JP2504255B2 - 窒化ホウ素薄膜の形成方法 - Google Patents

窒化ホウ素薄膜の形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、切削工具,金型,磁気ヘッド等の機械・
機構部品の表面に硬質の窒化ホウ素薄膜を被覆すること
により、耐摩耗性の向上,焼き付き防止,摺動性を向上
させる窒化ホウ素薄膜の形成方法に関するものである。
〔従来の技術〕
窒化ホウ素(以下、BNと略す)は、結晶構造によって
立法晶系閃亜鉛鉱型窒化ホウ素(以下、c−BNと略
す),六方晶系グラファイト型窒化ホウ素(以下、h−
BNと略す),六方晶系ウルツ鉱型窒化ホウ素(以下、w
−BNと略す)の3種類にて大別できる。
c−BNは、ダイヤモンドに次ぐ高硬度を有しており熱
的・化学的安定性にも優れていることから切削工具等の
耐摩耗性を必要とする分野に応用されている。また、絶
縁性や高熱伝導性を生かしたヒートシンク用材料等の用
途にも期待されている。さらに、w−BNもc−BNと同様
に優れた化学的安定性,熱衝撃性または高硬度という特
徴を生かして、耐摩耗性を必要とする分野に応用されて
いる。
しかし、c−BNやw−BNは、共に高温度・高圧力の下
で人工的に合成されるものであり、その製造コストは非
常に高くなるとともに、合成されるc−BNやw−BNの形
態は、粒状,粉状の固体のものしか得ることができない
ので、その応用範囲も限定されている。そこで、c−BN
やw−BNを低温度・低圧力の下で薄膜化する方法の研究
が物理蒸着法(PVD法)や化学蒸着法(CVD法)で盛んに
行われている。
たとえば、化学蒸着法(CVD法)では、薄膜を蒸着さ
せる基体を反応室に入れて1000℃近い温度に加熱した
後、ホウ素元素(B)を含むジボラン(Diborane:B
2H6)のガスや窒素元素(N)を含むアンモニア(Ammon
ia:NH3)のガス等の原料ガスを反応室に導入し、熱分解
反応させて基体の表面にBN薄膜を形成する。しかし、こ
の方法で基体としてたとえば高速度工具鋼を用いて、そ
の表面にBN薄膜を形成しようとしても、高速度工具鋼は
約600℃の温度で熱劣化するためにBN薄膜を形成するこ
とができず、BN薄膜を形成させる基体が限定される。ま
た、この方法で形成されるBN薄膜は、軟質のh−BNが主
体の薄膜となり易く、c−BNやw−BNの持つ前述の特性
が充分に生かされない。
さらに、物理蒸着法(PVD法)においても、ホウ素を
窒素ガス雰囲気中でスパッタリングし、基体の表面にBN
薄膜を形成する反応性スパッタリング法等が試みられた
が、この方法においても化学蒸着法(CVD法)と同様に
h−BNが主体の薄膜しか得られない。
そこで近年、イオンやプラズマを用いて低温度・低圧
力の条件の下でc−BNやw−BNの薄膜を形成しようとい
う試みが活発に行われている。たとえば、ホウ素の真空
蒸着と同時に窒素のイオン照射を行い基体の表面にBN薄
膜を形成することが特公昭58−2022号公報に提案されて
いる。この方法によれば、基体を特に加熱することな
く、c−BNやw−BNの薄膜を形成することができる。そ
のうえ、イオンと蒸着原子との衝突,反跳により、イオ
ンとともに蒸着原子が基体表面層の内部に注入されて新
たな混合層が基体とBN薄膜との間に形成されBN薄膜の密
着性が大きく向上するという利点を有している。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら上記のような方法で得られたc−BNやw
−BNの薄膜は、特に金属との親和性(濡れ性)が悪いた
めに、基体に金属を用いた場合には薄膜の密着力が弱
く、実用上十分に耐えるものが得られ難い傾向がある。
また、BN薄膜で被覆された基体を高温度の下にさらした
場合、BN薄膜と基体との熱膨張係数の違いや薄膜中の内
部応力によりBN薄膜が剥離し易い。さらに、基体とBN薄
膜との格子定数の違いにより生じるBN薄膜内部の内部応
力の増加による薄膜の剥離やc−BNやw−BNの結晶成長
の妨げ等という問題を有している。
この発明の目的は、形成されるBN薄膜の硬度が高いこ
