに、基体ホルダー2近傍
には基体1への蒸着原子の蒸着量をモニターすることが
できる膜厚モニター6が、基体1へのイオンの照射量を
モニターすることができるイオン電流測定器7がそれぞ
れ配設されている。また、基体ホルダー2には、基体1
を冷却するための冷却管(図示せず)が内設されてい
る。
【0011】このように構成される装置においては、真
空容器5は排気装置11によって、所定の真空度に排気
され、保持される。蒸発源3は電子ビーム、抵抗や高周
波によってクロム元素含有物質を加熱させ蒸気化させる
ものである。但し、クロム元素含有物質として昇華性の
物質を用いて加熱気化させる場合には、蒸発速度が安定
しないことがあるため、スパッタリング法を用いること
ができる。また、イオン源4の方式も特に限定されず、
カウフマン型やバケット型等を適宜用いることができ
る。これら膜厚モニター6及びイオン電流測定器7の方
式は特に限定されるものではなく、例えば、膜厚モニタ
ー6としては水晶振動子を用いたもの、イオン電流測定
器7としてはファラデーカップ等を適宜用いることがで
きる。
【0012】本発明において用いられる基体は、通常窒
化クロム膜を形成される基体であれば特に限定されるも
のではなく、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレン
テレフタレート等のポリエチレン類、ポリイミド等の高
分子よりなる基体や、高速度工具鋼、超硬合金、炭素鋼
等の金属や、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素等のセラミ
ックよりなる材料を用いることができる。
【0013】本発明を実施するにあたっては、基体を基
体ホルダーに設置することによって真空容器内に納め、
例えば、1×10-6torr以下の真空度に排気した後、蒸
発源よりクロム含有物質を加熱し、蒸気化させることに
よって基体上に蒸着させる。蒸発源より蒸気化させるク
ロム元素含有物質としては、クロムの単体、酸化物、窒
化物、あるいは炭化物等を用いることができる。そし
て、該物質の蒸着と同時または蒸着後に、イオン源より
少なくとも窒素元素を含有するイオンを照射する。この
際、照射するイオンとしては、窒素イオンを用いるのが
効果的であるが、窒素イオンと、不活性ガスイオンや水
素イオンとを含有するもの等を用いることができる。こ
れらは、例えば、イオン源に窒素ガスのみ、あるいは窒
素ガスと不活性ガスあるいは水素ガス等とを導入するこ
とによって得ることができる。この場合には、不活性ガ
スイオンや水素イオンによって、蒸着クロム原子が、よ
り一層高励化状態になるので、膜の結晶化度が向上する
という利点がある。
【0014】本発明において、膜を形成する際の基体の
温度は、約60〜約200℃であり、約60〜約120
℃がより好ましい。これによって、基体の材質が限定さ
れなくなり、イオンの加速エネルギー、イオンの入射方
向及びCr/N組成比を同時に調整することによって、
膜の密着性が劣らないようにすることができる。なお、
本発明においてCr/N組成比とは、クロム原子と窒素
原子との比、すなわちクロム原子数と窒素原子数との比
を示す。
【0015】また、窒素イオンの加速エネルギーは約
0.1〜約20KeVの範囲内であり、約0.1〜約1
0KeVがより好ましい。加速エネルギーが約20Ke
Vを超えると、基体に多大な熱的な損傷が加わり、基体
種が限定されてしまったり、膜中に過大な欠陥が生成さ
れることとなる。約0.5μm以下の膜厚の膜を形成す
る場合には、膜で充分な結晶化が進まないので好ましく
ない。また、約0.1KeV未満では、基体と膜との界
面に形成される混合層の形成が不十分になり、密着性が
劣るので好ましくない。
【0016】さらに、本発明におけるイオンの入射角度
は、基体上に立てた法線に対して照射されるイオンの入
射角度を意味する。このイオン入射角度は、約0〜約3
0°の範囲内であり、約0〜約20°がより好ましい。
これは、イオンの入射角度が、膜中に侵入するイオンの
深さと相関があり、イオンの入射角度が約30°を超え
ると、膜中に侵入するイオンの深さが浅くなり過ぎ、照
射イオンが基体原子をはじき出したり、イオンとの衝突
によって蒸発原子が基体の中に押し込まれることによっ
て形成される、膜と基体との界面に形成される基体と膜
の構成原子よりなる混合層の厚みが不十分になり、膜の
密着性を著しく劣化させるからである。