とはもちろんのこと、基体との密着力が高く高温度の条
件の下でも剥離することがなく、c−BN構造の窒化ホウ
素を多く含むBN薄膜を得るとともに、c−BN W−BNの
薄膜の結晶成長を妨げない窒化ホウ素薄膜の形成方法を
提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
この発明の窒化ホウ素薄膜の形成方法は、基体の表面
に、ホウ素(B)元素を含有する物質の蒸着と同時また
は交互に窒素(N)元素を含有するイオンを2KeV〜40Ke
Vのエネルギで照射し、形成される窒化ホウ素(BN)薄
膜のホウ素原子と窒素原子との粒子数の比(B/N組成
比)を4〜60とし、かつ成長される窒化ホウ素(BN)薄
膜の膜厚を100Å以上形成する第1の薄膜形成工程と、 この第1の薄膜形成工程に引きつづき、ホウ素(B)
元素を含有する物質の蒸着と同時または交互に窒素
(N)元素を含有するイオンを2KeV以下のエネルギで照
射し、形成される窒化ホウ素(BN)薄膜のホウ素原子と
窒素原子との粒子数の比(B/N組成比)を4以下とする
第2の薄膜形成工程とを含むものである。
この発明の窒化ホウ素薄膜の形成方法のBN薄膜形成装
置の一例を第1図に基づいて説明する。
真空装置内(図示せず)において、ホルダ1に基体2
が固定されている。この基体2の下方には電子ビーム,
レーザ線または高周波等により高温度に加熱することの
できる蒸発源3が設けられている。この蒸発源3の中に
はホウ素単体,ホウ素酸化物,またはホウ素窒化物等よ
りなるホウ素(B)元素を含有する蒸発物質4が入れら
れている。また、基体2に正対する方向にはカウフマン
型やプラズマを閉じ込めるためのカスプ磁場を用いたバ
ケット型等のイオン源5が設けられている。
このイオン源5は、窒素原子,窒素分子または窒素ガ
スと不活性ガスとを混合した気体等をイオン化し、窒素
(N)元素を含有するイオン6として基体2の表面に照
射する装置である。さらに、真空装置内には、膜厚計7
と電流測定器8とが配置されている。
この膜厚計7は、基体2の表面に蒸着積層される蒸着
物質4の膜厚ならびにホウ素原子の粒子数を計測する水
晶振動子を使用した振動型膜厚計等である。また、電流
測定器8は、基体2に照射されるイオン6の窒素イオン
の量、すなわち窒素原子の粒子数を計測するファラデー
カップのような2次電子抑制電極を持つカップ型構造の
イオンビーム電流量測定器等である。
上記のような構成において、第1の薄膜形成工程とし
て、蒸発源3からホウ素元素(B)を含有する物質を基
体2の表面に蒸着すると同時または交互にイオン源5か
ら窒素原子(N)を含有するイオン6が照射される。こ
のとき、イオン6の照射エネルギは2keV以上、40KeV以
下とする。この範囲を逸脱すると、照射エネルギが2KeV
未満の場合は、BN薄膜と基体2との密着性が不十分にな
り、照射エネルギが40KeVより大きくなると、イオン6
の照射によって基体2あるいはBN薄膜内部の結晶構造に
損傷や欠陥が多く形成される。
さらに、BN薄膜中のホウ素原子と窒素原子との粒子数
の比(以下、B/N組成比と略す)は、4以上、60以下と
する。この範囲を逸脱した場合、B/N組成比が4未満の
ときは、BN薄膜中の内部応力が大きいものとなり、基体
2との密着性に寄与しなくなる。そのため、つぎの第2
の薄膜形成工程で形成されるBN薄膜との熱膨張係数や格
子定数の違いにより生じる内部応力を緩和し、基体2に
被覆されるBN薄膜の密着性を向上させるため、B/N組成
比は4以上が好ましく、また、B/N組成比が60を超える
場合には、つぎの第2の薄膜形成工程で形成されるBN薄
膜との親和性が悪くなったり、軟質のh−BNの結晶構造
のBN薄膜が形成されやすくなる。
また、第1の薄膜形成工程で形成されるBN薄膜中の厚
さ方向へのB/N組成比の値は変化しても良いが、その場
合のBN薄膜のB/N組成比は、膜表面から基体2の表面に
移行するにつれ断続的または連続的に増加するようにな
っているのが好ましい。たとえば形成されるBN薄膜のB/
N組成比の値が10〜60になるように基体2の表面に到達