【0017】本発明の製造方法においては、基体上に形
成される窒化クロム膜は、少なくとも表面において、約
1.0〜3.5となるクロム原子と窒素原子との組成比
を有するように、好ましくは約1.0〜3.0となるク
ロム原子と窒素原子との組成比を有するように調整する
ことが必要である。これは、化学的に活性なCrの性質
を利用して膜の密着性を向上させるためである。Cr/
N組成比が約1.0未満では、膜中の窒素原子の数が多
くなり過ぎ、密着性が向上しない。また、Cr/N組成
比が約3.5を超えると、膜の化学的安定性が劣るので
好ましくない。本発明の範囲にCr/N組成比を調整す
れば、低温下で膜を形成しても膜の密着性が劣ることは
ない。なお、Cr/N膜の組成比は、図1における膜厚
モニター6によって、基体に到達するCr原子の数を測
定し、電流測定器7によって、基体に照射されるイオン
の個数を計測することによって調整することができる。
【0018】本発明の窒化クロム膜被覆基体の製造方法
においては、上記のようなCr/N組成比を有する窒化
クロム膜を形成する前に、クロム膜を形成してもよい。
この場合のクロム膜は、膜厚約0.01〜約0.5μ
m、好ましくは約0.01〜約0.3μmである。クロ
ム膜は、単なる真空蒸着によって形成してもよいが、基
体との密着性を考慮して、クロム原子の真空蒸着による
クロム膜の形成後、あるいはクロム原子の真空蒸着と同
時に、窒素又は不活性ガスのイオンを照射しながら形成
することが好ましい。基体上にクロム膜を形成した後、
窒化クロム膜を被覆する場合には、特にクロム膜と窒化
クロム膜との界面に、両者を構成する原子の混合層が形
成されることとなるので、窒化クロム膜の厚さ方向にお
いて、Cr/N組成比が異なるとともに、約1.0〜
3.5からはずれる窒化クロム膜が形成される場合があ
るが、少なくとも窒化クロム膜の表面において、約1.
0〜3.5のCr/N組成比を有するものであればよ
い。
【0019】本発明においては、窒化クロム膜の膜厚を
0.5μm以下に形成することが好ましい。本発明のよ
うな蒸着とイオン照射とを併用する方法においては、膜
厚が0.5μm以上の膜にて耐摩耗性、耐食性等を発揮
させることも可能であるが、製造コストや生産効率を考
慮すれば、膜厚が薄いもので、かつ膜厚の厚いものと同
等の効果を生み出せれば、膜厚が薄くなるほど産業化に
有利である。
【0020】
【作用】本発明の窒化クロム膜被覆基体の製造方法によ
れば、基体の温度を約60〜200℃に保持し、窒素イ
オンを約0.1〜20KeVの加速エネルギー、約0〜
30°のイオン入射角度で照射し、基体上に形成される
窒化クロム膜が、少なくとも表面において、約1.0〜
3.5となるクロム原子と窒素原子との組成比を有する
窒化クロム膜を形成するので、薄い膜厚の窒化クロム膜
で基体を被覆した場合においても、1μm以下の膜厚が
厚いもので被覆した基体と同等の耐摩耗性、耐食性を発
揮することとなる。また、低温で成膜した場合でも、優
れた密着性と耐摩耗性、耐食性を発揮することとなる。
【0021】
【実施例】
実施例1 高速度工具鋼(SKH51:30×30×5tの平板)
からなる基体を、真空容器内に載置し、純度3NのCr
を蒸着させると共に、窒素イオンを1KeVの加速エネ
ルギーで照射した。この時、蒸発源は電子ビームを用い
たもの、イオン源はバケット型イオン源を使用し、真空
容器内は5×10-7torrに真空排気した後、イオン源に
純度5Nの窒素ガスを導入することによって、5×10
-6torrの真空度に維持した。
【0022】また、形成されたCrN膜のCr/N組成
比が2.5になるように、Crの蒸発量と照射される窒
素イオンの量を調整し、膜厚は0.2μmとなるように
成膜した。さらに、成膜中、基体が150℃に保持され
るように、基体ホルダーを水冷した。また、イオンの入
射角度は、基体表面に立てた法線より0〜20°の範囲
内になるように設定した。
【0023】比較例1 実施例1と同じ基体を用いて、窒素イオンを30KeV
の加速エネルギーで照射しながら、0.2μmの膜を形
成した。それ以外の成膜条件はすべて実施例1と同じで
あった。
【0024】比較例2 実施例1と同じ基体を用いて、Cr/N組成比が4.0
になるように0.2μmの膜を形成した。それ以外の成
膜条件はすべて実施例1と同じであった。
【0025】比較例3 実施例1と同じ基体を用いて、基体の法線に対するイオ