するホウ素(B)元素の粒子と窒素(N)元素の粒子と
の粒子数を制御した状態でBN薄膜の形成を開始し、積層
していくBN薄膜のB/N組成比の値を断続的または連続的
に変化させて制御し、最終的にBN薄膜の表面のB/N組成
比の値が4〜10になるようにして膜を形成する。
さらに、この第1の薄膜形成工程で形成されるBN薄膜
は、前述した特性を十分に付与するには100Å以上の膜
厚に形成することが望ましい。
第1の薄膜形成工程により形成されたBN薄膜の表面
に、つぎに説明する第2の薄膜形成工程でBN薄膜をさら
に形成する。
第2の薄膜形成工程として、第1の薄膜形成工程と同
様にして、蒸発源3からホウ素元素(B)を含有する物
質を基体2の表面に蒸着すると同時または交互にイオン
源5から窒素元素(N)を含有するイオン6が照射され
る。このとき、イオン6の照射エネルギは2keV以下とす
る。照射エネルギを2KeV以上にするとBN薄膜内部の結晶
構造に損傷や欠陥が多く形成される。イオン6の照射に
よるBN薄膜に生じる欠陥の数を少なくして、結晶性が良
く表面が平滑なc−BNやw−BNの構造のBN薄膜を得るた
めには2KeV以下にする必要がある。ただし、実用的に作
成されて使用することのできるイオン源5を考慮する
と、その照射エネルギの下限は100eV程度である。
また、この第2の薄膜形成工程で形成されるBN薄膜中
のB/N組成比は、4以下とする。このことは、B/N組成比
が4を超えた場合には、形成されるBN薄膜の構造がc−
BNあるいはw−BNの含有量の少ない構造となり、目的と
する高硬度,熱的・化学的に安定したBN薄膜が得られな
いからである。そして、B/N組成比が4以下の値であれ
ば第1の薄膜形成工程と同様に、形成されるBN薄膜中の
B/N組成比がBN薄膜表面から、その深さ方向に向かって
断続的または連続的に増加していても良い。
さらに、前述の第1および第2の薄膜形成工程の途中
でイオン6の照射エネルギのエネルギ量を随時変更して
も良い。たとえば第1の薄膜形成工程で基体2の表面近
傍にBN薄膜を形成するときに、基体2との密着性を高め
るために40KeVの照射エネルギでイオン6を照射して一
定の膜厚のBN薄膜を形成した後、BN薄膜内部の欠陥等の
少なくするためにイオン6の照射エネルギを2KeV以上、
40KeV未満に下げてBN薄膜を積層させる形成方法を用い
ても良い。
〔実施例〕
実施例1 第1図に示して説明した装置において、高硬度鋼(ハ
イス鋼)よりなる基体2をホルダ1に固定した後、ホウ
素(純度99%)を蒸発物質4として蒸発源3に配置して
真空装置の内部を2×10-6Torr以下の高真空に保持し
た。そして、蒸発源3を電子ビームで加熱して蒸発物質
4を基体2の表面に蒸着させると同時に、バケット型の
イオン源5に窒素ガス(純度99.999%)を導入して窒素
のイオン6を基体2の表面に照射した。
このとき、第1の薄膜形成工程としてイオン6の照射
エネルギを10KeVとし、形成されるBN薄膜のB/N組成比が
15になるように基体2に到達するホウ素からなる蒸発物
質4の粒子と窒素イオンからなるイオン6との粒子数を
膜厚計7および電流測定器8で測定しながら制御して20
00ÅのBN薄膜を積層させた。
つづいて、第2の薄膜形成工程として第1の薄膜形成
工程で形成されたBN薄膜の上から、イオン6の照射エネ
ルギを2KeVにするとともに、形成される薄膜のB/N組成
比が1となるように第1の薄膜形成工程と同様にして、
基体2に到達する蒸発物質4の粒子とイオン6の粒子と
を制御して3000ÅのBN薄膜を積層させて最終的に5000Å
のBN薄膜を得た。
実施例2 第1の薄膜形成工程として、実施例1と同じ材料の基
体2,蒸発物質4およびイオン6を用いて蒸発物質4の蒸
着と同時に、イオン6を10KeVの照射エネルギで照射
し、形成されるBN薄膜のB/N組成比が15になるように制
御して基体2の表面に2000ÅのBN薄膜を積層させた。
つづいて、第2の薄膜形成工程として、イオン6の照
射エネルギを500eVとし、形成されるBN薄膜のB/N組成比
が1となるように制御してさらに3000ÅのBN薄膜を積層
させて最終的に5000ÅのBN薄膜を得た。
実施例3 第1の薄膜形成工程として、実施例1と同じ材料の基
体2,蒸発物質4およびイオン6を用いて蒸発物質4の蒸
着と同時に、イオン6を10KeVの照射エネルギで照射
し、形成されるBN薄膜のB/N組成比が15になるように制
御して基体2の表面に2000ÅのBN薄膜を積層させた。
つづいて、第2の薄膜形成工程として、イオン6の照
射エネルギを500eVとし、形成されるBN薄膜のB/N組成比
が4となるように制御してBN薄膜を積層させ始め、その
後、基体2の表面にBN薄膜が1000Åの厚さ積層するごと
にB/N組成比を1ずつ減少させて、表面のBN薄膜のB/N組
成比が1になるように4000ÅのBN薄膜を積層させて最終
的に6000ÅのBN薄膜を得た。
比較例1 実施例1と同じ材料の基体2,蒸発物質4およびイオン
6を用いて蒸発物質4の蒸着と同時に、イオン6を10Ke
Vの照射エネルギで照射し、形成されるBN薄膜のB/N組成
比が3になるように制御して基体2の表面にBN薄膜を積
層させて一度の薄膜形成工程(第1の薄膜形成工程の
み)で5000ÅのBN薄膜を得た。
比較例2 比較例1と同様に、蒸発物質4の蒸着と同時にイオン
6を500eVの照射エネルギで照射し、形成されるBN薄膜
のB/N組成比が1になるように制御して基体2の表面にB
N薄膜を積層させて一度の薄膜形成工程(第1の薄膜形
成工程のみ)で5000ÅのBN薄膜を得た。
比較例3 第1の薄膜形成工程として、比較例1と同様に蒸発物
質4の蒸着と同時に、イオン6を10KeVの照射エネルギ
で照射し、形成されるBN薄膜のB/N組成比が15になるよ
うに制御して基体2の表面に2000ÅのBN薄膜を積層させ
た。
つづいて、第2の薄膜形成工程として、イオン6の照
射エネルギを500eVとし、形成されるBN薄膜のB/N組成比
が5となるように制御してさらに3000ÅのBN薄膜を積層
させて最終的に5000ÅのBN薄膜を得た。
比較例4 第1の薄膜形成工程として、比較例1と同様に蒸発物
質4の蒸着と同時に、イオン6を10KeVの照射エネルギ
で照射し、形成されるBN薄膜のB/N組成比が15になるよ
うに制御して基体2の表面に2000ÅのBN薄膜を積層させ
た。
つづいて、第2の薄膜形成工程として、イオン6の照
射エネルギを5KeVとし、形成されるBN薄膜のB/N組成比
が1となるように制御してさらに3000ÅのBN薄膜を積層
させて最終的に5000ÅのBN薄膜を得た。
以上の条件で形成したBN薄膜の結晶構造を確認するた
めに各BN薄膜のX線回折ピークを測定した結果、いずれ
のBN薄膜においてもc−BN構造の存在を示す2θ=43.3
4゜のX線回折ピークが確認されc−BN構造を含むこと
が確認された。
そこで、各実施例および比較例で得られたBN薄膜のc
−BN構造の結晶の相対含有比を調べるために、実施例1
の2θ=43.34゜のX線回折ピークにおける単位膜厚当
たりのピーク強度を1とし、各BN薄膜の単位膜厚当たり
のピーク強度をもとめた値を比較して下表に示す。ま
た、各BN薄膜の硬度を微小ビッカース硬度計(荷重10
g)で測定した数値と、密着性をAEセンサ付自動スクラ
ッチ試験機で測定した数値とを合わせ比較して下表に示
す。なお、AEセンサ付自動スクラッチ試験機による密着
性の試験条件は、連続荷重1〜60〔N〕(1N=0.10197k
g)を一定速度でかけながらBN薄膜をスクラッチして、A
E信号が急激に立ち上がる荷重(Lc)を測定した。
このように、実施例1,2および3においては、第1の
薄膜形成工程でホウ素を蒸発物質4として蒸着すると同
時に、窒素ガスのイオン6の照射エネルギならびにB/N
組成比の値を各々10KeV,15として膜厚を2000Å積層した
後、 第2の薄膜形成工程として、実施例1では、イオン6
の照射エネルギを2KeV,B/N組成比の値を1とし、膜厚を
3000Å積層して最終的に5000ÅのBN薄膜を形成した。
実施例2では、第2の薄膜形成工程でイオン6の照射
エネルギを500eV,B/N組成比の値を1とし、膜厚を3000
Å積層して最終的に5000ÅのBN薄膜を形成した。
また、実施例3では、第2の薄膜形成工程でイオン6
の照射エネルギの値を500eVとし、B/N組成比を4として
薄膜の積層を開始し、膜厚が1000Åの厚さ積層するごと
にB/N組成比を1ずつ減少させ、表面の薄膜のB/N組成比
が1になるように4000ÅのBN薄膜を積層して最終的に60
00ÅのBN薄膜を形成した。
この場合、いずれの実施例で得られたBN薄膜もc−BN
構造の窒化ホウ素を多く含み、硬度が4000(Kg/m2)以
上と高く、基体2との密着性においても30〔N〕(1N=
0.10197kg)以上の高い値となる。
この実施例1ないし3の結果に対して、比較例1は、
BN薄膜を形成するときのB/N組成比の値を3と逸脱した
条件で、しかも1回(第1)の薄膜形成工程のみでBN薄
膜を形成した。
また、比較例2は、BN薄膜を形成するときのB/N組成
比の値が1,イオン6の照射エネルギの値が500eVと逸脱
した条件で、しかも1回(第1)の薄膜形成工程のみで
BN薄膜を形成した。
比較例3は、第2の薄膜形成工程でB/N組成比の値が
5と逸脱した条件でBN薄膜を形成した。
さらに、比較例4は第2の薄膜形成工程でイオン6の
照射エネルギが5KeVと逸脱した条件でBN薄膜を形成し
た。
よって、いずれの比較例の場合も得られたBN薄膜は、
c−BN構造の窒化ホウ素の含有量が実施例と比較して10
%〜40%少なく、硬度が2800(Kg/m2)以下と低い。ま
た、基体2との密着性においても18〜25〔N〕(1N=0.
10197kg)の低い値となる。
〔発明の効果〕
この発明の窒化ホウ素薄膜の形成方法は、第1の薄膜
形成工程として、基体の表面にホウ素(B)元素を含有
する物質を基体の表面に蒸着すると同時または交互に窒
素(N)元素を含有するイオンを2KeV以上、40KeV以下
の範囲で、B/N組成比を4以上、60以下として膜厚を100
Å以上形成した後、第2の薄膜形成工程として、窒素
(N)元素を含有するイオンの照射エネルギを2KeV以下
の範囲で、B/N組成比を4以下にして薄膜を形成するこ
とにより、c−BN構造の窒化ホウ素を多く含み、硬度が
高く、基体との密着性においても良好な窒化ホウ素薄膜
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の窒化ホウ素薄膜の形成方法の形成装
置の概念図である。 2……基体、3……蒸発源、4……蒸発物質、5……イ
オン源、6……イオン、7……膜厚計、8……電流測定
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桑原 創 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日新電機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−169559(JP,A) 特開 昭62−164869(JP,A) 特開 昭60−63372(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体の表面に、ホウ素(B)元素を含有す
    る物質の蒸着と同時または交互に窒素(N)元素を含有
    するイオンを2KeV〜40KeVのエネルギで照射し、形成さ
    れる窒化ホウ素(BN)薄膜のホウ素原子と窒素原子との
    粒子数の比(B/N組成比)を4〜60とし、かつ形成され
    る窒化ホウ素(BN)薄膜の膜厚を100Å以上形成する第
    1の薄膜形成工程と、 この第1の薄膜形成工程に引きつづき、ホウ素(B)元
    素を含有する物質の蒸着と同時または交互に窒素(N)
    元素を含有するイオンを2KeV以下のエネルギで照射し、
    形成される窒化ホウ素(BN)薄膜のホウ素原子と窒素原
    子との粒子数の比(B/N組成比)を4以下とする第2の
    薄膜形成工程とを含む窒化ホウ素薄膜の形成方法。
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