ンの入射角度が45度になるように0.2μmの膜を形
成した。それ以外の成膜条件はすべて実施例1と同じで
あった。
【0026】比較例4 実施例1と同じ基体を用いて、実施例1と同じ方法を用
いて5μmの膜を形成した。それ以外の成膜条件はすべ
て実施例1と同じであった。
【0027】上記実施例1及び比較例1〜4において形
成された膜の硬度を、5g荷重のマイクロビッカース硬
度計で測定し、マイクロスクラッチテスタにて密着性を
測定したところ、表1の結果を得た。
【0028】
【表1】
【0029】上記結果より、比較例1のものは加速エネ
ルギーが大きすぎ、膜の結晶成長を充分に促進させなか
ったことより、硬度が劣化し、比較例2のものは、Cr
/N組成比が大きすぎ、膜中のCrNの含有量が少なす
ぎ、同じく硬度が劣化し、また、比較例3のものは、イ
オンの入射角度が浅すぎ、入射イオンが基体表面に充分
に到達せず、その結果、膜の密着性が劣る結果になっ
た。
【0030】また、実施例1と比較例4を比べると、形
成された膜の硬度,密着性が同じことより、実施例1の
ものは0.2μmと薄い膜においても、5μmと同様、
充分にCrNの結晶成長を促進させ、同等の膜特性を生
じさせることがわかった。
【0031】
【発明の効果】本発明の窒化クロム膜被覆基体の製造方
法によれば、膜厚を薄くした場合でも、高硬度、優れた
化学的安定性を有するCrN膜を基体に被覆させること
ができる。さらに、低温下のプロセスで窒化クロム膜を
成膜した場合でも、同じく硬度、密着性を確保できるこ
とより、あらゆる基体種に、生産性良く、安価な製造コ
ストで、耐摩耗性、耐食性に優れたCrN膜を形成する
ことができる。従って、生産性の向上、利用できる基体
材質の自由度、および生産コストの低減化を図ることが
でき、工業上大きく貢献することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る窒化クロム膜被覆基体の製造方法
に用いる膜形成装置の要部の概略断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 基体ホルダー 3 蒸発源 4 イオン源 5 真空容器 6 膜厚モニタ 7 イオン電流モニタ 11 真空排気装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 i)基体上に、クロム原子の真空蒸着に
    よりクロム膜を形成した後、窒素イオンの照射を行う工
    程、 ii)基体上に、クロム原子の真空蒸着によりクロム膜を
    形成した後、さらにクロム原子の真空蒸着と同時に、窒
    素イオンの照射を行う工程、 iii)基体上に、クロム原子の真空蒸着と同時に窒素イオ
    ンの照射を行う工程、のいずれか1つを行い、その際、
    基体の温度を約60〜200℃に保持し、窒素イオンを
    約0.1〜20KeVの加速エネルギー、約0〜30°
    のイオン入射角度で照射し、基体上に形成される窒化ク
    ロム膜が、少なくとも表面において、約1.0〜3.5
    となるクロム原子と窒素原子との組成比を有する窒化ク
    ロム膜を形成することを特徴とする窒化クロム膜被覆基
    体の製造方法。
  2. 【請求項2】 窒化クロム膜を0.01〜0.5μm厚
    に成膜する請求項1記載の窒化クロム膜被覆基体の製造
    方法。
JP5250662A 1993-10-06 1993-10-06 窒化クロム膜被覆基体の製造方法 Expired - Fee Related JP2611633B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5250662A JP2611633B2 (ja) 1993-10-06 1993-10-06 窒化クロム膜被覆基体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5250662A JP2611633B2 (ja) 1993-10-06 1993-10-06 窒化クロム膜被覆基体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07102359A true JPH07102359A (ja) 1995-04-18
JP2611633B2 JP2611633B2 (ja) 1997-05-21

Family

ID=17211187

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5250662A Expired - Fee Related JP2611633B2 (ja) 1993-10-06 1993-10-06 窒化クロム膜被覆基体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2611633B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100250213B1 (ko) * 1995-12-22 2000-04-01 이구택 내마모성이 우수한 경질피막의 제조방법
KR100295611B1 (ko) * 1996-07-10 2001-10-24 이구택 각종금속류표면의경질피막형성방법

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05112863A (ja) * 1991-10-21 1993-05-07 Nippon Steel Corp 薄膜形成方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05112863A (ja) * 1991-10-21 1993-05-07 Nippon Steel Corp 薄膜形成方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100250213B1 (ko) * 1995-12-22 2000-04-01 이구택 내마모성이 우수한 경질피막의 제조방법
KR100295611B1 (ko) * 1996-07-10 2001-10-24 이구택 각종금속류표면의경질피막형성방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2611633B2 (ja) 1997-05-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH07109561A (ja) 窒化クロム膜被覆基体
JPH07102359A (ja) 窒化クロム膜被覆基体の製造方法
JPH07118829A (ja) 窒化クロム膜被覆基体及びその製造方法
JPH07150337A (ja) 窒化膜の製造方法
JPH07187678A (ja) 窒化クロム膜被覆基体
JPH07150336A (ja) 膜被覆基体
JP2770650B2 (ja) 窒化ホウ素含有膜被覆基体とその製造方法
JPH07118830A (ja) 窒化クロム含有膜被覆基体及びその製造方法
JPH06248420A (ja) 硬質膜被覆部材
JP3491288B2 (ja) 窒化ホウ素含有膜被覆基体とその製造方法
Takahashi et al. Optical response of tin nitride thin films prepared by halide chemical vapor deposition under atmospheric pressure
JP2504255B2 (ja) 窒化ホウ素薄膜の形成方法
JPH0881755A (ja) 窒化クロム膜被覆基体とその製造方法
JP2961790B2 (ja) 窒化ホウ素含有薄膜被覆基体の製造方法
JP3473089B2 (ja) 窒化ホウ素含有膜被覆基体
JP2513338B2 (ja) 窒化ホウ素薄膜被覆基体の形成方法
JPH07258822A (ja) 窒化ホウ素含有膜及びその製造方法
JP2003013200A (ja) 硬質炭素膜およびその製造方法
JP2526698B2 (ja) 窒化ホウ素薄膜被覆基体とその製造方法
JPH05311396A (ja) 窒化クロム膜の成膜方法
JPH06172967A (ja) 窒化ホウ素含有膜被覆基体とその製造方法
JPH0397847A (ja) 窒化ホウ素膜の形成方法
JPH07258824A (ja) 窒化ホウ素含有膜被覆基体
JPH07292456A (ja) 膜被覆基体
JPH08225924A (ja) 炭素−窒素化合物含有膜の形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080227

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 12

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090227

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100227

Year of fee payment: 13

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees